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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1237438
審判番号 不服2010-17020  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-29 
確定日 2011-05-23 
事件の表示 特願2004-112355「制御装置及び表示制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月27日出願公開、特開2005-296064〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成16年4月6日の特許出願(2004年特許願第112355号。以下、「本件出願」という。)につき、平成22年4月30日付けで拒絶査定(発送日:同年5月7日)がなされたところ、これに対し、平成22年7月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成22年7月29日付けの手続補正についての補正却下の決定
1 補正却下の決定の結論
平成22年7月29日付けの手続補正を却下する。

2 補正却下の決定の理由
(1)平成22年7月29日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容
本件補正は、本件出願の明細書の特許請求の範囲の請求項1を以下のとおり補正することを含むものである。

ア 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(平成22年4月12日付け手続補正書によるもの)
「【請求項1】
被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置であって、
所定の領域毎に選択可能に表示される第1の選択欄と、選択された前記領域に包含される各部位が選択可能に表示される第2の選択欄とを有し、撮影する部位が選択可能に表示される撮影部位選択欄と、撮影して得られた複数の前記医用画像が表示される画像表示欄と、前記撮影して得られた医用画像に対して行う画像処理条件が調整可能に表示される画像処理条件調整欄とを一画面中に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする制御装置。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置であって、
人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域が選択可能に表示される第1の選択欄と、選択された前記領域に包含される各部位が選択可能に表示される第2の選択欄とを有する撮影部位選択欄と、撮影して得られた複数の前記医用画像が表示される画像表示欄と、前記撮影して得られた医用画像に対して行う画像処理条件が調整可能に表示される画像処理条件調整欄とを一画面中に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする制御装置。」
(なお、下線部は補正箇所を示す。)

(2) 本件補正の適否について
本件補正について、本件補正前の請求項1に係る発明の「所定の領域毎に選択可能に表示される第1の選択欄」を「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域が選択可能に表示される第1の選択欄」と補正することは、「所定の領域」をさらに「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域」と限定して特定するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
また、本件補正前の請求項1に係る発明の「撮影する部位が選択可能に表示される撮影部位選択欄」を「撮影部位選択欄」と補正することは、「選択可能に表示される」という表現が必要以上に重複するのを避けるために補正したものであり、明りょうでない記載の釈明にあたるものである。
そうすると、本件補正は減縮する補正を含む補正であり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前(以下、単に「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3) 独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(ア)引用刊行物記載の発明
(3A)原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願前に頒布された特開2000-139889号公報(以下、「引用刊行物A」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与したものである。以下、同様である。)
(3A-1)「【請求項1】 被写体像を撮影する撮像手段と、撮影を指示する指示手段とを備え、上記撮像手段を駆動状態にして撮影を行う画像収集装置であって、
撮影のために必要な情報を入力する情報入力手段と、
上記情報入力手段に所定の情報が入力されたことに応じて、上記撮像手段を駆動状態にする制御手段とを備えたことを特徴とする画像収集装置。」

(3A-2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体撮像素子を駆動状態にして撮影を行う画像収集装置、X線画像収集装置、方法、及びそれらに用いられるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関するものである。」

(3A-3)「【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。本実施の形態はX線画像デジタル撮影装置に関するものである。図1は、本発明によるX線画像収集装置の構成を示す。操作者は、被写体1を固体撮像素子2とX線管球3との間に配置する。次に、操作者は撮影する部位を設定するため、ディスプレイ部4に表示された部位設定ボタンを押す。この操作により、画像読取装置100内の画像読取制御部5は、固体撮像素子駆動制御信号により固体撮像素子2に電圧を加え、固体撮像素子2に画像入力がいつあってもよいように準備すると共に、内部のタイマ6をスタートさせる。
【0015】次に、曝射ボタン7を押すと、曝射信号Aが画像読取制御部5に一度入力される。これを受けて画像読取制御部5は、固体撮像素子2がX線を受けると画像化できる状態となっているかを、固体撮像素子2からの駆動通知信号の状態で確認した後、曝射許可信号を発生する。これにより、曝射許可スイッチ8がオンになり、曝射信号Aが曝射信号BとしてX線発生装置制御部9に加えられる。X線発生装置制御部9は、X線曝射の準備が整い次第、曝射信号Cを発生し、これによりX線管球3よりX線が発生する。尚、上記曝射信号Aは、セカンドスイッチと呼ばれるスイッチを用いるものである。
【0016】被写体1を透過したX線の透過線は、グリッド10及びシンチレータ11を介して固体撮像素子2に画像として入力される。この画像を読み出してA/D変換器12によりデジタル化して、画像読取制御部5に転送する。
【0017】画像読取制御部5は、CPU13により管理されている。CPU13には、RAM14、ROM15、LAN/IF16、DISK/IF17、不揮発性記憶装置18、ユーザIF部19等とバス20を介して接続されている。ユーザIF部19には、ディスプレイ部4、キーボード及びマウス21が接続されてユーザとのインターフェースを行っている。不揮発性記憶装置18としては、例えばハードディスクが用いられる。画像読取制御部5に入力した上記画像は一旦RAM14上に配置され、CPU13により様々な処理が行われる。
【0018】図2に、ディスプレイ部4の表示の様子を示す。操作者は、撮影を行う際に、これから撮影を行おうとする部位を部位設定ボタン41によって選択する。部位設定ボタン41は、撮影を開始する前は非選択状態となっていおり、操作者が押すことにより選択状態となる。また、選択した部位設定ボタン41が間違っていた場合は、それとは異なる部位設定ボタン41を押すことで、再選択が可能となっている。」

