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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61K
管理番号 1235136
審判番号 訂正2011-390016  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-02-14 
確定日 2011-03-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4665052号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4665052号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第4665052号発明[平成21年2月6日(優先権主張2008年2月8日、2008年8月1日、いずれも日本国)を国際出願日とする特願2009-552546号について、平成23年1月14日設定登録がなされた]の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、すなわち、下記訂正事項a?cのとおり訂正することを求めるものである。
なお、審判請求書の記載に関し、訂正事項a?cの訂正前の請求項1、18及び19において、補正された箇所を示す下線( )は、誤解を避けるために省略されているものと理解できる。そして、同様の趣旨で、訂正明細書及び特許請求の範囲において訂正された箇所を示す下線( )は省略されているものと認める。

訂正事項a 請求項1
「【請求項1】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする美白剤。


(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:


X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)」
とあるのを、
「【請求項1】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする美白剤。

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:


X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)」
と訂正する。

訂正事項b 請求項18
「【請求項18】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。


(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:


X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)」
とあるのを、
「【請求項18】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:


X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;

2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)」
と訂正する。

訂正事項c 請求項19
「【請求項19】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合したことを特徴とする化粧料。


(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:


X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)」
とあるのを、
「【請求項19】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合したことを特徴とする化粧料。

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:


X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;

2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)」
と訂正する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討する。
(2-1)訂正事項aについて
訂正事項aの訂正は、一般式(1)中の「m」を「n」に訂正しようとするものである。
ここで、明細書の段落【0008】及び【0020】、並びに日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の請求項1(以下、「明細書等」という。)には、一般式(1)として、


が記載されている。また、明細書の段落【0009】及び【0024】、並びに特許請求の範囲の請求項1における記載をみると、「n」に関する定義はあるものの、「m」に関しては定義されていない。さらに、R_(3)とR_(4)はいずれも選択肢として「H」を採り得ることが定義されていることを勘案すると、一般式(1)の構造上、複素環に対してR_(3)又はR_(4)として置換し得る置換基の数は同数となることが明らかである。
さらに、一般式(1)の構造上、複素環に対してR_(3)又はR_(4)として置換し得る置換基の数は同数となることが明らかである。
したがって、訂正事項aの訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。

(2-2)訂正事項bについて
訂正事項bの訂正は、(i)一般式(1)中の「m」を「n」に、また、(ii)「---」を「---」に、それぞれ訂正しようとするものである。
(i)の点は、前記「(2-1)」で示したとおり、誤記の訂正を目的とするものである。
一方、(ii)の点に関しては、明細書の段落【0009】及び【0024】、並びに日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の請求項1における記載をみると、「--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、……」と記載されている。
また、(ii)の点は一般式(1)中の複素環における炭素原子間の結合の定義に関するものであるが、一般式(1)では、「---」で示される結合に加え、当該炭素原子間の結合として実線で示される結合も記載されている。ここで、「---」が単結合又は二重結合であるとすれば、当該炭素原子間の結合を全体としてみると二重結合又は三重結合となるが、この場合、少なくとも複素環に対してR_(3)が置換され得る置換基の数であることが明らかな「n」について、n=2であることはあり得ず、定義されるべきn=0の場合の記載もないから、「--- は単結合又は二重結合を表し」という記載と、「単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1」という記載とは両立し得ないことは明らかである。
したがって、訂正事項bの訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。

(2-3)訂正事項cについて
訂正事項cの訂正は、(i)一般式(1)中の「m」を「n」に、また、(ii)「---」を「---」に、それぞれ訂正しようとするものである。これは、訂正事項bである請求項18と同様であって、請求項18と請求項19とは、その末尾の記載が「皮膚外用剤。」であるか「化粧料。」であるかという点のみが相違するものとなっている。そうすると、上記(i)及び(ii)の点に関する検討は、前記「(2-2)」で示したのと同様である。
したがって、訂正事項cの訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。

