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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B42D
管理番号 1235944
審判番号 不服2009-23297  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-27 
確定日 2011-04-28 
事件の表示 平成10年特許願第373080号「隠蔽葉書」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月11日出願公開、特開2000-190668〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成10年12月28日の出願であって、平成19年12月25日、平成21年4月21日及び同年8月6日に手続補正がなされ、平成21年8月6日になされた手続補正が 同年9月8日付けで補正却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その請求と同時に手続補正がなされ、当審において、平成22年12月27日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)の通知がなされ、平成23年2月4日付けで意見書の提出がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年11月27日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される、次のとおりのものと認める。

「葉書本体とシート片が連接された1枚の紙片の片面または両面に接着剤を塗布することで形成した接着層を備えるとともに、当該接着層を備える1枚の紙片を折罫を介して二つ折りまたは三つ折りすることで、前記葉書本体に前記接着層を介して前記シート片が剥離可能に積層され、前記シート片を剥離することにより隠蔽情報が表出するように成した隠蔽葉書であって、前記接着層が、ワックスエマルジョンを主成分とする酢酸ビニルアクリル共重合体エマルジョンとの混合物であって未乾燥の状態で接着が行われる接着剤より成り、剥離時には層間で凝集破壊すると共に常温で再接着しないように構成されたことを特徴とする隠蔽葉書であって、前記折罫の両側に沿った部分には接着層を形成せず非接着部分を設けたことを特徴とする隠蔽葉書。」

第3 引用刊行物及び引用発明
1 当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平4-37880号(実開平5-95773号)のCD-ROM(以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1)「【0007】
一時接着層は接着面がきれいに剥がれ、印刷面に汚れの生じない接着剤による接着層で、剥離後は再接着性のない接着面となるものを指し、また、完全接着層は剥離時に面内の材料破壊を生じ、印刷面から剥がれてしまう接着面となるものをいう。前者の一時接着層は親展面の保護であり、完全接着層ははがきに腰を持たせ紙厚を大にするためである。」

(2)「【0009】
【実施例】
図1ははがき大横並び4枚分の厚紙を示す表面図であり、図2は同裏面図である。はがき大の表面1a?1dは4枚分であり、裏面2a?2dはそれぞれ表面の区画に対応する。各はがき大の面間は折り目3a?3cとなる。
【0010】
本考案の親展用往復はがきは、上記はがき大2枚分から3枚分又は4枚分で形成できる。2枚分の場合は、図3のようにする。すなわち、最も簡単なもので、第1表面1aに往信はがき表面を印刷し、第1裏面2aに親展通信文を印刷し、第2表面1bを通信欄として、第2裏面2bに返信はがき表面を印刷し、そして、裏面に一時接着剤を塗布して、第1表面1aと第2表面1bが外側で第1裏面2aと第2裏面2bが内側となるように折り目3aで折って一時接着層4を形成するのである。この場合は一見通常はがき形式であり、一時接着層4を剥がしてはじめて返信用はがきが出てくる。」

(3)上記(1)及び(2)から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「はがき大横並び2枚分の厚紙で形成された親展用往復はがきであって、
前記厚紙は、はがき大の表面である第1表面及び第2表面と、それぞれ表面の区画に対応する第1裏面及び第2裏面とを有し、はがき大の面間は折り目となるものであり、
前記親展用往復はがきは、第1表面に往信はがき表面が印刷され、第1裏面に親展通信文が印刷され、第2表面が通信欄とされ、第2裏面に返信はがき表面が印刷され、裏面に一時接着剤が塗布され、第1表面と第2表面が外側で第1裏面と第2裏面が内側となるように折り目で折られて一時接着層が形成されたものであって、前記一時接着層を剥がしてはじめて返信用はがきが出てくるものであり、
前記一時接着層は、接着面がきれいに剥がれ、印刷面に汚れの生じない接着剤による接着層で、剥離後は再接着性のない接着面となるものである、
親展用往復はがき。」