(3A-4)「【0022】曝射許可スイッチ8がオンになった後、ユーザ1F部19を通じ、ディスプレイ部4を介して曝射可能となったことを操作者に通知する。例えばディスプレイ部4内部の背景色が青から緑へ変更されることにより、上記通知が行われる。
【0023】次にタイマ6の動作について説明する。タイマ6は、ユーザが部位設定ボタン41を押すたびに、0からカウント開始され、一定時間、例えば10分を経過すると、画像読取制御部5に通知する。これによって画像読取制御部5は、固体撮像素子2の駆動状態を解除すると共に、曝射許可信号を解除して曝射許可スイッチ8を開放し、さらにCPU13に対してX線発生装置が撮影できなくなったことを通知する。
【0024】CPU13は、X線発生装置が撮影できなくなったことを通知されると、操作者によって選択された部位設定ボタン41の選択状態を非選択状態にして、さらに曝射不可能になったことをディスプレイ部4を介して操作者に知らせる。例えば上記とは逆に、ディスプレイ部4内部の背景色を緑から青へ戻す。」

(3A-5)「【0039】また、操作者は、図2の「S+」、「S-」ボタンをマウスでクリックすることにより、画像強調パラメータを変更することが可能である。但し、操作者が決定した画像処理パラメータは、生画像処理用パラメータとしてはその2倍の値を利用することになる。」

(3A-6)「【0043】また、本実施の形態では、図2に示すように、既に撮影した画像は、その縮小画像としてオーバービュー画面に配列され、オーバービュー画面をマウスで選択することで、既に撮影された画像を再び画像として表示することが可能である。これは、選択したオーバービュー画像に関連付けらた不揮発性記憶装置18に既に格納した生画像を再びRAM14上に再配置して、その後は、既に説明したように、通常の撮影と同じ動作を操作処理タスクを行うことにより達成される。」

(3A-7)図2には、明、暗、C+、C-、S+、及びS-の各ボタンを有する画像処理変更指示ボタン類をディスプレイ部4に表示することが描かれている。
また、部位設定ボタン41には、胸部PA、頭部PAのように名称で選択して撮影する部位が描かれている。

上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-1)?(3A-7)の記載を参照すると、上記引用刊行物Aには、
「 被写体像を撮影する撮像手段と、撮影を指示する指示手段とを備え、上記撮像手段を駆動状態にして撮影を行う画像収集装置であって、
被写体1を透過したX線の透過線を画像として入力される固体撮像素子2と、この画像を読み出して転送する画像読取制御部5と、
これから撮影を行おうとする部位を選択する部位設定ボタン41と、
撮影した画像の縮小画像を配列するオーバービュー画面と、
明、暗、C+、C-、S+、及びS-の各ボタンを有する画像処理変更指示ボタン類と、
を表示するディスプレイ部4と、
画像に様々な処理を行うCPU13とを備えた画像収集装置。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

(3B)原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願前に頒布された特開2001-149358号公報(以下、「引用刊行物B」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3B-1)「【0001】本発明は、X線画像撮影システムに関する。」

