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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1236039
審判番号 不服2010-9096  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-28 
確定日 2011-04-27 
事件の表示 特願2005- 2326「折り畳みコンテナー」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月20日出願公開、特開2006-188268〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成17年1月7日の出願であって、平成22年4月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
平成22年4月28日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

1.本件補正の内容
本件補正は、以下の補正事項aを有するものと認める。

補正事項a;特許請求の範囲の記載につき補正前に
「【請求項1】 上部フレームと底部とはね上げ側壁と上部分割側壁と下部分割側壁とからなる折り畳みコンテナーにおいて、前記両分割側壁には、該両分割側壁の内面に垂直な略方形状の板状突片と、該板状突片の先端から前記両分割側壁の内面に略平行に延在する挿入片と、該挿入片の前記両分割側壁の内面側に位置する面に突設された係合突条とからなる分割側壁側係合部材が形成されているとともに、前記はね上げ側壁の左右方向の端部には、前記はね上げ側壁の外面側が開口された、前記はね上げ側壁の外側壁部と該外側壁部と相対する内側壁部と奥壁部と天部と底部とからなる凹部が形成されており、且つ、前記外側壁部には、前記分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条が嵌合可能な嵌合透孔が穿設されていることを特徴とする折り畳みコンテナー。」
とあるのを

「【請求項1】
上部フレームと底部とはね上げ側壁と上部分割側壁と下部分割側壁とからなる折り畳みコンテナーにおいて、前記両分割側壁には、該両分割側壁の内面に垂直な略方形状の板状突片と、該板状突片の先端から前記両分割側壁の内面に略平行に延在する挿入片と、該挿入片の前記両分割側壁の内面側に位置する面に突設された係合突条とからなり、且つ、弾性変形可能な分割側壁側係合部材が形成されているとともに、前記はね上げ側壁の左右方向の端部には、前記はね上げ側壁の外面側が開口された、前記はね上げ側壁の外側壁部と該外側壁部と相対する内側壁部と奥壁部と天部と底部とからなる凹部が形成されており、且つ、前記外側壁部には、前記分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条が嵌合可能な嵌合透孔が穿設されており、折り畳まれた状態の折り畳みコンテナーの箱型状態への組み立て作業において、前記上部分割側壁と前記下部分割側壁とが、互いに略面一になるように略垂直に立てられた後に、前記はね上げ側壁を、略水平状態から垂直方向に回動させた際には、前記はね上げ側壁に形成された凹部の外側壁部の先端面が、前記両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条に当接するように構成されているとともに、前記分割側壁側係合部材を、前記凹部を形成する内側壁部方向に弾性変形させながら、前記分割側壁側係合部材の挿入片を、前記はね上げ側壁側嵌合部材の凹部に挿入し、その後、前記はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔と前記分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条とが略一致した時
点で、前記分割側壁側係合部材の弾性復元力により、前記はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔に、前記両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条が挿入されるように構成されていることを特徴とする折り畳みコンテナー。」
と補正するものである。

2.判断
2.1 補正事項aの補正の目的要件について
上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「凹部」、「分割側壁側係合部材」の構成を、「折り畳まれた状態の折り畳みコンテナーの箱型状態への組み立て作業において、上部分割側壁と下部分割側壁とが、互いに略面一になるように略垂直に立てられた後に、はね上げ側壁を、略水平状態から垂直方向に回動させた際には、はね上げ側壁に形成された凹部の外側壁部の先端面が、両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条に当接するように構成されているとともに、分割側壁側係合部材を、凹部を形成する内側壁部方向に弾性変形させながら、分割側壁側係合部材の挿入片を、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部に挿入し、その後、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔と分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条とが略一致した時点で、分割側壁側係合部材の弾性復元力により、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔に、両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条が挿入されるように構成されている」と限定して特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合している。

2.2 独立特許要件について
上記補正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

2.2.1 本願補正発明
上記補正後の本願の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という)は、上記補正事項aの補正後の請求項1に記載した事項によって特定される発明と認める。

2.2.2 引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-147526号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の記載がある。

