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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45D
管理番号 1238711
審判番号 不服2009-20958  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-29 
確定日 2011-06-13 
事件の表示 特願2001-274350号「コンパクト」拒絶査定不服審判事件〔平成14年5月28日出願公開、特開2002-153316号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成13年9月10日(優先権主張 平成12年9月8日)の出願であって、平成21年7月27日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年10月29日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


II.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年7月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 ケース本体に化粧料の収納皿の支持枠を取着し、該支持枠に収納皿を装着するようにしたコンパクトにおいて、
支持枠は、所定の側板と中間部に設けた仕切り板によって収納皿支持部を構成し、
支持枠の前記所定の側板に、弾性板とその先端に設けた係合爪とからなる一対の係止片を配設し、係合爪の係合面の収納皿装着前の位置が、装着時の収納皿の側壁内面、または内面から内方に突出して位置するように形成させ、
前記所定の側板とケース本体の側周壁の間に間隙を設け、
収納皿の側壁に係止片の係合爪に対応する位置に係合凹部を設け、
前記係合爪が、収納皿装着時に弾撥力を持って収納皿の係合凹部に当接し、収納皿を押圧するとともに、上昇しないよう係止することを特徴とするコンパクト。」


III.引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平11-206444号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

a.「このコンパクト1は、合成樹脂製で、容器本体2と、該容器本体2の上端開口を塞ぐ蓋体3と、容器本体2の後端部と蓋体3を開閉自在にヒンジ結合する枢支軸(図示省略)と、容器本体2内に嵌合される中枠4と、該中枠4内に係脱自在に組付け可能とされた化粧料収納用の中皿5と、蓋体3を容器本体2の前端部に係合する係合手段6とにより主構成されている。」(段落【0010】)

b.「容器本体2の左側壁10の内面には、弾性片収容凹部14が設けられている。」(段落【0011】)

c.「前記中枠4は、合成樹脂により底なしの略長方枠形に成形され、上端に外向きの鍔4Aを有し、左右方向(長手方向)中央部に前後方向の隔壁(中皿収納部の一方の側壁)15を設けて、左右2つの収納部が隔成され、その一方(左側)が化粧料収納用の中皿収納部16とされ、他方(右側)がパフ収納部17とされている。」(段落【0013】)

d.「前記中枠4の左側壁16Aには、前後方向中央部側から夫々前又は後方に鍔4Aと平行に延び各角隅部の手前から下方に延びて下端に開く内又は外側からみてカギ形(L形)のスリット20が対称に設けられ(図1参照)、前又は後方に自由端21Aを有しかつ内外方向に撓む2つの第一弾性片21,21が形成されている。」(段落【0015】)

e.「前記第一弾性片21の内側面には、第二係止部23が夫々突設されている。この第二係止部23の突出量は、中皿収納状態において、中枠側壁16Aと中皿5との間に、中皿取出し時の押し代分の間隙Sが確保され、かつ中皿5を常時若干押圧し保持するのに必要な弾力を発生させうる量とされている。」(段落【0017】)

f.「中皿5は、合成樹脂により浅形の略方形皿状に成形され、外周面下部に周溝からなる係合部28が設けられ、該係合部28に中枠4の第一係止部19及び第二係止部23が嵌入係合されるようになっている。」(段落【0019】)

g.「中皿5を押圧保持する押圧手段が、第一弾性片21とこれに設けた第二弾性片22により構成され、撓み個所が複数形成されているので、必要にしてかつ十分な撓み量を確保でき、撓み易いので中皿5の着脱操作が至極容易であり、しかも、第二弾性片22の先端部22Aが容器本体2の弾性片収容凹部14内側面に当接しているので、十分な弾力を生じさせて中皿5を強固に押圧保持することができる。」(段落【0022】)

h.「第一弾性片21の内側に第二係止部23を設けているので、第二係止部23を介して中皿5の係合部28を押圧でき、係合が確実であり、中皿5を強固に係止保持することができ、中皿5のガタつきを防止できる。」(段落【0023】)

i.「中皿5の押圧保持力を増大させ、強固に中皿5を保持させることができる。」(段落【0025】)

j.記載事項gの「中皿5を押圧保持する押圧手段が、第一弾性片21とこれに設けた第二弾性片22により構成され」の記載、図面の図1及び図2を参照すれば、第一弾性片21及び第二弾性片22により押圧手段が構成され、当該押圧手段の自由端21A寄りに第二係止部23が突設されていることが読み取れる。

k.記載事項b及び図2を参照すれば、左側壁16Aと容器本体2の左側壁10の間に弾性片収容凹部14が設けられていることがわかる。

よって、上記の各記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「容器本体2に化粧料収納用の中皿5の中枠4を嵌合し、該中枠4に中皿5を組付けるようにしたコンパクト1において、
中枠4は、左側壁16Aと中央部に設けた隔壁15によって中皿収納部16を構成し、
中枠4の前記左側壁16Aに、押圧手段とその自由端21A寄りに突設した第二係止部23とを2つ形成し、第二係止部23の突出量が、中皿5を常時押圧保持するのに必要な弾力を発生させうる量とされ、
前記左側壁16Aと容器本体2の左側壁10の間に弾性片収容凹部14を設け、
中皿5の外周面に係合部28を設け、
前記第二係止部23が、中皿収納状態において弾力により中皿5の係合部28に嵌入係合し、中皿5を押圧するとともに、中皿5を強固に係止保持するコンパクト1。」


