• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1234791
審判番号 不服2009-23472  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-30 
確定日 2011-03-28 
事件の表示 特願2000-548060「銃型コントローラ及びゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月18日国際公開、WO99/58214〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯及び本願発明
本願は,1999年5月13日(優先権主張1998年5月13日,同年10月8日,1999年3月26日,日本国)を国際出願日とする出願であって,平成21年8月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年11月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

そして,その請求項1に係る発明は,平成21年6月12日付け手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
モニタ画面上に表示されるゲーム展開を制御する電子ゲーム装置とともに使用され、プレイヤが前記モニタ画面に先端を向けて狙撃操作をするように構成された銃型コントローラであって、
銃身部と、
前記プレイヤが片手で握ることができるように前記銃身部の後部に形成されたグリップ部であって、前記銃身部の長手方向に対し交差する方向に配置され、先端部が該グリップ部を握るプレイヤに近づく方向に傾斜して設けられたグリップ部と、
前記グリップ部を握る前記プレイヤの片手の人指し指で操作される位置に配置され引く操作に応じてレバーが回動可能に構成されたトリガレバーであって、人差し指でレバーを引く操作に応じて弾丸を発射する操作が仮想的に行われるように構成されたトリガレバーと、
前記銃身部の後部と前記グリップ部の間に前記銃身部の長手方向に対し角度をもって傾斜して設けられた操作面であって、前記角度が前記グリップ部を握る前記プレイヤの手の上向きに傾いて位置する親指と前記操作面が略並行になるように設けられた操作面と、
前記角度の傾斜をもって前記操作面に沿って配置され、かつ、前記電子ゲーム装置に方向指示信号を供給する方向キーと、
を備え、
前記プレイヤが一方の手で前記グリップ部を握り、前記銃身部の先端を前記モニタ画面に向け該モニタ画面の前方空間で移動可能に前記一方の手で前記銃型コントローラを保持した状態で、前記一方の手の人差し指で前記トリガレバーを引く操作をし、前記一方の手の親指で前記傾斜した操作面に配置された前記方向キーを操作し、前記銃型コントローラの保持、前記トリガレバーへの操作及び前記方向キーへの操作は、他方の手を使うことなく前記一方の手のみで、必要に応じ補助的に他方の手で銃身の前部を保持して保持状態の安定を図りながら、行われる構成となっており、
前記トリガレバーを前記一方の手の人差し指で操作して前記モニタ画面に向かって狙撃操作を行いながら当該手の親指で前記方向キーを操作したときに生成される前記方向指示信号は、前記電子ゲーム装置により、前記モニタ画面に表示された表示体を移動させる制御に用いられるものである、
銃型コントローラ。」
(以下,「本願発明」という。)

第2.引用刊行物に記載された発明
刊行物1:特許第2686675号公報
刊行物2:特開平5-172495号公報
刊行物3:実公平7-22312号公報

(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された上記刊行物1には,図面とともに,以下の記載がある。
(1a)「本発明は、ガン模型を筐体から離してプレイヤが手に持ってゲームを行うガンゲーム機、特に、あたかもガン模型に弾丸を装填するという動作を実現するための仮想弾丸装填装置に関する。」(2欄10?13行)

(1b)「・・・第1図に示したCRT1及びコンピュータ7は第3図に示したゲーム機の筐体2の内部に設置され、ガン模型5内の各種電気機器とコンピュータ7とが電気通信線8によって結ばれている。コンピュータ7は、CPU9、入力インターフェース10、出力インターフェース11及びメモリ12によって周知の通りに構成されている。
ガン模型5は、実際のガンを模して握り部13及び銃身部14によって構成され、握り部13内には次の各要素、すなわち、好ましくは弾倉の形状を模して作られた進退部材15と、例えばマイクロスイッチによって構成された装填検知センサ16と、その進退部材保持装置17とが収納されている。・・・」(5欄8?19行)

(1c)「銃身部14内には、マイクロスイッチによって構成されたトリガ検知センサ25が配置され、トリガレバー6が矢印A方向へ引かれたときにそのトリガ検知センサ25がオンとなる。銃身部14の先端には光センサ26が固着され、CRT1に映し出される狙撃目標をこの光センサによって検知する。」(5欄36?41行)

