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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1237778
審判番号 不服2010-19883  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-03 
確定日 2011-05-30 
事件の表示 特願2010- 20331「景品払出装置、その管理装置および景品管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月30日出願公開、特開2010- 94547〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願の手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成20年 7月17日 原出願(特願2008?185667号)
平成22年 2月 1日 本願出願
平成22年 3月 5日 拒絶理由通知
平成22年 5月 7日 手続補正
平成22年 5月10日 手続補正
平成22年 5月27日 拒絶査定
平成22年 9月 3日 拒絶査定不服審判請求、手続補正
平成22年10月19日 審尋
平成22年12月16日 回答

第二.平成22年9月3日付の手続補正書についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年9月3日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本願補正発明」という。)は次のとおりのものとなった。
「遊技の結果に応じて遊技者に引き渡される景品を払い出す景品払出装置であって、
複数の景品収容部に収容される前記景品を装置外部へ払い出す払出手段と、
前記払出手段によって払い出される景品の複数の払出位置と、
各払出位置に対応して設けられ、前記払出位置から払い出されるべき景品の色を、当該景品が収容されていた景品収容部に基づいて表示可能な払出表示器と、
を備えることを特徴とする、景品払出装置。」
(下線部は補正によって変更又は追加された箇所)

2.補正要件(目的)の検討
請求項1についての補正は、「景品」について、「複数の景品収容部に収容される前記景品」と特定することで、「払出手段」によって装置外部へ払い出される景品の収容場所を特定し、さらに、「景品の色」の表示については、「当該景品が収容されていた景品収容部に基づいて」と追加したものであるから、本件補正は請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に該当する。
3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2007?136244号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機器が設置される遊戯場等に設置され特殊景品等の景品を払い出す景品払出機の景品カートリッジ排出機構および景品カートリッジ排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技ホール、例えばパチンコ店では、遊技客がパチンコ機でパチンコ玉を獲得したり、スロットマシーンでコインを獲得したとき、獲得したパチンコ玉や獲得コインの数に応じて特殊景品を払い出す景品払出機を設置している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この景品払出機において、特殊景品は、景品払出機内に装填された景品カートリッジの景品収納部に収納されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0068】
図1には、本発明の一実施形態における景品払出機10の正面から(遊技客側から)の斜視図が示されている。図2には、背面扉11が閉じられた状態の景品払出機10の背面から(カートリッジ挿入側から)の斜視図が示されている。また、図3には、背面扉11が開かれた状態の景品払出機10の背面から(カートリッジ挿入側から)の斜視図が示されている。
【0069】
図1に示すように、景品払出機10の最上部には、景品払出ユニット14が設けられている。この景品払出ユニット14には、特殊景品Wを排出するための景品払出口15が、景品払出ユニット14の長手方向に6箇所設けられている。この景品払出口15は、特殊景品Wの排出時以外は、景品押出部16の押出面によって閉鎖されている。
【0070】
景品払出口15から景品押出部16によって特殊景品Wが排出される排出天板17には、各景品払出口15に対応して、凹部が設けられ、その凹部に、例えばLEDランプなどで構成される払出口指示点灯部18が配置されている。そして、払出口指示点灯部18を配置した凹部は、排出天板17と凹凸なく平面になるように、例えば透明なアクリル板などで封鎖されている。そして、特殊景品Wが排出される景品払出口15に対応した払出口指示点灯部18が点灯し、遊技者に特殊景品Wが排出される景品払出口15を示している。
【0071】
ここで示した景品払出機10は、6箇所の景品払出口15が設けられているので、最大6種類の特殊景品Wを同時に排出することができる。また、景品払出機10に設けられる景品払出口15は、6箇所に限られるものではなく、例えば、払い出される特殊景品Wの種類によって、景品払出口15の数を増減してもよい。
【0072】
また、景品払出ユニット14の右上面には、払い出される特殊景品Wの種類および数量を表示するための表示部19が設置されている。この表示部19は、例えば液晶モニタなどで構成される。
【0160】
ここで、景品払出機10には、6個の景品カートリッジ13を装填することが可能であるが、ここでは、その内の1個の景品カートリッジ13の装填動作について説明する。なお、他の景品カートリッジ13の装填動作も以下に示す装填動作と同様である。
【0161】
また、6個の景品カートリッジ13内、例えば、2個の景品カートリッジ13には、大景品5000円の特殊景品W、他の2個の景品カートリッジ13には、中景品2500円の特殊景品W、残りの2個の景品カートリッジ13には、小景品100円の特殊景品Wが収納される。
【0162】
図7に示すように、特殊景品Wを収納した景品カートリッジ13を、一端を先端にして景品カートリッジ挿入口12から景品払出機10に挿入する。

摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献1には、
「景品払出機10には、6個の景品カートリッジ13を装填することが可能であり、そのうち、2個の景品カートリッジ13内には、大景品5000円の特殊景品W、他の2個の景品カートリッジ13内には、中景品2500円の特殊景品W、残りの2個の景品カートリッジ13内には、小景品100円の特殊景品Wが収納されるものであり、
前記特殊景品Wを収納した景品カートリッジ13を、一端を先端にして景品カートリッジ挿入口12から景品払出機10に挿入し、
景品払出機10の最上部には、景品払出ユニット14が設けられており、この景品払出ユニット14には、前記特殊景品Wを排出するための景品払出口15が、前記景品払出ユニット14の長手方向に6箇所設けられており、
前記景品払出口15から景品押出部16によって前記特殊景品Wが排出される排出天板17には、各景品払出口15に対応して、凹部が設けられ、その凹部に、例えばLEDランプなどで構成される払出口指示点灯部18が配置されており、該払出口指示点灯部18を配置した前記凹部は、前記排出天板17と凹凸なく平面になるように、例えば透明なアクリル板などで封鎖されており、特殊景品Wが排出される景品払出口15に対応した払出口指示点灯部18が点灯し、遊技者に特殊景品Wが排出される景品払出口15を示すものであり、
6箇所の景品払出口15が設けられているので、最大6種類の特殊景品Wを同時に排出することができる、
景品払出機10。」の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

(2)引用発明と本願補正発明との対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「景品払出機10」は、本願補正発明の「景品払出装置」に相当し、以下同様に、
「6個の景品カートリッジ13」は「複数の景品収容部」に、
「収納される」は「収容される」に、
「特殊景品W」は「景品」に、
「特殊景品Wを排出する」は「景品を装置外部へ払い出す」及び「払い出される」に、
「景品押出部16」は「払出手段」に、
「景品払出口15」は「払出位置」に、
「特殊景品Wが排出される景品払出口15に対応した」は「各払出位置に対応して設けられ」に、
「払出口指示点灯部18」は「払出表示器」に、各々相当する。

さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことが言える。
a.引用発明の「景品払出機10」は、引用文献1の【技術分野】【0001】の記載、【背景技術】【0002】の記載、及びパチンコ店やパチスロ店などに設置される景品払出装置の技術常識を勘案すれば、遊技者がパチンコ遊技やパチスロ遊技を行った結果、遊技者が獲得したパチンコ球やメダルの枚数に応じて遊技者に引き渡される景品を払い出す装置であることは、明らかであるから、引用発明と本願補正発明とは、「遊技の結果に応じて遊技者に引き渡される景品を払い出す景品払出装置」で一致する。

b.引用発明の「払出口指示点灯部18」は特殊景品Wが排出される景品払出口15を点灯により示し、本願補正発明の「払出表示器」は払出位置から払い出されるべき景品の色を表示可能である。
よって両者は、“景品払い出しに関する情報を表示可能”なものである点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「遊技の結果に応じて遊技者に引き渡される景品を払い出す景品払出装置であって、
複数の景品収容部に収容される前記景品を装置外部へ払い出す払出手段と、
前記払出手段によって払い出される景品の複数の払出位置と、
各払出位置に対応して設けられ、景品払い出しに関する情報を表示可能な払出表示器と、
を備える、景品払出装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
「景品払い出しに関する情報」について、本願補正発明の「払出表示器」は、「前記払出位置から払い出されるべき景品の色を、当該景品が収容されていた景品収容部に基づいて表示可能」となっているのに対し、引用発明の「払出口指示点灯部18」は、特殊景品Wが排出される景品払出口15を点灯により示すものであって、景品払出口15から排出される景品の色に関する情報を表示可能としていない点。