(2-4)訂正事項a?cの全般について
訂正事項a?cの訂正は、特許法第184条の6第2項の規定により願書の最初に添付した明細書又は特許請求の範囲とみなされる、日本語特許出願に係る国際出願日における明細書又は請求の範囲に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また、訂正事項a?cの訂正が特許法第126条第1項ただし書第2号の誤記の訂正に該当するものであるところ、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとはいえない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
美白剤及び皮膚外用剤
【関連出願】
【0001】
本出願は、2008年2月8日付け出願の日本国特許出願2008-29106号ならびに2008年8月1日付け出願の日本国特許出願2008-199606号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は美白剤及び皮膚外用剤、特にその有効成分に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚のしみ、そばかすなどの色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激がきっかけとなって、表皮色素細胞内でのメラニン産生が亢進し、メラニンが表皮に過剰に沈着するため生ずる。
このようなメラニン色素の異常沈着の防止、改善を目的として、美白剤を皮膚外用剤に配合することが行われている。現在、美白剤として皮膚外用剤に配合されている成分としては、ビタミンC誘導体、コウジ酸、アルブチン(4-ヒドロキシフェニル-β-D-グルコピラノシド)やルシノール(4-n-ブチルレソルシノール)、エラグ酸などがあり、これらはメラニン生成抑制作用を有することが知られている。
しかしながら、その効果や安全性などの点において、未だ十分に満足し得るものは得られておらず、新しい美白剤の開発が望まれていた。
【0004】
一方、特許文献1には、抗菌又は殺菌効果を有する2-アミノチアゾール化合物が記載されている。
また、特許文献2には、C17,20リアーゼ阻害効果を有するチアゾール化合物が記載されている。
また、特許文献3には、有害生物に対する防除効果を有するチアゾリン化合物が記載されている。
しかしながら、これら文献にはメラニン生成抑制作用や美白効果については全く記載されていない。
【0005】
【特許文献1】特許第3033178号公報
【特許文献2】特表2005-532983号公報
【特許文献3】特開平6-25197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、優れたメラニン生成抑制作用を有し、美白剤として有用な化合物、ならびにこれを配合した皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明者等が鋭意検討を行った結果、特定のヘテロ環化合物に優れたメラニン生成抑制作用があること、さらには、細胞毒性も極めて低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる美白剤は、下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする。
【0008】

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジルカルボニル、ベンゾイル、又は下記基(A1)である:

X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
【0009】
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
【0010】
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)
【0011】
また、本発明は、前記美白剤において、YがSである美白剤を提供する。
また、本発明は、前記美白剤において、Aが基(A1)である美白剤を提供する。
また、本発明は、前記美白剤において、--- が単結合である美白剤を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-1)で示される美白剤を提供する。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【0013】
また、本発明は、前記美白剤において、一般式(1-1)でR_(3)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルである美白剤を提供する。
また、本発明は、前記美白剤において、一般式(1-1)でR_(4)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルであるか、あるいはC(R_(4))_(2)がC=CH_(2)である美白剤を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-2)で示される美白剤を提供する。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
また、本発明は、前記美白剤において、一般式(1-2)でR_(3)、R_(4)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルである美白剤を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記美白剤において、--- が二重結合である美白剤を提供する。
また、本発明は、前記美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-3)で示される美白剤を提供する。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【0016】
また、本発明は、前記美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-4)で示される美白剤を提供する。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
また、本発明は、前記美白剤において、一般式(1-3)又は(1-4)でR_(3)がC_(1-6)アルキル又は基(A1)である美白剤を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記美白剤において、一般式(1-3)又は(1-4)でR_(4)がH又はC_(1-6)アルキルである美白剤を提供する。
また、本発明は、前記美白剤において、RaがHである美白剤を提供する。
また、本発明は、前記美白剤において、R_(5)がC_(1-6)アルキルである美白剤を提供する。
【0018】
また、本発明は、前記美白剤の有効成分がメラニン生成を抑制する美白剤を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載のヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合した皮膚外用剤、ならびに化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の美白剤は、優れたメラニン生成抑制作用を有し、また細胞毒性も極めて低いので、美白剤として皮膚外用剤に好適に配合できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にかかる美白剤は、下記一般式(1)で示される化合物を含む。

一般式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジルカルボニル、ベンゾイル、又は下記一般式(A1)で示される基である。
【0021】

