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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A63F
管理番号 1235133
審判番号 無効2009-800241  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-11-30 
確定日 2011-02-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3062193号発明「遊技機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第一.手続の経緯
本件に関する主立った経緯を箇条書きにすると次のとおりである。
・平成10年 6月 4日:特願平10-172177号出願(先の出願)
・平成10年 6月17日:特願平10-186855号出願
(先の出願に基づく優先権を主張した原出願)
・平成11年 9月16日:本件出願(特願平11-261847号、
原出願の分割出願)
・平成12年 4月28日:特許第3062193号として設定登録
(請求項数9)
・平成13年 1月10日:特許異議申立(異議2001-70073号)
・平成14年 2月 8日:取消理由通知
・平成14年 4月22日:訂正請求(請求項数9)
・平成14年 6月28日:異議決定(訂正を認め、特許維持)
・平成21年11月30日:本件無効審判請求
・平成22年 3月 5日:被請求人より答弁書及び訂正請求書提出
(請求項数7)
・平成22年 9月 9日:被請求人より口頭審理陳述要領書提出
・平成22年 9月14日:審理事項通知書
・平成22年 9月15日:請求人より口頭審理陳述要領書提出
(書面には平成22年9月29日の日付が記載されている。)
・平成22年 9月29日:口頭審理
・平成22年10月28日:請求人より上申書提出
・平成22年10月29日:被請求人より上申書提出

第二.平成22年3月5日付けの訂正請求について
1.はじめに
この審決においては、平成22年3月5日付けの訂正請求(以下「本件訂正」という。)に係る明細書及び図面並びに特許請求の範囲の請求項について、それぞれ「訂正後明細書等」並びに「訂正後請求項」と記載し、平成14年4月22日付けの訂正請求に係る明細書及び図面並びに特許請求の範囲の請求項については「訂正前明細書等」並びに「訂正前請求項」と記載することとする。
さらに、訂正後請求項1に係る発明及び訂正前請求項1に係る発明をそれぞれ「本件訂正発明1」及び「訂正前発明1」と記載し、訂正後請求項2?7に係る発明及び訂正前請求項2?9に係る発明についても同様に記載する。
また、遊技機の分野における通常の知識を有する者のことを「当業者」ということとする。

2.訂正請求の内容
本件訂正は、訂正前明細書等を、平成22年3月5日付け訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである。(下線部は訂正により追加又は変更された箇所、■は訂正により削除された箇所を示す。)

・訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】を以下のとおり訂正する。
「【請求項1】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成されることを特徴とする遊技機。」

・訂正事項b
特許請求の範囲の【請求項2】を以下のとおり訂正する。
「【請求項2】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルと、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成されることを特徴とする遊技機。」

・訂正事項c
特許請求の範囲の【請求項8】を削除する。

・訂正事項d
特許請求の範囲の【請求項9】を削除する。

・訂正事項e
訂正前明細書等の段落【0009】を以下のとおり訂正する。
「 【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される報知情報が、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備え、遊技機を構成した。」

・訂正事項f
訂正前明細書等の段落【0012】を以下のとおり訂正する。
「 また、本発明は、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルを備え、告知手段は、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される報知情報が、テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知することを特徴とする。」

・訂正事項g
訂正前明細書等の段落【0013】を以下のとおり訂正する。
「 本構成によれば、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される報知情報が、テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、告知手段によって特定入賞態様発生の内部抽選結果が遊技者に告知される。テーブルには、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報が予め記憶されているため、特定の入賞態様が100%より小さい確率で報知される場合■には、告知手段によってその内部抽選結果は告知されない。従って、遊技者は、特定入賞態様発生の内部抽選結果が告知手段によって告知されていない場合にも、報知される報知情報によって特定入賞態様発生の内部抽選結果を知ることが出来る。」

3.本件訂正に関する請求人の主張
平成22年9月15日提出の口頭審理陳述要領書(以下「陳述要領書」という。)における、本件訂正に関する請求人の主張の概要は次のとおりである(陳述要領書2?5頁)。
訂正事項b、f、gについては、訂正を争い、その他の訂正については訂正を認める。
訂正後請求項2の記載において「100%の確率で遊技者に報知する」とある部分は、「必ず報知する」との意味であるから、訂正後請求項2の「特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルと、」は、「特定の入賞態様が決定されていることを必ず報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルと、」となる。
ところが、訂正後請求項2には、上記の記載に先立って「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で報知する」と記載されており、一方で「100%の確率で遊技者に報知する」と記載し、他方で「所定確率で報知する」と記載しており矛盾があるから、いずれか一方の記載が誤っている。
発明の詳細な説明の段落【0065】には「RB内部当たり中またはBB内部当たり中にRBまたはBBフラグ当選の予兆報知が行われる確率も、同様に予め0?100%のいずれかの所定値に定められている。」とあり、訂正後請求項2の「所定確率で報知する」との記載が合致する。
更に、発明の詳細な説明には、訂正後請求項2の「特定の入賞態様が決定されていることを必ず報知する複数の報知情報」は存在しない。
その上で、上記【0065】には「RB内部当たり中またはBB内部当たり中にRBまたはBBフラグ当選の予兆報知が100%の確率で行われる11種類の確定パターン」と記載されているが、その「100%の確率」は、「特定の報知情報が所定の確率で報知されたときには特定の入賞態様が決定されている確率」であって「特定の入賞態様が決定されたときに報知が実行される確率」ではない。(審判請求書24、25頁の記載内容と同じ。)
一方、訂正後請求項2の「100%の確率」は、「特定の入賞態様が決定されたときに報知が実行される確率」となっているから、訂正事項bは、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内での訂正ではないので、特許法第126条第5項に違反し、訂正が認められない。
そして、この訂正事項bに関連した訂正事項f、gの訂正も認められない。

4.本件訂正の適否の判断
(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、訂正前請求項1の「前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に」を、「前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に」と下線部を追加する訂正であり、告知手段による告知条件を限定するものである。
また、訂正前明細書等の段落【0058】?【0067】、【図28】?【図31】及び【図33】の記載から、遊技開始音、リールランプ消灯パターン及びリールランプ点滅パターンの組合せからなる「報知情報」(報知される可能性のある複数の報知情報)が、【図33】記載の11種類の確定パターン(特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報)以外にも複数あることが分かるので、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項bについて
訂正事項bは、訂正前請求項2を、訂正前請求項1を引用する従属項から独立項とするため、訂正前請求項1の「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、」という構成を加入する訂正と、訂正前請求項2の「前記報知手段によって報知される報知情報が前記入賞態様決定手段で決定された特定の入賞態様に対応した報知情報であって100%の確率で遊技者に報知される予め定められた報知情報であることを条件に」を、「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルと、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に」と下線部のように変更する訂正とを含んでいる。
そして、前者の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかである。
また、後者の訂正は、告知手段による告知条件について、「テーブル」の構成を加入することにより具体化するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
さらに、訂正前明細書等の段落【0058】?【0067】、【図28】?【図31】及び【図33】の記載から、遊技開始音、リールランプ消灯パターン及びリールランプ点滅パターンの組合せからなる「報知情報」(報知される可能性のある複数の報知情報)が、【図33】記載の11種類の確定パターン(特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報)以外にも複数あること、及び前記11種類の確定パターンのテーブル(テーブル)がROM32の所定領域に予め記憶されていることが分かり、同段落【0103】、【0104】、【図33】及び【図40】の記載から、今回の遊技における遊技開始音、リールランプ消灯パターン及びリールランプ点滅パターンの組合せ(報知される前記報知情報)が、いずれかの確定パターンに一致する場合に(前記テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に)、告知ランプ25(告知手段)が点灯制御される(告知する)ことが分かるので、訂正事項bは、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

請求人は、訂正後請求項2の記載において「100%の確率で遊技者に報知する」とある部分は、「必ず遊技者に報知する」との意味であると解釈して、訂正事項bは訂正前明細書等に記載した事項の範囲内の訂正でないという主張を展開している(陳述要領書2?5頁)。
しかし、「100%の確率で遊技者に報知する」とある部分を「必ず遊技者に報知する」という意味であると解釈すれば、請求人も述べているように、同じ請求項の一方で「必ず遊技者に報知する」と記載しながら、他方で「所定確率で遊技者に報知する」と記載していることになって矛盾が生じるのであるから、明細書及び図面の記載を考慮して「100%の確率」の意味を解釈すべきである。
そこで、明細書及び図面の記載を考慮すれば、「100%の確率」とは、「特定の報知情報が所定の確率で報知された時には特定の入賞態様が決定されている確率が100%」という意味であると認められる(このように解釈できることについては、陳述要領書4頁中段の請求人の主張及び第1回口頭審理調書における被請求人の陳述事項2から見ても妥当と考えられる)。
そして、そのように解釈すれば、訂正事項bは訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正となることが明らかである。

(3)訂正事項c及びdについて
訂正事項c及びdは、それぞれ、訂正前請求項8及び9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかである。

(4)訂正事項e?gについて
訂正事項e?gは、訂正後請求項と発明の詳細な説明の記載が整合するように、訂正前明細書等の段落【0009】【0012】及び【0013】の記載を訂正するものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(1)(2)で述べたとおり、訂正事項a及びbは、いずれも訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項e?gも、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正事項a?gは、いずれも特許請求の範囲の減縮又は明りようでない記載の釈明を目的としており、かつ、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、本件訂正は、特許法134条の2ただし書き、及び同条第5項において準用する同法126条3項、4項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

第三.当事者の主張(本件訂正に関するものを除く)
1.請求人の主張
(1)請求人が提出した書証
請求人は、平成21年11月30日付けの審判請求書において、本件特許は特許法123条1項4号又は同項2号により無効とすべきであると主張し、証拠方法として甲第1号証?甲第7号証を提出し(同書13?24頁、7-3-3及び52頁、8)、また、陳述要領書において、甲第8号証を提出している(同書17頁下段及び25頁、7)。
以下、この審決においては「甲第1号証」を「甲1」と記載し、「甲第2号証」等についても同様に記載することとする。

【平成21年11月30日付けの審判請求書に添付】
甲1:特開平8-117390号公報
甲2:パチスロ攻略マガジン(1998年6月号、平成10年6月1日発行、株式会社双葉社)4,5,10?15頁)
甲3:パチスロ必勝ガイド(1993年4月号、平成5年4月1日発行、株式会社白夜書房)6?9頁
甲4:特公平5-80235号公報
甲5:特開昭59-186580号公報
甲6:特許第3062193号公報
甲7:異議2001-70073号 異議の決定
【平成22年9月15日提出の口頭審理陳述要領書に添付】
甲8:パチスロ必勝ガイド(1998年8月号、平成10年8月1日発行、株式会社白夜書房)123?125頁

(2)特許法36条6項1、2号違反
(2-1)訂正前請求項2(審判請求書24?25頁、7-4-1-1)
訂正前請求項2には「特定の入賞態様に対応した報知情報であって100%の確率で遊技者に報知される予め定められた報知情報」と記載されており、実施の形態に合わせると、BB当選に対応した報知情報を、予め定められた報知情報である報知Aとすると、前記文章は、「報知Aは必ず報知される」と読める。
しかし、発明の詳細な説明では段落【0065】に記載されているように、特定の報知に関して、「報知が行われたら100%正しい報知(ガセの報知が全くない)」の存在に関しての記載はあるものの、「特定の入賞態様になったときに必ず報知される報知」についての記載はない。
したがって、請求項2記載の発明は、特許法36条6項1号に違反し、同法123条1項4号の規定により無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由1」という。

(2-2)訂正前請求項7(審判請求書25?27頁、7-4-1-2)
訂正前請求項7には「大当たりまたは中当たり内部入賞態様」と記載されており、段落【0065】の記載によれば、「大当たり」は「大ヒット」に対応し、かつ「BB」当選、「中当たり」は「中ヒット」に対応し、かつ「RB」当選のようである。
しかし、本件特許と同一出願人の出願である甲1では、「大ヒット」が「BB」当選、「中ヒット」が「NB」当選であり、本件特許と同一出願人の出願である甲5では、「大ヒット」が15枚のメダル支払いの後ボーナスゲームができるようになるもの、「中ヒット」が10?15枚のメダル支払いのある当選である。
すなわち、「大当たり」「中当たり」は、同一出願人の間でも異なった概念として発明の詳細な説明に記載されている事項であるから、この概念が確定していない「大当たり」「中当たり」を記載している訂正前請求項7は不明確である。
したがって、請求項7記載の発明は、特許法36条6項2号に違反し、同法123条1項4号の規定により無効とされるべきである。
以下、この無効理由を「無効理由2」という。

(2-3)特許法36条に関する判決及び基準(陳述要領書5?6頁、6-2)
平成13年(行ケ)346号判決では「・・・特許請求の範囲の記載は,できる限り,それ自体で,特許出願に係る発明の技術的範囲が明確になるように記載されるべきであり,・・・特許法施行規則24条様式29備考7,8は,・・・特許請求の範囲の記載について,殊更に,不明確あるいは不明りょうな用語を使用したり,特許請求の範囲で明らかにできるものを発明の詳細な説明に記載するにとどめたりして,特許請求の範囲の記載内容をそれ自体では不明確なものにしてもよい,との趣旨を規定したものでないことは明らかである。」と判示しており、特許庁の審査基準にも掲載されている判決である。
請求人が特許請求の範囲が不明確であると指摘しているのは、審査基準に則った主張である。

