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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1236377
審判番号 不服2011-1477  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-01-21 
確定日 2011-05-06 
事件の表示 特願2008-223149「定着装置および画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 3月18日出願公開、特開2010- 60595〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年9月1日の出願であって、平成22年6月11日付けで通知された拒絶の理由に対して、同年8月12日付けで手続補正書が提出されたが、同年10月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成23年1月21日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書および早期審理に関する事情説明書が提出され、当審において早期審理に付されたものである。


第2 平成23年1月21日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年1月21日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正には、特許請求の範囲の請求項1を次のように補正しようとする事項が含まれている。

(補正前)
「【請求項1】
互いに接触して記録材を搬送しつつこの記録材のトナーを定着させる定着側回転体および加圧側回転体と、
上記定着側回転体を誘導加熱する電磁誘導加熱部と、
定着動作中、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する均熱部材と
を備え、
上記電磁誘導加熱部は、上記定着側回転体の幅方向に延びている環状の励磁コイルを有し、上記定着側回転体の幅方向において上記励磁コイルの両側のそれぞれの内面における上記幅方向の最も外側に位置する部分は、上記定着側回転体と上記加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域の端縁に一致するか、または、その通過領域の端縁よりも、上記幅方向内側に位置し、
上記均熱部材は、上記最大サイズの記録材の通過領域よりも、上記幅方向外側に延びていることを特徴とする定着装置。」

(補正後)
「【請求項1】
互いに接触して記録材を搬送しつつこの記録材のトナーを定着させる定着側回転体および加圧側回転体と、
上記定着側回転体を誘導加熱する電磁誘導加熱部と、
定着動作中常に、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する均熱部材と
を備え、
上記電磁誘導加熱部は、上記定着側回転体の幅方向に延びている環状の励磁コイルを有し、上記定着側回転体の幅方向において上記励磁コイルの両側のそれぞれの内面における上記幅方向の最も外側に位置する部分は、上記定着側回転体と上記加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域の端縁に一致するか、または、その通過領域の端縁よりも、上記幅方向内側に位置し、
上記均熱部材は、上記最大サイズの記録材の通過領域よりも、上記幅方向外側に延びていることを特徴とする定着装置。」

この補正事項は、均熱部材が定着側回転体または圧側回転体の少なくとも一方に接触することについて、補正前の「定着動作中、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する」を、「定着動作中常に、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する」に変更したもので、出願当初の明細書の【0039】【0041】【0042】等の記載から自明な事項ということができ、新たな技術的事項を導入するものではない。
また、この補正事項は、「常に」を付加することで、発明特定事項を限定したものといえる。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。


2.引用刊行物の記載事項
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開2001-230065号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 励磁コイルを有する磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に記録材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
前記励磁コイルは、記録材の導入搬送方向と直交する幅方向に長く伸びた形状に捲回されており、その両端の屈曲部の内側部間が装置に導入搬送される最大サイズ記録材の搬送幅に略対応していることを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】 励磁コイルを有する磁束発生手段と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導発熱体を有し、加熱部に記録材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
記録材の導入搬送方向と直交する幅方向に長く伸びた形状に捲回された励磁コイルを、該励磁コイル両端の屈曲部の内側部が加熱部を搬送される最大サイズの記録材の端部近傍に位置するように配置したことを特徴とする像加熱装置。
【請求項3】 前記励磁コイルの内側部が、前記加熱部を搬送される最大サイズの記録材の端部より記録材幅方向外側に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。」

