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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A41B
管理番号 1235271
審判番号 不服2009-23488  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-30 
確定日 2011-04-13 
事件の表示 特願2000-556725「液体捕捉時に膨張し、液体放出時に収縮する高速捕捉液体処理部材を備える体液を管理するための装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月 6日国際公開、WO00/00139、平成15年 9月 2日国内公表、特表2003-525646〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、1999年6月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1998年6月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年11月21日付けで拒絶理由の通知がされたが、これに対して意見書及び手続補正書の提出はなく、平成21年7月21日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、平成21年11月30日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲を対象とする手続補正がなされ、当審において平成22年5月12日付けで審尋を通知した。

第2.平成21年11月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年11月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。
[理由]
1.本件補正
本件補正は、補正前の請求項1、請求項2に
「【請求項1】ここに規定されている可逆膨張試験に従って、第1試験サイクル後に0.8未満の体積収縮係数、および第1試験サイクル後に少なくとも1.25の体積膨張係数を有すること、及びここに規定されている要求吸収性試験に従った2秒未満の80%吸収時間を有することを特徴とする液体処理部材。
【請求項2】ここに規定されている可逆膨張試験に従った第2試験サイクルの後に少なくとも0.9の体積収縮係数を有する、請求項1に記載の液体処理部材。」
とあるのを、
「【請求項1】体液を処理するための液体処理部材であって、膜により完全に包囲された開放セルフォーム材料からなり、
本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従って、第1試験サイクル後に0.8未満の体積収縮係数、および第1試験サイクル後に少なくとも1.25の体積膨張係数を有し、
本願明細書に規定されている要求吸収性試験に従って、2秒未満の80%吸収時間を有し、かつ
本願明細書に規定されている毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力を有する、ことを特徴とする液体処理部材。
【請求項2】本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従った第2試験サイクルの後に少なくとも0.9の体積収縮係数を有する、請求項1に記載の液体処理部材。」
とする補正を含むものである。

2.目的要件等
上記補正は、補正前の請求項1、請求項2の「ここに規定されている」の記載を「本願明細書に規定されている」として、明瞭でない記載に変更を加えるとともに、補正前の請求項1の発明を特定するために必要な事項である「液体処理部材」を「体液を処理するための液体処理部材であって、膜により完全に包囲された開放セルフォーム材料からなり」、「本願明細書に規定されている毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力を有する」ものに限定するものであり、補正後の請求項1、請求項2に記載された発明は、補正前の請求項1、請求項2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、当該補正は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当該補正は、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記特許請求の範囲の請求項1、請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明1」、「本願補正発明2」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正付則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

本願補正発明1、本願補正発明2は、本件補正後の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、請求項2に記載された事項(上記「1.本件補正」の補正後の請求項1、請求項2参照)により特定されるとおりのものと認める。

A.記載不備について
本件補正後の前記特許請求の範囲の請求項1のA)「開放セルフォーム」の記載は、本願明細書の記載において、その特徴についての定義、説明がされておらず、これがどのような特徴を有する材料を含むのか不明確であり、本願補正発明1の材料を特定できない。
同じく、B)「本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従って、第1試験サイクル後に0.8未満の体積収縮係数、および第1試験サイクル後に少なくとも1.25の体積膨張係数を有し、本願明細書に規定されている要求吸収性試験に従って、2秒未満の80%吸収時間を有し、かつ本願明細書に規定されている毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力を有する、ことを特徴とする液体処理部材」の記載は、「本願明細書に規定されている」各試験は工業規格化されたものとも認められず、本願明細書の記載からでは、何を規定したものか不明確であり、「本願明細書に規定されている」としただけでは、その試験方法が明確に特定できない(例えば、試験片の寸法に関して、本願明細書には、加工可能な場合は、「直径5.4cmという円形形状をした構造となるように選ばれる」(本願明細書段落【0046】参照)という記載もあり、このような試験片を使うことも考えられるが、本願補正発明1の液体処理部材の特性を直接測定するために、試験片として、本願補正発明1の液体処理部材と寸法が等しいものをそのまま用いると考えることもでき、どのようなものを用いるか不明確である)。
よって、その試験に従って定められる数値を得るための構成が特定できず、本願補正発明1の構成を特定することができない。
同じく、C)「本願明細書に規定されている毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力」の記載は、本願明細書では「毛細管吸着試験」について、「本試験の目的とは、本発明の液体処理部材の毛細管吸着吸収容量を高さの関数として測定することである。」(段落【0036】参照)としており、「脱離圧力」との関係が明確ではない。また、下限も設定されておらず、意図する脱離圧力の範囲が不明確であり、本願補正発明1を特定できない。
本件補正後の前記特許請求の範囲の請求項2のD)「第2試験サイクル」の記載は、本願明細書の可逆膨張試験の説明の記載において定義、説明がされておらず、どのような工程をどれだけ含んで、いつの液体処理部材の寸法が記録されるのか不明確で、「本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従った第2試験サイクルの後に少なくとも0.9の体積収縮係数を有する」がどのような条件下で求められる値であるのか不明確であり、本願補正発明2の有する特性を特定することができない。
したがって、本件補正後の前記特許請求の範囲の請求項1、請求項2の記載は不明瞭であって、特許法36条第6項第2号の規定に反するものであり、本願補正発明1、本願補正発明2は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

