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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1235715
審判番号 不服2010-2619  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-05 
確定日 2011-04-21 
事件の表示 特願2006-352073「遊戯機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年4月5日出願公開、特開2007- 83079〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成8年6月28日を出願日とする特願平8-170336号の一部を、平成18年12月27日に新たな特許出願としたものであって、拒絶理由通知に対応して平成21年9月7日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、平成22年2月5日に本件拒絶査定不服審判が請求されるとともに、手続補正がなされたものである。

第二.平成22年2月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年2月5日付の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正後の本願発明
本件補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本願補正発明」という。)及び同請求項2記載の発明は次のとおりである。
「【請求項1】 始動入賞口への入賞又は通過により、大当たりか否かの抽選を行う場合に、図柄を変動させ、前記抽選の結果を当該変動の結果として停止する図柄で示すと共に、複数のリーチモードを表示可能な遊戯機において、
前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の全ての図柄変動のときも、外れとなる際の全ての図柄変動のときも、出現可能であり、
リーチモードを表示する場合には、前記複数のリーチモードから所定の選択比率で1つのリーチモードを選択して表示し、
所定条件が成立した後にリーチモードを表示する場合には、前記所定の選択比率とは異なる選択比率によって、大当たりまたは外れのリーチモードから1つを選択して表示することにより、
前記所定条件の成立に伴って各種リーチモードの選択比率を変更させることを特徴とする遊戯機。」
「【請求項2】 始動入賞口への入賞又は通過により、大当たりか否かの抽選を行う場合に、図柄を変動させ、前記抽選の結果を当該変動の結果として停止する図柄で示すと共に、複数のリーチモードを表示可能な遊戯機において、
前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の全ての図柄変動のときも、外れとなる際の全ての図柄変動のときも、出現可能であり、
大当たりとなるリーチ変動を行う場合に前記複数のリーチモードから1つのリーチモードを選択すると共に、大当たり時に選択される前記複数のリーチモード選択確率が異なる複数の大当たり時のリーチモード選択用テーブルと、
外れとなるリーチ変動を行う場合に前記複数のリーチモードから1つのリーチモードを選択すると共に、外れ時に選択される前記複数のリーチモードの選択確率が異なる複数の外れ時のリーチモード選択用テーブルとを有し、
前記大当たり時のリーチモード選択用テーブルと外れ時のリーチモード選択用テーブルは、各々所定の条件成立時に変更選択されることを特徴とする遊戯機。」
(下線部は補正によって変更又は追加された箇所。)

