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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1238101
審判番号 不服2009-13340  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-24 
確定日 2011-06-09 
事件の表示 特願2003-277127「情報記録装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 2月10日出願公開、特開2005- 38559〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成15年7月18日の出願であって、平成20年8月19日付けで拒絶の理由が通知され、それに対して同年10月27日付けで手続補正がされたが、平成21年4月23日付けで拒絶査定された。
これに対し、平成21年7月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされた。
そして、平成22年11月30日付けで特許法第164条第3項による報告の内容を利用した審尋がなされ、平成23年1月28日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成21年7月24日付けの手続補正についての却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成21年7月24日付けの手続補正を却下する。

〔理 由〕
1.本件補正
平成21年7月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、本件補正前に、
「 【請求項1】
開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録装置において、
上記記録マークの長さ毎に、先頭パルスの遅延時間、先頭パルスのオン時間、中間パルスのオン時間、最後尾パルスのオン時間、及び最後尾パルス後の冷却時間を含むパルスパターン情報が記憶されたパターン記憶手段と、
上記二値データのチャンネルクロック周期をTとしたとき、上記二値データの最短の同一符号長が2×T以上となるように入力情報を変調して上記追記型情報記録媒体に書き込まれる上記二値データを生成する変調手段と、
レーザ光の照射スポットと上記追記型情報記録媒体との相対位置を移動させながら、開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を上記追記型情報記録媒体に照射するレーザ書き込み手段と、
上記パターン記憶手段に記憶されたパルスパターン情報と、上記二値データとに応じてn_(1)×Tの長さ(n_(1)は2以上の整数)の記録マークを形成する場合には、n_(1)/2回(但し、小数点以下は切り捨て)のパルス光を上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成し、n_(2)×T以上の長さ(n_(2)は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合には、n_(2)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く各中間パルス光を、上記チャネルクロックに位相を同期させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成し、n_(3)×T以上の長さ(n_(3)は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合には、(n_(3)-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成するように上記レーザ書き込み手段の発光制御を行って、当該二値データの符号列に対応した記録マークとスペースとの連続した並びを上記追記型情報記録媒体に形成する制御手段とを備える情報記録装置。
【請求項2】
上記パターン記憶手段には、
上記記録マークの前後に存在するスペース長の組み合わせ毎にパルスパターン情報が記憶されている請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
上記パターン記憶手段には、
上記中間パルスの遅延時間を更に含むパルスパターン情報が記憶されている請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項4】
上記二値データのチャンネルクロック周期Tは、10ns未満である請求項1記載の情報記録装置。
【請求項5】
開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録方法において、
上記二値データのチャンネルクロック周期をTとしたとき、上記二値データの最短の同一符号長が2×T以上となるように入力情報を変調して上記追記型情報記録媒体に書き込まれる上記二値データを生成し、
上記記録マークの長さ毎に、先頭パルスの遅延時間、先頭パルスのオン時間、中間パルスのオン時間、最後尾パルスのオン時間、及び最後尾パルス後の冷却時間を含むパルスパターン情報が記憶されたパターン記憶手段に記憶されたパルスパターン情報と、上記二値データとに応じて、開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光の照射スポットと上記追記型情報記録媒体との相対位置を移動させながら、n_(1)×Tの長さ(n_(1)は2以上の整数)の記録マークを形成する場合には、n_(1)/2回(但し、小数点以下は切り捨て)のパルス光を上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成し、n_(2)×T以上の長さ(n_(2)は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合には、n_(2)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く各中間パルス光を、上記チャネルクロックに位相を同期させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成し、n_(3)×T以上の長さ(n_(3)は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合には、(n_(3)-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成するように上記レーザ光の発光制御を行って、当該二値データの符号列に対応した記録マークとスペースとの連続した並びを上記追記型情報記録媒体に形成する情報記録方法。」
とあったところを、

