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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01S
管理番号 1237679
審判番号 不服2009-369  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-05 
確定日 2011-06-03 
事件の表示 平成 9年特許願第503437号「改善された光学測距カメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月 9日国際公開、WO97/01111、平成11年 7月21日国内公表、特表平11-508359〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

1996年 6月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年6月22日、イスラエル、及び、1995年12月1日、イスラエル)を国際出願日とする特許出願
平成15年 6月11日 手続補正書
平成17年10月14日 拒絶理由通知(同年10月25日発送)
平成18年 4月20日 意見書・手続補正書
平成19年 2月 9日 拒絶理由通知(同年2月20日発送)
平成19年 8月17日 意見書・手続補正書
平成20年 9月12日 拒絶査定(同年9月30日発送)
平成21年 1月 5日 本件審判請求
平成21年 1月29日 手続補正書
平成21年 9月 3日 審尋(平成21年9月8日発送)
平成22年 4月14日 上申書
平成22年 5月21日 当審拒絶理由通知(同年5月24日発送)・平成21年1月29日付け手続補正の却下の決定(同年6月7日送達)
平成22年11月24日 意見書・手続補正書

2.当審の拒絶理由
当審が通知した拒絶理由の概要は、

理由2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用刊行物
1.特表平03-505123号公報(以下「引用刊行物1」という。)
2.特開平07-142761号公報(以下「引用刊行物2」という。)
・・・

請求項1?5、7、11、14?16、26、34?43、48?50 理由2 引用刊行物1、2

というものである。

3.本願発明

平成22年11月24日付けの手続補正によって補正された明細書(以下、「本願明細書」という。)の請求項1には、以下のとおりに記載されている。
「情景中の被写体までの距離を示す画像を生成するための装置であって、
第1変調関数を有し、情景に変調された放射波を向かわせる、変調された放射波源であって、該放射波源からの放射波の一部分が、上記情景中の複数地点から反射されて該装置に到達するようになっている、放射波源と、
上記情景から反射され、第2変調関数により変調された放射波を検出する検知器であって、上記第2変調関数は、前記情景中の位置からの反射を受ける距離ウインドウを規定し、上記検知器は、上記検知された変調放射波に応じて、上記反射された放射波の上記部分の一部に対応する信号を発生し、上記部分の一部は、上記情景中のある地点の距離及び上記距離ウインドウ内の地点の位置に対応し、上記部分の一部は、該装置からの特定の信号に関連する、検知器と、
上記検知器からの信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を有する、上記信号に基づいて画像を形成するプロセッサと、
該プロセッサにより形成された画像の強度値分布によって示された距離に対応して、上記第1変調関数および第2変調関数の少なくとも一つを変化させて、最大及び最小距離を有する距離ウィンドウを規定するコントローラであって、当該最大及び最小距離の間で反射が受信され、当該最大及び最小距離の外で反射が除去されるものと、
を含む装置。」

そこで、本願の請求項1の記載について検討する。
請求項1には、「上記検知器は、上記検知された変調放射波に応じて、上記反射された放射波の上記部分の一部に対応する信号を発生し、上記部分の一部は、上記情景中のある地点の距離及び上記距離ウインドウ内の地点の位置に対応し、上記部分の一部は、該装置からの特定の信号に関連する、検知器と、上記検知器からの信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を有する、上記信号に基づいて画像を形成するプロセッサ」という記載がある。
該記載において、「該装置からの特定の信号」、「上記検知器からの信号」、「上記信号」なる記載があるが、請求項1の記載のみでは、これらの信号に関する記載が、いかなる信号を指すものであるのか、また、同一の信号を指すものであるのか、異なる信号を指すものであるのかも不明である。
「特定の信号」は、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)に記載された用語ではなく、平成19年8月17日付けの手続補正書の請求項34において、初めて記載されている。そして、「特定の信号」を請求項34に記載することについての根拠として、同日付けの意見書第3頁第14行?第15行において、「本願明細書第21頁第19行-第28頁第2行の記載、および、図3、図4、図5、図6A、図6B、図7」と記載されている。また、平成22年4月14日付けの上申書の第2頁第31行?第35行には、「請求項1の「特定の信号」は、「反射された放射波の上記部分の一部に対応する信号」の1つの信号を意味します。同様に、請求項34の「特定の信号」は、「反射された放射波の上記部分の一部に対応する信号」の1つの信号を意味します。」と記載されている。