2 当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-92534号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】 支持体に感圧性接着剤を主体とする塗布面を設け、該塗布面どうし、または該塗布面と未塗布面とを対向させて加圧圧着にて接着することが出来、この接着面を剥離することによって再び接着面の情報を見ることが出来る再剥離性の感圧性機密シ-トにおいて、該塗布面に用いる感圧性接着剤として炭素数4?10のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数4?10のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの少なくとも1種類以上から成る単量体成分を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンとワックス類と、顔料として平均粒子径が1μmに満たないものと20μmを越えるものを併用することを特徴とする再剥離性の感圧性機密シ-ト。
【請求項2】 アクリル系エマルジョン100部(固形重量部)に対してワックス類を10?150部(固形重量部)添加することを特徴とする請求項1記載の再剥離性の感圧性機密シ-ト。」

(2)「【0002】
【従来の技術】再剥離性の感圧性機密シ-トとは、例えばシ-トが紙の場合には見かけ上は、ごく一般にありふれた普通の紙と殆ど変わらないが、このシ-トどうしまたはこのシ-トと他の支持体とを接着させようとする際に、適当な圧力を加えることによって瞬時に接着が完了するもので、情報の機密性は加圧圧着させる前に加圧圧着させる面に印刷、複写、筆記などの方法を用いて記載することによって得られる。この記載された情報は、圧着した接着面を剥離することによって再び読むことができるものである。
…(略)…
【0008】本発明の再剥離性の感圧性機密シ-トの剥離強度の設定には、主に感圧性接着剤、顔料、ワックス類、粘着付与剤、などの種類と使用量が影響する。感圧性接着剤の主な役割は、支持体との接着性や再剥離特性を得るためであり、顔料は主に印刷適性(インキ受理性やインキセットなど)やブロッキング防止の観点から用いられる。ワックス類は、均一で緻密な剥離時の感触を得るためと剥離強度の調節に用いられる。粘着付与剤は、剥離特性の調節や改良のために用いられるが、必ずしも必要としない場合もある。これらの素材は、その使用目的に添って種類と使用比率が決められる。
【0009】本発明では感圧性接着剤として、炭素数4?10のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数4?10のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの少なくとも1種類以上から成る単量体成分を乳化重合して得られるアクリル系エマルジョンを用いるが、炭素数が3以下や11以上の単量体成分を用いたエマルジョンは弾性変形が小さいために、接着させるためには比較的大きな加圧力を必要とする。この改良のために粘着付与剤やワックス類、或いは柔軟剤や可塑剤などを多量に使用することが考えられる。しかし、例えこのような方法で良好な接着が得られたとしても、インキセットなどの印刷適性が悪化するため、良好な再剥離性の感圧性機密シ-トは得られにくい。本発明のアクリル系エマルジョンの平均粒子径は、できるだけ小さい方が好ましい。0.3μmを越える大きいエマルジョンを用いた再剥離性の感圧性機密シ-トを剥離してみると、剥離時の感触が不均一で剥離強度もバラツキがちであるが、0.3μm以下のエマルジョンを用いると剥離時の感触が緻密で快いタッチで剥すことができ、剥離強度のバラツキも非常に少ないものが得られる。
【0013】これらのワックス類は粉末やエマルジョンとして単独または組み合わせて用いることができる。…(略)…」