本件補正後、
「 【請求項1】
開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録装置において、
上記記録マークの長さ毎に、先頭パルスの遅延時間、先頭パルスのオン時間、中間パルスのオン時間、最後尾パルスのオン時間、及び最後尾パルス後の冷却時間を含むパルスパターン情報が記憶されたパターン記憶手段と、
当該情報記録装置が有するチャンネルクロックの周期をTとしたとき、上記二値データの最短の同一符号長が2×T以上となるように入力情報を変調して上記追記型情報記録媒体に書き込まれる上記二値データを生成する変調手段と、
レーザ光の照射スポットと上記追記型情報記録媒体との相対位置を移動させながら、開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を上記追記型情報記録媒体に照射するレーザ書き込み手段と、
上記パターン記憶手段に記憶されたパルスパターン情報と、上記二値データとに応じて、n1×Tの長さ(n1は2以上で5以下の整数)の記録マークを形成する場合において、n1/2回(但し、小数点以下は切り捨て)のパルス光を発光するように上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間を元に遅延させるとともに、上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n2/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く各中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに位相を同期させて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングは、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、 n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間を元に遅延させるとともに、上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
(n3-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成するように上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、
最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングに対しては、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
当該二値データの符号列に対応した記録マークとスペースとの連続した並びを上記追記型情報記録媒体に形成する制御手段と
を備える情報記録装置。
【請求項2】
上記パターン記憶手段には、上記記録マークの前後に存在するスペース長の組み合わせ毎にパルスパターン情報が記憶されている請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
上記パターン記憶手段には、上記中間パルスの遅延時間を更に含むパルスパターン情報が記憶されている請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項4】
上記二値データのチャンネルクロック周期Tは、10ns未満である請求項1記載の情報記録装置。
【請求項5】
開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録装置における情報記録方法であって、
上記記録マークの長さ毎に、先頭パルスの遅延時間、先頭パルスのオン時間、中間パルスのオン時間、最後尾パルスのオン時間、及び最後尾パルス後の冷却時間を含むパルスパターン情報をパターン記憶手段に記憶しておき、 当該情報記録装置が有するチャンネルクロックの周期をTとしたとき、上記二値データの最短の同一符号長が2×T以上となるように入力情報を変調して上記追記型情報記録媒体に書き込まれる上記二値データを生成し、
上記パターン記憶手段に記憶されたパルスパターン情報と、上記二値データとに応じて、n1×Tの長さ(n1は2以上で5以下の整数)の記録マークを形成する場合において、n1/2回(但し、小数点以下は切り捨て)のパルス光を発光するように、レーザ光の照射スポットと上記追記型情報記録媒体との相対位置を移動させながら、開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を上記追記型情報記録媒体に照射するレーザ書き込み手段を発光制御し、
n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間を元に遅延させるとともに、上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n2/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く各中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに位相を同期させて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングは、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、 n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間を元に遅延させるとともに、上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
(n3-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成するように上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、
最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングに対しては、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
当該二値データの符号列に対応した記録マークとスペースとの連続した並びを上記追記型情報記録媒体に形成する情報記録方法。」
とするものである。

上記本件補正の内容は、特許請求の範囲について、本件補正前の請求項1、5に記載されていた発明特定事項である「チャンネルクロック周期」「発光制御」について、限定を付加するものである。
したがって、本件補正は、発明特定事項の限定をするものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項5に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。

本願補正発明は、本件補正後における請求項5に記載されたとおりのものであると認める。

2.引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された特開2001-331936号公報(平成13年11月30日公開、以下、「引用例」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(なお、下線は当審により付加したものである。)

(a)
「【請求項1】 記録媒体に光を照射することによってマーク長変調された情報を複数の記録マーク長により記録するにあたり、一つの記録マークの時間的な長さをnTとしたとき(Tは基準クロック周期であって25ns以下である。nは2以上の自然数である。)、記録マークの時間的長さnTを、
【数1】
η_(1) T、α_(1) T、β_(1) T、α_(2) T、β_(2) T、・・・、α_(i) T、β_(i) T、・・・、α_(m) T、β_(m) T、η_(2) T
(mはパルス分割数である。Σ_(i) (α_(i) +β_(i) )+η_(1) +η_(2) =nである。α_(i) (1≦i≦m)は0より大きい実数であり、β_(i) (1≦i≦m-1)は0より大きい実数であり、βm は0以上の実数である。η_(1) 及びη_(2) はそれぞれ-2以上2以下の実数である。)の順に分割し、
α_(i) T(1≦i≦m)の時間内においては記録パワーPw_(i) の記録光を照射し、
β_(i) T(1≦i≦m-1)の時間内においては、Pb_(i) <Pw_(i) かつPb_(i) <Pw_(i+1) なるバイアスパワーPb_(i) の記録光を照射し、
少なくとも一つの記録マークの時間的長さについては上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さについてn/m≧1.25を満たすことを特徴とする光記録方法。
(中略)
【請求項7】 nの異なる少なくとも2つの記録マークについて、同一のパルス分割数mを用い、前記少なくとも2つの記録マークにおいて、α_(i)(1≦i≦m) 、β_(i) (1≦i≦m-1)、η_(1) 、η_(2) 、Pw_(i)(1≦i≦m) 及びPb_(i) (1≦i≦m-1)の少なくとも1つが相互に異なる請求項1乃至6のいずれかに記載の光記録方法。
【請求項8】 マーク長がnT=2LT(ただし、Lは2以上の整数)で表される場合、マークを分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)T及びオフパルス区間β_(i)Tにおけるα_(i)及びβ_(i)(これらはLの値に応じて変化し得る)を下記のように定め、
【数2】α_(1)+β_(1)=2+δ_(1)
α_(i)+β_(i)=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)+β_(m)=2+δ_(2)
(ただし、δ_(1)及びδ_(2)は、それぞれ順に、-0.5≦δ_(1)≦0.5、及び-1≦δ_(2)≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)、β_(1)、α_(m)及びβ_(m)のみが存在するものとする。)
マーク長がnT=(2L+1)Tで表される場合、マークを分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)’T及びオフパルス区間β_(i)’Tにおけるα_(i)’及びβ_(i)’(これらはLの値に応じて変化し得る)を下記のように定め、
【数3】α_(1)’+β_(1)’=2.5+δ_(1)’
α_(i)’+β_(i)’=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)’+β_(m)’=2.5+δ_(2)’
(ただし、δ_(1)’及びδ_(2)’は、それぞれ順に、-0.5≦δ_(1)’≦0.5、及び-1≦δ_(2)’≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)’、β_(1)’、α_(m)’及びβ_(m)’のみが存在するものとする。)
且つ、α_(1)、β_(1)、α_(m)、β_(m)、α_(1)’、β_(1)’、α_(m)’、及びβ_(m)’が下記式を満足することを特徴とする請求項7に記載の光記録方法。
【数4】
α_(1)+β_(1)+α_(m)+β_(m)+Δ=α_(1)’+β_(1)’+α_(m)’+β_(m)’
(ここで、Δ=0.8?1.2である)」

