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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1236246
審判番号 不服2008-8628  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-08 
確定日 2011-05-06 
事件の表示 平成10年特許願第 36547号「編集画像印刷システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月21日出願公開、特開平11-194903〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成10年2月4日(優先権主張平成9年2月19日、平成9年10月31日)の出願であって、平成19年1月11日付けで拒絶理由が通知され、平成19年3月20日付けで手続補正がなされたが、平成20年3月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
平成20年4月8日付けの補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項5の内容を補正前の請求項1及び請求項72にそれぞれ付加し、補正前の請求項34の内容を補正前の請求項30、請求項70及び請求項71にそれぞれ付加し、また、補正前の請求項65,請求項66及び請求項70-72の内容を修正し、さらに、補正前の請求項2-29、34、39-46、49-50、55-58を削除し、そして、請求項の番号を修正したものである。
そして、本件補正後の請求項19に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前の請求項62に記載された発明と同一の次のとおりのものである。
「画像サーバから送信された第1の画像データと画像編集装置に記憶されている第2の画像データとを用いて、1駒の編集画像を生成する画像編集手段、および
上記編集画像の生成に関する情報と、上記第1の画像データを特定するための画像識別情報と、上記画像編集手段において編集画像の生成に用いられた上記第2の画像データとを、上記画像サーバに送信する画像生成データ送信手段、
を備えた画像編集装置。」

第3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-35999号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

a)「本発明は、処理/編集後のイメージを、編集前のイメージデータとそれに対する処理/編集データとによって表現することに着目したものである。すなわち、イメージ・サーバ側は、編集前のイメージデータのみを保持しているため、ワークステーション側から処理/編集データが転送されてきた場合、前記編集前のイメージデータと共に、その後、イメージデータの処理/編集が実行される。この時、ネットワーク上を転送されるデータは、処理/編集データだけであるから、ネットワークに対する負荷軽減と処理分散が容易に実現する。」(段落【0020】、下線は当審で付与、以下同様)

b)「図1は本実施例におけるオリジナルイメージと編集データによるイメージの表現例を説明するための図である。図1において、編集されるイメージデータは、tree構造によって、模式的に表現されている。このなかで、leaf nodeは、それぞれ基になる編集前のオリジナルイメージデータを示す。たとえば、イメージの最小単位となる丸図形1と、丸図形内に入れる言葉「Wow!」2と、「あひる」4とがある。中間のnodeは、その下にあるnodeをデータとした、イメージ処理もしくは編集手続を表現している。たとえば、丸図形1の中に「Wow!」2を挿入するイメージを編集するために、丸図形1と「Wow!」2とを合成してイメージ3とする。また、次の中間nodeは、前記合成されたイメージ3と前記オリジナルイメージ「あひる」4とを合成してイメージ5とする。そして、最終のroot nodeには、編集されたイメージデータが拡大されたイメージ6ができる。本実施例では、leaf nodeにあるイメージデータをオリジナルイメージデータと記載し、オリジナルデータを合成するために必要な処理や編集を編集データと記載する。
【0022】図2は、本発明における一実施例の全体概略構成を説明するための図である。図2において、ネットワーク21には、クライアント22と、イメージ・サーバ23と、プリント・サーバ24とが接続されている。クライアント22は、クライアント処理装置31と、従来から存在するイメージ処理/編集装置32とから構成され、ネットワーク21に接続されているイメージ・サーバ23から編集されたイメージを要求することができる。また、イメージ処理/編集装置32は、必要によりイメージスキャナ25を備えることができる。
【0023】図3は本発明におけるクライアントを説明するための一実施例構成図である。図3において、クライアント22におけるクライアント処理装置31は、ネットワーク21にクライアント22を接続するネットワーク接続処理部311と、編集データの解析、クライアント22においてイメージを処理するかまたはイメージ・サーバ23においてイメージを処理するかの切り替え、あるいは処理/編集などの操作を編集データとしてイメージ・サーバ23に送ることにより、クライアント22側での処理に適したイメージデータを得たり、あるいは処理の一部をイメージ・サーバ23で行なう等の処理を行なうクライアント処理部312と、イメージ・サーバ23から送られてきたイメージを処理編集するイメージ処理編集部314と、イメージを編集する編集データを保持する編集データ保持部313と、イメージデータのみを保持するイメージデータ保持部315と、前記イメージ処理編集部314によって処理編集された編集イメージを保持する編集イメージ保持部316とから構成される。」(段落【0021】?【0023】)

c)「図4は本発明におけるイメージ・サーバを説明するための一実施例構成図である。図4において、イメージ・サーバ23は、ネットワーク21にイメージ・サーバ23を接続するネットワーク接続処理部41と、編集データの解析、イメージ・サーバ23においてイメージを処理するかまたはクライアント22においてイメージを処理するかの切り替え、あるいは処理/編集などの操作を編集データとしてクライアント22側での処理に適したイメージデータを送る等の処理を行なうサーバ処理部42と、クライアント22から送られてきたイメージ、または後述のイメージデータ保持部315に保持されたイメージデータを編集データに基づいて処理編集するイメージ処理編集部44と、イメージを編集する編集データを一時保持する編集データ保持部43と、編集用のイメージデータのみを一時保持する編集イメージ保持部45と、編集データを保存する編集データ保存部48と、当該編集データ保存部48に保存されている編集データを管理する編集データ管理部46と、イメージデータを保存するイメージデータ保存部49と、当該イメージデータ保存部49のイメージデータを管理するイメージデータ管理部47とから構成される。
【0025】イメージ・サーバ23では、クライアント22側で処理/編集されるオリジナルイメージをすべて保持している。したがって、クライアント22側から編集データを送り、イメージ・サーバ23におけるイメージ処理編集部44は、前記編集データに基づいて、所望のイメージを生成する。」(段落【0024】?【0025】)

