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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1235820 |
審判番号 | 不服2009-24368 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-12-09 |
確定日 | 2011-04-21 |
事件の表示 | 平成11年特許願第217457号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月13日出願公開、特開2001- 38012〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第一.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成11年7月30日の出願であって、平成21年6月29日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し、同年8月10日付けで手続補正がなされ、その後、同年9月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月9日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、その後、当審において、平成22年11月9日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成23年1月14日付け手続補正書によって明細書の一部が補正されたものである。 したがって、本願の請求項1及び2に係る発明は、上記平成23年1月14日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりのものである。 【請求項1】 球を個別に払出可能に分別形成された複数の球払出機構と、これらの球払出機構に個別に球を誘導可能に分別形成された複数の球分流手段とを備えるパチンコ機であって、 前記複数の球払出機構から払い出されて上皿に誘導される払出球を前記複数の球払出機構双方から受け入れる払出球受口樋と、 前記複数の球払出機構より抜かれる球を前後方向に隔てて設けられた球抜受口より個別に受け入れ、前記パチンコ機の外部に個別に誘導する複数の球抜通路、遊技盤のアウト口からの球を誘導するアウト球通路、遊技盤の入賞口からの球を誘導するセーフ球通路それぞれの集約された集合体を設け、 前記球払出機構がその内部に中継基盤と当該中継基盤と接続される複数の部品とを備え、 前記球払出機構の外部から接続される前記パチンコ機の制御装置の電気配線と前記部品の電気配線とが前記中継基盤に集約して接続されたことを特徴とするパチンコ機。(以下「本願発明1」という。) 第二.当審の拒絶理由 当審は、上記平成22年11月9日付けの拒絶理由通知書で、本願の請求項1及び2に係る発明は、刊行物に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨を通知した。 第三.刊行物に記載された発明 刊行物1:特開平3-45281号公報 刊行物2:特開平5-300980号公報 刊行物3:特開平6-47154号公報 当審の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された、特開平3-45281号公報(以下、「引用刊行物1」という。)における、 (1a)第2頁左下欄第2行乃至右下欄第5行には、 「パチンコ機は、第1図に示すように、機枠1の一側に蝶番2,2により前面枠3を開閉可能に蝶着し、該前面枠3の窓部を表側から塞ぐようにして開閉可能なガラス枠4と開閉パネル5を上下に蝶着し、前面枠3の裏面には窓部を裏側から覆うようにして遊技盤収納枠6を取付け、該遊技盤収納枠6内に遊技盤7を着脱可能に装着し、遊技盤収納枠6の裏側には遊技盤7から流出した入賞球を処理する入賞球処理機構や賞球排出機構等の裏機構を設けた裏機構盤8を着脱可能に取付けてある。 賞球排出機構は、裏機構盤8の上部に配設した貯留タンク9、該貯留タンク9内の球を導出する球導出樋10、球導出樋10から流下する球を整流する整流樋11、予め設定した数(例えば13個)の球を流下する第1賞球排出装置12と予め設定した数(例えば7個)の球を流下する第2賞球排出装置13とを一体化した賞球排出ユニット14、第1賞球排出装置12と第2賞球排出装置13が流下した球を開閉パネル5の表面に設けた上球供給皿(図示せず)に排出する賞球排出樋15、・・・等から構成されている。」