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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1235807
審判番号 不服2009-5285  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-11 
確定日 2011-04-21 
事件の表示 特願2002- 95357「反射防止層および反射防止材」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月15日出願公開、特開2003-294904〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年3月29日の出願であって、平成19年10月4日付けで通知された拒絶理由に対し、同年12月7日に手続補正がなされたが、平成21年2月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年3月11日付けで審判請求がされるとともに、同年4月10日付けで手続補正がなされ、その後、当審から送付した審尋に対し、平成22年7月7日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成21年4月10日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成21年4月10日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正事項
平成21年4月10日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、本件補正前の平成19年12月7日付け手続補正により補正された、

「【請求項1】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、
および前記導電性層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有し、
前記透明導電性超微粒子は、針状アンチモンドープ酸化錫及び/又は球状アルミニウムドープ酸化亜鉛である
ことを特徴とする反射防止層。
【請求項2】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、
前記導電性層よりも屈折率の高い高屈折率層、並びに前記導電性層および前記高屈折率層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有し、
前記透明導電性超微粒子は、針状アンチモンドープ酸化錫及び/又は球状アルミニウムドープ酸化亜鉛である
ことを特徴とする反射防止層。
【請求項3】 表面抵抗値が10^(8)?10^(9)Ω/□である請求項1又は2記載の反射防止層。
【請求項4】 可視光(450nm?650nm)に対する平均反射率が2.5%である請求項1,2又は3記載の反射防止層。
【請求項5】 透明基材上に、請求項1、2、3又は4いずれか記載の反射防止層が、非観察側が前記透明基材側を向いて積層されていることを特徴とする反射防止材。
【請求項6】 前記透明基材上にハードコート層が積層されており、前記ハードコート層上に、請求項1、2、3又は4いずれか記載の反射防止層が、非観察側が前記ハードコート層側を向いて積層されていることを特徴とする反射防止材。
【請求項7】 前記ハードコート層は、防眩性付与粒子を含有するものであり、かつ、前記反射層側の面に微細な凹凸を有することを特徴とする請求項6記載の反射防止材。」

から、

「【請求項1】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、
および前記導電性層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有し、
前記透明導電性超微粒子は、針状アンチモンドープ酸化錫であり、
前記針状アンチモンドープ酸化錫の長軸径/短軸径の比が20?30である
ことを特徴とする反射防止層。
【請求項2】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、
前記導電性層よりも屈折率の高い高屈折率層、並びに前記導電性層および前記高屈折率層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有し、
前記透明導電性超微粒子は、針状アンチモンドープ酸化錫であり、
前記針状アンチモンドープ酸化錫の長軸径/短軸径の比が20?30である
ことを特徴とする反射防止層。
【請求項3】 表面抵抗値が10^(8)?10^(9)Ω/□である請求項1又は2記載の反射防止層。
【請求項4】 可視光(450nm?650nm)に対する平均反射率が2.5%である請求項1、2又は3記載の反射防止層。
【請求項5】 透明基材上に、請求項1、2、3又は4いずれか記載の反射防止層が、非観察側が前記透明基材側を向いて積層されていることを特徴とする反射防止材。
【請求項6】 前記透明基材上にハードコート層が積層されており、前記ハードコート層上に、請求項1、2、3又は4いずれか記載の反射防止層が、非観察側が前記ハードコート層側を向いて積層されていることを特徴とする反射防止材。
【請求項7】 前記ハードコート層は、防眩性付与粒子を含有するものであり、かつ、前記反射層側の面に微細な凹凸を有することを特徴とする請求項6記載の反射防止材。」