(a)「【請求項1】矩形状の底板と、底板の上方に配置した矩形枠状の口枠と、底板と口枠との間の両側に配置した長側板と、底板と口枠との間の両端に配置した短側板とを具備して形成され、短側板の上端を口枠に回転自在に連結して短側板を内方へ起倒自在にし、長側板を上半分の上長側板と下半分の下長側板とで構成して上長側板の上端を口枠に回転自在に連結すると共に下長側板の下端を底板に回転自在に連結し、上長側板の下端と下長側板の上端を回転自在に連結して内方へ折り畳み自在にした折り畳みコンテナにおいて、上長側板の両端部の下面と下長側板の両端部の上面の一方に嵌合突部を、他方に嵌合受け部をそれぞれ設け、上長側板と下長側板を延展させた状態で嵌合突部と嵌合受け部とを嵌合自在にして成ることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【請求項2】 短側板の両側端部の外面に係合穴を設け、上長側板の両側端部の下端部の背面側に上係合片を突出させて設けると共に上係合片の上辺を突出方向に下り傾斜する傾斜辺に形成し、下長側板の両側端部の上端部の背面側に下係合片を突出させて設けると共に下係合片の下辺を突出方向に上り傾斜する傾斜辺に形成し、上長側板と下長側板を延展させた状態で上係合片と下係合片を短側板の係合穴に挿入係合させると共に、上係合片の上辺と下係合片の下辺を係合穴の上縁と下縁にそれぞれ当接させて成ることを特徴とする請求項1に記載の折り畳みコンテナ。」(第1欄第2行?第26行)

(b)「また、上長側板5の両側端部の下端部の背面側にはそれぞれ図7のように上係合片41が突出して設けてある。上係合片41は上長側板5から背方へ突出する突出部41bと突出部41bの先端に上長側板5とほぼ平行に内方へ突出させて設けた係合部41cとで平面L字形に形成してある。この上係合片41の係合部41cの上辺41aは、先端側へ向けて下り傾斜する傾斜辺として形成してある。また上係合片41の下辺には、突出部41bから係合部41cにかけて切欠して切欠部51が形成してある。さらに、上係合片41の係合部41cの上長側板5側の側面の先端部には突部46が突設してある。この突部46は係合部41cの上下幅全長に亘るように設けてあり、突部46で上係合片41を補強して変形が生じ難くなるようにしてある。
一方、下長側板6の両側端部の上端部の背面側にはそれぞれ図8のように下係合片42が突出して設けてある。下係合片42は下長側板6から背方へ突出する突出部42bと突出部42bの先端に下長側板6とほぼ平行に内方へ突出させて設けた係合部42cとで平面L字形に形成してある。この下係合片42の係合部42cの下辺42aは、先端側へ向けて上り傾斜する傾斜辺として形成してある。また下係合片42の上辺には、突出部42bから係合部42cにかけて切欠して切欠部52が形成してある。さらに、下係合片42の係合部42cの上長側板5側の側面の先端部には突部47が突設してある。この突部47は係合部41cの上下幅全長に亘るように設けてあり、突部47で上係合片42を補強して変形が生じ難くなるようにしてある。」(第4欄第46行?第5欄第23行)

(c)「上記のように形成される折り畳みコンテナ1にあって、両側の長側板4の上長側板5と下長側板6を延展させると共に両端の短側板9を略垂直に起立させることによって、図1に示すように、折り畳みコンテナ1を箱状に組み立てることができるものである。そしてこのように上長側板5と下長側板6を延展させると、図9のように嵌合受け部45に嵌合突部44が挿入嵌合され、上長側板5と下長側板6の端部同士をこの嵌合受け部45と嵌合突部44の嵌合で結合することができる。従って、折り畳みコンテナ1を取り扱う際に、折り畳みコンテナ1の角部、すなわち上長側板5や下長側板6の端部に衝撃が加わっても、上長側板5と下長側板6の端部が図11(b)のように位置ずれするように変形することを防ぐことができるものであり、折り畳みコンテナ1の上に大きな荷重が加わっても、位置ずれのない上長側板5と下長側板6の端部で上下方向の荷重を支えることができ、折り畳みコンテナ1が破損されるようなことを防ぐことができるものである。
またこの組み立て状態では、図10(a)のように短側板9の係合穴43に上長側板5の上係合片41の係合部41cと下長側板6の下係合片42の係合部42cが挿入係合されるようにしてあり、長側板4の延展状態と短側板9の起立状態が保持されるようになっている。」(第5欄第38行?第6欄第11行)

