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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1234726
審判番号 不服2008-16315  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-26 
確定日 2011-03-31 
事件の表示 平成 9年特許願第134815号「データ管理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月 8日出願公開、特開平10-326212〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成9年5月26日の出願であって、その特許請求の範囲に記載された発明は、平成20年7月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認める。
そして、その請求項6に係る発明(以下、本願発明という。)は、以下のとおりである。
「 【請求項6】
異なる動作プログラムによって所要の作業を行う作業手段での作業により生成された形式の異なる複数の異種データファイルに設定されるキーワードに対応する数値情報の更新を指定する更新情報を入力する入力部と、
前記複数の異種データファイルと、前記キーワードと、前記複数の異種データファイルにおいて前記すべてのキーワードがいずれの前記複数の異種データファイルに設定されているかを示す所在情報とを格納するデータベースと、
前記複数の異種データファイルに設定されて前記更新情報に指定された前記キーワードに対応する数値情報を、前記更新情報及び前記データベースに格納されている前記キーワード及び前記所在情報に基づいて、前記第一の更新情報に指定された複数の異種データファイルにわたって同時に更新する演算部とを備えることを特徴とするデータ管理装置。」


2.引用例記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用された「内田隆平,特集:CADに対する富士通の取組み 設計情報管理システム,FUJITSU,日本,富士通株式会社,1994年 9月10日,第45巻,p.392?398」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「● PDMの定義
PDMは,製造業の設計部門ですでに電子化されたCADデータやCAD関連データ(製造指図書などの文書データ,解析データ,CAMデータなど)を「製品」ごとに束ねて管理するシステムである。」(p.393左欄第11?15行)

(2)「● PDMのシステム概念
まず,PDMのシステム概念を説明するために,設計部門のデータを以下の2種類に分類し,説明しておく。
1) バルクデータ
現在すでに使っているアプリケーションの実データのことである。2次元CAD図面,3次元CADモデル,CAEデータ,文書データなど,アプリケーションの種類によって様々なデータがある。
2) メタデータ
アプリケーションの実データ(バルクデータ)の属性情報(作成者,作成日,材質,進捗など),所在情報,データの親子関係(例:CADの場合は親図-子図の関係),設計手順(例:図面の承認手順,アプリケーションの実行順序)など,実データを補足する情報である。
PDMは,メタデータの集中管理,およびメタデータとバルクデータの関連付けの二つを行うシステムである。通常,図-1のように,メタデータを集中管理するために専用のデータベースを設け,このデータベースとバルクデータの関連をPDMシステムが受け持つようになっている。すなわち,PDMは,それぞれのメタデータに対応するバルクデータの所在を格納したり,バルクデータの変更時にメタデータを変更したりする,などの処理を一手に引き受ける。」(p.393右欄第5行?p.394左欄第4行)

(3)「● PDFRAMEの特長
以下に,PDFRAMEの特長を述べる。
1) リアルタイムな情報提供
製品または中間部品単位での進捗状況や原価情報,設計変更の影響範囲など,必要な情報を簡単な操作で手に入れることができる。
2) 設計の大幅な効率化
設計開始から正式登録まで,製品のあらゆる設計データを集中管理する。したがって,設計変更を迅速化し,流用設計を簡単にして標準化を促進することができる。
3) マルチメディアへの対応
2次元CAD図面だけではなく,3次元モデル,イメージデータ,文書などあらゆる設計関連情報を一元管理する。
4) オペレーションが容易
検索,表示,削除などすべての操作は管理するデータの種類に関係なく共通である。」(p.394右欄第5?21行)

(4)「● PDFRAMEの機能
以下に,PDFRAMEの機能を記す。
【機能概要】
図-2はPDFRAMEの機能体系図である。PDFRAMEは,アプリケーションと連携し最も基本的な機能を実現する「オブジェクト管理機能」と,製品構成をツリーで管理する「構成管理機能」,各オブジェクトの承認→配布処理を自動化した「リリース管理機能」の応用機能を合わせた計三つの機能から成り立っている。
この3機能はすべて一つの専用データベース上で実現されている。
【オブジェクト管理機能】
オブジェクト管理機能の仕組みを図-3に示す。各アプリケーションの実データ(オブジェクトと呼ぶ)のメタデータである所在,属性,進捗状況などを管理し,検索や表示を一括して行う。
例えば,2次元CAD図面,文書データにかかわらず,ネットワーク上のどこに存在していても同一オペレーションでキーワード検索が行える。」(p.394右欄第29行?p395左欄第4行)

