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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01M 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01M |
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管理番号 | 1235342 |
審判番号 | 不服2010-6262 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-23 |
確定日 | 2011-04-07 |
事件の表示 | 特願2003-175438「車輌点検支援方法、車輌点検支援プログラム、車輌点検支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月20日出願公開,特開2005-16949〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成15年6月19日(優先日:平成15年4月28日)の特許出願であって,平成21年12月16日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成22年3月23日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正(以下「本件補正」という)がなされたものである。さらに,平成22年8月12日付けで審尋がなされ,回答書が同年10月8日付けで請求人より提出されたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は,特許請求の範囲の請求項1を 「【請求項1】点検対象車輌を特定するための情報であって、車輌のナンバープレート番号の情報、又は顧客の個人情報と車検証とに基づく車輌情報の入力を受け付ける受付手段と、 前記受付手段が前記ナンバープレート番号の入力を受け付けると、入力された該ナンバープレート番号に対応する車輌情報を、ナンバープレートの番号と車輌の情報とを対応付けて格納したユーザ情報データベースから索出する既存登録情報検索手段と、 前記ユーザ情報データベースから索出された車輌情報或いは前記受付手段が受け付けた車輌情報に基づき、車検証に記載されている事項以外の前記点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報を、車輌の装備に関する情報を車輌毎に対応付けて格納した車輌情報データベースから索出する装備情報検索手段と、 前記装備情報検索手段が索出した前記装備情報に基づき、前記点検対象車輌における整備記録簿で挙げられている各点検項目の要否を判定する不要項目判定手段と、 前記不要項目判定手段によって不要と判定された点検項目を除いた、点検結果情報を入力する点検結果入力用画面を表示手段に表示する表示手段と、 前記点検結果入力用画面から入力された点検結果情報を受け付ける受付手段と、 前記点検結果情報を所定の記憶装置に蓄積する蓄積手段と を備える車輌点検支援システム。」 とする補正を含むものである。 2 補正の検討 上記補正は,補正前の請求項1に特定されていた「前記点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報」を「車検証に記載されている事項以外の前記点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報」と限定するとともに,同「前記点検対象車輌における点検項目の要否を判定する不要項目判定手段」を「前記点検対象車輌における整備記録簿で挙げられている各点検項目の要否を判定する不要項目判定手段」と限定するものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下「平成18年法改正前」という)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件について 補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という)が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,以下に検討する。 (1)引用刊行物1の記載事項 本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭57-22531号公報(以下「刊行物1」という)には,「自動車の点検診断装置」について,図面と共に次の事項が記載されている。