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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E05B
管理番号 1238765
審判番号 不服2010-155  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-06 
確定日 2011-06-15 
事件の表示 特願2004-324301「カギ管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日出願公開、特開2006-104918〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,平成16年10月8日にされた出願であって,平成21年9月24日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成22年1月6日に拒絶査定に対する審判請求がされると同時に,手続補正がされたものである。
その後,平成22年12月14日付けで当審から拒絶理由を通知したところ,平成23年2月21日付けで審判請求人から意見書及び手続補正書が提出された。

本願の請求項1に係る発明は,平成23年2月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項1】
建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギを管理するためのカギ管理システムであって,
第一に当該システムの使用方法及び使用手順を説明するカギ管理運用マニュアル書を備え,第二に管理すべきカギの管理番号を複数併記するように記入する管理番号表示欄と,当該カギが対象とする建物内での移動が可能な対象什器備品の対象什器備品名を複数併記するように記入する対象什器備品名欄とを有し,この対象什器備品名欄には,カギのメーカー製造番号,カギのメーカー名,カギの準備本数,施錠の要否の項目を表示するカギ管理表を備え,第三に室内のレイアウト図に,前記対象什器備品の配置状況を図表示し,このレイアウト図に表示されている対象什器備品中に,対応するカギの管理番号を付してなるカギ管理レイアウト図を備え,第四にカギの管理番号を表示したシールを,当該管理番号のカギが対応する対象什器備品に貼付するようにし,第五に前記対象什器備品の室内での移動に対応して,前記カギ管理表及びカギ管理レイアウト図における対象什器備品の表示位置を移記するように編集し,第六にカギ管理表及びカギ管理レイアウト図の移記状態が相互に連動して修正されるようにしたことを特徴とするカギ管理システム。」(以下,「本願発明」という。)

2.刊行物及びその記載内容
刊行物1:実願平2-89198号(実開平4-46846号)のマイクロフィルム
刊行物2:実願平4-35203号(実開平6-18576号)のCD-ROM
刊行物3:特開平2-119396号公報
刊行物4:実公昭43-10635号公報

(1)平成22年12月14日付け拒絶理由通知書にて通知され,本願出願日前に頒布された刊行物である上記刊行物1には,以下の記載がある。
(1a)「〔産業上の利用分野〕
本考案は,多数のキーを管理するために一括して吊り下げ保管することができるようにしたキー整理保管ボックスにおける見出しの取付構造に関するものである。
〔従来の技術〕
物品を整理保管する場合には,その保管物品の位置を表示する見出しを設けることが多く,概ねそのための構造として必要な事項を記載した厚紙とその表部を覆う透明板とを重合した状態のもとに,凹部に嵌め込むと共に止縁により受け止めるようにし,あるいは切り抜き窓付枠部材を取り付けて挿し込むように構成している。」(第2頁第9?13行)
(1b)「〔実施例〕
以下,本考案の取付構造を例示する図示の実施例について詳細に説明する。
第1図ないし第3図の実施例について述べると,本考案の見出し取付構造を適用するキー整理保管ボックスとしては,例えば図示のように,浅型角盆状のケース1,1を開閉自在に蝶着すると共に,これを壁面に着脱自在に掛け止めて設置することができるようにするほか,取り外してかばん型として携帯することができるようにし,かつケース1,1の内部には,複数段にキーハンガー2,2を着脱自在に設けると共に,このキーハンガー2には多数のフック3,3とこれに対応した番号表示部4,4とを列設し,必要に応じキー5をそのホルダー6において吊り下げるようにし,更にキーハンガー2の例えば側方部分に当該キーハンガー2に吊り下げるキー5がいずれの部屋のキーであるかを表示する見出し部分を,設けるようにした型式を採択する。
・・・かつこれに対する見出しについては,2枚の透明な長方形のプラスチック板を適度な間隙が保たれるように3辺縁において接着し,接着しない他のl辺部分において表示票9を挿脱することができるようにしたペーパーホルダー10を採択し,・・・」(第2頁第15行?第6頁第6行)
(1c)「〔効果〕
以上説明したように,本考案によれば,必要事項を記入した見出し用表示票を透明なペーパーホルダーに挟持状態のもとに掃脱自在に保持するようにすると共に,このペーパーホルダーを止爪により掛け止め状態のもとにケースに取り付けるようにしたから,・・・表示票として薄い紙片等を使用するに拘わらずこれを安定的に保持することができる効果がある。」(第7頁第8?18行)
(1d)第2図には,9(表示票)に,番号欄,区分欄,位置欄が設けられている様子が示されており,また,番号欄には,4(番号表示部)に対応した番号301・・・309,310が記載され,管理すべき鍵の番号が複数併記するように記入された一覧表となっている様子が示されている。

