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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1236355
審判番号 不服2010-1303  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-20 
確定日 2011-05-06 
事件の表示 特願2001-186864「光ファイバの固定構造」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月 8日出願公開、特開2003- 4952〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年6月20日に特許出願したものであって、平成21年9月14日付けで手続補正がなされたが、同年10月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされたものである(以下、平成22年1月20日になされた手続補正を「本件補正」という。)。

第2 本件補正についての却下の決定
1 結論
本件補正を却下する。

2 理由
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1につき、補正前(平成21年9月14日付け手続補正後のもの。)の
「ファイバグレーティングが形成された光ファイバを固定する光ファイバの固定構造であって、光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に光ファイバ固定部を形成して該光ファイバ固定部の表面側に前記光ファイバの直径よりも深いU字形状の光ファイバ挿入溝を形成し、光ファイバのファイバグレーティング形成領域を挟む両側をそれぞれ前記光ファイバ固定部の光ファイバ挿入溝に挿入し、前記光ファイバ挿入溝内で接着剤が光ファイバ外周を覆うようにして、光ファイバを前記光ファイバ挿入溝の内面に直接接着固定することを特徴とする光ファイバの固定構造。」
を、
「ファイバグレーティングが形成された光ファイバを固定する光ファイバの固定構造であって、光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に上側に分離して突出形成された台状の光ファイバ固定部を形成して該光ファイバ固定部の表面側に前記光ファイバの直径よりも深いU字形状の光ファイバ挿入溝を形成し、光ファイバのファイバグレーティング形成領域を挟む両側をそれぞれ前記光ファイバ固定部の光ファイバ挿入溝に挿入し、前記各光ファイバ固定部に蓋を設けることによって、前記光ファイバ挿入溝内で接着剤が光ファイバ外周を覆うようにして、光ファイバを前記光ファイバ挿入溝と前記蓋で囲われた領域の内面に直接接着固定することを特徴とする光ファイバの固定構造。」
に補正する内容を含むものである。

(2)補正の目的
上記(1)の補正の内容は、補正前の請求項1における「光ファイバ固定部」について、「上側に分離して突出形成された台状」のものに限定し、同じく、光ファイバを接着固定する「光ファイバ挿入溝の内面」について、「前記各光ファイバ固定部に蓋を設けることによって」「前記光ファイバ挿入溝と前記蓋で囲われた領域」の内面であることを限定するものと認められるから、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

(3)独立特許要件についての検討
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記(1)において、補正後の請求項1に記載したとおりのものと認められるところ、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて検討する。

ア 刊行物の記載
(ア)原査定の拒絶の理由に引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-89012号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある(下線は、審決で付した。)。

「【請求項2】 光導波路のコア領域に長周期の屈折率変調が形成された長周期グレーティングと、前記長周期グレーティングを実装する固定部材とを備える長周期グレーティング素子であって、
前記固定部材は、前記長周期グレーティングが実装されたときの使用温度範囲における前記長周期グレーティングの特性について、温度変動に因る変動と温度変動に伴う張力変動に因る変動とを互いに相殺するものとして、前記長周期グレーティングの特性の温度依存性および張力依存性に基づいて選択され、前記使用温度範囲において前記長周期グレーティングに正の張力を与える、
ことを特徴とする長周期グレーティング素子。」

「【0012】先ず、本実施形態に係る長周期グレーティング素子の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る長周期グレーティング素子の平面図である。図2は、本実施形態に係る長周期グレーティング素子の斜視図である。この長周期グレーティング素子は、長周期グレーティング11が形成された光ファイバ10と、この長周期グレーティングを実装する固定部材20と、固定部材20の上部を覆う平板30とを備える。なお、図1では、平板30は示されていない。
【0013】固定部材20は、ほぼ直方体であって、その一つの面に一方向に凹溝が形成されている。固定部材20は、長周期グレーティング11が実装されたときの使用温度範囲における長周期グレーティング11の特性について、温度変動に因る変動と温度変動に伴う張力変動に因る変動とを互いに相殺するものとして、長周期グレーティング11の特性の温度依存性および張力依存性に基づいて選択される。そして、固定部材20は、使用温度範囲において長周期グレーティング11の張力が正となるように長周期グレーティング11に初期張力を与えて長周期グレーティング11を固定する。
【0014】長周期グレーティング11が形成された光ファイバ10は、長周期グレーティング11の形成部分の被覆が除去されて裸線とされており、その長周期グレーティング11の形成部分およびその両側それぞれの被覆部の一部が固定部材20の凹溝内に置かれる。このとき、裸線部分の両端近傍が接着剤40により固定部材20の凹溝に固定されるが、長周期グレーティング11の形成部分は固定部材20に固定されない。
【0015】平板30は、固定部材20と同一材料からなるものであり、固定部材20の凹溝の上部を覆い、接着剤40により固定部材20に固定されて固定部材20とともに密閉空間を構成する。この密閉空間内に長周期グレーティング11が置かれる。」

