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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1238944
審判番号 不服2009-10619  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-03 
確定日 2011-06-22 
事件の表示 特願2000-537254「制御された量の融剤をパッケージに塗布するための自動化したブラシ融剤処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月23日国際公開、WO99/48141、平成14年 3月12日国内公表、特表2002-507836〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯

本願は、1999年3月17日(優先権主張:1998年3月17日 米国)を国際出願日とする特許出願であって、平成18年2月14日付けで手続補正がなされ、平成20年10月10日付けで拒絶理由が通知され、平成21年2月3日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月4日付けで拒絶査定され、これを不服として、同年6月3日に審判の請求がなされたものである。


第2 本願発明

本願の各請求項に係る発明は、平成21年2月3日付け手続補正によって補正された請求項1及び前記補正された請求項1を新たに引用することとなった平成18年2月14日付け手続補正によって補正された請求項2?7に記載される事項によって特定されるものと認められ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。

「フリップチップ構成で半導体チップを組立てる基板に融剤を塗布する自動化した方法であって、組立てられる特定の半導体デバイスに対して定められるCPUのプログラムにより制御される可動機械式ステージに取付けられたブラシによって適用されるストロークのプログラムされたパターンおよびプログラムされた下向きの移動によって基板に融剤を塗布することにより融剤/基板表面間の表面張力を克服するブラシを用いて、基板に制御された量の融剤を塗布するステップを含む、方法。」(以下、「本願発明」という。)


第3 刊行物

これに対して、原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平7-183649号公報(以下「刊行物1」という。)及び特開平7-45941号公報(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。

刊行物1(特開平7-183649号公報)
(刊1a)「【0002】
【従来の技術】電子部品をプリント基板の電極に半田付けするのに先立って、電極の上面に形成された半田に半田付け用のフラックスを塗布することが行われる。以下、従来のフラックスの塗布装置について説明する。
・・・・
【0004】8はプリント基板であり、その上面には電極9が形成されている。この電極9の上面には半田が形成されており、この半田により電子部品(図外)は電極9に半田付けされる。プリント基板8は、Xテーブル10とYテーブル11から成る可動テーブル12に載置されており、X方向モータ13やY方向モータ14が駆動すると、プリント基板8はX方向やY方向に水平移動し、所定の電極9をニードル4の直下へ移動させる。なおプリント基板8を固定し、シリンジ3をX方向やY方向に水平移動させる手段も知られている。」

(刊1b)「【0008】
【課題を解決するための手段】・・・本発明のフラックスの塗布装置は、フラックスが貯溜されるシリンジと、このシリンジ内のフラックスの気体圧を制御する気体圧制御手段と、このシリンジに接続されてこのシリンジからフラックスが吐出されるブラシとを構成している。
【0009】
【作用】上記構成によれば、気体圧制御手段にてシリンジ内の気体圧を制御することによりシリンジから吐出されたフラックスは、ブラシに含侵され、このブラシによりプリント基板の電極に均一に塗布される。」

(刊1c)「【0010】
【実施例】
(実施例1)次に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図1は本発明の第1の実施例におけるフラックスの塗布装置の斜視図である。1は本体ブロックであり、その前面に取り付けられたブラケット2にシリンジ3が保持されている。本体ブロック1の上面には気体圧制御手段5が設けられている。気体圧制御手段5とシリンジ3はチューブ6で接続されており、気体圧制御手段5によりシリンジ3の内部の気体圧を制御する。以上の構成は、図5に示す従来例と同じである。
【0011】図2は本発明の第1の実施例におけるフラックスの塗布装置の要部断面図である。シリンジ3の下端部のノズル部3aには、ブラシ15が接続されている。・・・
【0012】このフラックスの塗布装置は上記のように構成されており、次にフラックスの塗布方法を説明する。プリント基板8を可動テーブル12上に載置し、X方向モータ13やY方向モータ14を駆動して、電極9をブラシ15の下方に移動させる。その際、気体圧制御手段5によりシリンジ3内に気体圧を付与する。するとシリンジ3内のフラックス7は孔部17から吐出されてブラシ15に含侵され、電極9上の半田10に塗布される。このようにブラシ15にフラックス7を含侵させれば、電極9全体に均一にフラックス7を塗布できる。」

(刊1d)刊行物1の図2には、フラックスの塗布装置の要部断面図が示されており、ブラシ15とプリント基板12とが相対移動しつつ、プリント基板8それ自体及び電極9にフラックス7を塗布しており、塗布されたフラックスは点状ではないことが看取できる。


刊行物2(特開平7-45941号公報)
(刊2a)「【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の噴霧式フラックス塗布装置は図14に示すように配線基板1に対し、均一に霧状のフラックス10を塗布しようとすると、無効噴霧区間L_(D1),L_(D2)が必要となる。・・・」