(1d)「第1図において、コンピュータ7内のメモリ12に記憶されたゲーム内容に従って、CRT1上にラスター走査によってそのゲーム内容が映像として移し出される。そのゲーム内容の中には狙撃目標が含まれる。プレイヤは、その狙撃目標を狙ってガン模型5の先端を向けてトリガレバー6を引く。トリガレバー6を引くと、CRT1は着弾位置を検出するために瞬間的にホワイト画面となる。すなわち、CRT1は瞬間的にフラッシュする。このホワイト画面はCRT1の左上隅を始点とするラスター走査によって実現されるので、光センサ26が向いているCRT1上の座標位置にラスター光が出現すると、その光を光センサ26が検知し、このときのラスター走査のX-Y座標を読み取ることにより、光センサ26が向いている位置、すなわちガン模型5の着弾位置が座標位置として検出される。CPU9は、この着弾位置が狙撃目標と一致するか否かを判断し、一致すれば命中用のゲーム演出、例えばゲーム得点の加算をし、一致しなければ狙撃目標が正確に撃たれなかったものと判断して外れ用のゲーム演出を行う。」(5欄44行?6欄11行)

(1e)第1図及び第2図には,握り部13が銃身部14の後部に形成され,銃身部14の長手方向に対し交差する方向に配置され,その先端部が握り部13を握るプレイヤに近づく方向に傾斜して設けられている点,及びトリガレバー6が回動可能に構成されている点がそれぞれ開示されている。

以上の記載事項(1a)?(1e)及び図面から見て,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

「CRT及びコンピュータが内部に設置されたゲーム機の筺体から離してプレイヤが手に持ってガンゲームを行うガン模型であって,
銃身部と,
銃身部の後部に形成され,銃身部の長手方向に対し交差する方向に配置され,先端部が握り部を握るプレイヤに近づく方向に傾斜して設けられた握り部と,
レバーを引く操作に応じてレバーが回動可能に構成され,目標に対して狙撃したこととなるトリガレバーと,
を備えるガン模型。」

(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された上記刊行物2には,図面とともに,以下の記載がある。
(2a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、命中したか否かを銃本体側で判断し得る光線銃玩具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ光等の光線を発射する光線銃玩具を用いて行う射撃ゲームが知られている。このような従来の射撃ゲームではスクリーン等に標的を設定し、光線銃から発射した光線が標的に命中したときに、これをスクリーン側で検出して命中音を放音し、若しくは複数個の発光素子を各種態様で発光させるようにしている。」

(2b)「【0010】次に、図3及び図4を参照して光線銃7を説明する。銃身25には引き金26が設けられている。また、銃身25の後部下側には把持部27が一体に設けられ、銃身25の先端部には銃口29が開口され、銃口29の下側には受光窓30が設けられている。また、銃身25の上部には照準装置17が設けられている。照準装置17の表示画面31には、X軸線33とY軸線35が表示されている。このX軸線33とY軸線35は互いに直交し、その中心部で標的3a,3b,…を狙い定めるためのものである。また、照準装置17の手前側にはゲームモードを切り替えるための切替スイッチ37と、射撃の結果に関する情報を表示させるためのスイッチ39と、上記X軸線33及びY軸線35の位置を調整するための調整スイッチ41とが配置されている。切替スイッチ37を押下する毎にゲームモードが「マニュアルモード」、「ゲームモードG1」、「ゲームモードG2」、「マニュアルモード」…へ順次切り替わる。
【0011】次に、図5及び図6を参照して照準装置17の表示画面31を詳細に説明する。表示画面31は液晶表示体で成り、その中央部には光透過性のスコープ部42が形成され、スコープ部42の周辺部には反射型の表示部が設けられている。このスコープ部42にはX軸線33と、当該X軸線33に平行な複数のX軸線(図示せず)が形成されると共に、Y軸線35と、当該Y軸線35に平行な複数のY軸線(図示せず)が形成され、上記調整スイッチ41によって選択的に表示される。すなわち、調整スイッチ41の操作部41Nを操作する毎に、複数のX軸線の内、上方向に位置するX軸線を順次表示させることができる。この結果、X軸線33を上方向へ移動させることができる。同様に、操作部41Sを操作すると、X軸線33を下方向へ移動させることができる。また、操作部41Eを操作すると、Y軸線35を右方向へ移動させることができ、操作部41Wを操作すると、Y軸線35を左方向へ移動させることができる。また、スコープ部42は光透過性の液晶表示体によって形成されているので、X軸線33とY軸線35とが直交する中心部へ標的が位置するように当該標的を狙い定めることができる。・・・」