(1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の像加熱装置、および前記像加熱装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知の画像形成装置にあっては、転写工程を経て紙等の転写材(記録材)に静電的に形成されたトナー像を転写材に定着固定する必要がある。このための手殴として、従来から、圧接する一対の加熱ローラ間にトナー像を担持する転写材を通過させ、トナーに熱と圧力を加えて定着するような手段が広く実用されていることはよく知られているとおりである。図8は公知の電磁(磁気)誘導加熱方式定着装置の典型的な一例を示すものである。
【0003】誘導発電方式とは、磁界の中を金属が横切ると磁束が変化し、磁束の変化によって金属にうず電流が金属の動きを抑制する向きに流れるという電磁誘導現象(ファラデーの法則)を用いている。金属に電流が流れると金属の電気抵抗によって発熱する。この熱を画像形成装置の定着器に用いるのが誘導発熱方式の定着器である。
【0004】定着装置内には、内部にヒータなどの熱源の替わりに、磁束発生手段4が配置されている。磁束発生手段4は励磁コイル5と芯材(コア)6から構成されている。コア部材はフェライト、パーマロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いると良い。
【0005】コア6とコイル5は不図示のホルダーによって支持されている。
【0006】磁力線はコア6の垂直部6a、定着ローラ部1、コアの水平部6bを通過する。また、コイル5は定着ローラ1の長手方向に略楕円形状をしており、定着ローラ1の内面に沿うように配置される。
【0007】電磁誘導加熱による発熱箇所としては、コア6aとコア6bの間の定着ローラ1部(コイル5の対向するところ)で特に大きくなる。
【0008】また、コイルの一本一本によって発生する磁束によっても定着ローラは発熱される。これだけでは、定着ローラ1の略半分しか発熱されないが、定着ローラ1が回転することでムラなく加熱される。
【0009】磁束はコア6の内部を交互に通過する向きで発生させる。従って電源からの入力電力には電流が交互に逆向きに流れる交流が適している。発生した磁束の通過するところに定着ローラ1の金属部がある。その金属部では磁束が交互に通過しているため、磁束を金属が横切るのと同じ効果になり、金属部で発熱が起こる。
【0010】発熱部となる金属には強磁性の金属である鉄・ニッケル・コバルトなどが適している。図8の従来例では、定着ローラ1に鉄系の合金を使用している。
【0011】上記定着器では定着ローラ自体が発熱体となるために、公知のハロゲンヒータを用いた定着器に比べて、電力効率が良い・一般的に、ハロゲンヒータの寿命に比べると、磁束発生手段の寿命は永いために、消耗部品とならない。そのためにサービス性の向上にも一役買っている。
【0012】さらに、磁束発生手段は電力をスムーズに可変にできるので、高周波のフリッカー対策に対しても対策が容易である。
【0013】このようなメリットが近年、熱発生手段として注目を集めている。
【0014】上記定着器を画像形成装置に用いたときの動作の説明をする。定着ローラ1に圧接してニップ部Nを形成する加圧ローラ8が配設してある。定着ローラ1と加圧ローラ8はお互いに圧接して、回転可能に支持されている。加圧ローラ8は定着ローラ1に対し不図示の加圧手段によって加圧される。加圧手段は一般にバネを用いた構成で、約19.61N?980.66Nで荷重される。ニップ部の幅は6mm程度が一般的である。加圧の荷重はトナー定着性を考慮して設定される値である。
【0015】定着ローラ1は、外側表面に不図示のトナー離型層がある。一般にはPTFE10?50μmやPFA10?50μmで構成されている。また、トナー離型層の内側にはゴム層を用いても良い。
【0016】加圧ローラ8は鉄製の芯金の外周に、シリコーンゴム層と、定着ローラ1同様にトナー離型層を設けた構成である。
【0017】定着ローラ1は不図示の定着ローラ1の端部のギアを介して不図示の駆動手段により矢印aの方向に回転し、それにともない加圧ローラ8も従動して矢印bの方向に回転する。
【0018】不図示の転写部位において静電的に形成されたトナー像を担持する転写材Sが転写材搬送路H(一点鎖線)を矢印c方向から前記ニップNに搬送されて該都を通過すると、加熱されたトナー像が転写材に溶融固着されて機外に排出されるものとする。
【0019】また、転写材Sが定着ローラに巻き付くのを抑え、定着ローラ1から分離させる分離爪10が配置されている。さらに、定着ローラ1の表面温度を検知するための検知手段(サーミスタ)11により定着ローラ1の表面温度が一定に保たれるように温調制御がされる。
【0020】また、ウェイトタイム短縮のために定着ローラ1の厚みを薄くして、定着ローラ1の熱容量を少なくしたり、定着ローラ1の替わりにベルト状の薄い金属を用いたものも提案されている。」