そこで、請求項1の「該装置からの特定の信号」、「上記検知器からの信号」、「上記信号」なる用語の技術上の意義を当初明細書及び図面、特に、当初明細書の第18頁第16行-第28頁第2行の記載、及び、図1?図7の記載を考慮して検討する。
当初明細書において本発明の実施形態を説明する当初明細書第18頁第18行?第26行には、
「カメラ20は検知アレイ22、好ましくはニューヨーク、ロチェスタのイーストマン・コダック(Eastman Kodak)社製のKAF 0400 CCDアレイ、カリフォルニア州サニーベイルのイー・ジー・アンド・ジー(EG&G)レチコン(Reticon)社製のHS 0512J CCDアレイのようなCCDアレイを含んでいる。CCD22により発生された信号はビデオプロセッサ24により処理され、それは好ましくは上記カメラにより撮像された情景26の三次元デジタル画像、もしくは目的の物体までの距離が以下に述べるように示されている二次元ビデオ画像を生成する。」
と、第22頁第2行?第23頁第11行には、
「図4は、図1に示すようなカメラ20により撮影された情景70の模式図であり、上記カメラは図3に示された波形により制御される。情景70は、カメラ20からそれぞれ距離D1,D2およびD3に配置された第1被写体72,第2被写体74および第3被写体76を含む複数の物体を含んでいる。被写体72,74および76はカメラ20に設けられている光源40により照明され、それらはほぼカメラに向かって反射し、該反射光は光学系28により集光されるとともに検知アレイ22上に収束される。変調器34および44がCWモード、すなわち、一定の開きで動作する(当審注:技術常識から見て、「一定して開いた状態で動作する」の誤記と認められる。)期間を考えると、上記各被写体からの反射光はそれぞれの被写体の画像が結像される上記検知アレイの一以上のエレメントにおいてそれぞれ実質的に一定な照射を生成する。上記照射のレベルは、とりわけ、カメラからのそれぞれの被写体の距離および上記被写体の特別な放射率とほぼ関数関係を有している。これらの実質的に一定の光の照射に応じて、検知アレイ22のエレメントは各々のベースライン信号レベルS1,S2およびS3を発生する。
変調器34および44が波形62および60により駆動されるときには、それぞれ、しかしながら、被写体72,74および76から反射された光に応じてアレイ22により発生される信号は、各被写体に到達してカメラ20に戻るのに光源40により発射された光に対して要求される伝播時間のために、上記ベースライン信号とは異なっている。この伝播時間は一般にti=2Di/cで表され、ここでcは光速であり、添え字iは情景70中のi番目の被写体を表している。図3に示されるように、Tおよびτの値の選択は、最小距離および最大距離、DminおよびDmaxによりそれぞれ区画される距離ウインドウ78を規定しており、ここでDmin=(τ-T)c/2およびDmax=(τ+T)c/2であり、τ<Tでないときには、Dmin=0である。変調器34および44が示されているように動作しているときには、D3>Dmaxである被写体76のような、ウインドウ78の外にある被写体からの光は変調器34により拒絶され、従ってアレイ22はかかる被写体に対応する実質的な信号を発生しない。
さらに、図5に示すように、被写体72もしくは74のようなウインドウ78内の物体に応答してアレイ22により発生される信号Iiの強さは、カメラからの被写体の距離に実質的にリニアに依存する。被写体72および74にそれぞれ対応する信号I1およびI2は、ほぼ次式により正規化される。
Ii=Ii/Siτf (1)
ここで、Iiはi番目の被写体による非正規化信号であり、fはアレイ22がサンプリングされる適当なフィールドレートもしくはフレームレートである。
上記ベースライン信号レベルSiは、上記したように、変調器34および44が一時的に開いている間に、検知アレイ22により得られる。」
と、第24頁第1行?第10行には、
「カメラ20からの距離に対する正規化された信号のリニアな関数依存性は、波形60が各々の被写体に到達して上記カメラに戻ってくるように光源40により発射された光に対して要求される時間2Di/cだけ効果的に遅延された後の、照明光60の反射光の変調波形62との変化するオーバラップの結果である。この機能は、被写体が距離Di=τc/2にあるときに最大値を有するとともに、Tに比例する幅(Dmax-Dmin)を有している。カメラ20からウインドウ78内の被写体までの距離は従って、上記被写体に応じて発生された正規化信号から決定される。例えば上記ウィンドウの中心近くに位置する被写体72による上記正規化信号I1は、カメラからより大きな距離に位置している被写体74によるI2よりも実質的に大きい。」
と記載されている。

すなわち、当初明細書に記載された本発明の実施形態においては、光源40(放射波源)から出射された光(放射波)の一部分が、情景70内の被写体72,74,76によって反射され反射光となり、カメラ20の検知アレイ22(検知器)によって検知される。また、検知アレイ22は、1以上のエレメントを配列したものであるから、検知アレイ22の各エレメントにおいて検出される反射光は、光源40(放射波源)から出射されれた光(放射波)のうちカメラ20の検知アレイ22に戻ってくる光(光源40(放射波源)から出射された光の一部分)のうち、一部である。そして、検知アレイ22の各エレメントは、変調器34および44がCWモードであるときにベースライン信号Siを出力し、変調器34および44が波形62(第2変調関数)および波形60(第1変調関数)で駆動されているときに非正規化信号Iiを発生する。検知アレイ22(CCD22)で発生された信号はビデオプロセッサ24(プロセッサ)で、
Ii=Ii/Siτf
の正規化処理をされ、正規化処理された正規化信号Iiは、波形62(第2変調関数)および波形60(第1変調関数)のオーバラップの結果、カメラ20から被写体までの距離がτc/2である場合に最大値を有し、Tに比例する幅(Dmax-Dmin)を有し、距離ウィンドウ内の位置に応じた関数依存性を示すものである。ビデオプロセッサ24(プロセッサ)では、この正規化信号Iiを使用して、最終的に、三次元デジタル画像、もしくは目的の物体までの距離が示されている二次元ビデオ画像を生成する。

よって、上記「該装置からの特定の信号」を含む請求項1における「上記検知器は、上記検知された変調放射波に応じて、上記反射された放射波の上記部分の一部に対応する信号を発生し、上記部分の一部は、上記情景中のある地点の距離及び上記距離ウインドウ内の地点の位置に対応し、上記部分の一部は、該装置からの特定の信号に関連する、検知器」なる記載は、
「上記検知器は、上記検知された変調放射波(変調器34および変調器44が波形62および波形60で駆動されているときの反射光)に応じて、上記反射された放射波の上記一部分の一部に対応する信号(非正規化信号Ii)を発生し、上記一部分の一部は、上記情景中のある地点の距離(被写体までの距離)及び上記距離ウインドウ内の地点の位置(幅(Dmax-Dmin)内の位置)に対応し、上記一部分の一部は、上記検知器からの上記信号(非正規化信号Ii)に関連する、検知器」を意味し、(下線は、変更箇所を明示するために、当審で付与した。以下、同様)
上記「上記検知器からの信号」、「上記信号」を含む請求項1における「上記検知器からの信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を有する、上記信号に基づいて画像を形成するプロセッサ」なる記載は、
「上記検知器からの上記信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を示す信号(正規化信号Ii)を生成するために使用される、上記検知器からの上記信号に基づいて画像(三次元デジタル画像、もしくは目的の物体までの距離が示されている二次元ビデオ画像)を形成するプロセッサ」を意味するものと認める。

したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
「情景中の被写体までの距離を示す画像を生成するための装置であって、
第1変調関数を有し、情景に変調された放射波を向かわせる、変調された放射波源であって、該放射波源からの放射波の一部分が、上記情景中の複数地点から反射されて該装置に到達するようになっている、放射波源と、
上記情景から反射され、第2変調関数により変調された放射波を検出する検知器であって、上記第2変調関数は、前記情景中の位置からの反射を受ける距離ウインドウを規定し、上記検知器は、上記検知された変調放射波に応じて、上記反射された放射波の上記一部分の一部に対応する信号を発生し、上記一部分の一部は、上記情景中のある地点の距離及び上記距離ウインドウ内の地点の位置に対応し、上記一部分の一部は、上記検知器からの上記信号に関連する、検知器と、
上記検知器からの上記信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を示す信号を生成するために使用される、上記検知器からの上記信号に基づいて画像を形成するプロセッサと、
該プロセッサにより形成された画像の強度値分布によって示された距離に対応して、上記第1変調関数および第2変調関数の少なくとも一つを変化させて、最大及び最小距離を有する距離ウィンドウを規定するコントローラであって、当該最大及び最小距離の間で反射が受信され、当該最大及び最小距離の外で反射が除去されるものと、
を含む装置。」

4.引用発明
(1A)引用刊行物1の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本願の最先の優先日前である1991年11月7日に頒布された刊行物である特表平3-505123号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、「距離測定装置」(発明の名称)の発明に関して、以下の事項が記載されている。

<記載事項1>
「発明の分野
本発明は光レーダ装置に関するものであり、更に詳しくいえば、走査機構を用いて点ごとに距離データを得るのではなく、並列すなわち同時に距離データ点を得る装置に関するものである。本発明は、周囲の「画像」を得るためにロボットに対して必要である場合にロボット工学においてとくに有用である。したがって本発明は短距離だけに一般に応用できる。」(第2頁左上欄第3行?第10行)

<記載事項2>
「光景についての距離情報を取出すために、光源だけが本発明のそれである場合には、2つの映像を得ることができるように2つの動作モードを必要とする。
動作モード1
第1図を参照して、制御ハードウェア1がスイッチ2を選択して、高速光源3がパルス発生器4によりパルスでオン・オフさせられるようにする。パルス発生器4は、映像センサ5の感度を制御する回路(第1図には示していない)の駆動も行う。結果として得られた映像は制御ハードウェアに格納される。参照番号6はビデオモニタを表す。
動作モード2
このモードにおいては、光源が連続してオンになるようにスイッチ2を選択する。映像センサから得られた結果としての映像は制御ハードウェア1に再び格納される。
処理
I1をモード1から検出された映像とする。
I2をモード2から検出された映像とする。
I1は光景内の物体の表面選択度(当審注:「表面反射率」の誤記と認める。)に依存する映像を表す。映像輝度は、逆自乗法則のために、物体までの距離に依存する。映像は、光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果にも依存し、映像センサの「オン」時間も距離に依存する。
光源が連続してオンの時にI2は得られる。I2は光景内の物体の表面反射率のみに依存する。映像の輝度は、逆自乗法則のために、物体までの距離に依存する。
Rを距離映像、Kを一定である較正係数として、
R=K・I1/I2
であるように、I1とI2の対応する部分の商を形成することにより距離が見出される。
この処理により表面反射率と逆自乗光損失の影響を除く。残っている唯一の影響は、ゲートされる映像センサとのパルス状の光の重なり合いすなわちコンボリューションによる影響である。
反射光パルスの理想化した時間輪郭「a」と、映像センサ「b」の感度「b」とが第2図に示されている。2つのコンボリューションが「c」として示されている。各輪郭は相対的な大きさ対時間のプロットである。
コンボリューション値は受信器における反射パルスの開始と、映像センサの起動の開始との間の遅延に依存する。この遅延は光がパルス光源から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るまでの一巡時間のためである。したがって、その距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kを知ると、距離測定装置から映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができる。
較正係数Kには映像中の全ての点に対して全体的に適用され、既知寸法の光景の距離映像を得ることにより見出すことができる。これは1回だけ行う必要がある。」(第3頁左上欄第25行?右上欄第4行)

<記載事項3>
「光景から反射された光は、外部光源からの光の影響を減少するために、フィルタ7を通じて映像発生装置に入る。主レンズ8がろ光(当審注:外字入力の制約上、ひらがなの「ろ」で代用する。)された光を、バロ(Varo)5772型、映像増強器9上に集束する。その映像増強器は、NEC TI 22Cであるテレビカメラ10により観察される出力を生ずる。テレビカメラ10の出力はフレーム記憶装置14と同期プロセッサ13へ接続される。」(第4頁左上欄第6行?第13行)

<記載事項4>
「第8図は、パルスモード中にレーザダイオードを駆動し、かつ映像増強器を駆動する波形のタイミングも示す。・・・遅延時間32は+または-15nSecの範囲で調整できる。その理由は、レーザアレイと映像増強器の間で回路の遅延と長手方向の変位を補償するためである。装置が製作された後でその遅延は1回設定され、再較正が求められなければ、それ以後は調整されない。」(第4頁左下欄第18?23行)

(2A)引用刊行物1に記載された発明
(2A-1)
上記記載事項1には、「本発明は、光レーダ装置に関するものであり・・・」と、また、上記記載事項2には、「光景についての距離情報を取出すため・・・」記載されている。
これらの記載によれば、引用刊行物1には、「光景についての距離情報を得る光レーダ装置」の発明が記載されている。

(2A-2)
上記記載事項2には、「・・・
動作モード1
第1図を参照して、制御ハードウェア1がスイッチ2を選択して、高速光源3がパルス発生器4によりパルスでオン・オフさせられるようにする。パルス発生器4は、映像センサ5の感度を制御する回路(第1図には示していない)の駆動も行う。結果として得られた映像は制御ハードウェアに格納される。参照番号6はビデオモニタを表す。
動作モード2
このモードにおいては、光源が連続してオンになるようにスイッチ2を選択する。映像センサから得られた結果としての映像は制御ハードウェア1に再び格納される。」と、また、「・・・反射光パルスの理想化した時間輪郭「a」と・・・とが第2図に示されている。・・・」と、また、「・・・この遅延は光がパルス光源から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るまでの一巡時間のためである。・・・」と記載されている。
そして、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」において、高速光源3から発生された光のうち、光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻ってくる光は、高速光源3から発生された光のうち一部であることは、自明の事項である。
よって、これらの記載及び上記自明の事項によれば、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」は、「高速光源3であって、高速光源3が連続してオンになる動作モード2と、高速光源3がパルス発生器4により第2図の時間間隔「a」を有するパルスでオン・オフさせられる動作モード1とを有し、高速光源3から発生された光の一部が高速光源3から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている高速光源3」を有している。

