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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B
管理番号 1238893
審判番号 不服2010-13586  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-22 
確定日 2011-06-23 
事件の表示 特願2004-340911「ゴルフクラブヘッド」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月15日出願公開、特開2006-149449〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年11月25日の出願であって、平成22年1月18日付けで手続補正がなされ、同年3月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月22日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成22年1月18日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1及び2にそれぞれ記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「フェース部の裏側に、フェース部の図心を含む領域であって最大厚さを有する領域と、前記最大厚さを有する領域の外側の領域であって厚さが連続的に変化する傾斜部と、前記傾斜部の外側の領域であって最小厚さを有する領域とが形成され、かつ、前記最大厚さを有する領域および前記最小厚さを有する領域の厚さはそれぞれ均一であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。」

第3 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-192273号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

1 「【0007】図1に示す第1実施例では、金属材料で形成されたゴルフクラブヘッド1のフェース部分2のスイートスポットを含むセンター個所3の肉厚をボールとの衝撃に耐えるのに十分な強度を保つ厚みT_(1) に形成し、フェース部分2のセンター個所3以外の個所の肉厚はセンター個所3よりも薄くしてある。この実施例ではセンター個所3に隣接する隣接周辺個所4とこの隣接周辺個所よりも外側に広がる外周周辺個所5とを形成し、センターから離れるにしたがって階段状に肉厚が薄くなるように変化させてある。隣接周辺個所4の肉厚をT_(2) で示し、外周周辺個所5の肉厚をT_(3) で示す。
【0008】図2は図1のA-A線断面を示し、ヘッド1の内部から見た図である。フェース部分2のセンター個所3の面積は3.7cm^(2) 程度であり、隣接周辺個所4の面積(センター個所3の面積を除く)は10.2cm^(2) 程度である。センター個所3の厚みT_(1) はヘッド1をステンレススチールで形成した場合、3mmとし、隣接周辺個所4の肉厚T_(2) は2.5mm、外周周辺個所5の肉厚T_(3) は2mmとした。ヘッド1の全体の体積は220ccという大型化を図り得た。また、外周周辺個所5の肉厚T_(3) を2mmとすることにより、この肉厚が薄い部分はセンター個所3及び隣接周辺個所4に比べて変形し易くなり、フェース部分2全体としてのバネ効果が生じ、フェース部分2にボールが衝突したとき外周周辺個所2の部分が撓み、その後元に戻ろうとするバネ作用が働くのでボールへの反発が良好となる。」

2 「【0009】図3に示す第2実施例ではフェース部分2のスイートスポットを含むセンター個所3の肉厚を最も厚くし、そのセンター個所3から離れるにしたがって徐々に肉厚を薄くした例を示す。フェース部分2の外周周辺個所5の肉厚を最も薄くし、フェース全体にバネ性を持たせている。
【0010】図4は図3に示すヘッド1のフェース部分2を表面から見た図を示し、肉厚が2.5mm以上の個所をセンター個所3として点線で示す。」

3 図3から、フェース部分2の外側は平面をなすことが見て取れる。

4 上記1ないし3から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「フェース部分の外側を平面とし、フェース部分のスイートスポットを含むセンター個所の肉厚を最も厚くし、そのセンター個所から離れるにしたがって徐々に肉厚を薄くし、フェース部分の外周周辺個所の肉厚を最も薄くし、フェース部分全体にバネ性を持たせたゴルフクラブヘッド。」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「フェース部分」、「『肉厚を最も厚くし』た『センター個所』」、「『センター個所から離れるにしたがって徐々に肉厚を薄くし』た個所」及び「『肉厚を最も薄くし』た『外周周辺個所』」は、それぞれ、本願発明の「フェース部」、「最大厚さを有する領域」、「最大厚さを有する領域の外側の領域であって厚さが連続的に変化する傾斜部」及び「傾斜部の外側の領域であって最小厚さを有する領域」に相当する。

2 引用発明において、「フェース部(フェース部分)」の外側は平面をなすから、「最大厚さを有する領域(センター個所)」、「傾斜部(徐々に肉厚を薄くした個所)」及び「最小厚さを有する領域(外周周辺個所)」は、「フェース部」の内側に形成されているといえ、この内側は、本願発明の「フェース部の裏側」に相当する。

3 上記1及び2から、本願発明と引用発明とは、
「フェース部の裏側に、最大厚さを有する領域と、前記最大厚さを有する領域の外側の領域であって厚さが連続的に変化する傾斜部と、前記傾斜部の外側の領域であって最小厚さを有する領域とが形成された、ゴルフクラブヘッド。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記最大厚さを有する領域の厚さ、及び前記最小厚さを有する領域の厚さが、本願発明では、「それぞれ均一」であるのに対して、引用発明では、明らかでない点。

相違点2:
前記最大厚さを有する領域が、本願発明では、「フェース部の図心を含む」ものであるのに対して、引用発明では、スイートスポットを含むものである点。

第5 判断
上記相違点1及び2について検討する。
1 相違点1について
引用発明において、センター個所及び外周周辺個所の厚みをどうするかは、いずれも当業者が適宜決定すべき設計事項というべきところ、引用例には、センター個所の厚みT_(1) を3mmとし、外周周辺個所の肉厚T_(3) を2mmとする旨記載されており(上記第3の1【0008】参照。)、ここで、3mmとされた前記厚みT_(1) 及び2mmとされた前記肉厚T_(3) は、それぞれ均一な厚みといえるから、引用発明において、センター個所及び外周周辺個所の厚みを、それぞれ3mm及び2mm等の均一な厚みとし、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用例に記載された事項に基づいて適宜なし得た設計上のことである。

2 相違点2について
スイートスポットがフェース面の図心近傍にあるゴルフクラブヘッドは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術」という。例.特開2001-596号公報特に【0015】、特開2001-597号公報特に【0020】、特開2004-261451号公報特に【0016】参照。)から、引用発明において、スイートスポットを含むセンター個所を、フェース部分の図心を含むものとして、スイートスポットをフェース面の図心近傍とし、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得た程度のことである。

3 効果について
本願発明の奏する効果は、当業者が、引用発明の奏する効果、周知技術の奏する効果及び引用例に記載された事項から予測できた程度のものである。

4 まとめ
したがって、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、引用例に記載された事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明、引用例に記載された事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-04-13 
結審通知日 2011-04-19 
審決日 2011-05-06 
出願番号 特願2004-340911(P2004-340911)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 桐畑 幸▲廣▼
菅野 芳男
発明の名称 ゴルフクラブヘッド  
代理人 中尾 俊輔  
代理人 畑中 芳実  
代理人 玉利 房枝  
代理人 鈴木 健之  
代理人 伊藤 高英  
代理人 大倉 奈緒子  

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