2.補正要件(目的)の検討
上記請求項1及び2における「前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の全ての図柄変動のときも、外れとなる際の全ての図柄変動のときも、出現可能であり、」の意味が明確でないところ、発明の詳細な説明を参酌すると、「前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の全ての図柄変動のときも、外れリーチとなる際の全ての図柄変動のときも、出現可能であり、」の趣旨と解することが相当であると認められるので、当該趣旨であることを前提に補正要件を検討する。
(1)請求項1についての補正は、「リーチモード」について「複数の」及び「全て」を付加し、リーチモードが「出現可能」な「大当りとなる際の図柄変動のとき」及び「外れリーチとなる際の図柄変動のとき」について、「全ての」を付加し、さらに選択されるリーチモードについて「1つのリーチモード」から「大当たりまたは外れのリーチモードから1つ」へと限定する補正である。
してみると、前記補正は、補正前の発明特定事項を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。
(2)請求項2についての補正は、「リーチモード」について「複数の」及び「全て」を付加し、リーチモードが「出現可能」な「大当りとなる際の図柄変動のとき」及び「外れリーチとなる際の図柄変動のとき」について、「全ての」を付加する補正である。
してみると、前記補正は、補正前の発明特定事項を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。
(3)以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用された文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-131622号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
【請求項1】 複数の識別情報を複数列の可変表示部にて可変表示すると共に、これら複数列の可変表示部の表示結果が予め定めた組合せとなったときに特定の遊技価値を付与し得る可変表示装置を備えた弾球遊技機において、
リーチ時、通常時の変動態様と異なる複数種類のリーチ態様のうち何れか1つの態様にて最終停止する可変表示部の変動を制御するリーチ変動制御手段と、
所定の遊技履歴を計数する遊技履歴計数手段と、を備え、
前記リーチ変動制御手段による複数種類のリーチ態様の出現率を前記遊技履歴計数手段による遊技履歴の計数値に応じて種々設定することを特徴とする弾球遊技機。
【0003】【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のように複数種類のリーチ態様の中から1つの態様を無作為に抽出して実行する可変表示装置では、長時間に及ぶ遊技においては、リーチ態様の出現率が画一的に決まってしまい、遊技内容がマンネリ化するという問題を有していた。本発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、所定条件毎にリーチ態様の出現率を変更し、遊技内容の多様化を招来し得る可変表示装置を備えた弾球遊技機を提供することにある。
【0022】以上、説明した遊技制御回路によって奏される可変表示装置30の具体的な動作の一例を図12乃至図28に示すタイムチャート及び説明図等を参照して説明する。先ず、可変表示装置30の変動動作に用いられるランダム数について説明する。可変表示装置30では、図12に示すような5種類のランダム数が使用されており、これらのランダム数は、大当り決定用のランダム1(0?132)と、リーチ種別決定用のランダム2(0?29)と、左図柄表示用のランダム3(0?10)と、中図柄表示用のランダム4(0?10)と、右図柄表示用のランダム5(0?10)と、から構成されている。ランダム1は、0.002秒毎に1ずつ加算されて変動するランダム数である。ランダム2・3は、それぞれ0.002秒毎に1ずつ加算され且つ割り込み処理の余り時間に1ずつ加算されて変動するランダム数である。ランダム4は、ランダム3の桁上げのときに1ずつ加算されるランダム数である。ランダム5は、ランダム4の桁上げのときに1ずつ加算されるランダム数である。
【0025】先ず、可変表示装置30の変動動作において、リーチせずに外れとなる図柄列の変動を図14のタイムチャートに基づいて説明する。図14において、普通可変入賞球装置4(図14中には、始動入賞口と記載)に打玉が入賞して始動玉検出器7がONされ始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時にランダム1からランダム数を抽出してこれらを格納する。・・・
【0027】次に、リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなる図柄列の変動を図15のタイムチャートに基づいて説明する。図15において、普通可変入賞球装置4(図15中には、始動入賞口と記載)に打玉が入賞して始動玉検出器7がONされ始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時にランダム1からランダム数を抽出してこれらを格納する。その後、始動信号の導出から微少時間(0.002秒)が経過したときに、格納したランダム1の値を読み出して外れを判定し、それと同時に各ランダム3・4・5の値を抽出すると共にランダム2の値を抽出する。その後、始動信号の導出から0.004秒が経過すると、変動パターンAにて左・中・右の全図柄列の変動を開始させる。
【0028】そして、上記のような変動開始から6.500秒が経過すると、右図柄列に対しては、停止図柄の400ドット前のデータをセットして0.800秒間変動パターンBにて変動させ、その後ランダム5で抽出した値の図柄を停止表示させる。左図柄列に対しては、変動開始から7.300秒が経過すると、停止図柄の400ドット前のデータをセットして0.800秒間変動パターンBにて変動させ、その後ランダム3で抽出した値の図柄を停止表示させる。なお、この時点で、左・右の各図柄によってリーチ図柄が構成されているものである。
【0029】また、中図柄列のリーチ変動においては、2種類の変動制御のうち抽出されたランダム2データに応じたものが行われるが、このリーチ変動の種類を決定するランダム2データは、後述するような設定1?4(図18参照)毎のデータ範囲a・bとして設定されている。即ち、中図柄列に対しては、ランダム2データがデータ範囲a内の場合、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして4.210秒?8.421秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。一方、ランダム2データがデータ範囲b内の場合では、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして8.421秒?15.769秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。これにより、左・中・右の各図柄列には、各ランダム3・4・5で決定した外れ図柄が表示される。なお、上記した中図柄列のリーチ変動では、各種の変動制御を差別的に強調するため、ランダム2データがデータ範囲a内のときには背景表示Aを、またランダム2データがデータ範囲b内のときには背景表示Bを行うようになっている。この背景表示については、後に詳述するものである。・・・
【0030】次に、リーチして大当り図柄の前後で外れとなる図柄列の変動を図16のタイムチャートに基づいて説明する。図16において、普通可変入賞球装置4(図16中には、始動入賞口と記載)に打玉が入賞して始動玉検出器7がONされ始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時にランダム1からランダム数を抽出してこれらを格納する。その後、始動信号の導出から微少時間(0.002秒)が経過したときに、格納したランダム1の値を読み出して外れを判定し、それと同時に各ランダム3・4・5の値を抽出すると共にランダム2の値を抽出する。その後、始動信号の導出から0.004秒が経過すると、変動パターンAにて左・中・右の全図柄列の変動を開始させる。
【0031】そして、上記のような変動開始から6.500秒が経過すると、右図柄列に対しては、停止図柄の400ドット前のデータをセットして0.800秒間変動パターンBにて変動させ、その後ランダム5で抽出した値の図柄を停止表示させる。左図柄列に対しては、変動開始から7.300秒が経過すると、停止図柄の400ドット前のデータをセットして0.800秒間変動パターンBにて変動させ、その後ランダム3で抽出した値の図柄を停止表示させる。なお、この時点で、左・右の各図柄によってリーチ図柄が構成されているものである。