(2-4)訂正前請求項8(審判請求書27?28頁、7-4-1-3)
本件訂正により訂正前請求項8は削除されたので省略する。

(2-5)訂正前請求項9(審判請求書28?30頁、7-4-1-4)
本件訂正により訂正前請求項9は削除されたので省略する。

(3)特許法29条2項違反(陳述要領書7?22頁)
本件訂正発明1と甲1(特開平8-117390号公報)に記載された発明(以下「甲1発明」という。)を対比すると以下の点で相違する。
<相違点1>(8頁)
本件訂正発明1の「報知手段」は、ハズレも含む入賞態様に応じたフラグに対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知するのに対し、甲1発明の「報知情報」は、内部的当選役(ハズレを除く入賞態様)の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たりやすい状態であるかを遊技者に知らせる点。

<相違点2>(10頁)
本件訂正発明1は「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成される」のに対し、甲1発明はそのような告知手段に相当する手段を備えていない点。

<相違点1について>(9?10頁、6-5-1)
甲2(パチスロ攻略マガジン1998年6月号)の13頁には、
・ボーナス未成立のハズレ、スイカ、2or4枚チェリー、リプレイ及びベル
・ボーナス成立のハズレ、スイカ、2or4枚チェリー、リプレイ及びベル
・BIG当選プレイ
・REG当選プレイ
と、分けて演出テーブルが記載され、しかも各演出テーブルには、予告音、消灯、フラッシュのいずれも行われない場合の記載があるので、「所定確率で報知する」ことが記載されている。
更には、ハズレも含む各入賞役に対応した報知情報が記載されており、少なくとも、「ハズレ」の報知情報を含め、「入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する」ことが行われている。
したがって、相違点1は、甲2に記載されているか、あるいは甲2から容易に想定できる事項である。

<相違点2について>(10?21頁、6-5-2)
・「条件に」についての検討(10?13頁)
相違点2における「入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成される」の「条件に」について検討する。
ここで、「特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報」をA、「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知」をBとすると、前記文章は「Aの存在を条件にBを行う」となる(当審注:「Aの存在を条件にBを告知する」とあるが、Bは告知を含んでいるので「告知する」は「行う」とした)。
そして、「Aの存在=Bを行う」であるためには、「Aの存在を必要十分条件にBを行う」又は「Aの存在のみを条件にBを行う」等と記載する必要がある。
しかし、本件訂正ではこのような限定は行われていないから、本件訂正発明1は、Aの存在があったときにBを行う、Aの存在が無くともBを行うことがある、Aの存在があったとしてもBを行わないこともある、のいずれの関係も包含するものである。

・「サンダーV」の演出(13?17頁)
甲2(パチスロ攻略マガジン1998年6月号)の11?15頁に記載の「サンダーV」には、ボーナス成立時のみにしか行われない演出として下記の演出がある(便宜上、ボーナス成立は「B成立」、2or4枚チェリーは「2or4枚C」、丸付き数字は「○1」等と表記する。)。
B成立・ハズレ時 :予告音あり/消灯AB /フラッシュ○5
B成立・スイカ時 :予告音あり/消灯なし /フラッシュ○5
B成立・スイカ時 :予告音あり/消灯ABC/フラッシュ○3
B成立・2or4枚C時:予告音あり/消灯ABC/フラッシュ○1
B成立・リプレイ時:予告音なし/消灯ABC/フラッシュ○6
B成立・リプレイ時:予告音あり/消灯A /フラッシュ○2
B成立・ベル時 :予告音なし/消灯ABC/フラッシュ○2
B成立・ベル時 :予告音あり/消灯AB /フラッシュ○2
B成立・ベル時 :予告音あり/消灯ABC/フラッシュ○2
一方、甲2の12頁中左の「稲妻コラム○1」及び13頁右下の「稲妻コラム○2」の記載によれば、「トリプルテンパイ」はBIG内部中に限って出現する図柄組合せであるから、「サンダーV」は「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様(BB)が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様(BB)が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報(ボーナス成立時のみにしか行われない演出)であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様(トリプルテンパイ)で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成される」ものといえる。
よって、相違点2は甲2に全て記載されている。

・「ピカゴロウ」の演出(17?19頁)
甲2の5頁には「ピカゴロウ」について、「最終リールのボタンを押し、指を離した瞬間、リール上部に付いている12個のランプに光が走るのだ」と記載され、「逆に「○10○11○12」で停止した場合は、BIG確定となるのだ。」と記載されている。
この「ピカゴロウ」に関して掲載している甲8(パチスロ必勝ガイド1998年8月号)の125頁右上には「実戦から判明したお熱いリーチ目」として「ちなみに、ボーナスの一直線型は全て鉄板だぞ。」と記載されている。
これらの記載から、ボーナスフラグが成立した後の遊技において、鉄板リーチ目が出たら、必ずランプが点灯することとなるので、「ピカゴロウ」は「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様(ボーナス)が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報(リーチ目)が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報(リーチ目)のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報(鉄板リーチ目)であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様(ランプの点灯)で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成される」ものといえる。
また、ランプに注目すると、ボーナスフラグが成立した後の遊技において、3種類のランプ点灯のうち高速フラッシュが選択されると必ず「○10○11○12」で停止することとなるので、「ピカゴロウ」は「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様(ボーナス)が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報(ランプ点灯)が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報(3種類のランプ点灯)のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報(高速フラッシュ)であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様(ランプが「○10○11○12」で停止)で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成される」ものといえる。
よって、相違点2は甲2の「ピカゴロウ」に全て記載されている。

・「チェリーバー」の演出(19?21頁)
甲3(パチスロ必勝ガイド1993年4月号)の8頁の記載から「チェリーバー」には、ビッグボーナスフラグ成立時にリールの「フラッシュ」が起こり、さらにその後「WIN METER」と書かれたランプが点灯することが分かるから、「チェリーバー」は「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された(ビッグボーナスのフラグが立つ)後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報(リーチ目あるいはフラッシュ)のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報(フラッシュ)であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する(WIN METER)告知手段とを備えて構成される」ものといえる。
よって、相違点2は甲3に全て記載されている。

・結論(21頁)
いずれにしても、相違点2は、甲2あるいは甲3に記載されている事項であり、甲1と組み合わせることに困難性がないので、請求項1、2は無効とされるべきである。
なお、請求項3?7に記載の発明に無効理由があることは、無効審判請求書で主張してある。
以下、この無効理由を「無効理由3」という。

なお、訂正前発明1?9の無効理由に関する、審判請求書30?51頁、7-4-2の主張については省略する。

2.被請求人の主張
(1)無効理由1に対して(答弁書5?6頁、7-4-1-1)
本件訂正により、訂正前請求項2の「特定の入賞態様に対応した報知情報であって100%の確率で遊技者に報知される予め定められた報知情報」を「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブル」としたことから、特許法36条6項1号に違反は解消した。

(2)無効理由2に対して(答弁書6頁、7-4-1-2)
訂正後請求項7の「大当たり」「中当たり」の記載は、段落【0053】に記載されているように明確であり、請求人の主張は失当である。

(3)無効理由3に対して
被請求人は、答弁書6?10頁において、請求人による甲1発明の認定誤り等を指摘し、本件訂正発明1と甲1発明との相違点について見解を示しているが、その後当合議体が審理事項通知書で示した本件訂正発明1と甲1発明との相違点1及び2に対して、反対・追加の意見はないと回答しているので(平成22年9月9日付け口頭審理陳述要領書)、答弁書6?10頁の主張及び見解は省略する。
そして、被請求人は、答弁書の10?15頁及び平成22年10月29日付け上申書の3?6頁において、相違点2に関する請求人の主張に反論しているので、その概要を以下に示す。

・「条件に」について(上申書3頁)
本件訂正発明1の告知手段は、「複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報である」場合にのみ「特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」ものであり、その他の場合に特定の入賞態様が決定されたことを告知する構成ではない。
これは、訂正後明細書等の図40、段落【0103】?【0106】等の記載から自明である。

・「サンダーV」について(上申書3?4頁)
請求人の主張する告知手段(トリプルテンパイ)が告知する条件について、甲2には成立プレイ以外であること(12頁の「稲妻コラム○1」)及び小役成立時以外に所定のタイミングで停止操作を行うこと(13頁の「稲妻コラム○2」)のみが記載されているにすぎない。そのため、甲2からはトリプルテンパイがボーナス成立時のみにしか行われない演出とは全く無関係に出現するとしか認定できない。

・「ピカゴロウ」について(答弁書10?12頁、上申書4?6頁)
甲2に審判請求書の16?17頁で指摘された「2-1」乃至「2-3」の記載があることは認めるが、「2-3」の後「2-2」のように○10○11○12で光が止まることは記載されていない。
仮に、「2-3」の後「2-2」のように○10○11○12で光が止まることが記載されていたとしても、(1)甲2には「2-3」の超高速の後に光った○10○11○12が、「2-3」の超高速を条件としている旨の記載はない。(2)甲2には「2-3」の超高速(プレミアムパターン)の他に、「ノーマルパターン」及び「2段階パターン」でも○1?○12のランプのうちの3つ(○10○11○12を含む)が光ることが記載され、○10○11○12が光る条件は「ノーマルパターン」及び「2段階パターン」の光の流れなどを条件にしていないから、プレミアムパターンで超高速の光の流れを条件に○10○11○12が光るとするのは、合理性を欠く。(3)よって、甲2には「2-3」の超高速で光が走ることを条件に○10○11○12が光ることは記載されていない。
要するに、甲2には「プレミアムパターン」、「ノーマルパターン」及び「2段階パターン」という複数の報知情報のうち、「プレミアムパターン」であることを条件に○10○11○12が光ることは記載されていない。(以上、答弁書10?12頁)

甲2にはランプの点灯時に鉄板リーチ目であるか否かの判断を行うなどといったことは一切記載されていないので、ランプの点灯はボーナスの成立を条件に行われることとしか認定できず、ランプの点灯と鉄板リーチ目との間に何らかの関係性があると認定することはできない。
よって、請求人の主張する構成(鉄板リーチ目を条件にランプ点灯、陳述要領書18頁)は甲2の記載事実に基づくものではない。
甲2には、○10○11○12での停止が高速フラッシュを条件にしていることだけでなく、高速フラッシュの後に必ず○10○11○12で停止することも記載されていない。
本件出願後に頒布された甲8(パチスロ必勝ガイド1998年8月号)の記載から、本件出願当時の技術水準を認定することは理解できるが、甲8記載事項が出願当時の技術水準であったことについて、請求人は何らの主張、立証をしておらず、甲8記載事項が出願当時の技術水準であったと認定することは妥当でない。
なお、高速フラッシュの後に必ず○10○11○12で停止するという事実は、遊技を行っただけでは認定することはできない。すなわち、「必ず」というからには、○10○11○12以外が停止しないことが必要であるが、それは内部制御を解析したり、メーカの発表がないことには知りえるものではない。
また、「ピカゴロウ」について本件出願前に頒布された刊行物は甲2のみであり、甲2の5頁本文3段目の記載や提出された各甲号証からみて、「ピカゴロウ」は本件出願前においてショールームに展示されることを限度に実施されていたものとしか認定できない。
仮に、甲2から高速フラッシュの後に必ず○10○11○12で停止することが認定できるとしても、○10○11○12での停止は高速フラッシュ以外の場合でも起こるものであるから、高速フラッシュを「条件に」しているものではない。
また、甲2の「光の流れ(ノーマルパターン、2段階パターン、プレミアムパターン)」と、最終的に停止するランプ「○1?○12」とは、ランプが走った後に停止するという一連の演出としてしか捉えることはできず、本件訂正発明1のように「確定パターンに一致するか否かの判断」という内部的な処理を介して特定の入賞態様が決定されたことを告知するものではない。(以上、上申書4?6頁)

・「チェリーバー」について(答弁書12?13頁、上申書6頁)
甲3の記載からは、「WIN METER」は、ビッグフラグが立つことを条件に点灯することしか認められない。すなわち、「WIN METER」は、「フラッシュ」とは全く関係なく点灯する。
よって、請求人の主張する構成(「フラッシュ」を条件に「WIN METER」が点灯すること、審判請求書44頁及び陳述要領書19?21頁)は甲3の記載事実に基づくものではない。

・まとめ(答弁書13?14頁)
甲4(特公平5-80235号公報)及び甲5(特開昭59-186580号公報)にも、相違点2に係る構成は記載も示唆もない。
よって、相違点2に係る構成は甲1?5の何れにも記載も示唆もないものであり、本件訂正発明1は、甲1?5に基づいて容易に想到し得るものではない。
本件訂正発明2は、本件訂正発明1に対して告知手段が告知する条件を限定したものであるから、甲1?5に基づいて容易に想到し得るものではない。
本件訂正発明3?7は、本件訂正発明1、2を引用する発明であるから、甲1?5に基づいて容易に想到し得るものではない。