【0022】
基(A1)において、X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである。
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである。
従って、X_(1),X_(2)を含む不飽和6員環は、ベンゼン環、ピリジン環、又はピリミジン環である。
【0023】
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHであり、R_(5)の好適な例としてはC_(1-6)アルキルが挙げられる。
pは0?3の整数である。pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい。
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルであり、Raの好適な例としてはHが挙げられる。
【0024】
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1である。n=2の場合、2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい。
YはS又はOである。従って、一般式(1)中、Yを含む不飽和5員ヘテロ環は、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、又はオキサゾリンである。
【0025】
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であることができる。また、一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよい。あるいは、C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい。
ただし、本発明においては、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。
【0026】
一般式(1)で示される化合物の好適な例として、Y=Sである化合物が挙げられる。
また、一般式(1)で示される化合物の好適な例として、Aが基(A1)であるものが挙げられる。
【0027】
Aが基(A1)である化合物の好適な例の一つとして、--- が単結合である化合物が挙げられる。このような化合物の好適な例として、下記一般式(1-1)又は一般式(1-2)で示される化合物が挙げられる。
【0028】

【0029】

(一般式(1-1)及び(1-2)中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである)
【0030】
一般式(1-1)で示される化合物の好適な例の一つとして、R_(3)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルである化合物が挙げられる。
また、一般式(1-1)で示される化合物の好適な例の一つとして、R_(4)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルであるか、あるいはC(R_(4))_(2)がC=CH_(2)である化合物が挙げられる。
また、一般式(1-2)で示される化合物の好適な例の一つとして、R_(3)、R_(4)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルである化合物が挙げられる。
【0031】
なお、一般式(1)の化合物のうち、--- が単結合でRa=Hである化合物には下記のような互変異性体が考えられるが、本発明においては、このような互変異性体も上記一般式(1)の化合物に包含される。

【0032】
また、Aが基(A1)である化合物の好適な例の一つとして、--- が二重結合である化合物が挙げられる。このような化合物の好適な例として、下記一般式(1-3)又は一般式(1-4)で示される化合物が挙げられる。
【0033】

【0034】

(一般式(1-3)及び(1-4)中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【0035】
一般式(1-3)又は(1-4)で示される化合物の好適な例の一つとして、R_(3)がC_(1-6)アルキル又は基(A1)である化合物が挙げられる。
また、一般式(1-3)又は(1-4)で示される化合物の好適な例の一つとして、R_(4)がH又はC_(1-6)アルキルである化合物が挙げられる。
【0036】
一般式(1)の化合物は、公知の方法により合成することもできるし、市販品として入手することもできる。
合成する場合には、官能基が分子内に存在し、この官能基が反応の妨害となる、あるいはその恐れのある場合には、適切な保護基を用いて効率的に反応を進行させることが好ましい。保護基の利用は、例えば、Theodora W.Greene、Peter G.M.WutsによるProtective Groups in Organic Synthesis等に従って実施できる。
【0037】
また、配座異性体や幾何異性体、光学異性体などの異性体が存在する場合には、原料、反応条件の適切な選択、及び分離操作を行うことで、純粋な異性体または幾何異性体として得ることができる。本発明においては、一般式(1)の化合物の純粋な異性体、あるいはその混合物も包含される。
【0038】
一般式(1)において--- が単結合でRa=Hである化合物は、例えば、下記スキーム1に示される反応により得ることができる。
スキーム1:

【0039】
スキーム1において、イソ(チオ)シアネート化合物(2)とエタノールアミン化合物(3)との反応は、例えば、クロロホルムなど適当な溶媒中、必要に応じて加熱しながら行うことができる。得られた(チオ)ウレア化合物(4)の閉環反応は、例えば、酸触媒存在下で加熱して行うことができる。本反応は、例えば、特開昭62-228089号などに記載された方法に準じて行うことができる。
また、特開平6-25197号に記載される方法のように、2-イミノ(又は2-アミノ)チアゾリン化合物(又はオキサゾリン化合物)と、A-X(Xはハロゲン)で示される化合物との反応を採用することもできる。本反応は、通常、適当な溶媒中で、トリエチルアミンなどの塩基存在下、必要に応じて加熱して行うことができる。
【0040】
また、一般式(1)において--- が二重結合でRa=Hある化合物は、例えば、スキーム2に示される反応により得ることができる。
スキーム2:

【0041】
スキーム2において、(チオ)ウレア化合物(5)とαハロケトン化合物(6)との反応は、メタノールなど適当な溶媒中、室温下又は加熱下で、必要に応じてトリエチルアミンなどの塩基存在下で行われる。本反応は、例えば、特表2005-532983号、特許第3023178号などに記載された方法に準じて行うことができる。
また、特許第3023178号に記載されるように、2-アミノチアゾール化合物(又は2-アミノオキサゾール化合物)と、A-X(Xはハロゲン)で示される化合物との反応を採用することもできる。本反応は、通常、適当な溶媒中で、トリエチルアミンなどの塩基存在下、必要に応じて加熱して行うことができる。
【0042】
また、一般式(1)の化合物は、必要に応じて、通常の方法により酸付加塩へと変換することができる。酸付加塩の酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
【0043】
また、一般式(1)の化合物は、商業的に入手可能なものも多数存在する。例えば、Enamine社(ウクライナ)、Pharmeks社(ロシア)、Labotest社(ドイツ)、Scientific Exchange社(米国)、Life Chemicals社(ウクライナ)、Asinex社(ロシア)、Vitas-M Laboratory社(ロシア)、ACB Blocks社(ロシア)、Bionet社(米国)、Princeton Biomolecular社(米国)、その他の各種サプライヤーから入手することが可能である。
【0044】
一般式(1)の化合物は、優れたメラニン生成抑制作用を有し、また、細胞毒性も非常に低い。よって、本化合物は美白剤として有用であり、各種皮膚外用剤、特に、しみ、そばかす、くすみなどの改善や防止を目的とした皮膚外用剤に好適に配合できる。
一般式(1)の化合物を美白剤として皮膚外用剤に配合する場合、外用剤全量中における配合量は、通常0.0002質量%以上、好ましくは0.002質量%以上である。配合量が少なすぎると効果が十分に発揮されない。上限は特に規定されないが、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。過剰に配合しても増量に見合った顕著な効果が得られないことがあり、また、製剤設計や使用性などにおいて影響を及ぼすことがある。
【0045】
本発明の皮膚外用剤は、一般式(1)の化合物を配合すること以外は、常法により製造することができる。
また、本発明の皮膚外用剤には、一般式(1)の化合物に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば油分、湿潤剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、界面活性剤、防腐剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤、粉末、色材、生薬、その他各種薬効成分等を必要に応じて適宜配合することができる。
さらに、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、トラネキサム酸、リノール酸等の他の美白剤も適宜配合することができる。
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、化粧料、医薬品、医薬部外品の分野において広く適用可能である。その剤型は、皮膚に適用可能であれば特に限定されず、例えば、溶液状、乳化状、固形状、半固形状、粉末状、粉末分散状、水-油二層分離状、水-油-粉末三層分離状、軟膏状、ゲル状、エアゾール状、ムース状、スティック状等、任意の剤型が適用できる。また、その使用形態も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック、エッセンス、ジェル等のフェーシャル化粧料や、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー等のメーキャップ化粧料などが挙げられる。
以下、具体例を挙げてさらに本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
一般式(1)の化合物について、メラニン生成抑制試験を行った。試験方法は次の通りである。
【0048】
メラニン生成抑制試験
(1)細胞播種・試験物質の添加
マウスB16メラノーマ細胞を6ウェルプレートに100,000細胞/ウェルで播種した。翌日、試験物質溶液(溶媒:DMSO)を添加した。
(2)細胞増殖試験
試験物質溶液添加から3日後に培地を吸引除去した後、10%のアラマブルー溶液を含むEMEM培地を1ml添加して、37℃で反応させた。30分後に100μlを96ウェルプレートに移し、励起波長544nm、測定波長590nmで蛍光を測定した。その値を細胞数の相対値として、試験物質無添加群(溶媒のみ添加)に対する試験物質添加群の細胞数比率(%細胞数)を算出した。%細胞数が高いほど細胞毒性が低いことを意味する。%細胞数が80%以上の場合を毒性なし、80%未満は毒性ありと判断した。
【0049】
(3)メラニン定量
細胞増殖試験後の細胞をPBSにて3回洗浄した後、1M NaOH 200μLを添加して細胞を溶解し、475nmの吸光度を測定した。この値をメラニン量の相対値として、試験物質無添加群(溶媒のみ添加)に対する試験物質添加群のメラニン量比率(%)を算出した。メラニン量比率が低いほどメラニン生成抑制効果が高いことを意味する。毒性なしと判断した試験物質終濃度において、メラニン量比率(%)が80%以下となった最小の試験物質終濃度をメラニン生成抑制最小濃度(ppm)とし、下記の基準でメラニン生成抑制効果を評価した。
◎:メラニン生成抑制最小濃度が1ppm以下である。
○:メラニン生成抑制最小濃度が1ppmより大きく10ppm以下である。
×:10ppm以下でメラニン生成抑制効果がない(10ppm以下ではメラニン量比率が80%以下にならない)。
【0050】
表1?5に本発明化合物のメラニン生成抑制試験の結果を示す。
表1?5の化合物には何れもメラニン生成抑制効果が認められ、ほとんどの化合物が1ppm以下という極めて低濃度で効果を示した。
なお、表中の記号は次の基を意味する。
Me:メチル、Et:エチル、tBu:tert-ブチル、
Phe:フェニル、Ac:アセチル
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
以下、本発明の美白剤にかかるヘテロ環化合物の代表的な合成例を示す。対応する原料を用いてこれら合成例に準じた反応を行うことにより、各種のヘテロ環化合物を得ることができる。
【0057】
合成例1-1 4-(5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルアミノ)フェノール(化合物41)の合成
50mLナス型フラスコにp-アニシジン(0.60g,4.86mmol)及びメタノール(4.0mL)を加え、メタリルイソチオシアネート(0.50g,4.42mmol)を室温にて滴下した。滴下終了後、室温にて12時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを用いて1回抽出し、有機相を飽和食塩水にて洗浄した後に無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル及びヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、1-(4-メトキシフェニル)-3-(2-メチルアリル)チオウレア0.79g(収率76%)を得た。
【0058】
1-(4-メトキシフェニル)-3-(2-メチルアリル)チオウレア(0.50g,2.11mmol)及び35%塩酸(5.0mL)を耐圧反応器に入れ、封管して140℃にて5時間攪拌した。反応終了後、3N水酸化ナトリウム水溶液をpHが14になるまで加え、酢酸エチルを用いて2回抽出した。有機相を飽和食塩水にて洗浄した後に無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。減圧下にて溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)を用いて精製することにより4-(5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルアミノ)フェノール(化合物41)0.19g(収率40%)を得た。
【0059】
合成例1-2 (ヘテロ)アリールアミノチアゾリン類の合成
合成例1-1において、アニシジンに代えて原料Aを用いた以外は同様にして、表6記載の(ヘテロ)アリールアミノチアゾリン類をそれぞれ合成した。
【0060】
【表6】