(1c)図8,9は次のとおり。




(1d)「【0021】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように周知の電磁誘導加熱の定着器を用いた画像形成装置では次のような問題を抱えている。
【0022】図9、図10に従来の電磁誘導加熱の定着器の長手配置を示した。
【0023】図9は、コイルの長手方向の長さが通紙最大サイズよりも小さいか、同等の場合である。
【0024】図10は、コイルの長手方向の長さが通紙最大サイズよりも大きいか、同等の場合である。
【0025】図11には、電磁誘導加熱による定着ローラの長手方向の温度分布を示したものである。実線Rは、理論的な電磁誘導加熱による定着ローラの長手方向の温度分布である。
【0026】理論的には、コイルの内周端部5a部は中央部5c部に比べて、磁力が強くなる。これは、5c部はコイルの直線部の作用により磁力が発生し、定着ローラが発熱するのに対して、5a部ではコイルの直線部に加えてUターン部(屈曲部)からの磁力の作用も受けて発熱するからである。
【0027】しかし、従来、定着ローラの温度分布を測定すると、図11の点線Jのように、端部の温度が下がることが分っている。
【0028】このため従来は、端部の温度効果を考慮して、コイルに流す電力を制御して定着ローラ全体に温度を上げて対応したり(図9の構成)、温度の安定している5c部を最大通紙サイズにしたり(図10の構成)していた。
【0029】即ち定着ローラに対するコイル配置の最適化が図られておらず、上記定着器を不用意に大きな構成としている。それが、コストダウンの妨げになっているのは言うまでもない。」

(1e)「【0030】そこで本発明は、前記のような理論的見地に基づいたコイル配置の像加熱装置及び画像形成装置を提供するものである。」

(1f)「【0051】
【発明の実施の形態】〈第一の実施形態〉図1に本発明の第一の実施形態を示す。図8の例と機能が同じものについては同一の符号とし、再度の説明を省略した。
【0052】磁束発生手段は従来と同様に、励磁コイル(以下コイルと称す)5と磁性体コア(以下コアと称す)6を不図示のホルダーで支持する構成である。
【0053】本発明の第一の実施形態の磁束発生手段と定着ローラ1などは従来例と同様の断面配置である。
【0054】本例の断面は図8と同じであり、図1は、コイル5を上方から見た平面図で示し、定着ローラ1との長手関係が分かるように示してある。
【0055】図1は定着ローラ1の内部にコイル5を配置し、定着ローラ1の片側からコイル5の線を出して外部の駆動回路と接続している。定着ローラ1は側板33a、33bにベアリング30a、30bによって支持されている。
【0056】加圧ローラ8もベアリング31a、31bによって支持され不図示の加圧機構によって、定着ローラ1に加圧される。
【0057】側板33aと側板33bの間の距離Bは最大通紙サイズ幅Aよりも大きい構成となる。
【0058】ところで、長手方向に長い形状に巻かれているコイル(以下、長丸形コイル)においては、前述の如く長手端部の屈曲部(Uターン部)の内側の領域5aでの磁束が他の領域5cより大きい。従ってこの領域5aの発熱量が他の領域5cと比べて多くなる。(図11参照)
しかし、実際に定着ローラ1の表面温度を測定すると、定着ローラ端部近傍ではベアリング30aや側板33に温度が伝達するので、屈曲部の内側領域5aに対向する定着ローラ表面の温度と、他の領域5cに対向する定着ローラ表面の温度との差は、該領域5aと領域5cの発熱量の差ほど、大きくはならない。(図11参照)前述したように理論的検知に基づくと図1のように長丸形コイルの屈曲部の内側部5a1間を最大通紙幅Aと略同じにし、内側領域5aが最大通紙幅Aの端部と略同じ位置になるように配置することが最も効率的な構成である。そして発熱量の多い内側領域5aを完全に最大通紙幅Aの外側に設けるのではなく、上記放熱を補う分、内側に配置されるので、省スペースを考えた場合の長丸形コイルと定着ローラの配置関係が最適化される。
【0059】従って、省スペース化・低コストを実現するコンパクト設計が可能となる。
【0060】なお、内側部5a1間と最大通紙幅Aとは略同じ位置であれば、厳密に一致させる必要はなく、定着ローラ端部からの放熱量と内側領域5aの発熱量を考慮して任意に設定できる。この場合に、最大通紙幅Aの端部が内側領域5a内に位置することが望ましく、本形態では、内側部5a1を最大通紙幅Aの端部のやや外側に設けている。」