なお,下線は当審にて付与する。 (1-ア) 「2.特許請求の範囲 全ての自動車について,そのエンジン,車体等の仕様に対応して複数桁の数値にて設定された車種番号を表示する表示部を有し,該表示部に上記車種番号を表示することにより該車種番号をコンピュータに入力する車種番号受入装置と,各自動車についての点検整備に要求される点検項目を記憶する点検項目記憶装置と,上記車種番号受入装置にて受入れられた車種番号の信号が入力され該車種番号の信号と点検項目記憶回路に記憶された点検項目とを突き合わせて選定された車種番号に対応する点検項目を上記点検項目記憶回路から選出する点検項目選別回路と具えたことを特徴とする自動車の点検診断装置。」(1頁左下欄3?17行) (1-イ) 「本発明は、上記従来のものの欠点を除去するためになされたもので、その目的とするところは、自動車の点検診断作業を正確にかつ容易に迅速に行うのに役立つ自動車点検診断装置を提供するにある。 即ち、全ての自動車についてその車種,諸元の如何を問わず、これに必要な点検診断項目を脱漏なく、しかも順序良く点検者に自動的に表示或いは指示する自動車点検診断装置を提供するにある。」(2頁左上欄16行?同頁右上欄6行) (1-ウ) 「第1図において(1)は被点検診断自動車、(2)は自動車の点検診断に用いられる測定機器でサイドスリツプテスタ(2a),コンビネーションテスタ(2b),ホイールアライメントテスタ(2c),エンジンアナライザ(2d),排気ガステスタ(2c)などからなる。(3)はコンピュータを備えたオペレーションコンソール、(4)は点検結果などを記録する記録装置、(5)は点検項目を表示する表示装置、(6)は目視点検、手動点検の結果や表示装置(5)の動作や測定機器(2)の動作などを入力する操作装置である。測定機器(2),記録装置(4),表示装置(5)及び操作装置(6)はそれぞれコンソール(3)に電気的に配線によって接続されている。」(2頁右上欄9行?同頁左下欄2行) (1-エ) 「上記車種番号受入装置(3a)は、第3図に示すように前面に設けた複数の表示用窓(24)からなる表示部を有する枠箱(20)と,該枠箱に収納された各窓に属する複数の回転式スイツチとを具え、オペレーションコンソール(3)の前面板に取り付けられる。・・・・・」(2頁右下欄14?19行) (1-オ) 「さて、被点検診断自動車が現れたら、車種番号索引表を使用して被点検診断自動車の車種,諸元から該当する車種番号を索引して、この番号を車種番号受入装置(3a)の円板(22)を回転して文字板(23)上に移して表示する。上記の処置によつて車種番号が中央制御装置(11)に入力される。すると、点検項目選別回路(12)は前記の車種番号の信号を中央制御装置から得て点検項目記憶回路(13)からのその自動車の車種,諸元に対応する点検項目を順次選出し表示装置(5)に順序よく適正な点検項目を表示して点検者にその点検診断を指示する。この点検項目において測定機器(2)の使用が必要な場合は、点検項目選別回路(12)からの指令によつて測定機器(2)が自動的に運転され被点検診断自動車について点検項目に関する測定が行われる。 この測定値は測定回路(15)を経て信号変換され中央制御装置(11)を介して記録装置(4)に入力され、そこで自動的に記録される。勿論、点検項目の中には、目視点検,手動点検に属するものが含まれている訳で、これらの表示が表示装置(5)に現われた場合は、目視点検,手動点検を行つた後にその良否判定を行ない、その結果を操作装置(6)の押ボタンによつて中央制御装置(11)に入力し、記録装置(4)に記録させるようにする。」(4頁左下欄1行?同頁右下欄6行) 上記記載事項(1-ア)?(1-オ)および図1?3を参照すると,刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。 「全ての自動車について,そのエンジン,車体等の仕様に対応して複数桁の数値にて設定された車種番号を表示する表示部を有し,該表示部に上記車種番号を表示することにより該車種番号をコンピュータに入力する車種番号受入装置(3a)と,各自動車についての点検整備に要求される点検項目を記憶する点検項目記憶回路(13)と,上記車種番号受入装置(3a)にて受入れられた車種番号の信号が入力され該車種番号の信号と前記点検項目記憶回路(13)に記憶された点検項目とを突き合わせて選定された車種番号に対応する点検項目を上記点検項目記憶回路(13)から選出する点検項目選別回路(12)とを具え,点検項目を順次選出し表示装置(5)に順序よく適正な点検項目を表示し,目視点検,手動点検を行つた後にその良否判定を行ない、その結果を操作装置(6)の押ボタンによつて中央制御装置(11)に入力し、記録装置(4)に記録させる自動車の点検診断装置。」