(イ)原査定の拒絶の理由に引用した、本願出願前に頒布された刊行物である国際公開第00/28361号(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある(括弧内に訳文を付した。)。

a 「Referring to FIG. 1, optical waveguide device 20, embodied herein, and comprises an optical waveguide grating member 22. Optical waveguide grating member 22 is preferably an optical fiber 24 which includes a grating 26 formed by refractive index changes in the optical fiber. Optical waveguide grating member 22 is most preferably a reflective fiber Bragg grating.」(6頁1行?5行)
(図1を参照すると、ここに具体化された光導波路デバイス20は光導波路回折格子部材22を含む。回折格子26を含む、光ファイバ24であるは、好ましくは、光ファイバ内の屈折率変化により形成された回折格子26を含む、光ファイバ24である。光導波路回折格子部材22は、最も好ましくは、反射型ファイバブラッグ回折格子である。)

b 「As shown in the device of FIGS. 13-16, substrate 38 includes a first end 58, a second end 60, and a centered channel 64. First solid member 40 is adjacent to and abutts first end 58 of substrate 38. Second solid member 42 is adjacent to and abutts second end 60. Spherical first solid member 40 includes a fiber receiving centered channel 72. Flat faced second solid member 42 includes a fiber receiving centered channel 72. ・・・ Grating member 22 is adhered to second solid member 42 inside centered channel 72 with an adhesive such as copper alumino silicate glass and preferably a thin film adhesive. 」(12頁24行?13頁3行)
(図13?16のデバイスに示されるように、基板38は第1末端58、第2末端60及び中心チャネル64を含む。第1中実部材40は基板38の第1末端58に隣接する。第2中実部材42は第2末端60に隣接する。球形の第1中実部材40はファイバ受入中心チャネル72を含む。平板形の第2中実部材42はファイバ受入中心チャネル72を含む。・・・回折格子部材22は、アルミノケイ酸銅ガラスのような接着剤、好ましくは薄膜接着剤により中心チャネル72の内側で第2中実部材42に固定される。)

c 上記a及びbの記載を踏まえて図13ないし15をみると、回折格子26を含む光ファイバ24である光導波路回折格子部材22が、U字形状のファイバ受入中心チャネル72に受け入れられて接着剤により該中心チャネル72の内側で第2中実部材42に固定されることが理解できる。

d 図13ないし15は、次のとおりである。

図13


図14


図15


(ウ)本願出願前に頒布された刊行物である国際公開第99/47955号(以下「刊行物3」という。)には、以下の記載がある(括弧内に訳文を付した。)。

a 「Referring to Fig. 1, a passively compensated LPG device 10 includes an optical fiber 20 having a core 30, a cladding 40, and a coating 50 for protecting the optical fiber 20. Core 30 includes a long-period grating 31 having a plurality of refractive index perturbations 32 spaced along the central axis of LPG device 10 for a distance, D. A section 105 of the coating 50 surrounding the long-period grating 31 is removed to expose the cladding 40. The exposed cladding 40 is attached at a first point 2 and at a second point 4 to a support 5 with an adhesive 8. 」(5頁17行?27行)
(図1を参照すると、受動補償LPGデバイス10は、コア30、クラッディング40および光ファイバ20保護のためのコーティング50とを有する光ファイバ20を含む。コア30は、LPGデバイス10の中央軸にそって距離Dの間隔をあけて配置された複数の屈折率の摂動32を有する長周期グレーティング31を含む。長周期グレーティング31の周囲のコーティング50の区画105は除去されてクラッディング40を露出させる。露出されたクラッディング40は第1の点2及び第2の点4で接着剤8により支持体5に取り付けられている。)

b 上記aの記載を踏まえて図1をみると、露出されたクラッディング40が接着剤8により支持体5に取り付けられる第1の点2及び第2の点4では、支持体5において、上側に突出して形成されていること、第1の点2及び第2の点4の上面において支持体5の表面に凹部が形成され該凹部に光ファイバ20が配置されていることが理解できる。