(3B-2)「【0002】
【従来の技術】近年、病院で発生する患者のX線画像情報をデジタル化して保存・電送することにより、診断の効率化・迅速化を図ろうとする気運が高まりつつある。このため、直接撮影の分野においても、このまでのスクリーン/フィルム系に代わり、デジタルデータを出力するX線画像撮影装置が多く用いられるようになってきた。
【0003】デジタルデータを出力するX線画像撮影装置は、X線の検出手段の種別により、固体平面検出器を利用したX線画像撮影装置と、輝尽性蛍光体を利用したX線画像撮影装置に分類することができる。
【0004】固体平面検出器を利用したX線画像撮影装置は、通称フラットパネルディテクタ(FPD)と呼ばれる固体撮像素子を2次元的に配置した固体平面検出器が代表的である。FPDには、検出手段に、a-SeのようなX線エネルギーによって電子と正孔の電荷が発生する光導電物質を用いることで、X線エネルギーを直接電荷に変換し、この電荷を微細な面積単位で2次元的に配置されたTFT等の読み出し素子(読み出し手段)によって電気信号として読み出す直接方式FPDがある。
【0005】また、X線エネルギーをシンチレータ等で光に変換し、この変換された光を微細な面積単位で2次元的に配置されたa-Siのような光電変換素子で電荷に変換し、この電荷を光電変換素子と同じ微細面積単位で2次元的に配置されたTFT等の読み出し素子(読み出し手段)によって電気信号として読み出す間接方式FPDも良く知られている。
【0006】また、本発明では、X線エネルギーをシンチレータ等で光に変換し、この変換された光をレンズや光ファイバー等の集光体を介して、同一平面上に格子状に多数配されたCCDやCMOSセンサーで受光し、CCDやCMOSセンサーの内部で、光電変換、電子・電圧変換を経由して、電気信号として読み出す画像分割型FPDも固体平面検出器の一つとして定義する。
【0007】一方、輝尽性蛍光体を利用したX線画像撮影装置は、通称コンピューテッドラジオグラフィー(CR)と呼ばれる。この装置では、被写体を透過したX線エネルギーの一部が輝尽性蛍光体と呼ばれるシート状の検出手段で検出されると同時に、輝尽性蛍光体の内部に、検出されたエネルギーを一旦蓄積する。輝尽性蛍光体中に蓄積されたエネルギーは、所定の波長のレーザ光で励起することにより輝尽光として取り出すことができる。この輝尽光をフォトマルチプライヤー等の光電変換素子を用いて電気信号として取り出すことができる。
【0008】一般に、デジタルX線画像撮影装置は、図1、図2、図3に示すように、X線画像出力装置1と、制御装置2と、X線発生制御装置3と、X線管4を主要コンポーネントとするX線画像撮影システムを形成する。
【0009】このようなX線画像撮影システムは、大きく分けて、専用タイプのX線画像撮影システムとカセッテ対応タイプのX線画像撮影システムに分類される。
【0010】専用タイプのX線画像撮影システムでは、X線を検出する検出手段(ディテクタ部)が撮影装置の内部に固定もしくは内蔵されているため、検出手段を使用者が簡単に持ち運ぶことができない。検出手段として固体平面検出器、輝尽性蛍光体の何れも使用することが可能である。
【0011】一方、カセッテ対応タイプのX線画像撮影システムでは、X線検出手段が、カセッテと呼ばれる持ち運び可能な薄型箱状の筐体内に納められており、使用者がX線検出手段を、カセッテと共に容易に持ち運ぶことができる。検出手段として固体平面検出器、輝尽性蛍光体の何れも使用することが可能である。
・・・
【0015】図3はX線検出手段に輝尽性蛍光体を使用したカセッテ対応タイプのX線画像撮影システムを示した図である。輝尽性蛍光体を使用したカセッテ対応タイプのX線画像撮影システムは、X線5を検出する検出手段100すなわち輝尽性蛍光体プレートを内蔵した持ち運び可能なカセッテ6と、輝尽性蛍光体内に蓄積されたX線画像情報を読み取るX線画像出力装置1によって特徴づけられる。本発明では、このようなカセッテ対応タイプのX線画像撮影システムで使用されるX線画像出力装置1の種類をカセッテ対応型(カセッテ対応タイプ)のX線画像出力装置と定義する。」

(3B-3)「【0104】
【発明の実施の形態】以下、本発明のX線画像撮影システムの実施の形態を説明する。まず、本発明であるX線画像撮影システムの最小単位を成す個別システムの動作について、図1、図2、図3を用いて説明する。
【0105】まず、専用タイプのX線画像撮影システムについて、図1、図2を用いて説明する。図1に示す立位型のX線画像撮影システムも、図2に示す臥位型のX線画像撮影システムも、同様の動作となるため、一度に説明を行う。
【0106】X線発生制御装置3を操作して、X線管4からX線5が被写体50に向けて照射されると、被写体50を透過したX線が、検出手段100によって検出される。照射されたX線5の一部は被写体50によって吸収されるため、検出手段100で検出されるX線は、被写体50のX吸収分布を反映したX線画像情報と見なすことができる。
【0107】検出手段100によって検出されたX線画像情報は、制御装置2の指示を受けて、読み出し手段110によって電気信号として読み出され、AD変換手段120によって、デジタル化される。以後、デジタル化されたX線画像情報を画像データと呼ぶことにする。AD変換手段120によって生成された画像データは、通信手段130と通信ケーブル10を介して制御装置2に転送される。
【0108】このようなX線画像出力装置1の一連の主要動作は、通信ケーブル10を介して制御装置2によって制御される。制御装置2は、X線5の発生を制御するX線発生制御装置3と通信ケーブル30を介して接続されている。
【0109】X線5の発生タイミングは、通信ケーブル30を介してX線発生制御装置3から制御装置2へ通知される。制御装置2は、通知されたX線発生タイミングに同期してX線画像出力装置1へ画像データの読み出しを指示する。
【0110】次に、カセッテ対応タイプのX線画像撮影システムについて図3を用いて説明する。この例の場合、検出手段100は輝尽性蛍光体プレートである。
【0111】カセッテ6を被写体50の関心部分(X線撮影を行いたい部分)にあてがい、X線発生制御装置3を操作してX線管4よりX線5を照射する。被写体50を透過したX線エネルギーは、カセッテ6に内蔵してある検出手段100で検出された後、検出手段100である輝尽性蛍光体プレートの内部に一端蓄積・保持される。
【0112】X線撮影終了後、カセッテ6を、読み出し手段110を有するX線画像出力装置1に挿入すると、X線画像出力装置1がカセッテ6より検出手段100を引き出し、搬送手段90で検出手段100すなわち輝尽性蛍光体プレートをAの方向に副走査搬送しながら、検出手段100に蓄積・保持されたX線画像情報を読み出し手段110により読み出す。
【0113】読み出し手段110は、レーザー走査手段111、集光手段112、光電変換手段113によって構成されている。検出手段100が搬送手段90によって副走査搬送されている間、レーザー走査手段111が、副走査方向と直行する方向(主走査方向)にレーザー光114を走査する。
【0114】検出手段100である輝尽性蛍光体プレートにレーザー光が作用すると、蛍光体内部に蓄積されていたエネルギーが輝尽光115として発生する。輝尽光として放出されるエネルギーは、検出手段100で検出されたX線エネルギー量に比例したエネルギー量を有している。この輝尽光115を集光手段112で集光し、集光した輝尽光115をフォトマルチプライアー等の光線変換手段113によって電気信号として取り出す。
【0115】読み出し手段110によって電気信号として読み出された輝尽光115は、AD変換手段120によってデジタル化され、画像データを生成する。AD変換手段120によって生成された画像データは、通信手段130によって、通信ケーブル10を介して制御装置2に転送される。
【0116】このようなX線画像出力装置1の一連の主要動作は、通信ケーブル10を介して制御装置2によって制御される。」

