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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G
管理番号 1235462
審判番号 不服2007-27919  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-10-11 
確定日 2011-04-08 
事件の表示 平成 9年特許願第 41705号「電解コンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月21日出願公開、特開平10-223481〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成9年2月10日の出願であって,平成19年9月5日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月11日に審判請求がなされるとともに,同年11月9日付けで手続補正がなされ,その後,当審において平成22年8月26日付けで拒絶理由が通知され,その指定期間内の同年10月28日付けで手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成22年10月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項1】ポリビニルアルコールの水溶液にセパレータを浸漬または,塗布した後に加熱,減圧等で乾燥して,0.1?50.0g/m^(2) のポリビニルアルコールが付着したセパレータを介して,陰極箔および表面に形成されたピットの径が0.1μm以上の陽極箔を巻回してコンデンサ素子を形成し,このコンデンサ素子がエチレングリコールと40重量%以下のほう酸を含む電解コンデンサ用の電解液に接触するとともに高温保持によって,ピット内部にゲル状電解質を形成した電解コンデンサ。」

3 刊行物の記載と引用発明
当審の拒絶理由通知に引用され,本願の出願前に日本国内において頒布された特開昭60-254721号公報(以下「引用例1」という。)には,「電解コンデンサの製造方法」(発明の名称)に関して,第1図?第7図とともに,以下の事項が記載されている。(なお,下線は,引用箇所のうち特に強調する部分に付加したものである。以下同様。)
「[従来技術]
従来の箔形乾式コンデンサは,駆動用電解液が液状のため,使用中に電解液の漏出,蒸発等が起り,電解コンデンサの寿命を縮める等の支障があった。そのため封口方法を工夫して気密性を良くしたり,電解液中にゲル剤を添加し,電解液の粘性を高くして電解液の漏出や蒸発等を防止している。
[従来技術の問題]
上記のように電解液の漏出,蒸発等を防止するための電解液中にゲル剤を添加し,電解コンデンサ素子に含浸させる場合,直径4mm長さ5mmから直径8mm長さ11mm程度の大きさの電解コンデンサにおいては,ゲル剤がコンデンサ素子中の電解紙中に含浸され,電解紙中に含浸された電解液はゲル化するが,直径8mm長さ11mm以下の大きなコンデンサ素子についてはゲル剤が電解紙中に十分に含浸され難いため電解紙中に含浸された電解液のゲル化が不充分であった。そのためゲル化の不充分な電解液が漏出したり蒸発し,電解コンデンサの寿命を短くするという欠点があった。
[発明の目的]
本発明は上述の点にかんがみてなされたもので,電解紙に含浸させる電解液を充分にゲル化し,電解コンデンサの寿命を長くする電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
[発明の構成]
上記目的を達成するため,本発明は少なくとも1表面にゲル剤層を形成した電解紙を陽極箔と陰極箔との間に介在させて捲回し,しかる後,該電解紙に電解液を浸透させ,該電解液の浸透と共に電解液に溶解したゲル剤層のゲル剤を電解紙中に浸透させてなるコンデンサ素子をケースに封入し,電解紙に浸透する電解液を均一にゲル化したこと,および電解紙の抄紙工程中に電解紙材料中にゲル剤を含有させて電解紙を製造し,該電解紙を陽極箔と陰極箔との間に介在させた捲回し,しかる後,該電解紙に電解液を浸透させてなるコンデンサ素子をケースに封入し,電解紙に浸透する電解液を均一にゲル化したことにある。
[発明の実施例]
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図および第2図はコンデンサ素子に用いる電解紙の拡大断面図である。第1図に示すように電解紙10は,電解紙用の紙11の両面にゲル剤層を形成したもの,あるいは,第2図のように電解紙繊維13の間にゲル剤14を混在させたものを用いる。第1図のゲル剤層12は,純水またはメチルアコール,エチルアルコール等のアルコール類の溶剤にゲル剤を溶解した溶液を紙11の両面に塗布し,しかる後純水,アルコール等の溶剤を蒸発させて形成する。また,第2図の電解紙繊維13の間にゲル剤14を混在させる方法は,電解紙10の抄紙工程において,電解紙材料中にゲル剤を含有させて電解紙10を製造することにより電解紙繊維13の間にゲル剤14を混在させる。
上記ゲル剤層12のゲル剤および電解繊維13の間に混在するゲル剤14としては,ヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズを用い,また,電解紙中におけるゲル剤の濃度は電解紙中の重量比1?20%とする。
上記のようにして造った電解紙10を第3図に示すように陽極箔15と陰極箔16との間に介在させて捲回する。陽極箔15および陰極箔16としては,アルミニュウム箔の表面を粗面化して表面積を拡大した後,酸化皮膜を生成したものを用いる。上記のように陽極箔15と陰極箔16との間に電解紙10を介在させて捲回したコンデンサ素子部17に,通常の電解コンデンサで用いられる電解液を減圧あるいは加圧等の含浸方法で含浸させる。次に,第4図に示すようにケース18にコンデンサ素子部17を挿入し,ゴム弾性体19にて,コンデンサ素子部17を封入する。封入した後,105℃に1?4時間保持することにより,コンデンサ素子部17の電解液中に溶解した該ゲル剤により電解液はゲル化する。
第1図の例では,紙10の両面にゲル剤層12を形成する場合を例に示したが,ゲル剤層12はかならずしも両面に設ける必要はなく,1表面だけに設けてもよい。
第5図,第6図,第7図は,上記のようにして製造した電解コンデンサと従来の電解コンデサの実験結果を示す図である。第5図は漏れ電流の時間特性を示す図,第6図は誘電正接(いわゆるtanδ)の時間特性,第7図は容量変化率の時間特性を示す図である。いずれも,直径18mm,長さ40mmの大きさで定格25V-3300μFの電解コンデンサを用い,温度125℃の直流負荷試験の結果である。
漏れ電流特性は第5図に示すように従来例(点線A参照)と本実施例(実線B参照)との間には顕著な差は認められないが,誘電正接特性は第6図に示すように従来例は(点線C参照)2000時間を越したところから急激に大きくなっていくのに対して本実施例は(実線D参照)2000時越しても急激には大きくならないという優れた特性を有する。また,時間に対する容量変化率も第7図に示すように従来例(点線e参照)より本実施例(実線F参照)のほうが小さい。
上記のように,本実施例の製造方法で造った電解コンデンサは,誘電正接の時間特性および容量変化率の時間特性において,従来の電解コンデンサに比較して優れた特性を有し,電解コンデンサの長寿命化に寄与する。
なお上記実施例では陽極箔15と陰極箔16との間に電解紙10を介在させた捲回したコンデンサ素子部17に電解液を浸透させ,ケース18中に封入した後,105℃に1?4時間保持することにより電解液をゲル化させる方法を示したが,コンデンサ素子部17に電解液を浸透させた後,80?120℃に1?6時間保持し,電解液をゲル状あるいは固体状の電解質とした後,ケース18に封入するようにしてもよい。
[発明の効果]
以上説明したように,本発明の電解コンデンサの製造方法によれば,少なくとも1表面にゲル剤を含有する電解紙あるいは電解紙材料中にゲル剤を含有させた電解紙を用いて,該電解紙を陽極箔と陰極箔との間に介在させ捲回し,該電解紙に電解液を浸透させるようにしたので,コンデンサ素子の中の電解液が均一にゲル化され,電解液の漏出,蒸発等のない長寿命で優れた特性の電解コンデンサが得られる。」(1頁右下欄14行?3頁右上欄16行)