B.進歩性について
当審において平成22年5月12日付けで審尋を通知して、請求人に釈明の機会を与えたにも拘わらず、請求人は回答書を提出せず、面接要請に対しては、平成22年7月29日に行った電話での問い合わせに対して、本案件は面接希望の対象外とする旨の回答があった。
そこで、上記A.のA)?C)に関しては、「開放セルフォーム」が液体処理部材に用いられる材料として自明なものを意味し、本願補正発明1とそれぞれの試験における試験片とは同寸法のものであり、また、脱離圧力の数値範囲も(零の場合を含み、下記(4)で検討するように、)格別な技術的意義のないものであると解することができるので、仮に、このように解した場合には、以下に述べるように、本願補正発明1は進歩性を有するものとは認められない。
(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第96/21680号(以下、「引用例」という)には、図面と共に以下の事項が記載されている(和訳は、該国際出願に対応する国内公表(特表平11ー500763号)に基づく)。
(ア)「A collapsible…5.1kPa.(水性流体と接触して膨張し該流体を吸収し得る潰れ得るポリマーフォーム材であって、… E)少なくとも6:1の膨張厚さ対潰れ厚さの比、…を有することを特徴とする潰れ得るポリマーフォーム材。)」(明細書第45頁第2?13行)
(イ)「Polymeric…structure.( 吸収性製品および構造に有用な本発明によるポリマーフォームは、相対的に連続気泡型のものである。これは、フォームの個々の気泡が、相隣る気泡と完全な、障害のない連通状態にあることを意味する。そのような実質的に連続気泡型のフォーム構造における気泡は、当該フォーム構造内において1の気泡から他の気泡へ流体を迅速に移送するに十分に大きな気泡間開口または「窓」を有する。)」(明細書第8頁第8?13行)
(ウ)「The "expansion…state.(これらのフォームについての「膨張ファクター」は、少なくとも約6×、すなわち、膨張状態にあるフォームの厚さが潰れた状態にあるフォームの厚さの少なくとも約6倍である。)」(明細書第13頁第14?16行)
(エ)「To be …foam.(おしめのような吸収性製品におけるとして有用であるために、本発明のフォームは、当該吸収材料が流体の吸収および保持においてかかりあっているときに遭遇する力による変形または圧縮に対して好適に耐性を示さなければならない。RTDに関する十分なフォーム強度を持たないフォームは、非荷重条件では許容され得る量の体液を獲得および貯蔵し得るが、当該フォームを含む吸収性製品の使用者の動きおよび活動により生じる圧縮応力下ではそのような流体をあまりにも容易に放出してしまう。)」(明細書第14頁第8?15行)
(オ)「To be…minutes.(尿を吸収するための吸収性製品において特に有用であるために、本発明のフォーム吸収材は、好ましくは、せいぜい約30分以内に合成尿(65±5ダイン/cm)を垂直に5cmの高さまで吸い上げる。より好ましくは、本発明の好ましいフォーム吸収材は、せいぜい約70秒以内に、最も好ましくはせいぜい約5分以内に、合成尿を垂直に5cmの高さまで吸い上げる。)」(明細書第16頁第13?18行)
以上の記載によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という)が開示されていると認めることができる。

「尿を吸収するために用いられるポリマーフォーム材であって、水性流体と接触して約6倍に膨張し該流体を吸収し得ると共に潰れ得、約70秒以内に合成尿を垂直に5cmの高さまで吸い上げ、流体を容易に放出してしまわないよう変形または圧縮に対して耐性を示すポリマーフォーム材」