(b)
「【0002】
【従来の技術】近年、情報量の増大に伴い高密度でかつ高速に大量のデータの記録・再生ができる記録媒体が求められているが、光ディスクはまさにこうした用途に応えるものとして期待されている。光ディスクには一度だけ記録が可能な追記型と、記録・消去が何度でも可能な書き換え型がある。書き換え型光ディスクとしては、光磁気効果を利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変化に伴う反射率変化を利用した相変化型記録媒体があげられる。
【0003】光ディスクの記録原理は、穴あけや変形を利用したライトワンス媒体、キュリー点近傍での磁化の反転を利用した光磁気媒体、記録層の非晶質と結晶間の相転移を利用した相変化媒体のいずれにおいても、記録層を記録パワーの照射により所定の臨界温度以上に昇温させ、物理的もしくは化学的変化を生じせしめて記録を行う。
【0004】また、1ビームオーバーライト(消去と同時に記録を行う)可能であるという相変化型記録媒体の特徴を生かして、CD、DVDと互換性を持った書換え可能なコンパクトディスク(CD-ReWritable 、CD-RW)や、書換え可能なDVD等も開発されている。さて、これらの光記録媒体への記録方式には近年では、ほとんどすべて、高密度化に適したマーク長記録が採用されている。
【0005】マーク長記録はマーク部とマーク間部の両方の長さを変化させてデータを記録する方法で、マーク間部の長さのみを変化させるマーク位置記録に比べて記録密度を上げることに適しており、1.5倍以上も高密度化できる。しかし、正確にデータを再生するためにはマークの時間的長さの検出が厳密になるため、マークエッジの形状の正確な制御が必要となる。さらに、短いマークから長いマークまで長さの異なる複数種類のマークを形成しなくてはならない困難性もある。
【0006】以下の説明においては、マークの空間的長さをマーク長、マークの時間的長さをマーク時間長と称する。基準クロック周期が定まれば、マーク長とマーク時間長は一対一で対応する。マーク長記録においてnTマーク(nTなる時間的長さを有するマーク。ただしTはデータの基準クロック周期、nは自然数)を記録するときに、単に時間的長さnTもしくはその長さを微調節しただけの方形波状の記録パワーを照射するだけでは、マークの前端と後端で温度分布が異なり、特に、後端部に熱が蓄積してマークが広がった非対称な形状のマークが形成され、マーク長の正確な制御やマークエッジのゆらぎの抑制に支障をきたす。
【0007】このため短マークから長マークまで一様にマーク形状を整えるための、記録パルス分割やオフパルスの採用などの工夫がなされてきている。例えば相変化媒体で次のような技術が利用されている。即ち、非晶質マークの形状を整えるため記録パルスを分割することが行われている(特開昭62-259229号公報、特開昭63-266632号公報など)。この考え方はオーバーライトされないライトワンス媒体にも存在する。また、マーク形状の補償方法としてオフパルスの利用が広く行われている(特開昭63-22439号公報など)。
【0008】さらに、マーク長及びマ-ク時間長を整えるために記録パルスの立ち下がり波形を故意に鈍らせて記録する(特開平7-37252号公報)、記録パルスの出射時間をシフトさせる(特開平8-287465号公報)、マルチパルス記録方式を用いる場合にマーク記録時のバイアスパワーの値を、マーク間記録時又は消去時のバイアスパワーの値と異ならせる(特開平7-37251号公報)、線速度に応じて冷却時間を制御する(特開平9-7176号公報等)なども提案されている。
【0009】上記のようなパルス分割方式による記録方法の考え方は、光磁気方式の光記録媒体や、ライトワンスタイプの光記録媒体でも利用されており、光磁気方式やライトワンスタイプでは、熱が一部に溜まるのを防止する効果を目的とし、相変化方式では、それに再結晶化防止という目的も加わっている。ところで、マーク長変調記録の例としては、EFM(Eight-Fourteen Modulation )変調方式を用いたCD互換媒体、8-16変調方式の一種であるEFM+(プラス)変調方式を用いたDVD互換媒体、(1、7)-RLL-NRZI(Ruu-Length Limited Non-return to zero inverted)変調方式を用いた光磁気記録媒体などが一般的である。EFM変調では3Tから11Tまでのマークが、EFM+変調では3Tから14Tまでのマークが、(1、7)-RLL-NRZI変調方式では2Tから8Tまでのマークが設けられる。この中で、EFM+変調及び(1、7)-RLL-NRZI変調方式は、特に高密度のマーク長変調記録用の変調方式として知られている。」