したがって,引用例1には,上記下線部の記載に基づいて,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「純水にヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズからなるゲル剤を溶解した溶液を紙11の両面または1表面に塗布し,しかる後純水の溶剤を蒸発させてゲル剤層12を形成した電解紙10を,
表面を粗面化して表面積を拡大した陽極箔15と陰極箔16との間に介在させて捲回してコンデンサ素子部17とし,
コンデンサ素子部17に電解コンデンサで用いられる電解液を浸透させた後,80?120℃に1?6時間保持し,電解液をゲル状の電解質とした,電解コンデンサ。」

4 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「電解紙10」は,本願発明の「セパレータ」に相当する。
(2)本願発明においても,「ポリビニルアルコール」はゲル化剤として用いられているから,本願発明の「ポリビニルアルコール」と,引用発明の「ヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズからなるゲル剤」とは,「ゲル化剤」である点で共通する。
(3)本願発明の「ポリビニルアルコールの水溶液」と,引用発明の「純水にヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズからなるゲル剤を溶解した溶液」とは,「ゲル化剤の水溶液」である点で共通する。
(4)引用発明の「純水の溶剤を蒸発」は,本願発明の「乾燥」に相当する。
(5)以上の(1)?(4)も考慮すると,本願発明の「ポリビニルアルコールの水溶液にセパレータを浸漬または,塗布した後に加熱,減圧等で乾燥して,」「ポリビニルアルコールが付着したセパレータ」と,引用発明の「純水にヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズからなるゲル剤を溶解した溶液を紙11の両面または1表面に塗布し,しかる後純水の溶剤を蒸発させてゲル剤層12を形成した電解紙10」とは,「ゲル化剤の水溶液を塗布した後に」「乾燥して,」「ゲル化剤が付着したセパレータ」である点で共通する。
(6)引用発明の「陰極箔16」は,本願発明の「陰極箔」に相当する。
また,引用発明の「陽極箔15」は,本願発明の「陽極箔」に相当し,本願発明の「表面に形成されたピットの径が0.1μm以上の陽極箔」と,引用発明の「表面を粗面化して表面積を拡大した陽極箔15」とは,「表面を粗面化した陽極箔」である点で共通する。
(7)引用発明の「コンデンサ素子部17」は,本願発明の「コンデンサ素子」に相当する。
(8)本願発明の「エチレングリコールと40重量%以下のほう酸を含む電解コンデンサ用の電解液」と,引用発明の「電解コンデンサで用いられる電解液」とは,「電解コンデンサ用の電解液」である点で共通する。
(9)引用発明の「電解液を浸透させた後,80?120℃に1?6時間保持し,電解コンデンサで用いられる電解液をゲル状の電解質と」することは,本願発明の「電解コンデンサ用の電解液に接触するとともに高温保持によって」「ゲル状電解質を形成」することに相当する。

