• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G08B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G08B
管理番号 1236365
審判番号 不服2010-5976  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-18 
確定日 2011-05-06 
事件の表示 特願2004- 14094「警報設備」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月 4日出願公開、特開2005-208885〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年1月22日の出願であって、平成21年12月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年3月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで特許請求の範囲について手続補正がなされたものである。

2.平成22年3月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項数は、11から12に増項された。

(2)判断
本件補正の前後における各請求項の対応関係を見ると、補正後の請求項(以下「新請求項」という。)8の内容は、補正前の請求項(以下、「旧請求項」という。)9に対応し、その補正は、補正前の請求項9の構成を特定するために必要な事項である「警報器」の「異常を監視する」手段が、「センサ部」であること、及び前記「警報器」が「自己の状態情報を記憶するメモリ」を備えることを限定しているので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、単に「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮に該当するものと認めることができるが、新請求項9は新請求項8を更に減縮するものであり、他に新請求項9から補正により加えられた限定事項を削除した構成に相当する旧請求項は存在せず、旧請求項9は上記のとおり新請求項8に補正されているので、新請求項9に対応する旧請求項が存在しないというべきである。
また、新請求項11は、旧請求項11に対応しその内容は同一であると認められるところ、新請求項12は、旧請求項11に記載した発明を特定するために必要な事項である「警報器」から受信する情報について「固有情報」も受信するものとの限定を付加するものと認めることができるが、上記のとおり旧請求項11は新請求項11としてそのまま存在するとともに、他に新請求項12から上記限定事項を削除した構成に相当する旧請求項は存在しない。
したがって、新請求項9および12についての上記補正を含む本件補正は、改正前の特許法17条の2第4項各号のいずれにも該当しない補正を含むものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成22年3月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成21年5月21日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「異常を監視し、外部からの情報送信要求を受信して所定の状態情報を取得し、取得した前記状態情報を外部に送信する送受信部を備える警報器と、
前記警報器に前記情報送信要求を送信して前記状態情報を受信するデータ収集器と、
前記データ収集器で受信した前記状態情報を処理して所定の管理情報を生成する管理装置と、
を備え、前記警報器の送受信部は、前記状態情報の取得と送信に係る電源を、前記データ収集器から供給されることを特徴とする警報設備。」(以下「本願発明」という。)

4.引用文献
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平10-177695号公報(以下「引用文献」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動火災報知設備の煙感知器、炎感知器、熱感知器、その他防災設備など、定期的保守点検を必要とする機器を効率的に管理するのに好適な装置に関する。」

・「【0009】 本発明の目的は、火災感知器などの定期的保守点検を必要とする機器の点検管理の確実性ないし信頼性を向上させると共に、型式番号等の個体識別情報を手作業に頼らず自動的に採取可能として火災感知器の取外し作業を不要とし、かつ、広い地域にわたって多数配置された火災感知器を少人数によって能率よく点検することを可能にすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため本発明は、定期的保守点検を必要とする機器の個体識別情報を含むデータを記憶可能なICチップ部と、該ICチップ部に接続されたアンテナ部とを備えて、前記機器に関連して配設されるデータキャリアと、前記データキャリアのアンテナ部に接近した位置で前記ICチップ部に記憶された前記データを非接触で読取り・上書き可能なリーダライタと、前記リーダライタに接続され、リーダライタの制御と前記リーダライタを含む外部機器との間でデータの記録・送出が可能な子コンピュータと、多数の機器の前記データを記憶蓄積すると共に、点検結果を外部に出力する親コンピュータとを有する。」

・「【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を煙感知器1の管理装置に応用した一実施形態を図に基づき説明する。図1に示すように、煙感知器1の筐体側面には、普通切手の数分の一大のシート状の超小型データキャリア6が貼着されている。このデータキャリア6はシート状絶縁基板の上にICチップ部とアンテナ部とを平面状にして具備し、ICチップ部に定期的保守点検を必要とする機器の個体識別情報、すなわち、感知器の型式番号や製造年、製造番号、その他前回の定期点検の年月日などの各種データが記憶されている。データキャリア6は煙感知器1に直接取り付ける他、煙感知器1近傍の天井2に取り付けてもよい。また、周囲に他の煙感知器1がない場合は、近くの壁などに取り付けてもよい。要は、データキャリア6が煙感知器1と対応関係にあることが認識できれば取り付け位置はどこでもよい。特許請求の範囲の「機器に関連して配設される」は以上の意味に理解されるべきである。一方、加煙試験器5の内部には、発煙装置の熱の影響を受けないようにして、 小型のリーダライタ7が配設されている。このリーダライタ7は、作業者の手元にある子コンピュータ8によって制御されて前記データキャリア6のICチップ部に対する読出し・書込みを非接触で行なうものであって、データキャリア6のアンテナ部に対して電磁誘導波を発するアンテナ(図示せず)を内蔵し、電磁誘導波によりICチップ部に対する作動電力の供給ならびにICチップ部との間で読出し・書込み操作を行なえるようになっている。つまりICチップ部は無電池型であって、子コンピュータ8及びリーダライタ7との組合せで半永久的な読出し・書込み操作が可能である。」