(2)対比
そこで、本願補正発明1と引用発明とを比較すると、引用発明の「尿」、「吸収する」、「ポリマーフォーム材」は、本願補正発明の「体液」、「処理する」、「液体処理部材」に相当する。
また、引用発明の「水性流体と接触して約6倍に膨張し該流体を吸収し得ると共に潰れ得る」点と本願補正発明1の「本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従って、第1試験サイクル後に0.8未満の体積収縮係数、および第1試験サイクル後に少なくとも1.25の体積膨張係数を有する」点は、収縮・膨張可能な部材である限りにおいて一致するものと認められる。
したがって、本願補正発明1と引用発明を対比すると、両者は、
「体液を処理するための液体処理部材であって、収縮・膨張可能な部材である液体処理部材。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願補正発明1は、膜により完全に包囲された部材であるのに対して、引用発明では、このような構成を有しない点。
[相違点2]
本願補正発明1は、本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従って、第1試験サイクル後に0.8未満の体積収縮係数、および第1試験サイクル後に少なくとも1.25の体積膨張係数を有するのに対して、引用発明では、水性流体と接触して約6倍に膨張し該流体を吸収し得ると共に潰れ得る点。
[相違点3]
本願補正発明1は、本願明細書に規定されている要求吸収性試験に従って、2秒未満の80%吸収時間を有するのに対して、引用発明では、約70秒以内に合成尿を垂直に5cmの高さまで吸い上げる点。
[相違点4]
本願補正発明1は、本願明細書に規定されている毛細管吸着試験に従って、20cm未満の脱離圧力を有するのに対して、引用発明では、このような規定のない点。

(4)判断
上記相違点1について検討すると、吸収体の全体を包囲するような被覆を設けることは当業者にとって周知の技術であり(登録実用新案第3031006号公報、特開平2-107250号公報参照)、引用発明において、吸収体として、膜により完全に包囲されたポリマーフォーム部材を用いることは当業者が容易になし得たものと認める。
次に、上記相違点2について検討すると、本願補正発明1は、本願明細書の段落【0014】に「特に、本発明の液体処理部材は、液体処理部材が、体液捕捉に必要とされる程度の多くの嵩張りを提供するように、液体が吸収されるときに膨張する。さらに、本発明の液体処理部材は、すでに捕捉された体液の脱離時に再び収縮する。言い換えると、本発明の液体処理部材の嵩張りは、体液が、例えば本発明の体液を処理するための装置の別の域内に貯蔵されるために、液体処理部材から再び除去されるときに削減される。本発明の液体処理部材のこの膨張収縮動作は、これ以降規定される可逆体積膨張試験により定量化される。」と記載されているように、液体処理部材が、体液捕捉に必要とされる程度の多くの嵩張りを提供するように、液体が吸収されるときに膨張し、すでに捕捉された体液の脱離時に再び収縮するものであって、水性流体と接触して約6倍に膨張し該流体を吸収し得ると共に潰れ得る引用発明と比べて格別な効果を奏するものとは認められない。
一方、液体処理部材の長さ、幅、厚さ、外側寸法を適宜調整して本願明細書に規定されている可逆膨張試験に従って定量化される本願補正発明1の範囲の膨張収縮動作を得ることは当業者が適宜なし得た程度の事項にすぎないと認められる。
次に、上記相違点3について検討すると、引用発明は流体を迅速に移送するに十分に大きな気泡間開口を有するものであり(上記(1)(イ)参照)、本願補正発明1が引用発明に比べて格別な効果を奏するものとは認められない。
一方、液の通過する開口の大きさに応じて流体の吸収が左右されることが周知であり(例えば国際公開97/17925号、特開平5ー31138号公報参照)、また、本願明細書の段落【0036】には「試験の最後に、液体処理部材の総液体取り込みが記録される。さらに、液体処理部材がそのその総液体取り込みの80パーセントを吸収した後の時間が記録される。」と記載されているが、液体処理部材の「総液体取り込み」やその80パーセントにまで吸収される時間は、液体処理部材の長さ、幅、厚さ、外側寸法によって変わるものと認められるので、液体処理部材の前記開口を設定した上で、液体処理部材の長さ、幅、厚さ、外側寸法を適宜調整して本願明細書に規定されている要求吸収性試験に従って定量化される本願補正発明1の範囲の吸収速度を得ることは当業者が適宜なし得た程度の事項にすぎないと認められる。
次に、上記相違点4について検討すると、本願補正発明1は、本願明細書の段落【0018】に「本発明のいくつかの実施形態においては、液体処理部材は、捕捉された液体を一時的に貯蔵するだけを意図している。したがって、液体処理部材は、液体貯蔵部材内への液体の捕捉の後、時々液体解放を考慮しなければならない。こういうわけで、本発明の液体処理部材にとっては、液体処理部材を脱水するために低毛細管圧力だけが必要とされることが望ましい。他方、液体処理部材は、捕捉された液体が即座に逆流するのを避けるために捕捉された液体を保持しなければならない。」と記載されているように、液体処理部材が、捕捉された液体を一時的に貯蔵し、捕捉された液体が即座に逆流するのを避けるために捕捉された液体を保持するものであり、水性流体と接触して膨張し該流体を吸収し得ると共に潰れ得、流体を容易に放出してしまわないよう変形または圧縮に対して耐性を示す引用発明のものと比べて格別な効果を奏するものとは認められない。
一方、液体処理部材を脱水するためにどれだけの圧力だけが必要とされるかは、使用形態に応じて当業者が適宜設定し得る事項であると認められ、また、本願補正発明1は脱離圧力の範囲に下限を設けておらず、液体処理部材を脱水するために特定の圧力を必要としない場合を含むのであり、捕捉された液体が即座に逆流するのを避けるために捕捉された液体を保持するものにおいて、このような範囲設定をすることに技術的意義を認めることはできない。

