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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1236874
審判番号 不服2009-23458  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-30 
確定日 2011-05-09 
事件の表示 特願2009- 4930「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月13日出願公開、特開2010-104759〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年1月13日の出願(国内優先権主張 平成20年9月30日)であって、平成21年8月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成21年11月30日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされ、当審において、平成22年7月15日付で、平成21年11月30日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶の理由が通知され、これに対し平成22年9月14日付けで手続補正がされ、さらに当審において、平成22年11月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成23年1月13日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という)は、平成23年1月13日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
遊技の進行を制御する制御手段は、
遊技球の始動口への入球を契機に、大入賞口開閉装置によって開閉する開閉自在な大入賞口が入球可能な態様で開放する特別遊技を実行する権利獲得の成否を特別遊技抽選によって決定すると共に、遊技球の入賞ゲートの通過を契機に、前記始動口を構成し、始動口開閉装置によって開閉する開閉自在な始動口が入球可能な態様で開放する補助遊技を実行する権利獲得の成否を補助遊技抽選によって決定し、
前記特別遊技を実行する権利を獲得する確率が所定値に設定された低確率遊技状態、又は、前記特別遊技を実行する権利を獲得する確率が前記低確率遊技状態より高い高確率遊技状態で制御すると共に、これらの遊技状態とは別に非時短遊技状態、又は、前記非時短遊技状態より前記開閉自在な始動口への入球の難度が低下する時短遊技状態で制御し、
前記特別遊技終了後から新たに前記低確率遊技状態又は前記高確率遊技状態、且つ、前記非時短遊技状態又は前記時短遊技状態で制御しうる遊技機であって、
前記制御手段は、
前記特別遊技として、前記大入賞口が複数の遊技球の入球が容易な態様で開放する第1の開放が行われる第1の特別遊技、前記大入賞口が遊技球の入球が困難な態様で開放する第2の開放のみが複数回行われる第2の特別遊技、又は、前記第2の開放と前記大入賞口が遊技球の入球が容易な態様で開放する複数回の第3の開放とからなり、当該遊技中に前記大入賞口の開放しうる時間が前記第1の特別遊技に比して短い第3の特別遊技のいずれかを行い、
少なくとも前記第2の特別遊技終了後からは、新たに前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態で制御し得、
前記低確率遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記高確率遊技状態で制御する場合、当該特別遊技として、前記第2の特別遊技を実行し得、
前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記低確率遊技状態で制御する場合、当該特別遊技として前記第2の特別遊技を実行せず、前記第3の特別遊技を実行することを特徴とする遊技機。」

なお、上記補正により、本願発明は、実施の形態1とその他の実施の形態とを組合わせた遊技機に係る発明となったものの、その点は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、当該記載から自明の事項とも認められないので、上記補正は、新規事項を追加する補正であるとの疑義がある。しかしながら、事案に鑑み、仮に、その点が新規事項の追加ではないとして、以下、検討を進めることとする。

3.本願発明に対する特許要件の判断の基準日について
本件出願は、特許法第41条第1項の規定による優先権の主張を伴う出願(優先日 平成20年9月30日、優先権主張の基礎出願 特願2008-255288号)である。そこで、本願発明に対する特許要件の判断の基準日について検討する。

本願発明には、「前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記低確率遊技状態にて制御する場合、当該特別遊技として前記第2の特別遊技を実行せず、前記第3の特別遊技を実行する」という発明特定事項が記載されている。

しかし、優先権主張の基礎出願である特願2008-255288号には、「高確率遊技状態において短当たり遊技を実行する権利を獲得した場合には、短当たり遊技状態は、全ラウンド遊技を通した最大開放時間の合計が上記の低確率遊技状態において実行の権利が獲得された短当たり遊技状態より長く、設定されていると共に、遊技球が大入賞口11へ入球し易いラウンド遊技を有する。」ことは記載されているが、「前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記低確率遊技状態にて制御する場合、当該特別遊技として前記第2の特別遊技を実行せず、前記第3の特別遊技を実行する」ことは記載されていない。

以上のとおり、本願発明は優先権主張の基礎出願である特願2008-255288号に記載されたものではないから、優先権主張の効果は認められず、本願発明に対する特許要件の判断の基準日は、優先日ではなく、本願の現実の出願日である平成21年1月13日である。

4.引用文献
当審の平成22年11月15日付け拒絶の理由で引用文献1として引用された「パチンコ攻略マガジン2008・6・22号、第20巻第16号通巻567号、株式会社双葉社、平成20年6月22日発行、p.10-15」(以下、「引用文献1」という。)は、パチンコ機「COBRA?終わりなき劇闘?」についての紹介記事であり、以下の記載又は図示がある。