【0032】また、中図柄列のリーチ変動は、前述のリーチ変動と同様に複数種類(3種類)の変動制御のうち抽出されたランダム2データに応じたものが行われ、データ範囲c・d・e(図18参照)が設定されている。即ち、中図柄列に対しては、ランダム2データがデータ範囲c内の場合、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして4.210秒?8.421秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。ランダム2データがデータ範囲d内の場合では、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして8.421秒?15.769秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。また、ランダム2データがデータ範囲e内の場合では、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして10.947秒?20.500秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。これにより、左・中・右の各図柄列には、各ランダム3・4・5で決定した外れ図柄が表示される。なお、上記した中図柄列のリーチ変動では、各種の変動制御を差別的に強調するため、ランダム2データがデータ範囲c内のときには背景表示Aを、ランダム2データがデータ範囲d内のときには背景表示Bを、またランダム2データがデータ範囲e内のときには背景表示Cを行うようになっている。・・・
【0033】次に、可変表示装置30の変動動作において、大当りとなる図柄列の変動を図17のタイムチャートに基づいて説明する。図17において、普通可変入賞球装置4(図17中には、始動入賞口と記載)に打玉が入賞して始動玉検出器7がONされ始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時にランダム1からランダム数を抽出してこれらを格納する。その後、始動信号の導出から微少時間(0.002秒)が経過したときに、格納したランダム1の値を読み出して大当りを判定し、それと同時に各ランダム3・4・5の値を抽出すると共にランダム2の値を抽出する。その後、始動信号の導出から0.004秒が経過すると、変動パターンAにて左・中・右の全図柄列の変動を開始させる。
【0034】そして、上記のような変動開始から6.500秒が経過すると、右図柄列に対しては、停止図柄の400ドット前のデータをセットして0.800秒間変動パターンBにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。左図柄列に対しては、変動開始から7.300秒が経過すると、停止図柄の400ドット前のデータをセットして0.800秒間変動パターンBにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。なお、この時点で、左・右の各図柄によってリーチ図柄が構成されているものである。
【0035】また、中図柄列のリーチ変動は、前述のリーチ変動と同様に複数種類(2種類)の変動制御のうち抽出されたランダム2データに応じたものが行われ、データ範囲f・g(図18参照)が設定されている。即ち、中図柄列に対しては、ランダム2データがデータ範囲f内の場合、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして8.421秒?15.769秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。一方、ランダム2データがデータ範囲g内の場合では、変動開始から8.100秒が経過すると、リーチ図柄にセットして8.421秒?15.769秒間変動パターンCにて変動させ、その後ランダム4で抽出した値の図柄を停止表示させる。これにより、左・中・右の各図柄列には、ランダム4で決定した大当り図柄が表示される。なお、上記した中図柄列のリーチ変動では、各種の変動制御を差別的に強調するため、ランダム2データがデータ範囲f内のときには背景表示Dを、またランダム2データがデータ範囲g内のときには背景表示Eを行うようになっている。よって、ランダム2に応じて背景表示A?Eの5種類のリーチ動作の中から1つ選ばれ行われるが、上記のようなリーチ動作に限らず、例えば最終停止の大当り該当図柄を含む前後図柄のみ低速変動し変速回転するリーチ動作や、最終停止図柄が大当り図柄から1図柄過ぎた位置で一旦停止し、正逆回転して停止するリーチ動作や、全図柄が変動して一斉に停止するリーチ動作等、表示内容、変動速度、変動時間、停止タイミング、リーチ効果音等、何れか1つ以上を変えたり、組合せたりして多種のリーチ動作を設け、上記したリーチ動作に変えて行ってもよい。・・・
【0036】ところで、上記した中図柄列のリーチ変動(リーチ態様)における各データ範囲a?gは、図18に示すように、各設定1?4毎に変えて設定されている。設定1?4は、それぞれ遊技履歴の計数値としての始動回数S(始動玉検出器7での入賞玉の検出回数)毎に分けられており、設定1はS≦49、設定2は50≦S≦99、設定3は100≦S≦149、設定4は150≦S、となっている。そして、例えば、リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなる中図柄列の変動では、設定1(S≦49)において、ランダム2データが「0?26(90%)」のときをデータ範囲aとする一方、ランダム2データが「27?29(10%)」のときをデータ範囲bとし、また設定2(50≦S≦99)においては、ランダム2データが「0?23(80%)」のときをデータ範囲aとする一方、ランダム2データが「24?29(20%)」のときをデータ範囲bとする等、始動回数S(遊技履歴の計数値)の変化に応じて複数種類のリーチ態様の出現率を変更するようになっている。なお、始動回数S(遊技履歴の計数値)は、図示しないカウンター(遊技履歴計数手段)によって計数されるものである。
【0037】以上のように、本実施例の遊技機では、複数種類のリーチ態様の出現率を始動回数Sに応じて種々設定するので、始動回数S毎にリーチ態様の出現率が変更されて遊技内容の多様化が招来でき、ひいては遊技の興趣を向上している。なお、本実施例では、遊技履歴の計数値を始動回数Sとしているが、特にこれに限定するものではなく、リーチ回数、大当り回数、差玉数、確率変動、特定遊技状態の発生、あるいは遊技の経過時間等であっても良く、さらには設定切換スイッチ(図示しない)等により各テーブルに対応する計数値の変更を可能にしたものであっても良い。また、設定値も設定1?4の4種類に限定するものではない。また、本実施例中においては、遊技履歴の計数値が所定値となった場合に、出現率を記憶している複数のテーブルのうち予め定められた順序でその中の1つのテーブルを選択しているが、乱数選択手段(図示しない)により、抽出した乱数値に対応していずれかのテーブルを選択するようにしてもよい。さらに、乱数値にてテーブルを選択する場合、乱数値の再抽出の防止や演算により前回と異なるテーブルを選択することで、前回と同じテーブルが選択されるのを防止してもよい。
【0040】次に、可変表示装置30の具体的なリーチ変動における表示画像について図22乃至図28を参照して説明する。先ず、可変表示装置30の全体的な表示画像は、図22のタイムチャートに示すようになっている。即ち、普通可変入賞球装置4(図22中には、始動口入賞と記載)に打玉が入賞して始動玉検出器7がONしてから左・中・右の全図柄表示部33a?33cの変動を開始するまでの時間T1(例えば、0.004秒)では、各図柄表示部33a?33cの変動が停止している表示画像A(図23(A)参照)にある。なお、本実施例の図柄表示部33a?33cは、従来のような直線型の配列表示ではなく、図23(A)に示すように、谷型(V字型)の配列表示となっている。その後、右図柄表示部33cの変動時間T2(例えば、7.300秒)、及び左図柄表示部33aの変動時間T3(例えば、8.100秒)内では、各図柄表示部33a?33cが変動している表示画像B(図23(B)参照)となる。また、中図柄表示部33bの変動時間T4(例えば、16.000秒)における左図柄表示部33aの変動停止後については、左図柄表示部33aの変動停止直後の時間T5(例えば、3.500秒)では、左・右の図柄表示部33a・33cが同一図柄で停止(リーチ図柄を構成)した状態で中図柄表示部33bのみが変動している表示画像C(図23(C)参照)となり、その後の時間T6(例えば、4.000秒)では、同一図柄で停止した左・右の図柄表示部33a・33cが変動中の中図柄表示部33bの位置まで下がり、各図柄表示部33a?33cが直線型に配列した表示画像D(図24(A)参照)となる。なお、この場合、左図柄表示部33aの右端部及び右図柄表示部33cの左端部は、中図柄表示部33bの裏面側に隠された表示状態となっている。
【0041】次に、上記した時間T6直後から中図柄表示部33bの変動が停止するまでの時間では、左・右の各図柄表示部33a・33cを縮小表示すると共に背景表示33dを変更して、リーチ変動を視覚的に強調する表示画像E(図24(B)参照)となる。なお、図柄表示部33a・33cは、縮小に限らず非表示(消去)にしてもよい。また、確率変動中の場合では、表示画像Eと異ならせた表示画像J(図26(A)参照)となる。つまり、キャラクタ51(例えば、女の子)からキャラクタ52(例えば、ロボット)に変えたり、図柄表示部33a?33cの色調を変えたり(例えば、赤色図柄を青色図柄に変える)、背景表示33dの色調を変えたりして、確率変動中の旨を視覚的に報知するようになっている。その後、外れとなるときには、図24(C)に示すように、中図柄表示部33bに外れ図柄を停止表示した表示画像Fとなる。一方、大当りとなるときには、図25(A)に示すように、中図柄表示部33bに当り図柄を停止表示した表示画像Gを所定時間T7(例えば、2.000秒)表示し、その後、特別可変入賞球装置11の開閉板13(図22中には、可変入賞口と記載)を開放するまでの時間T8(例えば、3.000秒)では、各図柄表示部33a?33cに当り図柄を表示した状態で、大当り表示部33eを有する背景表示33dを行う表示画像H(図25(B)参照)となる。