(以下「引用発明」という) (2)引用刊行物2の記載事項 同じく,本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2002-127877号公報(以下「刊行物2」という)には,「車両整備システム及び車両整備方法」について,図面と共に次の事項が記載されている。 (2-ア) 「【0051】には「このとき車両情報としては、登録番号、車両番号、車台番号、車種名、検査証情報、ユーザー名、ユーザーの連絡先(住所又は居所、電話番号、メールアト゛レス等)、点検日等を受付端末2から入力している。なお、検査証情報とは、自動車検査証、抹消登録証明書又は自動車検査証返納証明書の記載事項であり、自動車の種別、用途、自家用・事業用の別、車体の形状、車名、形式、乗車定員、最大積載量、車両重量、車両総重量、原動機の形式、長さ、幅、高さ、総排気量、定格出力、燃料の種類、形式指定番号、種別区分番号、初度登録年月、初度検査年月等である。」 (2-イ) 「【0052】図4は、この車両情報を端末2から入力する際の入力画面の例を示している。同図の如く、ユーザー氏名(顧客名称)、登録番号、車種名、年式、連絡先電話番号が表示され、これらの情報が、プレート番号(登録番号)をキーワードとして記憶されている。」 (2-ウ) 「【0055】次に、車両を点検場所22に移動し、点検用端末3に点検項目を表示し(S3)、ユーザー6の立会いのもとで点検を行なう(S4)。 【0056】この点検項目は点検個所毎に表示されており、図6では運転席廻りの点検項目を表示している。 【0057】点検の結果、良好な項目には、各項目の先頭にあるチェック欄aにチェック「レ」を付ける。なお、本例では、デフォルトの状態で各項目にチェックがついているので、点検結果が良好な項目は、そのままとし、交換や調整が必要な項目は、この項目を選択して作業を入力する(S5)。 【0058】本例では、ストップランプのバルブが切れていたので、「ヘッドランプ、ストップランプ、ウインカランプ等の点灯、汚れ、損傷」の項目を選択し、図7の如く作業・部品の選択ウインドウを表示させ、交換を選択した。」 (3)引用刊行物3の記載事項 同じく,本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭63-117238号公報(以下「刊行物3」という)には,「車検ラインの制御システム」について,図面と共に次の事項が記載されている。 (3-ア) 「2.特許請求の範囲 予め各管理車両データを記憶する記憶装置と、被車検車両のナンバーを操作盤に入力することにより記憶装置から該当車両についての所有者の住所、氏名、車検内容及び該車検内容に応じた点検項目と判定条件を選出してライン上の各測定機器の測定結果からの合否の判定と、該判定の不合格の場合に記憶装置からの交換部品の選出とを実行するライン演算制御装置と、該ライン演算制御装置からの指令により点検項目、判定結果の色別及び交換部品リストを表示する表示装置と、前記ライン演算制御装置からの指令により前記住所、氏名、車検内容、判定結果及び交換部品リストを記録する記録装置と、前記ライン演算制御装置との間でデータ伝送するホスト演算制御装置とからなることを特徴とする車検ラインの制御システム。」(1頁左下欄4行?同頁右下欄1行) (3-イ) 「次に上記実施例のシステムの作動について説明する。 予め作業者はライン制御装置(2)に付属の操作盤に各管理車両のデータ例えば各車両の所有者の住所、氏名、車検内容に応じた点検項目、各点検項目に応じた判定条件即ち基準値等、点検項目に応じた判定結果が不良の各場合における交換部品のリスト等を入力し、これらのデータを記憶装置(7)に読み込ませておく。 このように記憶装置(7)に各管理車両のデータを入力した後車検作業を開始する。 先ず被車検車両を車検ライン(1)に導入し、作業者は操作盤(10)にi被車検車両のナンバーを入力する。そしてこの入力信号を受けたライン演算制御装置(2)は該ナンバーに対応した車検内容を記憶装置(7)から読み出し、該車検内容の最初の点検項目を表示装置(8)に表示する0作業者はこの点検項目に従って最初の例えば排気ガス測定を行う、この排気ガス測定値はライン演算制御装置(2)に入力され、該ライン演算制御装置(2)において該測定値と基準値を比較し、該測定値が許容基準値内であれば合格の判定をして表示装置(8)に合格の例えば緑色の表示をする。