(ア)10頁下部中央には、大当りの内訳として、ヘソ入賞時には「15R確変」が10%、「15R確変(ステップアップボーナス演出)」が3%、「15R確変(ジャンプアップボーナス)」が2%、「15R確変(出玉は実質10R分)」が18%、「突然確変(電サポあり)」が10%、「突然確変(初回当選時のみ電サポなし)」が32%、「15R通常(出玉は実質10R分)」が25%、電チュー入賞時には「15R確変」が40%、「15R確変(ステップアップボーナス演出)」が13%、「15R確変(ジャンプアップボーナス)」が7%、「15R確変(出玉は実質10R分)」が12%、「15R確変(出玉は実質10R分、電サポ100回転)」が3%、「15R通常(出玉は実質10R分)」が25%であることが記載されている。

(イ)10頁下部左側には、「CRコブラ?終わりなき劇闘?はココがスゴい!スゴ1 突時がない!なのに確変75%ループ!元々、突時のない本機だが、さらに電チュー入賞変動には突確の振り分けもない。確変・時短中は実質確変割合もMAXタイプクラス、75%の超ハイスペックマシンに変貌。一撃の瞬発力がケタ違いに高い!」と記載されている。

(ウ)11頁下部右側には、ゲームフローが記載されており、通常時からハイウェイゾーン、ジャンプアップボーナス、レギュラーボーナスに移行することや、それらから、コブラボーナス、スーパーコブラボーナス、コブラゾーンに移行することや、コブラゾーンからギルドボーナスに移行すること、その他、各ゾーン、各ボーナスからの移行の流れについて記載されている。

(エ)11頁下部左側には、「ボーナスは全5種類」との見出しが記載され、スーパーコブラボーナスは出玉が1410個で確変となること、コブラボーナスは出玉が940個で確変となること、レギュラーボーナスは出玉が940個で確変か通常となること、ギルドボーナスは出玉が940個で確変か通常となること、ジャンプアップボーナスは出玉が1410個で確変となること、が記載されている。

(オ)12頁上部左側には、「表面的には10Rと15Rにラウンド数が振り分けられているが、内部的にはともに15R大当り。10R終了後、アタッカーが高速で5回パカパカと開閉し、ここで終わらずロング開放となれば15R継続となる。」と記載されている。

摘記した上記の記載や図示等によれば、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「ヘソ入賞時又は電チュー入賞時に、大当りとして、15R確変、15R確変(出玉は実質10R分)、15R確変(出玉は実質10R分、電サポ100回転)、突然確変(電サポあり)、突然確変(初回当選時のみ電サポなし)、15R通常(出玉は実質10R分)を所定の確率で選択し、15R大当りの場合には5種類のボーナスがあり、スーパーコブラボーナスは出玉が1410個で確変となり、コブラボーナスは出玉が940個で確変となり、レギュラーボーナスは出玉が940個で確変か通常となり、ギルドボーナスは出玉が940個で確変か通常となり、ジャンプアップボーナスは出玉が1410個で確変となり、実質10R分の15R大当りは、実質的には10R大当りであって10R終了後、アタッカーが高速で5回パカパカと開閉するパチンコ機」

4.引用発明1と本願発明との対比
引用発明1の「ヘソ」又は「電チュー」は本願発明の「始動口」に相当し、以下同様に、
「入賞時」は「入球を契機」に、
「所定の確率で選択する」は「特別遊技を実行する権利獲得の成否を特別遊技抽選によって決定する」に、
「ボーナス」は「特別遊技」に、
「通常とな」ることは「特別遊技を実行する権利を獲得する確率が所定値に設定された低確率遊技状態」に、
「確変とな」ることは「特別遊技を実行する権利を獲得する確率が前記低確率遊技状態より高い高確率遊技状態」に、
「電サポあり」は「前記非時短遊技状態より前記開閉自在な始動口への入球の難度が低下する時短遊技状態」に、
「電サポなし」は「非時短遊技状態」に、
「15R」で「出玉が1410個」の「大当り」は「前記大入賞口が複数の遊技球の入球が容易な態様で開放する第1の開放が行われる第1の特別遊技」に、
「15R(出玉は実質10R分)」で「出玉が940個」の「大当り」は「前記第2の開放と前記大入賞口が遊技球の入球が容易な態様で開放する複数回の第3の開放とからなり、当該遊技中に前記大入賞口の開放しうる時間が前記第1の特別遊技に比して短い第3の特別遊技」に、
「パチンコ機」は「遊技機」に、
それぞれ相当する。