上記記載事項(1a)?(1d)の記載からみて,刊行物1には,以下の発明が開示されているものと認められる。
「多数の鍵を管理する方法であって,必要事項を記入した表示票を用いるものであり,表示票は,管理すべき鍵の番号を複数併記するように記入する番号欄と必要事項を記入した欄とが設けられた一覧表となっている,鍵の管理方法。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

(2)同じく,刊行物2には,以下の記載がある。
(2a)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】キーの名称,区分,記号等を表示したカードと,このカードを組込んで開閉可能に設けたホルダー体とよりなり,前記ホルダーに組込んだカード表示に対応するキーを扁平状に保持すると共に,透明の合成樹脂材で名刺入れサイズ,もしくはカードサイズに構成したことを特徴とするキーホルダー。
【請求項2】請求項1のキーホルダーの収納部を設けたシートを透明体で形成し一体にファイルしたことを特徴とするキーホルダーブック。」
(2b)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は,自動車や家屋等の建造物,家具装置品等に数多く使用されているキーの使用と携帯及び保管収納に便利なキーホルダー及びそのホルダーブックに関するものである。」
(2c)「【0005】
【作用】
請求項1のキーホルダー3はカード1に表示したキーKの区分,使用箇所に応じた記号,もしくは名称等を記入してあるので,透明材で成形したサック状のキーホルダー3内に組込んだたカード1とこれに対応したキーKは外部より容易にキーの使用区分等が判別できるのでキーホルダーのジッパー10を開いて素早く利用できる。・・・」
(2d)「【0006】
【実施例】
図面より本考案の一実施例を説明する。1は表示カードで2はカードに区分した文字,記号等の枠である。3は表示カードとキーkを入れるキーホルダーである。表示カード1にはキーKの名称,使用区分,記号等使用場所,位置に応じた表示や,キーホルダーのブック帳ファイルへの収納位置等を表示する。その一例を図2の(ロ)で説明すればキーホルダー3のキーKは倉庫鍵であって2号倉庫の1階4号室の戸棚の鍵であることを示すものとしそれぞれ区分された表示枠4?8の中に区分する。9のf3は図4に例示するホルダーブック12のファイルシートの3枚目f3に収納する収納位置を示す。この様に鍵の使用区分に応じて設けた枠内に順次分類分け,細分分けできるように構成する。枠の利用法,区分法等については使用者が実情に応じ適宜変更して使用すればよい。10はジッパーでキーホルダー3内に封入したキーや表示カード1の出し入れを開閉する嵌脱作用により内容物が脱落しないようにする。11は表示カード1の差込口である。表示カード1は紙,又はプラスチック材で,キーホルダーは硬質の塩化ビニール等の透明材で成形し,外部よりカード表示やキーの内容物が一目で判別できジッパー10を開閉して差込口11より出し入れ自在とする。キーホルダー3にキーを挿入する際はホルダー内のカード1に扁平状に接合する。キーの肉厚は約2mm程度であり図3に示すようにカードと合わせても2.5mm程度であり嵩張らない。企業等でビジネス用の多数の鍵を収納する場合は図4に示す様に透明の各ファイルシートfに収納部13を設け一体に編綴してキーのホルダーブック12に構成する。会社,又は家庭で多数の鍵を使用する際はホルダーブックに組込んで保管するようにしたものである。」
(2e)「【0007】
【効果】
本考案は以上説明したようにキーの使用区分が外観上一目で判別できるように考案したもので単独使用は勿論多数のキーの保管と使用について機能性と利便容易性を図ったものである。構造機能としてはキーホルダーは透明のホルダー内にカードと共に扁平に組込んでありかさ張らず外観上その使用区分が明瞭に判別できる特長がある。特に企業等でビジネス上使用する多数の束状の鍵群についてもホルダーブックに編綴し,各シートは透明収納部に各別に収納区分しているので管理保管にすぐれた実用性がある。使用上の便利さとしては個々には扁平のキーホルダーとして名刺判,カードサイズであるので名刺入れ,定期入れに入れて携帯,保管できるので紛失のおそれが少なく持ち易いという利点がある。」
(2f)【図2】(ロ)には,表示カード1に,倉庫鍵,戸,f3と記載され,それぞれ引出線で,4,8,9との図番号と結ばれている。記載事項(2d)を参酌すれば,4の倉庫鍵,8の戸との記載が,キーの使用対象が倉庫の戸棚であるとの情報を示し,9のf3がホルダーブックの保管位置がf3であるとの情報を示していることは明らかである。
(2g)【図4】によれば,ファイルシートfの片面に収容部13が複数個設けられていることは明らかである。

上記記載事項(2a)?(2g)の記載からみて,刊行物2には,以下の発明が開示されているものと認められる。

「家具装置品等のキーを管理する方法であって,キーを管理するにあたり,キーの名称と使用対象に関する情報とを表示枠2に記載したカード1を用いる方法。」(以下,「刊行物2記載の発明」という。)

