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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1237887
審判番号 不服2010-8764  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-23 
確定日 2011-06-09 
事件の表示 特願2004-166218「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月15日出願公開、特開2005-342249〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願の手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成16年 6月 3日 出願
平成21年 6月11日 拒絶理由通知
平成21年 8月 7日 手続補正
平成22年 1月22日 拒絶査定
平成22年 4月23日 拒絶査定不服審判請求、手続補正
平成22年10月19日 審尋
平成22年12月20日 回答書

第2.平成22年4月23日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年4月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技盤面に設けられた第1及び第2の始動入賞口にそれぞれ遊技球が入賞する毎に乱数を取得し、当該乱数に基づき前記遊技盤面に設けられた一の可変入賞口を開放して入賞容易とする特別遊技を実行するか否かを判定し、当該特別遊技を実行するときは第1の始動口に対応する第1の特別図柄または第2の始動口に対応する第2の特別図柄、及びその特別図柄に対応した装飾図柄を決定する図柄変動判定手段と、
前記特別図柄及び前記装飾図柄をそれぞれ表示させる特別図柄表示部及び装飾図柄表示部に、前記図柄変動判定手段により決定された前記特別図柄及び前記装飾図柄、を変動表示させた後に停止表示させる図柄変動演出を制御する図柄表示制御手段と、
前記図柄表示制御手段により停止表示された前記特別図柄及び前記装飾図柄が予め定められた当たり図柄であるときに、前記特別遊技を行わせる特別遊技制御手段とを備えた弾球遊技機であって、
前記第1の特別図柄、第2の特別図柄及び前記装飾図柄は、1つの図柄表示装置に設定された前記特別図柄表示部及び前記装飾図柄表示部に表示され、
前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動をそれぞれ保留し、その保留数を表示すると共に、前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対してそれぞれ決定される第1、第2の特別図柄を予め定められた順番毎に択一的に選択して前記特別図柄表示部に第1、第2の特別図柄を変動表示させることにより前記各始動入賞口に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動保留数を消化し、前記各特別図柄に対して、一の前記装飾図柄表示部に択一的に前記装飾図柄を変動表示させるとともに前記各特別図柄のうちいずれの特別図柄に対応する装飾図柄を変動させているかを表示し、
前記第1の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技と前記第2の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技は、いずれの場合でも装飾図柄表示部に特別遊技を実行することを示す装飾図柄を表示した後に、共通の可変入賞口を開放することで実行され、
一方の特別遊技中には両方の始動口の入賞に基づく特別図柄及び装飾図柄の変動をおこなわないことを特徴とする弾球遊技機。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

上記補正は、補正前請求項1の「少なくとも第1及び第2の始動入賞口」を「第1及び第2の始動入賞口」と限定し、「第1の始動口及び第2の始動口に対応する所定の特別図柄」を「第1の始動口に対応する第1の特別図柄または第2の始動口に対応する第2の特別図柄」と限定し、「前記第1の特別図柄、第2の特別図柄及び前記装飾図柄は、1つの図柄表示装置に設定された前記特別図柄表示部及び前記装飾図柄表示部に表示され、前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動をそれぞれ保留し、その保留数を表示すると共に、」との限定を加入し、「第1、第2の特別図柄を所定の順番毎に択一的に選択して」を「第1、第2の特別図柄を予め定められた順番毎に択一的に選択して」と限定し、「第1、第2の特別図柄を変動表示させるとともに、」を「第1、第2の特別図柄を変動表示させることにより前記各始動入賞口に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動保留数を消化し、」と限定するものであり、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-65695号公報(公開日:平成16年3月4日)(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・【請求項1】