引用文献1には、パチンコ機におけるゲームフローや種々の演出態様が記載されており、明記はされていないが、それらを実現するための「遊技の進行を制御する制御手段」を備えていることは明らかである。
上記(オ)には、アタッカーがパカパカと開閉することが記載されているから、「アタッカー」が本願発明の「大入賞口開閉装置によって開閉する開閉自在な大入賞口」に相当する。
引用文献1における「突然確変」を獲得した際の特別遊技は、アタッカーが高速でパカパカと開くだけであることは、「突然確変」との記載から明らかであり、その点は技術常識であるので、引用発明1は、「前記大入賞口が遊技球の入球が困難な態様で開放する第2の開放のみが複数回行われる第2の特別遊技」を備えているといえる。
引用発明1の「突然確変(電サポあり)」は、アタッカーがパカパカと開閉された後に、確変かつ電サポあり状態となることであるから、引用発明1は、「少なくとも前記第2の特別遊技終了後からは、新たに前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態で制御」することができる。
引用発明1の「突然確変(電サポあり)」又は「突然確変(電サポなし)」では、アタッカーが高速でパカパカと開閉された後に、確変状態となるのであって、それは通常状態に発生し得るのであるから、引用発明1は、「前記低確率遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記高確率遊技状態で制御する場合、当該特別遊技として、前記第2の特別遊技を実行」することができる。
引用発明1では、突然確変(電サポなし)に当選した状態で、15R通常(出玉は実質10R分)に当選した場合には(なお、通常状態に戻るのはこの大当りのみである)、実質10R分の出玉のボーナスを実行するため、引用発明1は、「前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記低確率遊技状態で制御する場合、当該特別遊技として前記第2の特別遊技を実行せず、前記第3の特別遊技を実行」している。

以上を総合すると、両者は、
「遊技の進行を制御する制御手段は、
遊技球の始動口への入球を契機に、大入賞口開閉装置によって開閉する開閉自在な大入賞口が入球可能な態様で開放する特別遊技を実行する権利獲得の成否を特別遊技抽選によって決定し、
前記特別遊技を実行する権利を獲得する確率が所定値に設定された低確率遊技状態、又は、前記特別遊技を実行する権利を獲得する確率が前記低確率遊技状態より高い高確率遊技状態で制御すると共に、これらの遊技状態とは別に非時短遊技状態、又は、前記非時短遊技状態より前記開閉自在な始動口への入球の難度が低下する時短遊技状態で制御し、
前記特別遊技終了後から新たに前記低確率遊技状態又は前記高確率遊技状態、且つ、前記非時短遊技状態又は前記時短遊技状態で制御しうる遊技機であって、
前記制御手段は、
前記特別遊技として、前記大入賞口が複数の遊技球の入球が容易な態様で開放する第1の開放が行われる第1の特別遊技、前記大入賞口が遊技球の入球が困難な態様で開放する第2の開放のみが複数回行われる第2の特別遊技、又は、前記第2の開放と前記大入賞口が遊技球の入球が容易な態様で開放する複数回の第3の開放とからなり、当該遊技中に前記大入賞口の開放しうる時間が前記第1の特別遊技に比して短い第3の特別遊技のいずれかを行い、
少なくとも前記第2の特別遊技終了後からは、新たに前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態で制御し得、
前記低確率遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記高確率遊技状態で制御する場合、当該特別遊技として、前記第2の特別遊技を実行し得、
前記高確率遊技状態且つ前記非時短遊技状態において前記特別遊技を実行する権利が獲得され、当該特別遊技後から新たに前記低確率遊技状態で制御する場合、当該特別遊技として前記第2の特別遊技を実行せず、前記第3の特別遊技を実行することを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
本願発明では、遊技球の入賞ゲートの通過を契機に、前記始動口を構成し、始動口開閉装置によって開閉する開閉自在な始動口が入球可能な態様で開放する補助遊技を実行する権利獲得の成否を補助遊技抽選によって決定しているのに対して、引用発明1では、電チューを備えているものの、そのように補助遊技を実行するかどうかを決定していない点。

