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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1238701 |
審判番号 | 不服2007-18347 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-07-02 |
確定日 | 2011-06-14 |
事件の表示 | 特願2002-379664「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月10日出願公開、特開2003-288164〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年12月27日(パリ条約による優先権主張2001年12月27日、韓国)の出願であって、 平成18年 7月20日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年10月24日付けで手続補正書が提出されたが、平成19年 3月29日付けで拒絶査定され、これに対して同年 7月 2日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年 7月31日付けで手続補正書が提出されたが、平成22年 7月30日に拒絶理由が通知され、これに対して同年12月 2日付けで手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明について (1)本願の請求項1に係る発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成22年12月 2日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「 下記の工程: ゲートラインおよびデータラインを含む液晶パネルを形成する工程、 前記液晶パネルを洗浄する工程、 偏光シートの上にタッチパネルの下部シートを形成する工程と、前記タッチパネルの上部シートを形成する工程と、前記偏光シートの上に形成された前記タッチパネルの前記下部シートの上にスペーサーを形成する工程と、前記上部シートと前記下部シートを合着する工程とを含む偏光シートの上にタッチパネルを形成して偏光板一体型タッチパネルを形成する工程、 外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるように構成された前記偏光板一体型タッチパネルを前記洗浄された液晶パネルに取り付ける工程、 駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを完成する工程、および バックライト手段と前記液晶表示モジュールとを組み立てる工程を含み、前記工程が前記記載の順序で実施され、かつ、前記洗浄された液晶パネルに偏光板一体型タッチパネルを取り付けたものに対して一度に検査が実施されることを特徴とするフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法。」 (2)引用文献の記載事項及び引用文献発明 (引用文献1の記載事項) 当審により通知した平成22年 7月30日付け拒絶理由において引用した特開2001-324707号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (1a)「【0025】(実施例1)抵抗膜式の透明タッチパネル100の実施例について、図2に基づき詳細に説明する。タッチパネル100は、図2に示すように固定基板101と可動基板102とを備え、各基板の一方側の面にそれぞれ透明導電膜103、104を形成し、同透明導電膜103、104はスペーサ105を介して互いに微少間隔を保持して対向させた構成を有している。該タッチパネル100は、図示のようにLCD2との間に円偏光板107(λ/4位相差板107a、偏光板107b)を積層し、LCD2の他の表面にも偏光板110を貼り付けて組み合わせて用いられる。 【0026】抵抗膜式のタッチパネルの各基板は、フイルムであってもシートであっても或いは薄い板状であっても良く、固定基板101と可動基板102の組合せとしては、フイルム/ガラス、ガラス/フイルム、フイルム/フイルム、ガラス/ガラス等のいずれの組合せでも良い。LCDに搭載するものにおいては、フイルム/ガラス/LCDの組合せが好ましい。前記各基板としては、LCDの画像表示品質を高めるために透明で光学的等方性を有する材料で形成されることが望ましく固定基板101には、ソーダライムガラスや強化ガラス、或いはポリカーボネイト又はポリメチルメタクリラートなどのアクリル樹脂板、ポリオレフィン系樹脂基板等が用いられることが多い。又、可動基板102には、ポリカーボネイト系樹脂シート、アクリル樹脂シート、非晶質ポリオレフィン系樹脂シート、又は、ポリエーテル、ポリアリレート、一軸延伸ポリエチレンテレフテレート、ポリエーテルサルホンなどの透明性ポリマーフイルムが使用される。本実施例では、非晶質ポリオレフィン系樹脂であり脂肪族環状構造を有するノルボルネン系でJSR社製のアートンフイルム(アートンは、同社登録商標)を使用している。 【0027】可動基板102の一方側の面には、透明導電膜103としてインジウム・錫酸化物(以下、ITO:厚さ300Å)の薄膜が積層される。ITOの屈折率は2.0であり、透明導電膜103は本発明の多層膜構成に含まれる高屈折率層の金属酸化物層に相当する。そして、基板102と透明導電膜103との密着性の改良及び、光透過率の改良のため、基板102にアンダーコート層108としてZnSnO3(600Å)の絶縁性金属酸化物層を積層し、その上に中間層109としてSiO2(300Å)を設け、更にその上に透明導電膜103としてITOを積層する。基板のフイルムと金属酸化物との密着性を更に向上させるために、密着層108aとしてSi単独層(10Å)108aを基板102とアンダーコート層108の間に積層する場合もある。