(c)
「【0025】相変化媒体の高密度化のために、レーザー光源を短波長化したり開口数を大きくし、ビーム径を小さくしたときにも同じ問題が生ずる。例えば、波長780nm、開口数NA=0.50のレーザーを波長400nm、開口数NA0.65に変更した場合には、ビーム径は約1/2に絞られる。このときビーム内のエネルギー分布が急峻になるため加熱部分は冷却されやすくなり非晶質マークは形成されやすくなるが、逆に結晶化しにくく消去しにくくなるため、やはり冷却効果はより大きくする必要がある。
【0026】本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、高密度記録や高速記録に適した短いクロック周期でのマーク長記録においても、良好な記録が行えるような光記録方法とそれに適した光記録媒体を提供することにある。」

(d)
「【0073】Gate4で発生される最後尾パルスα_(m) Tはn≧n_(c) +1の時のみ発生する。図1の9Tマークに示すとおりである。n=n_(c) の場合には、先頭パルス及び中間パルス一個の2個で分割する。図1では、5Tマークで代表している。ここで、複数の異なる時間的長さのマークを同じ分割数にパルス分割する場合、例えば、図1で3Tマークと4Tマークをともに1組の記録パルス及びオフパルスで記録する場合には、少なくともα_(1) 、β_(1) 、η_(1) 、η_(2) を、さらに必要ならば、Pw_(1) 、Pw_(3) を3Tマークと4Tマークとで相異なる値とする必要がある。
(分割記録パルス発生方法2)以下の方法は、基準クロック周期Tを分周して得られる、周期2Tのクロック信号をベースとする分割記録パルス発生方法であり、分割記録パルス発生方法1より制限が多いが、より規則正しいルールに基づいて論理回路の設計が可能となる利点がある。
【0074】パルス発生方法2は、nTマークのnのとり得る値が奇数であるか偶数であるかにわけて考える点に特徴がある。即ち、nが偶数、つまりマーク長がnT=2LT(ただし、Lは2以上の整数)のマークの記録に際しては、分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)T及びオフパルス区間β_(i)Tにおけるα_(i)及びβ_(i)を下記のように定める。
【0075】
【数13】α_(1)+β_(1)=2+δ_(1)
α_(i)+β_(i)=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)+β_(m)=2+δ_(2)(ただし、δ_(1)及びδ_(2)は、それぞれ順に、-0.5≦δ1≦0.5、及び-1≦δ_(2)≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)、β_(1)、α_(m)及びβ_(m)のみが存在するものとする。)
一方、nが奇数、つまりマーク長がnT=(2L+1)Tのマークの記録に際しては、分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)’T及びオフパルス区間β_(i)’Tにおけるα_(i)’及びβ_(i)’を下記のように定める。
【0076】
【数14】α_(1)’+β_(1)’=2.5+δ_(1)’
α_(i)’+β_(i)’=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)’+β_(m)’=2.5+δ_(2)’
(ただし、δ_(1)’及びδ_(2)’は、それぞれ順に、-0.5≦δ_(1)’≦0.5、及び-1≦δ_(2)’≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)’、β_(1)’、α_(m)’及びβ_(m)’のみが存在するものとする。)
そして、バルス発生方法2においては、さらに下記式を満足させる。
【0077】
【数15】
α_(1)+β_(1)+α_(m)+β_(m)+Δ=α_(1)’+β_(1)’+α_(m)’+β_(m)’
(ここで、Δ=0.8?1.2である)
なお、上記パルス発生方法2では、α_(i)、β_(i)、α_(i)’、β_(i)’、δ_(1)、δ_(2)、δ_(1)’及びδ_(2)’は、いずれもLの値に応じて変化していてもよい。パルス発生方法2においては、n=2L及びn=(2L+1)の記録マークの形成に際しては、同じ分割数L個の記録パルスに分割して記録を行う。つまり、nが順に2,3,4,5,6,7,8,9、・・・・の場合、それぞれ、分割数mを順に1,1,2,2、3,3,4,4,・・・とする。具体的には、EFM変調信号では、n=3、4,5,6,7,8,9,10,11に対して、分割数mを順にm=1,2,2,3,3,4,4,5,5とする。また、EFM+信号では、n=14が加わるが、その場合には分割数mは7とする。(1,7)RLL-NRZI変調では、n=2の場合があるが、この場合分割数mは1とする。」

(e)
「【0085】パルス発生方法2においては、α_(i)とβ_(i)とのデューティー比α_(i)/(α_(i)+β_(i))は、それぞれのマーク長でそれぞれ最適化することができるが、パルス発生回路の簡便化のために、先頭のパルス及び最後尾のパルスの間にある中間のパルスにおいては、これらを一定値とするのが好ましい。即ち、中間のパルスが存在しうるL≧3の場合、同じ分割数m=Lの2種類の記録マークにおける2以上(m-1)以下の全てのiに対して、α_(i)=α_(c)(一定値)及びα_(i)’=α_(c)’(一定値)とするのが好ましい。さらに、Lが3以上の場合に、α_(c)及びα_(c)’をともにLによらない一定値、特にα_(c)=α_(c)’としてLによらない一定値とすると、回路がさらに簡略化できて好ましい。」