(3B-4)「【0118】図4は、本発明の一部である制御装置2をさらに詳しく説明する図である。制御装置2は、患者情報入力手段210、表示手段220、条件入力手段221、制御ユニット230によって構成されている。」

(3B-5)「【0125】表示手段220は、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイなど、文字情報や画像情報を表示できる手段であって、患者情報、撮影感度情報、撮影装置の種類、撮影部位、撮影方向、X線発生制御装置3から取得したX線撮影条件、画像データを取得したX線画像出力装置を特定する情報、画像データの解像度もしくはサンプリングピッチ、画像データの画素数、画像データの1画素当たりのビット数、画像処理の種類、画像処理パラメータ、補正処理の内容等の情報(以後、これらの情報をまとめて画像データ付属情報と呼ぶ)、及び撮影された画像データの映像などを表示する。表示内容は、表示制御手段233により制御されている。使用者は、表示手段220に表示された情報によって、患者氏名や撮影部位などを撮影前に確認することができる。また、撮影後に表示手段220に表示される画像データの映像を見ることによって、撮影の善し悪しを確認することができる。
【0126】条件入力手段221は、図4の場合、タッチパネルを想定しているが、その他の手段、たとえばキーボードや、マウス、トラックボール、音声入力装置等であっても良い。 表示手段220上に表示された画像データ付属情報の中から、使用者が必要とする条件・情報を条件入力手段221を介して選択すると、選択された条件・情報が入力制御手段234を介して制御ユニット230内部に取り込まれ、登録される。また、既に入力された条件・情報を、条件入力手段221を操作して変更したり削除したりすることが可能である。
【0127】たとえば、撮影部位のリストを表示手段220上に複数のアイコンとして表示させておき、使用者が、アイコンの中の1つを指でタッチ(選択)すると、タッチ(選択)されたアイコンに対応する撮影部位が、記憶手段237内に、画像データ付属情報として記憶(登録)される。」

(3B-6)「【0197】また、図7には図示していないが、図5、図6と同様に、制御装置2とX線発生制御装置3との間に通信ケーブル30を配し、制御装置2とX線発生制御装置3が通信できるようにしておいても良い。こうしておけば、制御装置2が、線発生制御装置3から、X線照射時間、X線管を流れる電流値、X線管の管電圧などのX線撮影条件を取得することができ、制御装置2内の記憶手段238に、取得したX線撮影条件を画像データ付属情報の一部として画像データと対応付けて記憶しておくことができる。」

(3B-7)「【0222】次に、図11、図12を用いて、本発明であるX線画像撮影システムの別の一実施の形態ついて説明する。 図11は、制御装置2の表示手段220に表示される制御画面1の一例である。表示手段220には条件入力手段221であるタッチパネルが装着されているので、表示された画面をタッチすることで、条件等を入力したり指定したり選択したりすることができるようになっている。
【0223】なお、本例では、条件入力手段221にタッチパネルを使用した例で説明を行うが、本発明は、条件入力手段221をタッチパネルに限定するものではない。その他の手段、たとえばキーボードや、マウス、トラックボール、音声入力装置等であっても良い。
【0224】画面Aは、制御装置2に接続されているX線画像出力装置1を選択したり、選択されたX線画像出力装置1を表示するための画面である。アイコン(a1)?(a4)には、制御装置2に接続されている複数のX線画像出力装置1の名称もしくは略画が表示されており、何れか1つのアイコンをタッチすることにより、使用するX線画像出力装置1を選択することができる。」