【0061】
合成例2 4-(ピリジン-2-イル)-N-o-トルイルチアゾール-2-アミン(化合物2)の合成
メタノール975mLにトリエチルアミン(14.0g,137mmol)、o-トルイルチオウレア(11.54g,69.4mmol)、2-(ブロモアセチル)ピリジン臭化水素塩(19.5g,69.4mmol)を加え、室温にて15時間攪拌した。反応終了後、水1950mLを加えて析出した結晶をろ取した。得られた固体を水:メタノール混合溶媒から晶析させることにより表題化合物(14.0g,76%)を得た。
^(1)H-NMR(DMSO-d_(6)):2.30(3H,s),7.01-7.04(1H,m),7.22-7.30(3H,m),7.46(1H,s),7.82-7.91(2H,m),7.97(1H,d),8.56(1H,d),9.32(1H,s)
【0062】
参考例1 4,4-ジメチル-N-フェニル-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミンの合成
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(61.6g,0.69moL)をクロロホルム500gに溶解し、イソチオシアン酸フェニル(81.6g,0.6moL)のクロロホルム300g溶液を攪拌しながら1時間かけてゆっくりと滴下した。滴下後、室温で12時間攪拌した後、析出した結晶を加熱還流にて溶解し再結晶した。得られた結晶をろ取し、20mLのジエチルエーテルで3回洗浄し、室温で減圧乾燥してN-(1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル)-N’-フェニルチオ尿素80.1g(収率60%)を得た。
【0063】
N-(1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル)-N’-フェニルチオ尿素(80.1g,0.36mol)を2400mLの35%HClに溶解し、90℃で1.5時間加熱攪拌した。冷却後、NaOHで中和してジエチルエーテルにて抽出し、飽和食塩水にて洗浄した後に無水硫酸ナトリウムを加えた。その有機相を減圧留去し、ヘキサンで3回洗浄して得られた結晶を室温で減圧乾燥した。その後、メタノールから再結晶を2回行うことにより表題化合物22.4g(収率18%)を得た。
^(1)H-NMR(CDCl_(3)):1.39(6H,s),3.08(2H,s),7.01-7.09(3H,m),7.26-7.30(2H,m)
【0064】
以下、本発明にかかる皮膚外用剤の処方例を示す。各処方例において、本発明化合物として一つあるいは2つ以上の化合物を用いることができる。下記処方例の皮膚外用剤はいずれも本発明化合物の配合により美白効果を発揮するものである。
【0065】
処方例1 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
本発明化合物 0.1
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.05
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0066】
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0067】
処方例2 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.5
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノステアリン酸エステル
1.5
アルブチン 7.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
プロピレングリコール 10.0
本発明化合物 0.05
グリセリントリオクタノエート 10.0
スクワレン 5.0
パラジメチルアミノ安息香酸オクチル 3.0
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0068】
(製法)
イオン交換水をプロピレングリコールおよびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を加えて溶解し、70℃に保った(水相)。その他の成分を混合して加熱溶解して70℃に保ち(油相)、水相に油相を除々に加えて70℃で予備乳化を行い、ホモミキサーにて均一に乳化した後、よくかき混ぜながら30℃まで冷却した。
【0069】
処方例3 クリーム
(処方)
固形パラフィン 5.0 質量%
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
本発明化合物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0070】
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0071】
処方例4 乳液
(処方)
ステアリン酸 2.5 質量%
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
POE(10)モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
本発明化合物 0.01
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0072】
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0073】
処方例5 乳液
(処方)
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
蜜ロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
本発明化合物 1.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
【0074】
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0075】
処方例6 ゼリー
(処方)
95%エチルアルコール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
POE(50)オレイルエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
苛性ソーダ 0.15
L-アルギニン 0.1
本発明化合物 5.0
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム
0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
【0076】
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し、一方、95%エタノールに本発明化合物、POE(50)オレイルエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L-アルギニンで中和させ増粘する。
【0077】
処方例7 美容液
(処方)
(A相)
エチルアルコール(95%) 10.0 質量%
POE(20)オクチルドデカノール 1.0
パントテニールエチルエーテル 0.1
本発明化合物 2.0
メチルパラベン 0.15
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
【0078】
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行う。
【0079】
処方例8 パック
(処方)
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0 質量%
POE(60)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
本発明化合物 0.05
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 13.0
(ケン化度90、重合度2,000)
エタノール 7.0
精製水 残余
【0080】
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。
【0081】
処方例9 固形ファンデーション
(処方)
タルク 43.1 質量%
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
本発明化合物 0.5
防腐剤 適量
香料 適量
【0082】
(製法)
タルク?黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン?オクタン酸イソセチルの油性成分、本発明化合物、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0083】
処方例10 乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
(処方)
(粉体部)
二酸化チタン 10.3 質量%
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
本発明化合物 0.5