【図18】に記載されている事項
【図18】には、設定1におけるデータ範囲はaが0?26(90%)bが27?29(10%)cが0?29(100%)dがなし(0%)eがなし(0%)fが0?5(20%)gが6?29(80%)、設定2におけるデータ範囲はaが0?23(80%)bが24?29(20%)cがなし(0%)dが0?29(100%)eがなし(0%)fが0?14(50%)gが15?29(50%)、設定3におけるデータ範囲はaが0?14(50%)bが15?29(50%)cが0?5(20%)dが6?23(60%)eが24?29(20%)fが0?23(80%)gが24?29(20%)、設定4におけるデータ範囲はaが0?5(20%)bが6?29(80%)cが0?8(30%)dが9?17(30%)eが18?29(40%)fが0?5(20%)gが6?29(80%)となっていることが記載されている。

摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 普通可変入賞球装置4に打玉が入賞して始動玉検出器7がONされ始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時にランダム1からランダム数を抽出してこれらを格納し、ランダム1から抽出された値が「7」のときは、大当りと判定してランダム4での抽出値に基づく図柄を大当り図柄として可変表示装置30の各特別図柄表示部33a?33cに表示する一方、ランダム1から抽出された値が「7」以外のときは、外れと判定して各ランダム3・4・5での抽出値に基づく図柄を外れ図柄として可変表示装置30の各特別図柄表示部33a?33cに表示すると共に、リーチ時、通常時の変動態様と異なる複数種類のリーチ態様のうち何れか1つの態様にて中図柄列の変動を制御する弾球遊技機において、
リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなる図柄列の変動は、前記中図柄列に対しては、(A)変動開始から8.100秒+4.210秒?8.421秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Aを行う、(B)変動開始から8.100秒+8.421秒?15.769秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Bを行う、の何れかであり、
リーチして大当り図柄の前後で外れとなる図柄列の変動は、前記中図柄列に対しては、(A)変動開始から8.100秒+4.210秒?8.421秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Aを行う、(B)変動開始から8.100秒+8.421秒?15.769秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Bを行う、(C)変動開始から8.100秒+10.947秒?20.500秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Cを行う、の何れかであり、
大当りとなる図柄列の変動は、前記中図柄列に対しては、(D)変動開始から8.100秒+8.421秒?15.769秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Dを行う、(E)変動開始から8.100秒+8.421秒?15.769秒が経過すると停止表示させ、そのリーチ態様では背景表示Eを行う、の何れかであり、
リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなるときの前記リーチ態様の種類は、ランダム2データがデータ範囲a内の場合リーチ態様(A)に、データ範囲b内の場合リーチ態様(B)に決定され、リーチして大当り図柄の前後で外れとなるときの前記リーチ態様の種類は、ランダム2データがデータ範囲c内の場合前記リーチ態様(A)に、データ範囲d内の場合前記リーチ態様(B)に、データ範囲e内の場合リーチ態様(C)に決定され、大当りとなるときの前記リーチ態様の種類は、ランダム2データがデータ範囲f内の場合リーチ態様(D)に、データ範囲g内の場合リーチ態様(E)に決定され、
前記データ範囲a?gは、前記始動玉検出器7での入賞玉の検出回数S毎に分けられており、設定1はS≦49、設定2は50≦S≦99、設定3は100≦S≦149、設定4は150≦Sであり、
設定1におけるデータ範囲はaが0?26(90%)bが27?29(10%)cが0?29(100%)dがなし(0%)eがなし(0%)fが0?5(20%)gが6?29(80%)、設定2におけるデータ範囲はaが0?23(80%)bが24?29(20%)cがなし(0%)dが0?29(100%)eがなし(0%)fが0?14(50%)gが15?29(50%)、設定3におけるデータ範囲はaが0?14(50%)bが15?29(50%)cが0?5(20%)dが6?23(60%)eが24?29(20%)fが0?23(80%)gが24?29(20%)、設定4におけるデータ範囲はaが0?5(20%)bが6?29(80%)cが0?8(30%)dが9?17(30%)eが18?29(40%)fが0?5(20%)gが6?29(80%)となっている弾球遊技機。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「普通可変入賞球装置4」は、本願補正発明の「始動入賞口」に相当し、以下同様に、
「通常時の変動態様と異なる複数種類のリーチ態様」は「複数のリーチモード」に、
「弾球遊技機」は「遊戯機」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献の記載等からみて、以下のことが言える。