(d)「さらに上係合片41の係合部41cの先端部や下係合片42の係合部42cの先端部にはそれぞれ突部46,47が突設してあるので、図10(c)に示すように突部46,47を係合穴45の内側面に当接させて、係合穴45内に上係合片41や下係合片42を緊密に係合させることができ、係合穴45内から上係合片41や下係合片42を抜け難くすることができるものである。特に、短側板9を合成樹脂の成形品で形成するにあたって、係合穴45は金型から離型する際の抜き勾配を与えるために開口側ほど幅が広がるテーパ面(つまり奥ほど幅が狭くなるテーパ面)に内側面が形成されており、上係合片41の係合部41cや下係合片42の係合部42cを係合穴45に差し込むと、奥ほど狭くなったテーパ面となった内側面間に突部46,47を設けた係合部41c,42cが緊密に係合することになり、係合穴45内から上係合片41や下係合片42を外れ難くすることができるものである。」(第6欄第28行?第44行)

上記(b)の「上係合片41は上長側板5から背方へ突出する突出部41bと突出部41bの先端に上長側板5とほぼ平行に内方へ突出させて設けた係合部41cとで平面L字形に形成してある。」の記載、「下係合片42は下長側板6から背方へ突出する突出部42bと突出部42bの先端に下長側板6とほぼ平行に内方へ突出させて設けた係合部42cとで平面L字形に形成してある。」の記載及び図7,8より、「両長側板の内面に垂直な略方形状の突出部と、該突出部の先端から前記両長側板の内面に略平行に延在する係合部からなる上係合片及び下係合片」の構成が示されているといえる。

上記(d)の記載及び図10より、「短側板の外面側が開口された、前記短側板のテーパ面の外側壁部と該外側壁部と相対するテーパ面の内側壁部と奧壁部と天部と底部とからなる係合穴」の構成が示されているといえる。
上記(a)の記載、(c)の記載、(d)の記載及び図面より、「上長側板と前記下長側板とが、互いに略面一になるように略垂直に立てられた後に、短側板を、略水平状態から垂直方向に回動させた際には、上下係合片の係合部を、短側板の係合穴に挿入し、緊密に係合するように構成されている」の構成が示されているといえる。


以上の記載及び図面によれば、引用例1には次の発明が記載されている(以下、「引用発明1」という。)。

「口枠と底板と短側板と上長側板と下長側板とからなる折り畳みコンテナにおいて、前記両長側板には、該両長側板の内面に垂直な略方形状の突出部と、該突出部の先端から前記両長側板の内面に略平行に延在する係合部と、該係合部の両長側板の内面側に位置する面に突設された突部とからなる、上係合片、下係合片が形成されているとともに、前記短側板の左右方向端部には、前記短側板の外面側が開口された、前記短側板のテーパ面の外側壁部と外側壁部と相対するテーパ面の内側壁部と奧壁部と天部と底部とからなる係合穴が形成されており、折り畳まれた状態の折り畳みコンテナの箱型状態への組み立て作業において、前記上長側板と前記下長側板とが、互いに略面一になるように略垂直に立てられた後に、前記短側板を、略水平状態から垂直方向に回動させた際には、前記上下係合片の係合部を、前記短側板の係合穴に挿入し、緊密に係合するように構成されている折り畳みコンテナ」

2.2.3 対比
本願補正発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「口枠」、「底板」、「短側板」、「上長側板」、「下長側板」、「折り畳みコンテナ」、「両長側板」、「突出部」、「係合部」、「上係合片、下係合片」、「係合穴」は、それぞれ本願補正発明の「上部フレーム」、「底部」、「はね上げ側壁」、「上部分割側壁」、「下部分割側壁」、「折り畳みコンテナー」、「両分割側壁」、「板状突片」、「挿入片」、「分割側壁側係合部材」、「凹部」に相当する。