そして、本願補正発明1の作用効果も、引用発明、周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明1は、引用発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、平成20年12月2日付けの拒絶理由において、上記引用文献を提示したところ、これに対する意見書、手続補正書の提出はなく、審判請求時に上記のように特許請求の範囲を補正するとともに、審判請求書において、「本願発明においては、所定の膨張試験、要求吸収性試験および毛細管吸着試験の各試験において、請求項1に規定する体積膨張率、吸収時間および離脱圧力の数値範囲内となるように、上記セルフォーム材料の長さ、幅、厚さ、外側寸法によって調整しております(段落[0022])。よって、本願明細書に接した当業者であれば、本願明細書に例示されたセルフォーム材料を用い、長さ、幅、厚さ、外側寸法を適宜調整して、本願発明に規定する各数値範囲内にある液体吸収部材を作製できることは明らかであると出願人は考えます。」(「(3)本願発明が特許されるべき理由」の「(ii)記載不備について」参照)と主張し、また、引用文献には「本願発明のように、液体処理部材を所定の毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力となるようにセルフォーム材料の長さ、幅、厚さ、外側寸法を適宜調整することについても全く開示も示唆もありません。」とも主張している(「(3)本願発明が特許されるべき理由」の「(iii)本願発明と引用発明との対比」参照)。
この点については、本願明細書の記載において、液体処理部材を所定の毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力となるようにセルフォーム材料の長さ、幅、厚さ、外側寸法を適宜調整する手法について明確に説明がされているとは認められないが、所望の脱離圧力となるようにセルフォーム材料の長さ、幅、厚さ、外側寸法を適宜調整することは当業者が適宜なす程度の事項にすぎないものと認めることができ、当該出願人の主張は妥当でない。
また、本願補正発明1は、その液体処理部材の構成を、その物性値で限定したものであるが、それが、従来技術からは当業者が容易に想到し得ない格別な構成によって達成され得るものであるとは認めることはできない。