a.引用発明において、「普通可変入賞球装置4に打玉が入賞して始動玉検出器7がONされ始動信号を導出する」こと、「始動信号の立ち上がり時にランダム1からランダム数を抽出してこれらを格納」すること、「ランダム1から抽出された値が「7」のときは、大当りと判定してランダム4での抽出値に基づく図柄を大当り図柄として可変表示装置30の各特別図柄表示部33a?33cに表示する一方、ランダム1から抽出された値が「7」以外のときは、外れと判定して各ランダム3・4・5での抽出値に基づく図柄を外れ図柄として可変表示装置30の各特別図柄表示部33a?33cに表示する」こと、及び「リーチ時、通常時の変動態様と異なる複数種類のリーチ態様のうち何れか1つの態様にて最終停止する可変表示部の変動を制御する」ことは、それぞれ本願補正発明において「始動入賞口への入賞」、「大当たりか否かの抽選を行う」こと、「図柄を変動させ、前記抽選の結果を当該変動の結果として停止する図柄で示す」こと、及び「複数のリーチモードを表示可能」であることに相当するから、引用発明の弾球遊技機は、本願補正発明の「始動入賞口への入賞又は通過により、大当たりか否かの抽選を行う場合に、図柄を変動させ、前記抽選の結果を当該変動の結果として停止する図柄で示すと共に、複数のリーチモードを表示可能な遊戯機」に相当するものである。