・また、自動火災報知設備の煙感知器は「煙を感知し」て報知する「警報器」であるといえる。

図面及び上記記載を参照すれば、引用文献には、以下のとおりの発明が記載されているものと認められる。
「煙を感知し、リーダライタ7から発せられる電磁誘導波により、感知器の型式番号や製造年、製造番号などの各種データが記憶されているICチップ部からデータキャリア6のアンテナ部を介して前記データの読出し・書込みを行う警報器と、
前記警報器に前記電磁誘導波を発して前記ICチップ部との間で読出し・書込み操作を行なうリーダライタ7が接続された子コンピュータ8と、
多数の機器の前記データを記憶蓄積すると共に、点検結果を外部に出力する親コンピュータと、
を備え、前記リーダライタ7は、電磁誘導波によりICチップ部に対する作動電力の供給を行う自動火災報知設備。」
(以下「引用発明」という。)

5.対比
本願発明と引用発明を対比すると、後者の「煙を感知」する態様は、前者の「異常を監視」する態様に相当する。
また、後者の「データキャリア6のICチップ部」は、リーダライタ7からの電磁誘導波を受けて読出し・書込みを行っているので、「外部からの情報送信要求を受信して前記情報を外部に送信する送受信部を備えている」ということができ、さらに、前者の「所定の状態情報」は、明細書には記載されいない用語ではあるが、特許請求の範囲の請求項5に「前記警報器の所定の状態情報は、少なくとも機器ID、……の何れかを含む」と記載されていることから、後者の「感知器の型式番号や製造年、製造番号などの各種データ」が前者の「所定の状態情報」に相当するものといえ、また、後者の「データキャリア6のアンテナ部」は前者の「外部に送信する送受信部」に相当するものといえるので、後者の「リーダライタ7から発せられる電磁誘導波により、感知器の型式番号や製造年、製造番号などの各種データが記憶されているICチップ部からデータキャリア6のアンテナ部を介して前記データの読出し・書込みを行う警報器」は「外部からの情報送信要求を受信して所定の状態情報を取得し、取得した前記状態情報を外部に送信する送受信部を備える警報器」に相当し、後者の「警報器に電磁誘導波を発してICチップ部との間で読出し・書込み操作を行なう」態様は、前者の「警報器に情報送信要求を送信して状態情報を受信する」態様に相当する。
また、後者の「リーダライタ7が接続された子コンピュータ8」は、前者の「データ収集器」に相当する。
さらに、後者の「多数の機器のデータを記憶蓄積する」態様は、「記憶蓄積」も処理の一種であることから前者の「データ収集器で受信した状態情報を処理」する態様に相当するものといえ、後者の「点検結果を外部に出力する」態様は、引用文献に記載された発明の課題が「定期的保守点検を必要とする機器を効率的に管理する」ものであることから、前者の「所定の管理情報を生成する」態様に相当するものといえるので、後者の「多数の機器のデータを記憶蓄積すると共に、点検結果を外部に出力する親コンピュータ」は「データ収集器で受信した状態情報を処理して所定の管理情報を生成する管理装置」に相当する。
また、後者の「リーダライタ7」は前者の「警報器の送受信部」に相当する。
そして、引用文献の段落【0013】に、「(加煙試験器5の内部に配設された)リーダライタ7は、作業者の手元にある子コンピュータ8によって制御されてデータキャリア6のICチップ部に対する読出し・書込みを非接触で行なうものであって、データキャリア6のアンテナ部に対して電磁誘導波を発するアンテナを内蔵し、電磁誘導波によりICチップ部に対する作動電力の供給ならびにICチップ部との間で読出し・書込み操作を行なえるようになっている。」と記載されていることから、後者の「電磁誘導波によりICチップ部に対する作動電力の供給を行う」態様は、前者の「警報器の送受信部は、状態情報の取得と送信に係る電源を、データ収集器から供給される」態様に相当している。
また、「自動火災報知設備」は「警報設備」に相当する。

そうすると本願発明と引用発明とは、実質的な相違点がない。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-04 
結審通知日 2011-03-08 
審決日 2011-03-24 
出願番号 特願2004-14094(P2004-14094)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G08B)
P 1 8・ 113- Z (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神山 貴行  
特許庁審判長 田良島 潔
特許庁審判官 仁木 浩
神山 茂樹
発明の名称 警報設備  
代理人 竹内 進  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