(刊2b)「【0026】
【作用】本発明においては、・・・
【0027】・・・そのため、図14に示すところの無効噴霧区間L_(D1),L_(D2)を大幅に短くすることができる。・・・」

(刊2c)「【0028】
【実施例】図1は本発明の一実施例を示す平面図で、フラックス供給,およびエア供給および制御系は、ブロック図で示してある。・・・39は前記噴霧式フラックス塗布装置30の制御部、40は前記制御部39を制御する操作部である。
・・・
【0030】なお、制御部39はマイクロコンピュータシステムで構成しているので、その制御はソフトウェアで実現することができる。」

(刊2d)「【0033】図5は図3のブロック(2) 、すなわち、Y方向アクチュエータ31の駆動制御の手順を示すフローチャートで、 (1)?(5) は各ステップを示す。・・・
【0034】・・・なお、パルスレート(繰り返し周波数)は噴霧ノズル7のY方向の移動速度v_(S) で決める(3) 。すなわち、ステップ(3) において、制御部39が出力するY方向アクチュエータ31の駆動信号S_(SY)のパルスレートにより噴霧ノズル7のY方向移動速度v_(S) をプログラムで任意に設定することができる。」

(刊2e)「【0038】なお、ステップ(2) のカウント数N10は、図14に示すところの距離L_(S1)と距離L_(D1)の和に相当するS_(SY)信号のパルス数である。つまり、本実施例では、噴霧ノズル7が配線基板1の端部に達してから霧状のフラックス10の噴出を開始している。すなわち、無効噴霧区間L_(D1)は実際上設けていない。」

(刊2f)「【0042】また、図6のステップ(3) においては特殊な例としてX方向アクチュエータ34をX方向と逆方向に移動させることもあり、この場合は、噴霧ノズル7のX方向の移動速度が(-v_(SP))となる。したがって、噴霧ノズル7は配線基板1の移動方向と反対方向に移動しながら霧状のフラックス10を噴出し配線基板1に塗布することもできる。このような例は、配線基板1の搬送速度v_(P) が通常の搬送速度と比較して極端に遅い場合に有効であり、通常の搬送速度における場合と同様の条件を得るために必要となる例である。」


第4 判断

1 刊行物発明
刊行物1の摘記事項(刊1a)?(刊1d)を整理すると、刊行物1には次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されている。
「電子部品をはんだ付けするプリント基板にフラックスを塗布する方法であって、プリント基板を可動テーブル上に載置し、X方向モータやY方向モータを駆動し、ブラシは本体ブロックに取り付けられたシリンジの下端部のノズル部に接続されており、シリンジ内の気体圧を制御することにより、フラックスはブラシに含侵され、このブラシによりプリント基板にフラックスを塗布して、プリント基板の電極に均一に塗布するステップを含む方法。」

2 対比
(1)刊行物発明における「プリント基板」及び「はんだ付け」は、本願発明における「基板」及び「組立て」に相当する。

(2)刊行物発明における「フラックス」と本願発明における「融剤」とは、両者とも基板に塗布される「塗布剤」である限りにおいて共通する。また、刊行物発明における「電子部品」と本願発明における「半導体チップ」とは、両者とも「電子部品」である限りにおいて共通する。

(3)刊行物発明は、フラックスを塗布する際に、X軸モータ及びY軸モータを駆動し、気体圧を制御するのであるから、本願発明のように「自動化した」方法であることは明らかである。

(4)刊行物発明は、可動テーブルを「駆動」するものであり、刊行物1の図2に関する摘記事項(刊1d)のように、ブラシは所定方向に相対移動していることが看取できるから、刊行物発明が本願発明における「ブラシによって適用されるストローク」を有することは明らかである。

以上のことから、本願発明と刊行物発明とは、
「電子部品を組立てる基板に塗布剤を塗布する自動化した方法であって、ブラシによって適用されるストロークによって基板に塗布剤を塗布することによりブラシを用いて、基板に塗布剤を塗布するステップを含む方法」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)電子部品が、本願発明では、「フリップチップ構成」で組立てられる「半導体チップ」であるのに対して、刊行物発明では、そのような特定がない点。

(相違点2)塗布剤について、刊行物発明では「フラックス」であるが、本願発明では「融剤」と称している点。

(相違点3)本願発明は、ブラシが「可動機械式ステージに取り付けられる」のに対して、刊行物発明では、プリント基板が載置されるテーブルが可動となっており、ブラシが取り付けられるのが可動機械式ステージではない点。