第四.無効理由についての当審の判断
1.本件訂正発明の認定
上記第二.4.で述べたとおり、本件訂正は適法なものであるので、特許第3062193号の発明(本件訂正発明1?7)は訂正後請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルと、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成されることを特徴とする遊技機。
【請求項3】 前記報知手段と前記告知手段とは別々の手段で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】 前記告知手段は表示装置の表示によって前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを遊技者に告知することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】 前記告知手段は、前記特定の入賞態様の図柄組合せが前記可変表示装置に停止表示されて入賞が発生するまで、前記表示装置を表示し続けることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】 前記告知手段が作動したときのその告知態様は、前記報知手段による特定の報知態様によって実現されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項7】 特定の前記入賞態様は大当たりまたは中当たり内部入賞態様であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の遊技機。」

2.無効理由1について
訂正後請求項2は上記第二.4.(2)に記載したとおり、訂正事項bのとおり訂正された。
そして、上記第二.4.(2)の後段において述べたとおり、訂正後請求項2「100%の確率」は、「特定の報知情報が所定の確率で報知された時には特定の入賞態様が決定されている確率が100%」という意味であると認められ、そのように解釈すれば、上記第二.4.(2)の中段で述べたと同様に、本件訂正発明2は訂正後明細書等の段落【0058】?【0067】、【0103】、【0104】、【図28】?【図31】、【図33】及び【図40】に記載したものであるということができるから、訂正後請求項2の記載は特許法36条6項1号に適合する。
よって、訂正後請求項2の記載についての無効理由1には理由がなく、本件特許が特許法36条6項1号の規定に違反してされたものということはできない。
ところで、上記第三.1.(2-3)に記載したように、請求人は、陳述要領書5?6頁、6-2において、審査基準に掲載されている特許法36条に関する判決を引用し、記載不備の指摘が審査基準に則ったものである旨主張しているが、訂正前請求項2及び訂正後請求項2に記載されている「100%の確率」という用語は、訂正前明細書等及び訂正後明細書等の一実施形態についての説明においても、例えば段落【0065】【0067】【0106】【0116】等で統一的に用いられているものであるから、上記判決や審査基準に照らしても、「100%の確率」という記載が「殊更に,不明確あるいは不明りょうな用語を使用したり,特許請求の範囲で明らかにできるものを発明の詳細な説明に記載するにとどめたり」したものに該当するものということはできず、訂正後明細書等を考慮して「100%の確率」という用語を解釈することによって、訂正後請求項2の記載は明確であると判断される。
また、請求人は平成22年10月28日付け上申書8頁において、「条件に」について審判請求書において記載不備であると主張し、その主張に対し被請求人は適切な訂正を行わなかった旨主張しているが、審判請求書の24?30頁においては、「条件に」が記載不備である旨の主張はされておらず、むしろ、「条件に」を含む訂正前請求項1に対して、記載不備の無効理由を挙げていないから、上記上申書における請求人の主張は当を得ない。

3.無効理由2について
上記第三.1.(2-2)に記載したように、請求人は、概念が確定していない「大当たり」「中当たり」を記載している訂正前請求項7は不明確であると主張している。
しかし、訂正前請求項7(訂正後請求項7も文言は同じ)に記載されている「大当たり」「中当たり」という用語は、訂正前明細書等及び訂正後明細書等の従来の技術及び一実施形態についての説明においても、例えば段落【0005】【0006】【0053】等で統一的に用いられているものであるから、上記第三.1.(2-3)に記載の判決や審査基準に照らしても、「大当たり」「中当たり」という記載が「殊更に,不明確あるいは不明りょうな用語を使用したり,特許請求の範囲で明らかにできるものを発明の詳細な説明に記載するにとどめたり」したものに該当するものということはできず、訂正後明細書等を考慮して「大当たり」「中当たり」という用語を解釈することによって、訂正後請求項7の記載は明確であると判断される。
よって、訂正後請求項7の記載についての無効理由2には理由がなく、本件特許が特許法36条6項2号の規定に違反してされたものということはできない。

4.無効理由3について
(1)証拠方法
請求人が証拠方法として提出した甲1?5及び甲8は、上記第三.1.(1)に記載したとおりである。

(1-1)甲1(特開平8-117390号公報)に記載されている発明
甲1には、図面とともに次の事項が記載されている。
【0019】【課題を解決するための手段】本発明は、複数の図柄を可変表示する可変表示部と、ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し、その判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部とを備えた遊技機であって、その制御部は、入賞確率テーブルとして、一の入賞役に対して設定された複数の入賞図柄の組合せを示すデータと、該入賞図柄の組合せと一対一対応して設定された内部的当選役を示すデータとを格納する記憶手段を有し、乱数値がサンプリングされた時、その乱数値が上記内部的当選役のいずれかに該当するか否かを判断し、その判断結果に対応した入賞確率テーブル中のデータに基づいて可変表示部の動作を制御することを特徴とする。
【0021】本発明の別の態様では、乱数値が内部的当選役のいずれかに該当するとき、その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を備える。この場合、可変表示部は、外周に複数の図柄を配列した複数の回転リールで構成され、報知手段は、回転リールの内側に設置された発光体で構成される。あるいは、報知手段は、制御部からの制御信号に応じて動作する駆動回路及びスピーカ等の発音装置を含む効果音発生手段で構成される。
【0029】【実施例】図1は、本発明の一実施例のスロットマシンの外観を示す正面図である。このスロットマシン1の本体中央部には、各々の外周面に複数種類のシンボルが配列された3個のリール2,3,4が回転自在に設けられて可変表示部を形成している。各リール2,3,4のシンボルは、本体1の正面の表示窓5,6,7を通して、それぞれ3個ずつ観察できるようになっている。
【0032】この実施例では、遊技者がメダル投入口8からメダルを投入した後、正面の左端部に設置されたスタートレバー11を操作することにより、3つのリール2,3,4が一斉に回転する。そして、これらの回転が一定の速さに達した時、各リールに対応して設けられたストップボタン12,13,14の操作が有効化されるので、遊技者はこれらのボタンを押圧操作することで、対応するリールの回転を停止させることができる。このとき、上記のように有効化されている入賞ライン上で停止したシンボルの組合せが入賞組合せに該当していれば、その入賞の種類に応じた枚数のメダルが受皿15に払い出される。
【0058】最後に、乱数値がNBにも当選しない場合には、その他の役の抽選処理を行う(ST13)。ここで、どの役にも該当しなければ、「ハズレ」になることは従来と同様である。
【0080】この報知手段としては、例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。すなわち、遊技がスタートして乱数がサンプリングされ、入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は、このバックライトを点滅又は点灯させることによって、遊技者に内部的当選を知らせる。これにより、遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。
【0082】また、内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
【0083】更に、上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに、スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても、内部的当選を遊技者に知らせることができる。

摘記した上記の記載及び図面の記載等によれば、甲1には、
「ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し、
その判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように、複数のリール2,3,4で構成され複数の図柄を可変表示する可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と、
前記複数のリール2,3,4の回転を停止させることができる各リール2,3,4に対応して設けられたストップボタン12,13,14と、
前記乱数値が内部的当選役のいずれかに該当するとき、各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトを利用し、内部的当選の種類に応じて点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる報知手段と、を備える遊技機。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

(1-2)甲2記載の技術
甲2(パチスロ攻略マガジン1998年6月号)には、パチスロ「ピカゴロウ」について、図面とともに次の事項が記載されている。
「最終停止の左端がBIGの期待度だ!」(5頁1段)
「 山佐が告知……というのも驚きではあるが、その中身を知ればきっと震えるはずだ。
レバーを叩き、そのプレイでボーナスが成立したとしよう。最終リールのボタンを押し、指を離した瞬間、リール上部に付いている12個のランプに光が走るのだ(最初は高速で左から右に)。・・・そして最終的に3つのランプが点灯した状態で点灯するのだが、この停止位置がフラグと密接な関係にあるのだ!
例えば「○1○2○3」でランプが停止したとしよう。この時の左端のランプの位置は当然○1。この場合のBIGの期待度は10%。言い換えれば90%がREGということ。逆に「○10○11○12」で停止した場合は、BIG確定となるのだ(○11○12○1という止まり方はない)。」(5頁1?2段)
「これだけでも充分にアツイ演出なのだが、何と、「2段階」「プレミアム」というパターンもあるのだ。左のカコミを見よ!!」(5頁2段)
「ノーマルパターン
光の流れ
最終停止位置の左端がBIGの期待度を表している。」(5頁左側、一番上の囲み)
「2段階パターン
止まった後……再び動き出す!
高速→スロー→停止……と思った瞬間再び動き出すのが2段階。だが、○8○9○10で再始動し、○2○3○4で停止という悲しいパターンはない。」(5頁左側、上から2つめの囲み)
「プレミアムパターン
超高速で光が走る!
BIG確定!
左から右に超高速で光が走るため、見た目では全ランプが点滅を繰り返しているように見えるらしい。これはBIG確定だ!」(5頁左側、上から3つめの囲み)
摘記した上記の記載及び図面の記載等によれば、甲2には、
「ボーナスが成立したプレイで、最終リールのボタンを押し、指を離した瞬間、リール上部に付いている12個のランプが、ノーマルパターン、2段階パターン、プレミアムパターンのいずれかで点滅した後、最終的に3つのランプが点灯した状態となるパチスロであって、最終的に点灯した3つのランプが○10○11○12であればBIG確定、また、前記12個のランプが前記プレミアムパターンで点滅した場合にはBIG確定であるパチスロ。」
の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されているものと認められる。
なお、甲8(パチスロ必勝ガイド1998年8月号)は、本件の出願日以降に頒布された刊行物であって直接の証拠としては採用できないため、リーチ目とボーナスフラグ成立との関係等を認定することはできないが、上記甲2発明1の認定と矛盾する記載がないことは確認できる。

また、同じく甲2には、パチスロ「サンダーV」について、図面とともに次の事項が記載されている。
「フラッシュパターン8種」についての解説(12頁下段○1?○8)
「ボーナス未成立・ハズレ」「ボーナス未成立・スイカ」「ボーナス未成立・2or4枚チェリー」「ボーナス未成立・リプレイ」「ボーナス未成立・ベル」「ボーナス成立・ハズレ」「ボーナス成立・スイカ」「ボーナス成立・2or4枚チェリー」「ボーナス成立・リプレイ」「ボーナス成立・ベル」「BIG当選プレイ」「REG当選プレイ」それぞれにおける「予告音」「消灯」「フラッシュ」の組み合わせと出現率の表(13頁上段)
「稲妻コラム○1
3連Vは成立プレイには出ない!
一度は拝んでからボーナスを揃えたいのが、この1リール確定3連V。・・・残念ながら成立プレイではどうあがいても停止しないのだ。また、フラグ成立後も4コマスベリで停止することは絶対にない。」(12頁中左)
「稲妻コラム○2
どうしても3連Vを出したい人は……
BIG成立時なら2or3コマ前に押す。REGなら3コマ前のみ。これで3連Vはアナタのモノ。ただし、チェリー等の小役が成立している場合はこの限りではないので御了承の程を。もう誰でも知っていると思うが、写真のトリプルテンパイはBIG確定だぞ!」(13頁下右)
そして、13頁上段の表を解析すると、上記第三.1.(3)<相違点2について>の「サンダーV」の演出の項に記載したとおり、ボーナス成立時のみにしか行われない9種類の「予告音、消灯、フラッシュの組み合わせ演出」があることが分かる。
よって、摘記した上記の記載及び図面の記載等によれば、甲2には、
「ボーナス未成立・ハズレ、スイカ、2or4枚チェリー、リプレイ又はベルの各々、並びにボーナス成立・ハズレ、スイカ、2or4枚チェリー、リプレイ又はベルの各々において、予告音、消灯、フラッシュの組み合わせ演出を行うパチスロであって、ボーナス成立時のみにしか行われない9種類の組み合わせ演出があり、ボーナス成立時でチェリー等の小役が成立していない場合に、3コマ前に押すと3連Vが出るパチスロ。」
の発明(以下「甲2発明2」という。)が記載されているものと認められる。

(1-3)甲3記載の技術
甲3(パチスロ必勝ガイド1993年4月号)には、パチスロ「チェリーバー」について、図面とともに次の事項が記載されている。
「チェリーバーのリーチ目
○1 ラインに関係なく、図のように「ベル・ベル・チェリーBAR」が揃えば、100%ビッグが集中だ。
○2?○6」(7頁下右の囲み)
「リールのフラッシュとランプでフラグ判別
4号機ならではの、隠されたもうひとつのリーチ目とは??ビッグボーナスフラグ成立時に起こるリールの「フラッシュ」だ。実はこの機種、レバーを叩いた後の抽選でビッグボーナスフラグが立つと、3つのボタンを全て押し終わった瞬間に、中央ラインが左から右に向かって一瞬点滅する仕組みになっているのだ。」(8頁1?2段)
「実は、この機種にはもうひとつ強力なリーチ目が用意されていたのだ。そのリーチ目とは、リール右横にある「WIN METER」と書かれたランプである。ビッグのフラグが立つと、このランプが点灯しっぱなしになるのだ。たとえフラッシュを見逃してしまっても、このランプは「7」を揃えるまで点灯していてくれる。」(8頁3段)
摘記した上記の記載及び図面の記載等によれば、甲3には、
「100%ビッグを示すリーチ目を含む複数のリーチ目の出るパチスロであって、レバーを叩いた後の抽選でビッグボーナスフラグが立つと、3つのボタンを全て押し終わった瞬間に、中央ラインが左から右に向かって一瞬点滅するパチスロであって、ビッグボーナスフラグが立つと、リール右横にあるランプが点灯しっぱなしになるパチスロ。」
の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。

