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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03F
管理番号 1235219
審判番号 不服2008-19403  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-31 
確定日 2011-04-04 
事件の表示 特願2001-508587「集積型の同調可能で高能率な電力増幅器」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月11日国際公開、WO01/03288、平成15年 2月 4日国内公表、特表2003-504906〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成12年5月30日(優先権主張1999年7月1日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成19年9月5日付けで拒絶理由が通知され、平成20年4月30日付けで拒絶査定され、これに対して同年7月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年9月1日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.平成20年9月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年9月1日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
平成20年9月1日付けの手続補正(以下,「本願補正」という)は、本願補正前の平成14年4月30日付け手続補正書により補正された請求項1の内容を、
「【請求項1】 同調可能で高能率の電力増幅器であって、
制御入力においてRF入力信号を受け取るように接続されており、前記RF入力信号に従って導通状態と非導通状態との間でスイッチングされる電流回路を有する、能動素子(Q1)と、
前記電流回路に接続された無効素子のネットワークであって、前記能動素子と前記ネットワークとは、前記無効素子の値によって決定される入力信号周波数の範囲にある前記RF入力信号を増幅する電力増幅器を形成し、前記無効素子は、少なくとも1つのインダクタンス(Lseries)と少なくとも1つのキャパシタンス(Cseries)とを備えている、ネットワーク(100)と、
を備えており、前記少なくとも1つのインダクタンスの少なくとも1つと前記少なくとも1つのキャパシタンスの少なくとも1つとは同調可能な無効素子であり、前記同調可能な無効素子は、それぞれが、制御信号に応答して動作し前記制御信号に従って当該同調可能な無効素子のリアクタンス値を変動させるマイクロ電子機械(MEM)素子を少なくとも1つ備えており、それにより、この増幅器が動作する入力信号周波数の前記範囲は前記制御信号に従って変動し、従って、更に広い範囲の入力周波数において効率的に動作することが可能になることを特徴とする同調可能で高能率の電力増幅器。」
から、
「【請求項1】
同調可能で高能率の電力増幅器であって、
制御入力においてRF入力信号を受け取るように接続されており、前記RF入力信号に従って導通状態と非導通状態との間でスイッチングされる電流回路を有する、能動素子(Q1)と、
前記電流回路に接続されたリアクタンス素子のネットワークであって、前記能動素子と前記ネットワークとは、前記リアクタンス素子の値によって決定される入力信号周波数の範囲にある前記RF入力信号を増幅する電力増幅器を形成し、前記リアクタンス素子は、少なくとも1つのインダクタンス(Lseries)と少なくとも1つのキャパシタンス(Cseries)とを備えている、ネットワーク(100)と、
を備えており、前記少なくとも1つのインダクタンスの少なくとも1つと前記少なくとも1つのキャパシタンスの少なくとも1つとは同調可能なリアクタンス素子であり、前記同調可能なリアクタンス素子は、それぞれが、制御信号に応答して動作し前記制御信号に従って当該同調可能なリアクタンス素子のリアクタンス値を変動させるマイクロ電子機械(MEM)素子を少なくとも1つ備えており、それにより、この増幅器が動作する入力信号周波数の前記範囲は前記制御信号に従って変動し、従って、更に広い範囲の入力周波数において効率的に動作することが可能になり、
前記能動素子とリアクタンス素子の前記ネットワークとは共通の基板上に集積されており、
前記同調可能なリアクタンス素子はそれぞれがそのリアクタンス値の範囲全体にある高いQ値を有することを特徴とする同調可能な電力増幅器。」
に、変更する補正を含むものである。

前記補正のうち、「無効素子」を「リアクタンス素子」とする補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、前記補正のうち、能動素子とネットワークについて、「前記能動素子とリアクタンス素子の前記ネットワークとは共通の基板上に集積され」ている点を限定し、同調可能なリアクタンス素子について、「前記同調可能なリアクタンス素子はそれぞれがそのリアクタンス値の範囲全体にある高いQ値を有する」点を限定する補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。


(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第3919656号明細書(以下、「引用例」という)には、下記の事項が記載されている。