盤面上に遊技球が転動流下する遊技領域が区画形成された遊技盤を備えてなるパチンコ遊技機において、
遊技領域を、上部に連通口を備える上下方向の領域遮断線部により、左右の第一の部分遊技領域と第二の部分遊技領域とに区分し、
第一の部分遊技領域に、遊技球通過を検知する第一始動領域と、遊技者に利得をもたらす第一の大当り遊技作動を発生させる第一大当り遊技作動部材とを設け、第二の部分遊技領域に、遊技球通過を検知する第二始動領域と、遊技者に利得をもたらす第二の大当り遊技作動を発生させる第二大当り遊技作動部材とを設け、
さらに、遊技領域に、第一始動領域での遊技球通過を契機として選出図柄を変動表示する第一図柄表示形態と、第二始動領域での遊技球通過を契機として選出図柄を変動表示する第二図柄表示形態とを表示実行する図柄表示装置を設け、
第一始動領域への遊技球通過を契機として、図柄表示装置の第一図柄表示形態で選出図柄を変動停止する図柄生成行程を実行し、さらに第二始動領域への遊技球通過を契機として、図柄表示装置の第二図柄表示形態で選出図柄を変動停止する図柄生成行程を実行する図柄制御手段と、
第一図柄表示形態で確定される確定図柄態様が所定の当り図柄態様である場合に、第一大当り遊技作動部材を駆動して、遊技者に利得をもたらす第一の大当り遊技作動を発生させ、さらに第二図柄表示形態で確定される確定図柄態様が所定の当り図柄態様である場合に、第二大当り遊技作動部材を駆動して、遊技者に利得をもたらす第二の大当り遊技作動を発生させる遊技制御手段
とを備えたことを特徴とするパチンコ遊技機。
・【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照して説明する。
本実施例は、第一種パチンコ遊技機の機能(以下第一種パチンコ遊技形態という)と、第三種パチンコ遊技機の機能(以下第三種パチンコ遊技形態という)を兼ね備えたパチンコ遊技機に関するものであって、・・・
・【0038】
本発明はかかる遊技開口20の拡大に基づき、遊技領域7上で多様な遊技形態を実現し得るようにしたものである。かかる構成を説明する。
図6は遊技盤5の正面図である。遊技盤面上には長尺状の金属片からなるガイドレール27を湾曲して取り付けることにより、遊技領域7が区画形成されている。
・【0040】
ここで領域遮断線部50を分断するようにして、遊技領域7の上部中央には液晶表示装置等からなる図柄表示領域を有する図柄表示装置6が配設されている。この図柄表示装置6は、・・・その図柄表示領域には左側に三つの選出図柄(特別図柄)A,B,Cを変動表示する第一の図柄表示態様と、右側に三つの選出図柄X,Y,Zを変動表示するが第二の図柄表示態様とが表示実行される。・・・図柄表示装置6の上部左には、四個のパイロットランプからなる第一始動記憶数表示装置8が設けられる。
・【0041】
・・・図柄表示装置6の上部右には、四個のパイロットランプからなる第二始動記憶数表示装置33が設けられる。
・【0049】
図14は、本発明にかかるパチンコ遊技機1の遊技作動を制御する制御回路を示すものである。すなわち、この制御回路により本発明の遊技制御手段が構成される。
・【0060】
まず、第一種パチンコ遊技形態につき説明する。
遊技球が発射装置より遊技盤5に発射され、遊技球が比較的弱く発射されると、第一の部分遊技領域7a内で転動する。そして該遊技球が、第一始動領域14を通過し、始動スイッチS1がオン作動すると、この信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が認識する。この信号により、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、記憶装置ROMに記憶されている各種乱数テーブル、すなわち、当り図柄乱数テーブルL1、ハズレ図柄乱数テーブルMa1 ,Mb1 ,Mc1 、リーチ乱数テーブルN1、リーチ図柄乱数テーブルP1、リーチ態様乱数テーブルQ1等から乱数値を抽出し、各抽出値を一旦、記憶装置RAMに格納する。さらには、始動スイッチS1,S2のオン信号に基づき、払出制御基板65は、・・・賞球ユニットのソレノイドを作動させて所定数量の賞球を払い出す。
・【0061】
なお、遊技球が第一始動領域14に連続的に通過した場合には、始動スイッチS1による遊技球検出が主制御基板60の記憶装置RAMに記憶され、その記憶に基づいて上述したように第一始動記憶数表示装置8の発光ダイオードLEDが4個を限度として点灯する。そして、この発光ダイオードLEDは、図柄表示装置6で図柄変動が開始さする都度消灯されることにより、記憶数の減少を遊技者に報知する。
・【0062】
また、始動スイッチS1のオン作動もしくは、第一始動記憶数表示装置8に表示される通過記憶数が消化されることにより、図柄表示装置6の図柄表示領域上で選出図柄A,B,Cが変動開始される。さらに詳しく述べると、遊技球が、図柄停止中に第一始動領域14へ通過した場合は、かかる始動スイッチS1のオン作動により、選出図柄A,B,Cを変動開始する。また、遊技球が、図柄変動中に第一始動領域14へ通過した場合は、現在進行中の図柄生成行程終了後に通過記憶数が消化されることにより、選出図柄A,B,Cを変動開始する。
