ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G |
---|---|
管理番号 | 1238767 |
審判番号 | 不服2010-903 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-15 |
確定日 | 2011-06-15 |
事件の表示 | 特願2006-173999「フラットパネルディスプレイの製造装置、フラットパネルディスプレイの製造装置用ストッカー、フラットパネルディスプレイの製造装置用ローダー、及びこれを用いたフラットパネルディスプレイの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月19日出願公開、特開2007-182325〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成18年6月23日(優先権主張、平成17年12月29日大韓民国)の特許出願であって、同21年1月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月9日に手続補正がなされ、同年9月9日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同22年1月15日に本件審判の請求とともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、同年12月21日に回答書が提出されたものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲、発明の名称、発明の詳細な説明について補正をするものであって、請求項1について、補正前後の記載は、以下のとおりである。 (1)補正前(平成21年7月9日付け手続補正による) 「複数枚の基板が収納されるカセットと、 前記カセットが配設される棚を備えたストッカーと、 前記カセット内の前記複数枚の基板の各々を受け取って、工程を実行する工程進行部と、 少なくとも二つ以上のハンド部を含んでおり、前記ストッカーと前記工程進行部との間に配設され、前記ストッカーに配設された前記カセット内の前記基板を受け取って前記工程進行部に配設するローダーと、 前記カセットから前記基板を取り出して前記ローダーの前記ハンド部に配設する取り出し部と を含み、 前記ストッカーは、前記棚を昇降するための昇降部、および前記棚の昇降移動を支持するための支持部を備え、 前記支持部は、前記棚の角部を支持するためのLMガイドを有し、 前記ローダーの前記ハンド部は、前記ハンド部に配設される前記基板を吸着するための吸着部を備え、 前記吸着部は、前記ハンド部の上面を貫通する真空ホールと、空気吸入力を発生する真空ポンプと、前記空気吸入力を前記真空ホールに伝える真空流路とを含み、 前記取り出し部は、前記ストッカーの前記棚の下側に設けられたフレーム部と、前記フレーム部の上面に転がり可能に設置された転がり部と、前記転がり部を回転駆動させるための駆動部とを含む ことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造装置。」 (2)補正後 「複数枚の基板が収納されるカセットと、 前記カセットが配設される棚を備えたストッカーと、 前記カセット内の前記複数枚の基板の各々を受け取って、工程を実行する工程進行部と、 少なくとも二つ以上のハンド部を含んでおり、前記ストッカーと前記工程進行部との間に配設され、前記ストッカーに配設された前記カセット内の前記基板を受け取って前記工程進行部に配設するローダーと、 前記カセットから前記基板を取り出して前記ローダーの前記ハンド部に配設する取り出し部と を含み、 前記ストッカーは、前記棚を昇降するための昇降部、および前記棚の昇降移動を支持するための支持部を備え、 前記昇降部は、前記棚の両側部にそれぞれ結合された結合ブラケットと、それぞれの前記結合ブラケットのうち少なくともいずれか一つの結合ブラケットを貫通するボールスクリューと、前記ボールスクリューを回転駆動するための駆動モータとを含み、 前記支持部は、前記棚の角部を支持するためのLMガイドを有し、 前記ローダーの前記ハンド部は、前記ハンド部に配設される前記基板を吸着するための吸着部を備え、 前記吸着部は、前記ハンド部の上面を貫通する真空ホールと、空気吸入力を発生する真空ポンプと、前記空気吸入力を前記真空ホールに伝える真空流路とを含み、 前記取り出し部は、前記ストッカーの前記棚の下側に設けられたフレーム部と、前記フレーム部の上面に転がり可能に設置された転がり部と、前記転がり部を回転駆動させるための駆動部とを含み、 前記転がり部は、前記フレーム部の上面に転がり可能に設置されたローラであり、前記転がり部は、前記フレーム部の長手方向に沿って少なくとも一つ設置され、 前記駆動部は、前記転がり部を回転駆動させるための駆動モータであり、前記駆動部は、前記各転がり部のうち一部のみに備えられる ことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造装置。」 