b.引用発明の「リーチ態様(A)」?「リーチ態様(E)」及び「大当りとなる図柄列の変動」は、それぞれ本願補正発明の「前記複数のリーチモードの全て」及び「大当たりとなる際の全ての図柄変動」に相当し、リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなる図柄列の変動とリーチして大当り図柄の前後で外れとなる図柄列の変動は、本願補正発明の「外れリーチとなる際の全ての図柄変動」に相当するものといえるから、引用発明と本願補正発明は、“前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の図柄変動のとき、又は外れリーチとなる際の図柄変動のときに、出現可能”である点で共通している。

c.引用発明においては、リーチ時にリーチ態様(A)?(E)の何れかに決定され、その決定は、「リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなるとき」、「リーチして大当り図柄の前後で外れとなるとき」、及び「大当りとなるとき」の各場合において、ランダム2データの値が予め定められたデータ範囲のどこにあるかによって行われている。
そして、上記各場合の振り分けも引用文献の段落【0023】や図13から分かるように、ランダム1及びランダム3・4・5の抽出値によって決まっており、所定比率で振り分けられるから、引用発明のリーチ態様は、リーチ態様(A)?(E)から所定の選択比率で選択され表示されるものといえる。
そうしてみると、引用発明は、本願補正発明の「リーチモードを表示する場合には、前記複数のリーチモードから所定の選択比率で1つのリーチモードを選択して表示し」に相当する機能を有するものということができる。