に補正された。

(2)補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するための事項である「透明導電性超微粒子」が、「針状アンチモンドープ酸化錫及び/又は球状アルミニウムドープ酸化亜鉛」であったものから、「針状アンチモンドープ酸化錫」と選択肢の一部を削除して限定し、かかる「針状アンチモンドープ酸化錫」に対して「長軸径/短軸径の比が20?30である」という限定を付加して補正後の請求項1としたものである。
また、請求項2に対しても、請求項1と同様の限定をしたものである。
したがって、これらの補正事項は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(3)引用刊行物
(3-1)引用刊行物
本願の出願前に頒布された特開2002-6104号公報(原査定の拒絶理由における引用文献1、以下、「引用刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、(1)平均粒子径が1?200nmで屈折率が1.60以上の金属酸化物超微粒子、
(2)水素結合形成基を有するバインダー成分、
(3)前記バインダー成分の分子間に架橋結合を形成し得る金属化合物、及び、
(4)溶剤、
からなることを特徴とする、高屈折率コーティング組成物。」

(1b)「【0028】本発明に係る高屈折率コーティング組成物は、少なくとも下記の必須成分:
(1)平均粒子径が1?200nmで屈折率が1.60以上の金属酸化物超微粒子、(2)水素結合形成基を有するバインダー成分、(3)前記バインダー成分の分子間に架橋結合を形成し得る金属化合物、及び、(4)溶剤、からなる塗工材料であり、必要に応じて、その他の成分を含んでいることもある。本発明の高屈折率コーティング組成物は屈折率の高い塗膜を形成することができるので、単層型反射防止膜又は多層型反射防止膜を構成する層のうちの少なくとも一つを形成するのに好適に利用することができ、特に、多層型反射防止膜の高屈折率層を形成するのに好適である。
【0029】上記必須成分のうち金属酸化物超微粒子は、高屈折率コーティング組成物に高屈折率を付与するための主要成分である。金属酸化物は、屈折率が高く、且つ、無色であるか又はほとんど着色していないので、高屈折率を付与するための成分として適している。本発明において金属酸化物の超微粒子を用いるのは、金属酸化物の粒子を高屈折率の塗膜に分散させた時に透明性を低下させないためである。ここで、「超微粒子」とは、一般的にサブミクロンオーダーの粒子のことであり、一般的に「微粒子」と呼ばれている数μmから数100μmの粒径を有する粒子よりも粒径の小さいものを意味している。
【0030】金属酸化物超微粒子は、平均粒子径が1nm以上、好ましくは10nm以上であり、且つ、200nm以下、好ましくは150nm以下のものを用いる。平均粒子径が1nm未満のものは、高屈折率コーティング組成物中に均一に分散させることが困難であり、ひいては、金属酸化物の粒子を均一に分散させた塗膜が得られなくなる。また、平均粒子径が200nm超のものは、塗膜の透明性を損なうので好ましくない。金属酸化物超微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等により目視計測してもよいし、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により機械計測してもよい。
【0031】金属酸化物超微粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、その粒子形状が球状であっても針状であっても、その他どのような形状であっても本発明に用いることができる。
【0032】金属酸化物超微粒子は屈折率が1.60以上のものを用いる。本発明のコーティング組成物中に屈折率が1.60以上の金属酸化物超微粒子を配合することにより、反射防止膜の高屈折率層として利用できる塗膜を形成することができる。また、本発明に係るコーティング組成物に屈折率が1.80以上の金属酸化物超微粒子を配合することにより、屈折率が1.80以上の高屈折率塗膜が容易に得られる。従って、金属酸化物超微粒子をバインダーに分散させただけでは塗膜の屈折率を十分に高くすることができないが、本発明に係るコーティング組成物は、かなり高い屈折率が設計上要求される場合でも、条件に合った高い屈折率の塗膜を形成できる。
【0033】屈折率が1.60以上の金属酸化物超微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、錫ドープ酸化アンチモン(ATO)、酸化スズ等の金属酸化物の超微粒子を用いることができる。金属酸化物超微粒子として、ITO、ATO、酸化スズ等の導電性微粒子を用いる場合には、高屈折率塗膜に帯電防止性能を付与することが可能になるので、反射防止膜にホコリ等が付着するのを防止したい場合や、パネル上の帯電が原因で引き起こされる液晶の駆動不良を防止したい場合には、特に好ましく用いることができる。」