(3B-8)「【0240】図12は、制御装置2の表示手段220に表示される制御画面2の一例である。
【0241】画面Fのアイコン(f1)?(f9)には、撮影部位の大分類が表示されている。大分類とは、例えば、「頭部」、「胸部」、「腹部」、「上肢」、「下肢」、「脊椎」、「骨盤」というような人体の主要構成部分に基づいたおおまかな分類である。使用者は、撮影を行う部位をアイコン(f1)?(f9)の中から選択してタッチすることで、撮影を行いたい部位の大分類を制御装置2に通知する。
【0242】 本発明では、画面Aに登録されているX線画像撮影装置に応じて、画面Fに表示される大分類の部位名が制御される様になっている。
【0243】例えば、画面Aに、立位型、臥位型、カセッテ対応型の3つのX線画像撮影装置が登録されていた場合、すなわち、制御装置2に立位型、臥位型、カセッテ対応型の3つのX線画像撮影装置が接続されていた場合、立位型に対応する画面Fの大分類には、例えば「胸部」「腹部」「腰椎」「上肢」、「下肢」の5項目が登録されている。また、臥位型に対応する画面Fの大分類には、例えば「頭部」、「胸部」、「腹部」、「脊椎」、「骨盤」、「上肢」、「下肢」、「軟部他」の8項目が登録されている。また、カセッテ対応型に対応する画面Fの大分類には、例えば「頭部」、「胸部」、「腹部」、「脊椎」、「骨盤」、「上肢」、「下肢」、「軟部他」、「新生児」の9項目が登録されている。
【0244】使用者が画面Aで立位型のアイコンを選択すると、画面Fには、上記「胸部」「腹部」「腰椎」「上肢」、「下肢」の5項目が、画面Aで臥位型のアイコンを選択すると、画面Fには、「頭部」、「胸部」、「腹部」、「脊椎」、「骨盤」、「上肢」、「下肢」、「軟部他」の8項目が、画面Aでカセッテ対応型のアイコンを選択すると、画面Fには、「頭部」、「胸部」、「腹部」、「脊椎」、「骨盤」、「上肢」、「下肢」、「軟部他」、「新生児」の9項目が、画面Fの(f1)?(fg)の内の何れかに選択枝として表示される。
【0245】このように、本発明では、選択されたX線画像撮影装置に対して、予め登録されている大分類が表示され、余分な大分類(選択されたX線画像撮影装置では使用しない大分類)が表示されないように制御されているため、使用者が大分類を選択する際に、混乱することなく、短時間に目的とする大分類を選択することができるようになっている。
【0246】X線画像撮影装置と大分類が決定すると、画面Gの(g1)?(g4)には、決定されたX線画像撮影装置と大分類に対応した撮影部位の小分類が選択枝として表示される。撮影部位の小分類とは、大分類で示された部位をさらに細かな部位に分類したもので、例えば大分類が「上肢」の場合は、「肩関節」、「肩甲骨」、「肩鎖間接」、「上腕骨」、「肘関節」、「前腕骨」、「手関節」、「手根骨」、「手指骨」などが小分類に当たる。画面Hの(h11)?(h14)には、小分類(g1)に対応した撮影方向が、(h21)?(h24)には、小分類(g2)に対応した撮影方向が、(h31)?(h34)には、小分類(g3)に対応した撮影方向が、(h41)?(h44)には、小分類(g4)に対応した撮影方向が選択枝として表示される。
・・・
【0252】
選択された小分類と撮影方向は、順次、画面Kの(k1)?(k8)に表示される。例えば、
1)大分類=「胸部」、小分類=「肋骨上部」、撮影方向=「後前方向撮影(PA:Posteroanterior Projection)」、
2)大分類=「脊椎」、小分類=「胸椎」、撮影方向=「前後方向撮影(AP:Anteroposterrior Projection)」、
3)大分類=「上肢」、小分類=「上腕骨」、撮影方向=「測方向撮影(LAT:Lateral rediograpyh)」の順に登録が行われたとすると、(k1)画面には、「肋骨上部PA」、(k2)画面には「胸椎AP」、(k3)画面には「上腕骨LAT」と表示される。小分類が表示されれば、大分類はあえて表示しなくとも分かるので、本発明では、小分類と撮影方向だけを表示するようにしたが、その他の情報を表示しても一向にさしつかえない。」

(3B-9)「【0260】
【発明の効果】
・・・
【0262】また、撮影部位や撮影方向等の選択や過去画像の参照に関わる煩雑な操作を解消すると共に、使用者の操作ミスを防止、回復可能なX線画像撮影システムを構築できるので、作業効率が良く、信頼性の高いシステムを提供することができる。」

(イ)本願補正発明と引用発明との対比・判断
(イ-1)本願補正発明と引用発明とを対比する。
(i)引用発明の「固体撮像素子2」は、被写体1を透過したX線の透過線を画像として入力されるものであり、さらに、「画像読取制御部5」は、固体撮像素子2からの画像を転送することから、引用発明の「固体撮像素子2」及び「画像読取制御部5」が本願補正発明の「医用画像生成装置」に相当する。
また、引用発明の「画像収集装置」は、被写体像を撮影する撮像手段と、撮影を指示する指示手段とを備え、上記撮像手段を駆動状態にして撮影を行う装置であり、さらに、「固体撮像素子2」及び「画像読取制御部5」を備えていることから、引用発明の「画像収集装置」と本願補正発明の「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置」とは、「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置と関連する制御装置」である点で共通する。

(ii)引用発明の「これから撮影を行おうとする部位を選択する部位設定ボタン41」と、本願補正発明の「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域が選択可能に表示される第1の選択欄と、選択された前記領域に包含される各部位が選択可能に表示される第2の選択欄とを有する撮影部位選択欄」とは、「人体の撮影部位選択欄」である点で共通する。

(iii)引用発明の「撮影した画像の縮小画像を配列するオーバービュー画面」は、その機能・構成からみて、本願補正発明「撮影して得られた複数の前記医用画像が表示される画像表示欄」に相当する。

(iv)上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-5)に、「【0039】また、操作者は、図2の「S+」、「S-」ボタンをマウスでクリックすることにより、画像強調パラメータを変更することが可能である。」と記載されていることから、引用発明の「明、暗、C+、C-、S+、及びS-の各ボタンを有する画像処理変更指示ボタン類」は、撮像された画像の処理条件を調整するボタン類であることは明らかである。そうすると、引用発明の「ディスプレイ部」に表示される「明、暗、C+、C-、S+、及びS-の各ボタンを有する画像処理変更指示ボタン類」は本願補正発明の「前記撮影して得られた医用画像に対して行う画像処理条件が調整可能に表示される画像処理条件調整欄」に相当する。