可動基板102の一方側の面には、即ち、透明導電膜103を含む層構成は、アートン/Si/ZnSnO3/SiO2/ITOとなる。 【0028】上記密着層108aは、金属元素単一又は2種以上の金属元素の合金からなる金属層であり、シリコン、チタン、錫又は亜鉛の元素単一、或いはこれらの合金により形成すると共に、同密着層108aの厚みは、従来から一般的に密着層として用いられている酸化珪素(SiOx;X≦2)層よりも薄く、10Å?50Åに設定することが望ましい。50Åを越えると、光透過率が落ち、多層膜構成を介在させる意義が無くなるからであり、一方10Åよりも薄いと十分な密着性が得られないからである。 【0029】一方、固定基板101の一方側の面には、透明導電膜104の導電性薄膜が積層される。同導電性薄膜は酸化錫(SnO2)からなり、ソーダライムガラスからなる固定基板101と透明導電膜104との密着性を改良するため、又、光透過率の改良のため、透明導電膜104と固定基板101との間には、中間層110としてSiO2を設け、中間層110と基板101との間には、アンダーコート層111としてSnO2の金属酸化物層を積層する。固定基板101の透明導電膜を含む層構成は、ガラス/SnO2/SiO2/SnO2となり、SnO2の屈折率は1.8、SiO2は1.46であり、屈折率の差による光透過率の改善がなされるように設計される。実際には、固定基板101として上記層構成を有する旭硝子(株)の製品であるARガラス:A070S03(0.7mm)を採用している。」 (1b)「【0034】又、λ/4位相差板106a、107aは、ポリカーボネイト(PC)フイルムを素材にして形成され、偏光板106a、107aに貼り合わせて用いられる。円偏光板107は、前もってLCD2の表面に積層されてあっても良いし、タッチパネル100の固定基板101に積層された後、LCD2に搭載されても良い。そしてLCDの他の面には偏光板112が積層されても良い。更に、偏光板106bの表面には、図示しないが一般に用いられるハードコート層を積層したり、保護フイルム、補強フイルムとしてPETフイルム等を積層することにより、表面での反射を小さくすると共に、ペン入力耐久性を向上させ、更にはタッチパネル100の温度変化による各層間の熱特性の差による変形を防止することも可能である。この時、表1に示すように可動基板102の光の色温度のピーク波長は470nmであり、固定基板の光のピーク波長は500nmであり、タッチパネル100としてのピーク波長は480nmであった。」 上記摘記事項(1a)及び上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、以下の構成が記載されているといえる。 (ア)上記摘記事項(1a)の「【0025】(実施例1)抵抗膜式の透明タッチパネル100の実施例について、図2に基づき詳細に説明する。」の記及び上記摘記事項(1b)の「【0034】又、λ/4位相差板106a、107aは、ポリカーボネイト(PC)フイルムを素材にして形成され、偏光板106a、107aに貼り合わせて用いられる。円偏光板107は、前もってLCD2の表面に積層されてあっても良いし、タッチパネル100の固定基板101に積層された後、LCD2に搭載されても良い。」の記載によれば、当該「抵抗膜式の透明タッチパネル」の形成では、当該「固定基板」に偏向シートである当該「円偏光板」が「積層」されるものと解することができる。 また、当該「抵抗膜式の透明タッチパネル」は、その「固定基板」に偏向シートが「積層」されているから、偏光板一体型タッチパネルであるものと解することができる。 また、上記摘記事項(1a)の「【0026】抵抗膜式のタッチパネルの各基板は、フイルムであってもシートであっても或いは薄い板状であっても良く、固定基板101と可動基板102の組合せとしては、フイルム/ガラス、ガラス/フイルム、フイルム/フイルム、ガラス/ガラス等のいずれの組合せでも良い。LCDに搭載するものにおいては、フイルム/ガラス/LCDの組合せが好ましい。」の記載からみて、上記偏光板一体型タッチパネルの形成は、当該「フィルム」を組み合わせた「タッチパネル」の形成を含み、さらにこのように形成された当該「タッチパネル」を当該「LCD」に「搭載する」ことによって、当該「LCD」、すなわち液晶表示装置と、当該「フィルム」を組み合わせた「タッチパネル」、すなわちフィルムタイプタッチパネルとを一体にして製造するものと解することができる。 したがって、上記摘記事項(1a)及び上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法において、抵抗膜式の透明タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層した偏光板一体型タッチパネルを形成する工程を実施する」ことが記載されているといえる。 (イ)上記摘記事項(1a)の「【0026】抵抗膜式のタッチパネルの各基板は、フイルムであってもシートであっても或いは薄い板状であっても良く、固定基板101と可動基板102の組合せとしては、フイルム/ガラス、ガラス/フイルム、フイルム/フイルム、ガラス/ガラス等のいずれの組合せでも良い。LCDに搭載するものにおいては、フイルム/ガラス/LCDの組合せが好ましい。」の記載によれば、上記(ア)の「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法」では、当該「LCD」に上記(ア)の「偏光板一体型タッチパネル」を「搭載する」工程、すなわち液晶パネルに当該「偏光板一体型タッチパネル」を取り付ける工程を実施するものと解することができる。 したがって、上記(ア)及び上記摘記事項(1a)によれば、引用文献1には、「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法において、偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程を実施する」ことが記載されているといえる。 (ウ)上記摘記事項(1b)の「【0034】・・・(中略)・・・円偏光板107は、前もってLCD2の表面に積層されてあっても良いし、タッチパネル100の固定基板101に積層された後、LCD2に搭載されても良い。」の記載によれば、上記(ア)の「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法」では、上記(ア)の「抵抗膜式の透明タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層した偏光板一体型タッチパネルを形成する工程」の後に、上記(イ)の「偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程」を実施するものと解することができる。 したがって、上記(ア)、上記(イ)及び上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法において、「抵抗膜式の透明タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層した偏光板一体型タッチパネルを形成する工程と、偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程とが、この記載の順序で実施される」ことが記載されているといえる。 (エ)上記(1a)の「【0025】(実施例1)抵抗膜式の透明タッチパネル100の実施例について、図2に基づき詳細に説明する。タッチパネル100は、図2に示すように固定基板101と可動基板102とを備え、各基板の一方側の面にそれぞれ透明導電膜103、104を形成し、同透明導電膜103、104はスペーサ105を介して互いに微少間隔を保持して対向させた構成を有している。該タッチパネル100は、図示のようにLCD2との間に円偏光板107(λ/4位相差板107a、偏光板107b)を積層し、LCD2の他の表面にも偏光板110を貼り付けて組み合わせて用いられる。」の記載によれば、上記(ア)の「抵抗膜式の透明タッチパネル」は、当該「可動基板」、当該「固定基板」及びスペーサーである当該「スペーサ」により構成され、当該「可動基板」及び当該「固定基板」には、それぞれの「一方側の面」に当該「透明導電膜」が積層されるものと解することができる。 したがって、上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、「抵抗膜式の透明タッチパネルを、一方側の面に透明導電膜が積層される可動基板と、一方側の面に透明導電膜が積層される上記固定基板と、スペーサーとにより構成すること」が記載されているといえる。 (引用文献1発明) したがって、上記(ア)乃至上記(エ)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されているといえる。 「 抵抗膜式の透明タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層した偏光板一体型タッチパネルを形成する工程と、 当該偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程とが、 この記載の順序で実施されるフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法において、上記抵抗膜式の透明タッチパネルを、一方側の面に透明導電膜が積層される可動基板と、一方側の面に透明導電膜が積層される上記固定基板と、スペーサーとにより構成する方法。」 (3)本願発明と引用文献1発明との対比 本願発明と引用文献1発明とを対比する。 引用文献1発明の「抵抗膜式の透明タッチパネル」、「固定基板」、「偏光シート」、「偏光板一体型タッチパネル」、「液晶パネル」、「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法」、「可動基板」及び「スペーサー」との事項は、本願発明の「タッチパネル」、「偏光シート」、「下部シート」、「偏光板一体型タッチパネル」、「液晶パネル」、「フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法」、「上部シート」及び「スペーサー」との事項にそれぞれ相当する。 そして、本願発明の「偏光シートの上にタッチパネルの下部シートを形成する工程と、前記タッチパネルの上部シートを形成する工程と、前記偏光シートの上に形成された前記タッチパネルの前記下部シートの上にスペーサーを形成する工程と、前記上部シートと前記下部シートを合着する工程とを含む偏光シートの上にタッチパネルを形成して偏光板一体型タッチパネルを形成する工程」との事項と引用文献1発明の「抵抗膜式の透明タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層した偏光板一体型タッチパネルを形成する工程」との事項は、後記の点で相違するものの、ともに「偏光板一体型タッチパネルを形成する工程」という点で共通する。 また、本願発明の「外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるように構成された前記偏光板一体型タッチパネルを前記洗浄された液晶パネルに取り付ける工程」との事項と引用文献1発明の「当該偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程」との事項は、後記の点で相違するものの、引用文献1発明での「偏光板一体型タッチパネル」が、抵抗膜式のタッチパネルからなることから、外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるものであることは明らかであるから、ともに「外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるように構成された前記偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程」という点で共通する。 