(3)刊行物3
同じく上記刊行物3には,以下の記載がある。
(3a)「[従来の技術]
近年,ビル内の広いフロアをパーティション等で区切って様々な部所を区画し,それぞれの部所における事務取扱いや作業を行うようにしたオフィスが多く出現している。このようなオフィスにおいては,机或いは書棚更にはパーティション等の各種室内装置品即ち家具が大量に室内に設置され,例えば1年とか2年とかの期間1つのプロジェクトで活動した後,そのプロジェクトは解散して更に他のプロジェクトが結成されるというようなことが起こる。そしてプロジェクトの解散或いは結成に当っては,またパーティションの組換えや机の再配置というような作業が行われる。従来にあってはこのような場合において室内装置品あるパーティション或いは机等を把握し或いは管理するためには,備品帳簿等を用意して何処にどの机が設置されており或いは余った机を倉庫にしまう等の記録をとっていた。
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら,このような室内装置品の管理方法にあっては,机やパーティション等を動かすたびにいちいち備品帳簿に書込まなければならず又,机やパーティション等の配置状況を図面に描いて管理する必要があるため,多大な人手と時間を必要とし不経済であった。」(第1頁左下欄第19行?第2頁左上欄第3行)

(4)刊行物4
同じく上記刊行物4には,以下の記載がある。
(4a)「従来,ロッカー等公衆の利用する機器,備品においては錠と該錠の鍵に同じ符号をつけて鍵をあける際組合わせを間違えないようにするために鍵に錠番号を表示した鍵札を取りつけているが・・・」(第1頁左欄22?25行)

3.対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「鍵」,「番号」,「番号欄」,「表示票」及び「鍵の管理方法」が,本願発明の「カギ」,「管理番号」,「管理番号表示欄」,「カギ管理表」及び「カギ管理システム」に相当する。

よって,本願発明と刊行物1記載の発明とは,
「カギを管理するためのカギ管理システムであって,管理すべきカギの管理番号を複数併記するように記入する管理番号表示欄を有するカギの管理表を備えるカギ管理システム。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

相違点1
本願発明は,建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギを管理するためのカギ管理システムであって,該システムの使用方法及び使用手順を説明するカギ管理運用マニュアル書を備えるのに対し,刊行物1記載の発明は,管理するカギが本願発明のように建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギに特定されておらず,このようなカギ管理システムの使用方法及び使用手順を説明するカギ管理運用マニュアル書を備えない点。

相違点2
本願発明は,カギが建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギに特定されていることに伴って,カギ管理表は管理番号表示欄とともに対象什器備品名を記入する対象什器備品名欄を有しており,対象什器備品名欄には,対象什器備品名とともに,カギのメーカー製造番号,カギのメーカー名,カギの準備本数,施錠の要否の項目を表示するものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,カギ管理表に表示する項目は特定されておらず,カギが本願発明のような対象什器備品のカギに特定されていないことから,刊行物1の実施例においても本願発明の什器備品名欄のような項目を表示することは示されていない点。

相違点3
本願発明は,室内のレイアウト図に,対象什器備品の配置状況を図表示し,このレイアウト図に表示されている対象什器備品中に,対応するカギの管理番号を付してなるカギ管理レイアウト図を備え,前記対象什器備品の室内での移動に対応して,前記カギ管理表及びカギ管理レイアウト図における対象什器備品の表示位置を移記するように編集し,カギ管理表及びカギ管理レイアウト図の移記状態が相互に連動して修正されるようにしたものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,カギ管理レイアウト図を備えておらず,当然,上記のような構成を備えない点。

相違点4
本願発明は,カギの管理番号を表示したシールを,当該管理番号のカギが対応する対象什器備品に貼付するようにしたのに対し,刊行物1記載の発明は,カギに対応する備品にシールを貼ること自体示されておらず,上記のような構成を有していない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
相違点1について
オフィスで汎用される事務用机や戸棚が建物内で繰り返し移動可能なこと,事務用机の引出しや戸棚がカギによって施錠可能なことは,証拠を挙げるまでもなく周知の事項である。
刊行物1記載の発明は,管理するカギが何のカギであるかを限定していないが,これを,建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギとすることは当業者が適宜なし得ることである。
そして,管理の仕方等をマニュアルにして,管理の仕方に明るくない利用者に対して便宜を図ることは,社会的にごく一般に行われていることであり,刊行物1記載の発明において,カギを建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギに特定して,カギ管理システムを建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギを管理するカギ管理システムとするにあたり,その使用方法及び使用手順を説明するカギ管理運用マニュアルを準備することは,当業者が容易になし得ることである。