と、 (1b)第3頁右下欄第6行乃至第15行には、 「 貯留タンク9から球を導出する球導出樋10は、第13図から第20図に示すように、両側の第1主区画壁37、第2主区画壁38、中央の第3主区画壁39とにより幅方向に2つのブロックに区画するとともに、第1主区画壁37と第3主区画壁39との間に第1副区画壁40を立設することにより第1流下路41と第2流下路42を形成し、第3主区画壁39と第2主区画壁38との間に第2副区画壁43を立設することにより第3流下路44と第4流下路45を形成し、」と、 (1c)第4頁左下欄第14行乃至第5頁左上欄第4行には、 「 この様な構成から成る球導出樋10を裏機構盤8に取付けるには、傾斜上端部分、即ち第1、第2踏板レバー46,47を設けた部分を貯留タンク9の球落下口17に下方から臨ませ、・・・着脱可能に取付ける。この様にして球導出樋10を裏機構盤8の所定位置に取付けると、前記した貯留タンク9から吊設した球均し部材22,22が上方から各流下路に臨む。貯留タンク9内に球が十分に貯留されていると、これらの球は球落下口17から落下して第1踏板レバー46及び第2踏板レバー47上に載り・・・。第1踏板レバー46及び第2踏板レバー47上に載った球は流下するにしたがい第1副区画壁40と第2副区画壁43とによりそれぞれ一列に整列されながら第1流下路41、第2流下路42、第3流下路44及び第4流下路45内にほぼ平均に流下する。・・・」と、 (1d)第5頁左下欄第14行乃至第6頁左下欄第7行には、 「 球導出樋10を流下した球は整流樋11により確実に整流されながら賞球排出ユニット14に導かれる。 整流樋11は、第21図に示すように、横向きに開口する球入口70・・・から横U字状に屈曲し、その下流側部分を略階段状に屈曲した球流路71・・・を4本並設したものであり、上記横U字状屈曲部分に開設した球抜き口に球抜き機構を設け、階段状屈曲部分に球不足検出機構72を設けてある。・・・ 賞球排出ユニット14は、図面の実施例では、1回作動すると13個の球を賞球として流下する第1賞球排出装置12と7個の球を賞球として流下する第2賞球排出装置13とからなり、入賞球流下制御ユニット73の第1入賞球流下制御装置74と第2入賞球流下制御装置75が入賞球を1個宛流下制御することにより作動する。 次に、遊技盤7から流出した入賞球を処理して前記賞球排出ユニット14を作動する入賞球処理機構について説明する。 遊技盤7の裏側には排出される入賞球を集合する第1入賞球集合樋76を設けるとともに該第1入賞球集合樋76に重ねて第2入賞球集合樋77を設けてあり、第1入賞球集合樋76は球が入賞すると13個の賞球を排出する価値を有する入賞具からの入賞球を集合し、第2入賞球集合樋77は球が入賞すると7個の賞球を排出する価値を有する入賞具からの入賞球を集合するように構成されている。そして、裏機構盤8の下部には第1入賞球集合樋76の下面開口部が臨む位置に第1入賞球集合路78を、第2入賞球集合樋77の下面開口部が臨む位置に第2入賞球集合路79を形成し、第1入賞球集合路78の流下出口を第1入賞球流下制御装置74に連通させ、第2入賞球集合路79の流下出口を第2入賞球流下制御装置75に連通させる。 図面の実施例では第1入賞球集合樋76により集合した入賞球を流下制御する第1入賞球流下制御装置74と、第2入賞球集合樋77により集合した入賞球を流下制御する第2入賞球流下制御装置75とを一体的に組み付けて入賞球流下制御ユニット73を構成してある。この入賞球流下制御装置は、入賞球を1個宛流下制御することができればどのような構成でもよいが、第24図に示す第1入賞球流下制御装置74は、第1収納本体80の内部に、1個の球の一部が入る窪み状の第l入賞球受部81を外周に形成した第1入賞球処理部材82を軸83により回動可能に支承するとともに、・・・該第1駆動カム86と一体的に回動する第1歯車88に第2歯車89を噛合してなる。第2入賞球流下制御装置75は、第1入賞球流下制御装置74と同様の構成であり、第2収納本体90の内部に、1個の球の一部が入る窪み状の第2入賞球受部91を外周に形成した第2入賞球処理部材92を軸93により回動可能に支承するとともに、・・・該第2駆動カム96と一体的に回動する第3歯車98に第4歯車99を噛合し、第1収納本体80と第2収納本体90とを重合して第2歯車89の軸と第4歯車99の軸とを接続するとともに、減速器付モータ100の出力軸を上記第2歯車89,第4歯車99の軸に接続してなる。」