(3)「【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」「%」は断りの無い場合は重量部、重量%を示す。
【0023】実施例1
水200部に40%のポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成化学社製、商品名アロンT-40)4部を添加し、そこへ顔料として軽質炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名Briliant-1500、平均粒子径0.2μm)240部と平均粒子径22μmのコ-ンスタ-チ60部を加えて均一に分散した。そこへ50%濃度のアクリル酸2-エチルヘキシルを単量体として乳化重合して得られたエマルジョン200部を加え、さらにワックスエマルジョンとして25%のモンタンワックス(ヘキストジャパン社製、商品名HOE EMULSION T-350)200部を加えて均一に混合し、水を加えて塗液濃度を45%に調整して再剥離性の感圧性機密シ-ト用塗液を得た。
【0024】アクリル酸2-エチルヘキシルを単量体とするエマルジョンは単量体100部に対して乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ソ-ダ)を2部、重合開始剤(過酸化アンモニウム)を0.5部、PH調整用に25%のアンモニア水を0.5部用いたもので75℃の反応温度で6時間を要して作製したものである。上記塗液をエア-ナイフコ-ティングによって、80g/m^(2)の上質紙に乾燥重量で10g/m^(2)となるように塗布して再剥離性の感圧性機密シ-トを得た。得られた感圧性機密シ-トに印刷を施した後、官製葉書の2倍の大きさに裁断し、塗布面どうしが密着するように中央部から折り重ねてス-パ-カレンダ-を用いて200kg/cmの圧力で加圧したところ、瞬時にして接着が完了した。
【0025】実施例2
実施例1のうち、エマルジョン作製に単量体としてメタクリル酸n-ブチルを用いた以外は実施例1同様にして再剥離性の感圧性機密シ-トを得た。
【0026】実施例3
実施例1のうち顔料として、平均粒子径0.1μmの沈降性炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名ゲルトン50)と平均粒子径27μmの炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル社製、商品名P-70)を併用した以外は実施例1同様にして再剥離性の感圧性機密シ-トを得た。
【0027】実施例4
実施例1のうち、ワックスとしてマイクロクリスタリンワックスエマルジョン(中京油脂社製、商品名セロゾ-ル967)を用いた以外は実施例1同様にして再剥離性の感圧性機密シ-トを得た。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「はがき大横並び2枚分の厚紙」、「折り目」及び「一時接着層」は、それぞれ、本願発明の「1枚の紙片」、「折罫」及び「接着層」に相当する。

2 引用発明の「親展用往復はがき」は、はがき大の表面である第1表面及び第2表面と、それぞれ表面の区画に対応する第1裏面及び第2裏面とを有し、はがき大の面間は「折罫(折り目)」となる「1枚の紙片(はがき大横並び2枚分の厚紙)」で形成されるものであって、第1表面に往信はがき表面が印刷され、第1裏面に親展通信文が印刷され、第2表面が通信欄とされ、第2裏面に返信はがき表面が印刷され、裏面に一時接着剤が塗布され、第1表面と第2表面が外側で第1裏面と第2裏面が内側となるように「折罫」で折られて「接着層(一時接着層)」が形成されたものであって、前記「接着層」を剥がしてはじめて返信用はがきが出てくるものであるから、本願発明の「葉書本体とシート片が連接された1枚の紙片の片面または両面に接着剤を塗布することで形成した接着層を備えるとともに、当該接着層を備える1枚の紙片を折罫を介して二つ折りまたは三つ折りすることで、前記葉書本体に前記接着層を介して前記シート片が剥離可能に積層され、前記シート片を剥離することにより隠蔽情報が表出するように成した隠蔽葉書」に相当する。

3 引用発明の「接着層(一時接着層)」は、接着面がきれいに剥がれ、印刷面に汚れの生じない接着剤による接着層で、剥離後は再接着性のない接着面となるものであるところ、前記再接着性が、常温下での再接着性を意味することは当業者に自明であるから、引用発明の「接着層」と本願発明の「『ワックスエマルジョンを主成分とする酢酸ビニルアクリル共重合体エマルジョンとの混合物であって未乾燥の状態で接着が行われる接着剤より成り、剥離時には層間で凝集破壊すると共に常温で再接着しないように構成され』た『接着層』」とは、「接着剤より成り、剥離時には常温で再接着しないように構成された」ものである点で一致する。