相違点2について
どのカギがどの什器備品のカギであるかは,什器備品のカギを管理するにあたって必要な情報であると認められる。例えば,刊行物2記載の発明においても,カギに関する情報として,カギの名称と使用対象に関する情報とが1枚のカードで提供されている。
刊行物1記載の発明もカギ管理表に必要な事項を記載して管理するものであって,番号欄と並んで区分欄,位置欄を設けているものであり,管理するカギを什器備品のカギに特定するにあたり,カギ管理表にカギが対象とする対象什器備品名を記載する対象什器備品名欄を設けることは当業者が容易になし得ることである。

建物内で繰り返し移動することが可能である什器備品のカギは,通常,メーカーが什器とともにスペアキーを含めて複数本提供するものであり,また,メーカーはカギに,カギを特定するための番号を付しているものである。そして,合鍵の追加作製の際には,メーカーに対し,対象什器の型番等とともにカギを特定する番号を通知することが必要となることはカギの管理者に周知の事項であるから,刊行物1記載の発明のカギ管理表を用いて什器備品のカギを管理するにあたり,対象什器備品名欄に対象什器備品名とともに,カギのメーカー製造番号,カギのメーカー名,カギの準備本数を表示するようにすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。
施錠の要否をさらに対象什器備品名欄に記載するようにすることも,当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。

相違点3について
刊行物3に「・・・室内装置品の管理方法にあっては,机やパーティション等を動かすたびにいちいち備品帳簿に書込まなければならず又,机やパーティション等の配置状況を図面に描いて管理する必要がある」と記載されるように,備品帳簿とともに室内のレイアウト図に什器備品の配置状況を図表示した什器備品のレイアウト図を備えておくこと,什器備品を移動する際には,その移動に対応して備品帳簿を最新の状態に修正するとともにレイアウト図における什器備品の位置を変更して最新のレイアウト図に更新することは,オフィス等において什器備品を管理する際に通常行われていることである。
刊行物1記載の発明において,カギを建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギに特定して対象什器備品のカギを管理するためのカギ管理システムとするにあたり,上記のような什器備品のレイアウト図を利用し,これにカギの管理番号を付してカギ管理レイアウト図とし,これを備えるものとすることは,当業者が容易になし得ることである。
また,刊行物3にも記載があるように,このようなレイアウト図や帳簿を常に最新のものに更新することは管理者が当然なすべきことであり,対象什器備品の室内での移動に対応して,カギ管理表及びカギ管理レイアウト図における対象什器備品の表示位置を移記するように編集して,カギ管理表及びカギ管理レイアウト図をともに修正し,カギ管理表及びカギ管理レイアウト図の移記状態が相互に連動して修正されるようにすることは当業者が容易になし得ることである。

相違点4について
カギ及びカギの対象とする物(扉,抽斗等)が多数ある場合に,カギ及びその対象に同じ番号を付しておくことは,宿泊施設の客室扉,公衆の利用するロッカー(刊行物4の記載事項(4a)参照)等,至極一般に行われていることである。また,符号等を付与する際にシールを貼付することにより行うことも,例を挙げるまでもなく周知の技術である。
よって,刊行物1記載の発明において,カギを建物内で繰り返し移動することが可能である対象什器備品のカギに特定して対象什器備品のカギを管理するためのカギ管理システムとするにあたり,カギの管理番号と同じ番号を対象什器備品に付すこと,これをシールを貼付することによって行うことも,当業者が容易になし得ることである。

本願発明の効果について検討する。
カギの検索が容易になり,取り出し作業時間の短縮を図ることができるという効果は,カギの情報をカギ管理表で一覧できるようにした刊行物1記載の発明も奏する効果である。
また,カギレイアウト図や対象什器備品から対応するカギ管理番号を読み取れることは,備品帳簿及びレイアウト図で物品の管理を容易にしている刊行物3に記載のような周知技術やカギ及びその対象に同じ番号を付しておく刊行物4に記載のような周知技術から予測し得る効果である。
なお,本願発明は,特定のカギ管理番号のカギのスペアキーの所在については何ら言及していないから,カギ管理番号のカギを保管場所より選出することにより簡単にスペアキーを得ることができるとの効果は本願発明の効果ではないが,当該効果も,カギに管理番号を付し,カギの情報を管理表で一覧できるようにした刊行物1記載の発明や,カギを使用対象に関する情報とともに管理する刊行物2記載の発明から予測し得る程度のものである。

したがって,本願発明は,刊行物1?4に記載された発明ないし周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1?4に記載された発明ないし周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本願の他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-29 
結審通知日 2011-04-05 
審決日 2011-04-19 
出願番号 特願2004-324301(P2004-324301)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (E05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島本 公仁  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
土屋 真理子
発明の名称 カギ管理システム  
代理人 松浦 恵治  

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