(2A-3)
上記記載事項2には、「・・・パルス発生器4は、映像センサ5の感度を制御する回路(第1図には示していない)の駆動も行う。結果として得られた映像は制御ハードウェアに格納される。・・・」と、また、「・・・I1は光景内の物体の表面反射率に依存する映像を表す。映像輝度は、逆自乗法則のために、物体までの距離に依存する。映像は、光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果にも依存し、映像センサの「オン」時間も距離に依存する。・・・」と、また、「・・・残っている唯一の影響は、ゲートされる映像センサとのパルス状の光の重なり合いすなわちコンボリューションによる影響である。・・・映像センサ「b」の感度「b」とが第2図に示されている。・・・」と、また、「・・・したがって、その距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kを知ると、距離測定装置から映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができる。・・・」と記載されている。さらに、上記記載事項3には、「光景から反射された光は、外部光源からの光の影響を減少するために、フィルタ7を通じて映像発生装置に入る。主レンズ8がろ光された光を、バロ(Varo)5772型、映像増強器9上に集束する。その映像増強器は、NEC TI 22Cであるテレビカメラ10により観察される出力を生ずる。テレビカメラ10の出力はフレーム記憶装置14と同期プロセッサ13へ接続される。」と記載されている。
そして、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」において、映像センサ5である映像増強器から得られ、テレビカメラ10の出力である映像の各画素は、光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている、高速光源3から発生された光の一部のうち、映像センサ5の各撮像素子に集束される光に関連して発生させられる信号であることも、自明の事項である。
よって、これらの記載及び上記自明の事項によれば、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」は、「光景からの反射光を受け、結果として得られた映像を制御ハードウェア1に格納する映像センサ5であって、高速光源3が動作モード2である時に検出された映像I2を発生し、高速光源3が動作モード1である時に検出された映像I1を第2図の感度「b」の「オン」時間で発生するものであり、映像センサの「オン」時間は距離に依存するものであり、映像I1は光景内の物体の表面反射率に依存し、物体までの距離に依存し、光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果すなわちコンボリューションによる影響にも依存するものであり、映像センサ5から得られる映像の各画素は、光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている、高速光源3から発生された光の一部のうち、映像センサ5の各撮像素子に集束される光に関連して発生させられる信号である、映像センサ5」を有している。

(2A-4)
ア 上記記載事項2には、「・・・Rを距離映像、Kを一定である較正係数として、
R=K・I1/I2
であるように、I1とI2の対応する部分の商を形成することにより距離が見出される。
この処理により表面反射率と逆自乗光損失の影響を除く。残っている唯一の影響は、ゲートされる映像センサとのパルス状の光の重なり合いすなわちコンボリューションによる影響である。
反射光パルスの理想化した時間輪郭「a」と、映像センサ「b」の感度「b」とが第2図に示されている。2つのコンボリューションが「c」として示されている。各輪郭は相対的な大きさ対時間のプロットである。
コンボリューション値は受信器における反射パルスの開始と、映像センサの起動の開始との間の遅延に依存する。この遅延は光がパルス光源から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻る1での一巡時間のためである。したがって、その距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kを知ると、距離測定装置から映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができる。」と記載され、さらに、上記記載事項3には、「遅延時間32は+または-15nSecの範囲で調整できる。その理由は、レーザアレイと映像増強器の間で回路の遅延と長手方向の変位を補償するためである。装置が製作された後でその遅延は1回設定され、再較正が求められなければ、それ以後は調整されない。」と記載されている。
これらの記載によれば、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」は、「前記映像センサ5からの前記映像I1、I2を格納するとともに、Rを距離映像、Kを一定である較正係数として、
R=K・I1/I2
であるように、I1/I2の対応する部分の商を形成することにより、距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kから、映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができる制御ハードウェア1であって、前記高速光源3と前記映像センサ5との間の長手方向の変位を補償するために、前記高速光源3の「オン」時間と前記映像センサ5の「オン」時間との遅延時間を、再較正の求めに応じて調整可能な制御ハードウェア1」を有している。

イ そして、(2A-3)によれば、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」において、映像I1は、高速光源3が動作モード1である時に検出された映像であって、第2図の感度「b」の「オン」時間で発生され、映像センサの「オン」時間は距離に依存し、映像I1は光景内の物体の表面反射率に依存し、物体までの距離に依存するものである。そして、上記(2A-4)アによれば、コンボリューション値は受信器における反射パルスの開始と、映像センサの起動の開始との間の遅延に依存し、この遅延は光がパルス光源から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻る1での一巡時間のためである。
よって、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」において、映像センサが「オン」されている時間は、コンボリューション関数の値が0より大きい値を持つ、すなわち、Rが0より大きい値を持つ範囲である、光景内における所定の距離範囲を規定しており、映像センサの「オン」が開始するタイミングにより、コンボリューション関数の値が0より立ち上がり始める、前記所定の距離範囲における最小の距離が規定され、一方、映像センサの「オン」が終了するタイミングにより、コンボリューション関数の値が0に戻る、前記所定の距離範囲における最大の距離が規定されるものである。そして、映像I1は、第2図の感度「b」の「オン」時間でのみ発生するものであるから、当然に、映像I1は、前記所定の距離範囲における最小の距離と最大の距離の間にある物体からの反射光を受信したものであって、前記所定の距離範囲外に位置する物体からの反射光が除去されたものである。
したがって、引用刊行物1に記載された「光レーダ装置」において、「映像センサが「オン」されている時間で、光景内における所定の距離範囲を規定しており、映像センサの「オン」が開始するタイミングにより、前記所定の距離範囲における最小の距離が規定され、映像センサの「オン」が終了するタイミングにより、前記所定の距離範囲における最大の距離が規定され、映像I1は、前記所定の距離範囲における最小の距離と最大の距離の間にある物体からの反射光を受信したものであって、前記所定の距離範囲外に位置する物体からの反射光が除去されたものである」。