4 上記1ないし3から、本願発明と引用発明とは、
「葉書本体とシート片が連接された1枚の紙片の片面または両面に接着剤を塗布することで形成した接着層を備えるとともに、当該接着層を備える1枚の紙片を折罫を介して二つ折りまたは三つ折りすることで、前記葉書本体に前記接着層を介して前記シート片が剥離可能に積層され、前記シート片を剥離することにより隠蔽情報が表出するように成した隠蔽葉書であって、前記接着層が、接着剤より成り、剥離時には常温で再接着しないように構成された隠蔽葉書。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記接着剤が、本願発明では、「ワックスエマルジョンを主成分とする酢酸ビニルアクリル共重合体エマルジョンとの混合物であって未乾燥の状態で接着が行われる接着剤」であって、剥離時には「層間で凝集破壊する」ものであるのに対して、引用発明では、「接着面がきれいに剥がれ、印刷面に汚れの生じない接着剤」である点。

相違点2:
前記隠蔽葉書が、本願発明では、「折罫の両側に沿った部分には接着層を形成せず非接着部分を設けた」ものであるのに対して、引用発明では、そのようなものでない点。

第5 判断
上記相違点について検討する。
1 相違点1について
(1)引用例2には、主成分であるワックスエマルジョンと、アクリル系エマルジョンとを混合してなる再剥離性の接着剤を用いた隠蔽葉書の旨が記載されており(上記第3の2(1)、(2)【0013】及び(3)参照)、「【0008】本発明の再剥離性の感圧性機密シ-トの剥離強度の設定には、主に感圧性接着剤、顔料、ワックス類、粘着付与剤、などの種類と使用量が影響する。感圧性接着剤の主な役割は、支持体との接着性や再剥離特性を得るためであり、顔料は主に印刷適性(インキ受理性やインキセットなど)やブロッキング防止の観点から用いられる。ワックス類は、均一で緻密な剥離時の感触を得るためと剥離強度の調節に用いられる。粘着付与剤は、剥離特性の調節や改良のために用いられるが、必ずしも必要としない場合もある。これらの素材は、その使用目的に添って種類と使用比率が決められる。」が記載されている(上記第3の2(2)参照)。

(2)葉書や郵便書簡に用いられる再剥離性の接着剤としてアクリル系エマルジョンを用いることは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術1」という。例.上記引用例2【請求項2】、【0002】及び【0017】、特開平10-58868号公報特に【請求項1】、【0001】「…(略)…ハガキ…(略)…」、【0008】、【0011】及び【0014】、特開平10-265743号公報特に【0002】、【0003】及び【図3】、特開平8-58272号公報特に【請求項1】、【0003】「…(略)…葉書…(略)…」及び【0024】「…(略)…感圧性接着剤として、アクリル酸エステル系エマルジョン…(略)…」、特開平8-25547号公報特に【請求項1】、【0003】「…(略)…葉書…(略)…」及び【0019】「…(略)…感圧性接着剤として、アクリル酸エステル系エマルジョン…(略)…」参照。)。

(3)葉書に用いられる再剥離性の接着剤として酢酸ビニルアクリル共重合体を用いることは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術2」という。例.特開平4-244899号公報特に【請求項1】、【0011】「…(略)…酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体…(略)…」、特開平4-288296号公報特に【請求項2】及び【0021】「…(略)…酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体…(略)…」、特開平4-292996号公報特に【0021】及び【0026】「…(略)…酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体…(略)…」参照。)。

(4)ワックスエマルジョンが剥離剤であることは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術3」という。例.上記引用例5【0024】「…(略)…離型剤として、ポリエチレンワックスエマルジョン…(略)…」、上記引用例6【0021】「…(略)…離型剤として、ポリエチレンワックスエマルジョン…(略)…」参照。)。ここで、離型剤と剥離剤とが同義であることは、当業者に自明である(例.実願平4-6075号(実開平5-61778号)のCD-ROM「【0019】…(略)…剥離剤(離型剤)…(略)…」、実用新案登録第3040917号公報【0033】「…(略)…離型剤(剥離剤)…(略)…」参照。)。

(5)上記(1)ないし(4)から、上記(1)の接着剤を含む、ワックスを主成分とするエマルジョン接着剤は、ワックスエマルジョンで剥離性能を、アクリル系エマルジョンで接着性機能をそれぞれ負担し、未乾燥の状態で接着が行われ、かつ、剥離時に接着層間で凝集破壊可能とすることが、当業者に自明である。

