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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A41B
管理番号 1235176
審判番号 不服2009-23975  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-04 
確定日 2011-04-06 
事件の表示 特願2000-556735「捕捉された液体を速やかに分布させる液体処理部材を備える吸収品。」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月 6日国際公開、WO00/00149、平成15年 9月16日国内公表、特表2003-527140〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1999年6月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1998年6月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年7月27日付けで拒絶査定がなされ、これを不服として、同年12月4日に審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、その後、平成22年3月31日付けで前置報告がなされ、その前置報告の内容に基づいて平成22年6月2日付けで審尋を通知したが、指定した期間内に請求人からは何らの回答もなかったものである。

2.平成21年12月4日付け手続補正についての補正却下の決定
【補正却下の決定の結論】
平成21年12月4日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

【理由】
2-1.本件補正
本件補正は、補正前の特許請求の範囲に、
「 【請求項1】 少なくとも60平方センチメートルのx,y-寸法を有している、尿処理用装置および使用のための液体処理部材において、前記液体処理部材は、ここに定義されている部材液体分布テストに従う、前記x,y-寸法の少なくとも80%の第1奔流分布面積を有していることを特徴とする、液体処理部材。
【請求項2】 少なくとも15センチメートルのx-寸法を有している、尿処理用装置および使用のための液体処理部材において、前記液体処理部材は、本ここに定義されている部材液体分布テストに従う、前記x-寸法の少なくとも80%の第1奔流分布長を有していることを特徴とする、液体処理部材。
【請求項3】 前記液体処理部材は、30mm未満のz-方向寸法を有している、請求項1または2に記載の液体処理部材。
【請求項4】 前記液体処理部材は、100mm未満のy-方向寸法を有している、請求項1または2に記載の液体処理部材。
【請求項5】 前記液体処理部材は、ここに定義されている要求吸収性テストに従う、少なくとも50ミリメートルの吸収容量を有している、請求項1または2に記載の液体処理部材。
【請求項6】 前記液体処理部材は、少なくとも10ダルシーの平面横断性透過度を有している、請求項1または2に記載の液体処理部材。
【請求項7】 捕捉された尿の一時的保存用の第1部材を備えており、この第1部材は少なくとも60平方センチメートルのx,y-寸法を有している尿処理用装置において、前記第1部材は、ここに定義されている部材液体分布テストに従う、前記捕捉部材の前記x,y-寸法の少なくとも80%の第1奔流分布面積を有していることを特徴とする、尿処理用装置。
【請求項8】 捕捉された尿の一時的保存用の第1部材を備えており、この第1部材は少なくとも15センチメートルのx-寸法を有している尿処理用装置において、前記第1部材は、ここに定義されている部材液体分布テストに従う、前記捕捉部材の前記x-寸法の少なくとも80%の第1奔流分布長を有していることを特徴とする、尿処理用装置。
【請求項9】 捕捉された尿の最終的保存用の第2部材をさらに備えている、請求項7または8に記載の尿処理用装置。
【請求項10】 前記尿処理用装置は、この装置の負荷ポイントの近傍の捕捉領域の表面に実質的に垂直なz-寸法を有しており、前記装置の前記z-寸法は30ミリメートル未満である、請求項7または8に記載の尿処理用装置。
【請求項11】 前記尿処理用装置は、実質的に、この装置の負荷ポイントの近傍の前記捕捉領域の表面にたいして接線方向で、かつ前記装置の長軸寸法にたいして垂直な、y-寸法を有しており、このy-寸法は100ミリメートル未満である、請求項7または8に記載の尿処理用装置。
【請求項12】 使い捨て吸収性物品である請求項7または8に記載の尿処理用装置。
【請求項13】 使い捨ておむつである請求項12に記載の尿処理用装置。」
とあるのを、
「 【請求項1】
少なくとも60平方センチメートルのx,y-寸法及びz-方向寸法を有している液体処理部材を備えた使い捨て可能な吸収性物品であって、
前記液体処理部材が、膜で完全に被覆された気泡開放性フォーム材料から組み立てられたものであり、
前記液体処理部材は、ここに定義されている部材液体分布テストに従う、前記x,y-寸法の少なくとも80%の第1奔流分布面積を有しており、且つ少なくとも15mmのz-方向寸法を有している、ことを特徴とする、使い捨て可能な吸収性物品。
【請求項2】
前記液体処理部材は、100mm未満のy-方向寸法を有している、請求項1に記載の使い捨て可能な吸収性物品。
【請求項3】
前記液体処理部材は、ここに定義されている要求吸収性テストに従う、少なくとも50ミリメートルの吸収容量を有している、請求項1に記載の使い捨て可能な吸収性物品。
【請求項4】
前記液体処理部材は、少なくとも10ダルシーの平面横断性透過度を有している、請求項1に記載の使い捨て可能な吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品が使い捨ておむつである請求項1に記載の使い捨て可能な吸収性物品。」
とするものである。