と、 (1e)第7頁左上欄第15行乃至左下欄第11行には、 「 次に、遊技盤7の裏側に流出した入賞球が第1入賞球集合樋76により集められ、この入賞球が第1入賞球集合路78を流下して出口に到達すると、この入賞球は第1入賞球処理部材82の第1入賞球受部81内に嵌合し、上半部分を第1入賞球処理部材82の外周面から突出させる。この状態で第1入賞球処理部材82が第1駆動カム86の駆動により回動すると、・・・第1入賞球処理部材82が更に回動すると球の球面が第1球感知部材102の第1球感知部105に作用して第1球感知部材102を回動する。この第1球感知部材102の回動により第1ロッド109が上昇して第1賞球排出装置12を作動する。したがって、この第1賞球排出装置12の作動により13個の球が賞球として上皿に排出される。この様にして第1賞球排出装置12を作動させた球が第1入賞球処理部材82の回動により更に進むと第1球感知部105から外れるとともに第1入賞球受部81から落下して、入賞球排出口110からパチンコ機の外部に排出される。・・・ なお、第2入賞球流下制御装置75も第1入賞球流下制御装置74と同様に作動し、入賞球を1個流下するごとに第2賞球排出装置13を1回作動させ、所定数、例えば7個の球を賞球として流下させる。」と、それぞれ記載されている。 そして、図面特に第1図乃至第4図には「上球供給皿に排出する賞球排出樋15」と「モータ100」とが近接して示され、当該「モータ100」は上記(1d)の記載によれば「第1入賞球流下制御装置74及び第2入賞球流下制御装置75の歯車軸に接続してなる」ものであるから、図面には「上球供給皿に排出する賞球排出樋15と、第1入賞球流下制御装置74及び第2入賞球流下制御装置75とを近接配置した」事項が示されているといえる。 したがって、これらの記載事項をまとめると、引用刊行物1には、 「 前面枠3の窓部を表側から塞ぐようにしてガラス枠4と開閉パネル5を上下に蝶着し、該前面枠3の窓部を裏側から覆うようにして遊技盤収納枠6を取付け、該遊技盤収納枠6内に遊技盤7を着脱可能に装着し、該遊技盤収納枠6の裏側には遊技盤7から流出した入賞球を処理する入賞球処理機構や賞球排出機構等の裏機構を設けた裏機構盤8を着脱可能に取付けてあるパチンコ機であって、 (A)前記賞球排出機構は、前記裏機構盤8の上部に配設した貯留タンク9、該貯留タンク9内の球を導出する球導出樋10、球導出樋10から流下する球を整流する整流樋11、予め設定した13個の球を流下する第1賞球排出装置12と予め設定した7個の球を流下する第2賞球排出装置13とを一体化した賞球排出ユニット14、第1賞球排出装置12と第2賞球排出装置13が流下した球を開閉パネル5の表面に設けた上球供給皿に排出する賞球排出樋15等から構成され、 (A-1)前記貯留タンク9から球を導出する球導出樋10は、両側の第1主区画壁37、第2主区画壁38、中央の第3主区画壁39とにより幅方向に2つのブロックに区画するとともに、第1主区画壁37と第3主区画壁39との間に第1流下路41と第2流下路42を形成し、第3主区画壁39と第2主区画壁38との間に第3流下路44と第4流下路45を形成し、 (A-2)前記整流樋11は、横向きに開口する球入口70・・・から横U字状に屈曲し、その下流側部分を略階段状に屈曲した球流路71・・・を4本並設したものであり、上記横U字状屈曲部分に開設した球抜き口に球抜き機構を設け、 (A-3)賞球排出ユニット14は、1回作動すると13個の球を賞球として流下する第1賞球排出装置12と7個の球を賞球として流下する第2賞球排出装置13とからなり、 (A-4)貯留タンク9内の球は球落下口17から落下して、球導出樋10の第1流下路41、第2流下路42、第3流下路44及び第4流下路45内にほぼ平均に流下し、球導出樋10を流下した球は整流樋11により確実に整流されながら賞球排出ユニット14に導かれ、 (B)遊技盤7から流出した入賞球を処理して前記賞球排出ユニット14を作動する入賞球処理機構は、 (B-1)前記遊技盤7の裏側に、13個の賞球を排出する価値を有する入賞具からの入賞球を集合する第1入賞球集合樋76と、7個の賞球を排出する価値を有する入賞具からの入賞球を集合する第2入賞球集合樋77とを重ねて設けてあり、 (B-2)前記裏機構盤8の下部には、第1入賞球集合樋76の下面開口部が臨む位置に第1入賞球集合路78を、第2入賞球集合樋77の下面開口部が臨む位置に第2入賞球集合路79を形成し、第1入賞球集合路78の流下出口を第1入賞球流下制御装置74に連通させ、第2入賞球集合路79の流下出口を第2入賞球流下制御装置75に連通させ、 (B-3)第1入賞球集合樋76により集合した入賞球を流下制御する第1入賞球流下制御装置74と、第2入賞球集合樋77により集合した入賞球を流下制御する第2入賞球流下制御装置75は、入賞球を1個宛流下制御することができればどのような構成でもよく、これらを一体的に組み付けて入賞球流下制御ユニット73を構成してあり、 (B-4)前記第1入賞球流下制御装置74は、第1収納本体80の内部に、1個の球の一部が入る窪み状の第l入賞球受部81を外周に形成した第1入賞球処理部材82を軸83により回動可能に支承し、前記第2入賞球流下制御装置75は、前記第1入賞球流下制御装置74と同様の構成であり、第2収納本体90の内部に、1個の球の一部が入る窪み状の第2入賞球受部91を外周に形成した第2入賞球処理部材92を軸93により回動可能に支承し、 (B-5)前記遊技盤7の裏側に流出した入賞球が第1入賞球集合樋76により集められ、この入賞球が第1入賞球集合路78を流下して出口に到達すると、この入賞球は第1入賞球処理部材82の第1入賞球受部81内に嵌合し、上半部分を第1入賞球処理部材82の外周面から突出させる状態で第1入賞球処理部材82が回動すると、球の球面が作用して第1賞球排出装置12を作動して、13個の球が賞球として上皿に排出され、第1賞球排出装置12を作動させた球が第1入賞球処理部材82の回動により更に進むと第1入賞球受部81から落下して、パチンコ機の外部に排出され、 (B-6)第2入賞球流下制御装置75も第1入賞球流下制御装置74と同様に作動し、入賞球を1個流下するごとに第2賞球排出装置13を1回作動させ、7個の球を賞球として流下させ、 (C)上球供給皿に排出する賞球排出樋15と、第1入賞球流下制御装置74及び第2入賞球流下制御装置75とを近接配置した、 パチンコ機。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 当審の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された、特開平5-300980号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には以下の記載がある。 (2a)「【0049】玉排出装置103は、図9にその断面図を示すように、主要なものとして排出ソレノイド112、排出カム113、排出センサ114および中継基盤115を有し、内部に玉通路116が形成されている。・・・」、 (2b)「【0050】・・・このとき、排出される玉は排出センサ114によって検出され、その検出信号は中継基盤115を介して排出制御装置105に送られる。・・・」。 当審の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された、特開平6-47154号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には以下の記載がある。 (3a)「【0033】玉排出装置の構成 次に、本発明を適用した玉排出装置54の構成について、詳細に説明する。図3は玉排出装置54の分解斜視図である。図3において、81は第1ケーシング、82は第2ケーシング、83は第3ケーシングであり、これらのケーシング81?83によって玉排出装置54の玉案内通路および切欠円盤などを収納する収納室が形成される。・・・」、 (3b)「【0041】案内通路105A、105Bに臨む84、85の下部側には、切欠円盤84、85により送り出されたパチンコ玉をそれぞれ検出する排出センサ(玉検出手段)111、112が配置されている。排出センサ111、112としては通過型のセンサが用いられる。113は中継基盤で、モータ90、ストッパソレノイド101、排出センサ111、112への配線を中継するものである。・・・」、 (3c)「【0051】CPU201は払出し制御手段としての機能を有し、ストッパソレノイド101および排出モータ90の作動を制御して玉の払出し制御を行うとともに、切欠円盤84、85を正転してパチンコ玉を払い出すとき、これらの切欠円盤84、85を一旦逆転させ、ストッパ100の嵌合を解除するように制御する。」