d)「図5は本発明の画像編集処理システムにおける概略構成図である。図5において、画像編集処理システムは、ネットワーク51、および当該ネットワーク51に接続されたイメージ・サーバ52と、ワークステーション53と、プリント・サーバ54とから構成される。また、ネットワーク51には、他のワークステーション55を必要により接続できる。そして、ワークステーション53では、イメージをイメージスキャナ56によって入力することができる。たとえば、ワークステーション53に接続されているイメージスキャナ56から入力されたイメージデータは、ネットワーク51を介してイメージ・サーバ52へ転送され、新規に作成された編集データと共に、取り出す際に都合の良いIDを付けて管理できるようにして、図4に示す編集データ保存部48およびイメージデータ保存部49にそれぞれ格納される。
【0027】上記イメージを、イメージ編集用ワークステーション55で編集する際には、ワークステーション55が備えているディスプレイの表示に適したイメージデータについての情報、たとえば解像度、カラー情報等を、イメージ処理編集部314が、クライアント処理部312を通して、編集データとしてイメージ・サーバ52に送る。イメージ・サーバ52では、イメージ処理編集部44が、送られて来た編集データを基に、イメージデータ保存部49のイメージデータを利用して、要求されたイメージデータを作成し、サーバ処理部42を通してクライアントである、イメージ編集用ワークステーション55に編集データと共に送り返す。これらの転送されたデータを基に、たとえばイメージ編集用ワークステーション55では、編集が行なわれ、その内容が編集データとして記述される。また、編集結果をディスプレイに表示する際には、編集データとオリジナルイメージデータを基に、イメージ編集用ワークステーション55のイメージ処理編集部314によって生成されたイメージが表示される。」(段落【0026】?【0027】)


これらの記載によれば、引用例1には、
「イメージサーバ側で、クライアント(ワークステーション)側から送信された編集データと保持しているオリジナルイメージデータとに基づいて、所望のイメージを生成させるため、
前記編集データをイメージ・サーバへ送信するクライアント処理部を備えるとともに、
イメージを編集する編集データを保持する編集データ保持部と、オリジナルイメージデータのみを保持するイメージデータ保持部、イメージサーバから送られたオリジナルイメージデータを基に、編集を行うイメージ処理編集部を備え、その編集の内容が編集データとして記述されるようになした、
クライアント」の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が開示されていると認めることができる。

第4.対比
そこで、本願発明と引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「イメージ・サーバ」は、本願発明の「画像サーバ」に相当し、以下同様に、「クライアント(ワークステーション)」は「画像編集装置」に相当する。さらに、引用例1記載の発明の「オリジナルイメージデータ」は、編集される前の画像データである点で、本願発明の「第1の画像データ」及び「第2の画像データ」と共通している。
また、引用例1記載の発明の「編集データ」は、オリジナルイメージデータを合成するために必要な処理や編集を行うためのデータで、編集データのみイメージ・サーバ側に送って、イメージサーバ側で、オリジナルイメージデータを特定するとともに、イメージの編集処理を行うことが可能であることから、本願発明における「編集画像の生成に関する情報」と「画像データを特定するための画像識別情報」を含んだものである。また、引用例1記載の「イメージ処理編集部」は、本願発明の「画像編集手段」に相当し、引用例1記載の発明の「クライアント処理部」は、編集データをイメージ・サーバに送信する点で、本願発明の「画像生成データ送信手段」に相当する。

したがって、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「画像サーバから送信された画像データを用いて、1駒の編集画像を生成する画像編集手段、および
上記編集画像の生成に関する情報と、上記画像データを特定するための画像識別情報とを、上記画像サーバに送信する画像生成データ送信手段、
を備えた画像編集装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、画像サーバから送られた第1の画像データと、「画像編集処理装置に記憶されている第2の画像データ」と用いて、編集画像を生成し、そして、編集画像の生成に用いられた上記第2の画像データとを、上記画像サーバに送信するのに対し、引用例1記載の発明は、画像サーバから送られた画像データを編集処理すると記載されている点。

第5.相違点の判断
画像サーバに保存されていないオリジナルイメージデータについては、前記「第3.引用例」のd)に摘記したように、画像編集処理装置(クライアント)での編集前に、予め画像サーバ(イメージ・サーバ)へ送信し、画像識別情報を付して画像サーバに保存することが記載されている。そして、画像サーバ側でクライアント側から送られた編集データに基づいて、イメージの編集処理を行うためには、編集データが送られてくると同時又はその前までに該オリジナルイメージデータが送信されていれば良いことは、当業者であれば容易に想到し得る事項であるから、相違点1に係る発明の構成は、該引用例1の記載から、当業者が適宜なし得ることである。

そして、本願発明が奏する作用、効果についてみても、引用文献1記載の発明から当業者が予想できる程度のものである。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-02 
結審通知日 2011-03-08 
審決日 2011-03-23 
出願番号 特願平10-36547
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中田 剛史  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 近藤 聡
鈴木 重幸
発明の名称 編集画像印刷システムおよび方法  
代理人 井上 正  
代理人 牛久 健司  

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