• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16H
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F16H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16H
管理番号 1237898
審判番号 不服2010-19936  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-03 
確定日 2011-06-09 
事件の表示 特願2006-28892号「デファレンシャル装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年9月14日出願公開、特開2006-242377号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成18年2月6日(優先権主張平成17年2月4日)の出願であって、平成22年6月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年9月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、明細書及び特許請求の範囲についての手続補正がなされたものである。

II.平成22年9月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年9月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「原動機からの駆動力で回転すると共に潤滑油が流入するデフケースと、前記デフケースと一体に回転すると共に自転可能にデフケース内に収容された差動ギヤと、前記差動ギヤと噛み合うと共に差動する一対の出力ギアとからなる差動機構と、前記デフケースと出力ギアとの間の差動回転を制限する制限力を発生させる摩擦部を有する差動制限機構とを備えたデファレンシャル装置であって、
前記摩擦部は、前記出力ギヤの外周面に形成された第1の摩擦部と、前記デフケースとの連結部を有すると共にテーパリング状をなす摩擦部材の内周面に形成され、前記第1の摩擦部に対向した第2の摩擦部とからなり、
前記第2の摩擦部に前記潤滑油を保持する潤滑油保持手段を設け、
前記潤滑油保持手段は、前記第2の摩擦部の表面に広範囲に分散して形成された複数の微細な凹みであって、
前記複数の微細な凹みは、ショットブラスト処理によって前記第2の摩擦部の表面に広範囲に不規則に形成された多数のディンプルであることを特徴とするデファレンシャル装置。」(なお、下線部は補正箇所を示す。)
上記補正は、出願当初の明細書における「潤滑油保持手段23は、熱処理前に、テーパーリング15の摩擦部16の摺動面を300ηmの粒子外径程度、あるいは、それ以下の粒径のショットを用いてショットブラスト処理し、広範囲に多数の凹み51(ディンプル)を形成し所望の面粗度を与え、不規則でランダムな凹凸形状の摺動面形状が形成されたものであり」(段落【0026】)との記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。また、上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の微細な凹み」について、「前記複数の微細な凹みは、ショットブラスト処理によって前記第2の摩擦部の表面に広範囲に不規則に形成された多数のディンプルである」との限定を付加したものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平10-311403号公報(以下、「引用例」という。)には、「デファレンシャル装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「【0033】デフケース3はデフキャリヤの内部に配置されており、左右のボス部11、13はぞれぞれベアリングを介してデフキャリヤに支承されている。このデフキャリヤにはオイル溜りが設けられており、ボス部11、13の内周にはこのオイル溜りからデフケース3の内部にオイルを導く螺旋状のオイル溝15、17が設けられている。
【0034】デフケース3にはリングギヤがボルトで固定されており、このリングギヤは駆動力伝達系の駆動ギヤと噛み合っている。こうして、デフケース3はエンジンの駆動力によりこの駆動力伝達系を介して回転駆動される。
【0035】デフケース3の内部にはピニオンシャフト19が配置されており、ピニオンシャフト19は端部をデフケース3の貫通孔21に嵌合し、スプリングピン23で廻り止めされている。ピニオンシャフト19上にはピニオンギヤ25が回転自在に支承されている。ピニオンギヤ25には左右から出力側のサイドギヤ27、29が噛み合っており、各サイドギヤ27、29はそれぞれの車軸に移動自在にスプライン連結されている。」