(3)相違点の検討及び判断
[相違点について]
特開2007-75644号(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
【0019】
はじめに、このシステムにおいて交換の対象となる「特殊景品」について説明しておく。特殊景品は、遊技場(パチンコ店)において遊技客が獲得した遊技媒体(パチンコ玉)と交換され、遊技場外の景品交換所等において現金に交換可能な景品である。この特殊景品は、種類(交換価値=金額)毎に色の異なる厚さ2?3mmのカード形状をなし、例えば5000円(茶色)・1000円(赤色)・500円(黄色)・100円(白色)の4種類が設定される。
【0027】
景品投出機108は、景品交換管理装置Mに接続され、特殊景品を種類別に収納すると共に、管理装置Mからの指示に基づいて、指示された種類および枚数の特殊景品を自動的に投出する。
【0031】
このうち、記憶部2は、景品交換レート等の設定の他、特殊景品の種類毎に対応する特殊景品と同色ないし同系色に設定された色表示を記憶するようになっている。また、操作部3および通信部4は、遊技媒体の個数を含むデータを入力するデータ入力手段としての機能を有している。
【0034】
次に、店員用表示部5は、制御部1において換算された各特殊景品の個数に応じて、当該特殊景品の種類毎に、記憶部2に記憶された色表示と、個数を示す文字とを表示する表示手段としての機能を有している。この店員用表示部5は、図3(a)に示すように操作部3等と同じ側(店員側)に設けられたカラー表示のタッチパネル式液晶ディスプレイとして構成されている。
【0051】
次に、操作部3の「確定」ボタン(図示せず)が押下されると、管理装置Mからの指令により、景品投出機108から対応する種類と枚数の特殊景品が投出される。店員は、投出された特殊景品の色と、店員用表示部6の色表示i1?i4の色とを比較して、正確に対応する特殊景品が投出されているか否かを確認する。

摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献2には
「特殊景品を種類別に収納し、指示された種類および枚数の特殊景品を自動的に投出する景品投出機108と、投出を指令する特殊景品の色を表示する店員用表示部5を備えた景品交換管理装置M」(以下「引用文献2の技術」という。)が記載されている。
そして、引用文献2の「特殊景品」及び「景品交換管理装置M」は、それぞれ本願補正発明の「景品」及び「景品払出装置」に相当するとともに、引用文献2の「景品投出機108」は、特殊景品を種類別に収納していることから、本願補正発明の「複数の景品収容部」に対応する構成を有することが明らかである。
また、「投出を指令する特殊景品」とは投出されるべき特殊景品であるとともに、その色とは、投出の指令を受ける景品収容部に収容される特殊景品の色にほかならないから、引用文献2記載の技術は、結局、どの景品収容部に投出を指令するかに基づいて、投出されるべき特殊景品の色を表示する技術ということができる。
そうすると、引用発明と引用文献2の技術は、遊技者に引き渡される景品を払い出す景品払出装置であるとともに、景品収容部を有する点でも共通しているので、引用発明に、引用文献2の技術を適用して、特殊景品Wが排出される景品払出口15に対応した払出口指示点灯部18に、排出されるべき特殊景品Wの色を、その景品払出口15に対応する景品カートリッジ13に基づいて表示可能とし、相違点に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者にとって容易に想到しうることである。
さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び引用文献2の技術に基づき、当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおりであるので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反しており、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成22年9月3日付の手続補正書は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年5月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される。以下のとおりのものである。
「遊技の結果に応じて遊技者に引き渡される景品を払い出す景品払出装置であって、
前記景品を装置外部へ払い出す払出手段と、
前記払出手段によって払い出される景品の複数の払出位置と、
各払出位置に対応して設けられ、前記払出位置から払い出されるべき景品の色を表示可能な払出表示器と、
を備えることを特徴とする、景品払出装置。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及び記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明の「景品」について、「複数の景品収容部に収容される」の記載が削除されて、景品の収容場所の特定がなくなり、本願補正発明の「景品の色」の表示については、「当該景品が収容されていた景品収容部に基づいて」の限定がなくなった。
そうすると、本願発明の構成要件の一部を下位概念化するとともに複雑化したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(3)」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-28 
結審通知日 2011-03-31 
審決日 2011-04-12 
出願番号 特願2010-20331(P2010-20331)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西田 光宏香川 沙絵  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 吉村 尚
井上 昌宏
発明の名称 景品払出装置、その管理装置および景品管理システム  
代理人 稲岡 耕作  
代理人 川崎 実夫  

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