IV.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「容器本体2」は、文言の意味、形状又は機能等からみて本願発明の「ケース本体」に相当し、以下同様に、「化粧料収納用の」は「化粧料の」に、「中皿5」は「収納皿」に、「中枠4」は「支持枠」に、「嵌合し」は「取着し」に、「組付ける」は「装着する」に、「コンパクト1」は「コンパクト」に、「左側壁16A」は「所定の側板」に、「中央部に設けた隔壁15」は「中間部に設けた仕切り板」に、「中皿収納部16」は「収納皿支持部」に、「左側壁10」は「側周壁」に、「弾性片収容凹部14」は「間隙」に、「中皿5の外周面」は「収納皿の側壁」に、「係合部28」は「係合凹部」に、「中皿収納状態において弾力により」は「収納皿装着時に弾撥力を持って」に、「嵌入係合し」は「当接し」に、それぞれ相当する。

また、同様に、引用発明の「押圧手段」、「第二係止部23」は、本願発明の「弾性板」、「係合爪」にそれぞれ相当するので、引用発明の「押圧手段とその自由端21A寄りに突設した第二係止部23とを2つ形成し、」は、本願発明の「弾性板とその先端に設けた係合爪とからなる一対の係止片を配設し、」に相当する。

引用発明では、「第二係止部23が、中皿組付け時に弾力により中皿5の係合部28に嵌入係合」することから、係合部28の設けられている位置は、第二係止部23と対応する位置であるといえる。

引用発明の「第二係止部23」は、「中皿組付け時に弾力により中皿5の係合部28に嵌入係合し、中皿5を押圧するとともに、中皿5を強固に係止保持する」のであるから、このような「強固な係止保持」により、中皿5は、上昇しないようにも係止されているといえる。

よって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、本願発明の用語を用いて表現すると、次のとおりである。

(一致点)
ケース本体に化粧料の収納皿の支持枠を取着し、該支持枠に収納皿を装着するようにしたコンパクトにおいて、
支持枠は、所定の側板と中間部に設けた仕切り板によって収納皿支持部を構成し、
支持枠の前記所定の側板に、弾性板とその先端に設けた係合爪とからなる一対の係止片を配設し、
前記所定の側板とケース本体の側周壁の間に間隙を設け、
収納皿の側壁に係止片の係合爪に対応する位置に係合凹部を設け、
前記係合爪が、収納皿装着時に弾撥力を持って収納皿の係合凹部に当接し、収納皿を押圧するとともに、上昇しないよう係止するコンパクト。

(相違点)
本願発明では、係合爪の係合面の収納皿装着前の位置が、装着時の収納皿の側壁内面、または内面から内方に突出して位置するように形成されているのに対し、引用発明では、係合爪の突出量が、収納皿を常時押圧保持するのに必要な弾力を発生させうる量に形成されてはいるものの、係合爪の係合面の収納皿装着前の具体的な位置については、明らかでない点。


V.相違点の判断
上記記載事項eにおける「第二係止部23の突出量は、中皿収納状態において、・・・中皿5を常時若干押圧し保持するのに必要な弾力を発生させうる量」との記載によれば、収納皿を常時押圧保持するのに必要な弾力の大きさは、係合爪の突出量に依存するものと理解できる。
また、記載事項iの「中皿5の押圧保持力を増大させ、強固に中皿5を保持させる」、記載事項hの「中皿5を強固に係止保持することができ、中皿5のガタつきを防止できる」の各記載によれば、押圧保持力を増大させると、中皿5の強固な保持が期待でき、中皿5の強固な保持により、中皿5のガタつきを防止できることが、わかる。
そして、中皿5をどの程度強固に保持するか、即ち、中皿5の押圧保持力の大きさをどの程度の大きさとするかは、期待されるガタつき防止効果を踏まえて適宜に定め得る設計事項である。
してみると、引用発明において、収納皿を常時押圧保持可能な係合爪の突出量の範囲を、必要とされるガタつき防止効果の程度に応じて最適化することは、当業者による通常の創作能力の発揮であるといえ、その突出量を「係合爪の係合面の収納皿装着前の位置が、装着時の収納皿の側壁内面、または内面から内方に突出して位置するように」定めることは、当業者であれば容易になし得たことである。

そして、本願発明による効果も、引用発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。


VI.むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-04-01 
出願番号 特願2001-274350(P2001-274350)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A45D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲村 正義  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 関谷 一夫
寺澤 忠司
発明の名称 コンパクト  
代理人 吉村 眞治  

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