C.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成21年11月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明15」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】ここに規定されている可逆膨張試験に従って、第1試験サイクル後に0.8未満の体積収縮係数、および第1試験サイクル後に少なくとも1.25の体積膨張係数を有すること、及びここに規定されている要求吸収性試験に従った2秒未満の80%吸収時間を有することを特徴とする液体処理部材。
【請求項2】ここに規定されている可逆膨張試験に従った第2試験サイクルの後に少なくとも0.9の体積収縮係数を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項3】ここに規定されている可逆膨張試験に従った第2試験サイクルの後に少なくとも1.11の体積膨張係数を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項4】前記液体処理部材が、ここに規定されている可逆膨張試験に従った第1試験サイクルの後に少なくとも0.8の容量減少係数を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項5】前記液体処理部材が、ここに規定されている可逆膨張試験の第2試験サイクル後に少なくとも0.7の容量減少係数を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項6】前記液体処理部材が、ここに規定されている要求吸収性試験に従った前期液体処理部材の意図された使用のために、平均的な噴出体積の少なくとも80パーセントの吸収容量を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項7】前記液体処理部材が、ここに規定されている毛細管吸着試験に従って20cm未満という中程度の脱離圧力を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項8】前記液体処理部材が、ここに規定されている透過性試験に従って少なくとも10ダルシーの平面の透過性を有する、請求項1に記載の液体処理部材。
【請求項9】前記液体処理部材が、液体処理部材の意図された使用の前に実質的に液体と幾何学的に飽和している、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項10】前記液体処理部材が実質的に自由液体と幾何学的に飽和している、請求項9に記載の液体処理部材。
【請求項11】請求項1乃至10に記載の液体処理部材を備える体液を管理するための装置。
【請求項12】設定された液体処理部材が、ここに規定されている要求吸収性試験に従って体液を処理するための前記装置の総設計容量の少なくとも20パーセントの吸収容量を有する、請求項11に記載の体液を処理するための装置。
【請求項13】使い捨て吸収体である、請求項11に記載の体液を処理するための装置。
【請求項14】使い捨ておむつである、請求項13に記載の体液を処理するための装置。
【請求項15】前記液体処理部材が、ここに規定されている要求吸収性試験に従って50mlの容量を有する、請求項14に記載の体液を処理するための装置。」

第4.原査定の理由
原査定の理由は以下のとおりである。
「『理由1』
この出願は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1?15記載のものはどのようなものを指しているのか不明である(請求項記載の物性を得るための構造的特徴を請求項に記載する必要があります)。

『理由2』
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1?15
・引用文献1?3
・備考
引用文献1?3には、液体処理部材が記載されている。出願人が定める液体処理部材の物性に液体処理部材を最適化することは、当業者にとって容易である。
なお、意見書を提出されるのであれば、先行技術(少なくとも引用文献1?3記載のもの)が本願請求項記載の物性を有しないことの証明をお願いします。そして、補正されるのであれば、本願には、例えば請求項6の「前期液体処理部材」のように、誤記や、日本語として不明瞭な記載等の不適切な記載が多数存在するため、よく精査して修文されたい。

引 用 文 献 等 一 覧

1.特表平08-511724号公報
2.国際公開第96/021680号
3.国際公開第96/021681号」

第5.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、その記載事項、及び引用発明は、前記「第2.」の3.B.に記載したとおりである。

第6.対比・判断
A.特許請求の範囲の記載不備について
本願の請求項1?8、請求項12の「ここに規定されている」の記載は不明瞭であり、各試験方法が明確に特定できず、ひいてはその試験に従って定められる数値を得るための構成が特定できず、その構成を特定することができない。
よって、本願発明1?8、本願発明12を特定できず、特許法第36条第6項第2号の規定に反する。

B.明細書の【発明の詳細な説明】の欄の記載不備について
本願明細書の【発明の詳細な説明】の欄の段落【0063】の「さらに、サイクルの最後での液体容量は、容量減少係数を得るために、この試験の前に要求吸収性試験により求められるような試験標本の総吸収容量で除算される。」の記載は、「サイクルの最後での液体容量」がどのように定義され、またどのように求められるのか不明で、「容量減少係数」の求め方を特定することができず、特許法第36条第4項の規定に反する。

C.進歩性について
仮に、「ここに規定されている」の記載を上記「第2.」3.Bと同様に「本願明細書に規定されている」と解した場合、本願発明1は、前記「第2.」で検討した本願補正発明1における「液体処理部材」を「体液を処理するための液体処理部材であって、膜により完全に包囲された開放セルフォーム材料からなり」、「本願明細書に規定されている毛細管吸着試験に従って、20cm未満という中程度の脱離圧力を有する」ものとした限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含みさらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明1が、前記「第2.」の3.B.に記載したとおり、引用発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も同様の理由により、引用発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に反する。

第7.むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第2号又は特許法第36条第4項又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-16 
結審通知日 2010-11-19 
審決日 2010-12-01 
出願番号 特願2000-556725(P2000-556725)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A41B)
P 1 8・ 536- Z (A41B)
P 1 8・ 537- Z (A41B)
P 1 8・ 575- Z (A41B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米村 耕一平田 信勝山口 直  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 熊倉 強
谷治 和文
発明の名称 液体捕捉時に膨張し、液体放出時に収縮する高速捕捉液体処理部材を備える体液を管理するための装置  
代理人 横田 修孝  
代理人 吉武 賢次  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 中村 行孝  
代理人 紺野 昭男  
代理人 浅野 真理  

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