・【0063】
図柄変動契機となる始動スイッチS1のオン作動、もしくは通過記憶がある場合の、主制御用中央制御装置CPUの制御内容を説明する。
かかる契機により図柄変動が開始されると、主制御用中央制御装置CPUは、当り特別乱数テーブルK1から抽出された乱数値について当りかハズレかを判定し、当り図柄乱数テーブルL1、ハズレ図柄乱数テーブルMa1 ,Mb1 ,Mc1 のいずれかを有効とする。また、リーチ乱数テーブルN1から抽出された乱数値の内容に従ってリーチとするかどうかを判定し、リーチの場合にはリーチ図柄乱数テーブルP1、リーチ態様乱数テーブルQ1を有効とする。そして、これらから抽出された乱数値に基づき図柄生成行程で描出される特別図柄A,B,Cの態様、及び演出態様を選定し、図柄表示装置6の図柄表示領域中で、通常左半分領域で実行される第一の図柄表示態様を制御するための図柄制御指令信号を図柄表示制御基板62に送信する。
・【0064】
前記の図柄制御指令信号を受けた図柄表示制御基板62の図柄制御用中央制御装置CPUは、図柄制御指令信号に従って、記憶装置ROMに記憶されている所定の表示プログラムを用いて、図柄表示装置6で演出する選出図柄A,B,Cの各図柄表示態様を決定する。そして、この図柄表示態様に従って選出図柄A,B,Cを順次停止し、選出図柄A,B,Cを確定表示する。
・【0065】
さらに、選出図柄A,B,Cが、所定の当たり図柄態様である場合に、主制御基板60は、盤面中継基板61を介して第一大入賞口ソレノイドを駆動して、可変入賞装置22の第一大入賞口23を開放する。そして、第一大入賞口23に遊技球が流入し、この第一大入賞口23内の特定領域スイッチS3やカウントスイッチS4がオン作動されると、その信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が確認し、必要に応じて、図柄表示制御基板62や払出制御基板65に制御指令を発信して、一連の第一大当り遊技作動が実行される。
・【0072】
次に、第三種パチンコ遊技形態につき説明する。
遊技球が発射装置より遊技盤5に発射され、遊技球が強く打ち出されると、領域遮断線部50上の連通口51から第二の部分遊技領域7b側へ打ち出される。そして、その遊技球が、第二始動領域32を通過して、始動スイッチS10がオン作動すると、この信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が認識する。この信号により、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、記憶装置ROMに記憶されている当り図柄乱数テーブルL2、ハズレ図柄乱数テーブルMa2 ,Mb2 ,Mc2 、リーチ乱数テーブルN2、リーチ図柄乱数テーブルP2、リーチ態様乱数テーブルQ2等の各種乱数テーブルから乱数値を抽出し、各抽出値を一旦、記憶装置RAMに格納する。さらには、始動スイッチS10のオン信号に基づき、払出制御基板65は、賞球ユニットのソレノイドを作動させて所定数量の賞球を払い出す。
・【0073】
なお、遊技球が第二始動領域32に連続的に通過した場合には、始動スイッチS10による遊技球検出が主制御基板60の記憶装置RAMに記憶され、その記憶に基づいて上述したように、第二始動記憶数表示装置33の発光ダイオードLEDが4個を限度として点灯する。そして、この発光ダイオードLEDは、図柄表示装置6で図柄変動する都度消灯されることにより、記憶数の減少を遊技者に報知する。
・【0074】
また、始動スイッチS10のオン作動もしくは、第二始動記憶数表示装置33に表示される通過記憶数が消化されることにより、図柄X,Y,Zが変動開始される。
・【0075】
図柄変動契機となる始動スイッチS10のオン作動、もしくは通過記憶がある場合の、主制御用中央制御装置CPUの制御内容を説明する。かかる契機により図柄変動が開始されると、主制御用中央制御装置CPUは、当り特別乱数テーブルK2から抽出された乱数値について当りかハズレかを判定し、当り図柄乱数テーブルL2、ハズレ図柄乱数テーブルMa2 ,Mb2 ,Mc2 のいずれかを有効とする。また、リーチ乱数テーブルN2から抽出された乱数値の内容に従ってリーチとするかどうかを判定し、リーチの場合にはリーチ図柄乱数テーブルP2、リーチ態様乱数テーブルQ2を有効とする。そして、これらから抽出された乱数値の内容に従って図柄生成行程で描出される図柄X,Y,Zの態様、及び演出態様を選定し、図柄表示装置6で実行される図柄表示態様を制御するための図柄制御指令信号を図柄表示制御基板62に送信する。
・【0076】
前記の図柄制御指令信号を受けた図柄表示制御基板62の図柄制御用中央制御装置CPUは、図柄制御指令信号に従って、記憶装置ROMに記憶されている所定の表示プログラムを用いて、図柄表示装置6で演出する図柄X,Y,Zの各図柄表示態様を決定する。そして、この図柄表示態様に従って図柄X,Y,Zを順次停止し、確定表示する。
・【0077】
さらに、図柄X,Y,Zが、所定の当たり図柄態様である場合に、権利発生役物35はその上部に開閉翼片対36,36を備え、常時遮蔽位置に保持されると共に、図柄表示装置6が当たり表示すると開放駆動し、その内部の特別作動領域38への球流入が可能となる。そして該特別作動領域38への球通過により大当り遊技作動が実行される。