ところがライン演算制御装置(2)において前記測定値が許容基準外であると判定したときには表示装置(8)に不合格の例えば赤色の表示をする。このようにして最初の点検項目に関する点検整備の終了後、作業者が操作ff1(10)を操作することにより、ライン演算制御袋M(2)は車検内容の次の点検項目を選出してその点検項目例えばサイドスリップテスターによる測定を表示装置(8)に表示する。この表示に従って作業者は被車検車両を該測定個所に移動して前述と同様の作動により合否の判定を行う、このようにライン演算制御装置(2)の作動により表示装置(8)に順次表示された点検項目に従って作業者は点検整備を行って車検内容の一連の点検整備を終了する。この一連の点検整備終了後ライン演算制御装置(2)は各点検整備において判定の結果不合格の場合の交換部品を選出してそのリストを表示装置(8)に表示する。 従って作業者が自己の判断で交換部品を選出する必要がなく、作業者の熟練が不必要になると共に、作業の能率が図れる。そしてこの車検内容に従った点検項目、測定結果、合否の判定結果、交換部品、更に所有者の住所、氏名、車両ナンバー等が記録装置(9)により整備レポートにプリントアウトされ、このプリントアウトされた整備レポートは車両の所有者にそのまま渡すことができる。 このように各車検ライン(1)での各車両の車検結果のデータはライン演算制御装置(2)より工場ホスト演算制御装置(12)に送られて工場単位で集中データ管理し、更に各工場の集中データは工場ホスト演算制御装置(12)から本社工場ホスト演算制御装置(13)に伝送され、本社において全社的にデータの集中管理を行う。」(3頁左上欄14行?同頁右下欄13行) (3-ウ) 「(7)発明の効果 このように本発明によると操作盤に被車検車両のナンバーを入力すると、ライン演算制御装置により該被車検車両に応じた車検内容の点検項目が順次表示装置に表示されると共にこれら点検項目の実施による合否の判定結果が表示装置に色別表示されるので、合否の判定結果が一目瞭然にわかり、又、車検終了後判定の結果不合格の個所に関する必要とする交換部品のリストについても表示装置に表示されるので、作業者が必要な交換部品の選出が不必要となって該作業者に熟練が不必要であると共に作業能率が格段に向上し、更に各被車検車両の所有者の住所氏名、車検内容とその車検結果等のデータが記録装置により全てプリントアウトされるので、そのプリントアウトされたシートをそのまま所有者に渡すことができて記録を特にとる必要がなく、又各ラインのライン演算制御装置がホスト演算制御装置に接続されているので、データの集中管理もできる効果を有する。」(3頁右下欄14行?4頁右下欄13行) (4)引用刊行物4の記載事項 同じく,本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2002-189822号公報(以下「刊行物4」という)には,図面と共に次の事項が記載されている。 (4-ア) 「【0005】・・・・・(b)図2の超時短車検・受注・電話問診・受付票に於いての右欄、自動車諸元については、図2の101の登録又は車両番号を入力すると、図1の各マスタに入力されている車両については、その自動車の諸元・その他が検索・出力されて、コンピュータ画面で見る事、図2の超時短車検・受注・電話問診・受付票にプリントする事が出来る。・・・・・」 (4-イ) 「【0013】・・・・・ (a)一度でもこのシステム実施工場に入庫し、顧客情報・車両諸元がコンピューターに入力されている車両であれば、図2・101の登録番号又は車両番号を入力するだけで、右欄自動車の諸元はもとより左欄の等が図1の各マスタに登録されている情報・諸元より検索・出力され図2にプリント出来る。」 (5) 対比・判断 補正発明と引用発明とを対比すると,その機能からみて,引用発明の「操作装置(6)」,「記録装置(4)」および「自動車の点検診断装置」は,それぞれ,補正発明の「点検結果情報を受け付ける受付手段」,「前記点検結果情報を所定の記憶装置に蓄積する蓄積手段」および「車輌点検支援システム」に相当することは明らかである。 そして,補正発明と引用発明1とを対比すると,補正発明では「車種番号」により「点検項目」を取り出し,補正発明では「装備情報」により「点検項目」を取り出しているのであるから,引用発明の「そのエンジン,車体等の仕様に対応して複数桁の数値にて設定された車種番号」は,補正発明の「点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報」に相当するといえる。