ここで、上記記載事項を各種常識に照らすと、以下のことがいえる。
ア.上記記載事項中の「製造指図書などの文書データ」、「解析データ」、「CAMデータ」、「2次元CAD図面」、「3次元CADモデル」、「CAEデータ」等は、相互に異なる動作プログラムによって所要の作業を行う作業手段での作業により生成されるものであり、相互に異なる形式のデータファイルである。
イ.上記記載事項(4)にあるように、引用例に示されるPDFRAMEは、上記「相互に異なる形式のデータファイル」に対して同一のオペレーションでキーワード検索を行うことができるものであるから、該PDFRAMEにおいては、キーワードが各データファイルに設定されている。
ウ.引用例でいう「PDM」ないし「PDFRAME」は、「データ管理装置」とも呼び得るものである。

したがって、引用例には、以下の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。

「異なる動作プログラムによって所要の作業を行う作業手段での作業により生成された形式の異なる複数の異種データファイルであって、キーワードが設定されるものと、
前記複数の異種データファイルについてのメタデータを格納するデータベースと、
を備えるデータ管理装置。」

3.対比
本願発明と引用例記載発明を対比すると、本願発明の「キーワード」や「所在情報」も、アプリケーションの実データ(バルクデータ)を補足する情報であって、メタデータとも呼び得るものであるから、両者の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「異なる動作プログラムによって所要の作業を行う作業手段での作業により生成された形式の異なる複数の異種データファイルであって、キーワードが設定されるものと、
前記複数の異種データファイルについてのメタデータを格納するデータベースと、
を備えるデータ管理装置。」である点。

(相違点1)
本願発明においては、キーワードに数値情報が対応付けられているのに対し、引用例記載発明においては、キーワードに数値情報が対応付けられていない点。

(相違点2)
本願発明は「キーワードに対応する数値情報の更新を指定する更新情報を入力する入力部」を有しているのに対し、引用例記載発明は「キーワードに対応する数値情報の更新を指定する更新情報を入力する入力部」に相当するものを有していない点。

(相違点3)
本願発明の「データベース」は、「複数の異種データファイル」と「メタデータ」の両方を格納するものであるのに対し、引用例記載発明の「データベース」は、「メタデータ」を格納するものではあるが、「複数の異種データファイル」までを格納するものではない点。

(相違点4)
本願発明においては、「メタデータ」として、「キーワードと前記複数の異種データファイルにおいて前記すべてのキーワードがいずれの前記複数の異種データファイルに設定されているかを示す所在情報」がデータベースに格納されているのに対し、引用例記載発明においては、「メタデータ」として、「キーワードと前記複数の異種データファイルにおいて前記すべてのキーワードがいずれの前記複数の異種データファイルに設定されているかを示す所在情報」がデータベースに格納されているとは限らない(引用例には、「メタデータ」が「キーワードと前記複数の異種データファイルにおいて前記すべてのキーワードがいずれの前記複数の異種データファイルに設定されているかを示す所在情報」に相当する情報を含んでいる旨の記載がない。)点。

(相違点5)
本願発明は、「前記複数の異種データファイルに設定されて前記更新情報に指定された前記キーワードに対応する数値情報を、前記更新情報及び前記データベースに格納されている前記キーワード及び前記所在情報に基づいて、前記第一の更新情報に指定された複数の異種データファイルにわたって同時に更新する演算部」を有しているのに対し、引用例記載発明は、それに相当するものを有していない点。

4.当審の判断

(1)上記相違点について

ア.(相違点1)について
下記(ア)、(イ)の事情を勘案すると、引用例記載発明において、キーワードに数値情報を対応付けるようにすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)データ長が長いデータを、複数回、あるいは複数箇所で使用する場合に、当該「データ長が長いデータ」をデータ長が短い「数値情報」に対応付けておき、各種処理はその数値情報を用いて行うようにすることで、必要とされる通信容量や記憶容量の低減を図る技術は、情報処理の分野において広く知られている。
(イ)引用例記載発明においても、データ長の長い同一のキーワードが何度も使用されることは容易に想定され、そこに上記(ア)の技術を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。