イ.「【0038】こうして、ベベルギヤ式の差動ギヤ機構33が構成されている。デフケース3を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンシャフト19からピニオンギヤ25を介してサイドギヤ27、29に分配され、各車軸を介して左右の車輪に伝達される。又、例えば悪路走行中に、各車輪間に駆動抵抗差が生じると、各ピニオンギヤ25の自転によってエンジンの駆動力は左右各側に差動分配される。」
ウ.「【0039】各サイドギヤ27、29とデフケース3との間にはそれぞれ円錐クラッチ35、37(クラッチ)が形成されている。サイドギヤ27側の円錐クラッチ35はカバー7とサイドギヤ27にそれぞれ形成された円錐面39、41(傾斜面)から構成され、サイドギヤ29側の円錐クラッチ37はケーシング本体5とサイドギヤ29にそれぞれ形成された円錐面43、45(傾斜面)から構成されている。
【0040】上記のような表面処理によって、デフケース3側の円錐面39、43とサイドギヤ27、29側の円錐面41、45の摩擦係数はほぼ等しくされている。
【0041】又、円錐クラッチ35の円錐面39、41と円錐クラッチ37の円錐面43、45との間には、図4と図5に示すテーパーリング47が回転自在に配置されており、これらテーパーリング47の外周と内周は各円錐面39、43、41、45と摺動する。
【0042】デファレンシャル装置1にトルクが掛かると、各サイドギヤ27、29に生じる噛み合い反力により、テーパーリング47を挟んで、各円錐クラッチ35、37が締結され、これらの摩擦抵抗によって差動ギヤ機構33の差動が制限される。」
エ.「【0045】テーパーリング47は、図6に示すリング状の鋼板53(S35C)から、下記のように、テーパー状にプレス加工される。
【0046】又、図7と図8のように、テーパーリング47の一面には多数のオイル溝55が放射状にプレス加工され、図9と図10のように、テーパーリング47の他の面には多数のオイル溝57が同心円状にプレス加工される。
【0047】図7に示すように、放射状の各オイル溝55はテーパーリング47と同心の小径円59の接線方向に形成される。又、図9に示すように、同心円状の各オイル溝57は偏心点61を中心にして形成される。
【0048】これらオイル溝55、57のオイル保持作用とオイル供給作用とによって、テーパーリング47と各円錐面39、43、41、45との摺動面は充分に潤滑される。」
オ.「【0077】図17と図18のように、テーパーリング71には4個の爪部73(係合部)が周方向等間隔に形成されており、各テーパーリング71はこれらの爪部73をカバー7とケーシング本体5の各開口49、51に係合して、廻り止めされている。
【0078】又、テーパーリング71の両面には、第1実施形態のテーパーリング47と同様に、放射状のオイル溝55と同心円状のオイル溝57がプレス加工されている。」
カ.図7及び図9から、テーパーリング47の内周面の表面に広範囲に分散して形成された複数の微細なオイル溝55、57が看取できる。
キ.上記ウ.の「デファレンシャル装置1にトルクが掛かると、各サイドギヤ27、29に生じる噛み合い反力により、テーパーリング47を挟んで、各円錐クラッチ35、37が締結され、これらの摩擦抵抗によって差動ギヤ機構33の差動が制限される。」との記載から、円錐クラッチ35,37は、デフケース3とサイドギヤ27,29との間の差動回転を制限する制限力を発生させる摺動面を有することは明らかである。
ク.上記エ.の「これらオイル溝55、57のオイル保持作用とオイル供給作用とによって、テーパーリング47と各円錐面39、43、41、45との摺動面は充分に潤滑される。」との記載からみて、オイル溝55、57がオイル保持作用を奏することは明らかであるから、オイル溝55、57を「オイル保持作用部」と呼ぶことにする。

これら記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「エンジンからの駆動力で回転すると共にオイルが流入するデフケース3と、前記デフケース3と一体に回転すると共に自転可能にデフケース3内に収容されたピニオンギヤ25と、前記ピニオンギヤ25と噛み合うと共に差動する一対のサイドギヤ27,29とからなる差動ギヤ機構33と、前記デフケース3とサイドギヤ27,29との間の差動回転を制限する制限力を発生させる摺動面を有する円錐クラッチ35,37とを備えたデファレンシャル装置であって、
前記摺動面は、前記サイドギヤ27,29の外周面に形成された円錐面41,45と、前記デフケース3と係合する爪部73を有すると共にテーパー状に加工されたテーパーリング71の内周面に形成され、前記円錐面41,45に対向した円錐面とからなり、