(あ)「FIELD OF THE INVENTION
This invention relates in general to tuned power amplifiers;in particular,it discloses improved switchingmode tuned power amplifiers. The invention provides tuned power amplification of ac signals with higher efficientcy and/or more power output and/or greater reliability in operation than are attained in prior-art power amplifier circuits employing comparable active devices (e.g.transisitors or vacuum tubes).」(明細書第1欄第40行?第48行)

(日本語訳:発明の分野
この発明は、同調された電力増幅器一般に関係があり、特に、改善されたスイッチングモードの同調された電力増幅器を明らかにする。発明は、同程度の能動素子(例えばトランジスタまたは真空管)を使用した先行技術の電力増幅器回路で達成したよりも、動作中において、より高能率で、および/または、より高出力で、および/または、より大きな信頼性がある、交流信号の同調された電力増幅器を備えている。)

(い)「F.Tuning
・・・中略・・・
A related method of tuning across a frequency band is shown in FIG.8B. This method also uses a single variable tuning component,in this case a capacitor C4,connected in parallel with L2. The capacitor C4 acts to partially cancel the effective susceptance of inductor L2. The net effect of increasing C4 is to increase the effective circuit inductance. and of decreasing C4 is to decrease the effective circuit inductance. Variation of capacitor C4 is therefore similar in effect to the variation of inductor L2 shown in FIG.8A, but is often more convenient. With this technique,substantially ideal tuning and loading conditions can be obtained over a frequency range of 1.6:1 with all other circuit components having fixed values. For example, substantially correct tuning and loading were obtained experimentally by the inventors with C1=704pF,C2=698pF,L2=27.1uH,R=30.1 ohms,C_(ob) of transistor Q=10pF,and C4 vs. frequency as follows:

Frequency C4
(MHz) (pF)
1.33 0
1.22 98.5
0.78 1075

At lower frequencies and larger values fo C4, the Q_(L) became too low , so that R would have needed to be decreased and/or L2 increased.」(明細書第24欄第54行?第26欄第3行)

(日本語訳:F.同調
・・・中略・・・
周波数帯にわたって同調する関連方法は、FIG.8Bに示されている。この方法も単一の可変な同調要素、この場合はL2と平行に接続されているキャパシタC4を使用する。キャパシタC4は、インダクタL2の実効サセプタンスを部分的に取り消すために作用する。C4の増加による回路網の効果は、回路の実効インダクタンスを増加させることであり、また、C4の減少は、回路の実効インダクタンスを減少させることである。したがって、キャパシタC4の変化は、FIG.8Aで示されたインダクタL2の変化による効果に似ているが、多くの場合より便利である。この技術は、実質的に理想的な同調と負荷条件で、他のすべての回路要素が固定値であるとして、1.6:1の周波数範囲を得ることができる。例えば、実質的に正確な同調と負荷は、発明者の経験からC1=704pF、C2=698pF、L2=27.1uH、R=30.1Ω、トランジスタQのC_(ob)=10pFで得られ、そして、C4に対する周波数は以下のようになる:

周波数 C4
(MHz) (pF)
1.33 0
1.22 98.5
0.78 1075

より低い周波数およびより大きなC4の値ではQ_(L)が低くなりすぎるので、Rは減少する必要があり、および/またはL2は増加する必要がある。)

(う)FIG.8Bには、能動素子5を構成するトランジスタQは、そのベースがドライバ2に接続され、そのコレクタが回路網9に接続されており、また、回路網9はインダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2,C4から構成されている点が記載されている。
また、インダクタL1,L2及びキャパシタC1,C2,C4はリアクタンス素子であるから、FIG.8Bには、回路網9がリアクタンス素子から構成されている点が記載されている。

(え)上記(い)の”At lower frequencies and larger values fo C4, the Q_(L) became too low , so that R would have needed to be decreased and/or L2 increased..”(「より低い周波数およびより大きなC4の値ではQ_(L)が低くなりすぎるので、Rは減少する必要があり、および/またはL2は増加する必要がある。」)の記載では、例示されている0.78MHzより低い周波数にするとQ_(L)が低くなりすぎるのでL2を増加する必要があることが明記されている。このことは、周波数範囲を例示以上に広くする場合には、可変要素としてキャパシタC4だけでなく、インダクタL2も可変要素とすることが示唆されているといえる。
また、L2を増加することでQ_(L)の低下を防止することが記載されていることから、引用例の回路網は、リアクタンス素子の可変範囲全体で所定値以上のQ_(L)値を有するように構成されているといえる。