d.上記c.で述べた引用発明における予め定められたデータ範囲は、設定1?4の何れであるかによって異なっている。
すなわち、設定1におけるデータ範囲a?gによるリーチ態様の選択比率を所定の選択比率とすれば、設定2におけるデータ範囲a?gによるリーチ態様の選択比率と異なる選択比率となることは明らかである。
そして、設定1から設定2に変化する条件はSが50になることであって、本願補正発明の「所定条件が成立した後にリーチモードを表示する場合」に相当する場合において、設定2のデータ範囲a?gが用いられるものということができるから、引用発明は、本願補正発明の「所定条件が成立した後にリーチモードを表示する場合には、前記所定の選択比率とは異なる選択比率によって、大当たりまたは外れのリーチモードから1つを選択して表示することにより、前記所定条件の成立に伴って各種リーチモードの選択比率を変更させる」に相当する機能を有するものということができる。

e.摘記した引用文献の段落【0040】、【0041】及び【図22】?【図25】に記載されている具体的なリーチ変動における表示画像についての説明によれば、中図柄表示部33bの変動中までは、外れとなるときも、大当りとなるときも同様の背景表示(【図23】(A)?【図24】(B))となっており、変動中の背景表示によって外れか大当りかが分かる旨の記載もないことから、引用発明は、外れとなるときのリーチ態様と大当りとなるときのリーチ態様を含む複数のリーチ態様において、中図柄列変動中の背景表示を同一とし、リーチ態様(B)と(D)又はリーチ態様(B)と(E)が、中図柄列変動中は同一のリーチ態様といえるものを含んでいるといえる。

以上を総合すると、両者は、
「 始動入賞口への入賞又は通過により、大当たりか否かの抽選を行う場合に、図柄を変動させ、前記抽選の結果を当該変動の結果として停止する図柄で示すと共に、複数のリーチモードを表示可能な遊戯機において、
前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の図柄変動のとき、又は外れリーチとなる際の図柄変動のときに、出現可能であり、
リーチモードを表示する場合には、前記複数のリーチモードから所定の選択比率で1つのリーチモードを選択して表示し、
所定条件が成立した後にリーチモードを表示する場合には、前記所定の選択比率とは異なる選択比率によって、大当たりまたは外れのリーチモードから1つを選択して表示することにより、
前記所定条件の成立に伴って各種リーチモードの選択比率を変更させる遊戯機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願補正発明は「前記複数のリーチモードの全ては、大当たりとなる際の全ての図柄変動のときも、外れリーチとなる際の全ての図柄変動のときも、出現可能」であるのに対し、引用発明は、少なくともリーチ態様(A)及び(C)については、リーチして大当り図柄の前後以外で外れとなるときと、リーチして大当り図柄の前後で外れとなるときにしか出現しない点。

なお、リーチ態様(B)、(D)及び(E)については、変動時間が同一であり、上記e.で述べたように、中図柄列変動中は同一のリーチ態様となる場合があるため、相違点としない。

(3)相違点の検討及び判断
複数のリーチモードの全てを、大当たりとなる場合及び外れリーチとなる場合のいずれにおいても出現可能なものとすることは、例えば、特開平7-155445号公報(段落【0020】?【0022】及び【図5】からリーチ状態、スーパーリーチ状態のいずれからも大当り、外れに移行する可能性があることが分かる)並びに特開平7-100249号公報(特に、段落【0077】【0078】及び【図19】(b))に示されるように遊戯機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
そして、引用発明、周知技術ともに、複数のリーチモードを有する弾球遊技機である点で共通しているから、引用発明に周知技術を適用し、上記相違点に係る本願補正発明のような構成とすることは、遊戯機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得る。