そうすると,本願発明と引用発明との一致点と相違点は,次のとおりである。

《一致点》
「ゲル化剤の水溶液を塗布した後に乾燥して,ゲル化剤が付着したセパレータを介して,陰極箔および表面を粗面化した陽極箔を巻回してコンデンサ素子を形成し,このコンデンサ素子が電解コンデンサ用の電解液に接触するとともに高温保持によって,ゲル状電解質を形成した電解コンデンサ。」

《相違点》
《相違点1》
「乾燥」を,本願発明では「加熱,減圧等で乾燥して」いるのに対し,引用発明では「純水の溶剤を蒸発させて」とのみ記載され,具体的乾燥手段が記載されていない点。
《相違点2》
「ゲル化剤」が,本願発明では「0.1?50.0g/m^(2) のポリビニルアルコール」であるのに対し,引用発明では「ヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズ」である点。
《相違点3》
「陽極箔」が,本願発明では「表面に形成されたピットの径が0.1μm以上」のものであるのに対し,引用発明では「表面を粗面化して表面積を拡大した」ものである点。
《相違点4》
「電解コンデンサ用の電解液」が,本願発明では「エチレングリコールと40重量%以下のほう酸を含む」ものであるのに対し,引用発明では材料が特定されていない点。
《相違点5》
「ゲル状電解質」を,本願発明では「ピット内部に」形成するのに対し,引用発明では特定されていない点。

5 相違点についての検討
上記相違点1?5について,それぞれ検討する。
(1)相違点1について
乾燥手段として,加熱,減圧等は,周知技術であるから,引用発明において,本願発明のように「加熱,減圧等で乾燥」することは,当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。

(2)相違点2について
電解コンデンサのゲル化剤の材料の選択肢として,ポリビニルアルコールは,以下の周知例1,2にも記載されているように,セルロースとともに周知技術であるから,引用発明において,「ゲル剤層12」の材料を,「ヒドロキシメチルセルローズ,ヒドロキシエチルセルローズ」に代えて,本願発明のように「ポリビニルアルコール」とすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
そしてその際に,「ポリビニルアルコール」の量をどの程度とするかは,ゲル化剤としての機能等を考慮して当業者が個々に定めるべきものであるから,本願発明のように「0.1?50.0g/m^(2) 」とすることも,設計事項である。
周知例1:特開平5-182870号公報(当審拒理の引用例2:「【発明の名称】アルミ電解コンデンサ」,「【0012】本発明の基本は,金属ケースの内部に,一定温度以上で駆動用電解液をゲル化または固化させる性質を有するゲル化剤もしくは固化剤を配置したもので,このゲル化剤もしくは固化剤としては特に限定は無く,例えばセルロース,硝酸セルロース,酢酸セルロース,ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロースなど),カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩(ナトリウムカルボキシメチルセルロース,ナトリウムカルボキシエチルセルロースなど),ゼラチン,寒天,コンニャク粉,デンプン,砂糖や多糖類,タンパク質(ラクトアルブミン,卵黄タンパクなど)や,もしくはこれらの2種以上を混合したもの。また,ポリビニルアルコール,ポリビニルアルコール誘導体(フォーマル化ポリビニルアルコール,アセタール化ポリビニルアルコール,ブチラール化ポリビニルアルコールなど),ポリビニルエーテル誘導体(ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルエチルエーテルなど),ポリ酢酸ビニル,酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体,酢酸ビニル-エチレン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイソブチレンや,これらの1種または2種以上を共重合もしくは混合したものが挙げられる。」)
周知例2:特開平6-112092号公報(当審拒理の引用例3:「【発明の名称】半固体電解コンデンサの製造方法」,「【0006】ゲル化剤としては,ゼラチン,寒天,蛋白質,セルロース等の天然物の他,ポリビニルアルコール,ポリメタクリル酸メチル,ポリアクリロニトリル,ポリエチレンオキシド,ポリメトキシナイロン等の合成高分子あるいはジベンジリデンソルビトール誘導体等が用いられる。」)