c 図1は、次のとおりである。


イ 引用発明
(ア)上記ア(ア)によれば、刊行物1には、次の発明が記載されているものと認められる。

「光導波路のコア領域に長周期の屈折率変調が形成された長周期グレーティングと、前記長周期グレーティングを実装する固定部材とを備える長周期グレーティング素子であって、前記固定部材は、前記長周期グレーティングが実装されたときの使用温度範囲における前記長周期グレーティングの特性について、温度変動に因る変動と温度変動に伴う張力変動に因る変動とを互いに相殺するものとして、前記長周期グレーティングの特性の温度依存性および張力依存性に基づいて選択され、前記使用温度範囲において前記長周期グレーティングに正の張力を与える、長周期グレーティング素子において、前記固定部材の一つの面に凹溝が形成され、該長周期グレーティング素子は、前記固定部材の上部を覆う平板を備え、前記長周期グレーティングは光ファイバに形成され、該光ファイバは、長周期グレーティングの形成部分の被覆が除去されて裸線とされており、該光ファイバの長周期グレーティングの形成部分及びその両側それぞれの被覆部の一部が前記固定部材の凹溝内に置かれ、長周期グレーティングの形成部分は固定部材に固定されないようにして、裸線部分の両端近傍が接着剤により前記固定部材の凹溝に固定され、前記平板は、前記固定部材の凹溝の上部を覆い、接着剤により前記固定部材に固定されて該固定部材とともに密閉空間を構成し、この密閉空間内に長周期グレーティングが置かれる、長周期グレーティング素子。」(以下「引用発明」という。)

ウ 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「長周期グレーティング」が形成された「光ファイバ」は、本願補正発明の「ファイバグレーティングが形成された光ファイバ」に相当する。

(イ)引用発明の「裸線部分の両端近傍」が固定される「凹溝」が形成された「固定部材」は、「光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に形成された光ファイバ固定部」といえるから、引用発明は、「光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に光ファイバ固定部を形成」したものといえ、この点において、本願補正発明の「光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に上側に分離して突出形成された台状の光ファイバ固定部を形成」との構成と一致する。
そして、引用発明は、「前記平板は、前記固定部材の凹溝の上部を覆い、接着剤により前記固定部材に固定されて該固定部材とともに密閉空間を構成し、この密閉空間内に長周期グレーティングが置かれる」ものであるから、引用発明の「凹溝」は、光ファイバの直径よりも深いものであることが明らかである。
よって、引用発明は、「光ファイバ固定部の表面側に前記光ファイバの直径よりも深い光ファイバ挿入溝を形成」したものといえ、この点において、本願補正発明の「光ファイバ固定部の表面側に前記光ファイバの直径よりも深いU字形状の光ファイバ挿入溝を形成し」との構成と一致する。

(ウ)引用発明の「該光ファイバの長周期グレーティングの形成部分及びその両側それぞれの被覆部の一部が前記固定部材の凹溝内に置かれ、長周期グレーティングの形成部分は固定部材に固定されないようにして、裸線部分の両端近傍が接着剤により前記固定部材の凹溝に固定され、前記平板は、前記固定部材の凹溝の上部を覆い、接着剤により前記固定部材に固定されて該固定部材とともに密閉空間を構成し、この密閉空間内に長周期グレーティングが置かれる」との構造(以下「引用発明の光ファイバの固定構造」という。)は、「ファイバグレーティングが形成された光ファイバを固定する光ファイバの固定構造」ということができ、本願補正発明の「光ファイバのファイバグレーティング形成領域を挟む両側をそれぞれ前記光ファイバ固定部の光ファイバ挿入溝に挿入し、前記各光ファイバ固定部に蓋を設けることによって、前記光ファイバ挿入溝内で接着剤が光ファイバ外周を覆うようにして、光ファイバを前記光ファイバ挿入溝と前記蓋で囲われた領域の内面に直接接着固定する光ファイバの固定構造」に相当する。
そして、上記(ア)及び(イ)に照らして、引用発明の光ファイバの固定構造は、「光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に光ファイバ固定部を形成」し、「光ファイバ固定部の表面側に前記光ファイバの直径よりも深い光ファイバ挿入溝を形成」したものといえる。