。 第四.本願発明1と引用発明1との比較・検討 (四-1)引用発明1の「球」は本願発明1の「球」に相当し、以下同様に「第1賞球排出装置12と第2賞球排出装置13とからなる賞球排出ユニット14」は「複数の球払出機構」に、「球導出樋10」は「幅方向に2つのブロックに区画」されているから「複数の球分流手段」に、「パチンコ機」は「パチンコ機」に、「上球供給皿」は「上皿」に、「賞球排出樋15」は「払出球受口樋」に、「遊技盤7」は「遊技盤」に、「入賞具からの入賞球」は「入賞口からの球」に、それぞれ相当する。 (四-2)引用発明1の「第1賞球排出装置12」は「1回作動すると13個の球を賞球として流下する」もので、同「第2賞球排出装置13」は「1回作動すると7個の球を賞球として流下する」ものであるから、引用発明1は本願発明1の「球を個別に払出可能に分別形成された複数の球払出機構」に相当する事項を備えているといえる。 (四-3)引用発明1においては、「球導出樋10」は「第1流下路41、第2流下路42、第3流下路44及び第4流下路45」を備え、「球導出樋10を流下した球は整流樋11により確実に整流されながら賞球排出ユニット14に導かれ」るものであり、当該「整流樋11」は「球流路71・・・を4本並設したものであ」るから、引用発明1は本願発明1の「これらの球払出機構に個別に球を誘導可能に分別形成された複数の球分流手段」に相当する事項を備えているといえる。 (四-4)引用発明1の「賞球排出樋15」は、「第1賞球排出装置12と第2賞球排出装置13が流下した球を上球供給皿に排出する」もので、当該「第1賞球排出装置12」は「13個の球を流下する」もので、また当該「第2賞球排出装置13」は「7個の球を流下する」ものであるから、引用発明1は本願発明1の「(前記)複数の球払出機構から払い出されて上皿に誘導される払出球を前記複数の球払出機構双方から受け入れる払出球受口樋」に相当する事項を備えているといえる。 (四-5)引用発明1の「横U字状屈曲部分に開設した球抜き口に設け」た「球抜き機構」について、当該分野の技術常識を考慮すれば、引用発明1は本願発明1の「(前記)複数の球払出機構より抜かれる球を前後方向に隔てて設けられた球抜受口より個別に受け入れ、(前記)パチンコ機の外部に個別に誘導する複数の球抜通路」と比較して、「(前記)複数の球払出機構より抜かれる球を受け入れ、(前記)パチンコ機の外部に誘導する球抜通路」を備えている点において一致しているといえる。 また、パチンコ機がアウト口及びアウト球通路を有しているとの当該分野の技術常識を考慮すれば、引用発明1は本願発明1の「遊技盤のアウト口からの球を誘導するアウト球通路」に相当する事項を備えているといえる。 (四-6)引用発明1においては、「遊技盤7の裏側に流出した入賞球」は、「第1入賞球集合樋76により集められ、この入賞球が第1入賞球集合路78を流下して出口に到達すると、この入賞球は第1入賞球処理部材82の第1入賞球受部81内に嵌合し、第1入賞球処理部材82の回動により更に進むと第1入賞球受部81から落下して、パチンコ機の外部に排出され」るものであるから、引用発明1は本願発明1の「遊技盤の入賞口からの球を誘導するセーフ球通路」に相当する事項を備えているといえる。 (四-7)引用発明1の「上球供給皿に排出する賞球排出樋15と、第1入賞球流下制御装置74及び第2入賞球流下制御装置75とを近接配置した」との事項について検討すると、上記「(四-6)」に記載した「第1入賞球受部81」は第1入賞球流下制御装置74に備えられたものであるから、当該第1入賞球流下制御装置74はセーフ球通路を構成しているといえる。そうすると、引用発明1は本願発明1の「(前記)複数の球払出機構から払い出されて上皿に誘導される払出球を前記複数の球払出機構双方から受け入れる払出球受口樋と、 前記複数の球払出機構より抜かれる球を前後方向に隔てて設けられた球抜受口より個別に受け入れ、(前記)パチンコ機の外部に個別に誘導する複数の球抜通路、遊技盤のアウト口からの球を誘導するアウト球通路、遊技盤の入賞口からの球を誘導するセーフ球通路それぞれの集約された集合体を設け、」の事項と比較して、「(前記)複数の球払出機構から払い出されて上皿に誘導される払出球を前記複数の球払出機構双方から受け入れる払出球受口樋と、 遊技盤の入賞口からの球を誘導するセーフ球通路それぞれを近接して設け、」において一致しているといえる。 