(1g)図1は次のとおり。


(1h)「【0069】〈第二の実施形態〉次に、磁束発生手段を定着ローラの外部に配置した第二の実施形態を説明する。外部に磁束発生手段を設置すると、コイル、コア、ホルダーなどの温度を下げることができるので、定着ローラの温調温度が高い場合などに有利である。
【0070】図2に示すように本実施形態では、磁束発生手段のコア6を一体成形したものであり、外部から定着ローラ1を磁束発生手段によって発熱させる構成である。この例も第一の実施形態同様に長丸形コイル5、一体型のコア6等から構成されている。コア6の中央部の凸部6aが第一の実施形態のコア6a部に相当する箇所で、長丸形コイルの内空部に位置する。」

ここで、刊行物1の図9に係る技術事項として、(1b)(1d)、図8の記載事項や、(1a)(1f)、図1の記載事項を踏まえると、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)を把握することができる。

「互いに圧接してニップ部Nを形成し、一方が駆動手段により回転し、他方が従動回転し、トナー像を担持する転写材Sがニップ部Nを通過して加熱されたトナー像が転写材に溶融固着される、定着ローラ1および加圧ローラ8と、
長丸形の励磁コイル5と芯材(コア)6から構成され、発生した磁束で定着ローラ1の金属部を発熱させる、磁束発生手段4と
を備え、
長丸形の励磁コイル5の長手方向の長さが通紙最大サイズ(最大通紙幅A)よりも小さいか、同等であり、長丸形の励磁コイル5の屈曲部の内側部5a1が、最大通紙幅Aの端部より幅方向内側に配置されており、
定着ローラ1の温度分布を測定すると、長丸形の励磁コイル5の内周端部5aに対応する部分の温度が下がることが知られているため、この温度効果を考慮して、励磁コイル5に流す電力を制御して定着ローラ1全体に温度を上げるようにした、
電磁誘導加熱方式の定着器。」

(2)周知例1
原査定の拒絶の理由において周知技術の例示文献として示された、本願の出願前に頒布された特開2003-98877号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(2a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 誘導加熱される加熱部材と、該加熱部材に圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、該加圧部材に圧接していて該加圧部材を均一に加熱させるための均熱化部材とを備え、前記加熱部材、加圧部材および均熱化部材を回転させることにより、前記定着ニップに挿通された記録材を加熱および加圧して、前記記録材上のトナー像を定着する定着装置において、
前記均熱化部材を、該均熱化部材の左右両端部が前記加圧部材の左右両端部より左右に突出するように長くしたことを特徴とする定着装置。」

(2b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導加熱方式の定着装置、および該定着装置を備えた電子写真方式の画像形成装置に関する。」