・【0078】
そして第一の部分遊技領域7bに配設された遅延役物40の孔に球が流入し、回転チャッカー41の回転に伴って、球が遅延役物40内の特定領域を通過すると、特定領域スイッチS12のオン動作により、開閉入賞装置42の蓋が開放駆動して可変入賞口43が所定時間開口することとなり、開閉ラウンドが開始される。そしてさらに、開閉入賞装置42の盖が開放駆動して可変入賞口43が所定時間開口することとなる。この可変入賞口43に10個の球が流入したときには、開放作動中であっても、その開放動作が終了する。そして、回転チャッカー41の駆動により、再び特定領域に遊技球が通過すると次の開閉ラウンドが開始され、可変入賞口43が所定時間開口することとなる。ここで、特定領域スイッチS13の遊技球検出作動により、遅延役物40の特定領域へ、通常では10個の遊技球が入賞したときに、大当り遊技作動が終了する。すなわち通常では開閉ラウンドは10回となる。このように開閉ラウンドが繰り返されて、遊技者に所定の利得が供される(第三大当り遊技作動)。
・【0087】
このほか、単一の図柄表示領域Fを用いて、二つの図柄表示形態を実行するものであるから、二種類の遊技形態を関係付けることにより、種々の図柄表示形態を実行することができる。例えば、図12で示すように、図柄表示領域Fには単一の図柄表示形態γを順次実行し、左右のいずれかの遊技形態を該単一図柄表示形態γに割り当てるようにしても良い。かかる構成にあっては、あらかじめ、第一種遊技形態と、第二種遊技形態における図柄形態を同一として、いずれかの始動記憶を交互または始動記憶が多いものから(その他種々の消化優先順位が設定される)順次実行消化して、変動表示する。この場合に、大当りとなっても、どちらの遊技種で大当りとなったかは遊技者に直ぐ判定できず、大当り遊技作動の実行により理解される場合もあり、遊技者の期待感を昂揚させることができる。尚、報知図形を表示領域に表示することにより、いずれの遊技形態が大当りとなったかを容易に知得できるようにしても良い。かかる構成にあっては、単一の図柄表示形態が実行されるため、始動記憶の消化速度が従来と同じとなり、記憶満杯後の始動領域通過に伴う記憶無効の発生率が高まるが、二種類の遊技を併存させた構成と、遊技者に付与される利得とが調和する利点がある。

そして、段落【0087】に記載された「例えば、図12で示すように、図柄表示領域Fには単一の図柄表示形態γを順次実行し、左右のいずれかの遊技形態を該単一図柄表示形態γに割り当てるようにしても良い。かかる構成にあっては、あらかじめ、第一種遊技形態と、第二種遊技形態における図柄形態を同一として、いずれかの始動記憶を交互または始動記憶が多いものから(その他種々の消化優先順位が設定される)順次実行消化して、変動表示する。」なる構成を採用すると、以上の記載事項を含む全記載及び図示によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「パチンコ遊技機1の遊技作動を制御する制御回路により構成された遊技制御手段を備え、
遊技盤面上に区画形成された遊技領域7に設けられた第一始動領域14及び第二始動領域32をそれぞれ遊技球が通過する毎に乱数値が抽出されるとともに所定数量の賞球が払い出され、抽出された乱数値について当りかハズレかを判定し、当りの場合は第一始動領域に対応する選出図柄A、B、C又は第二始動領域に対応する図柄X、Y、Zを所定の当たり図柄態様として決定し、
選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zを表示する図柄表示領域Fに、決定された選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zを変動表示させた後に停止させて確定表示させ、
停止させて確定表示させた選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zが所定の当たり図柄態様である場合に、可変入賞装置22を開放するか又は特別作動領域38への球通過後の遅延役物40の孔への球流入に基づいて開閉入賞装置42を開放させる、
パチンコ遊技機1であって、
選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zは、1つの図柄表示装置6の図柄表示領域Fに表示され、
第一始動領域14及び第二始動領域32への遊技球の通過に対する選出図柄A、B、C及び図柄X、Y、Zの変動表示をそれぞれ記憶し、その記憶に基づいて第一始動記憶数表示装置8及び第二始動記憶数表示装置33の発光ダイオードLEDが点灯するとともに図柄変動が開始する都度消灯して記憶数の減少を遊技者に報知し、第一始動領域14への遊技球の通過に基づく第一種遊技形態と第二始動領域32への遊技球の通過に基づく第二種遊技形態とのいずれかの始動記憶を交互または始動記憶が多いものから順次実行消化して、変動表示し、
第一始動領域14への遊技球の通過に基づく当りの場合は可変入賞装置22を開放し、第二始動領域32への遊技球の通過に基づく当りの場合は開閉入賞装置42を開放する、
パチンコ遊技機1。」(以下、「引用発明」という。)