したがって、両者は、 「 球を個別に払出可能に分別形成された複数の球払出機構と、これらの球払出機構に個別に球を誘導可能に分別形成された複数の球分流手段とを備えるパチンコ機であって、 前記複数の球払出機構から払い出されて上皿に誘導される払出球を前記複数の球払出機構双方から受け入れる払出球受口樋と、 前記複数の球払出機構より抜かれる球を受け入れ、前記パチンコ機の外部に誘導する球抜通路、遊技盤のアウト口からの球を誘導するアウト球通路、遊技盤の入賞口からの球を誘導するセーフ球通路それぞれを設け、 それらのうち、前記払出球受口樋とセーフ球通路とを近接して設けた、 パチンコ機。」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1 球抜通路が、本願発明1では「前後方向に隔てて設けられた球抜受口より個別に受け入れ、パチンコ機の外部に個別に誘導する複数の通路」であるのに対し、引用発明1では「パチンコ機の外部に誘導する通路」である点。 相違点2 本願発明1では「払出球受口樋、球抜通路、アウト球通路、セーフ球通路それぞれの集約された集合体を設け」たのに対し、引用発明1では、「払出球受口樋とセーフ球通路とを近接して設け」た点。 相違点3 本願発明1では「球払出機構がその内部に中継基盤と当該中継基盤と接続される複数の部品とを備え、前記球払出機構の外部から接続される(前記)パチンコ機の制御装置の電気配線と前記部品の電気配線とが前記中継基盤に集約して接続された」のに対し、引用発明1では、そのような構成を有するかどうか明らかでない点。 そこで、上記相違点について検討する。 相違点1について 球抜通路の具体的な本数及び形状をどのようなものとするかは、球抜作動時の所要時間や隣接して配置される他の構成部材との位置関係などを考慮して、当業者が適宜なし得る設計上の事項であるから、相違点1に係る本願発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。 相違点2について 近接して配置され、類似の機能を有する複数の部材を集約して集合体とする技術は、例えば、引用発明1における「幅方向に2つのブロックに区画される球導出樋10」及び「13個の球を流下する第1賞球排出装置12と7個の球を流下する第2賞球排出装置13とを一体化した賞球排出ユニット14」のように普通に採用される技術事項である。そして、いくつの部材を集約して集合体とするかは、成形時や組立取付け時の容易性、点検時の操作性などを考慮して、当業者が適宜なし得る設計上の事項であるから、「払出球受口樋とセーフ球通路とを近接して設け」た引用発明1に基いて、相違点2に係る本願発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。 相違点3について 「パチンコ機の制御装置の電気配線と部品の電気配線とが集約して接続される、排出機構の中継基盤」の技術は、例えば、引用文献2に示された「排出センサ114の検出信号を排出制御装置105に送る、中継基盤115」、及び引用文献3に示された『「CPU201が作動を制御する、ストッパソレノイド101および排出モータ90」への配線を中継する、中継基盤113』のように周知・慣用の技術である。そして、「複数の部品の電気配線が集約して接続される、中継基盤」の技術は、例を挙げるまでもなく周知・慣用の技術(例えば、引用文献3には、複数の部品として「ストッパソレノイド101および排出モータ90」が示されている。)であることを併せて考慮すれば、相違点3に係る本願発明1を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願発明1による効果に格別のものは認められない。 第五.むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用発明1及び周知・慣用の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-09 |
結審通知日 | 2011-02-15 |
審決日 | 2011-03-03 |
出願番号 | 特願平11-217457 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼藤 啓、西田 光宏 |
特許庁審判長 |
立川 功 |
特許庁審判官 |
井上 昌宏 川島 陵司 |
発明の名称 | パチンコ機 |
代理人 | 宮園 純一 |