2.補正の適否 本件補正の特許請求の範囲の補正後の請求項1についての補正は、「昇降部」について、「前記棚の両側部にそれぞれ結合された結合ブラケットと、それぞれの前記結合ブラケットのうち少なくともいずれか一つの結合ブラケットを貫通するボールスクリューと、前記ボールスクリューを回転駆動するための駆動モータとを含み」なる事項を付加し、「転がり部」について、「前記フレーム部の上面に転がり可能に設置されたローラであり、前記転がり部は、前記フレーム部の長手方向に沿って少なくとも一つ設置され」なる事項を付加し、「駆動部」について、「前記転がり部を回転駆動させるための駆動モータであり、前記駆動部は、前記各転がり部のうち一部のみに備えられる」なる事項を付加するものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。 (1)補正発明 補正発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。 (2)刊行物に記載された発明 ア.刊行物1 これに対し、原査定の拒絶理由で引用された刊行物である特開2005-317854号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)段落0001?0004 「【0001】 本願発明は、たとえば液晶パネル用のガラス基板といった板状のワークを水平に保持しながら転送するためのトランスファロボットに関する。 【背景技術】 【0002】 この種のトランスファロボットとしては、たとえば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたトランスファロボットは、本願の図14および図15に示すように、板状のワークWを水平に保持するハンド400と、このハンド400を所定の水平直線移動行程Sに沿って前進・後退させる直線移動機構300と、この直線移動機構300に含まれる支持ベース310を鉛直方向に昇降させる昇降機構200とを備えている。・・・。 【0003】 このようなトランスファロボットXは、図14に示すように、多数のワークWを収容したカセット部Cからバッファ部Bを介してワークWを受け取ることができるように、バッファ部Bに隣接したロボット部Rに設置されている。カセット部Cには、多数のワークWが鉛直方向に一定間隔をあけて重なった状態で昇降フレームC1に保持されている。昇降フレームC1が下方に移動すると、最下段に保持されたワークWがカセット部CのローラコンベアC2上に載置される。 【0004】 その後、ワークWは、カセット部CのローラコンベアC2からバッファ部BのローラコンベアB1上に搬送される。・・・。これにより、バッファ部BのローラコンベアB1上にあったワークWがハンド400上に載り移る。さらにその後、トランスファロボットXは、ハンド400をロボット部Rの所定位置まで後退させて回転部材311をたとえば180度あるいは90度回転させ、ハンド400を図外のワーク処理部に向けた姿勢で再び直線移動機構300を作動させる。これにより、トランスファロボットXは、カセット部Cからバッファ部Bを経由して受け取ったワークWを移送先となるワーク処理部に転送する。」 (イ)段落0027 「【0027】 図1?3に良く示されているように、本実施形態のトランスファロボットA1は、大別すると、フロアなどの所定箇所に固定される固定ベース1、固定ベース1を基部とする昇降機構2、昇降機構2によって鉛直方向に昇降させられる2組の直線移動機構3A,3B、直線移動機構3A,3Bにより水平直線移動行程S(図2参照)に沿って前進・後退させられる鉛直方向下段側および上段側のハンド4A,4Bを具備して構成されている。なお、以下の説明においては、各図に示す状態においてハンド4A,4Bが前進・後退する方向(水平直線移動行程Sに沿う方向)をx軸方向、このx軸方向に直交する水平方向をy軸方向、x軸およびy軸の両方向に直交する鉛直方向をz軸方向と称する。」 (ウ)段落0032?0033 「【0032】 ハンド4A,4Bは、第2水平リンクアーム33の先端部に支持された基部40、基部40の両側からx軸方向に延びて板状のワークWを水平に保持するフォーク部41、ワークWの下面を支持してワークWをx軸方向に移動させるようにフォーク部41に設けられた複数のローラ42、ならびにワークWをその両側方から挟持してワークの位置調整を行うようにフォーク部41に設けられた複数のサイドアーム43を有して構成されている。・・・。 【0033】 図4および図5に良く示されているように、フォーク部41の所定箇所には、複数のローラ42を同時に回転させるためのローラ回転用モータ44や伝動軸45が設けられている。フォーク部41の内部には、ローラ回転用モータ44から伝動軸45を介して複数のローラ42に回転力を伝えるための伝動ベルト46およびプーリギア47ならびに回転軸48が内蔵されている。