(2A-5)
(2A-1)?(2A-4)によれば、引用刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「光景についての距離情報を得る光レーダ装置であって、
高速光源3であって、高速光源3が連続してオンになる動作モード2と、高速光源3がパルス発生器4により第2図の時間間隔「a」を有するパルスでオン・オフさせられる動作モード1とを有し、高速光源3から発生された光の一部が高速光源3から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている高速光源3と、
光景からの反射光を受け、結果として得られた映像を制御ハードウェア1に格納する映像センサ5であって、高速光源3が動作モード2である時に検出された映像I2を発生し、高速光源3が動作モード1である時に検出された映像I1を第2図の感度「b」の「オン」時間で発生するものであり、映像センサの「オン」時間は距離に依存するものであり、映像I1は光景内の物体の表面反射率に依存し、物体までの距離に依存し、光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果すなわちコンボリューションによる影響にも依存するものであり、映像センサ5から得られる映像の各画素は、光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている、高速光源3から発生された光の一部のうち、映像センサ5の各撮像素子に集束される光に関連して発生させられる信号である、映像センサ5と、
前記映像センサ5からの前記映像I1、I2を格納するとともに、Rを距離映像、Kを一定である較正係数として、
R=K・I1/I2
であるように、I1/I2の対応する部分の商を形成することにより、距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kから、映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができ、前記高速光源3前記映像センサ5との間の長手方向の変位を補償するために、前記高速光源3の「オン」時間と前記映像センサ5の「オン」時間との遅延時間を、再較正の求めに応じて調整可能な制御ハードウェア1とを有しており、
映像センサが「オン」されている時間で、光景内における所定の距離範囲を規定しており、映像センサの「オン」が開始するタイミングにより、前記所定の距離範囲における最小の距離が規定され、映像センサの「オン」が終了するタイミングにより、前記所定の距離範囲における最大の距離が規定され、映像I1は、前記所定の距離範囲における最小の距離と最大の距離の間にある物体からの反射光を受信したものであって、前記所定の距離範囲外に位置する物体からの反射光が除去されたものである
光レーダ装置。」(以下、「引用発明1」とする。)

(1B)引用刊行物2の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本願の最先の優先日前である1995年6月2日に頒布された刊行物である特開平7-142761号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、「受光素子ならびに受光素子アレイおよび画像検出装置ならびに画像検出方法」(発明の名称)の発明に関して、以下の事項が記載されている。

<記載事項5>
「【0015】請求項57ないし請求項96の発明は、距離を含む物体の3次元情報を信頼性良く、高速に検出することができる画像検出装置を得ることを目的とする。」

<記載事項6>
「【0306】実施例31.図36は請求項57の発明による画像検出装置の一実施例を示す図である。この図において、1は近赤外のパルス光を出力する発光部、2は発光部1からのパルス光を所定の範囲に送出するとともに、物体からの近赤外反射光と可視光を装置に導く光学系、3は上記実施例1?30にて説明した受光素子の2次元アレイにて形成された受光部、5は受光部3のx方向の信号を処理するx方向回路、6は受光部3のy方向の信号を処理するy方向回路、7は各部を制御する制御回路である。また、8は画像検出の対象となる物体、9は発光部1から送出された近赤外光、10は物体8で反射された近赤外光、11は太陽光等が物体8で散乱された可視光、12は本装置からの出力である。
【0307】図37は受光部3の構成を示す図であり、この図において、13はそれぞれ上記実施例1?16のいずれかが適用された受光素子であり、本実施例においては上記実施例1である図1の受光素子が適用されている。14は受光素子13の第1または第2の電極にそれぞれ接続された入出力端子、15はx方向端子、16はy方向端子である。図38はx方向回路5の1チャンネル分の回路の構成を示す図であり、この図において、17はx方向電流IXi 、18はオペアンプ、19はキャパシタ、20はx方向ゲート信号、21はx方向ゲートスイッチ、22はx方向AC出力、23はx方向DC出力、Rは変換抵抗である。図39はy方向回路6の1チャンネル分の構成を示す図であり、この図において、24はy方向電流IYj、25は制御電圧Vj、26はy方向DC出力である。
・・・
【0310】図40は本実施例の画像検出装置に適用される請求項128の発明による画像検出方法の一実施例の構成を示すフローチャートである。この図を参照して本実施例における画像検出方法を説明する。まず、ステップST1にて、y方向回路6から受光素子13に供給するすべての制御電圧Vjを正の値、例えば変化範囲を+5?-5の10段階設定とすると、+5に設定する。このとき、すべての受光素子の感度は一定の値5となる(ただしx方向ゲートはすべてオンとしておく)。次に、ステップST2にて発光部1を駆動して近赤外光パルスを発生して、光学系2を介して外部に送出する。
【0311】次いで、ステップST3にて物体8からの反射光10を光学系2を介して受光部3にて検出する。これにより、図41(a)に示すように、x方向端子15のいずれの端子に電流が流れるかを検出することにて、物体のおよそのx座標の位置を検出することができる。また、発行部1からのパルス発射から反射光検出までの時間Dtを測定することにより、次式(3)にて物体8と装置との距離を算出することができる。
L = Dt/2C (C :光速) ・・・・・(3)
なお、この場合、反射信号はパルス信号なのでx方向回路5におけるx方向AC出力22を観測すればよい。
【0312】次いで、ステップST4にて、検出画像に対して物体8を含むように窓を設定する(Imin 【0313】次いで、ステップST9にてj行目の値が設定された窓の範囲を越えたか否かが判定されて、つまり、j>Jmaxか否かが判定されて、Jmaxでなければ、ステップST9に進み、jの値を歩進する。この作業を進めながらステップST7を実行することにより、図41(b)に示すように物体を含んだ画像情報が1行毎に得られる。このように本装置では物体8までの距離、そのx座標および部分画像が得られるが、さらにこの部分画像を後段に接続した画像処理回路にて処理することにより、y座標や物体の形状等も検出することができる。
【0314】なお、本実施例では、受光素子として図1に示す素子が適用されたが、同様の機能を有していれば他の上記実施例および以下の構造でもかまわない。例えば、図42(a),(b)では2つのpn接合においてn同士あるいはp同士を接続した受光素子である。光電流は端子間電圧に比例し、また光が照射されていないときはpn接合の整流作用により電流は流れない。図43では抵抗が光照射パワーに依存する光導電体を用いた受光素子である。光導電体の例としてはアモルファスシリコンがある。図44はn型半導体、半絶縁性の半導体、p型半導体を重ねた受光素子である。この構造では、n側に正の電圧を印加しないといけないという制限がある。図45はトランジスタ構造を用いた受光素子である。増幅機能により大きな信号レベルが出力される。また、異なるバンドギャップの半導体を用いたヘテロ接合トランジスタ構造にしてもよい。図46は光電変換部とスイッチを組み合わせた感度可変受光素子である。光電変換部は光感度が生じるようにバイアス電圧を印加しておく。そして、スイッチにおける抵抗の大きさで光電流の大きさを制御する。図47には本実施例によるX方向回路5の他の例を示す。図中、27はアナログ/ディジタル(A/D)変換素子である。受光素子からの電流信号はアナログであるが、このA/D 変換によりディジタル信号として出力される。」