(相違点4)本願発明では、ブラシの「下向きの移動」があるのに対して、刊行物発明には、そのような特定がない点。

(相違点5)本願発明の機械式ステージは「組立てられる特定の半導体デバイスに対して定められるCPUのプログラムにより制御される」ものであって、ブラシによって適用されるストロークが「プログラムされたパターン」であり、下向きの移動が「プログラムされた」ものであるのに対して、刊行物発明ではそのような特定がない点。

(相違点6)本願発明におけるブラシは、「融剤/基板表面間の表面張力を克服する」ものであるのに対し、刊行物発明におけるブラシはそのような明示の特定がない点。

(相違点7)本願発明は、基板に「制御された量」の融剤を塗布するのに対して、刊行物発明にはそのような明示の特定がない点。


3 相違点についての判断
(1)相違点1について
半導体チップをフリップチップで接続することは、下記周知文献1?2に従来の技術として紹介されるように周知の技術である。刊行物発明における電子部品として、フリップチップ構成の半導体チップとすることは、当該周知技術の単なる適用に過ぎず、当業者が容易になし得たことである。

※周知文献1:特開平9-321048公報
「【0002】
【従来の技術】ベアチップ等の半導体チップの電極パッドに形成されたバンプ構造は、図5に示すように構成されている。・・・
【0003】・・・そして、前述のようにバンプ5を有したベアチップ6は、図6に示すように、プリント基板7の電極8に前記バンプ5を介してフリップチップ実装されるようになっている。」

※周知文献2:特開平6-244242号公報
「【0004】図9に一般的なフリップチップボンディングによる半導体実装のプロセスを示す。先ず、図9(a)に示すように回路基板2上にフラクッス7を塗布する。次に、図9(b)に示すように、半導体チップ1をハンダバンプ3が回路基板2上のボンディングパッド6に対向するように位置合わせしてフラクッス7の粘着性によって半導体チップ1と回路基板2とを仮接着する。更に、図9(c)に示すように、得られたサンプルをピーク温度が200℃?250℃のリフロー炉に通してハンダを熔融固着する。最後に、フラクッス残渣を溶剤洗浄によって取り除いて半導体チップの実装を終了する。
【0005】このようなフリップチップボンディング・プロセスが実施される回路基板の材質としてはセラミック,ガラス,プリント基板あるいはフィルム基板等があるが、この技術を広く民生機器へ応用するには、低コスト化という観点から上記プリント基板を用いたフリップチップボンディング・プロセスによる半導体実装が最も有効である。」

(2)相違点2について
「融剤」とは、「融解を促進させるために加える物質。化学分析や冶金・窯業などで用いる。フラックス。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)であり、フラックスの英語である「flux」とは、「融解; 【化・冶・窯】 融剤, 媒溶剤, フラックス. 」(研究社リーダーズ英和辞典第2版)である。してみれば、フラックスとは融剤を意味する語であるので、相違点2について刊行物発明と本願発明とは実質的に相違しない。
なお、本願明細書を参照すると、本願発明の「融剤」は、「リフロー工程が行われるまでチップを定められた場所に保持するのに必要な接着を行う」(【0009】)、すなわち仮接着を行うものであるのに対して、刊行物1には「フラックス」の作用については記載されておらず、仮接着という作用効果を特定していない点では相違するものの、フラックスを用いて仮接着することは、前記周知文献2に記載されたように周知の技術であるから、仮に本願発明の「融剤」が仮接着のための塗布剤を意味しているとしても、刊行物発明において当該周知の技術を適用して、本願発明の「融剤」とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
刊行物1には、摘記事項(1b)に「なお、プリント基板8を固定し、シリンジ3をX方向やY方向に水平移動させる手段も知られている。」と、プリント基板を載置するステージを可動とするのではなく、シリンジを可動とすることが記載されており、ブラシを可動側に取り付けることは示唆されているところである。そして、「機械式ステージ」は、装置構成において格別顕著な又は特殊な構成を特定するものではないので、刊行物発明において、ブラシを「可動機械式ステージに取り付けられる」とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4)相違点4について
プリント基板のフラックスが不要な箇所やプリント基板が載置されるテーブル自体にフラックスを塗布しないよう、塗布開始前や塗布終了後はブラシをプリント基板の上方に退避させておき、塗布が必要な箇所でプリント基板に接触するように、ブラシとプリント基板との距離を変えることは、当業者にとって当然考慮すべき事項であり、ブラシをプリント基板に向けて下向きに移動させることは、実施化にあたっての設計的事項に過ぎない。