ローラ42は、回転軸48の両端に固定された状態でフォーク部41の両側に設けられており、各フォーク部41においては、複数のローラ42がx軸方向(水平直線移動行程S)に沿って一定間隔おきに並んでいる。また、図4および図6に良く示されているように、各ローラ42は、ワークWの下面に接するようにその接触部分がフォーク部41の上面よりも若干上方側に出ている。ローラ回転用モータ44からの回転力は、伝動ベルト46およびプーリギア47を介して伝動軸45に伝わり、これにより伝動軸45が回転する。各フォーク部41では、さらに伝動軸45から伝動ベルト46およびプーリギア47を介して各ローラ42の回転軸48に回転力が伝わり、これにより複数のローラ42が同時に回転する。つまり、複数のローラ42を回転させる回転駆動機構としては、上記ローラ回転用モータ44、伝動軸45、伝動ベルト46、プーリギア47、および回転軸48によって実現されている。」 (エ)段落0035?0042 「【0035】 次に、上記トランスファロボットA1の動作について説明する。 【0036】 図7に示されているように、トランスファロボットA1は、たとえば液晶パネル用のガラス基板といったワークWをカセット部Cから図外のワーク処理部へと転送するものとして好適に利用される。このようなトランスファロボットA1は、ワーク搬送システムを構成する主要設備としてカセット部Cに隣接したロボット部Rに設置される。なお、カセット部Cは、図14に示す従来のものと同様の設備、たとえば昇降フレームC1やローラコンベアC2などといった設備を有するものであり、その動作も従来のものと同様であることから、従来の技術の項で先述した点については説明を省略する。 【0037】 カセット部CのローラコンベアC2は、その前端がカセット部Cとロボット部Rとの間に設けられたワーク受渡口T付近に位置し、ワークWは、ローラコンベアC2によってその前端を越えるまで搬送される。つまり、カセット部CのローラコンベアC2によってワークWが搬送される距離は、概ね図7に示す距離L0’となる。 【0038】 一方、図7および図8に良く示されているように、ロボット部RのトランスファロボットA1は、ローラコンベアC2によるワークWの搬送に先立ち、ローラコンベアC2の前端にたとえば上段側のハンド4Bの先端(フォーク部41の先端)を横付けにしておく。このとき、ハンド4Bは、昇降機構2や直線移動機構3Bによって鉛直方向および水平直線移動行程Sに沿う方向に移動させられ、図7に実線で示すホームポジションに位置する状態から仮想線で示す位置に停止した状態とされる。つまり、ハンド4Bが水平直線移動行程Sに沿って移動する距離は、概ね図7に示す距離L1’となる。そして、ローラコンベアC2がワークWの搬送を始める状態になると、トランスファロボットA1は、ハンド4Bのローラ42をローラコンベアC2の回転方向と同じ方向に回転させる。 【0039】 ワークWがローラコンベアC2の前端を越えて搬送されてくると、ワークWの下面が回転する複数のローラ42に支持された状態となり、ワークWは、これら複数のローラ42によってフォーク部41の後端側へと移動させられる。・・・。このようにしてワークWは、ローラコンベアC2上からハンド4B上に載り移る。 【0040】 ・・・。 【0042】 そうした後、トランスファロボットA1は、回転部材31をたとえば180度あるいは90度回転させ、ワークWを載せた2つのハンド4A,4Bを所望とするワーク処理部に向けた姿勢とする。・・・。」 (オ)図1 ハンド4Bのフォーク部41は2つであることが看取できる。 (カ)図7、図14 カセット部C内に、多数のガラス基板Wを収納するカセットが、昇降フレームC1上面に載置されていることが看取できる。 ここで、「トランスファロボットA1」は、「昇降フレームC1上面に載置されるカセット内の基板Wを受け取ってワーク処理部に転送」するものであるから、「昇降フレームC1とワーク処理部との間に配設され」ることは明らかである。 また、上記(ア)段落0003の「昇降フレームC1が下方に移動すると」なる記載、図7、図14から、「昇降フレームC1」が昇降部を有することは明らかである。 これらの記載事項を、図面を参照しつつ、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。 「多数のガラス基板Wが収納されるカセットと、 前記カセットをその上面に載置する昇降フレームC1と、 前記カセット内の前記多数の基板Wの各々を受け取って、基板Wを処理するワーク処理部と、 2つのフォーク部41を含んでおり、前記昇降フレームC1と前記ワーク処理部との間に配設され、前記カセット内の前記基板Wを受け取って前記ワーク処理部に転送するトランスファロボットA1と、 前記カセットから前記基板Wを取り出して前記トランスファロボットA1の前記フォーク部41に搬送するローラコンベアC2と を含み、 前記昇降フレームC1は昇降部を備える、 液晶パネル用のガラス基板Wを転送するためのトランスファロボット。」 イ.