(1c)「【0092】図3は、本発明に係る高屈折率塗膜を含んだ反射防止フィルムの一例(102)の断面を模式的に示したものである。反射防止フィルム102は、光透過性を有する基材フィルム21の一面側に、本発明に係る高屈折率コーティング組成物を塗布して高屈折率層22を形成し、さらに当該高屈折率層の上に低屈折率層23を設けたものである。この例では、互いに屈折率の異なる光透過層は高屈折率層と低屈折率層の二層だけだが、光透過層を三層以上設けてもよい。その場合には、高屈折率層だけでなく中屈折率層も、本発明に係る高屈折率コーティング組成物を塗布して形成することができる。」

(1d)図3は以下のとおりである。

【図3】


段落【0092】及び図3の記載から、基材フィルムの反対側の低屈折率層が設けられている側から人が観察することは明らかであり、逆に言えば基材フィルムが設けられている側が非観察側であるものといえる。
また、金属酸化物超微粒子の形状としては、段落【0031】に「その粒子形状が球状であっても針状であっても・・・本発明に用いることができる。」と記載されていることから、針状のものも開示されているものと認められる。
さらに、段落【0092】の記載から、反射防止フィルムを構成しているのは、基材フィルム、高屈折率層、及び低屈折率層であるから、反射防止フィルムを構成している、高屈折率層及び低屈折率層からなる積層構造は、反射防止機能を有する層、すなわち反射防止層の機能を有しているものといえる。
これらを踏まえると、引用刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「非観察側から、透明な金属酸化物超微粒子である針状の錫ドープ酸化アンチモン(ATO)が分散された高屈折率層、および前記高屈折率層よりも屈折率の低い低屈折率層が積層された積層構造を有している反射防止層。」

(3-2)周知例1
本願の出願前に頒布された特開平9-156015号公報(前置報告書における引用文献2、以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(2a)「【0030】針状結晶酸化スズは、長さ方向の長軸径が0.1?5μm、好ましくは0.2?2μmであり、幅方向の短軸径が0.01?1μm、好ましくは0.01?0.02μmのものが、特に高い透明性、帯電防止性を得られるために好ましい。」

(3-3)周知例2
本願の出願前に頒布された特開2000-280412号公報(前置報告書における引用文献3、以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(3a)「【0007】本発明の積層体における導電層は、好ましくは、長軸方向粒径が0.2?2.0μm、短軸方向粒径が0.01?0.02μmであり、長軸/短軸の粒径比が20?30である針状アンチモンドープ酸化スズを分散したバインダー樹脂からなる導電性塗料を塗布して形成されたものである。該導電層は、微細針状アンチモンドープ酸化スズを含有しているので、湿度に依存することのない安定した良好な導電性を積層体に発揮させることができる。
【0008】また、この微細針状アンチモンドープ酸化スズは、長軸方向粒径、短軸方向粒径、長軸/短軸の粒径比が上記の範囲であるので、導電層中に超微粒子状態で分散が可能であり、かつ、従来の球状の導電性フィラーを用いた場合に比べ、少ない添加量でも相互に接触しやすいため、透明性に優れ、安定した導電性を得ることができる。前記針状アンチモンドープ酸化スズを分散したバインダー樹脂からなる導電性塗料は、バインダー樹脂100重量部に対し、針状アンチモンドープ酸化スズを25?300重量部の範囲で配合させることが好ましい。」

(4)対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の、「透明な金属酸化物超微粒子」、「針状の錫ドープ酸化アンチモン(ATO)」は、それぞれ、本願補正発明の「金属酸化物の透明導電性超微粒子」、「針状アンチモンドープ酸化錫」に相当する。
また、引用発明の「高屈折率層」は、金属酸化物を分散していることから導電性を有していることは明らかであるため、本願補正発明の「導電性層」に相当する。さらに、引用発明の低屈折率層においても、屈折とともに反射も当然行われているのであるから、本願補正発明の「低反射層」に相当する。

してみると、両者は、
「非観察側から、金属酸化物の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、
および前記導電性層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有し、
前記透明導電性超微粒子は、針状アンチモンドープ酸化錫である反射防止層。」
の点で一致し、