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「乱数値」は本願補正発明の「乱数」に相当し、以下同様に、「乱数値が抽出される」は「乱数を取得し」に、「選出図柄A、B、C」は「第1の特別図柄」に、「図柄X、Y、Z」は「第2の特別図柄」に、「図柄表示領域F」は「特別図柄表示部」に、「停止させて確定表示させ」は「停止表示させる」に、「所定の当たり図柄態様」は「予め定められた当たり図柄」に、「可変入賞装置22」及び「開閉入賞装置42」は「可変入賞口」に、「パチンコ遊技機」は「弾球遊技機」に、「記憶し」は「保留し」に、「記憶数」は「保留数」に、「交互または・・・多いものから順次」は「予め定められた順番毎に択一的に選択して」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明について、以下のことがいえる。
(1)「パチンコ遊技機1の遊技作動を制御する制御回路により構成された遊技制御手段を備え」について
当該「遊技制御手段」が遊技作動における各機能の実現手段(本願補正発明の「図柄変動判定手段」、「図柄表示制御手段」、「特別遊技制御手段」に相当)となっていることは自明である。
(2)「遊技盤面上に区画形成された遊技領域7に設けられた第一始動領域14及び第二始動領域32をそれぞれ遊技球が通過する毎に乱数値が抽出されるとともに所定数量の賞球が払い出され、抽出された乱数値について当りかハズレかを判定し、当りの場合は第一始動領域に対応する選出図柄A、B、C又は第二始動領域に対応する図柄X、Y、Zを所定の当たり図柄態様として決定し」について
「第一始動領域14」及び「第二始動領域32」は、遊技球が通過すると図柄変動を始動させるものであり、かつ所定数量の賞球を払い出させるものであるから、それぞれ本願補正発明の「第1の始動入賞口」及び「第2の始動入賞口」に相当する。
また、引用発明は、当りの場合に可変入賞装置22を開放するものであるが、その時に遊技者が遊技を行うことは当然のことであるから、その時の遊技は本願補正発明の「可変入賞口を開放して入賞容易とする特別遊技」に相当する。同様に、開閉入賞装置42を開放させた時の遊技は本願補正発明の「可変入賞口を開放して入賞容易とする特別遊技」に相当する。そして、そのような当りかハズレかを判断するということは、「特別遊技を実行するか否かを判定」しているといいかえることができる。
更に、第一始動領域に対応する選出図柄A、B、C又は第二始動領域に対応する図柄X、Y、Zについて所定の当たり図柄態様として決定することは、本願補正発明の「当該特別遊技を実行するときは第1の始動口に対応する第1の特別図柄または第2の始動口に対応する第2の特別図柄を決定する」に相当する。
そうすると、引用発明と本願補正発明は、「遊技盤面に設けられた第1及び第2の始動入賞口にそれぞれ遊技球が入賞する毎に乱数を取得し、当該乱数に基づき前記遊技盤面に設けられた可変入賞口を開放して入賞容易とする特別遊技を実行するか否かを判定し、当該特別遊技を実行するときは第1の始動口に対応する第1の特別図柄または第2の始動口に対応する第2の特別図柄を決定する図柄変動判定手段」を備えた点で共通している。
(3)「選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zを表示する図柄表示領域Fに、決定された選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zを変動表示させた後に停止させて確定表示させ」について
選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zを変動表示させた後に停止させて確定表示させることは、「図柄変動演出を制御」しているということができるから、引用発明と本願補正発明は、「前記特別図柄を表示させる特別図柄表示部に、前記図柄変動判定手段により決定された前記特別図柄を変動表示させた後に停止表示させる図柄変動演出を制御する図柄表示制御手段」を備えた点で共通している。
(4)「停止させて確定表示させた選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zが所定の当たり図柄態様である場合に、可変入賞装置22を開放するか又は特別作動領域38への球通過後の遅延役物40の孔への球流入に基づいて開閉入賞装置42を開放させる、パチンコ遊技機1であって」について
「停止させて確定表示させた選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zが所定の当たり図柄態様である場合に、」は、本願補正発明の「停止表示された前記特別図柄が予め定められた当たり図柄であるときに、」に相当し、その停止制御は図柄表示制御手段により行われる点で引用発明と本願補正発明が共通することは(3)で上記したとおりであり、更に「可変入賞装置22を開放するか又は・・開閉入賞装置42を開放させる」ことが「特別遊技」に相当することは(2)で上記したとおりである。
そうすると、引用発明と本願補正発明は、「前記図柄表示制御手段により停止表示された前記特別図柄が予め定められた当たり図柄であるときに、前記特別遊技を行わせる特別遊技制御手段とを備えた弾球遊技機」である点で共通している。
(5)「選出図柄A、B、C又は図柄X、Y、Zは、1つの図柄表示装置6の図柄表示領域Fに表示され」について