請求人は、審判請求書(第5頁)において、引用文献では、出現率は変化するものの、詳細な説明では、大当たりのときに出現するリーチ態様と、外れリーチのときに出現するリーチ態様が区別されており、それ以外の記載がない以上、その出現率が期待値を考慮していないのは明らかである旨主張している。
しかし、上記e.で述べたように、引用文献には中図柄表示部33bの変動中までは、外れとなるときも、大当りとなるときも同様の背景表示とする例が記載され、遊戯機の分野において、大当りとなる期待値を考慮してリーチ演出を行うことは、従来ごく普通に行われているから、請求人の上記主張は採用できない。
そして、例えば、引用発明のリーチ態様(B)と(D)について、中図柄列変動中の背景表示を同一とした場合には、中図柄列変動中は外れか大当りかが遊技者には分からないから、リーチ態様(B)又は(D)が発生した場合の大当り期待値は、設定値1の場合(1/133)*(2/10)/{(1/133)*(2/10)+(132/133)*(8/121)*(1/10)}=18.6%、設定値2の場合(1/133)*(5/10)/{(1/133)*(5/10)+(132/133)*(3/121)+(132/133)*(8/121)*(2/10)}=9.1%と演算される。
また、請求人は、審判請求書(第6頁)において、本願補正発明を引用文献で達成するには、少なくとも、データ範囲a?gまでの外れテーブルと、データ範囲a?gまでの当たりテーブルが存在する必要がある旨主張している。
しかし、引用発明における全データ範囲は0?29であって、これが本願の発明の詳細な説明におけるテーブル1?6における乱数範囲0?7に対応するものである。すなわち、引用発明にはリーチして大当り図柄の前後以外で外れとなるときにリーチ態様の種類を決定するための全データ範囲0?29のテーブルが4種類(【図18】の上2段)、リーチして大当り図柄の前後で外れとなるときにリーチ態様の種類を決定するための全データ範囲0?29のテーブルが4種類(【図18】の中3段)、大当りとなるときにリーチ態様の種類を決定するための全データ範囲0?29のテーブルが4種類(【図18】の下2段)存在しているといえるので、上記請求人の主張は当を得ない。
さらに、請求人は、回答書(第5頁)において、請求項4の構成(所定条件が、特定の図柄で大当たりとなった場合)を請求項1及び2に繰り入れ、「固定観念として遊戯者に記憶されないように」する点を請求項1及び2に追加する補正案を提示している。
しかし、摘記した引用文献の段落【0037】に「本実施例では、遊技履歴の計数値を始動回数Sとしているが、特にこれに限定するものではなく、リーチ回数、大当り回数、差玉数、確率変動、特定遊技状態の発生、あるいは遊技の経過時間等であっても良く」と記載されており、そのうちの「特定遊技状態の発生」は本件補正の請求項4における「特定の図柄で大当たりとなった場合」に相当している。また、「固定観念として遊戯者に記憶されないように」するという効果についても、摘記した引用文献の段落【0003】の記載等からみて格別のものではないから、上記補正案についても進歩性を見いだすことはできない。

(4)まとめ
以上のように上記相違点は、当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術に基いて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成22年2月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年9月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 始動入賞口への入賞又は通過により、大当たりか否かの抽選を行う場合に、図柄を変動させ、前記抽選の結果を当該変動の結果として停止する図柄で示すと共に、複数のリーチモードを表示可能な遊戯機において、
前記リーチモードには、大当りとなる際の図柄変動のときも、外れとなる際の図柄変動のときも、出現可能であるリーチモードを含み、
リーチモードを表示する場合には、前記複数のリーチモードから所定の選択比率で1つのリーチモードを選択して表示し、
所定条件が成立した後にリーチモードを表示する場合には、前記所定の選択比率とは異なる選択比率によって、1つのリーチモードを選択して表示することにより、
前記所定条件の成立に伴って各種リーチモードの選択比率を変更させることを特徴とする遊戯機。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用文献記載事項
原査定における引用文献及びその記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から、「リーチモード」について、「複数の」、「全て」及び「大当たりまたは外れの」という構成を省き、リーチモードが「出現可能」な「大当たりとなる際の全ての図柄変動のとき」及び「外れリーチとなる際の全ての図柄変動のとき」について、「全ての」を省いたものといえる。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第四.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項(請求項2?4)について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-09 
結審通知日 2011-02-15 
審決日 2011-03-01 
出願番号 特願2006-352073(P2006-352073)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 吉村 尚
澤田 真治
発明の名称 遊戯機  
代理人 中島 淳  
代理人 加藤 和詳  
代理人 福田 浩志  

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