(v)上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-4)に「【0024】CPU13は、X線発生装置が撮影できなくなったことを通知されると、操作者によって選択された部位設定ボタン41の選択状態を非選択状態にして、さらに曝射不可能になったことをディスプレイ部4を介して操作者に知らせる。例えば上記とは逆に、ディスプレイ部4内部の背景色を緑から青へ戻す。」と記載されていることから、引用発明の「画像に様々な処理を行うCPU13」は、これから撮影を行おうとする部位を選択する部位設定ボタン41と、撮影した画像の縮小画像を配列するオーバービュー画面と、明、暗、C+、C-、S+、及びS-の各ボタンを有する画像処理変更指示ボタン類をディスプレイ部4の一画面中に表示するように制御するものであるから、本願補正発明の「一画面中に表示させる表示制御手段」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、
「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置と関連する制御装置であって、
人体の撮影部位選択欄と、撮影して得られた複数の前記医用画像が表示される画像表示欄と、前記撮影して得られた医用画像に対して行う画像処理条件が調整可能に表示される画像処理条件調整欄とを一画面中に表示させる表示制御手段を備えた制御装置。」
である点で一致し、次の相違点(あ)及び相違点(い)で相違する。

・相違点(あ)
被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置と関連する制御装置が、本願補正発明では「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置」であるのに対して、引用発明では画像収集装置が、画像を生成する固体撮像素子2と画像読取制御部5とを備えている点。

・相違点(い)
人体の撮影部位選択欄が、本願補正発明では「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域が選択可能に表示される第1の選択欄と、選択された前記領域に包含される各部位が選択可能に表示される第2の選択欄とを有する撮影部位選択欄」であるのに対して、引用発明では、これから撮影を行おうとする部位を選択する部位設定ボタン41である点。

(イ-2)当審の判断
そこで、上記相違点(あ)及び相違点(い)について判断する。
・相違点(あ)について
(あ-1)本件出願の明細書の段落【0034】に「なお、以下の説明においては、カセッテタイプの放射線画像診断システム1に本発明を適用する例について記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、他の放射線画像変換媒体を使用するシステムや放射線画像変換媒体を使用しない立位/臥位専用タイプのシステム、FPD等の放射線ディテクタを用いて放射線画像をデジタル信号として直接取り出すシステム等の医用画像の表示を行う任意の装置に適用することができる。また、本実施例において、リーダー2とコントローラー3とは分離された形態としているが、これらが一体となって制御装置を構成する形態とすることもできる。」と記載されていることから、本願補正発明の「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置」においては、医用画像生成装置と制御装置とが一体となっている制御装置も含むものと認められる。
そうすると、引用発明の「固体撮像素子2と画像読取制御部5」を備える「画像収集装置」は、「固体撮像素子2と画像読取制御部5」と一体となって「画像収集装置」を構成するから、「固体撮像素子2と画像読取制御部5」とともに使用される「画像収集装置」であり、本願補正発明の「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置」と実質的な差異がないことになる。
(あ-2)また、本願補正発明の「医用画像生成装置」が、仮に、本件出願の特許請求の範囲の請求項5に「前記医用画像生成装置が、被写体を撮影して、放射線画像を記録する記録媒体と、当該記録媒体から医用画像を読み取る読み取り装置とから構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の制御装置。」と記載されているように、「制御装置」と分離されて、「制御装置」が「医用画像生成装置とともに使用される制御装置」となる場合についても一応検討しておく。
被写体像を撮影するX線画像撮影システムにおいて、上記引用刊行物Bの摘記事項(3B-3)及び(3B-4)に、それぞれ「【0107】検出手段100によって検出されたX線画像情報は、制御装置2の指示を受けて、読み出し手段110によって電気信号として読み出され、AD変換手段120によって、デジタル化される。以後、デジタル化されたX線画像情報を画像データと呼ぶことにする。AD変換手段120によって生成された画像データは、通信手段130と通信ケーブル10を介して制御装置2に転送される。【0108】このようなX線画像出力装置1の一連の主要動作は、通信ケーブル10を介して制御装置2によって制御される。制御装置2は、X線5の発生を制御するX線発生制御装置3と通信ケーブル30を介して接続されている。【0109】X線5の発生タイミングは、通信ケーブル30を介してX線発生制御装置3から制御装置2へ通知される。制御装置2は、通知されたX線発生タイミングに同期してX線画像出力装置1へ画像データの読み出しを指示する。」、及び「【0118】図4は、本発明の一部である制御装置2をさらに詳しく説明する図である。制御装置2は、患者情報入力手段210、表示手段220、条件入力手段221、制御ユニット230によって構成されている。」と記載されているように、医用画像生成装置と、表示手段を制御する制御装置とを分離することは周知(他に、例えば特開2001-276032号公報の段落【0043】、【0044】)である。
さらに、被写体像を撮影するX線画像撮影システムにおいて、上記引用刊行物Bの摘記事項(3B-3)及び(3B-4)に、それぞれ「【0110】次に、カセッテ対応タイプのX線画像撮影システムについて図3を用いて説明する。・・・【0111】カセッテ6を被写体50の関心部分(X線撮影を行いたい部分)にあてがい、X線発生制御装置3を操作してX線管4よりX線5を照射する。被写体50を透過したX線エネルギーは、カセッテ6に内蔵してある検出手段100で検出された後、検出手段100である輝尽性蛍光体プレートの内部に一端蓄積・保持される。【0112】X線撮影終了後、カセッテ6を、読み出し手段110を有するX線画像出力装置1に挿入すると、X線画像出力装置1がカセッテ6より検出手段100を引き出し、搬送手段90で検出手段100すなわち輝尽性蛍光体プレートをAの方向に副走査搬送しながら、検出手段100に蓄積・保持されたX線画像情報を読み出し手段110により読み出す。」、及び「【0118】図4は、本発明の一部である制御装置2をさらに詳しく説明する図である。制御装置2は、患者情報入力手段210、表示手段220、条件入力手段221、制御ユニット230によって構成されている。」と記載されているように、カセッテタイプの放射線画像を記録する記録媒体と、当該記録媒体から医用画像を読み取る読み取り装置からなる医用画像生成装置と、表示手段を制御する制御装置とを分離することは、周知(他に、本件出願明細書の段落【0004】に記載されている特開昭55-12144号公報の3頁左上欄11行?右上欄6行、第1図の記載、特開2002-158820号公報の段落【0003】の記載、特開2002-159476号公報の段落【0005】、【0006】の記載参照。)である。
そして、引用発明も上記周知のものも、ともに、被写体像を撮影する撮像手段と、撮影を指示する指示手段とを備え、上記撮像手段を駆動状態にして撮影を行う画像収集装置である点で共通することから、引用発明において、上記周知例の構成を採用し、固体撮像素子2及び画像読取制御部5と、画像に様々な処理を行うCPU13とを分離して、本願補正発明のごとく、被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置と関連する制御装置が、「被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置」であるように構成することは当業者が容易になし得るものである。