(2c)「【0018】[第一の実施の形態]図1は、本発明の画像形成装置の一実施の形態を示す模式図である。・・・(中略)・・・本実施の形態では、定着装置40は誘導加熱方式とされ、その定着装置40の加圧ローラ20に対し均熱化ローラ25が圧接設置されている。本実施の形態は、均熱化ローラ25の長さを制御したことが大きな特徴である。
【0019】本実施の形態において、定着装置40は、図2に示すように、加熱部材としての加熱ローラ(加熱ローラ)10と、加圧部材としての加圧ローラ20とを備え、さらに加圧ローラ20に対し均熱化ローラ25を設置している。加熱ローラ10は、芯金12の周囲に被覆層14を有し、芯金12の内側に誘導コイル13を備える。被覆層14は弾性層および表面の離型層を有する。なお、被覆層14は弾性層を含まず、離型層のみであってもよい。誘導コイル13は、本例では、コイル線材をローラ軸方向両端でヘアピン状にターンさせながらコイル軸方向に延線することによって、円筒状の支持体13a上に形成されている。
【0020】この誘導コイル13には図示しない交流電源から例えば数10kHzの交流電流が供給される。これによって誘導コイル13に磁界(磁束)が発生し、芯金12に作用して芯金12に渦電流が誘導され、芯金12が発熱する。芯金12で発生した熱は被覆層14に伝えられ、このようにして加熱ローラ10が加熱される。
【0021】コイル13の温度は、支持体13aに接触配置させた温度センサ15によって検知される。加熱ローラ10の温度は、加熱ローラ10の表面に接触配置させたサーミスタ等の温度センサ16によって検知される。その加熱ローラ10表面温度の検知結果に基づき、コイル13に通電する交流電流をON/OFF制御することにより、加熱ローラ10は所定の定着温度に維持される。
【0022】加熱ローラ10は、図3に示すように、両端部を軸受け17によって回転自在に支持され、その一方の軸受け17の外側に設けたギア18を介して図示しない駆動源に接続されている。駆動源による駆動によって、加熱ローラ10は矢印方向に回転される。
・・・(中略)・・・
【0025】均熱化ローラ25は、加圧ローラ20に対し加熱ローラ10とは反対側、本例では加圧ローラ20の下側に、そのローラ軸方向に沿って配置され、均熱化ローラ25の両端部から突出した回転軸26を軸受け27で回転自在に支持されている。均熱化ローラ25は、図示しない付勢手段により、所定の圧力で加圧ローラ20に圧接され、定着時、加圧ローラ20の回転に従動して回転する。この均熱化ローラ25は、アルミニウム等の高熱伝導性のローラからなる。
【0026】前記したように、誘導加熱方式の加熱ローラ10の芯金12は、鉄やニッケルといった強磁性体金属が用いられていて熱伝導が悪く、加熱ローラ10の軸方向への熱の伝達が悪い。このため、幅の小さい小サイズ記録材を定着ニップNに通紙すると、加熱ローラ10の記録材と接触して熱を奪われる通紙部に対し、記録材と接触しない両端部の非通紙部で温度が顕著に上昇し、加熱ローラ10の両端部と中央部とで温度差が生じる。また加熱ローラ10の熱が伝わる加圧ローラ20でも、両端部の非通紙部で温度が上昇し、加圧ローラ20の両端部と中央部とで温度差が生じる。
【0027】したがって、高熱伝導性の均熱化ローラ25を加圧ローラ20に対し圧接設置すれば、加圧ローラ20両端部の熱を均熱化ローラ25を介して加圧ローラ20の中央部に運び、加圧ローラ20両端部の非通紙部での温度上昇を抑制して、加圧ローラ20の軸方向(通紙方向と直交する方向)の温度差を少なくできる。また加圧ローラ20によって奪われる加熱ローラ10両端部の熱量を多くして、加熱ローラ10両端部の非通紙部での温度上昇を抑制し、加熱ローラ10の軸方向(通紙方向と直交する方向)の温度差も少なくできる。
【0028】しかし、均熱化ローラ25両端のエッジ25aが加圧ローラ20に圧接されると、加圧ローラ20に被覆されているシリコーンゴムやフッ素樹脂等の柔らかい被覆層表面に傷がつき、加圧ローラ20の耐久性が損なわれる。
【0029】そこで、本実施の形態では、均熱化ローラ25を加圧ローラ20よりも長くして、均熱化ローラ25の左右両端部が加圧ローラ20の左右両端部より左右に突出するようにした。均熱化ローラ25の左右両端部の突出長さは同じとする。したがって、均熱化ローラ15が加圧ローラ20に圧接されても、均熱化ローラ25両端のエッジ25aが加圧ローラ20に圧接されることがなく、加圧ローラ20に被覆されている柔らかい被覆層表面を傷つけることがなくなって、加圧ローラ20の耐久性を向上することができる。勿論、加熱ローラ10、加圧ローラ20の両端部の非通紙部の温度上昇を抑制して、加圧ローラ10、加圧ローラ20の軸方向の温度差を少なくできる。その結果、本実施の形態の画像形成装置では、定着ムラのない良好な画像を得ることができる。」

(2d)図3は次のとおり。


3.対比・判断
本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、
刊行物1記載の発明の
「転写材S」、
「定着ローラ1」、
「加圧ローラ8」、
「長丸形の励磁コイル5」、
「長丸形の励磁コイル5と芯材(コア)6から構成され、発生した磁束で定着ローラ1の金属部を発熱させる、磁束発生手段4」、
「通紙最大サイズ(最大通紙幅A)」、
「長丸形の励磁コイル5の屈曲部の内側部5a1」、
「電磁誘導加熱方式の定着器」は、
それぞれ、本願補正発明の
「記録材」、
「定着側回転体」、
「加圧側回転体」、
「上記定着側回転体の幅方向に延びている環状の励磁コイル」、
「上記定着側回転体を誘導加熱する電磁誘導加熱部」、
「上記定着側回転体と上記加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域」、
「上記定着側回転体の幅方向において上記励磁コイルの両側のそれぞれの内面における上記幅方向の最も外側に位置する部分」、
「定着装置」に相当する。