「図柄表示領域F」は「図柄表示装置6」に設定されたものといえるから、引用発明と本願補正発明は「前記第1の特別図柄、第2の特別図柄は、1つの図柄表示装置に設定された前記特別図柄表示部に表示され」る点で共通している。
(6)「第一始動領域14及び第二始動領域32への遊技球の通過に対する選出図柄A、B、C及び図柄X、Y、Zの変動表示をそれぞれ記憶し、その記憶に基づいて第一始動記憶数表示装置8及び第二始動記憶数表示装置33の発光ダイオードLEDが点灯するとともに図柄変動が開始する都度消灯して記憶数の減少を遊技者に報知し、第一始動領域14への遊技球の通過に基づく第一種遊技形態と第二始動領域32への遊技球の通過に基づく第二種遊技形態とのいずれかの始動記憶を交互または始動記憶が多いものから順次実行消化して、変動表示し」について
第一始動記憶数表示装置8及び第二始動記憶数表示装置33の発光ダイオードLEDは、選出図柄A、B、C及び図柄X、Y、Zの変動表示の記憶に基づいて点灯するとともに図柄変動が開始する都度消灯するものであるから、「その保留数を表示」するものということができ、「第1、第2の特別図柄を変動表示させることにより前記各始動入賞口に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動保留数を消化」するものといえる。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動をそれぞれ保留し、その保留数を表示すると共に、前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対してそれぞれ決定される第1、第2の特別図柄を予め定められた順番毎に択一的に選択して前記特別図柄表示部に第1、第2の特別図柄を変動表示させることにより前記各始動入賞口に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動保留数を消化し」に相当する構成を実質的に具備している。
(7)「第一始動領域14への遊技球の通過に基づく当りの場合は可変入賞装置22を開放し、第二始動領域32への遊技球の通過に基づく当りの場合は開閉入賞装置42を開放する」について
「可変入賞装置22」及び「開閉入賞装置42」は、「可変入賞口」に相当するものであるから、「共通する」か否かはさておき、引用発明と本願補正発明は、「前記第1の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技と前記第2の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技は、可変入賞口を開放することで実行され」る点において共通している。

そうすると、両者は、
「遊技盤面に設けられた第1及び第2の始動入賞口にそれぞれ遊技球が入賞する毎に乱数を取得し、当該乱数に基づき前記遊技盤面に設けられた可変入賞口を開放して入賞容易とする特別遊技を実行するか否かを判定し、当該特別遊技を実行するときは第1の始動口に対応する第1の特別図柄または第2の始動口に対応する第2の特別図柄を決定する図柄変動判定手段と、
前記特別図柄を表示させる特別図柄表示部に、前記図柄変動判定手段により決定された前記特別図柄を変動表示させた後に停止表示させる図柄変動演出を制御する図柄表示制御手段と、
前記図柄表示制御手段により停止表示された前記特別図柄が予め定められた当たり図柄であるときに、前記特別遊技を行わせる特別遊技制御手段とを備えた弾球遊技機であって、
前記第1の特別図柄、第2の特別図柄は、1つの図柄表示装置に設定された前記特別図柄表示部に表示され、
前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動をそれぞれ保留し、その保留数を表示すると共に、前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対してそれぞれ決定される第1、第2の特別図柄を予め定められた順番毎に択一的に選択して前記特別図柄表示部に第1、第2の特別図柄を変動表示させることにより前記各始動入賞口に対する前記第1及び第2の特別図柄の変動保留数を消化し、
前記第1の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技と前記第2の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技は、可変入賞口を開放することで実行される、
弾球遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
第1及び第2の始動入賞口にそれぞれ遊技球が入賞する毎に取得された乱数に基づき決定された入賞容易とする特別遊技において開放される遊技盤面に設けられた可変入賞口が、本願補正発明では「一の」ものであるのに対し、引用発明では第1及び第2の始動入賞口に対応して2つある点。
<相違点2>
第1の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技と第2の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技が、本願補正発明では「共通の可変入賞口を開放することで実行」されるのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点3>