・相違点(い)について
(い-1)上記引用刊行物Bには、被写体像を撮影するX線画像撮影システムにおいて、人体の撮影を行う部位を選択する際に、例えば、「胸部」「腹部」「腰椎」「上肢」、「下肢」などの人体の主要構成部分が名称で選択可能に表示される撮影部位の大分類と、例えば、大分類が「上肢」の場合は、「肩関節」、「肩甲骨」、「肩鎖間接」、「上腕骨」、「肘関節」、「前腕骨」、「手関節」、「手根骨」、「手指骨」などの、大分類で選択された大分類の撮影部位に対応する撮影部位の小分類とを同一の表示手段に同時に名称で表示することが記載(上記摘記事項の(3B-3)及び(3B-8)参照)されており、引用発明の画像収集装置も上記引用刊行物Bに記載された発明のX線画像撮影システムともに、被写体像を撮影する撮像手段と、撮影を指示する指示手段とを備え、上記撮像手段を駆動状態にして撮影を行う画像収集装置であるおいて、これから撮影を行おうとする部位を表示された表示画面から選択する点で共通することから、引用発明において、これから撮影を行おうとする部位を選択する部位設定ボタン41の代わりに、上記引用刊行物Bに記載された発明の構成を採用して、例えば、「胸部」、「腹部」、「腰椎」、「上肢」、「下肢」などの人体の主要構成部分が名称で選択可能に表示される撮影部位の大分類と、例えば、大分類が「上肢」の場合は、「肩関節」、「肩甲骨」、「肩鎖間接」、「上腕骨」、「肘関節」、「前腕骨」、「手関節」、「手根骨」、「手指骨」などの、大分類で選択された大分類の撮影部位に対応する撮影部位の小分類を同一の表示手段に同時に名称で表示して、人体の主要構成部分が名称で選択可能に表示される撮影部位の大分類を選択した後、大分類で選択された大分類の撮影部位に対応する撮影部位の小分類を選択することにより、これから撮影を行おうとする部位を選択することは当業者が容易になし得るものである。
(い-2)そして、被写体像を撮影する撮像手段と、撮影を指示する指示手段とを備え、上記撮像手段を駆動状態にして撮影を行う画像収集装置において、人体の撮影を行う部位を選択する際、頭部、胸部、腹部、腰部、足部などの人体の主要構成部分を、名称で選択することも、人体モデルの略画を用いて選択することもともに周知(例えば、前者について、上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-7)、引用刊行物Bの摘記事項(3B-8)参照、後者について、特開平2-261431号公報の第2図、特開2002-102217号公報の図4、特開平10-337283号公報の図2の各記載参照)であり、さらに、上記引用刊行物Bの摘記事項(3B-7)に、「0224】画面Aは、制御装置2に接続されているX線画像出力装置1を選択したり、選択されたX線画像出力装置1を表示するための画面である。アイコン(a1)?(a4)には、制御装置2に接続されている複数のX線画像出力装置1の名称もしくは略画が表示されており、何れか1つのアイコンをタッチすることにより、使用するX線画像出力装置1を選択することができる。」と記載されているように、選択するための表示を名称で表示するか、略画として表示するかは、当業者が適宜採用し得る選択的事項にすぎないことから、上記(い-1)で検討したように、引用発明において、これから撮影を行おうとする部位を選択する部位設定ボタン41の代わりに、上記引用刊行物に記載された発明の構成を採用して、例えば、「胸部」「腹部」「腰椎」「上肢」、「下肢」などの人体の主要構成部分が選択可能に表示される撮影部位の大分類を選択する際に、人体の主要構成部分を表示する手段として、ともに周知の表示手段のうちの1つである、人体モデルの略図を選択して、本願補正発明のごとく、人体の撮影部位選択欄が、「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域が選択可能に表示される第1の選択欄と、選択された前記領域に包含される各部位が選択可能に表示される第2の選択欄とを有する撮影部位選択欄」であるように構成することは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項にすぎないものである。

そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用刊行物Bに記載された発明及び周知の技術事項から予測される範囲内のものであって、格別のものではない。

なお、請求人は当審の審尋に対する回答書において、
「しかしながら、いずれの引用文献も小規模施設で用いられるシステムにおいて留意すべき事項(すなわち、RIS/HISの上位システムから一義的に指定された部位の撮影をおこなうのでは無く、医師個人の判断により人体各部に及ぶ多数の部位の中から撮影する部位を選択する必要があり、且つ、日常的に多数の撮影を行う専門技師では無く、操作に不慣れな医師であっても、所望の部位を短時間に、且つ、間違いなく選択でき、更に、診断に適応する画像処理を容易に、且つ、短時間に施すことが可能となるように、操作中の画面遷移を無くすべく1画面内に収めること)に関する記載は無く、(1)?(3)のそれぞれに類似する構成が、関連なく独立して記載されているに過ぎません。そのため、小規模施設で用いられるシステムにおける上記の課題を解決するためにこれらの引用文献に記載の構成を組み合わせようとする動機付けになる記載はありません。更に、上記(1)?(3)の3つの構成を全て備えることによって、人体各部に及ぶ撮影部位を小さい表示スペースの中に選択可能に、且つ間違いなく選択できるように表示して、操作中の画面の遷移を極力少なくすることができるという顕著な効果が得られることを示唆するような記載は一切ありません。」旨の主張をしている。
しかしながら、本願補正発明には、小規模施設で用いられるシステムにおいて留意すべき事項を特定する構成が記載されていない(小規模施設で用いられるシステムがカセッテタイプの放射線画像診断システムを意味するとしても、本願補正発明にはその構成が記載されていないし、上記「相違点(あ)について」で検討したように、「なお、以下の説明においては、カセッテタイプの放射線画像診断システム1に本発明を適用する例について記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、他の放射線画像変換媒体を使用するシステムや放射線画像変換媒体を使用しない立位/臥位専用タイプのシステム、FPD等の放射線ディテクタを用いて放射線画像をデジタル信号として直接取り出すシステム等の医用画像の表示を行う任意の装置に適用することができる。また、本実施例において、本願補正発明がリーダー2とコントローラー3とは分離された形態としているが、これらが一体となって制御装置を構成する形態とすることもできる。」と記載されていることから、本願補正発明がカセッテタイプの放射線画像診断システムに限定されないのは明らかである。)から請求人の主張は採用できない。
また、上記引用刊行物Bの摘記事項(3B-9)には、「また、撮影部位や撮影方向等の選択・・・に関わる煩雑な操作を解消する」と記載されていることから、上記引用刊行物Bに記載された発明のごとく、人体の主要構成部分が名称で選択可能に表示される撮影部位の大分類と、大分類で選択された大分類の撮影部位に対応する撮影部位の小分類とを同一の表示手段に同時に名称で表示する構成を採用すれば、請求人の主張する「人体各部に及ぶ撮影部位を小さい表示スペースの中に選択可能に、且つ間違いなく選択できるように表示して、操作中の画面の遷移を極力少なくすることができるという顕著な効果が得られる」ことは明らかである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用刊行物Bに記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4) 補正却下の決定についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下しなければならないものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成22年7月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1?10に係る発明は、平成22年4月12日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 2 (1)」の「ア 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1」に記載したように、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
被写体を撮影して医用画像を生成する医用画像生成装置とともに使用される制御装置であって、
所定の領域毎に選択可能に表示される第1の選択欄と、選択された前記領域に包含される各部位が選択可能に表示される第2の選択欄とを有し、撮影する部位が選択可能に表示される撮影部位選択欄と、撮影して得られた複数の前記医用画像が表示される画像表示欄と、前記撮影して得られた医用画像に対して行う画像処理条件が調整可能に表示される画像処理条件調整欄とを一画面中に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする制御装置。」

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物の記載事項は上記「第2 2 (3)」の(ア)に記載したとおりである。

3.本願発明と引用発明との対比・判断
上記「第2 2 (3)」の(イ)で検討した本願補正発明は、上記本願発明の「所定の領域毎に選択可能に表示される第1の選択欄」を「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域が選択可能に表示される第1の選択欄」と補正して、本願発明の「所定の領域」をさらに「人体の模式図が表示され当該模式図の所定の領域」と限定して特定するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに減縮したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2 (3)」の(イ)において検討したとおり、引用発明、引用刊行物Bに記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることから、本願発明も同様の理由により、引用発明、引用刊行物Bに記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、本件出願は、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-31 
結審通知日 2011-04-01 
審決日 2011-04-12 
出願番号 特願2004-112355(P2004-112355)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今浦 陽恵小島 寛史  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 秋月 美紀子
石川 太郎
発明の名称 制御装置及び表示制御プログラム  
代理人 宮本 恵司  

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