(1-4)甲4及び甲5について
甲4(特公平5-80235号公報)は、訂正後発明4、5、7に対し、また甲5(特開昭59-186580号公報)は、審判請求書の「証拠の表示」の項(52頁8)では、進歩性がないことを証するものと記載されているものの、進歩性について論じた審判請求書の「特許法第29条第2項違反」の項(30?51頁7-4-2)では利用されていないので、その記載内容の摘記は省略する。

(2)本件訂正発明1と甲1発明との対比
そこで、本件訂正発明1と甲1発明とを比較すると、甲1発明の「入賞態様」は、本件訂正発明1の「遊技の入賞態様」に相当し、以下同様に、
「複数の図柄」は「種々の図柄」に、
「可変表示部」は「可変表示装置」に、それぞれ相当する。

また、甲1全体の記載等からみて、以下のことが言える。
a.甲1発明において「ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合すること」及び「入賞態様を判定」することは、それぞれ本件訂正発明1の「乱数抽選」を行うこと及び「遊技の入賞態様を決定する」に相当するから、甲1発明の「制御部」は、本件訂正発明1の「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段」に相当する機能を有しているといえる。

b.甲1発明の「可変表示部」は、「複数のリール2,3,4で構成され複数の図柄を可変表示する」のであるから、本件訂正発明1の「種々の図柄を複数列に可変表示」するに相当する機能を有するものといえる。
また、甲1発明において「判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように」停止制御することは、本件訂正発明1において「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する」ことに相当しているから、甲1発明の「可変表示部」は、本件訂正発明1の「種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」に相当するものということができる。

c.甲1発明において「リール2,3,4の回転を停止させること」は、本件訂正発明1において可変表示を停止させることに相当し、甲1発明の「ストップボタン12,13,14」は、「各リール2,3,4に対応して設けられ」、「対応するリール2,3,4の回転を停止させることができる」のであるから、甲1発明の「前記複数のリール2,3,4の回転を停止させることができる各リール2,3,4に対応して設けられたストップボタン12,13,14」は、本件訂正発明1の「前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段」に相当するものといえる。

d.甲1発明の「前記乱数値が内部的当選役のいずれかに該当するとき」は、段落【0054】?【0058】の記載等からみて「内部的当選役」はハズレを除く入賞態様であると認められるから、甲1発明において「各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライトを利用し、内部的当選の種類に応じて点灯パターンを変えることにより、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる」は、“ハズレを除く入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる”と言い換えることができる。
そして、甲1発明において「どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる」ことは、本件訂正発明1において「ハズレ」を除く入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知することに相当し、甲1発明の「内部的当選役」は、上記a.を考慮すれば本件訂正発明1の「入賞態様決定手段」に相当する「制御部」で決定されたものということができるから、甲1発明と本件訂正発明1は、“前記入賞態様決定手段で決定されたハズレを除く入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段”を備える点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定されたハズレを除く入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段とを備えて構成される遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本件訂正発明1の「報知手段」は、ハズレも含む入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知するのに対し、甲1発明の「報知手段」は内部的当選役(ハズレを除く入賞態様)の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせる点。

[相違点2]
本件訂正発明1は「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成される」のに対し、甲1発明はそのような告知手段に相当する手段を備えていない点。

(3)本件訂正発明1と甲1発明の相違点についての判断
[相違点1について]
上記(1)(1-2)で述べたように、甲2には「ボーナス未成立・ハズレ、スイカ、2or4枚チェリー、リプレイ又はベルの各々、並びにボーナス成立・ハズレ、スイカ、2or4枚チェリー、リプレイ又はベルの各々において、予告音、消灯、フラッシュの組み合わせ演出を行うパチスロ」についての甲2発明2が記載されている。
すなわち、甲2発明2は、ボーナス未成立時及びボーナス成立時のハズレを含む入賞態様に応じて予告音、消灯、フラッシュの組み合わせ演出を行う遊技機であるということができる。
そして、甲1発明、甲2発明2ともに、内部抽選結果に関する報知を行う遊技機である点で共通していることが明らかであるから、甲1発明に甲2発明2を適用し、ハズレを含む入賞態様の種類に応じて、どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせるようにして、上記相違点1に係る本件訂正発明1のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得る。

[相違点2について]
・「条件に」について
請求人は、「Aの存在を条件にBを行う」という文章は、「Aの存在があったときにBを行う」、「Aの存在が無くともBを行うことがある」、「Aの存在があったとしてもBを行わないこともある」のいずれの関係も包含するものであると解釈できる旨主張している(上記第三.1.(3)<相違点2について>の項、陳述要領書10?13頁)。
しかし、「Aの存在を条件にBを行う」という文章は、「Aの存在があったときにBを行う」と解釈するのが通常であって、「Aの存在が無くともBを行うことがある」、「Aの存在があったとしてもBを行わないこともある」といった解釈は、その文章を読む際に、「条件に」の用語を、「必要十分条件に」や「のみを条件に」と区別して用いる旨指示又は示唆されているか、その条件だけに限らない広い意味で用いていることが文脈から明らかである場合を除き、一般的でない。
そして、訂正後請求項1の「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」という記載についてみると、「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であるときに、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」と解釈するのが相当と認められ、訂正後明細書等にも、そのような解釈に疑義を生じるような記載は存在しない。
なお、被請求人も、本件訂正発明1の告知手段は、「複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報である」場合にのみ「特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」ものであり、その他の場合に特定の入賞態様が決定されたことを告知する構成ではない旨述べている(上記第三.2.(3)、上申書3頁)。

・甲2発明1について
甲2発明1の「BIG」を本件訂正発明1の「特定の入賞態様」と捉えれば、甲2発明1の「ノーマルパターン、2段階パターン、プレミアムパターン」及び「プレミアムパターン」は、それぞれ本件訂正発明1の「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報」及び「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報」ということができるが、「プレミアムパターン」で12個のランプが点滅した後に点灯する3つのランプ「○10○11○12」は、「ノーマルパターン」又は「2段階パターン」で12個のランプが点滅した後においても、点灯してBIG確定を知らせる場合もあるから、「プレミアムパターン」であることを条件に点灯するものということはできない。
なお、請求人は甲8の記載(125頁右上)に基づいて、パチスロ「ピカゴロウ」のボーナスの一直線型リーチ目(鉄板リーチ目)であることを条件に、ランプが点灯(ノーマルパターン、2段階パターン、プレミアムパターン)する関係であると主張している(陳述要領書17?19頁)。しかし、甲2発明1の「ノーマルパターン、2段階パターン、プレミアムパターン」は、ボーナスの一直線型リーチ目の出現に関係なく、ボーナスフラグ成立時にいずれかで点滅するものであるから、請求人の上記主張は採用できない。

・甲2発明2について
甲2発明2の「ボーナス」を本件訂正発明1の「特定の入賞態様」と捉えれば、甲2発明2の「予告音、消灯、フラッシュの組み合わせ演出」及び「ボーナス成立時のみにしか行われない9種類の組み合わせ演出」は、それぞれ本件訂正発明1の「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報」及び「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報」ということができるが、「ボーナス成立時のみにしか行われない9種類の組み合わせ演出」があったときに3連Vが出るとは限らないので(例えば、ボーナス成立時でチェリー等の小役が成立している場合や停止ボタンを押すタイミングが悪い場合には出ないので)、「ボーナス成立時のみにしか行われない9種類の組み合わせ演出」を条件に3連Vが出るものということはできない。

・甲3発明について
甲3発明の「ビッグボーナス」を本件訂正発明1の「特定の入賞態様」と捉えれば、甲3発明の「複数のリーチ目」及び「100%ビッグを示すリーチ目」は、それぞれ本件訂正発明1の「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報」及び「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報」ということができるが、「中央ラインが左から右に向かって一瞬点滅する」こと及び「リール右横にあるランプが点灯しっぱなしになる」ことは、「100%ビッグを示すリーチ目」の出現とは関係なく、ビッグボーナスフラグが立つと行われるものであるから、「100%ビッグを示すリーチ目」の出現を条件に「中央ラインが左から右に向かって一瞬点滅する」又は「リール右横にあるランプが点灯しっぱなしになる」というものではない。
また、「中央ラインが左から右に向かって一瞬点滅する」ことと「リール右横にあるランプが点灯しっぱなしになる」こととの関係が、本件訂正発明1の「前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」という関係でないことも明らかである。

・甲4及び甲5について
甲4(特公平5-80235号公報)及び甲5(特開昭59-186580号公報)にも、相違点2に係る構成については記載も示唆もない。

・結論
上記のとおり、甲2及び甲3には、本件訂正発明1の「前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」という関係について、記載も示唆もされておらず、甲4及び甲5にも該関係は記載も示唆もされていないから、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成は、甲1発明、甲2発明1、甲2発明2、甲3発明及び甲4、甲5記載の技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(4)まとめ
よって、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2発明1、甲2発明2、甲3発明及び甲4、甲5記載の技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、本件訂正発明2は、本件訂正発明1の「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報」と実質的に同じ報知情報である「前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報」を「予め記憶するテーブル」という構成を追加するとともに、本件訂正発明1の「前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する」と実質的に同じ機能を有する「前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段」という構成を有する発明である。
そうしてみると、本件訂正発明2も本件訂正発明1と同様に、甲1発明、甲2発明1、甲2発明2、甲3発明及び甲4、甲5記載の技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではないということができる。
さらに、本件訂正発明3?7は、いずれも本件訂正発明1又は2を引用する発明であるから、甲1発明、甲2発明1、甲2発明2、甲3発明及び甲4、甲5記載の技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1?7についての無効理由3には理由がなく、本件特許が特許法29条2項の規定に違反してされたものということはできない。

5.その他の無効理由について
請求人は審判請求書27?30頁の7-4-1-3及び4において、訂正前発明8は特許法36条6項2号に違反し、訂正前発明9は同法36条6項1号及び2号に違反しているから、いずれも同法123条1項4号の規定により無効とされるべきであると主張している。
しかし、訂正前請求項8及び9は、本件訂正により削除されたので、これらの無効理由が解消されたことは明らかである。