(f)
「【0089】前述のように、パルス発生方法2においては、特にδ_(1)=δ_(1)’=0とするのが好ましい。この場合、周期Tを有する第1基準クロック1と第1の基準クロックに対して0.5Tだけずれた同じ周期Tを有する第2基準クロック2とを用いて、第1基準クロック1を分周して得られる周期2Tの分周第1基準クロック3に同期させてα_(i)(1≦i≦m)を発生させ、第2基準クロック2を分周して得られる周期2Tの分周第2基準クロック4に同期させてα_(i)’(2≦i≦m)を発生させるとともに、α_(1)’をα_(2)’の立ち上がりに2.5T先行して立ち上がるようにパルス発生回路を制御するのが好ましい。この複数の基準クロックを用いる方法によって、パルス発生回路を簡便化することができる。
【0090】なお、α_(1)及びα_(1)’の立ち上がりを、記録すべきマーク長に従って変調された方形波の立ち上がりまたは立下りに対して、遅延あるいは先行させる必要がある場合があるが、この場合、マーク間の長さを一定にするために同一の遅延時間T_(d1)を付加することが好ましい。ここで、T_(d1)は、-2以上2以下の実数であり、負の値の場合は先進時間となる。図12は、上記の複数の基準クロックを用いる方法によって本発明の記録方法におけるパルス分割方法を実施する場合の、各記録パルスの関係の一例を示した図である。図12においては、α_(1)T及びα_(1)’TのnTマークの前端に対する遅延時間T_(d1)が0であり、記録パルス区間α_(i)T(1≦i≦m)における記録パワーはPwで一定であり、オフパルス区間β_(i)T(1≦i≦m)におけるバイアスパワーはPbで一定であり、マークの間及びα_(i)T(1≦i≦m)及びβ_(i)T(1≦i≦m)以外の区間における光照射のパワーは消去パワーPeで一定である。ここで、Pb≦Pe≦Pwである。
【0091】図12において、200は周期Tの基準クロックをあらわす。図12(a)は、長さnTの記録マークに対応したパルス波形であり、符号201が長さ2LTの記録マークの長さ、符号202が(2L+1)Tの記録マークの長さに対応する。図12(a)においては、L=5の場合が示してある。図12(b)は、n=2L(=10)の場合の分割記録パルスの波形であり、図12(c)は、n=2L+1(=11)の場合の分割記録パルスの波形である。
【0092】図12(b)において、周期2Tの分周第1基準クロック205は、周期Tを有する基準クロック200に対して位相の遅れが0である第1基準クロック203を分周して得られる。α_(1)+β_(1)=2であるため、各記録パルス区間α_(i)T(1≦i≦m)の立ち上がりは、周期2Tの分周第1基準クロック205に同期している。この分周第1基準クロック205に同期して、α_(i)とβ_(i)のデューティー比を調節して、記録パルス波形207を得る。
【0093】一方、図12(c)においては、周期2Tの分周第2基準クロック206は、基準クロック200に対して0.5Tの位相のずれを有する周期Tの第2基準クロック204を分周して得られる。各記録パルス区間α_(i)T(2≦i≦m)の立ち上がりは、周期2Tの分周第2基準クロック206に同期している。α_(1)+β_(1)=2.5であるため、α_(1)Tのみが0.5T先行して立ち上がる。この分周第2基準クロック206に同期して、α_(i)とβ_(i)のデューティー比を調節して、記録パルス波形208を得る。」

(g)
「【0143】本発明が特に有効な具体的な場合としては以下が挙げられる。まず、記録時の線速度が10m/s以上と高速であって、かつ最短マーク長を0.8μm未満と短くし、高密度に記録を行う場合である。なお、最短マーク長は線速度をVとするとnT×Vで表されるから、最短マーク長が短いことは基準クロック周期Tを短くすることに他ならない。
【0144】また、記録光の波長が500nm未満と短く、記録光を集束させるためのレンズの開口数が0.6以上と高く、記録光のビーム径が小さく、かつ、最短マーク長を0.3μm未満と短くし、高密度に記録を行う場合も有効である。さらには、マーク長変調方式として、8-16変調方式もしくは(1、7)-RLL-NRZI変調方式といった、高密度記録用の変調方式を用いた場合も有効である。」

(h)
「【0152】次に、上記光記録方法を用いる際に好ましい光記録媒体について述べる。本発明による記録を行う光記録媒体としては、色素系有機記録媒体、光磁気記録媒体、相変化型記録媒体等各種の記録方式の媒体が採用できる。また、ライトワンス型及び書き換え型いずれの媒体にも採用できる。これらの中で特に顕著な効果が得られるのは、相変化型記録媒体、特に結晶状態を未記録状態として非晶質マークをオーバーライトする書き換え型相変化型記録媒体である。」

(i)
「【0169】なお、ライトランス型の媒体に本発明の光記録方法を用いる場合は、Pe=Pb=Pr(Prは再生光パワー)とすればよい。Pe>Prとして余熱効果を付与することもできる。また、本発明の記録方法は、記録媒体の層構成や光入射方式にも依存せず、基板/保護層/記録層/保護層/反射層という層構成で基板を介して記録再生用レーザー光ビームを入射する場合のみならず、基板/反射層/保護層/記録層/保護層という層構成で、基板とは反対側から記録再生用レーザー光ビームを入射する、いわゆる膜面入射タイプの光記録媒体にも利用できる。さらには、これらを組み合わせて記録層を多層化したような場合にも適用可能である。」