また,引用発明ではその「表示装置(5)」が「各自動車についての点検整備に要求される点検項目」を表示し,補正発明ではその「表示手段」が「前記不要項目判定手段によって不要と判定された点検項目を除いた」点検項目を「点検結果入力用画面」にて表示しているのであるから,引用発明の「点検項目を順次選出し表示装置(5)に順序よく適正な点検項目を表示し」と補正発明の「前記不要項目判定手段によって不要と判定された点検項目を除いた、点検結果情報を入力する点検結果入力用画面を表示手段に表示する」とは,「前記不要項目判定手段によって不要と判定された点検項目を除いた,点検項目を表示する」点において共通しているといえる。 さらに,引用発明の「車種番号に対応する点検項目を上記点検項目記憶回路(13)から選出する」は,補正発明の「点検対象車輌における整備記録簿で挙げられている各点検項目の要否を判定する」と技術的に同じ意味であるから,引用発明の「点検項目選別回路(12)」は,補正発明の「不要項目判定手段」に相当するといえる。 そうすると,両者は, (一致点) 「装備情報に基づき,点検対象車輌における整備記録簿で挙げられている各点検項目の要否を判定する不要項目判定手段と, 前記不要項目判定手段によって不要と判定された点検項目を除いた,点検項目を表示する表示手段と, 前記点検結果情報を受け付ける受付手段と, 前記点検結果情報を所定の記憶装置に蓄積する蓄積手段と を備える車輌点検支援システム。」 である点で一致し,次の点で相違する。 (相違点1) 「装備情報」が,補正発明では「点検対象車輌を特定するための情報であって、車輌のナンバープレート番号の情報、又は顧客の個人情報と車検証とに基づく車輌情報の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段が前記ナンバープレート番号の入力を受け付けると、入力された該ナンバープレート番号に対応する車輌情報を、ナンバープレートの番号と車輌の情報とを対応付けて格納したユーザ情報データベースから索出する既存登録情報検索手段と、前記ユーザ情報データベースから索出された車輌情報或いは前記受付手段が受け付けた車輌情報に基づき、車検証に記載されている事項以外の前記点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報を、車輌の装備に関する情報を車輌毎に対応付けて格納した車輌情報データベースから索出する装備情報検索手段と」を具え,「前記装備情報検索手段が索出した」ものであるのに対し,引用発明1では「車種番号を表示する表示部を有し,該表示部に上記車種番号を表示することにより該車種番号をコンピュータに入力する車種番号受入装置」を具え,該「車種番号受入装置」から入力したものである点。 (相違点2) 「表示手段」が,補正発明では「点検結果情報を入力する点検結果入力用画面を表示」し,「前記点検結果入力用画面から」「点検結果情報」が「入力される」のに対し,引用発明ではそのような画面を有しない点。 まず,相違点1について検討する。 上記記載事項(3-ア)からみて,「予め各管理車両データを記憶装置に記憶しておき,被車検車両のナンバーを操作盤に入力することにより該記憶装置から該当車両についての所有者の住所,氏名,車検内容及び該車検内容に応じた点検項目と判定条件を選出する」ことが刊行物3に記載されているといえる。 そして,上記記載事項(2-ア),(4-ア)および(4-イ)の記載からみて,刊行物3記載「被車検車両のナンバー」が被車検車両の「登録番号」あるいは「車両番号」を意味することは明らかであり,上記記載事項(2-イ)の記載からみて,前記「登録番号」を意味しているとみるのが相当である。 また,刊行物3記載の「記憶装置」が,本願発明における「ナンバープレートの番号と車輌の情報とを対応付けて格納したユーザ情報データベース」と「車輌の装備に関する情報を車輌毎に対応付けて格納した車輌情報データベース」とを一体にしたものに相当し,刊行物3記載のものは,「記憶装置から該当車両についての所有者の住所,氏名,車検内容及び該車検内容に応じた点検項目と判定条件を選出する」のであるから,本願発明の「既存登録情報検索手段」と「装備情報検索手段」と同等のものを具えているといえる。 してみると,引用発明において,その「車種番号受入装置」に替えて,上記刊行物3に記載された技術的事項とすること,すなわち,相違点1における補正発明の構成とすることは,当業者ならば容易に想到し得る事項であるといえる。 次に,相違点2について検討する。 上記記載事項(2-イ)の記載からみて,刊行物2には「点検結果情報を入力する点検結果入力用画面を表示し,該点検結果入力用画面から点検結果情報を入力する」ことが記載されているといえる。 