刊行物2 同じく特開平1-297835号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)第1ページ右下欄第1?2行 「〔産業上の利用分野〕 本発明はウェーハ受け渡し装置に関する。」 (イ)第1ページ右下欄第15行?第2ページ左上欄第12行 「第4図は従来の受け渡し装置の一例を示す一部破断斜視図である。この受け渡し装置は、複数のウェーハ15を収納する複数の収納溝14が設けられたカセット1と、カセット1を収納溝14に直交する方向に移動させる上下移動機構16と、収納溝14と直交する方向に形成されたカセット1の開放口に一部が配置される搬送装置17とから構成されている。カセット1を上下に移動させる上下移動機構16は、上下移動ステージ3と、このステージを上下に円滑に移動出来るよに、二本のガイドポスト13が上下移動ステージの側面側部に滑合するようにはめ込まれている。また、図面には、図示されていないが、この上下移動ステージ3の二本のガイドポスト13の中間あたりにナットが取り付けられており、このナットに送りねじの一端が噛み合うようになっている。送りねじの他端は、この装置の本体に取付けられたパルスモータに連結されている。」 これらの記載事項を、第4図を参照しつつ、技術常識を考慮しながら整理すると、刊行物2には以下の発明(以下、「刊行物2事項」という。)が記載されていると認める。 「複数のウェーハ15を収納するカセット1の上下移動機構16であって、上下移動ステージ3の側面側部に滑合するようにはめ込まれている二本のカイドポスト13と、上下移動ステージ3の二本のガイドポスト13の中間あたりに取り付けられるナットと、ナットに噛み合う送りねじと、送りねじに連結されるパルスモータとからなるもの。」 (3)対比 補正発明と刊行物1発明とを、技術常識を踏まえ、対比する。 刊行物1発明の「多数」は補正発明の「複数枚」に相当し、同様に「ガラス基板」は「基板」に、「基板を処理するワーク処理部」は「工程を実行する工程進行部」に、「フォーク部41」は「ハンド部」に、「転送」は「配設」に、「トランスファロボットA1」は「ローダー」に、「搬送」は「配設」に、「ローラコンベアC2」は「取り出し部」に、にそれぞれ相当する。 刊行物1発明の「昇降フレームC1」は「カセットをその上面に載置する」ものであるから、「その上面」は「棚」ということができる。よって、刊行物1発明の「カセットをその上面に載置する昇降フレームC1」は、補正発明の「カセットが配設される棚を備えたストッカー」に相当する。 刊行物1発明の「液晶パネル用のガラス基板Wを転送するためのトランスファロボット」は、補正発明の「フラットパネルディスプレイの製造装置」に含まれる。 したがって、補正発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。 「複数枚の基板が収納されるカセットと、 前記カセットが配設される棚を備えたストッカーと、 前記カセット内の前記複数枚の基板の各々を受け取って、工程を実行する工程進行部と、 少なくとも二つ以上のハンド部を含んでおり、前記ストッカーと前記工程進行部との間に配設され、前記ストッカーに配設された前記カセット内の前記基板を受け取って前記工程進行部に配設するローダーと、 前記カセットから前記基板を取り出して前記ローダーの前記ハンド部に配設する取り出し部と を含み、 前記ストッカーは、棚を昇降するための昇降部を備える、 フラットパネルディスプレイの製造装置。」 そして、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で相違している。 相違点1:ストッカーについて、補正発明は「棚の昇降移動を支持するための支持部を備え、前記昇降部は、前記棚の両側部にそれぞれ結合された結合ブラケットと、それぞれの前記結合ブラケットのうち少なくともいずれか一つの結合ブラケットを貫通するボールスクリューと、前記ボールスクリューを回転駆動するための駆動モータとを含み、前記支持部は、前記棚の角部を支持するためのLMガイドを有し」ているが、刊行物1発明は明らかでない点。 相違点2:ハンド部について、補正発明は「基板を吸着するための吸着部を備え、前記吸着部は、前記ハンド部の上面を貫通する真空ホールと、空気吸入力を発生する真空ポンプと、前記空気吸入力を前記真空ホールに伝える真空流路とを含」むが、刊行物1発明は明らかでない点。 相違点3:取り出し部について、補正発明は「ストッカーの前記棚の下側に設けられたフレーム部と、前記フレーム部の上面に転がり可能に設置された転がり部と、前記転がり部を回転駆動させるための駆動部とを含み、前記転がり部は、前記フレーム部の上面に転がり可能に設置されたローラであり、前記転がり部は、前記フレーム部の長手方向に沿って少なくとも一つ設置され、前記駆動部は、前記転がり部を回転駆動させるための駆動モータであり、前記駆動部は、前記各転がり部のうち一部のみに備えられる」が、刊行物1発明は「ローラコンベア」である点。 (4)相違点の検討 相違点1について検討する。 