上記引用例記載事項及び図面を総合勘案し、特に「δ_(1)=δ_(1)’=0」の場合に着目すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「記録光の波長が500nm未満と短く、記録光を集束させるためのレンズの開口数が0.6以上と高い高密度記録や高速記録に適した、記録層に物理的もしくは化学的変化を生じせしめて記録を行うライトワンス媒体に対して、マーク部とマーク間部の両方の長さを変化させてデータを記録する光記録方法であって、
n=2L及びn=(2L+1)の記録マークの形成に際して、nが順に2,3,4,5,6,7,8,9、・・・・の場合、それぞれ、分割数mを順に1,1,2,2、3,3,4,4,・・・と同じ分割数L個の記録パルスに分割し、
マーク長がnT=2LT(ただし、Lは2以上の整数)のマークの記録に際しては、分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)T及びオフパルス区間β_(i)Tにおけるα_(i)及びβ_(i)を下記のように定め
α_(1)+β_(1)=2+δ_(1)
α_(i)+β_(i)=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)+β_(m)=2+δ_(2)(ただし、δ_(2)は、-1≦δ_(2)≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)、β_(1)、α_(m)及びβ_(m)のみが存在するものとする。)
マーク長がnT=(2L+1)Tのマークの記録に際しては、分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)’T及びオフパルス区間β_(i)’Tにおけるα_(i)’及びβ_(i)’を下記のように定め
α_(1)’+β_(1)’=2.5+δ_(1)’
α_(i)’+β_(i)’=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)’+β_(m)’=2.5+δ_(2)’
(ただし、δ_(2)’は、-1≦δ_(2)’≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)’、β_(1)’、α_(m)’及びβ_(m)’のみが存在するものとする。)、
α_(i)、β_(i)、α_(i)’、β_(i)’は、いずれもLの値に応じて変化していてもよく
周期Tを有する第1基準クロックと第1の基準クロックに対して0.5Tだけずれた同じ周期Tを有する第2基準クロックとを用いて、第1基準クロックを分周して得られる周期2Tの分周第1基準クロックに同期させてα_(i)(1≦i≦m)を発生させ、第2基準クロックを分周して得られる周期2Tの分周第2基準クロックに同期させてα_(i)’(2≦i≦m)を発生させる、
光記録方法。」

3.対比
そこで、本願補正発明を、引用発明と比較する。

引用発明の「記録光」「記録光を集束させるためのレンズ」「記録層に物理的もしくは化学的変化を生じせしめて記録を行うライトワンス媒体」は、本願補正発明の「レーザ光」「対物レンズ」「非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体」に相当する。
また、引用発明の「マーク部」「マーク間部」「データ」「記録」は、本願補正発明の「光反射状態が変化した部分である記録マーク」「光反射状態が変化していない部分であるスペース」「二値データ」「書き込み」に相当することも明らかである。
そして、引用発明の「光記録方法」は、本願補正発明の「情報記録方法」に相当し、引用発明においても何らかの装置を用いて方法を具現化するものと認められる。
すると、引用発明の「記録光の波長が500nm未満と短く、記録光を集束させるためのレンズの開口数が0.6以上と高い高密度記録や高速記録に適する、記録層に物理的もしくは化学的変化を生じせしめて記録を行うライトワンス媒体に対して、マーク部とマーク間部の両方の長さを変化させてデータを記録する光記録方法」は、本願補正発明の「開口数0.85の対物レンズを有する光源から出射された波長415nm以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録装置における情報記録方法」と、「開口数が所定値以上の対物レンズを有する光源から出射された波長が所定値以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録装置における情報記録方法」である点で一致する。

引用発明の「記録パルス区間α_(i)T及びオフパルス区間β_(i)T」「記録パルス区間α_(i)’T及びオフパルス区間β_(i)’T」において、i=1のパルス区間、2≦i≦m-1のパルス区間、i=mのパルス区間が、それぞれ本願補正発明の「先頭パルス光」「中間パルス光」「最後尾パルス光」に相当する。
すると、引用発明の記録パルス区間「α_(1)T」「α_(1)’T」は、本願補正発明の「先頭パルスのオン時間」に相当し、引用発明の記録パルス区間「α_(i)T(2≦i≦m-1)」「α_(i)’T(2≦i≦m-1)」は、本願補正発明の「中間パルスのオン時間」、引用発明の記録パルス区間「α_(m)T」「α_(m)’T」は、本願補正発明の「最後尾パルスのオン時間」、引用発明のオフパルス区間「β_(m)T」「β_(m)’T」は、本願補正発明の「最後尾パルス後の冷却時間」に相当する。
そして、上記摘記事項(a)の「記録パルス区間αiT及びオフパルス区間β_(i)Tにおけるα_(i)及びβ_(i)(これらはLの値に応じて変化し得る)」等の記載も参照すると、記録マークの長さ毎に、α_(i)(1≦i≦m)、β_(i)(1≦i≦m)が異なることも含まれると認められるので、引用発明においても、α_(i)(1≦i≦m)、β_(i)(1≦i≦m)の値を記憶しておく何らかの「パターン記憶手段」を有しているものと認められる。