してみると,引用発明において,上記刊行物2に記載された技術的事項を付加して,相違点2における補正発明の構成とすることは,当業者ならば容易に想到し得る事項であるといえる。 そして,相違点1および2を採用したことによる補正発明の効果も,引用発明1および刊行物2?4に記載された事項から予測される範囲内のものであり,格別顕著なものとはいえない。 したがって,補正発明は,引用発明および刊行物2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 まとめ 以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されることとなったので,本願の請求項1?16に係る発明は,平成21年 4月17日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるとおりのものであって,その請求項1は次のとおりである。(以下,請求項1に係る発明を「本願発明」という。) 「【請求項1】 点検対象車輌を特定するための情報であって、車輌のナンバープレート番号の情報、又は顧客の個人情報と車検証とに基づく車輌情報の入力を受け付ける受付手段と、 前記受付手段が前記ナンバープレート番号の入力を受け付けると、入力された該ナンバープレート番号に対応する車輌情報を、ナンバープレートの番号と車輌の情報とを対応付けて格納したユーザ情報データベースから索出する既存登録情報検索手段と、 前記ユーザ情報データベースから索出された車輌情報或いは前記受付手段が受け付けた車輌情報に基づき、前記点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報を、車輌の装備に関する情報を車輌毎に対応付けて格納した車輌情報データベースから索出する装備情報検索手段と、 前記装備情報検索手段が索出した前記装備情報に基づき、前記点検対象車輌における点検項目の要否を判定する不要項目判定手段と、 前記不要項目判定手段によって不要と判定された点検項目を除いた、点検結果情報を入力する点検結果入力用画面を表示手段に表示する表示手段と、 前記点検結果入力用画面から入力された点検結果情報を受け付ける受付手段と、 前記点検結果情報を所定の記憶装置に蓄積する蓄積手段とを備える車輌点検支援システム。」 2 引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1?4およびその記載事項は,前記「第2 3 (1)刊行物1の記載事項?(4)刊行物4の記載事項」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は,補正発明において,「前記点検対象車輌の装備に関する情報である装備情報」と「前記点検対象車輌における点検項目の要否を判定する不要項目判定手段」が,それぞれ「車検証に記載されている事項以外の」および「整備記録簿で挙げられている各」という限定がないものである。 そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が前記「第2 3(5)」において検討したとおり,引用発明および刊行物2?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明および刊行物2?4に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をできたものであるというべきである。 4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項に係る発明に言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-04 |
結審通知日 | 2011-02-08 |
審決日 | 2011-02-22 |
出願番号 | 特願2003-175438(P2003-175438) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G01M)
P 1 8・ 121- Z (G01M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福田 裕司 |
特許庁審判長 |
岡田 孝博 |
特許庁審判官 |
信田 昌男 後藤 時男 |
発明の名称 | 車輌点検支援方法、車輌点検支援プログラム、車輌点検支援システム |
代理人 | 平川 明 |
代理人 | 高田 大輔 |
代理人 | 和久田 純一 |
代理人 | 今堀 克彦 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 松倉 秀実 |