以上の記載事項(2a),(2b)及び図面から見て,刊行物2には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「刊行物2記載の発明」という。)

「引き金が設けられた銃身と,
銃身の後部下側に一体に設けられた把持部と,
銃身の上部に設けられた照準装置の手前側に設けられ,照準装置の表示画面に表示されたX軸線を上下方向に,Y軸線を左右方向に移動させて位置を調整する調整スイッチと,を備えた光線銃玩具。」

(3)刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された上記刊行物3には,図面とともに,以下の記載がある。
(3a)「【請求項1】操作機をカーソル機とトリガー機とに別体に分割して構成し、このカーソル機とトリガー機を連結基板に嵌着自在かつ転動自在に保持するため、連結基板の左右側縁に、略半円形状の凹欠部を左右対称形状に形成し、前記カーソル機とトリガー機とには、該凹欠部に係合するスライド嵌入部を形成し、かつカーソル機とトリガー機とにグリップ部を形成したことを特徴とするテレビゲーム機用コントローラー。」

(3b)「【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、各種ゲームソフトを利用してテレビ画面上でゲーム等を楽しむテレビゲーム機のコントローラーに関し、さらに詳しくはコントローラーの操作機(カーソル機とトリガー機とよりなる)の操作性を向上させたテレビゲーム機用コントローラーに関する。」

(3c)「【0007】
・・・図において符号1はカーソル機、2はトリガー機であり、3は薄板状を呈する適宜形状の連結基板であり、これらは通常ABS樹脂等で形成される。カーソル機1とトリガー機2の下部には、操作者が把持するのに便利なグリップ部4a、4bが形成されている。
【0008】また連結基板の左右側縁には、略半円形状の凹欠部5a、5bを左右対称状に形成している。さらにカーソル機1とトリガー機2の適所には、適宜形状のスライド嵌入部6a、6bが形成されており、このスライド嵌入部6a、6bを前記凹欠部5a、5bに押圧して嵌入させると、スライド嵌入部6a、6bは凹欠部5a、5bの弾発力で適度の摩擦力を有しながら係合保持される。・・・」

(3d)「【0010】カーソル機1の十字キー7は、画面上のカーソルを4方向(又は8方向)に移動させる際に使用されるキーであり、トリガー機2のスタートボタン8はゲームの開始時に押し込んでON状態とするもので、セレクトボタン9はゲーム上の選択肢を決定する際に使用するものである。 さらに符号10はトリガーボタン、11は速射ボタン、12a、12bも操作機の裏面側に設けたトリガーボタンであって、ゲームソフトの種類によって随時使用されるものである。また符号13はコードである。」

(3e)本発明が両手でそれぞれのグリップ部を握って使用するゲーム機用コントローラーであることを考慮すると,カーソル機1を使用する際は,グリップ部4aを握った状態で人差し指でトリガーボタン12aを操作し,親指で十字キー7を操作することは,自明の事項である。

以上の記載事項(3a)?(3e)及び図面から見て,刊行物3には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「刊行物3記載の発明」という。)

「下部に操作者が把持するグリップ部を形成した操作機に,画面上のカーソルを4方向に移動させる際に使用される十字キーを設け,操作機の裏面側にトリガーボタンを設けたテレビゲーム機用コントローラーのカーソル機であって,
グリップ部を握った状態で人差し指でトリガーボタンを操作し,親指で十字キーを操作するカーソル機。」

第3.対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「CRT」が,本願発明の「モニタ画面」に相当し,以下同様に,「ゲーム機」が「電子ゲーム装置」に,「ガン模型」が「銃型コントローラ」に,「握り部」が「グリップ部」に,それぞれ相当する。
また,刊行物1記載の発明のトリガレバーも,一般的な銃あるいは銃型コントローラの握り方を考慮すると,グリップ部を握るプレイヤの片手の人差し指で操作される位置に配置されていることは,自明の事項である。