(5)相違点5について
刊行物2には、フラックス供給装置のステッピングモータで構成されるX方向アクチュエータ及びY方向アクチュエータを、ソフトウェアで制御されるマイクロコンピュータシステムで構成した制御部で制御することが記載されており、制御部はマイクロコンピュータシステムで構成されているのであるから、CPUを有することは明らかである。
また、摘記事項(刊2d)には、Y方向移動速度をプログラムで設定することが記載されている。さらに、Y方向移動速度以外について、摘記事項(刊2f)によれば、v_(P) やv_(SP)等のX方向の移動速度についても変更可能であることが読み取れ、摘記事項(刊2b)の無効噴霧区間を大幅に短くすることができるとの記載及び摘記事項(刊2e)の無効噴霧区間は実際上設けていないとの記載から、無効噴霧区間は短くしたりあるいはゼロにしたりと適宜設定可能、すなわちカウント数N10も適宜設定可能であることが読み取れる。そして、摘記事項(刊2c)のソフトウェアで制御されるとの記載からみて、刊行物2において、これらX方向移動速度やカウント数N10についても、プログラムで設定することは、当業者にとって当然であるか、もしくは実施に際して当業者が適宜行う程度のことに過ぎない。
してみれば、刊行物2には、アクチュエータを「CPUのプログラムにより制御される」ものとするという技術事項が記載されているといえる。

そして、刊行物発明における可動テーブルは、X方向モータやY方向モータ、すなわちアクチュエータを駆動して移動されるものであるから、同様にアクチュエータを駆動するものとして、刊行物2の技術事項を適用して「CPUのプログラムにより制御される」ものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

その際、塗布の対象となる基板によって基板の大きさ等が異なり、移動経路等を異ならせるべきものであることは当業者にとって明らかであるので、「組立てられる特定の半導体デバイスに対して定められる」プログラムとすることに何ら困難性は見いだせない。
また、機械やコンピュータを用いた自動化が、パターンに基づいた繰り返し作業に好適であることは周知慣用のことに過ぎないから、「プログラムされたパターン」とすることは当業者が当然に行うことであるし、アクチュエータの駆動をプログラムで制御するのであるから、下向きの移動についても「プログラムされた」ものとすることに何ら困難性はない。

(6)相違点6について
刊行物発明は、フラックスをブラシによって塗布するものであり、特にプリント基板の電極に「均一に」塗布するものである。そして、本願明細書の「基板に融剤を噴霧する工程の品質は、その基板の材料に依存する。基板材料または融剤材料が異なると、表面張力が異なってくるため、融剤材料が玉になる」(【0009】)、「いくつかの基板材料においては、噴霧された融剤が玉になるため基板およびバンプ上に均一に広がらない。」(【0017】)、「プログラムされた自動化した融剤の機械的塗布は、基板およびバンプの上に融剤の均一な層を与える。・・・ブラシによるプログラムされた自動化した融剤の機械的塗布によって、・・・表面張力の一部が起こす、融剤が玉になる問題が避けられる」(【0018】)との記載からみて、表面張力が起こす融剤が玉になる現象は融剤を噴霧する場合に生じていたのというのであり、本願発明では、ブラシを用い、融剤の均一な層を与えるというのであるから、刊行物発明において、ブラシを用い、「均一に」塗布することは、本願発明における「表面張力を克服している」ことに相当することは明らかである。
また、半導体チップをフリップチップで基板に仮接着する際には、半導体チップのバンプまたはパッドを、基板のバンプまたはパッドに仮接着し、基板そのものに仮接着するのではないことは、両者を電気的に接続する必要性から明らかであるし、前記した周知文献2にもその旨の記載がある。さらに、本願明細書にも「すべてのパッドまたはバンプを均一に覆い」(【0010】)との記載があるように、本願発明における「基板表面」とは、基板そのものの表面という意味ではなく、パッドまたはバンプの表面を含む広義の基板表面を意味していることは明らかである。
そして、刊行物発明における「電極」は、電子部品との電気的な接続を行うものであって、本願明細書の「バンプまたはパッド」に相当するものであるから、刊行物発明において、フラックスを「電極に均一に」を塗布することは、本願発明における「融剤/基板表面間の表面張力を克服している」ことに相当するものである。
してみれば、相違点6について、刊行物発明と本願発明とは実質的に相違しない。

(7)相違点7について
刊行物発明は、シリンジの気体圧を制御するものであり、その上で、フラックスを電極に均一に塗布するものであるから、塗布されるフラックスの量は当然に所定の制御下におかれるものといえる。してみれば、刊行物発明においても「制御された量」のフラックスを塗布しているといえるので、相違点7について、刊行物発明と本願発明とは実質的に相違しない。

4 まとめ
したがって、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規程により、特許を受けることができない。


第5 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規程により特許を受けることができないものであるから、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-21 
結審通知日 2011-01-25 
審決日 2011-02-08 
出願番号 特願2000-537254(P2000-537254)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 園子  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 筑波 茂樹
加藤 友也
発明の名称 制御された量の融剤をパッケージに塗布するための自動化したブラシ融剤処理システム  
代理人 仲村 義平  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  

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