第五.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件訂正発明1?7の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と、前記可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルと、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において前記報知手段によって報知される前記報知情報が、前記テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備えて構成されることを特徴とする遊技機。
【請求項3】前記報知手段と前記告知手段とは別々の手段で構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】前記告知手段は表示装置の表示によって前記入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを遊技者に告知することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】前記告知手段は、前記特定の入賞態様の図柄組合せが前記可変表示装置に停止表示されて入賞が発生するまで、前記表示装置を表示し続けることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】前記告知手段が作動したときのその告知態様は、前記報知手段による特定の報知態様によって実現されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項7】特定の前記入賞態様は大当たりまたは中当たり内部入賞態様であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乱数抽選によって決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知して演出を行う機能を備えた遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機としては例えばスロットマシンがある。一般的なスロットマシンでは、図42(a)に示すように、前面パネル2の背後に3個のリール3,4,5が3列に並設されている。各リール3?5の外周には種々の図柄が描かれており、これら図柄は、各リール毎に設けられた図示しない内蔵光源(バックライト)によって背後から照明され、前面パネル2に形成された各窓6,7,8を介して観察される。この窓には5本の入賞ラインが記されており、スロットマシン遊技は、いずれかのこの入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃うか否かによって行われる。
【0003】
遊技は遊技者によって投入口にメダルが投入されることによって開始され、投入口にメダルが投入されると、同図(a)に示すようにバックライトが全部点灯する。このバックライトは遊技終了後一定期間、遊技者のメダル投入操作等がなかった場合には、同図(b)に示すように全部消灯している。各リール3?5は遊技者によるスタートレバーの操作に応じて回転し、各窓6?8には図柄が列方向に回転移動表示される。各リール3?5が一定速度に達すると各リール3?5に対応して設けられた各ストップボタンの操作は有効となる。
【0004】
遊技者は移動する図柄を観察しながら各ストップボタンを操作し、各リール3?5の回転を停止させ、所望の図柄をいずれかの入賞ライン上に停止表示させようとする。各リール3?5は各ストップボタンの操作タイミングに応じてその回転が停止する。この停止時にいずれかの入賞ライン上に所定の図柄組み合わせが表示されると、その図柄組み合わせに応じた入賞が得られる。
【0005】
入賞態様には大当たり入賞や中当たり入賞,小当たり入賞等があり、大当たり入賞や中当たり入賞は図柄「7」や所定のキャラクタ図柄が入賞ライン上に3個揃うと発生する。大当たり入賞ではビッグ・ボーナス・ゲーム(BBゲーム)、中当たり入賞ではレギュラー・ボーナス・ゲーム(RBゲーム)といった特別遊技が行え、大量のコインを獲得することが出来る。また、小当たり入賞は「チェリー」や「ベル」といった図柄が入賞ライン上に所定個揃うと発生し、この小当たり入賞では数枚のメダルを獲得することが出来る。同図(c)は図柄「ベル」が中央の入賞ラインに3個揃った場合を示しており、この場合にはバックライトは点滅する。
【0006】
このような入賞態様は、スタートレバーが操作された直後に行われる乱数抽選によって決定され、各リールが遊技者によって停止操作される前には既に定まっている。この乱数抽選は遊技機内部に構成された入賞態様決定手段で実施される。この乱数抽選によって大当たり入賞が決定されると、機器前面パネルに設けられた告知ランプといった表示器が点灯し、機械の内部抽選によって大当たり入賞が発生したことが遊技者に報知される。その後、遊技者の停止ボタン操作に応じて各リールの回転が停止制御され、乱数抽選によって決定された入賞の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると、入賞を実際に体験できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の遊技機では、内部抽選によって大当たり入賞が発生すると直ちに告知ランプが点灯し、遊技者にその内部抽選結果が報知される。従って、従来の遊技機では大当たり入賞発生の内部抽選結果はそのまま機械的に遊技者に知らされ、遊技者は例えばリーチ目を探すようにその内部抽選結果を探す喜びを持つことが出来なかった。ここで、リーチ目とは、内部抽選によって大当たり入賞が発生する状況になると各リールの回転停止時に表示される所定の図柄組合せをいう。
【0008】
また、報知されるのは大当たり入賞が内部抽選によって生じた場合だけであり、遊技者に伝えられる情報は限られていた。このため、機械内部の乱数抽選で決定された内部抽選の結果は、大当たり入賞以外の入賞態様については、各窓に図柄が実際に停止表示されるまで全く分からなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と、種々の図柄を複数列に可変表示し、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と、可変表示を各列毎に停止させる停止ボタンからなる可変表示停止手段と、入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段と、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される報知情報が、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報であることを条件に、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知する告知手段とを備え、遊技機を構成した。
【0010】
本構成によれば、内部抽選によって決定された入賞態様が報知手段によって遊技者に所定確率で報知され、遊技者は入賞態様をある程度予測できる。
【0011】
また、報知情報が入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報である場合には、告知手段によって特定入賞態様発生の内部抽選結果が遊技者に告知される。この特定の入賞態様は、特定の入賞態様が決定された場合にだけ選択される報知情報でない報知情報で報知される場合には、告知手段によってその内部抽選結果は告知されない。従って、遊技者は、告知手段によって特定入賞態様発生の内部抽選結果が告知されない場合にも、報知手段によって報知される報知情報によって特定入賞態様発生の内部抽選結果を知ることが出来る。
【0012】
また、本発明は、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報を予め記憶するテーブルを備え、告知手段は、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される報知情報が、テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されたことを特定の報知態様で遊技者に告知することを特徴とする。
【0013】
本構成によれば、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される報知情報が、テーブルに記憶された複数の報知情報の何れかと一致することを条件に、告知手段によって特定入賞態様発生の内部抽選結果が遊技者に告知される。テーブルには、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定された後の遊技において報知手段によって報知される可能性のある複数の報知情報のうち、入賞態様決定手段で特定の入賞態様が決定されていることを100%の確率で遊技者に報知する複数の報知情報が予め記憶されているため、特定の入賞態様が100%より小さい確率で報知される場合には、告知手段によってその内部抽選結果は告知されない。従って、遊技者は、特定入賞態様発生の内部抽選結果が告知手段によって告知されていない場合にも、報知される報知情報によって特定入賞態様発生の内部抽選結果を知ることが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による遊技機をスロットマシンに適用した一実施形態について説明する。
【0015】
図1は本実施形態によるスロットマシン1の正面図である。
【0016】
スロットマシン1の前面パネル2の背後には可変表示装置を構成する3個のリール3,4,5が回転自在に設けられている。各リール3,4,5の外周面には複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれている。これらシンボルはスロットマシン1の正面の表示窓6,7,8を通してそれぞれ3個ずつ観察される。また、表示窓6,7,8の下方右側には、遊技者がメダルを入れるための投入口9が設けられている。
【0017】
各リール3?5は図2に示す回転リールユニットとして構成されており、フレーム51にブラケット52を介して取り付けられている。各リール3?5はリールドラム53の外周にリール帯54が貼られて構成されている。リール帯54の外周面には上記のシンボル列が描かれている。また、各ブラケット52にはステッピングモータ55が設けられており、各リール3?5はこれらモータ55が駆動されて回転する。
【0018】
各リール3?5の構造は図3(a)に示される。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。リール帯54の背後のリールドラム53内部にはランプケース56が設けられており、このランプケース56の3個の各部屋にはそれぞれバックランプ57a,57b,57cが取り付けられている。これらバックランプ57a?57cは図3(b)に示すように基板58に実装されており、この基板58がランプケース56の背後に取り付けられている。また、ブラケット52にはホトセンサ59が取り付けられている。このホトセンサ59は、リールドラム53に設けられた遮蔽板60がリールドラム53の回転に伴ってホトセンサ59を通過するのを検出する。
【0019】
各バックランプ57a?57cは後述するランプ駆動回路48によって個別に点灯制御される。各バックランプ57a?57cの点灯により、リール帯54に描かれたシンボルの内、各バックランプ57の前部に位置する3個のシンボルが背後から個別に照らし出され、各表示窓6?8にそれぞれ3個ずつのシンボルが映し出される。
【0020】
また、図1に示す表示窓6?8には、横3本(中央L1および上下L2A,L2B)および斜め2本(斜め右下がりL3A,斜め右上がりL3B)の入賞ラインが記されている。ゲーム開始に先立ち、遊技者がメダル投入口9に1枚のメダルを投入したときは、各リール3?5上にある中央の入賞ラインL1だけが図4(a)に示すように有効化される。また、2枚のメダルを投入口9に投入したときはこれに上下の入賞ラインL2A,L2Bが加わり、横3本の入賞ラインL1,L2AおよびL2Bが同図(b)に示すように有効化される。また、3枚のメダルを投入口9に投入したときは全ての入賞ラインL1,L2A,L2B,L3AおよびL3Bが同図(c)に示すように有効化される。
【0021】
なお、同図における丸印は各リール3?5上に描かれたシンボルを表している。このような入賞ラインの有効化は、各入賞ラインの端部に配置された有効化ライン表示ランプ23(図1参照)が点灯することにより、遊技者に表示される。
【0022】
また、表示窓6?8の下方左側には、1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12が設けられている。クレジット数表示部13にメダルがクレジットされている場合には、メダル投入口9へのメダル投入に代え、これら1BETスイッチ10,2BETスイッチ11およびマックスBETスイッチ12の各押ボタン操作により、1回のゲームにそれぞれ1枚,2枚および3枚のメダルが賭けられる。クレジット数表示部13は、表示する数値の桁数に応じた個数の7セグメントLEDで構成されており、現在クレジットされているメダル数を表示する。
【0023】
これらBETスイッチ10?12の下方にはクレジット/精算切換スイッチ(C/Pスイッチ)14およびスタートレバー15が設けられており、スタートレバー15の右方の機器中央部には停止ボタン16,17,18が設けられている。C/Pスイッチ14の押しボタン操作により、メダルのクレジット/払い出し(PLAY CREDIT/PAY OUT)を切り換えることが出来る。
【0024】
スタートレバー15は各リール3?5の回転表示を開始させる可変表示開始手段を構成しており、スタートレバー15のレバー操作により、リール3,4,5の回転が一斉に開始する。停止ボタン16,17,18は、各リール3,4,5の回転表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段を構成しており、各リール3,4,5に対応して配置されている。各リール3?5の回転速度が一定速度に達したときに各停止ボタン16?18の操作が有効化され、各停止ボタン16?18は遊技者の押しボタン操作に応じて各リール3?5の回転を停止させる。
【0025】
また、スロットマシン1の正面下部には透音孔19およびメダル受皿20が設けられている。透音孔19は、機器内部に収納されたスピーカから発生した音を外部へ出すものである。メダル受皿20はメダル払出口21から払い出されるメダルを貯めるものである。また、スロットマシン1の正面上部には、各入賞に対してどれだけのメダルが払い出されるかが示されている配当表示部22が設けられている。
【0026】
また、各リール3,4,5の右方の前面パネル2には液晶表示部24が設けられている。この液晶表示部24は各リール3,4,5の回転表示をしたり、遊技履歴を表示したり、ボーナスゲーム中に演出を行ったりするディスプレイ装置である。また、各リール3,4,5の直下の前面パネル2には告知ランプ25が設けられている。この告知ランプ25は、BBまたはRBゲームの内部当選フラグが立って後述する所定条件が成立すると点灯し、これらのボーナスゲームが機械内部の抽選で当選したことを遊技者に告知する。
【0027】
図5は、本実施形態のスロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御部と、これに電気的に接続された周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示している。
【0028】
制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32およびRAM33を含んで構成されている。CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34および分周器35と、一定範囲の乱数を発生させる乱数発生手段である乱数発生器36および発生した乱数の中から任意の乱数を抽出する乱数抽出手段である乱数サンプリング回路37が接続されている。
【0029】
マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、リール3,4,5を回転駆動する各ステッピングモータ55、メダルを収納するホッパ38、液晶表示部24、スピーカ39、バックランプ57a?57cおよび告知ランプ25がある。これらはそれぞれモータ駆動回路40、ホッパ駆動回路41、表示駆動回路42、スピーカ駆動回路43およびランプ駆動回路48によって駆動される。これら駆動回路40?43,48は、マイコン30のI/Oポートを介してCPU31に接続されている。各ステッピングモータ55はモータ駆動回路40によって1-2相励磁されており、400パルスの駆動信号が供給されるとそれぞれ1回転する。
【0030】
また、マイコン30が制御信号を生成するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートレバー15の操作を検出するスタートスイッチ15Sと、メダル投入口9から投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ9Sと、前述したC/Pスイッチ14とがある。また、ホトセンサ59、およびこのホトセンサ59からの出力パルス信号を受けて各リール3,4,5の回転位置を検出するリール位置検出回路44もある。
【0031】
ホトセンサ59は各リール3,4,5が一回転する毎に遮蔽板60を検出してリセットパルスを発生する。このリセットパルスはリール位置検出回路44を介してCPU31に与えられる。RAM33内には、各リール3?5について、一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納されており、CPU31はリセットパルスを受け取ると、RAM33内に形成されたこの計数値を“0”にクリアする。このクリア処理により、各シンボルの移動表示と各ステッピングモータ55の回転との間に生じるずれが、一回転毎に解消されている。
【0032】
さらに、上記の入力信号発生手段として、リール停止信号回路45と、払出し完了信号発生回路46とがある。リール停止信号回路45は、停止ボタン16,17,18が押された時に、対応するリール3,4,5を停止させる信号を発生する。また、メダル検出部47はホッパ38から払い出されるメダル数を計数し、払出し完了信号発生回路46は、このメダル検出部47から入力した実際に払い出しのあったメダル計数値が所定の配当枚数データに達した時に、メダル払い出しの完了を知らせる信号をCPU31へ出力する。
【0033】