引用発明の「基準クロック周期」「T」は、本願補正発明の「当該情報記録装置が有するチャンネルクロックの周期」「T」に相当することは明らかである。
また、引用発明の「マーク長変調された情報」は、本願補正発明の「入力情報を変調して」生成される「二値データ」に相当する。
すると、引用発明の「マーク長変調された情報を複数の記録マーク長により記録するにあたり、一つの記録マークの時間的な長さをnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の自然数。)と」する点は、本願補正発明の「当該情報記録装置が有するチャンネルクロックの周期をTとしたとき、上記二値データの最短の同一符号長が2×T以上となるように入力情報を変調して上記追記型情報記録媒体に書き込まれる上記二値データを生成」する点に相当する。

引用発明の「マーク」「マーク長」「記録パルス」は、本願補正発明の「記録マーク」「記録マークの長さ」「パルス光」に相当する。
また、引用発明においても何らかの装置を用いて方法を具現化するとき、当然「記録光」の照射スポットと「ライトワンス媒体」との相対位置を移動させながら、「記録光」を「ライトワンス媒体」に照射する「書き込み手段」を有し、該「書き込み手段を発光制御」していることは明らかである。
すると、引用発明の「n=2L及びn=(2L+1)の記録マークの形成に際して、nが順に2,3,4,5,6,7,8,9、・・・・の場合、それぞれ、分割数mを順に1,1,2,2、3,3,4,4,・・・と同じ分割数L個の記録パルスに分割」する点において、「nが順に2,3,4,5」の場合に「分割数mを順に1,1,2,2」とする点は、本願補正発明の「n1×Tの長さ(n1は2以上で5以下の整数)の記録マークを形成する場合において、n1/2回(但し、小数点以下は切り捨て)のパルス光を発光するように、レーザ光の照射スポットと上記追記型情報記録媒体との相対位置を移動させながら、」「レーザ光を上記追記型情報記録媒体に照射するレーザ書き込み手段を発光制御」する点に相当する。

引用発明の「マーク長がnT=2LTのマークの記録」「マーク長がnT=(2L+1)Tのマークの記録」において、Lが3以上の場合に、それぞれ、本願補正発明の「n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合」「n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合」に相当する。
また、引用発明においても、i=1のパルス周期、i=mのパルス周期は、「基準クロック周期」を基準にして制御されていることは明らかである。
さらに、引用発明の「第1の基準クロックに対して0.5Tだけずれた同じ周期Tを有する第2基準クロック」「に同期させてα_(i)’(2≦i≦m)を発生させ」る点は、本願補正発明の「n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合において、」「(n3-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させ」る点に相当する。
すると、引用発明の
「マーク長がnT=2LT(ただし、Lは2以上の整数)のマークの記録に際しては、分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)T及びオフパルス区間β_(i)Tにおけるα_(i)及びβ_(i)を下記のように定め
α_(1)+β_(1)=2+δ_(1)
α_(i)+β_(i)=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)+β_(m)=2+δ_(2)(ただし、δ_(2)は、-1≦δ_(2)≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)、β_(1)、α_(m)及びβ_(m)のみが存在するものとする。)
マーク長がnT=(2L+1)Tのマークの記録に際しては、分割数m=L個の区間に分割し、記録パルス区間α_(i)’T及びオフパルス区間β_(i)’Tにおけるα_(i)’及びβ_(i)’を下記のように定め
α_(1)’+β_(1)’=2.5+δ_(1)’
α_(i)’+β_(i)’=2 (2≦i≦m-1)
α_(m)’+β_(m)’=2.5+δ_(2)’
(ただし、δ_(2)’は、-1≦δ_(2)’≦1を満足する実数である。また、L=2の場合には、α_(1)’、β_(1)’、α_(m)’及びβ_(m)’のみが存在するものとする。)」
る点は、
本願補正発明の
「n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、」「上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n2/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く各中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに位相を同期させて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングは、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、」「上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
(n3-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成するように上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、
最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングに対しては、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御」
する点に相当する。

すると、本願補正発明と、引用発明とは、次の点で一致する。
(一致点)
(開口数が所定値)以上の対物レンズを有する光源から出射された(波長が所定値)以下であるレーザ光を照射することにより非可逆的に光反射状態の変化が生じる記録材料を有する追記型情報記録媒体に対して、光反射状態が変化した部分である記録マークと光反射状態が変化していない部分であるスペースとの連続した並びを形成することによって、二値データの書き込みを行う情報記録装置における情報記録方法であって、
上記記録マークの長さ毎に、先頭パルスのオン時間、中間パルスのオン時間、最後尾パルスのオン時間、及び最後尾パルス後の冷却時間を含むパルスパターン情報をパターン記憶手段に記憶しておき、
当該情報記録装置が有するチャンネルクロックの周期をTとしたとき、上記二値データの最短の同一符号長が2×T以上となるように入力情報を変調して上記追記型情報記録媒体に書き込まれる上記二値データを生成し、
上記パターン記憶手段に記憶されたパルスパターン情報と、上記二値データとに応じて、n1×Tの長さ(n1は2以上で5以下の整数)の記録マークを形成する場合において、n1/2回(但し、小数点以下は切り捨て)のパルス光を発光するように、レーザ光の照射スポットと上記追記型情報記録媒体との相対位置を移動させながら、(開口数が所定値)以上の対物レンズを有する光源から出射された(波長が所定値)以下であるレーザ光を上記追記型情報記録媒体に照射するレーザ書き込み手段を発光制御し、
n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n2/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く各中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに位相を同期させて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングは、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n2×T以上の長さ(n2は6以上の偶数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークを形成する場合において、
先頭パルス光を生成する場合は、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された先頭パルスのオン時間に基づき上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
(n3-1)/2回のパルス光のうちの先頭パルス光及び最後尾パルス光を除く中間パルス光を生成する場合は、上記チャネルクロックに同期した位相からT/2だけ遅延させて上記追記型情報記録媒体に照射して記録マークを形成するように上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
最後尾パルス光を生成する場合においては、上記チャンネルクロックを基準にして、上記パターン記憶手段に記憶された、上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルスのオン時間に基づき、上記レーザ書き込み手段を発光制御するとともに、
最後尾パルス後の冷却期間の終了タイミングに対しては、上記パターンパルス情報記憶部に記憶された上記n3×T以上の長さ(n3は6以上の奇数)の記録マークに対応する最後尾パルス後の冷却時間に基づいて上記レーザ書き込み手段を発光制御し、
当該二値データの符号列に対応した記録マークとスペースとの連続した並びを上記追記型情報記録媒体に形成する情報記録方法。