(3)相違点3について
引用発明においても,「陽極箔15」として「表面を粗面化して表面積を拡大した」ものが用いられているように,電解コンデンサの技術分野において,表面積を拡大するために,陽極箔の表面を粗面化することは,周知技術である。
そしてその際に,どのような粗面の形状及び大きさとするかは,当業者が個々に最適化して定めるべきものであり,「表面に形成されたピットの径が0.1μm以上」のものも,以下の周知例3,4にも記載されているように,通常用いられ得るものであり周知技術であるから,引用発明において,「陽極箔15」の表面の粗面化を具体化するに際し,本願発明のように「表面に形成されたピットの径が0.1μm以上」のものとすることは,当業者が適宜なし得た設計事項である。
周知例3:特開平6-45194号公報(当審拒理の引用例4:「【0025】以下,本発明の具体的な実施例と比較例を図面を参照しながら説明する。図1は,本発明の一実施例の電解コンデンサの構成断面概略図である。厚さ0.1mm,エッチング孔の直径約1から5ミクロン,大きさ3cm×12cmのアルミニウム箔で作られた陽極1を90℃の温度に保たれたホウ酸水溶液(濃度80g/l)に浸し,3Aの電流で15分間,前述のアルミニウム面を酸化し,酸化アルミニウムにより構成される誘電体層3を形成した。」)
周知例4:特開平6-310384号公報(当審拒理の引用例5:「【0008】まず,穴の大きさは,その直径が100nm?5μmである。直径が100nm未満であると,電解エッチング時において,エッチングピット生成のための起点にならず,所望の密度でエッチングピットを生成させることができないので,好ましくない。逆に,直径が5μmを超えると,生成するエッチングピットのピット径が大きくなりすぎて,エッチングピットの密度が低下し,表面積の十分な拡大を図ることができず,高静電容量の陽極箔が得られなくなるので,好ましくない。なお,エッチングピットの密度は,得られる陽極箔表面の単位面積当たりのエッチングピットの本数のことである。また,穴の大きさについては,その穴の形状(箔表面の真上から観察した形状)が円形のときは,その直径であるが,穴の形状が円形でないときは,その面積を測定し,この面積と同一の面積を持つ円の直径とする。」)

(4)相違点4について
「電解コンデンサ用の電解液」として,「エチレングリコールと40重量%以下のほう酸を含む」ものを用いることは,以下の周知例5?7にも記載されているように,電解コンデンサの技術分野における周知技術である。
よって,引用発明において,「電解コンデンサで用いられる電解液」として,本願発明のように「エチレングリコールと40重量%以下のほう酸を含む」ものを採用することは,当業者が適宜なし得た設計事項である。
周知例5:特開平6-61103号公報(当審拒理の引用例6:「【0022】の実施例1の電解液組成では,エチレングリコール90gとホウ酸20g」,「【0025】の【表1】では,実施例1の耐電圧600V以上」)
周知例6:特開昭59-177915号公報(当審拒理の引用例7:「1頁右下欄の第1表では,エチレン・グリコール50Wt-%とホウ酸10Wt-%」)
周知例7:特開平4-206707号公報(「従来より高圧用電解液としては,エチレングリコールを主体とした溶液にほう酸を溶解した電解液が用いられてきた」(1頁右下欄3?5行),「2頁左下欄の第1表の電解液試料記号Dでは,エチレングリコール85gとほう酸5g」)

(5)相違点5について
引用発明において,「陽極箔15」の「表面を粗面化して表面積を拡大した」ものとすることが,コンデンサとしての容量を大きくするため,すなわち,「電解コンデンサで用いられる電解液」と「陽極箔15(の表面に形成された酸化皮膜)」との接触面積を大きくするためであることは明らかであり,また,「電解液」を「ゲル状の電解質」とすることが,「電解液」の漏出,蒸発等を防止するためであることも明らかである。
そうすると,上記(3)で検討したとおり,引用発明において粗面の形状をピットとするのであれば,ピット内部に入り込んだ電解液をもゲル状の電解質とすることにより,本願発明のように「ピット内部にゲル状電解質を形成」することは,引用発明の目的を考えれば,当業者が当然行うべきことである。

(6)相違点についての検討のまとめ
よって,引用発明において,相違点1?5に係る構成とすることは,当業者が容易になし得た範囲内のことである。
したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-04 
結審通知日 2011-02-09 
審決日 2011-02-23 
出願番号 特願平9-41705
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大澤 孝次佐久 聖子  
特許庁審判長 橋本 武
特許庁審判官 高橋 宣博
小野田 誠
発明の名称 電解コンデンサ  
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