補正後の請求項1は、補正前の請求項1の記載において、「液体処理部材」について「尿処理用装置および使用のための」ものとしていたのを「使い捨て可能な吸収性物品」に備えたものと用途を限定すると共に、「膜で完全に被覆された気泡開放性フォーム材料から組み立てられたもの」であることを限定し、また、「少なくとも15mmのz-方向寸法」を有することを限定するものである。また、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-2.記載不備について
(1)36条4項
補正後の請求項1に係る発明は、「少なくとも60平方センチメートルのx,y寸法を有する液体処理部材」を「膜で完全に被覆された気泡開放性フォーム材料から組み立てられたもの」とし、「少なくとも80%の第1奔流分布面積」を有するものであるが、本願の発明の詳細な説明の段落【0028】には、「液体処理部材は、膜で完全に被覆された、気泡開放性フォーム材料から組み立てられる」と記載され、また、単に市販されているフォーム材料が例示されているているのみで、上記発明の詳細な説明全体をみても、上記構造を採用した場合に、上記大きさ以上の液体処理部材が「少なくとも80%の第1奔流分布面積」を有するようにできることを示した具体的な実施例及び部材液体分布テストによる評価例等が記載されているものとは認められず、さらに、上記段落【0028】には、気泡開放性フォーム材料を用いることや、膜で気泡開放性フォーム材料を被覆することの技術的意義等も記載されていないことから、
本願出願時の技術常識を考慮しても、当業者が、上記構造を用いて少なくとも80%の第1奔流分布面積を有する上記大きさ以上の液体処理部材を備えた使い捨て可能な吸収性物品を製造できたものとは認められない。
また、上記発明の詳細な説明の段落【0004】における「・・・従って、前述の液体処理部材の場合、毛管圧によって、液体捕捉点から液体を吸収によって運び去るにはあまり効率的ではない。」等の記載からすると、本願に係る発明は、液体処理部材は毛管圧を利用しない材質、構造を備えているものと解されるが、フォーム材料等の発泡体を使用した場合にも、毛管浸透圧を利用して体液を拡散させることは知られており(例えば、特開平5-31134号公報の請求項1,9等を参照)、「液体処理部材」を「膜で完全に被覆された気泡開放性フォーム材料から組み立てられたもの」とすることにより、毛管圧を利用しない液体処理をどのように行えるのかが明確でない。
また、そもそも下記(3)のように「部材液体分布テスト」の定義自体が明確でなく、発明を実施することができない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1ないし5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。

(2)36条6項1号
請求項1には、「少なくとも15mmのz-方向寸法を有している」と記載されているが、発明の詳細な説明の段落【0025】には、「本発明の液体処理部材は、薄い厚み、すなわち、小さなz-方向寸法を有することが望ましい。液体処理部材の厚みが小さければ小さいほど、装着者の両脚間の嵩が少なくなることになる。好ましくは、本発明による液体処理部材は、30 mm未満の、さらに好ましくは20 mm未満の、もっとも好ましくは15 mm未満のz-方向寸法を有する。」とz-方向寸法の上限値に係る記載はあるものの、上記「少なくとも15mm」、すなわち、「15mm」を下限値とすることについての記載はなく、特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載したものとは認められない。

(3)36条6項2号
(a)請求項1及び3に、「ここに定義されている部材液体分布テスト」または「ここに定義されている要求吸収性テスト」と記載されているが、本願の明細書全体をみても、これらの定義が明確に記載されてはいなく、また、段落【0038】-【0061】において上記各テストに係る記載はあるものの、これらの記載において何が上記各テストの定義として発明を特定するために必要な事項なのか特定できない。

(b)請求項3には、「…要求吸収性テストに従う、少なくとも50ミリメートルの吸収容量を有している」と記載されており、「吸収容量」は体積を表すものと解されるが、「50ミリメートル」という長さで、吸収容量をどのように評価するのか不明である。

なお、この点は、原査定の拒絶の理由にもなっていたが、本件補正において何ら補正されることもなく、また、審判請求の理由において何ら説明されてもいない。

(4)まとめ
よって、特許請求の範囲または発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項または第6項第1,2号に規定する要件を満たしていないことから、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

2-3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.原査定の理由
平成21年12月4日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の記載は、出願当初のもの(上記「2-1.本件補正」の補正前の特許請求の範囲参照)となる。
そして、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである(下記の「4.判断」において言及していない理由は省略)。