(お)上記(い)の記載では、電力増幅器が取り扱う信号の周波数として、0.78?1.33MHzの周波数が記載されているので、FIG.8Bに記載されているトランジスタQの制御入力には、RF帯の周波数であるRF信号が入力信号として入力されているといえる。

(か)上記(い)には、回路網を構成するキャパシタC1,C2,インダクタL2をそれぞれC1=704pF、C2=698pF、L2=27.1uHとし、可変要素であるキャパシタC4の値を、0pF,98.5pF,1075pFとし場合に、電力増幅器で動作する周波数が、1.33MHz、1.22MHz、0.78MHzになることが記載されている。よって、引用例に記載された電力増幅器は、回路網のリアクタンス素子の値によって決定される入力信号周波数の範囲にあるRF入力信号を増幅しているということができる。


上記(あ)乃至(か)及びFIG.8Bの記載から、引用例には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「同調可能で高能率の電力増幅器であって、
ベースに入力されたRF信号に従って導通状態と非導通状態との間でスイッチングするトランジスタと、
前記トランジスタに接続されたリアクタンス素子の回路網であって、前記トランジスタと前記回路網とは、前記リアクタンス素子の値によって決定される入力信号周波数の範囲にある前記RF入力信号を増幅する電力増幅器を形成し、前記リアクタンス素子は、複数のインダクタと複数のキャパシタを備えている、回路網と、
を備えており、前記複数のインダクタうちの1つと前記複数のキャパシタのうちの1つとは同調可能なリアクタンス素子であり、
前記同調可能なリアクタンス素子はリアクタンス素子の可変範囲全体で所定値以上のQ_(L)値を有するように構成されている同調可能な電力増幅器。」


(3)対比
(3-1)本願補正発明と引用発明との対応関係について
(ア)引用発明の「ベース」、「トランジスタ」、「回路網」、「インダクタ」、「キャパシタ」は、本願補正発明の「制御入力」、「能動素子」、「ネットワーク」、「インダクタンス」、「キャパシタンス」に相当する。

(イ)引用発明の「トランジスタ」は、「ベースに入力されたRF信号に従って導通状態と非導通状態との間でスイッチング」することで電流を流すものであるから、「電流回路」を構成するものといえる。

(ウ)本願明細書の段落【0005】には「負荷ネットワークのクオリティ・ファクタ(Q)」と記載され、引用例の第17欄第6行には”network loaded Q(Q_(L)) ”と記載され、また、本願発明の「ある高いQ値」は具体的にどの程度高い値であるかは特定されていないので、引用発明の「所定値以上のQ_(L)値」は本願発明の「ある高いQ値」に相当する。

(3-2)本願補正発明と引用発明の一致点について
上記の対応関係から、本願補正発明と引用発明は、下記の点で一致する。
「同調可能で高能率の電力増幅器であって、
制御入力においてRF入力信号を受け取るように接続されており、前記RF入力信号に従って導通状態と非導通状態との間でスイッチングされる電流回路を有する、能動素子と、
前記電流回路に接続されたリアクタンス素子のネットワークであって、前記能動素子と前記ネットワークとは、前記リアクタンス素子の値によって決定される入力信号周波数の範囲にある前記RF入力信号を増幅する電力増幅器を形成し、前記リアクタンス素子は、少なくとも1つのインダクタンスと少なくとも1つのキャパシタンスとを備えている、ネットワークと、
を備えており、前記少なくとも1つのインダクタンスの少なくとも1つと前記少なくとも1つのキャパシタンスの少なくとも1つとは同調可能なリアクタンス素子であり、
前記同調可能なリアクタンス素子はそれぞれがそのリアクタンス値の範囲全体にある高いQ値を有する同調可能な電力増幅器。」

(3-3)本願補正発明と引用発明の相違点について
本願補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明では、「同調可能なリアクタンス素子は、それぞれが、制御信号に応答して動作し前記制御信号に従って当該同調可能なリアクタンス素子のリアクタンス値を変動させるマイクロ電子機械(MEM)素子を少なくとも1つ備えており、それにより、この増幅器が動作する入力信号周波数の前記範囲は前記制御信号に従って変動し、従って、更に広い範囲の入力周波数において効率的に動作することが可能」であるのに対し、引用発明はそのような構成とはなっていない点。