一方で、以下の点で相違する。
(相違点)
1.本願補正発明では「対物レンズ」「レーザ光」が、それぞれ「開口数0.85の対物レンズ」「波長415nm以下であるレーザ光」と特定されているのに対し、引用発明では「レンズ」「記録光」が、「記録光を集束させるためのレンズの開口数が0.6以上」「記録光の波長が500nm未満」である点。
2.本願補正発明は「パターン記憶手段」に「先頭パルスの遅延時間」が記憶され、「先頭パルス光を生成する場合」に「記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間を元に遅延させる」のに対し、引用発明では遅延時間について特定されていない点。

4.判断
(相違点)1.について
高密度光記録を可能とするために、対物レンズの開口数を大きくする点、及びレーザ光の波長を短くする点は、光記録再生の技術分野において技術常識であり、また、「対物レンズ」「レーザ光」が、それぞれ「開口数0.85の対物レンズ」「波長415nm以下であるレーザ光」である「情報記録装置」も、例えば特開2003-123252号公報(特に【0004】の「レーザ波長=0.405μm、NA=0.85の装置」の記載等を参照されたい。)に記載されているように周知技術にすぎない。
そして、それぞれの特定された数値の範囲において、顕著な効果等も認められない。
すると、引用発明の「開口数0.6以上の」レンズ、「波長が500nm未満の」記録光を、周知技術のように特定することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、当業者が容易になし得たものである。

(相違点)2.について
パルス光を媒体に照射して情報を記録する情報記録方法において、「記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間」を記憶しておき、「先頭パルス光を生成する場合」に「記録マークに対応する先頭パルスの遅延時間を元に遅延させる」点は、例えば特開平7-225947号公報(特に【0013】や、【0088】ないし【0112】の記載等を参照されたい。)や、特開2001-67671号公報(特に【0042】ないし【0044】の「T_(SFP)」の記載等を参照されたい。)等に記載されているように周知技術にすぎない。
すると、引用発明に周知技術を採用することは、当業者が容易になし得たものである。

なお、審判請求人は回答書において、「すなわち、本願発明では、引用文献1の開示技術のように4種類の分周クロックを生成するのではなく、周期Tの基準クロックのみを用い、全ての照射パルス生成において、同基準クロックに同期する位置(本出願の実施例では立ち上がり位置)を基準としたパルス発光の照射時間、遅延時間、照射後の冷却時間が予めパターン記憶手段に格納されている。しかも、7T以上の奇数マーク長の中間パルスについては予めT/2の固定遅延時間が格納されている。」と主張している。
しかしながら、本願補正発明において、「周期Tの基準クロックのみを用い」る点について特定されておらず、また、チャネルクロック等と同期、遅延等させた他のクロック等を用いることを排除すると解すべき根拠もない。
また、「中間パルスについて予めT/2の固定の遅延時間が格納されている」旨の主張も、本願補正発明において、中間パルスの遅延時間を格納する点について、何ら特定されておらず、その記載に基づくものではない。
すると、審判請求人の上記主張は、請求項の記載に基づかない主張であり、採用できない。

そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願補正発明が奏する効果は、引用例に記載された発明及び周知技術から、当業者が十分に予測できたものであって、格別なものとはいえない。

5.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
平成21年7月24日付けの手続の補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成20年10月27日付け手続補正の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記「第2 〔理 由〕1.」に本件補正前の請求項5として掲げたとおりのものである。

2.引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 〔理 由〕2.」に引用例として記載したとおりのものである。

3.対比
本願発明は、「第2 〔理 由〕」で検討した本願補正発明の「チャンネルクロック周期」「発光制御」について、限定を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 〔理由〕4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-24 
結審通知日 2011-03-29 
審決日 2011-04-20 
出願番号 特願2003-277127(P2003-277127)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 572- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊安田 勇太  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 関谷 隆一
▲吉▼澤 雅博
発明の名称 情報記録装置及び方法  
代理人 小池 晃  
代理人 祐成 篤哉  
代理人 野口 信博  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 藤井 稔也  

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