よって,両者は,
「モニタ画面上に表示されるゲーム展開を制御する電子ゲーム装置とともに使用され,プレイヤが前記モニタ画面に先端を向けて狙撃操作をするように構成された銃型コントローラであって,
銃身部と,
前記プレイヤが片手で握ることができるように前記銃身部の後部に形成されたグリップ部であって,前記銃身部の長手方向に対し交差する方向に配置され,先端部が該グリップ部を握るプレイヤに近づく方向に傾斜して設けられたグリップ部と,
前記グリップ部を握る前記プレイヤの片手の人指し指で操作される位置に配置され引く操作に応じてレバーが回動可能に構成されたトリガレバーであって,人差し指でレバーを引く操作に応じて弾丸を発射する操作が仮想的に行われるように構成されたトリガレバーと,
を備えた銃型コントローラ。」
である点で一致し,以下の点で相違している。

(相違点)
本願発明は,銃身部の後部とグリップ部の間に,銃身部の長手方向に対しグリップ部を握るプレイヤの手の上向きに傾いて位置する親指と操作面が略並行になるよう角度をもって傾斜して設けられた操作面と,前記操作面に沿って配置され,かつ,電子ゲーム装置によりモニタ画面に表示された表示体を移動させる制御に用いられる方向指示信号を供給する方向キーとを備え,銃型コントローラの保持,トリガレバーへの操作及び方向キーへの操作を,プレイヤが一方の手のみで行われる構成となっているのに対し,刊行物1記載の発明は,方向キーを有していない点。

第4.判断
上記相違点について検討する。
刊行物3には,グリップ部を握った状態で人差し指でトリガーボタンを操作し,親指で十字キーを操作するカーソル機が開示されており,これによると,プレイヤが当該カーソル機を保持した状態で,他方の手を使うことなく一方の手のみで,トリガーボタンと十字キーを操作することができるものである。そして,このように使用する以上,十字キーが設けられた操作機の操作面は,プレイヤの手の上向きに傾いて位置する親指と略並行となるように設けられていることは自明の事項であり,仮にそうでなかったとしても,操作面の角度を,プレイヤの操作の利便性を考慮して親指と略並行となるようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
また,刊行物3記載の発明における十字キーは画面上のカーソルを4方向に移動させる際に使用されるものである点で,本願発明の方向キーと同一である。
以上により,銃型ではないものの,コントローラに本願発明の方向キーとトリガレバーに相当する操作部を備えることは公知の技術であると言える。
そして,刊行物2記載の発明として開示されているように,銃型玩具において,引き金(本願発明のトリガレバーに相当)以外の操作部を設けることが知られていることから考えて,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の発明を適用して,銃型コントローラに方向キーを設け,操作面及び方向キーを銃身部の後部とグリップ部の間に,銃身部の長手方向に対して角度をもって配置すること,及び方向キーにモニタ画面の表示体を移動させる制御に用いる機能をもたせることは,当業者が容易になし得たことである。
そして,刊行物1記載の発明に刊行物2及び3記載の発明を適用して,操作面及び方向キーを銃身部の長手方向に対して角度をもって設けることにより,プレイヤが一方の手でグリップ部を握り,銃身部の先端をモニタ画面に向け該モニタ画面の前方空間で移動可能に一方の手で前記銃型コントローラを保持した状態で,一方の手の人差し指で前記トリガレバーを引く操作をし,一方の手の親指で傾斜した操作面に配置された方向キーを操作し,銃型コントローラの保持,トリガレバーへの操作及び方向キーへの操作を他方の手を使うことなく一方の手のみで行われる構成となることは,当然に導き出せる事項にすぎない。

第5.むすび
したがって,本願発明は,刊行物1?3記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本件は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-31 
結審通知日 2011-02-01 
審決日 2011-02-15 
出願番号 特願2000-548060(P2000-548060)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植田 泰輝  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 草野 顕子
宮崎 恭
発明の名称 銃型コントローラ及びゲーム装置  
代理人 田中 克郎  
代理人 稲葉 良幸  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