(エ)以上によれば、本願補正発明と引用発明の光ファイバの固定構造とは、
「ファイバグレーティングが形成された光ファイバを固定する光ファイバの固定構造であって、光ファイバの長手方向に間隔を介した位置に光ファイバ固定部を形成して該光ファイバ固定部の表面側に前記光ファイバの直径よりも深い光ファイバ挿入溝を形成し、光ファイバのファイバグレーティング形成領域を挟む両側をそれぞれ前記光ファイバ固定部の光ファイバ挿入溝に挿入し、前記各光ファイバ固定部に蓋を設けることによって、前記光ファイバ挿入溝内で接着剤が光ファイバ外周を覆うようにして、光ファイバを前記光ファイバ挿入溝と前記蓋で囲われた領域の内面に直接接着固定することを特徴とする光ファイバの固定構造。」
である点で一致し、以下のa及びbの点で相違するものと認められる。

a 光ファイバ固定部が、本願補正発明では、「上側に分離して突出形成された台状」のものであるのに対して、引用発明の光ファイバの固定構造では、そのようなものでない点(以下「相違点1」という。)。

b 光ファイバ挿入溝が、本願補正発明では、「U字形状」のものであるのに対して、引用発明の光ファイバの固定構造では、そのように特定されるものではない点(以下「相違点2」という。)。

エ 判断
(ア)相違点1について
引用発明の光ファイバの固定構造において、光ファイバ固定部を具体的にどのような形状とするかは、当業者が設計上適宜定め得ることというべきところ、前記ア(ウ)のとおり、刊行物3に、長周期グレーティング31を含む光ファイバ20を、支持体5において、上側に突出して形成されている第1の点2及び第2の点4上面の凹部に配置して接着剤8により支持体8に取り付けるものが記載されていることに照らして、引用発明の光ファイバの固定構造において、光ファイバ固定部を、「上側に分離して突出形成された台状」のものとすることに格別の困難はないものと認められる。
したがって、引用発明の光ファイバの固定構造において、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が設計的に適宜なし得る程度のことである。

(イ)相違点2について
引用発明の光ファイバの固定構造において、凹溝を具体的にどのような形状とするかは、当業者が設計上適宜定め得ることというべきところ、前記ア(イ)のとおり、刊行物2に、回折格子26を含む光ファイバ24である光導波路回折格子部材22が、U字形状のファイバ受入中心チャネル72に受け入れられて接着剤により該中心チャネル72の内側で第2中実部材42に固定されるものが記載されていることに照らして、引用発明の光ファイバの固定構造において、凹溝を、「U字形状」のものとすることに格別の困難はないものと認められる。
したがって、引用発明の光ファイバの固定構造において、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が設計的に適宜なし得る程度のことである。

(ウ)本願補正発明の奏する効果
本願補正発明が全体として奏する効果についてみても、刊行物1ないし刊行物3の記載事項から当業者が予測し得る域を超えるほどの格別顕著なものとは認められない。

(エ)回答書における請求人の主張について
請求人は、平成22年11月15日付け回答書において、光ファイバ固定溝に固定される「光ファイバ」の部分は、全て被覆が除去されたいわゆる裸光ファイバである旨主張するが、本願補正発明を、裸光ファイバである「光ファイバ」の部分が光ファイバ固定溝に固定されるものに限定して解すべき特段の事情は認められない。そもそも、本願明細書において、被覆が除去されたいわゆる裸光ファイバである「光ファイバ」の部分が光ファイバ固定溝に固定されることの技術的意義はもとより、裸光ファイバである「光ファイバ」の部分が光ファイバ固定溝に固定されること自体明示的に記載されていないのであって、本願明細書がかかる発明を開示するものと直ちには認め難いところである。

オ 小括
以上の検討によれば、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成21年9月14日付け手続補正後の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2、2(1)において、補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
前記第2、(3)ア(ア)、(イ)及びイのとおりである。

3 対比及び判断
前記第2、2(3)ウでの検討に照らして、本願発明と引用発明の光ファイバの固定構造とは、光ファイバ挿入溝が、本願発明では、「U字形状」のものであるのに対して、引用発明の光ファイバの固定構造では、そのように特定されるものではない点で相違し、その余の点において一致するものと認められる。
そして、上記相違点は、前記第2、2(3)エ(イ)で検討した相違点2と同一の内容であるところ、同検討のとおり、引用発明の光ファイバの固定構造において、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が設計的に適宜なし得る程度のことであるから、同様の理由により、引用発明の光ファイバの固定構造において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることも、当業者が設計的に適宜なし得る程度のことである。
よって、本願発明も、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-02-23 
結審通知日 2011-03-01 
審決日 2011-03-18 
出願番号 特願2001-186864(P2001-186864)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多田 春奈  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 杉山 輝和
江成 克己
発明の名称 光ファイバの固定構造  
代理人 五十嵐 清  

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