5.判断
<相違点>について
遊技機の分野において、遊技球の入賞ゲートの通過を契機に、始動口を構成し、始動口開閉装置によって開閉する開閉自在な始動口が入球可能な態様で開放する補助遊技を実行する権利獲得の成否を補助遊技抽選によって決定することは、例えば、特開2007-151763号公報(特に、【0021】、【0022】を参照)、特開2006-204818号公報(特に、【0054】を参照)に記載されているように周知技術である。そして、電チューを開放する補助遊技の成否をどのように行うかは、当業者が遊技性等に応じて適宜決定し得る事項に過ぎないから、引用発明1における電チューを開放する補助遊技の成否の決定手段として、上記周知技術を付加して、本願発明の相違点に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用発明1及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、「時短遊技状態」については、「前記非時短遊技状態より前記開閉自在な始動口への入球の難度が低下する」としか請求項1では特定されていないため、引用発明1における「電サポあり」に相当し、その点は相違点とはならないものの、本願の明細書の段落【0057】、【0058】には、
「【0057】
本実施形態において「非時短遊技状態」というのは、入賞ゲート8を遊技球が通過したことを条件として行われる補助遊技抽選に対応する普通図柄の変動表示に要する時間が29秒と長く設定され、かつ、補助遊技抽選で当たりに当選したことを契機に行われる補助遊技における第2始動口10の開放の開放時間が0.2秒と短く設定された遊技状態をいう。よって、非時短遊技状態において遊技球を発射し続けると、遊技者が所持する遊技球の個数は減少する可能性が高い。なお、ここでいう「当たりに当選」とは、「補助遊技」を実行する権利を獲得することである。
【0058】
これに対して「時短遊技状態」というのは、上記普通図柄の変動表示に要する時間が3秒と、「非時短遊技状態」よりも短く設定され、かつ、補助遊技における第2始動口10の開放の開放時間が3.5秒と、「非時短遊技状態」よりも長く設定された遊技状態をいう。これは、時短遊技状態が非時短遊技状態に比して単位時間当たりの第2始動口10の開放(第2の態様)制御時間が長いことを意味する。本実施の形態では、第2始動口10が第2の態様になるということは、入球可能な始動口の数が増え、しかも、可動片10bが遊技球を第2始動口10へ導く態様で作動し、遊技球の第2始動口10への入球可能な範囲が拡大されるので、非時短遊技状態に比して遊技球の始動口への入球が容易になる。始動口への入球によって所定個数の賞球(本実施の形態において3個)が得られることから、時短遊技状態では、非時短遊技状態に比して遊技者が所持する遊技球の個数の減少を抑える(緩和する)ことができる。」
と記載されていることから、発明の詳細な説明を参酌すると「時短遊技状態」とは、普通図柄の変動表示に要する時間が「非時短遊技状態」より短縮され、補助遊技における始動口の開放時間を長く設定する状態のことであるものの、その点が発明特定事項に反映された場合においても、遊技機の技術分野において、特別遊技の種類として、非時短状態、前記非時短状態より開閉自在な始動口への入球の難度が低下し、普通図柄の変動表示に要する時間が非時短状態より短縮される時短状態を備え、特別遊技終了後に、高確率状態及び時短状態に移行させるもの、高確率状態又は時短状態のいずれか一方に移行させるもの、高確率状態及び時短状態のいずれにも移行させないものは、例えば、特開2007-151763号公報(特に、【0369】、【0376】を参照)、特開2006-204818号公報(特に、【0052】、【0116】、【0117】を参照)に記載されているように周知技術である点に留意されたい。
また、審判請求人は意見書において「引用発明1と引用発明2との組み合わせからなる発明によって、本願発明と同様に、低確率遊技状態→第2の特別遊技→高確率遊技状態且つ非時短遊技状態→第2の特別遊技→低確率遊技状態という大局的な流れを確実に防ぎつつ、低確率遊技状態→第2の特別遊技→高確率遊技状態且つ非時短遊技状態→第3の特別遊技→低確率遊技状態を創出させることができると考えられます。しかしながら、それは、本願発明のように制御手段が現在の遊技状態を判断して第2の特別遊技を回避しているのではなく、低確率遊技状態を伴う第2の特別遊技が設定されていないからであります。これにより、遊技利益の種類が制限、すなわち、遊技性が低下するという不具合が生じてしまいます。」と主張しているものの、その点は、発明特定事項に基づく相違点ではない。
しかしながら、仮に、その点が発明特定事項に基づく相違点となるように発明特定事項に反映された場合においても、いわゆる2R通常は、例えば、特開2008-183140号公報(特に、【0180】、【0181】を参照)、特開2007-202586号公報(特に、【0002】を参照)に記載されているように周知技術であって、どのような時に、どのような大当たりを発生させるかは、遊技機において、種々の状態の時に、種々の大当たりを発生させることが従来より周知であることから、当業者が遊技性等に応じて適宜決定し得る事項に過ぎない点にも留意されたい。

なお、審判請求人は意見書において「しかしながら、補正が不十分、又は不適切であるとご判断されるような場合には、適切な補正をする所存でございますので、拒絶理由を通知して下さいますようお願い申し上げます。」と主張しているが、すでに当審において二度、拒絶の理由を通知し、補正の機会を与えているため、補正の機会は与えないこととした。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-16 
結審通知日 2011-03-18 
審決日 2011-03-29 
出願番号 特願2009-4930(P2009-4930)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤脇 昌也土屋 保光  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 澤田 真治
川島 陵司
発明の名称 遊技機  
代理人 塩田 康弘  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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