イ.(相違点2)及び(相違点5)について
下記(ア)?(ウ)の事情を勘案すると、引用例記載発明に「キーワードに対応する数値情報の更新を指定する更新情報を入力する入力部」に相当するものと、「前記複数の異種データファイルに設定されて前記更新情報に指定された前記キーワードに対応する数値情報を、前記更新情報及び前記データベースに格納されている前記キーワード及び前記所在情報に基づいて、前記第一の更新情報に指定された複数の異種データファイルにわたって同時に更新する演算部」に相当するものを設けることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)複数の検索対象としてのデータファイルに設定されたキーワードを一括して更新可能とすることは、拒絶査定に引用された特開平8-16608号公報にも示されるように周知である。
(イ)引用例記載発明においても、複数の異種データファイルに設定されたキーワードを一括して更新したい場合があるであろうことは当業者に自明であり、その事情は、引用例記載発明のキーワードに、上記ア.に従って数値情報を対応付けたものにおいても変わらない。
(ウ)引用例記載発明において、キーワードないしはそれに対応する数値情報を一括更新可能とすべく、「キーワードに対応する数値情報の更新を指定する更新情報を入力する入力部」に相当するものと「前記複数の異種データファイルに設定されて前記更新情報に指定された前記キーワードに対応する数値情報を、前記更新情報及び前記データベースに格納されている前記キーワード及び前記所在情報に基づいて、前記第一の更新情報に指定された複数の異種データファイルにわたって同時に更新する演算部」に相当するものを設けることができない理由はない。

ウ.(相違点3)について
データベースに、必要とするデータのうちのどこまでのデータを格納させるかは、当業者が適宜決定すべき事項であること、引用例記載発明においても、そのデータベースに「メタデータ」とともに「複数の異種データファイル」をも格納するようにできない理由はないこと、等の事情に鑑みれば、引用例記載発明の「データベース」を、「複数の異種データファイル」と「メタデータ」の両方を格納するものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。

エ.(相違点4)について
下記(ア)?(オ)の事情を勘案すると、引用例記載発明において、「メタデータ」として、「キーワードと前記複数の異種データファイルにおいて前記すべてのキーワードがいずれの前記複数の異種データファイルに設定されているかを示す所在情報」をもデータベースに格納するようにすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)検索対象に設定されたキーワードにより検索対象を検索可能としたものにおいて、「各キーワードがいずれの検索対象に設定されているかを示す所在情報」は、いわゆる「インバーテドファイル」として、拒絶査定に引用された特開平8-221443号公報にも示されるように周知である。
(イ)引用例記載発明も、検索対象としての異種データファイルに設定されたキーワードにより、検索対象である異種データファイルを検索可能としたものであり、上記「インバーテドファイル」に相当するものを設けることが有用な場合があることは、当業者に自明である。また、その際、一部のキーワードを検索キーとしないようにすべき理由はないから、上記「インバーテドファイル」に相当するものは「すべてのキーワード」に対応したものとするのが普通である。そして、以上のことは、引用例記載発明に、本願発明の「所在情報」に相当するものを持たせることが当業者にとって容易であったことを意味している。
(ウ)引用例記載発明に、上記のように本願発明の「所在情報」に相当するものを持たせることができない理由はない。
(エ)上記「所在情報」に相当するものは、検索対象である実データ(バルクデータ)を補足する情報の一種であるということができ「メタデータ」とも呼び得るものであるから、引用例記載発明に該「所在情報」に相当するものを持たせる場合には、引用例記載発明が具備する「メタデータを格納するデータベース」に格納するのが自然である。
(オ)上記ア.に従って、キーワードに数値情報を対応付けるようにする場合に、キーワード自体をどこかに格納する必要があることは自明であるし、該キーワードも検索対象である実データ(バルクデータ)を補足する情報の一種であるということができ「メタデータ」とも呼び得るものであるから、該キーワードについても、引用例記載発明が具備する「メタデータを格納するデータベース」に格納するようにすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例の記載事項等から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例記載発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-26 
結審通知日 2011-02-01 
審決日 2011-02-15 
出願番号 特願平9-134815
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 秀人  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 池田 聡史
長島 孝志
発明の名称 データ管理装置  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
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