してみると、本願発明の「下記の工程:ゲートラインおよびデータラインを含む液晶パネルを形成する工程、前記液晶パネルを洗浄する工程、偏光シートの上にタッチパネルの下部シートを形成する工程と、前記タッチパネルの上部シートを形成する工程と、前記偏光シートの上に形成された前記タッチパネルの前記下部シートの上にスペーサーを形成する工程と、前記上部シートと前記下部シートを合着する工程とを含む偏光シートの上にタッチパネルを形成して偏光板一体型タッチパネルを形成する工程、外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるように構成された前記偏光板一体型タッチパネルを前記洗浄された液晶パネルに取り付ける工程、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを完成する工程、およびバックライト手段と前記液晶表示モジュールとを組み立てる工程を含み、前記工程が前記記載の順序で実施され」との事項と引用文献1発明の「抵抗膜式の透明タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層した偏光板一体型タッチパネルを形成する工程と、当該偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程とがこの記載の順序で実施される」との事項は、後記の点で相違するものの、ともに「下記の工程:偏光板一体型タッチパネルを形成する工程と、外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるように構成された前記偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程とがこの記載の順序で実施される」という点で共通する。 したがって、両者は、 (一致点) 「 下記の工程: 偏光板一体型タッチパネルを形成する工程、 外部の力によりその一部分に加えられる圧力に対応して電気信号を発生させるように構成された前記偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程とがこの記載の順序で実施されることを特徴とするフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明では、偏向シートの上にタッチパネルの下部シートを形成する工程を備え、そのため、 偏光板一体型タッチパネルを形成する工程が、前記タッチパネルの上部シートを形成する工程と、前記偏光シートの上に形成された前記タッチパネルの前記下部シートの上にスペーサーを形成する工程と、前記上部シートと前記下部シートを合着する工程とを含む偏光シートの上にタッチパネルを形成して偏光板一体型タッチパネルを形成する工程であり、これら記載の順序で実施されるのに対し、 引用文献1発明では、タッチパネルの下部シートに偏向シートを積層する工程を備える留まり、また、上記タッチパネルを、一方側の面に透明導電膜が積層される上部シートと、一方側の面に透明導電膜が積層される上記下部シートと、スペーサーとにより構成するものの、当該タッチパネルを形成する工程の具体的手順について明記されておらず、そのため、 偏光板一体型タッチパネルを形成する工程がどのような順序で実施されているのか明らかでない点。 (相違点2) 本願発明では、液晶パネルがゲートラインおよびデータラインを含み、取り付けられる液晶パネルが洗浄された液晶パネルであり、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを構成し、バックライト手段と前記液晶表示モジュールとからフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置を構成し、そのため、 フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法が、上記液晶パネルを形成する工程、上記液晶パネルを洗浄する工程、偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程、偏光板一体型タッチパネルを前記洗浄された液晶パネルに取り付ける工程、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを完成する工程、および、バックライト手段と液晶表示モジュールとを組み立てる工程を含み、前記工程が前記記載の順序で実施されるものであるのに対し、 引用文献1発明では、液晶パネルがゲートラインおよびデータラインを含むこと、取り付けられる液晶パネルが洗浄された液晶パネルであること、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)により液晶表示モジュールを構成すること、及び、バックライト手段と前記液晶表示モジュールとからフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置を構成することが明記されておらず、そのため、 フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法が、上記のような各工程を含むものか不明であり、当該各工程がどのような順序で実施されているのか明らかでない点。 (相違点3) 本願発明は、液晶パネルに偏光板一体型タッチパネルを取り付けたものに対して一度に検査が実施されるのに対し、 引用文献1発明は、そのような構成が明記されていない点。 (4)相違点についての判断 (相違点1について) タッチパネルの固定基板に偏光シートを設けるに当たり、偏光シートの上にタッチパネルの固定基板を積層するか、タッチパネルの固定基板の上に偏光シートを積層するかは、当業者の選択的事項であるから、引用文献1発明において、タッチパネルの固定基板に偏光シートを積層することに代えて、偏光シートの上にタッチパネルの固定基板を積層し、偏光シートの上にタッチパネルを形成するよう構成すること、すなわち、偏向シートの上にタッチパネルの下部シートを形成する工程を備えるよう構成することは、当業者であれば適宜になし得るものである。 