また、これらのことから、
刊行物1記載の発明の「長丸形の励磁コイル5の屈曲部の内側部5a1が、最大通紙幅Aの端部より幅方向内側に配置されており」は、
本願補正発明の「上記定着側回転体の幅方向において上記励磁コイルの両側のそれぞれの内面における上記幅方向の最も外側に位置する部分は、上記定着側回転体と上記加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域の端縁に一致するか、または、その通過領域の端縁よりも、上記幅方向内側に位置し」に相当するといえる。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりと認められる。

[一致点]
「互いに接触して記録材を搬送しつつこの記録材のトナーを定着させる定着側回転体および加圧側回転体と、
上記定着側回転体を誘導加熱する電磁誘導加熱部と、
を備え、
上記電磁誘導加熱部は、上記定着側回転体の幅方向に延びている環状の励磁コイルを有し、上記定着側回転体の幅方向において上記励磁コイルの両側のそれぞれの内面における上記幅方向の最も外側に位置する部分は、上記定着側回転体と上記加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域の端縁に一致するか、または、その通過領域の端縁よりも、上記幅方向内側に位置する、
定着装置。」

[相違点]
本願補正発明は、定着動作中常に、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する均熱部材を有し、上記均熱部材は、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びているのに対して、
刊行物1記載の発明は、均熱部材を有しない点。

(相違点の検討)
そこで、上記相違点について検討する。

まず、電磁誘導加熱方式の定着装置において、定着ローラや加圧ローラの両端部の非通紙部の温度上昇を抑制するために、定着ローラや加圧ローラに接触する均熱部材を設けることは、文献を示すまでもなく、周知である。
そして、刊行物1記載の発明は、「定着側回転体の幅方向において励磁コイルの両側のそれぞれの内面における幅方向の最も外側に位置する部分は、定着側回転体と加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域の端縁よりも、上記幅方向内側に位置する」ものであるけれども、
定着側回転体の幅方向における励磁コイルの加熱領域よりも狭い幅である小サイズ紙を定着する場合(例えば本願の図6でいえば、A4縦通紙領域を使用する場合)も当然にあり、この場合は、非通紙部の過昇温が生じるおそれがあるから、そのような場合に備えて、刊行物1記載の発明において、定着ローラや加圧ローラに接触する均熱部材を設けることに、何ら困難性はない。
また、刊行物1記載の発明は、「定着ローラ1の温度分布を測定すると、長丸形の励磁コイル5の内周端部5aに対応する部分の温度が下がることが知られているため、この温度効果を考慮して、励磁コイル5に流す電力を制御して定着ローラ1全体に温度を上げるようにした」ものであり、励磁コイル5の中央部に対応する部分の温度が高めになるところ、定着ローラや加圧ローラに接触する均熱部材を設けることにより、励磁コイル5の中央部に対応する部分から、励磁コイル5の内周端部5aに対応する部分を経て、最大サイズの記録材の通過領域(最大通紙幅A)の端縁付近にまで、熱移動が生じて、温度の均一化が図られるという利点もあり、刊行物1記載の発明において均熱部材を設けることに阻害要因はない。

さらに、上記周知の均熱部材において、定着動作中常に、定着ローラや加圧ローラに接触するものであって、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びているようなものも、本願出願前に周知である。
例えば、周知例1には、電磁誘導加熱方式の定着装置において、均熱ローラの両端のエッジで加圧ローラの被覆層表面に傷が付くのを防止するために、均熱ローラを加圧ローラから両端部が突出するような長さに設定することが記載されており、周知例1には、最大サイズの記録材の通過領域については言及はないものの、均熱ローラを加圧ローラから両端部が突出するような長さに設定することは、加圧ローラからはみ出すようなサイズの記録材はないから、「均熱部材は、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びている」ことに等しいことは、当業者に自明である。
また、別の例をあげると、特開2007-108212号公報(請求項5,【0007】【0012】【0048】、図7、等)には、電磁誘導加熱方式の定着装置において、均熱ローラの幅が定着ローラの幅以下であると、両者の圧接端部に応力が集中し、均熱ローラのエッジによるローラ表面の破損等の不具合が生じるので、均熱ローラの幅を定着ローラの幅以上にすることにより、定着ローラとの圧接端部での応力集中を回避するという技術が記載されており、この場合も、「均熱部材は、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びている」ことに等しいことは、当業者に自明である。