刊行物2事項は「基板の搬送」において「上下移動ステージ3を上下に円滑に移動出来る」ようにするものであり、刊行物1発明と同一技術分野に属する。 ここで、刊行物2事項の「上下移動ステージ3」は補正発明の「棚」に相当し、同様に「ガイドポスト13」は「棚の角部を支持するためのLMガイドを有する支持部」に、「ナット」は「結合ブラケット」に、「送りねじ」は「ボールスクリュー」に、「パルスモータ」は「駆動モータ」に相当する。 そこで、刊行物2事項を相違点1に照らし、書き改めると、以下のとおりである。 「棚の昇降移動を支持するための支持部を備え、昇降部は、前記棚の側部に結合された結合ブラケットと、前記結合ブラケットを貫通するボールスクリューと、前記ボールスクリューを回転駆動するための駆動モータとを含み、前記支持部は、前記棚の角部を支持するためのLMガイドを有しているもの」。 刊行物1発明においても、安定した円滑な移動は、当然求められることから、刊行物2事項を刊行物1発明に適用することに、困難性は認められない。 その際、安定した円滑な移動をより一層実現するため、結合ブラケットを「両側」とすることは、必要に応じてなしうる事項にすぎない。 よって、相違点1は格別なものではない。 相違点2について検討する。 基板の搬送において、載置された基板を真空吸着して固定することは、例示するまでもない周知技術である。 搬送時の位置ずれ防止は、当然の課題であるから、刊行物1発明に、かかる周知技術を適用することに困難性は認められない。 真空ホール、真空ポンプ、真空流路は、そのための具体的手段として当然必要なものである。 よって、相違点2は格別なものではない。 相違点3について検討する。 刊行物1発明の「ローラコンベア」の「ローラ」は、基板をフォーク部41に搬送するものであるから、当然回転駆動されるものであり、補正発明の「転がり部」である「ローラ」に相当する。 刊行物1発明において、ローラが回転駆動されるためには、何らかの部材にローラの回転軸が支持される必要がある。 その位置については、基板を搬送するローラであるから、「棚」の下側に設ける必要がある。 かかる支持部材は「フレーム部」と言うことができるから、「フレーム部の上面に転がり可能に設置」することに、困難性は認められない。 そして、基板を搬送するローラという機能実現のためには、ローラが、「フレーム部の長手方向に沿って少なくとも一つ設置され」る必要があることは当然であり、回転駆動手段として「駆動モータ」は周知である。 すべてのローラを回転駆動させるか、一部のローラを回転駆動させるかについては、基板を搬送するローラという機能が実現できる範囲において、適宜選択すべき設計的事項にすぎない。 また、これら相違点を総合勘案しても、格別の技術的意義が生じるとは認められない。 請求人は、審判請求理由、回答書において、上記相違点1、3は、各刊行物に開示も示唆もない旨、主張する。 しかし、上記のとおり、かかる相違点は、格別のものとは認められないから、請求人の主張は採用できない。 以上のことから、補正発明は、刊行物1発明、刊行物2事項、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし15に係る発明は、平成21年7月9日付けで補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に示す請求項1に記載されたとおりである。 2.刊行物等 これに対して、原査定の際にあげられた刊行物及びその記載内容は、上記第2.2.(2)に示したとおりである。 3.対比・検討 本願発明は、補正発明において付加された事項を削除するものである。 そうすると、本願発明も、上記第2.2.(4)と同様の理由により、刊行物1発明、刊行物2事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-12 |
結審通知日 | 2011-01-18 |
審決日 | 2011-01-31 |
出願番号 | 特願2006-173999(P2006-173999) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B65G)
P 1 8・ 121- Z (B65G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松浦 陽 |
特許庁審判長 |
千葉 成就 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 遠藤 秀明 |
発明の名称 | フラットパネルディスプレイの製造装置、フラットパネルディスプレイの製造装置用ストッカー、フラットパネルディスプレイの製造装置用ストッカー、フラットパネルディスプレイの製造装置用ローダー、及びこれを用いたフラットパネルディスプレイの製造方法 |
代理人 | 上田 俊一 |
代理人 | 梶並 順 |
代理人 | 曾我 道治 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 古川 秀利 |