<記載事項7>
「【0414】実施例55.図84は請求項68の発明による画像検出装置の一実施例の構成を示す図であり、上記各実施例の図の相当部分には同一符号を付してその説明を省略する。この図において、43は図38に示されたx方向回路5の後段に接続された時間窓設定回路(時間窓設定手段)である。この時間窓設定回路43は、与えられた時間窓の間だけ入力された信号を検出する回路である。同様に、44はy方向回路6に設けられた時間窓設定回路である。
【0415】次に動作について説明する。図86は本実施例の画像検出装置に適用される画像検出方法を示すフローチャートであり、特に請求項138の発明による画像検出方法の一実施例を示す図である。このフローチャートに従って説明すると、まずステップST201にてそれぞれの受光素子に供給するすべての制御電圧Vjを5に設定する。このとき、すべての受光素子の感度は一定の値5となる(ただしx方向ゲートはすべてオンとする)。次いで、ステップST202にて、発光部1から近赤外光パルスを送出する。
【0416】次いで、ステップST203にて物体からの反射光を光学系2の可視光カットフィルタ42を介して受光部に受け、物体を検出する。この場合、x方向端子15のいずれの端子に電流が流れるで、物体のおよそのx座標がわかる。また、パルス発射から反射光検出までの時間Dtを測定すれば物体と装置の距離がわかる(図85(a)参照)。
【0417】次いで、ステップST204にて検出画像に対して物体の画像を含むように窓を設定する(Imin 【0418】次いで、ステップST206にて設定した窓の制御電圧Vj(Jmin 【0419】次いで、ステップST209にてx方向処理回路によってx方向射影信号より物体の正確なx座標と幅を計算する。また、ステップST210にてy方向処理回路によってy方向射影信号より物体のy座標と高さを計算する。このように本実施例では、時間窓の設定により、背景を除去した物体だけに対して処理が実行されるので、より精度が高い物体検出が可能になる。
【0420】なお、本実施例では、図87に示すように時間窓を物体の距離に対応する時間の前後に幅を設けたが、図88に示すように2回目のパルス送出から距離に対応する時間までを窓に設定してもよい。」

(2B)引用刊行物2に記載された発明
上記引用刊行物2の段落【0414】?【0420】、図84?88に記載される画像検出装置に基づいて引用刊行物2に記載された発明(以下、「引用発明2」という。)を認定する。なお、認定するに際し、該画像検出装置は、段落【0414】に「図84は請求項68の発明による画像検出装置の一実施例の構成を示す図であり、上記各実施例の図の相当部分には同一符号を付してその説明を省略する。この図において、43は図38に示されたx方向回路5の後段に接続された時間窓設定回路(時間窓設定手段)である。」と記載されているように、図38に示された実施例31の画像検出装置に時間窓設定回路(時間窓設定手段)を付加したものであるから、実施例31の画像検出装置についての記載(段落【0306】?【0314】、図36?47)を参酌する。

(2B-1)
上記記載事項5には、「・・・請求項57ないし請求項96の発明は、距離を含む物体の3次元情報を信頼性良く、高速に検出することができる画像検出装置を得ることを目的とする。」と記載されている。
この記載によれば、引用刊行物2には、「距離を含む物体の3次元情報を検出することができる画像検出装置」の発明が記載されている。

(2B-2)
上記記載事項6には、「【0306】・・・1は近赤外のパルス光を出力する発光部、2は発光部1からのパルス光を所定の範囲に送出するとともに、物体からの近赤外反射光と可視光を装置に導く光学系、3は上記実施例1?30にて説明した受光素子の2次元アレイにて形成された受光部、5は受光部3のx方向の信号を処理するx方向回路、6は受光部3のy方向の信号を処理するy方向回路、7は各部を制御する制御回路である。・・・」と記載されている。
この記載によれば、引用刊行物2に記載された「画像検出装置」は、「近赤外のパルス光を出力する発光部1」と「2次元アレイにて形成された受光部3」と「各部を制御する制御回路7」とを有している。

(2B-3)
上記記載事項7には、「【0414】・・・この時間窓設定回路43は、与えられた時間窓の間だけ入力された信号を検出する回路である。同様に、44はy方向回路6に設けられた時間窓設定回路である。」と記載されている。
この記載によれば、引用刊行物2に記載された「画像検出装置」は、「受光部3に接続され、与えられた時間窓の間だけ入力された信号を検出する時間窓設定回路43、44」を有している。

(2B-4)
上記記載事項7には、「【0416】・・・また、パルス発射から反射光検出までの時間Dtを測定すれば物体と装置の距離がわかる(図85(a)参照)。」と、また、「【0418】次いで、ステップST206にて設定した窓の制御電圧Vj(Jmin これらの記載によれば、引用刊行物2に記載された「画像検出装置」は、「パルス発射から反射光検出までの時間Dtを測定することにより物体と装置の距離を測定し、 物体間の距離に対応する時間の前後に幅を設けた時間窓を設定することにより、検出画像に対して、物体と距離が異なる背景の情報を含ませないようにする」ものである。