(水相)
精製水 50.0
1,3-ブチレングルコール 4.5
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
【0084】
(製法)
水相を加熱撹拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、撹拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。
【0085】
処方例11 化粧水
(1)本発明化合物 0.05 質量%
(2)アスパラギン酸 1.0
(3)酢酸トコフェロール 0.01
(4)グリセリン 4.0
(5)1,3-ブチレングリコール 4.0
(6)エタノール 8.0
(7)POE(60)硬化ヒマシ油 0.5
(8)メチルパラベン 0.2
(9)クエン酸 0.05
(10)クエン酸ナトリウム 0.1
(11)香料 0.05
(12)精製水 残 余
【0086】
(製法)
(12)に(2)、(4)、(5)、(9)及び(10)を溶解して精製水溶液とした。別に、(6)に(1)、(3)、(7)、(8)、及び(11)を溶解し、これを前述の精製水溶液に加えて可溶化し、濾過して化粧水を得た。
【0087】
処方例12 化粧水
A:アルコール相
エタノール 5.0 質量%
POEオレイルエーテル 2.0
2-エチルヘキシル-p-ジメチルアミノベンゾエート 0.18
本発明化合物 0.1
香料 0.05
B:水相
1,3-ブチレングリコール 9.5
2-O-エチルアスコルビン酸 0.5
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.5
乳清抽出液 5.0
ニコチン酸アミド 0.3
グリセリン 5.0
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン 1.0
エチレンジアミンヒドロキシエチル3酢酸3Na 1.0
リジン 0.05
トラネキサム酸 1.0
精製水 残余
【0088】
(製法)
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得た。
【0089】
処方例13 クリーム(美白)
塩酸トランス-4-(トランスアミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸
1.0 質量%
4-メトキシサリチル酸カリウム 1.0
3-O-エチルアスコルビン酸 1.0
リノール酸 0.3
リポ酸ナトリウム 1.0
本発明化合物 3.0
コエンザイムQ10(CoQ10) 0.03
ワセリン 2.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
エタノール 5.0
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.2
グリセリン 7.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール20000 0.5
ホホバ油 3.0
スクワラン 2.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.5
テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
水酸化カリウム 0.1
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
パントテニルエチルエーテル 0.1
アルブチン 7.0
トラネキサム酸 2.0
酢酸トコフェロール 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
パラオキシ安息香酸エステル 適量
エデト酸三ナトリウム 0.05
4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 0.1
ジパラメトキシ桂皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル
0.1
黄酸化鉄 適量
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
【0090】
処方例14 二層クリーム(サンスクリーン)
トラネキサム酸 2.0 質量%
4-メトキシサリチル酸カリウム 1.0
本発明化合物 0.03
ジメチルポリシロキサン 5.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0
トリメチルシロキシケイ酸 5.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
パルミチン酸デキストリン被覆微粒子酸化亜鉛(60nm)
15.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
グルタチオン 1.0
チオタウリン 0.05
クララエキス 1.0
パラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
エデト酸三ナトリウム 適量
パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 7.5
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 5.0
ブチルエチルプロパンジオール 0.5
精製水 残余
香料 適量
【0091】
処方例15 ジェル(美白)
4-メトキシサリチル酸カリウム 0.1 質量%
ルシノール 0.3
ジヒドロリポ酸 1.0
オドリコソウ 0.1
ジメチルポリシロキサン 5.0
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
ポリエチレングリコール20000 3.0
オクタン酸セチル 3.0
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.1
本発明化合物 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
酢酸トコフェロール 0.1
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.1
キサンタンガム 0.3
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR-2)
0.05
寒天末 1.5
フェノキシエタノール 適量
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
精製水 残余
【0092】
処方例16 パック(保湿)
トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド塩酸塩
10.0 質量%
ジヒドロリポアミド 1.0
エイジツ 0.1
エタノール 10.0
1,3-ブチレングリコール 6.0
ポリエチレングリコール4000 2.0
オリーブ油 1.0
マカデミアナッツ油 1.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.05
乳酸 0.05
乳酸ナトリウム 0.1
L-アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム 0.1
本発明化合物 0.5
α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム
0.1
ビタミンEアセテート 0.1
魚コラーゲン 0.1
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ポリビニルアルコール 12.0
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残余
香料 適量
【0093】
処方例17 化粧水(保湿)
トラネキサム酸 1.0 質量%
4-メトキシサリチル酸カリウム 1.0
リポ酸 10.0
ハマメリス 0.1
シリカ被覆酸化亜鉛 0.1
ヒポタウリン 0.1
クララエキス 0.1
トウニンエキス 0.1
ブナの芽エキス 0.1
レチノール 0.1
本発明化合物 0.01
エチルアルコール 5.0
グリセリン 1.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
0.2
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.03
トリメチルグリシン 1.0
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1
α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム
0.1
チオタウリン 0.1
緑茶エキス 0.1
西洋ハッカエキス 0.1
イリス根エキス 1.0
EDTA3ナトリウム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.02
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
香料 適量
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする美白剤。