前記テーパーリング71の内周面に前記オイルを保持するオイル保持作用部を設け、
前記オイル保持作用部は、前記テーパーリング71の内周面の表面に広範囲に分散して形成された複数の微細なオイル溝55,57であって、
前記複数の微細なオイル溝55,57は、プレス加工によって前記テーパーリング71の内周面の表面に広範囲に形成された多数の溝であるデファレンシャル装置。」

3.対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、その意味又は機能などからみて、後者の「エンジン」は前者の「原動機」に相当し、以下同様に、「オイル」は「潤滑油」に、「デフケース3」は「デフケース」に、「ピニオンギヤ25」は「差動ギヤ」に、「サイドギヤ27,29」は「出力ギア」に、「差動ギヤ機構33」は「差動機構」に、「摺動面」は「摩擦部」に、「円錐クラッチ35,37」は「差動制限機構」に、「円錐面41,45」は「第1の摩擦部」に、「前記デフケース3と係合する爪部73」は「前記デフケースとの連結部」に、「テーパー状に加工された」は「テーパリング状をなす」に、「テーパーリング71」は「摩擦部材」に、「円錐面」は「第2の摩擦部」に、「オイル保持作用部」は「潤滑油保持手段」に、それぞれ相当する。
引用発明の「オイル溝55,57」と本願補正発明の「凹み」とは、どちらもオイルを保持するための「凹部」である点で共通する。
してみると、両者は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、
[一致点]
「原動機からの駆動力で回転すると共に潤滑油が流入するデフケースと、前記デフケースと一体に回転すると共に自転可能にデフケース内に収容された差動ギヤと、前記差動ギヤと噛み合うと共に差動する一対の出力ギアとからなる差動機構と、前記デフケースと出力ギアとの間の差動回転を制限する制限力を発生させる摩擦部を有する差動制限機構とを備えたデファレンシャル装置であって、
前記摩擦部は、前記出力ギヤの外周面に形成された第1の摩擦部と、前記デフケースとの連結部を有すると共にテーパリング状をなす摩擦部材の内周面に形成され、前記第1の摩擦部に対向した第2の摩擦部とからなり、
前記第2の摩擦部に前記潤滑油を保持する潤滑油保持手段を設け、
前記潤滑油保持手段は、前記第2の摩擦部の表面に広範囲に分散して形成された複数の微細な凹部であるデファレンシャル装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明は、複数の微細な凹部が「凹みであって、前記複数の微細な凹みは、ショットブラスト処理によって前記第2の摩擦部の表面に広範囲に不規則に形成された多数のディンプルである」のに対して、引用発明は、複数の微細な凹部がオイル溝55,57であって、前記複数の微細なオイル溝55,57は、プレス加工によりテーパーリング47の内周面の表面に広範囲に形成された多数の溝である点。

4.判断
上記相違点について検討する。
引用発明のオイル保持作用部である「オイル溝55,57」は、本願補正発明の「潤滑油保持手段」に相当するものである。
また、一方の部材と他方の部材との摺動面に潤滑油を保持するための潤滑油保持手段を設けることは、従来周知の技術であり、しかも、その潤滑油保持手段を、ショットブラスト処理によって不規則に形成された多数のディンプルで構成することも、機械分野一般において従来周知の技術にすぎない(例えば、特開2004-340330号公報の段落【0003】、特開平6-41722号公報の段落【0017】?【0019】、特開平11-6011号公報の段落【0004】参照)。
そうすると、引用発明において、潤滑油保持手段であるオイル溝55,57に代えて、従来周知の潤滑油保持手段であるショットブラスト処理によって摺動面に広範囲に不規則に形成された多数のディンプルを採用することは、当業者であれば容易に想到できたことである。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明に周知技術を適用したものにおいても奏されることは明らかであって当業者が予測できないようなものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「引用文献2(審決注:本審決における「引用例」と同じ。)には、上記しましたように、テーパリング47について記載されていますが、このテーパリング47には、オイル溝55、57が設けられているだけで、『径方向外側に向けてオイルが遠心力を受けた場合も、オイルが複数の微細な凹みに残存しようとする』潤滑油保持手段の構成についてはなんら開示されておりません。」「むしろ遠心力を受けてオイルを外径側に常時流すことによって潤滑性を保とうとする技術思想です。」(「4.請求項1に係る発明と引用文献との対比」の項参照)と主張する。