スピーカ39,スピーカ駆動回路43およびマイコン30は、スタートレバー15によって各リール3?5の回転表示が開始されるときに、効果音としての2種類の遊技開始音1,2のうちのいずれか一方の音1または2を発生させる音発生手段を構成している。この音発生手段によって発生させられる遊技開始音の種類は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0034】
各遊技開始音1,2が発生するタイミングは図6(a)に示され、同図(e)に示す入賞態様抽選タイミング直後から時間t1の間出力される。スタートレバー15は時間t2例えば4.1秒の時間間隔をおいて操作する必要があり、同図(d)に示すように前回のスタートレバー操作から時間t2以内に次のレバー操作をすると、リール回転不可音が同図(b)に示すタイミングでスピーカ39から出力される。同図(c)は前回の遊技において最後に停止するリールの回転状態を示している。
【0035】
また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各停止ボタン16?18の操作によって各リール3?5の回転表示が停止されるのに連動し、4種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を順次演出する連動演出手段を構成している。この連動演出手段によって演出される表示態様は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0036】
図7,図8,図9および図10は連動演出手段が演出する第1,第2,第3および第4の連動表示態様を示している。なお、これら各図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0037】
図7に示す第1の連動表示態様は「リールランプ消灯なし」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させている。そして、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを点灯したままの状態にする。同様に、第2の停止ボタン17,第3の停止ボタン18が操作されて第2のリール4,第3のリール5の回転が順次停止された場合にも、同図(c),(d)に示すように、第2のリール4,第3のリール5の各バックランプ57a?57cをそれぞれ点灯したままの状態にする。
【0038】
図8に示す第2の連動表示態様は「リールランプ消灯パターン1」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させているが、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを消灯させる。また、第2の停止ボタン17,第3の停止ボタン18が操作されて第2のリール4,第3のリール5の回転が順次停止された場合には、同図(c),(d)に示すように、第2のリール4,第3のリール5の各バックランプ57a?57cをそれぞれ点灯したままの状態にする。
【0039】
図9に示す第3の連動表示態様は「リールランプ消灯パターン2」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させているが、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを消灯させる。第2の停止ボタン17が操作されて第2のリール4の回転が停止された場合にも、同図(c)に示すように、第2のリール4の各バックランプ57a?57cを消灯させる。そして、第3の停止ボタン18が操作されて第3のリール5の回転が停止された場合には、同図(d)に示すように、第3のリール5の各バックランプ57a?57cを点灯したままの状態にする。
【0040】
図10に示す第4の連動表示態様は「リールランプ消灯パターン3」の表示態様であり、各リール3?5の回転中、連動演出手段は同図(a)に示すように全バックランプ57a?57cを点灯させているが、第1の停止ボタン16が操作されて第1のリール3の回転が停止された場合、同図(b)に示すように、第1のリール3の各バックランプ57a?57cを消灯させる。そして、第2の停止ボタン17,第3の停止ボタン18が操作されて第2のリール4,第3のリール5の回転が停止された場合にも、同図(c),(d)に示すように、第2のリール4,第3のリール5の各バックランプ57a?57cをそれぞれ消灯させる。
【0041】
図11に示すタイミングチャートは、この第4の連動表示態様によって各バックランプ57a?57cが点灯制御される際の各部のタイミングを示している。同図(j)に示すタイミングでスタートレバー15が操作されると、後述する入賞態様判定抽選処理が同図(k)に示すタイミングで行われ、引き続いて各リール3,4,5が同図(a),(b),(c)に示すように一斉に回転し出す。続いて、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18が同図(d),(e),(f)に示すようにこの順番に操作されると、第1リール3,第2リール4,第3リール5が同図(a),(b),(c)に示す各タイミングで停止すると共に、第1リール3,第2リール4,第3リール5の各バックランプ57a?57cが同図(g),(h),(i)に示すタイミングで消灯する。この結果、上述した図10に示すリールランプ消灯パターン3の表示態様で、各リール3?5の表示が各停止ボタン操作に連動して演出される。
【0042】
なお、本実施形態で説明するリール停止制御においては、便宜上、第1リール停止ボタン16,第2リール停止ボタン17,第3リール停止ボタン18が同図(d),(e),(f)に示すようにこの順番に操作され、各リール3?5が同図(a),(b),(c)に示すように第1リール3,第2リール4,第3リール5の順番で停止する場合について説明している。しかし、各リール3?5の停止順序はこれに限定されるものではなく、例えば、第1リール停止ボタン16,第3リール停止ボタン18,第2リール停止ボタン17のように、ランダムな操作順序により停止するようにしてもよい。
【0043】
また、ランプ駆動回路48、バックランプ57a?57cおよびマイコン30は、各リール3?5の回転表示の全てが停止したときに、10種類の表示態様の中の1つの表示態様で各リール3?5の表示を演出する停止演出手段をも構成している。この停止演出手段によって演出される表示態様は、入賞態様の種類に応じて後述するように選択される。
【0044】
図12?図25は停止演出手段が演出する10種類の停止表示態様の一例を示している。なお、これら各図の「点滅パターン」欄における(1),(2),(3)はリール3,4,5の各バックランプ57aをそれぞれ示しており、(4),(5),(6)はリール3,4,5の各バックランプ57b、(7),(8),(9)はリール3,4,5の各バックランプ57cをそれぞれ示している。また、これらのうちの斜線が付された部分はランプ点灯状態を示しており、斜線が付されていない部分はランプ消灯状態を示している。また、これら各図の「段階」欄は時間の経過段階を示しており、各バックランプ57a?57cはこれら各段階毎に図示するように点灯または消灯する。
【0045】
第1の停止表示態様である「リールランプ点滅なし」の表示態様は図示されておらず、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、各リール3?5の全てのバックランプ57a?57cを点灯したままの状態とし、点滅制御はしない。
【0046】
図12に示す第2の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン1」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図の段階1に示すように各リール3?5の全バックランプ57aを消灯させる。続いて段階2に示すように第1リール3の各バックランプ57a?57cを点灯させ、次に段階3に示すようにさらに第2リール4の各バックランプ57a?57cを点灯させる。その後さらに段階4に示すように第3リール5の各バックランプ57a?57cを点灯させ、各リール3?5の全てのバックランプ57a?57cを点灯させる。
【0047】
図13に示す第3の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン2」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図の段階1に示すように各リール3?5の全バックランプ57aを消灯させる。続いて段階2に示すように第1リール3および第3リール5の各バックランプ57bを点灯させ、次に段階3に示すように第1リール3のバックランプ57aおよび第3リール5のバックランプ57cを点灯させる。その後段階4に示すように第2リール4の各バックランプ57a,57cを点灯させ、次に段階5に示すように第1リール3のバックランプ57cおよび第3リール5のバックランプ57aを点灯させる。最後に段階6に示すように第1リール3のバックランプ57bおよび第3リール5のバックランプ57bを点灯させる。
【0048】
図14に示す第4の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン3」の表示態様であり、停止演出手段は、各リール3?5の全停止時に、まず、同図の段階1に示すように各リール3?5の全バックランプ57aを消灯させる。続いて段階2に示すように第1リール3のバックランプ57bを点灯させ、次に段階3に示すように第2リール4のバックランプ57aを点灯させる。その後段階4に示すように第2リール4のバックランプ57cを点灯させ、次に段階5に示すように第3リール3のバックランプ57bを点灯させる。最後に段階6に示すように各リール3?5の全バックランプ57a?57cを消灯させる。
【0049】
図15および図16に示す段階1?段階13の第5の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン4」の表示態様であり、図17に示す段階1?段階11の第6の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン5」の表示態様である。また、図18に示す段階1?段階6の第7の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン6」の表示態様であり、図19,図20および図21に示す段階1?段階21の第8の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン7」の表示態様である。さらに、図22に示す段階1?段階12の第9の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン8」の表示態様であり、図23,図24および図25に示す段階1?段階28の第10の停止表示態様は「リールランプ点滅パターン9」の表示態様である。
【0050】
図15?図25のこれら各図のリールランプ点滅パターンも、図12?図14の各図のリールランプ点滅パターンと同様な図の読み方に従い、各リール3?5の各バックランプ57a?57cが停止演出手段によって点滅制御される。
【0051】
図5に示すROM32には、このスロットマシン1で実行されるゲーム処理の手順がシーケンスプログラムとして記憶されている他、入賞確率テーブル,シンボルテーブル、入賞シンボル組合せテーブル、デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブル等がそれぞれ区分されて格納されている。
【0052】
入賞確率テーブルは、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区分けする乱数区分手段を構成しており、乱数発生器36で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。このような入賞確率テーブルは例えば図26に示すように構成される。同図におけるa1?a3,b1?b3,c1?c3,d1?d3,e1?e3,f1?f3,g1?g3は予め設定された数値データであり、サンプリング回路37で抽出された乱数を各入賞態様に区画する際に用いられる。このデータは、投入メダル枚数が1枚の場合には「a1?g1」、2枚の場合には「a2?g2」、3枚の場合には「a3?g3」の各数値の組合せが用いられる。
【0053】
これら数値は通常「a<b<c<d<e<f<g」の大小関係に設定され、抽出された乱数値がa未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がa以上b未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がb以上f未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり、この場合、b以上c未満の場合には「スイカ」当選フラグが立ち、c以上d未満の場合には「ベル」当選フラグ、d以上e未満の場合には「4枚チェリー」当選フラグ、e以上f未満の場合には「2枚チェリー」当選フラグが立つ。また、抽出された乱数値がf以上g未満であれば「再遊技」当選フラグが立ち、g以上であれば入賞なしの「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0054】
つまり、入賞態様は、サンプリングされた1つの乱数値がこのどの数値範囲に属するかによって決定され、「ハズレ」および「再遊技」を含めて合計8種類の当選フラグによって表される。ここで、乱数発生器36,サンプリング回路37,入賞確率テーブルおよびマイコン30は入賞態様決定手段を構成している。各種のヒットはこのような入賞確率テーブルのデータ設定に応じた確率の下で発生するため、遊技者の技量に極端に左右されることなく、例えば1日の営業時間内でのトータル的なメダル支払い率がほぼ一定に維持されている。
【0055】
また、シンボルテーブルは図27に概念的に示される。このシンボルテーブルは各リール3?5の回転位置とシンボルとを対応づけるものであり、シンボル列を記号で表したものである。このシンボルテーブルにはコードナンバに対応したシンボルコードが各リール3?5毎に記憶されている。コードナンバは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として各リール3?5の一定の回転ピッチ毎に順次付与されている。シンボルコードはそれぞれのコードナンバ毎に対応して設けられたシンボルを示している。
【0056】
また、入賞シンボル組合せテーブルには、配当表示部22に示される各入賞シンボル組合せのシンボルコードや、特定ゲーム発生のフラグが成立していることを遊技者に示唆する「リーチ目」を構成するシンボル組合せのシンボルコード、各入賞を表す入賞判定コード、入賞メダル配当枚数等が記憶されている。この入賞シンボル組合せテーブルは、第1リール3,第2リール4、第3リール5の停止制御時、および全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
【0057】
また、デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは、上記の入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて、遊技開始音の種類,連動表示態様の種類および停止表示態様の種類の組合せを選択する報知態様選択手段を構成している。また、この報知態様選択手段,音発生手段,連動演出手段および停止演出手段は、スロットマシン遊技の一連の流れを通じて入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。報知態様選択手段による報知態様の選択抽選処理は、図6(e)や図11(k)に示す入賞態様確率抽選タイミングに続くタイミングで行われる。
【0058】
図28に示すデモ抽選テーブル選択テーブルは、遊技状態および当選フラグから図29?図31に示すNo.0?No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図32(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0?4には遊技状態が記憶されており、データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。
【0059】
遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。RBは前述したレギュラー・ボーナス・ゲームを意味しており、このRBゲームでは複数回の高配当ゲームが一組となったボーナスゲームが1回行える。「RB作動中」はこのRBゲーム中の遊技状態を表しており、ハズレまたはJAC当選のいずれかが生じる。また、BBは前述したビッグ・ボーナス・ゲームを意味しており、このBBゲームでは一般遊技および上記のボーナスゲームのセットを複数回行うことが出来る。「BB作動中」はBBゲーム中の遊技状態を表している。また、「一般遊技中」はいずれの入賞も生じていない遊技状態である。「RB内部当たり中」,「BB内部当たり中」は、RB当選フラグ,BB当選フラグは立っているが、各リール3?5に所定の入賞シンボル組合せが停止表示されず、未だRBゲーム,BBゲームに突入していない一般遊技状態のことを表している。
【0060】
当選フラグは図32(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00?07の1バイトデータにより、その時の当選フラグが示されている。
【0061】
例えば、GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ、FLGCTRのデータが07Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはBBになる。従って、その時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.7のデモ抽選テーブルになる。このNo.7のデモ抽選テーブルは図30に示され、同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により、遊技開始音の種類,リールランプ消灯パターンの種類およびリールランプ点滅パターンの種類の組合せが選択される。
【0062】
リールランプ消灯パターンの種類は連動表示態様の種類に相当し、リールランプ点滅パターンの種類は停止表示態様の種類に相当する。例えば、No.7のデモ抽選テーブルで抽選値18の欄の組合せが選択されると、遊技開始音は2、リールランプ消灯パターンはパターン3、リールランプ点滅パターンはパターン9になる。これら各演出態様の組合せにより、一般遊技中にBBフラグが当選したことが予兆として遊技者に報知される。
【0063】