(2B-5)
(2B-1)?(2B-4)によれば、引用刊行物2には、以下の引用発明2が記載されている。
「距離を含む物体の3次元情報を検出することができる画像検出装置であって、
近赤外のパルス光を出力する発光部1と、
2次元アレイにて形成された受光部3と、
受光部3に接続され、与えられた時間窓の間だけ入力された信号を検出する時間窓設定回路43、44と
各部を制御する制御回路7とを含む画像検出装置であって、
パルス発射から反射光検出までの時間Dtを測定することにより物体と装置の距離を測定し、
物体間の距離に対応する時間の前後に幅を設けた時間窓を設定することにより、検出画像に対して、物体と距離が異なる背景の情報を含ませないようにする
画像検出装置。」

5.対比
本願発明と引用発明とを比較する。

(1)
引用発明1の「光景」は、本願発明の「情景」に相当し、以下同様に、「物体」は、「被写体」に、「距離情報」は「距離」に、「光レーダ装置」は「装置」に相当する。
そして、引用発明1の「光景について距離情報」を含む映像は、本願発明の「情景中の被写体までの距離を示す画像」に相当するから、引用発明1の「光景についての距離情報を得る光レーダ装置」は、本願発明の「情景中の被写体までの距離を示す画像を生成するための装置」に相当する。

(2)
引用発明1において、高速光源3は、パルス発生器4により第2図の時間間隔「a」を有するパルスでオン・オフさせられる動作モード1を有し、光が高速光源3から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっているものである。
よって、引用発明1の「高速光源3」は、本願発明の「放射波源」に相当し、以下同様に、「第2図の時間間隔「a」」を規定する関数は「第1変調関数」に、「第2図の時間間隔「a」を有するパルスでオン・オフさせられる動作モード1」で発生された「光」は「変調された放射波」に、「高速光源3から発生された光の一部が高速光源3から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻る」は「該放射波源からの放射波の一部分が、上記情景中の複数地点から反射されて該装置に到達する」に相当する。
したがって、引用発明1の「高速光源3であって、高速光源3が連続してオンになる動作モード2と、高速光源3がパルス発生器4により第2図の時間間隔「a」を有するパルスでオン・オフさせられる動作モード1とを有し、高速光源3から発生された光の一部が高速光源3から光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている高速光源3」は、本願発明の「第1変調関数を有し、情景に変調された放射波を向かわせる、変調された放射波源であって、該放射波源からの放射波の一部分が、上記情景中の複数地点から反射されて該装置に到達するようになっている、放射波源」に相当する。

(3)
引用発明1において、映像センサ5は、光景からの反射光を受け、結果として得られた映像を制御ハードウェア1に格納するものであって、高速光源3が動作モード1である時に検出された映像I1を第2図の感度「b」の「オン」時間で発生し、映像センサの「オン」時間は距離に依存し、映像I1は光景内の物体の表面反射率に依存し、物体までの距離に依存し、光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果すなわちコンボリューションによる影響にも依存するものであり、映像センサが「オン」されている時間で、光景内における所定の距離範囲を規定しているものである。また、引用発明1において、映像センサ5から得られる映像の各画素は、光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている、高速光源3から発生された光の一部のうち、映像センサ5の各撮像素子に集束される光に関連して発生させられる信号である。
よって、引用発明1の「映像センサ5」は、本願発明の「検知器」に相当し、以下同様に、「第2図の感度「b」」を規定する関数は「第2変調関数」に、「高速光源3から発生された光の一部のうち、映像センサ5の各撮像素子に集束される光」は「上記反射された放射波の上記一部分の一部」に、「所定の距離範囲」は「距離ウインドウ」に、「物体までの距離」は「情景中のある地点の距離」に、「第2図の感度「b」の「オン」時間で発生」する「映像I1」を構成する各信号は、「第2変調関数により変調された放射波に応じて」発生され「上記反射された放射波の上記一部分の一部に対応する信号」に相当する。
また、引用発明1において、「コンボリューションによる影響」は、映像I2を用いて映像I1を正規化処理(R=K・I1/I2の処理)した後に、距離映像Rに残っている唯一の影響であり、距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kから、映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができるものであるから、映像中の任意の点が、映像センサの「オン」時間により規定される「所定の距離範囲」内のどの位置にあるかによって変化するものである。したがって、引用発明1の「光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果すなわちコンボリューションによる影響に依存する」は「距離ウインドウ内の地点の位置に対応する」に相当する。
したがって、引用発明1の「光景からの反射光を受け、結果として得られた映像を制御ハードウェア1に格納する映像センサ5であって、高速光源3が動作モード2である時に検出された映像I2を発生し、高速光源3が動作モード1である時に検出された映像I1を第2図の感度「b」の「オン」時間で発生するものであり、映像センサの「オン」時間は距離に依存するものであり」、「映像センサが「オン」されている時間で、光景内における所定の距離範囲を規定しており」、「映像I1は光景内の物体の表面反射率に依存し、物体までの距離に依存し、光景からの反射光パルスの重畳によりひき起されるゲート効果すなわちコンボリューションによる影響にも依存するものであり、映像センサ5から得られる映像の各画素は、光景内の物体まで進み、映像センサ5へ戻るようになっている、高速光源3から発生された光の一部のうち、映像センサ5の各撮像素子に集束される光に関連して発生させられる信号である、映像センサ5」は、「上記情景から反射され、第2変調関数により変調された放射波を検出する検知器であって、上記第2変調関数は、前記情景中の位置からの反射を受ける距離ウインドウを規定し、上記検知器は、上記検知された変調放射波に応じて、上記反射された放射波の上記一部分の一部に対応する信号を発生し、上記一部分の一部は、上記情景中のある地点の距離及び上記距離ウインドウ内の地点の位置に対応し、上記一部分の一部は、上記検知器からの上記信号に関連する、検知器」に相当する。

