• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 特39条先願 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C07C
管理番号 1236163
審判番号 不服2008-12304  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-15 
確定日 2011-05-24 
事件の表示 特願2006-74129「有機EL素子用化合物および有機EL素子」拒絶査定不服審判事件〔平成18年8月17日出願公開、特開2006-213725、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 この出願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成11年4月30日(優先権主張平成10年5月1日)に出願した特願平11-124971号の一部を平成18年3月17日に新たな特許出願としたものであって、平成19年10月9日付けで拒絶理由が通知され、同年12月17日に意見書及び手続補正書が提出され、平成20年1月10日付けで拒絶理由が通知され、同年3月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月8日付けで拒絶査定がされ、同年5月15日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年6月16日に手続補正書及び審判請求書の手続補正書が提出され、平成22年10月14日付けで審尋が通知され、同年12月15日に回答書が提出されたものである。

第2 平成20年6月16日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成20年6月16日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成20年6月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、明りょうでない記載の釈明を目的として補正前の請求項1を補正後の請求項1とし、請求項の削除を目的として補正前の請求項3を削除するものであるところ、請求項1についての本件補正は、補正前に、
「下記式(I)で示される基本骨格を有する有機EL素子用化合物。
【化1】

(上記式(I)中、R^(1),R^(2),R^(3)およびR^(4)はそれぞれ置換基を有する、または非置換のアリール基を表す。置換基は、非置換のアリール基で置換された、または非置換のアリール基である。アリール基は芳香族炭化水素環基を表す。R^(5),R^(6),R^(7)およびR^(8)はそれぞれ水素を表す。また、R^(1)?R^(4)のうち、少なくとも2個以上が、2環の縮合環からなるアリール基か、アリール基を置換基として有するアリール基である。また、R^(1)?R^(4)の少なくとも2個以上がフェニル基であるときには、当該フェニル基以外のR^(1)?R^(4)のアリール基は前記アリール基を置換基として有するアリール基であり、当該アリール基が少なくとも2個以上の置換基を有するアリール基であるか、または、当該置換基が非置換のアリール基で置換されたアリール基である。)」
だったものを、補正により、
「下記式(I)で示される基本骨格を有する有機EL素子用化合物。
【化1】

(上記式(I)中、R^(1) ,R^(2) ,R^(3) およびR^(4) はそれぞれ置換基を有する、または非置換のアリール基を表す。置換基は、非置換のアリール基で置換された、または非置換のアリール基である。アリール基は芳香族炭化水素環基を表す。R^(5) ,R^(6) ,R^(7) およびR^(8) はそれぞれ水素を表す。また、R^(1) ?R^(4) のうち、少なくとも2個以上が、2環の縮合環からなるアリール基か、アリール基を置換基として有するアリール基である。また、R^(1) ?R^(4) の少なくとも2個以上がフェニル基であるときには、当該フェニル基以外のR^(1) ?R^(4) のアリール基は前記アリール基を置換基として有するアリール基であり、当該アリール基はさらに置換基を有している。)」
とするものである。

2 補正の適否
(1)上記補正により明りょうにされるべき事項
上記補正は、「また、R^(1) ?R^(4) の少なくとも2個以上がフェニル基であるときには、当該フェニル基以外のR^(1) ?R^(4) のアリール基は前記アリール基を置換基として有するアリール基であり、」に続くところの、「当該アリール基が少なくとも2個以上の置換基を有するアリール基であるか、または、当該置換基が非置換のアリール基で置換されたアリール基である。」を「当該アリール基はさらに置換基を有している。」とするものであって、平成20年6月16日付け審判請求書の手続補正書「(4)(i)(ヘ)?(ト)」に示されるように、「当該フェニル基以外のR^(1) ?R^(4) のアリール基」が、次の(場合1)及び(場合2)のものであることを明りょうにするためになされたものである。

「(場合1)
-アリール基(B)-アリール基(A)-アリール基(C)
(場合2)
-アリール基(B)-アリール基(A)

アリール基(C)」(以下、「記載α」という。)

(2)補正後の請求項1について
補正後の請求項1には、上記したように、
「また、R^(1) ?R^(4) の少なくとも2個以上がフェニル基であるときには、当該フェニル基以外のR^(1) ?R^(4) のアリール基は前記アリール基を置換基として有するアリール基であり、当該アリール基はさらに置換基を有している。」
と記載されているから、「アリール基」について、上記記載αに示される(A)?(C)に分類すると、「R^(1) ?R^(4) のアリール基」は「アリール基(B)」であり、「前記アリール基」は「アリール基(A)」であり、「置換基として有するアリール基」は「アリール基(B)」である。

そうすると、これに続く「当該アリール基」は、文脈からして「アリール基(B)」であり、「さらに置換基を有している。」の「置換基」は、上記(場合2)の「アリール基(C)」となり、(場合2)は補正後の請求項1に包含されるものの、(場合1)は包含されなくなる。
あるいは、文脈に反して「当該アリール基」が「アリール基(A)」を意味すると、「さらに置換基を有している。」の「置換基」は、上記(場合1)の「アリール基(C)」となり、その結果、(場合1)は補正後の請求項1に包含されるものの、(場合2)は包含されなくなる。

ところで、請求人は、上記(1)にも示したように、平成20年6月16日付け審判請求書の手続補正書において、(場合1)のものも(場合2)のものも、補正後の請求項1には、両方含まれる旨、説明しており、この説明からすると、「当該アリール基」とは、「アリール基(B)」を意味するときと、「アリール基(A)」を意味するときがあると解するか、あるいは、「アリール基(B)-アリール基(A)」というものをひとまとめにしたものであると解さざるを得ず、前者においては、一つの語が、異なる二つ以上のものを意味することになり、後者においては、極めて特殊な解釈であるから、いずれにしても、このような記載を明りょうである、ということはできない。
そうすると、補正後の請求項1は、明りょうであるとはいえない。

(3)まとめ
補正後の請求項1は明りょうであるとはいえないから、上記補正が、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるとはいえない。また、補正後の請求項1が明りょうでない以上、特許請求の範囲が減縮されたかどうかを判断できず、したがって、上記補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるということもできない。かつ、上記補正が、請求項の削除を目的とするものであるとも、誤記の訂正を目的とするものであるとも、いえない。

3 むすび
以上のとおりであるから、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、その余のことを検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
平成20年6月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、この出願の請求項1?12に係る発明は、平成19年12月17日付け及び平成20年3月21日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、この出願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他にこの出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-05-11 
出願番号 特願2006-74129(P2006-74129)
審決分類 P 1 8・ 574- WY (C07C)
P 1 8・ 4- WY (C07C)
P 1 8・ 121- WY (C07C)
P 1 8・ 537- WY (C07C)
P 1 8・ 161- WY (C07C)
P 1 8・ 55- WY (C07C)
P 1 8・ 113- WY (C07C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 敏康井上 千弥子  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 橋本 栄和
松本 直子
発明の名称 有機EL素子用化合物および有機EL素子  
代理人 木村 満  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