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:

X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)
【請求項2】
請求項1記載の美白剤において、YがSであることを特徴とする美白剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の美白剤において、Aが基(A1)であることを特徴とする美白剤。
【請求項4】
請求項1?3の何れかに記載の美白剤において、--- が単結合であることを特徴とする美白剤。
【請求項5】
請求項4記載の美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-1)で示されることを特徴とする美白剤。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【請求項6】
請求項5記載の美白剤において、R_(3)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルであることを特徴とする美白剤。
【請求項7】
請求項4又は5記載の美白剤において、R_(4)がそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルであるか、あるいはC(R_(4))_(2)がC=CH_(2)であることを特徴とする美白剤。
【請求項8】
請求項4記載の美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-2)で示されることを特徴とする美白剤。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【請求項9】
請求項8記載の美白剤において、R_(3)、R_(4)はそれぞれ独立してH又はC_(1-6)アルキルであることを特徴とする美白剤。
【請求項10】
請求項1?3の何れかに記載の美白剤において、--- が二重結合であることを特徴とする美白剤。
【請求項11】
請求項10記載の美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-3)で示されることを特徴とする美白剤。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【請求項12】
請求項10記載の美白剤において、ヘテロ環化合物が下記一般式(1-4)で示されることを特徴とする美白剤。