一方、刊行物1記載の発明は、「定着側回転体の幅方向において励磁コイルの両側のそれぞれの内面における幅方向の最も外側に位置する部分は、定着側回転体と加圧側回転体との間を通過する最大サイズの記録材の通過領域の端縁よりも、上記幅方向内側に位置する」ものであるから、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側における部分については、過昇温が発生することはあまりないかもしれない。
しかし、それでも、上記の周知技術に接した当業者であれば、均熱ローラの両端のエッジで加圧ローラまたは定着ローラの表面に傷が付くのを防止することは望ましいことであるから、刊行物1記載の発明において、均熱ローラの両端部が加圧ローラまたは定着ローラの両端部から突出するような長さに設定すること、つまり、「均熱部材は、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びている」ことを採用してみようとするものである。

また、刊行物1記載の発明において、周知の「定着動作中常に、定着ローラや加圧ローラに接触する」タイプの均熱部材(周知例1、上記特開2007-108212号公報のほか、特開2002-55552号公報も参照)を適用する際に、均熱ローラの長さを、定着側回転体の幅方向における励磁コイルによる加熱領域全体に渡る長さとすることは普通といえるが、それに留まらず、定着側回転体の幅方向における励磁コイルによる加熱領域よりも狭い幅である小サイズ紙を定着する場合(例えば本願の図6でいえば、A4縦通紙領域を使用する場合)において、非通紙部で過昇温が生じることに対処して、昇温部分からの熱をより短時間で効率的に移動させるため、均熱ローラをさらに長くして、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びる程度に設定することは、当業者が適宜なし得ることである。
なお、この点につき、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された特開2007-108213号公報の下記図8(【0061】も参照)には、小サイズ紙(A4)を定着する際における、定着ローラ1の非通紙領域からの熱の流れが示されており(ただし、消磁コイルがない刊行物1記載の発明との関連では、この図8で、励磁コイル31において消磁コイル34との重複部分を除いたものを想定するとよい。)、それによると、定着ローラ1から加圧ローラ2を介して熱均しローラ8に至った熱は、熱均しローラ8の両端方向にも向かって流れており、熱均しローラ8が幅方向外側に長く延びていると、昇温部分からの熱をより効率的に移動させることができるものであることが、窺われる。ここで、熱均しローラ8は、小サイズ紙(A4)の定着の場合のみに圧接されるものの、熱の均し効果という点では上記のことがいえる。


以上のことを勘案すると、刊行物1記載の発明において、周知技術を適用して、本願補正発明のごとく、「定着動作中常に、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する均熱部材を有し、上記均熱部材は、最大サイズの記録材の通過領域よりも、定着側回転体の幅方向外側に延びている」ものとなすことは、当業者が容易に想到し得ることである。

(請求人の主張、および効果について)
請求人は、審判請求書で、
『刊行物1の図9の構成に周知文献1の均熱化ローラを組み合わせれば、たしかに本発明の構成となります。しかし、刊行物1に周知文献1を組み合わせることは、当業者にとって困難と考えます。
なぜならば、刊行物1は励磁コイルの長さの最適化を目指した発明について説明したもので、図9は最適化されていない望ましくない構成として説明されています。したがって、刊行物1をみた当業者であれば、よほどの特殊な目的でもない限り、敢えて望ましくない図9の構成を採用するはずもなく、したがって、図9の構成を採用しこれに周知文献1の均熱化ローラを組み合わせることなど到底あり得ません。
周知文献1にも記載されていますように、一般的には小サイズ通紙により定着ローラの端部が過昇温することを防止するために、均熱化ローラを用いるという発想が一般的ですが、本発明は、励磁コイルを最大通紙幅よりも短くすることで非通紙領域の加熱を抑制するという一般的でない手法をとった発明であり、このような特殊な手法については何れの刊行物にも示唆されておりません。
このように「励磁コイルを最大通紙幅よりも短くすることで非通紙領域の加熱を抑制する」という特異な発想を持たないかぎり、当業者であれば刊行物1において望ましくないとされている図9の構成を採用するはずもなく、審査官の指摘する組み合わせには阻害要因があると言わざるを得ません。
本発明は、励磁コイルを短くしたため、定着ローラにおける最大通紙領域の端縁付近の温度が低くなったとしても、均熱化ローラを介して、最大通紙領域の中央部から最大通紙領域の端縁付近に熟を移動できて、最大通紙領域の端縁付近の定着性の低下を防止できるという効果を奏するものです。短い励磁コイルと長い均熱化ローラを組み合わせることを開示する刊行物はなく、これらを組み合わせることによって、このような相乗効果が生まれることは何れの刊行物にも示唆さえされておらず、容易に思い付くものでもありません。』
と主張する。