以下の点で相違する。
本願補正発明は、針状アンチモンドープ酸化錫の長軸径/短軸径の比が20?30であるのに対し、引用発明は長軸径/短軸径の比の値が不明である点。

上記相違点について検討する。

反射防止フィルムにおいて、透明性と帯電防止性を得るために、添加する針状酸化錫の長軸径が0.1?0.2μm、すなわち100?200nm程度であって、長軸径/短軸径の比を20?30程度とすることは、周知(必要であれば、上記周知例1の段落【0030】、周知例2の段落【0007】,【0008】等参照)である。
ここで、引用刊行物1には課題として透明性及び帯電防止性が挙げられており、上記周知例には、それらの課題を解決するために、針状酸化錫の長軸径/短軸径の比を20?30程度とすること、及び、針状酸化錫の長軸径として、100?200nmという十分小さい径のものも挙げられているのであるから、酸化錫の径として同程度の大きさを有する引用発明の針状アンチモンドープ酸化錫の長軸径/短軸径の比として、20?30程度を採用することに、格別の困難性は認められない。
また、効果についても、本願補正発明の効果は、引用発明及び周知技術から予測し得る程度のものにすぎない。

したがって、本願補正発明は、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は、審尋に対する平成22年7月7日付けの回答書において、以下の主張をしている。
「 (ハ)引用文献1に開示の金属酸化物超微粒子は、上述のとおり平均粒子径が1?200nmを必須の要件とします。従って、引用文献1に開示の発明において、上記金属酸化物超微粒子の形状が針状である場合、上述した方法で求められた粒度分布から得られた平均粒子径が1?200nmとなります。
しかしながら、本願発明における透明導電性超微粒子の平均粒子径は、引用文献1に開示の金属酸化物超微粒子の平均粒子径と全く異なる値を有するものであります。
すなわち、本願発明における上記透明導電性超微粒子は、長軸径が「0.2μm?10μm、より好ましくは0.2μm?2μm」、短軸径が「0.01μm?0.05μm、より好ましくは0.01μm?0.02μm」であります。上記透明導電性超微粒子の長軸径が上限の10μmであり、短軸径が下限の0.01μmである場合、上述した光散乱法に従って求めた平均粒子径は、5005nm(約5μm)となり、明らかに200nmを超えるものとなります。なお、上記長軸径及び短軸径のより好ましい範囲の場合であっても、その平均粒子径は、1005nm(約1μm)となり、これも明らかに200nmを超えるものとなります。」

しかしながら、上記の平均粒子径の算出にあたっては、算出結果が大きな値となるように、長軸径の範囲の上限値をとり、短軸径の値の下限値をとって算出したものであって、相違点の検討において述べたように、周知例として示された文献には、じゅうぶん小さな長軸径の値もその範囲として示されており、仮にそのような値を用いて平均粒子径を算出すれば、本願発明の平均粒子径に近づくことが想定されるのであるから、上記審判請求人の主張は採用できない。

(6)補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明
平成21年4月10日付けの手続補正は上述のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前の平成19年12月7日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、
および前記導電性層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有し、
前記透明導電性超微粒子は、針状アンチモンドープ酸化錫及び/又は球状アルミニウムドープ酸化亜鉛である
ことを特徴とする反射防止層。」

(2)引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-6104号公報の記載事項は、前記2.(3)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、針状アンチモンドープ酸化錫の長軸径/短軸径の比に関する数値限定を省き、透明導電性超微粒子として、球状アルミニウムドープ酸化亜鉛の選択肢を加えたものに相当する。
してみると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用刊行物1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、さらに前記2.(4)の対比・判断において、本願補正発明において付加された限定事項のみが相違点とされていたことを考慮すると、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明と同一か、又は引用刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物1に記載された発明と同一か、又は引用刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-18 
結審通知日 2011-02-22 
審決日 2011-03-08 
出願番号 特願2002-95357(P2002-95357)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 113- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 勇  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 柏崎 康司
一宮 誠
発明の名称 反射防止層および反射防止材  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  

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