そして、引用文献1発明において、偏向シートの上にタッチパネルの下部シートを形成する工程を備えるよう構成するのであれば、そのため、偏光板一体型タッチパネルを形成する工程が、前記タッチパネルの上部シートを形成する工程と、前記偏光シートの上に形成された前記タッチパネルの前記下部シートの上にスペーサーを形成する工程と、前記上部シートと前記下部シートを合着する工程とを含む偏光シートの上にタッチパネルを形成して偏光板一体型タッチパネルを形成する工程であり、これら記載の順序で実施されることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。 したがって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用文献1発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 (相違点2について) フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置という技術分野において、液晶パネルにゲートラインおよびデータラインを含めること、これを洗浄化し、駆動信号を液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板に液晶パネルが電気的に連結されるタブにより液晶表示モジュールを構成すること、バックライト手段と当該液晶表示モジュールとからフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置を構成することは、いずれも周知技術である。 してみると、引用文献1発明において、上記周知技術を適用し、液晶パネルがゲートラインおよびデータラインを含み、取り付けられる液晶パネルが洗浄された液晶パネルであり、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを構成し、バックライト手段と前記液晶表示モジュールとからフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置を構成することは、当業者であれば適宜になし得るものである。 そして、引用文献1発明において、液晶パネルがゲートラインおよびデータラインを含み、取り付けられる液晶パネルが洗浄された液晶パネルであり、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを構成し、バックライト手段と前記液晶表示モジュールとからフィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置を構成するのであれば、そのため、フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置製造方法を、上記液晶パネルを形成する工程、上記液晶パネルを洗浄する工程、偏光板一体型タッチパネルを液晶パネルに取り付ける工程、偏光板一体型タッチパネルを前記洗浄された液晶パネルに取り付ける工程、駆動信号を前記液晶パネルに供給するように構成された印刷回路基板(PCB)に前記液晶パネルが電気的に連結されるタブ(TAB)工程により液晶表示モジュールを完成する工程、および、バックライト手段と液晶表示モジュールとを組み立てる工程を含むものとし、前記工程が前記記載の順序で実施されるものとすることは、当業者であれば適宜になし得る設計的事項にすぎないものである。 したがって、相違点2に係る本願発明の構成は、引用文献1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 (相違点3について) 歩留まりや生産数、TAT(ターンアラウンドタイム)、納期等の生産管理上の諸条件に応じて、完成前工程の半製品の検査を省略し、完成品の検査の際に半製品の検査で検出できた欠陥も対象として一度に検査するように定めることは、周知の生産管理手法にすぎない。 してみると、引用文献1発明において、完成前工程の半製品である液晶パネルに、同様の半製品である偏光板一体型タッチパネルを取り付けるのであれば、上記周知の生産管理手法を適用し、液晶パネルに偏光板一体型タッチパネルを取り付けたものに対して一度に検査が実施されるよう構成することは、当業者であれば適宜なし得るものである。 したがって、相違点3に係る本願発明の構成は、引用文献1発明及び周知の生産管理手法に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願発明の作用効果も、引用文献1、周知技術及び周知の生産管理手法から、当業者が予測できる範囲のものである。 (5)結論 よって、本願発明は、引用文献1発明、周知技術及び周知の生産管理手法に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 3.むすび 上記のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1発明、周知技術及び周知の生産管理手法に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-06 |
結審通知日 | 2011-01-11 |
審決日 | 2011-01-31 |
出願番号 | 特願2002-379664(P2002-379664) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森田 充功、石井 茂和 |
特許庁審判長 |
井上 正 |
特許庁審判官 |
山本 穂積 田代 吉成 |
発明の名称 | フィルムタイプタッチパネルとの一体型液晶表示装置の製造方法 |
代理人 | 高梨 憲通 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 岡部 讓 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 藤野 育男 |
代理人 | 岡部 正夫 |