また、遊技状態ステータスが一般遊技中でフラグカウンタがBB内部当たり中の上記の場合において、No.7のデモ抽選テーブルで抽選値55の欄の組合せが選択されると、遊技開始音は1、リールランプ消灯パターンは消灯なし、リールランプ点滅パターンは点滅なしになる。また、GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ、FLGCTRのデータが00Hであれば、遊技状態は一般遊技中で当選フラグはハズレになる。この時のデモ抽選テーブルは、デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.0のデモ抽選テーブルになる。このNo.0のデモ抽選テーブルは図29に示され、同テーブルから抽選値100の欄が抽選によって選択されると、この時の演出態様組合せも、遊技開始音は1、リールランプ消灯パターンは消灯なし、リールランプ点滅パターンは点滅なしになる。つまり、異なる当選フラグが成立するゲームにおいても、予兆報知パターン決定用乱数の値によっては、同一の予兆報知パターンが出現する可能性がある。
【0064】
このようにして当選フラグの種類は、その時の遊技状態によって定まる演出態様の組合せによって遊技者に報知されるが、その信頼度は一様ではない。例えば、一般遊技中におけるBBフラグ当選の予兆報知が上記のように行われたとしても、その時に必ずしもBBフラグが当選しているとは限らない。つまり、一般遊技中にBBフラグが当選している際にその予兆報知が行われる確率はX(=0?100)%であり、また、一般遊技中にBBフラグが当選していないのにその予兆報知が行われる確率は(100-X)%である。
【0065】
また、RB内部当たり中またはBB内部当たり中にRBまたはBBフラグ当選の予兆報知が行われる確率も、同様に予め0?100%のいずれかの所定値に定められている。図33は、この中でRB内部当たり中またはBB内部当たり中にRBまたはBBフラグ当選の予兆報知が100%の確率で行われる11種類の確定パターンを示している。つまり、RB内部当たり中またはBB内部当たり中に同図に示す遊技開始音,リールランプ消灯パターンおよびリールランプ点滅パターンの各演出態様組合せの予兆報知が現れるのは、RBまたはBBフラグが当選している場合だけであり、RBまたはBBフラグが当選していない場合はない。
【0066】
RBまたはBBゲームが確定する図33に示す演出態様組合せパターンのテーブルも、ROM32の所定領域に予め記憶されている。
【0067】
また、マイコン30,ランプ駆動回路48および告知ランプ25は、入賞態様決定手段で決定された特定の入賞態様(本実施形態ではRBまたはBBの内部当たり)に対応した報知情報を報知手段によって100%の確率で遊技者に報知する際,その報知情報を表示器(本実施形態では告知ランプ25)の表示によって遊技者に告知する告知手段を構成している。
【0068】
次に、本実施形態においてマイコン30で制御される遊技機の動作について説明する。
【0069】
図34および図35はこの遊技処理の概略を示すフローチャートである。
【0070】
まず、CPU31により、メダルBETがなされたかどうかが判別される(図34,ステップ101参照)。この判別は、メダル投入口9にメダルが投入され、メダルセンサ9Sからの検出信号入力があった場合、あるいはBETスイッチ10,11,12からの信号入力があった場合に“YES”となる。その場合、第1リール3,第2リール4および第3リール5に内蔵された各バックランプ57a?57cは、CPU31によるランプ駆動回路48の制御によって全て点灯する。次に、スタートレバー15の操作によりスタートスイッチ15Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ102)。
【0071】
この判別が“YES”の場合、入賞態様決定手段によって入賞判定(確率抽選処理)が行われる(ステップ103)。前述したように入賞判定は、乱数発生器36で発生し、サンプリング回路37によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブル(図26参照)においてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。この入賞態様決定手段で決定された入賞態様は前述したFLGCTR(図32(b)参照)に、「ハズレ」,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」,「再遊技」,「RB」および「BB」の8種類の中のいずれか1つのデータが書き込まれて一時記憶される。
【0072】
この入賞判定処理に引き続き、入賞態様の報知選択抽選処理が行われる(ステップ104)。入賞態様の報知選択抽選処理は、図36に示すフローチャートに従って行われる。
【0073】
まず、RAM33に格納されたGMLVSTS領域(図32(a)参照)が参照され、その時の遊技状態が把握される(図36、ステップ201)。次に、FLGCTR領域に格納されたデータが参照され、当選フラグの種類が把握される(ステップ202)。次に、その時の遊技状態および当選したフラグの種類から、デモ抽選テーブル選択テーブル(図28参照)を参照してNo.0?No.17のうちのいずれか1つのデモ抽選テーブルが選択される(ステップ203)。次に、RAM33を一定時間間隔でリフレッシュするためのカウンタから任意のタイミングでカウント値Cが抽出される(ステップ204)。
【0074】
このカウント値Cは0?127の範囲で変化しており、抽出されたこのカウント値Cを用いて報知態様選択のための乱数抽選が行われる。つまり、このカウント値Cから、ステップ203で選択されたデモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値Rが減算され、減算結果A(=C-R)の正負が判断される(ステップ205)。減算結果Aが負にならない場合には、次にテーブルの次段の抽選値が抽選値Rにセットされ(ステップ206)、その後A-Rの減算が行われてその結果A(=A-R)の正負が判断される(ステップ207)。この演算は減算結果Aが負になるまで行われ、負になった場合にはその抽選値Rの欄の演出態様組合せが予兆報知される演出態様組合せに選択される(ステップ208)。
【0075】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選した場合には前述したようにNo.7のデモ抽選テーブルが選択されるが、この際の演出態様組合せの選択抽選処理は次のように行われる。まず、ステップ204でリフレッシュ・カウント値Cとして50が抽出されたとすると、ステップ205のC-Rの減算は、抽選値Rに最上段の抽選値55がまずセットされ、減算結果A=50-55=-5になる。
【0076】
この減算結果Aは負であるため、抽選値55の欄の演出態様組合せ、つまり、遊技開始音1,リールランプ消灯なし,リールランプ点滅なしの演出態様組合せが予兆報知態様に選択される。
【0077】
また、BB内部当たり中にスイカが当選した場合にはNo.16のデモ抽選テーブルが選択されるが(図28参照)、この際の演出態様組合せの選択抽選処理は次のように行われる。まず、リフレッシュ・カウント値Cとして61が抽出されたとすると、C-Rの減算は、抽選値Rに最上段の抽選値30がまずセットされ、減算結果A=61-30=31になる。この減算結果Aは正であるため、次にテーブルの次段の抽選値32が抽選値Rにセットされ、減算結果A=31-32=-1の正負が判断される。
【0078】
この減算結果Aは負であるため、抽選値32の欄の演出態様組合せ、つまり、遊技開始音1,リールランプ消灯パターン3,リールランプ点滅パターン3の演出態様組合せが予兆報知態様に選択される。
【0079】
次に、遊技開始音出音処理が行われる(図34、ステップ105)。この処理は上記の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せに従って行われ、遊技開始音の種類に応じてスピーカ駆動回路43がCPU31によって制御され、遊技開始音1または2のいずれか一方の遊技開始音がスピーカ39から出力される。遊技開始音1,2は機器前面下方に設けられた透音孔19から出音され、遊技者の聴覚にとらえられる。
【0080】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せが上記のように選択された場合には、遊技開始音1が出音される。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せが上記のように選択された場合にも、遊技開始音1が出音される。
【0081】
次に、第1リール3,第2リール4,第3リール5の回転処理が行われ(ステップ106)、これら各リール3,4,5は一斉に回転し出す。このリール回転処理に引き続き、各リール3,4,5の停止制御が行われる(ステップ107)。このリール停止制御処理の概要は図37のフローチャートに示される。
【0082】
遊技者による各停止ボタン16?18の操作は、前述したように、リール停止信号回路45を介してCPU31によって検出されており、第1リール停止ボタン16のON操作が図37のステップ121で検出された場合には、第1リール3の停止制御処理が行われる(ステップ122)。つまり、第1リール停止ボタン16が遊技者によって操作された時点で、第1リール3のステッピングモータ55に供給された駆動パルスの数がRAM33から読み出され、第1リール3の回転位置と対応づけられる。第1リール3の回転位置が分かると、シンボルテーブル(図27参照)との対照により、観察窓6に現れている3個のシンボルがシンボルコードとして把握される。
【0083】
この場合、大ヒットの当選フラグが立っているときには、観察窓6の有効化入賞ライン上に大ヒットを構成するシンボルがあるか否かがチェックされる。同様に、中ヒット,小ヒットの当選フラグが立っているときには、観察窓6の有効化入賞ライン上に中ヒット,小ヒットを構成するシンボルがあるか否かがチェックされる。有効化入賞ライン上に当選フラグに対応したシンボルがあるときは、CPU31は即座に第1リール3を停止させる。なお、第1リール3を瞬間的に停止させ得ないことを考慮し、リール回転位置の何ステップ分か前にこの処理を行うようにしてもよい。
【0084】
上記のチェック処理により、当選フラグに対応したシンボルが観察窓6の有効化入賞ライン上に現れていない場合には、さらに第1リール3をシンボル4コマ分回転させたときにどのようなシンボルが現れてくるかをチェックする。もし、この中に当選フラグに対応するシンボルが有ったときには、そのコマ位置まで第1リール3を回転させてそこで停止させる。この引き込み制御処理は後述する第2リール4および第3リール5の各停止制御処理時にも行われる。
【0085】
次に、第1リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ123)。この制御処理は、上述したステップ104の報知選択抽選処理で選択されたデモ抽選テーブルの演出態様組合せに従って実行され、第1リール3に内蔵されたバックランプ57a?57cが、選択された演出態様組合せのリールランプ消灯パターンに従って点灯制御される。
【0086】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第1リール3の各バックランプ57a?57cは図7(b)に示すように消灯されない。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第1リール3の各バックランプ57a?57cは図10(b)に示すように消灯される。この際、第2リール4および第3リール5は回転中であり、これら各リール4,5の各バックランプ57a?57cは点灯している。
【0087】
次に、第2リール4の停止ボタン17がON操作されたか否かが検出され(ステップ124)、この停止ボタン17のON操作が検出された場合には、第2リール4の停止制御処理が行われる(ステップ125)。この停止制御処理では、第2リール4が回転している状態で、まず、観察窓7の中央の入賞ラインL1にコードナンバ0?20の21通りのシンボルが停止することを想定し、有効化入賞ライン上に既に停止している第1リール3のシンボルとの組合せが読み込まれる。また、第3リール5については回転中であることを表す回転コードが読み込まれる。なお、第2リール4も回転中であるが、上記処理によって停止されることを仮定しているため、回転コードとしては読み込まれない。
【0088】
このようにしてシンボルコードの組合せが読み込まれると、前述した入賞シンボル組合せテーブルが参照され、第1リール3の停止により決定されたシンボルに対し、第2リール4が21通りの回転位置で停止したとき、有効化入賞ライン上にどのような入賞が生じる可能性があるかが順次判断されていく。例えば、図38(a)に示すように第1リール3が停止していたとすれば、第2リール4の停止位置を21通り想定してそのときのシンボル組合せパターンがチェックされる。例えば、同図(b)に示すように、第2リール4が観察窓7の中央でコードナンバ「5」で停止したとすると、各入賞ラインL1,L2A,L2B,L3A,L3B上でのシンボル組合せは同図(c)に示すようになる。
【0089】
第3リール5の矢印は回転中であることを示す回転コードであるが、第3リールの停止位置によっては、入賞ラインL1に「A-A-A」の大ヒット入賞、入賞ラインL2Bに「E-E-E」の小ヒット入賞が生じる可能性がある。従って、第2リール4のコードナンバ「5」に対しては、図39に示すように大ヒットの予想フラグと小ヒットの予想フラグとがセットされる。このような予想フラグの有無が第2リール4の全てのコードナンバについてチェックされ、これらデータはRAM33に書き込まれる。
【0090】
このようにしてRAM33に書き込まれた予想フラグデータは、第2リール4の停止制御時に参照される。つまり、第2リール4の停止ボタン17が操作されたとき、第2リール4のコードナンバに対応する予想フラグが参照され、大ヒットの予想が発生している場合には、有効化入賞ライン上に大ヒットのシンボルが停止するように第2リール4の停止制御が実行される。
【0091】
図37のステップ125における上記のリール停止制御処理が終わると、次に、第2リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ126)。この制御処理も、上述したステップ104の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せのリールランプ消灯パターンに従い、第2リール4に内蔵されたバックランプ57a?57cが点灯制御される。
【0092】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第2リール4の各バックランプ57a?57cは図7(c)に示すように消灯されない。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第2リール4の各バックランプ57a?57cは図10(c)に示すように消灯される。この際、第3リール5は回転中であり、第3リール5のバックランプ57a?57cは点灯している。
【0093】
次に、第3リール5の停止ボタン18がON操作されたか否かが検出され(ステップ127)、この停止ボタン18のON操作が検出された場合には、第3リール5の停止制御処理が行われる(ステップ128)。この停止制御処理では、既に第1リール3および第2リール4が停止してそのシンボルの組合せが特定されているので、これらのシンボルの組合せに対し、第3リール5の各々のコードナンバ毎に入賞の可能性が判定され、図39に示すテーブルと同様にして入賞予想フラグが立てられる。
【0094】
この予想フラグデータも第3リール5の停止ボタン18が操作されたときに参照され、大ヒットの予想が立っているときには、有効化入賞ライン上に大ヒットのシンボルが停止するように第3リール5の停止制御が実行される。この第3リール5の停止制御処理時には、既に停止している第1リール3,第2リール4のシンボルとの組合せによって当選フラグ通りの入賞が得られるだけでなく、当選フラグと異なる入賞が得られないようにリール停止位置が制御される。
【0095】
上述したステップ122の第1リール停止制御処理,ステップ125の第2リール停止制御処理およびステップ128の第3リール停止制御処理により、当選フラグが「ハズレ」の場合には、いずれの有効化入賞ライン上にも入賞シンボル組合せが揃わないように各リール3?5が停止制御される。
【0096】
また、当選フラグが「2枚チェリー」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「4枚チェリー」の場合には、2本の有効化入賞ライン上にシンボル「チェリー」の組合せがそれぞれ揃うように各リール3?5が停止制御される。また、当選フラグが「ベル」,「スイカ」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「ベル」,「スイカ」の組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0097】
また、当選フラグが「RB」,「BB」の場合には、いずれかの有効化入賞ライン上にシンボル「7」または所定のキャラクタ・シンボルの組合せが揃うように各リール3?5が停止制御される。
【0098】
次に、このリール停止制御処理が終了すると、第3リール・バックランプ制御処理が行われる(ステップ129)。この制御処理も、上述したステップ104の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せのリールランプ消灯パターンに従い、第3リール5に内蔵されたバックランプ57a?57cが点灯制御される。
【0099】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯なしとして選択された上記の場合には、第3リール5の各バックランプ57a?57cは図7(d)に示すように消灯されない。従って、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは、各停止ボタン16,17,18の操作に連動していずれも消灯せず、「点灯,点灯,点灯」したままの状態になる。
【0100】
また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ消灯パターン3として選択された上記の場合には、第1リール3の各バックランプ57a?57cは図10(d)に示すように消灯される。従って、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは、各停止ボタン16,17,18の操作に連動して「消灯,消灯,消灯」する。
【0101】
このようにして図34のステップ107のリール停止制御処理が終了すると、次に、リールランプ点滅制御が行われる(図34,ステップ108)。このリールランプ点滅制御処理もステップ104の報知選択抽選処理で選択された演出態様組合せのリールランプ点滅パターンに従い、第1リール3,第2リール4および第3リール5に内蔵された各バックランプ57a?57cが点滅制御される。
【0102】