第1の始動口に対応する第1の特別図柄または第2の始動口に対応する第2の特別図柄を決定する図柄変動判定手段が、本願補正発明ではその特別図柄に対応した装飾図柄も決定するのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点4>
図柄表示制御手段が制御する図柄変動演出として、本願補正発明では装飾図柄を表示させる装飾図柄表示部に、図柄変動決定判定手段により決定された装飾図柄を変動表示させた後に停止表示させる図柄変動演出を含むものであるのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点5>
本願補正発明では装飾図柄は前記特別図柄表示部が設定された1つの図柄表示装置に設定された装飾図柄表示部に表示されるのに対し、引用発明では装飾図柄がない点。
<相違点6>
本願補正発明では各特別図柄に対して一の前記装飾図柄表示部に択一的に前記装飾図柄を変動表示させるのに対し、引用発明では装飾図柄がない点。
<相違点7>
本願補正発明では特別遊技はいずれの場合でも装飾図柄表示部に特別遊技を実行することを示す装飾図柄を表示した後に実行するのに対し、引用発明では装飾図柄がない点。
<相違点8>
本願補正発明では各特別図柄に対して一の前記装飾図柄表示部に各特別図柄のうちいずれの特別図柄に対応する装飾図柄を変動させているかを表示するのに対し、引用発明ではそのような構成でない点。
<相違点9>
本願補正発明では一方の特別遊技中には両方の始動口の入賞に基づく特別図柄及び装飾図柄の変動をおこなわないのに対し、引用発明ではそのような構成であるか不明な点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
<相違点1、2>について
相違点1、2は関連しているので、あわせて検討する。
弾球遊技機において、2つの始動入賞口及び「一の」又は「共通の」可変入賞口を有し、いずれかの始動入賞口への入賞に基づく大当り(特別遊技)を実行する場合に、「一の」又は「共通の」可変入賞口を開放することは、特開2004-121729号公報、特開2003-230711号公報に示されるように従来周知技術である。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用して、その可変入賞装置22及び開閉入賞装置42を「一の」又は「共通の」ものとし、相違点1、2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。
<相違点3?7>について
相違点3?7は関連しているのであわせて検討する。
原査定の理由に引用された特開平9-56890号公報には、本図柄(本願補正発明の「特別図柄」に相当)及びそれに対応する疑似図柄(「装飾図柄」に相当)を、それぞれ1つの液晶表示盤152(「図柄表示装置」に相当)の本図柄表示部168(「特別図柄表示部」に相当)及び疑似図柄表示部166(「装飾図柄表示部」に相当)において可変表示させることが記載されており、弾球遊技機において特別図柄及びこれに対応する装飾図柄を1つの図柄表示装置の特別図柄表示部及び装飾図柄表示部において可変表示することは従来周知技術と認められる。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用して、図柄変動判定手段が装飾図柄を決定するようにし(相違点3)、可変表示する特別図柄に対応して装飾図柄を可変表示させ(相違点4、6)、特別図柄が当たり図柄であるときにそれに対応して特別図柄を実行することを示す装飾図柄を表示させ(相違点7)、特別図柄及び装飾図柄を1つの図柄表示装置である図柄表示装置6において表示させる(その表示される部位は「特別図柄表示部」及び「装飾図柄表示部」となる)(相違点5)こととし、相違点3?7に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。
<相違点8>について
弾球遊技機において、いずれの始動入賞口への入賞に基づく図柄の変動であるかを表示することは、特開2003-230711号公報(段落【0132】?【0138】、【0142】参照)、特開2001-259179号公報(段落【0029】、【0031】、【0037】参照)に示されるように従来周知技術である。
そうすると、相違点3?7について検討したように、引用発明の特別図柄に対応して装飾図柄を変動表示させるようにする際に、上記周知技術を採用して、遊技者が注目する装飾図柄の変動がどちらの始動入賞に基づくか表示するようにすることにより、相違点8に係る本願補正発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。
<相違点9>について
弾球遊技機において、大当り中に図柄の変動表示を行わないことは、従来慣用技術に過ぎないから、引用発明において特別遊技中に図柄の変動を行わないことは単なる設計事項に過ぎない。

(予備的検討)
引用発明は、第二始動領域32への遊技球の通過に基づく当りの場合、特別作動領域38への球通過の後遅延役物40の孔への球流入に基づいて開閉入賞装置42を開放させるものであるが、本願補正発明は乱数に基づく特別遊技の実行の決定を構成とするものの、特別遊技の実行に関し他の構成(「特別作動領域38への球通過後の遅延役物40の孔への球流入」)が介在することを排除しているものではないから、引用発明の第二始動領域32に関する当りと本願補正発明の第2始動入賞口に関する特別遊技は、乱数に基づいて特別遊技の実行を決定している点で相違はない。