しかし、まず、刊行物1の図9は、従来技術であり、刊行物1の特許請求の範囲や実施例に記載された発明とは異なるものであるとしても、図9の従来技術は、上記(1d)にあるように、「定着ローラの温度分布を測定すると、図11の点線Jのように、端部の温度が下がる」という問題に対する解決策の一つとして、図9の構成を採用するとともに、「端部の温度効果を考慮して、コイルに流す電力を制御して定着ローラ全体に温度を上げて対応」するという手法として説明されており、これをまとまりのある技術思想として把握することができるから、刊行物1において、図9の従来技術を発明として認定することに、何ら問題はない。
したがって、『「励磁コイルを最大通紙幅よりも短くすることで非通紙領域の加熱を抑制する」という特異な発想を持たないかぎり、当業者であれば刊行物1において望ましくないとされている図9の構成を採用するはずもなく』という主張は妥当でない。

次に、「本発明は、励磁コイルを短くしたため、定着ローラにおける最大通紙領域の端縁付近の温度が低くなったとしても、均熱化ローラを介して、最大通紙領域の中央部から最大通紙領域の端縁付近に熟を移動できて、最大通紙領域の端縁付近の定着性の低下を防止できるという効果を奏するものです。短い励磁コイルと長い均熱化ローラを組み合わせることを開示する刊行物はなく、これらを組み合わせることによって、このような相乗効果が生まれることは何れの刊行物にも示唆さえされておらず、容易に思い付くものでもありません。」との主張については、
上記(相違点の検討)で示したとおり、請求人が主張する「励磁コイルを短くしたため、定着ローラにおける最大通紙領域の端縁付近の温度が低くなったとしても、均熱化ローラを介して、最大通紙領域の中央部から最大通紙領域の端縁付近に熟を移動できて、最大通紙領域の端縁付近の定着性の低下を防止できる」という発想を思い付かなくても、「均熱ローラの両端のエッジで加圧ローラまたは定着ローラの表面に傷が付くのを防止すること」という観点から、刊行物1記載の発明に周知技術を適用することにより、本願補正発明の構成に容易に到達することができることが、十分に論理付けられるものである。
このように、本願補正発明の構成に容易に到達することができることが、十分に論理付けられるものであるから、請求人の主張する効果を格別なものとすることはできない。
また、上記(相違点の検討)で述べたように、「昇温部分からの熱をより効率的に移動させる」という観点からも、均熱ローラが幅方向外側に長く延びているのが有利といえる。

(まとめ)
よって、本願補正発明は、刊行物1記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願の請求項1に係る発明
平成23年1月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成22年8月12日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、上記「第2 1.(補正前)」に記載したとおりである。

2.引用刊行物の記載事項
これに対して原査定の拒絶の理由に引用された、特開2001-230065号公報(上記「刊行物1」)、特開2003-98877号公報(上記「周知例1」)の記載事項は、上記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明1は、本願補正発明の「定着動作中常に、上記定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触する」から、「常に」という限定事項を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明1の構成要件を全て含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 3.」に記載したとおり、刊行物1記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、刊行物1記載の発明および周知技術(均熱部材が、定着動作中、定着側回転体または上記加圧側回転体の少なくとも一方に接触し、最大サイズの記録材の通過領域よりも、幅方向外側に延びている点)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-04 
結審通知日 2011-03-08 
審決日 2011-03-23 
出願番号 特願2008-223149(P2008-223149)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
P 1 8・ 575- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 目黒 光司  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 一宮 誠
住田 秀弘
発明の名称 定着装置および画像形成装置  
代理人 田中 光雄  
代理人 山崎 宏  
代理人 仲倉 幸典  

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