(6)酢酸ビニルアクリル共重合体エマルジョンからなる接着剤は、本願の出願前に周知であり(以下「周知技術4」という。例.特開平9-263741号公報特に【0009】及び【0010】、特開平10-36798号公報特に【0008】及び【0009】、特開昭61-293278号公報特に特許請求の範囲、特開昭63-22883号公報特に特許請求の範囲参照。)、前記酢酸ビニルアクリル共重合体エマルジョンは、アクリル系モノマー由来のエマルジョンであることが、当業者に自明であるから、アクリル系エマルジョンといえる。

(7)上記(1)ないし(6)から、引用発明において、剥離後に再接着性がない接着剤として、主成分であるワックスエマルジョンと、酢酸ビニルアクリル共重合体エマルジョンとを混合してなる接着剤を用いることとし、その結果、接着剤の接着を未乾燥の状態で行うこととし、かつ、剥離時に接着層間で凝集破壊するものとし、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が、引用例2に記載された事項及び周知技術1ないし4に基づいて容易になし得たことである。

2 相違点2について
引用発明において、接着層を設ける領域をどこにするかは、当業者が適宜決定すべき設計事項というべきところ、折り目の両側に沿った部分に接着層を設けない隠蔽葉書は、本願の出願前に周知である(以下「周知技術5」という。例.特開平10-265743号公報特に【0021】ないし【0023】、【図1】及び【図2】、特開平10-265742号公報特に【0022】、【図1】及び【図2】、特開平9-240173号公報特に【0007】、【図1】及び【図2】(ここで、「31 横ミシン目」及び「32 縦ミシン目」は折り用ミシン目であることが、当業者に自明である。))から、引用発明において、折り目の両側に沿った部分に接着層を設けないこととし、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知技術5に基づいて適宜なし得た設計上のことである。

3 効果について
(1)本願発明の「折罫の両側に沿った部分には接着層を形成せず非接着部分を設けた」との事項に関し、本願明細書には、次の記載がある。
「【0022】
また、上述した実施形態では、葉書本体とシート片が別体となっているが、葉書本体とシート片が折罫を介して連接された形態、即ち、一枚の紙を二つ折りまたは三つ折りすることによって形成されたものであってもよい。なお、この場合、折り曲げ機に接着剤が付着しないように、折罫の両側に沿って非接着部分を設けるのがよい。」

(2)また、請求人は、平成23年2月4日付け意見書において、「本出願人は、上記特定形状の隠蔽葉書が上記第1の特徴的構成を備えることで生じる、印刷と接着剤塗布と圧着をインラインで行う製造工程上の課題(シート片を折り曲げプレスする圧着工程において、折り曲げ機に接着剤が付着する)を独自に見出し、これを解決するために、本願請求項1に係る発明を「前記折罫の両側に沿った部分には接着剤層を形成せず非接着部分を設けたこと」(第2の特徴的構成、拒絶理由の相違点2に相当)を備えたものとしています。」と主張している。

(3)しかしながら、本願発明は、「接着層を備える1枚の紙片を折罫を介して二つ折りまたは三つ折りすることで、葉書本体に前記接着層を介してシート片が剥離可能に積層され」たものであるが、前記「二つ折りまたは三つ折り」を行う具体的な手段については何ら特定していないから、本願発明が「折り曲げ機に接着剤が付着しない」という効果を奏するものであるとは認められない。

(4)したがって、本願発明の奏する効果は、当業者が、引用発明及び周知技術1ないし5の奏する効果並び引用例2に記載された事項から予測できた程度のものである。

4 まとめ
したがって、本願発明は、当業者が、引用例1に記載された発明及び周知技術1ないし5並び引用例2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例1に記載された発明及び周知技術1ないし5並び引用例2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-25 
結審通知日 2011-03-01 
審決日 2011-03-15 
出願番号 特願平10-373080
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安久 司郎武田 悟  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 桐畑 幸▲廣▼
菅野 芳男
発明の名称 隠蔽葉書  
代理人 佐野 静夫  
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