3-1.記載不備について
(1)36条4項
この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。

請求項1?13に係る発明は、「部材液体分布テスト」に従う評価結果(特に、請求項1、2、7、8)、「要求吸収性テスト」に従う評価結果(特に、請求項5)に基づくパラメータを用いて、機能・特性等から、「液体処理部材」(請求項1?6)及び「尿処理用装置」(請求項7?13)という物を特定するものである。
しかしながら、上記パラメータによって特定された「液体処理部材」及び「尿処理用装置」を得るために、上記「液体処理部材」及び「尿処理用装置」をどのような構造とすればよいのか、すなわち、上記「液体処理部材」及び「尿処理用装置」をなす部品の素材や各部品の配置等の具体的な構造が、本願の発明の詳細な説明を参酌しても不明であり、また、当業者が技術常識を考慮しても、上記パラメータによって特定された「液体処理部材」及び「尿処理用装置」を得るために、当業者に期待しうる程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を要すると解される。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1?13に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。

(2)36条6項2号
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(a)請求項1?13に係る発明は、「部材液体分布テスト」に従う評価結果(特に、請求項1、2、7、8)、「要求吸収性テスト」に従う評価結果(特に、請求項5)に基づくパラメータを用いて、機能・特性等から、「液体処理部材」(請求項1?6)及び「尿処理用装置」(請求項7?13)という物を特定するものである。
しかしながら、当業者が、出願時の技術常識を考慮しても、上記パラメータを有する具体的な「液体処理部材」又は「尿処理用装置」を想定できず、発明に属する具体的な事物、すなわち、上記「液体処理部材」及び「尿処理用装置」の具体的な構造を理解することができない。

(b)請求項5には、「…要求吸収性テストに従う、少なくとも50ミリメートルの吸収容量を有している」と記載されており、「吸収容量」は体積を表すものと解されるが、「50ミリメートル」という長さで、吸収容量をどのように評価するのか不明である。

3-2.進歩性について
この出願の請求項1ないし13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

国際公開第98/22065号(以下、「引用例」という。)

4.判断
4-1.記載不備について
(1)36条4項
(a)請求項1?13に係る発明は、「部材液体分布テスト」に従う評価結果及び「要求吸収性テスト」に従う評価結果(請求項5)に基づく数値範囲を用いて、少なくとも60平方センチメートルまたは少なくとも15センチメートルの寸法の「液体処理部材」(請求項1?6)及び「尿処理用装置」(請求項7?13)という物を特定するものである。
しかし、本願の発明の詳細な説明には、周知の材料、市販されている材料及び文献名等が単に挙げられているのみで、これらの材料をどのように用いればよいのか十分な記載がなく、また、上記各テストを行った評価例の記載もないことより、上記数値範囲を有する上記大きさ以上の「液体処理部材」及び「尿処理用装置」を、本願出願時の技術常識を考慮しても、当業者が製造することができたものとは認められない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1?13に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。

以上より、この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。

(2)36条6項2号
(a)請求項1?13に係る発明は、「部材液体分布テスト」に従う評価結果及び「要求吸収性テスト」に従う評価結果(請求項5)に基づく数値範囲を用いて、少なくとも60平方センチメートルまたは少なくとも15センチメートルの寸法の「液体処理部材」(請求項1?6)及び「尿処理用装置」(請求項7?13)という物を特定するものである。
しかし、当業者が、本願出願時の技術常識を考慮しても、上記数値範囲を有する上記大きさ以上の「液体処理部材」又は「尿処理用装置」の材料及び構造等の具体的な構成を想定できるものとは認められない。

(b)請求項5には、「…要求吸収性テストに従う、少なくとも50ミリメートルの吸収容量を有している」と記載されており、「吸収容量」は体積を表すものと解されるが、「50ミリメートル」という長さで、吸収容量をどのように評価するのか、上記拒絶の理由に指摘したとおり不明である。

以上より、この出願は、特許請求の範囲に特許を受けようとする発明が明確に記載されているとはいえず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(3)まとめ
よって、特許請求の範囲または発明の詳細の説明の記載が、特許法第36条第4項または第6項第2号に規定する要件を満たしていないことから、特許を受けることができないものである。

4-2.進歩性について
請求項1,2,5,7及び8に、「ここに定義されている部材液体分布テスト」または「ここに定義されている要求吸収性テスト」と記載されているが、「2-2.記載不備について」において述べたとおり、不明確であるので、各請求項に係る発明が特定できないことより、進歩性の判断はできない。

5.むすび
以上のとおり、この出願は、特許法第36条第4項または第6項第2号に規定する要件を満たしていないことから、拒絶をすべきものである。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-11 
結審通知日 2010-11-12 
審決日 2010-11-24 
出願番号 特願2000-556735(P2000-556735)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A41B)
P 1 8・ 575- Z (A41B)
P 1 8・ 537- Z (A41B)
P 1 8・ 536- Z (A41B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中尾 奈穂子  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 栗林 敏彦
熊倉 強
発明の名称 捕捉された液体を速やかに分布させる液体処理部材を備える吸収品。  
代理人 吉武 賢次  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 浅野 真理  
代理人 横田 修孝  
代理人 紺野 昭男  
代理人 中村 行孝  

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