(式中、R_(3)、R_(4)、R_(5)、p、及びRaは前記一般式(1)における定義の通りである。)
【請求項13】
請求項11又は12記載の美白剤において、R_(3)がC_(1-6)アルキル又は基(A1)であることを特徴とする美白剤。
【請求項14】
請求項11?13の何れかに記載の美白剤において、R_(4)がH又はC_(1-6)アルキルであることを特徴とする美白剤。
【請求項15】
請求項1?14の何れかに記載の美白剤において、RaがHであることを特徴とする美白剤。
【請求項16】
請求項1?15の何れかに記載の美白剤において、R_(5)がC_(1-6)アルキルであることを特徴とする美白剤。
【請求項17】
請求項1?16の何れかに記載の美白剤において、前記有効成分がメラニン生成を抑制することを特徴とする美白剤。
【請求項18】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:

X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)
【請求項19】
下記一般式(1)で示されるヘテロ環化合物又はその薬理学的に許容される塩を配合したことを特徴とする化粧料。

(式中、AはC_(1-6)アルキル、C_(5-6)シクロアルキル、ベンジル、ベンジル位がテトラメチレンで置換されていてもよいベンジルカルボニル、メチルで置換されていてもよいベンゾイル、又は下記基(A1)である:

X_(1)はCR_(1)又はNであり、R_(1)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
X_(2)はCR_(2)又はNであり、R_(2)はH、C_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
R_(5)はC_(1-6)アルキル、C_(1-6)アルコキシ、又はOHである;
pは0?3の整数であり、pが2?3の場合、R_(5)は同一又は異なっていてもよい;
RaはH、C_(1-6)アルキル、又はC_(2-6)アルケニルである;
--- は単結合又は二重結合を表し、単結合である場合にはn=2、二重結合である場合にはn=1であり、n=2の場合には2つのR_(3)は同一又は異なっていてもよく、2つのR_(4)も同一又は異なっていてもよい;
YはS又はOである;
R_(3)、R_(4)は、それぞれ独立して、H、C_(1-6)アルキル、ヒドロキシC_(1-6)アルキル、C_(2-7)アシル、又は前記基(A1)であるが、
一つのR_(3)と一つのR_(4)とが一緒になってそれらが結合しているヘテロ環と縮合した飽和又は不飽和の5?6員の炭化水素環を形成してもよく、前記5?6員の炭化水素環はメチルで置換されていてもよく、あるいは、
C(R_(3))_(2)又はC(R_(4))_(2)はそれぞれ独立してC=CH_(2)であってもよい;
ただし、Yを含むヘテロ環がチアゾリン環で、R_(4)=Ra=H、X_(1)=X_(2)=CHであり、且つp=0もしくはR_(5)がC_(1-6)アルキルの場合には、少なくとも一つのR_(3)はC_(1-3)アルキル以外の基である。)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2011-03-15 
出願番号 特願2009-552546(P2009-552546)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 福井 美穂  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 荒木 英則
内藤 伸一
登録日 2011-01-14 
登録番号 特許第4665052号(P4665052)
発明の名称 美白剤及び皮膚外用剤  
代理人 岩橋 祐司  
代理人 岩橋 祐司  

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