引用例には、「これらオイル溝55、57のオイル保持作用とオイル供給作用とによって、テーパーリング47と各円錐面39、43、41、45との摺動面は充分に潤滑される。」(上記エ.参照)、「テーパーリング71の両面には、第1実施形態のテーパーリング47と同様に、放射状のオイル溝55と同心円状のオイル溝57がプレス加工されている。」(上記オ.参照)と記載されており、オイル溝55,57は、オイル保持作用とオイル供給作用を奏するものであることが記載されている。ここで、オイル溝55は放射状に形成されていることからみて、オイル供給作用を向上させるために設けたものと解され、オイル溝57は同心円状に形成されているところからみて、オイル保持作用を向上させるために設けたものと解される。また、引用例には、「図7と図8のように、テーパーリング47の一面には多数のオイル溝55が放射状にプレス加工され、図9と図10のように、テーパーリング47の他の面には多数のオイル溝57が同心円状にプレス加工される。」と記載されていることからもわかるように、オイル溝55とオイル溝57とは、テーパーリング47(又はテーパーリング71)の一方の面と他方の面のどちらに設けてもよいことが記載又は示唆されている。
そうすると、引用発明において、オイル保持作用とオイル供給作用とのいずれの作用を重視するかは、要求される潤滑の程度に応じて、当業者が適宜選択し得る設計的事項というべきものであり、オイル保持作用を向上させる点を重視するのであれば、放射状の溝を採用する必要がないことは当業者にとって明らかであるから、上記周知のショットブラスト処理によって形成したディンプルのような潤滑油保持手段を採用することは、当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。
よって、審判請求人の主張は採用できない。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成22年5月25日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「原動機からの駆動力で回転すると共に潤滑油が流入するデフケースと、前記デフケースと一体に回転すると共に自転可能にデフケース内に収容された差動ギヤと、前記差動ギヤと噛み合うと共に差動する一対の出力ギアとからなる差動機構と、前記デフケースと出力ギアとの間の差動回転を制限する制限力を発生させる摩擦部を有する差動制限機構とを備えたデファレンシャル装置であって、
前記摩擦部は、前記出力ギヤの外周面に形成された第1の摩擦部と、前記デフケースとの連結部を有すると共にテーパリング状をなす摩擦部材の内周面に形成され、前記第1の摩擦部に対向した第2の摩擦部とからなり、
前記第2の摩擦部に前記潤滑油を保持する潤滑油保持手段を設け、
前記潤滑油保持手段は、前記第2の摩擦部の表面に広範囲に分散して形成された複数の微細な凹みであることを特徴とするデファレンシャル装置。」

2.引用例の記載事項
引用例の記載事項及び引用発明は、前記II.2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記II.1.の本願補正発明から、「複数の微細な凹み」についての限定事項である「前記複数の微細な凹みは、ショットブラスト処理によって前記第2の摩擦部の表面に広範囲に不規則に形成された多数のディンプルである」との事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記II.3.及び4.に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
そうすると、本願発明が特許を受けることができないものである以上、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-30 
結審通知日 2011-04-05 
審決日 2011-04-19 
出願番号 特願2006-28892(P2006-28892)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16H)
P 1 8・ 113- Z (F16H)
P 1 8・ 575- Z (F16H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 亮吾佐々木 芳枝  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 大山 健

川上 溢喜
発明の名称 デファレンシャル装置  
代理人 三好 秀和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