しかしながら、出願人は、審判請求書(7頁下から2行?8頁1行)において、本願は第1種弾球遊技機の構成を2つ設けたものである旨主張しているので、予備的に検討する。
仮に、本願補正発明が第2の始動入賞口へ遊技球が入賞する毎に取得された乱数に基づき判定した結果が特別遊技を実行する場合に他の構成(特別作動領域38への球通過の後遅延役物40の孔への球流入)を介在させずに可変入賞口を開放するものであるとすると、引用発明は第二始動領域32をそれぞれ遊技球が通過する毎に抽出された乱数値が当りの場合に特別作動領域38への球通過の後遅延役物40の孔への球流入に基づいて開閉入賞装置42を開放させる点で相違している。しかしながら、始動入賞口への入球を契機に取得された乱数に基づく判定結果のみにより特別遊技の実行を決定することは、第1種弾球遊技機の当り判定手段として広く知られたものであるから、これを引用発明の第二始動領域32に基づく当り判定手段として採用することは当業者にとって想到容易である。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明、上記各周知技術及び慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、上記各周知技術及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明
1.本願発明の認定
平成22年4月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年8月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技盤面に設けられた少なくとも第1及び第2の始動入賞口にそれぞれ遊技球が入賞する毎に乱数を取得し、当該乱数に基づき前記遊技盤面に設けられた一の可変入賞口を開放して入賞容易とする特別遊技を実行するか否かを判定し、当該特別遊技を実行するときは第1の始動口及び第2の始動口に対応する所定の特別図柄及びその特別図柄に対応した装飾図柄を決定する図柄変動判定手段と、
前記特別図柄及び前記装飾図柄をそれぞれ表示させる特別図柄表示部及び装飾図柄表示部に、前記図柄変動判定手段により決定された前記特別図柄及び前記装飾図柄、を変動表示させた後に停止表示させる図柄変動演出を制御する図柄表示制御手段と、
前記図柄表示制御手段により停止表示された前記特別図柄及び前記装飾図柄が予め定められた当たり図柄であるときに、前記特別遊技を行わせる特別遊技制御手段とを備えた弾球遊技機であって、
前記第1及び第2の各始動入賞口の入賞に対してそれぞれ決定される第1、第2の特別図柄を所定の順番毎に択一的に選択して前記特別図柄表示部に第1、第2の特別図柄を変動表示させるとともに、前記各特別図柄に対して、一の前記装飾図柄表示部に択一的に前記装飾図柄を変動表示させるとともに前記各特別図柄のうちいずれの特別図柄に対応する前記装飾図柄を変動させているかを表示し、
前記第1の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技と前記第2の始動入賞口への入賞に基づく特別遊技は、いずれの場合でも装飾図柄表示部に特別遊技を実行することを示す装飾図柄を表示した後に、共通の可変入賞口を開放することで実行され、
一方の特別遊技中には両方の始動口の入賞に基づく特別図柄及び装飾図柄の変動をおこなわないことを特徴とする弾球遊技機。」

2.進歩性の判断
(1)引用文献
拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の2.に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から、前記第2の1.に記載した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の4.に記載したとおり、引用発明、上記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、上記各周知技術及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記各周知技術及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-31 
結審通知日 2011-04-12 
審決日 2011-04-25 
出願番号 特願2004-166218(P2004-166218)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 綾子  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 澤田 真治
小原 博生
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 栗原 聖  

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