(相違点2)
本願補正発明では、「能動素子とリアクタンス素子の前記ネットワークとは共通の基板上に集積され」るものであるのに対し、引用発明はそのような構成とはなっていない点。


(4)当審の判断
(4-1)相違点1について
制御信号に従って動作するMEMスイッチによりインダクタンスのリアクタンス値を変更する構成は、例えば、原査定において引用された米国特許第5872489号明細書に記載されているように周知技術であり、また、制御信号に従って動作するMEMスイッチによりキャパシタンスのリアクタンス値を変更する構成は、例えば、原査定において引用された米国特許第5880921号明細書に記載されているように周知技術である。
してみると、引用発明の同調可能なリアクタンス素子に、制御信号に従って動作するMEMスイッチによりインダクタンス及びキャパシタンスのリアクタンス値を変更する上記周知技術を適用することで、「同調可能なリアクタンス素子は、それぞれが、制御信号に応答して動作し前記制御信号に従って当該同調可能なリアクタンス素子のリアクタンス値を変動させるマイクロ電子機械(MEM)素子を少なくとも1つ備えており、それにより、この増幅器が動作する入力信号周波数の前記範囲は前記制御信号に従って変動し、従って、更に広い範囲の入力周波数において効率的に動作することが可能」とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(4-2)相違点2について
電力増幅器の分野では、同一基板上に増幅器及びフィルタ等の回路を設けることで小型化を図ることは、例えば、特開平4-284722号公報に記載されているように常套手段にすぎないことから、引用発明において、「能動素子とリアクタンス素子の前記ネットワークとは共通の基板上に集積され」る構成とすることに、格別な困難性は認められない。

(4-3)本願補正発明の作用効果について
また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。


(5)むすび
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本願補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成20年9月1日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成14年4月30日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 同調可能で高能率の電力増幅器であって、
制御入力においてRF入力信号を受け取るように接続されており、前記RF入力信号に従って導通状態と非導通状態との間でスイッチングされる電流回路を有する、能動素子(Q1)と、
前記電流回路に接続された無効素子のネットワークであって、前記能動素子と前記ネットワークとは、前記無効素子の値によって決定される入力信号周波数の範囲にある前記RF入力信号を増幅する電力増幅器を形成し、前記無効素子は、少なくとも1つのインダクタンス(Lseries)と少なくとも1つのキャパシタンス(Cseries)とを備えている、ネットワーク(100)と、
を備えており、前記少なくとも1つのインダクタンスの少なくとも1つと前記少なくとも1つのキャパシタンスの少なくとも1つとは同調可能な無効素子であり、前記同調可能な無効素子は、それぞれが、制御信号に応答して動作し前記制御信号に従って当該同調可能な無効素子のリアクタンス値を変動させるマイクロ電子機械(MEM)素子を少なくとも1つ備えており、それにより、この増幅器が動作する入力信号周波数の前記範囲は前記制御信号に従って変動し、従って、更に広い範囲の入力周波数において効率的に動作することが可能になることを特徴とする同調可能で高能率の電力増幅器。」


(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。


(3)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明の「リアクタンス素子」を「無効素子」に戻すとともに、本願補正発明における能動素子とネットワークについて、「前記能動素子とリアクタンス素子の前記ネットワークとは共通の基板上に集積され」ている点の限定と、同調可能なリアクタンス素子について、「前記同調可能なリアクタンス素子はそれぞれがそのリアクタンス値の範囲全体にある高いQ値を有する」点の限定を省いたものである。
「無効素子」という用語は技術的に不明りょうであるが、発明の詳細な説明及び図面から「無効素子」がインダクタンス及びキャパシタンスで構成されるネットワークの要素であることを考慮すれば、「無効素子」が「リアクタンス素子」であると解釈できるものである。
そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに特定の点に限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基いて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-01 
結審通知日 2010-11-05 
審決日 2010-11-17 
出願番号 特願2001-508587(P2001-508587)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03F)
P 1 8・ 575- Z (H03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畑中 博幸  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 飯田 清司
加内 慎也
発明の名称 集積型の同調可能で高能率な電力増幅器  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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