(4)
引用発明1において、制御ハードウェア1は、映像センサ5からの映像I1、I2を格納するとともに、Rを距離映像、Kを一定である較正係数として、
R=K・I1/I2
であるように、I1/I2の対応する部分の商を形成することにより、距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kから、映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができるものである。
よって、引用発明1の「距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kから、映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができる」「距離映像R」は、本願発明の「上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を示す信号」に相当する。
また、(3)の相当関係から、引用発明1の「映像センサ5」は、本願発明の「検知器」に相当し、引用発明1の「映像信号I1」を構成する各信号は、本願発明の「上記反射された放射波の上記一部分の一部に対応する信号」に相当する。
したがって、引用発明1の「映像センサ5からの前記映像I1、I2を格納するとともに、Rを距離映像、Kを一定である較正係数として、
R=K・I1/I2
であるように、I1/I2の対応する部分の商を形成することにより、距離内の任意の画素に対して、コンボリューション関数の形と全体の較正係数Kから、映像中の任意の点までの距離をRから直接見出すことができ」る「制御ハードウェア1」は、本願発明の「上記検知器からの上記信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を示す信号を生成するために使用される、上記検知器からの上記信号に基づいて画像を形成するプロセッサ」に相当する。

(5)
(3)の相当関係から、引用発明1の「所定の距離範囲」は、本願発明の「距離ウインドウ」に相当する。
また、引用発明1において、映像センサの「オン」が開始するタイミングにより、前記所定の距離範囲における最小の距離が規定され、映像センサが「オン」が終了するタイミングにより、前記所定の距離範囲における最大の距離が規定され、映像I1は、前記所定の距離範囲における最小の距離と最大の距離の間にある物体からの反射光を受信したものであって、前記所定の距離範囲外に位置する物体からの反射光が除去されたものである。
よって、引用発明1の「最小の距離」は、本願発明の「最小距離」に相当し、以下同様に、「最大の距離」は「最大距離」に、「映像I1は、前記所定の距離範囲における最小の距離と最大の距離の間にある物体からの反射光を受信したものであって、前記所定の距離範囲外に位置する物体からの反射光が除去されたものである」は「当該最大及び最小距離の間で反射が受信され、当該最大及び最小距離の外で反射が除去される」に相当する。

(6)
したがって、本願発明と引用発明の両者は、
「情景中の被写体までの距離を示す画像を生成するための装置であって、
第1変調関数を有し、情景に変調された放射波を向かわせる、変調された放射波源であって、該放射波源からの放射波の一部分が、上記情景中の複数地点から反射されて該装置に到達するようになっている、放射波源と、
上記情景から反射され、第2変調関数により変調された放射波を検出する検知器であって、上記第2変調関数は、前記情景中の位置からの反射を受ける距離ウインドウを規定し、上記検知器は、上記検知された変調放射波に応じて、上記反射された放射波の上記一部分の一部に対応する信号を発生し、上記一部分の一部は、上記情景中のある地点の距離及び上記距離ウインドウ内の地点の位置に対応し、上記一部分の一部は、上記検知器からの上記信号に関連する、検知器と、
上記検知器からの上記信号を受信するとともに、上記装置から上記距離ウインドウ内の被写体の距離を示す強度値分布を示す信号を生成するために使用される、上記検知器からの上記信号に基づいて画像を形成するプロセッサとを含み、
最大及び最小距離を有する距離ウィンドウが規定され、当該最大及び最小距離の間で反射が受信され、当該最大及び最小距離の外で反射が除去される
装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明では「該プロセッサにより形成された画像の強度値分布によって示された距離に対応して、上記第1変調関数および第2変調関数の少なくとも一つを変化させて、最大及び最小距離を有する距離ウィンドウを規定するコントローラ」を含んでいるのに対し、引用発明ではそのような発明特定事項が限定されていない点。

6.判断
上記相違点について検討する。
「4 (2B-5)」で述べたとおり、引用刊行物2には、以下の引用発明2が記載されている。
「距離を含む物体の3次元情報を検出することができる画像検出装置であって、
近赤外のパルス光を出力する発光部1と、
2次元アレイにて形成された受光部3と、
受光部3に接続され、与えられた時間窓の間だけ入力された信号を検出する時間窓設定回路43、44と
各部を制御する制御回路7とを含む画像検出装置であって、
パルス発射から反射光検出までの時間Dtを測定することにより物体と装置の距離を測定し、
物体間の距離に対応する時間の前後に幅を設けた時間窓を設定することにより、検出画像に対して、物体と距離が異なる背景の情報を含ませないようにする
画像検出装置。」

そして、引用発明1と引用発明2とは「距離の測定」という同一の技術分野に属し、ともに、2次元画像の各画素についての距離情報を取得するものである。また、引用発明1の「映像センサ5」が「第2図の感度「b」」のタイミングで「オン」されていることと、引用発明2の「受光部3」に設定される「時間窓」が開いていることは、ともに、受光素子における受光時間を所定のタイミングに限定している事項である。
よって、引用発明1において、映像センサ5の「オン」時間は、高速光源3と映像センサ5の長手方向の変位である距離を補償するために再較正の求めに応じて調整可能であるところ、引用発明2の技術を適用して、受光した距離映像Rの強度分布を最適化するように、高速光源3(発光部1)と映像センサ5(受光部3)との距離に応じて、映像センサ5の「オン」時間(時間窓)の設定を自動化すること(画像の強度値分布によって示された距離に対応して第2変調関数を変化させること)は、当業者が容易になし得たことである。

したがって、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項は、当業者が引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に想到し得たことである。

そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明1及び引用発明2から想定することができない格別のものと認めることもできない。

したがって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
したがって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-06 
結審通知日 2011-01-11 
審決日 2011-01-24 
出願番号 特願平9-503437
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮川 哲伸大和田 有軌  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 後藤 亮治
小松 徹三
発明の名称 改善された光学測距カメラ  
代理人 千葉 昭男  
代理人 富田 博行  
代理人 社本 一夫  
代理人 中村 彰吾  
代理人 小野 新次郎  
代理人 小林 泰  
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