すると本願補正発明と引用発明1は

「上部フレームと底部とはね上げ側壁と上部分割側壁と下部分割側壁とからなる折り畳みコンテナーにおいて、前記両分割側壁には、該両分割側壁の内面に垂直な略方形状の板状突片と、該板状突片の先端から前記両分割側壁の内面に略平行に延在する挿入片とからなり、とからなる分割側壁側係合部材が形成されているとともに、前記はね上げ側壁の左右方向の端部には、前記はね上げ側壁の外面側が開口された、前記はね上げ側壁の外側壁部と該外側壁部と相対する内側壁部と奥壁部と天部と底部とからなる凹部が形成されており、折り畳まれた状態の折り畳みコンテナーの箱型状態への組み立て作業において、前記上部分割側壁と前記下部分割側壁とが、互いに略面一になるように略垂直に立てられた後に、前記はね上げ側壁を、略水平状態から垂直方向に回動させた際には、前記分割側壁側係合部材の挿入片を、前記はね上げ側壁側嵌合部材の凹部に挿入されるように構成されている折り畳みコンテナー。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1
本願補正発明では、分割側壁側係合部材は「挿入片の両分割側壁の内面側に位置する面に突設された係合突条」を備え、「はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔が穿設」されているのに対して、引用発明ではそのようになっておらず、
また、折り畳まれた状態の折り畳みコンテナーの箱形状態への組立て作業において、上部分割側壁と前記下部分割側壁とが、互いに略面一になるように略垂直に立てられた後に、はね上げ側壁を、略水平状態から垂直方向に回動させた際には、本願補正発明では、「はね上げ側壁に形成された凹部の外側壁部の先端面が、両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条に当接するように構成されているとともに、分割側壁側係合部材を、凹部を形成する内側壁部方向に弾性変形させながら、分割側壁側係合部材の挿入片を、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部に挿入し、その後、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔と分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条とが略一致した時点で、分割側壁側係合部材の弾性復元力により、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔に、両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条が挿入される」構成となっているのに対して、引用発明では両長側板の突部が突設された「上下係合片の係合部を短側板のテーパ面の外側壁部とテーパ面の内側壁部を備えた係合穴に挿入し、緊密に結合する」構成となっている点

2.2.4 相違点の検討
相違点1について
引用発明1は、係合穴内から上下係合片を外れ難くしているものであるが、「嵌合透孔に、係合突条を係合させる」構成により箱の壁同士の固定をよりしっかりとさせることは、組立式容器の技術分野において周知技術(実願昭60-95549号(実開昭62-3426号)のマイクロフィルム、実願平5-22678号(実開平6-80628号)のCD-ROM(特に、図2の「雄型係合部4,透孔5」)、特開平7-163767号公報(特に、図5を参照)であり、また箱の壁同士を固定する際に係合片が弾性変形をする構成も周知技術(実願昭60-95549号(実開昭62-3426号)のマイクロフィルム、特開平7-163767号公報を参照のこと)であるので、引用発明1において、当該周知技術を適用し、上下係合片を弾性変形可能なものとし、また、係合穴の外側壁部に前記上下係合片に突設された突部が嵌合可能な嵌合透孔を設けて、引用発明1においても上記相違点における本願補正発明と同様な短側板と両長側板との係合が行われるようにすることは当業者にとり格別な困難性のないものである。
また、相違点1の「はね上げ側壁に形成された凹部の外側壁部の先端面が、両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条に当接するように構成されているとともに、分割側壁側係合部材を、凹部を形成する内側壁部方向に弾性変形させながら、分割側壁側係合部材の挿入片を、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部に挿入し、その後、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔と分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条とが略一致した時点で、分割側壁側係合部材の弾性復元力により、はね上げ側壁側嵌合部材の凹部を形成する外側壁部に穿設された嵌合透孔に、両分割側壁に形成された分割側壁側係合部材の挿入片に突設された係合突条が挿入される」構成は、上記係合構造を採用したことに伴う構成にすぎない。

以上のことから、本願補正発明は、原査定時に引用した引用文献1に記載された発明及び周知技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

3.まとめ
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明

以上のとおり、本件手続補正は却下されたので、本願請求項1に係る発明は、本件補正a.の補正前の出願当初の特許請求の範囲における【請求項1】に記載した事項により特定されるものと認める。(以下、「本願発明」という。)

2.引用例及びその記載事項

引用例及びその記載事項は、上記「第2.手続補正の却下」の項中の「2.2.2引用例及びその記載事項」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願補正発明は本願発明を限定的に減縮したものである。
そうすると、本願発明の構成に補正事項aの限定的減縮をした本願補正発明が、上記「2.2 独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用例1に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、それら限定を省いた本願発明も同様の理由により引用例1に記載された発明と周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4.まとめ
そうすると、本願発明は、引用文献1に記載された発明、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない
 
審理終結日 2011-02-09 
結審通知日 2011-02-15 
審決日 2011-03-03 
出願番号 特願2005-2326(P2005-2326)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 熊倉 強
谷治 和文
発明の名称 折り畳みコンテナー  
代理人 平井 保  

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