例えば、一般遊技中にBBフラグが当選し、デモ抽選テーブルNo.7の抽選値55の欄の演出態様組合せがリールランプ点滅なしとして選択された上記の場合には、第1リール3,第2リール4および第3リール5の各バックランプ57a?57cは点滅制御されず、点灯したままの状態にされる。また、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せがリールランプ点滅パターン3として選択された上記の場合には、図14に示すように各リール3?5の各バックランプ57a?57cが点滅制御される。
【0103】
次に、告知ランプ25の点灯制御が行われる(図34、ステップ109)。この告知ランプ制御は図40に示すフローチャートに従って行われる。
【0104】
まず、図33に示す11種類の確定パターンが参照され(ステップ301)、今回の遊技の一連の流れにおける遊技開始音,リールランプ消灯パターンおよびリールランプ点滅パターンの演出態様組合せパターンが、このいずれかの確定パターンに一致するか否かが判断される(ステップ302)。一致しない場合には処理は終了する。一致する場合には次に告知ランプ25が現在点灯中か否かが判断され(ステップ303)、点灯中でない場合には告知ランプ25がランプ駆動回路48によって点灯制御される(ステップ304)。点灯中である場合には処理は終了する。
【0105】
例えば、BB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せが選択され、遊技開始音1,リールランプ消灯パターン3およびリールランプ点滅パターン3が遊技の一連の流れの中で演出された上記の場合は、確定パターン4に一致する。従って、この場合にはマイコン30の制御によってランプ駆動回路48が駆動され、告知ランプ25が点灯する。
【0106】
この際、マイコン30,ランプ駆動回路48および告知ランプ25は、入賞態様決定手段で決定されたRBまたはBBの内部当たりを上記の演出によって100%の確率で遊技者に報知する際、その報知情報を告知ランプ25の点灯表示によって遊技者に告知する告知手段を構成している。
【0107】
図41は告知ランプ25の点灯タイミングチャート図である。告知ランプ25は、BBまたはRBが確定する確定パターンが同図(b)に示すタイミングで表示し終わった時に、同図(a)に示すタイミングで点灯する。また、この告知ランプ25は、BBまたはRBの内部当たりフラグが同図(c)に示すようにONし、各リール3?5の停止時にBBまたはRBのシンボル組合せが停止表示されてBBまたはRB入賞が同図(d)に示すタイミングで発生し、その入賞によるメダル払い出しが終了する同図(e)に示すタイミングで消灯する。
【0108】
このように確定パターンが表示されたことを条件に告知ランプ25が点灯されることにより、今表示された予兆報知が、BBまたはRBの内部当たりが100%の確率で起きている予兆報知であることを、遊技者は認識することが出来る。
【0109】
上記の告知ランプ制御が終了すると遊技処理は、次に、全リール停止時の表示が所定の入賞シンボル組合せであるか否かが、入賞シンボル組合せテーブルを参照して判断される(図34,ステップ110)。つまり、リール停止制御は全て機械によって行われるのではなく、遊技者による各停止ボタン16?18の操作タイミングも問われているため、内部抽選の結果入賞当選フラグが立っていても、停止ボタン16?18が所定タイミングに操作されないと、有効化入賞ライン上に入賞シンボル組合せは揃わず、入賞は発生しない。上述した通り、引き込み制御は4コマ分が限度であるため、その4コマの中に入賞シンボルが存在しない場合は、結局、予定した入賞シンボルの組合せは得られないためである。
【0110】
入賞が得られなかったときにはステップ110の判定は“NO”となり、処理は初めのステップ101に戻る。また、入賞判定の結果リプレイゲーム(再遊技)であるときは、処理はステップ102のスタートレバー15の操作待ち処理に戻る(ステップ111)。リプレイゲームでない入賞のときには、CPU31によってホッパ駆動回路41が制御され、所定枚数のメダルがホッパ38によってコイン受け皿20へ払い出される(図35,ステップ112)。
【0111】
例えば、「2枚チェリー」の小当たり入賞の場合には2枚のメダルが払い出され、「4枚チェリー」の小当たり入賞の場合には4枚のメダルが払い出される。また、「ベル」の小当たり入賞の場合には6枚のメダル、「スイカ」の小当たり入賞の場合には8枚のメダルが払い出される。また、「BB」,「RB」の大当たり入賞の場合にはそれぞれ15枚のメダルが払い出される。
【0112】
次に、BBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ113)、BBゲームが発生している場合にはBBゲームが実行される(ステップ114)。また、BBゲームが発生していない場合には、次にRBゲームが発生したか否かが判断され(ステップ115)、RBゲームが発生している場合にはRBゲームが実行される(ステップ116)。その後、上述した処理が繰り返されてスロットマシン遊技が行われる。
【0113】
このような本実施形態によれば、内部抽選によって決定された入賞態様がスロットマシン遊技の一連の流れを通じて遊技者に報知される。すなわち、各リール3?5の回転が開始されるときに音発生手段によって発生される遊技開始音の種類,各リール3?5が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各バックランプ57a?57cの表示態様(リールランプ消灯パターン)の種類、および各リール3?5の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される各バックランプ57a?57cの表示態様(リールランプ点滅パターン)の種類の組合せにより、入賞態様が遊技者に報知される。
【0114】
例えば、上述したBB内部当たり中にスイカが当選し、デモ抽選テーブルNo.16の抽選値32の欄の演出態様組合せが選択された場合には、遊技者は、スタートレバー15の操作時に遊技開始音1を聞き、第1リール3,第2リール4,第3リール5を各停止操作する最中に各バックランプ57a?57cが消灯,消灯,消灯するのを視覚でとらえ、全リール3?5が停止した後に各バックランプ57a?57cがリールランプ点滅パターン3の態様で停止表示するのを視覚でとらえる。
【0115】
本実施形態では上記のように遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く。つまり、スタートレバー15の操作によって各リール3?5の回転が開始し、各停止ボタン16?18の操作によってこの回転が各列毎に順次停止して行き、全てのリール3?5の回転が停止するのに伴い、内部抽選によって決定された当選フラグの種類が遊技者に順次報知されて行く。従って、従来、機械内部の乱数抽選で決定された内部抽選の結果は、大当たり入賞以外の入賞態様については、各窓に図柄が実際に停止表示されるまで全く分からなかったが、本実施形態によれば、遊技者は入賞態様をある程度予測できるようになる。
【0116】
また、本実施形態においては、BBまたはRBの内部当たりが100%の確率で報知される場合に、告知ランプ25の点灯表示により、BBまたはRBの内部当たりが起きていることが遊技者に告知される。BBまたはRBの内部当たりが100%より小さい確率で報知される場合、つまり、BBまたはRBの内部当たりが内部抽選によって発生していても必ずその報知がなされるとは限らない場合には、告知ランプ25の点灯表示によってその内部抽選結果は告知されない。従って、遊技者は、告知ランプ25にBBまたはRBの内部当たり発生の内部抽選結果が表示されていない場合にも、遊技の一連の流れを通じて報知される演出態様組合せパターンによってBBまたはRBの内部当たり発生の内部抽選結果を知ることが出来る。
【0117】
このため、大当たり入賞発生の内部抽選結果がそのまま機械的に遊技者に知らされる従来の遊技機と異なり、本実施形態による遊技機によれば、遊技者は例えばリーチ目を探すようにその内部抽選結果を探す喜びを持つことが出来るようになる。
【0118】
なお、上記実施形態の説明においては告知手段である告知ランプ25を機器前面パネルに告知専用に設けた場合について説明したが、既存の表示装置を使って特定入賞態様のフラグ成立を告知するようにしてもよい。例えば、スピーカ39から特殊な音を放出して特定フラグの成立を告知してもよい。また、各リール3?5を震えさせて特定フラグの成立を告知してもよい。
【0119】
また、各入賞態様のフラグ成立を予兆報知する報知手段により、告知手段を実現するようにしてもよい。例えば、各リール停止時に行われる停止演出手段によるリールランプ点滅表示の終了後に、各リール3?5の各バックランプ57a?57cの点滅態様を特定の報知態様で表示して特定フラグ成立を告知するようにしてもよい。
【0120】
また、液晶表示部24を各入賞態様のフラグ成立を予兆報知する報知手段として使用し、しかも、この液晶表示部24を告知手段としても使用するようにしてもよい。つまり、リールバックランプ等の表示態様の演出組合せによって予兆報知を行う代わりに、液晶表示部24にキャラクタ等を登場させ、このキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行ったり、その背景画像表示の変化の組合せによって予兆報知を行ってもよい。そして、この液晶表示部24の表示を予兆報知と異なる特定の態様で表示させて告知手段の告知をするようにしてもよい。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部抽選によって決定された入賞態様が報知手段によって遊技者に報知される。従って、遊技者はある程度入賞態様の予測をすることが可能となる。
【0122】
また、遊技者は、特定入賞態様発生の内部抽選結果が告知手段によって告知されていない場合にも、報知手段の報知情報によって特定入賞態様発生の内部抽選結果を知ることが出来る。このため、報知手段の報知情報から特定入賞態様の発生を探す喜びが遊技に生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるスロットマシンの外観を示す正面図である。
【図2】図1に示すスロットマシンの回転リールユニットを示す斜視図である。
【図3】図2に示す回転リールユニットを構成する回転リールの構造を示す斜視図である。
【図4】図1に示すスロットマシンの表示窓に記された入賞ラインが順次有効化される状態を示す図である。
【図5】図1に示すスロットマシンの主要な制御回路構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において遊技開始音が出力されるタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図7】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第1の連動表示態様(リールランプ消灯なし)を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第2の連動表示態様(リールランプ消灯パターン1)を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第3の連動表示態様(リールランプ消灯パターン2)を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において連動演出手段によって遊技者に報知される第4の連動表示態様(リールランプ消灯パターン3)を示す図である。
【図11】図10に示す第4の連動表示態様が行われる際の回路各部のタイミングを示すタイミングチャート図である。
【図12】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第2の停止表示態様(リールランプ点滅パターン1)を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第3の停止表示態様(リールランプ点滅パターン2)を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第4の停止表示態様(リールランプ点滅パターン3)を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様(リールランプ点滅パターン4)の前半を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第5の停止表示態様(リールランプ点滅パターン4)の後半を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第6の停止表示態様(リールランプ点滅パターン5)を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第7の停止表示態様(リールランプ点滅パターン6)を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様(リールランプ点滅パターン7)の前半を示す図である。
【図20】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様(リールランプ点滅パターン7)の中半を示す図である。
【図21】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第8の停止表示態様(リールランプ点滅パターン7)の後半を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第9の停止表示態様(リールランプ点滅パターン8)を示す図である。
【図23】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様(リールランプ点滅パターン9)の前半を示す図である。
【図24】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様(リールランプ点滅パターン9)の中半を示す図である。
【図25】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理において停止演出手段によって遊技者に報知される第10の停止表示態様(リールランプ点滅パターン9)の後半を示す図である。
【図26】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞確率テーブルを示す図である。
【図27】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるシンボルテーブルを示す図である。
【図28】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるデモ抽選テーブル選択テーブルを示す図である。
【図29】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第1のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図30】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第2のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図31】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第3のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図32】(a)は本発明の一実施形態によるスロットマシンのRAMに記憶された遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域の内容、(b)は同RAMに記憶されたフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域の内容を示す図である。
【図33】特定入賞態様発生の予兆報知が100%の確率で行われる確定パターンを示す図である。
【図34】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第1のフローチャートである。
【図35】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理を示す第2のフローチャートである。
【図36】図34に示す報知選択抽選処理の内容を示すフローチャートである。
【図37】図34に示すリール停止制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図38】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理で各回転リールに割り当てて読み込まれるシンボルコードの関係を示す図である。
【図39】本発明の一実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるヒット予想フラグテーブルを示す図である。
【図40】図34に示す告知ランプ制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図41】告知ランプの点灯タイミングチャートを示す図である。
【図42】従来のスロットマシンにおける各リールバックランプの点灯状態を示す図である。
【符号の説明】
1…スロットマシン
2…前面パネル
3,4,5…第1,第2,第3リール
6,7,8…窓
9…メダル投入口
10,11,12…BETスイッチ
13…クレジット数表示部
14…クレジット/精算切換スイッチ
15…スタートレバー
16,17,18…停止ボタン
19…透音孔
20…メダル受皿
21…メダル払出口
22…配当表示部
23…有効化ライン表示ランプ
24…液晶表示部
25…告知ランプ
L1,L2A,L2B,L3A,L3B…入賞ライン
57a,57b,57c…バックランプ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-12-15 
結審通知日 2010-12-17 
審決日 2011-01-11 
出願番号 特願平11-261847
審決分類 P 1 113・ 841- YA (A63F)
P 1 113・ 537- YA (A63F)
P 1 113・ 121- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦鉄 豊郎  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 井上 昌宏
吉村 尚
登録日 2000-04-28 
登録番号 特許第3062193号(P3062193)
発明の名称 遊技機  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  
代理人 黒田 博道  

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