• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1238946
審判番号 不服2009-13949  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-05 
確定日 2011-06-22 
事件の表示 特願2003-565216「構成要素をベースに埋め込み接触を形成する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月 7日国際公開、WO03/65778、平成17年 6月 9日国内公表、特表2005-517287〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2003年 1月28日(パリ条約による優先権主張:2002年 1月31日、フィンランド国)を国際出願日とする出願であって、平成20年11月 4日付けで拒絶理由通知がなされ、平成21年 3月11日付けで特許請求の範囲について手続補正がなされ、平成21年 3月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年 8月 5日付けで拒絶査定不服の審判請求がなされた。

2.本願発明
本願の請求項1?20に係る発明は、平成21年 3月11日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
マイクロ回路をベースに埋め込み、前記マイクロ回路との電気的接触を形成する方法であって、
前記ベースとしてベース板を選択するステップと、
前記ベース板においてホールを形成するステップと、
前記ホール内にマイクロ回路を、前記マイクロ回路がその第1の表面において電気的接触を形成する接触領域又は接触突起を有するように配置するステップと、
前記ベース板において形成された前記ホール内の前記マイクロ回路をその場所に固定するステップと、
前記ベースの少なくとも1つの表面において形成された絶縁層を、前記絶縁層が前記マイクロ回路を覆うように形成するステップと、
前記絶縁層において前記マイクロ回路に関する接触開口を形成するステップと、
導体を、前記接触開口まで、前記絶縁層の上部において、前記マイクロ回路との電気的接触を形成するために形成するステップとを含むマイクロ回路をベースに埋め込み、前記マイクロ回路との電気的接触を形成する方法において、
前記ベース板において導電パターンを形成するステップと、
前記ベース板において形成された導電パターンに関連して前記ホールの位置を選択し、
前記マイクロ回路を整列させるステップと、
テープ又はテープのようなフィルムを前記ベース板の第2の表面上に積層するステップと、
前記マイクロ回路を前記ベース板に形成されたホール中に前記ベース板の第1の表面側から配置し、前記マイクロ回路の第1の表面が前記テープ又はテープのようなフィルムに向かい合って位置すると共に、前記ベース板の第2の表面と同じレベルになるようにするステップと、
前記ベース板において形成されたホール中の前記マイクロ回路を、前記ホールを充填材料で満たすことによって、その場所で固定するステップと、
前記マイクロ回路を固定した後、前記ベース板の第2の表面上に積層された前記テープ又はテープのようなフィルムを除去するステップとを含むことを特徴とするマイクロ回路をベースに埋め込み、前記マイクロ回路との電気的接触を形成する方法。」

3.引用刊行物記載の発明
(1)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願のパリ条約による優先権主張の日前である平成13年12月14日に頒布された特開2001-345560号公報(以下、「引用例」という。)には、「配線基板およびその製造方法、並びに電子部品」(発明の名称)が記載され、図面とともに、以下の記載がある。

(引ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子部品を内蔵した配線基板およびその製造方法、並びに、この配線基板への内蔵に適した電子部品に関する」

(引イ)「【0038】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。図1(a)は、実施例の方法により製造される配線基板1の内部構成を説明する図である。なお、本実施例の配線基板1は、分割により複数の回路基板(縦横約40mm×40mm)となる多数個取りの配線基板(縦横約330mm×330mm)である。
【0039】図1(a)に示すように、この配線基板1においては、厚さ0.8mm程の、ガラス-エポキシ樹脂複合材料製の絶縁性基板である配線基板本体3の表裏の両面(第1主面3a及び第2主面3b)には、厚さ約25μm程度の第1導体層5a,5bが形成されている。
【0040】配線基板本体3には、両主面3a,3bの一方から他方に貫通する貫通孔9の内壁にメッキが施された直径約250μm程度のスルーホール11が形成されている。このスルーホール11により、第1主面3a上の第1導体層5aと第2主面3b上の第1導体層5bとは相互に接続されている。なお、スルーホール11の内部には樹脂が充填されている。
【0041】また、配線基板本体3には電子部品を配置する「収容部」としての貫通孔21(縦横約12mm×12mm)が形成されており、その内部には電子部品として複数のコンデンサ素子13(約3.2mm×1.6mm×0.7mm)が設けられている。コンデンサ素子13は、BaTiO_(3)を主成分とする高誘電体セラミックから成る素子本体(電子部品本体)15と、Cuからなる外部接続部14と、Niからなる内部電極層(図1では図示しない)から構成されている。
【0042】貫通孔21の内部において、コンデンサ素子13は、硬化した充填樹脂4により固定されている。コンデンサ素子13は、配線基板1に設けられることとなるICチップ16にて発生されるスイッチングノイズの抑制や、またICチップ16に供給すべき動作電源電圧の安定化などを図るためのものである。
【0043】そして第1導体層5a,5bの上には、第1層間絶縁層103a,103b(厚さ約30μm程度)が積層され、更に、第1層間絶縁層103a,103bの上には、第2導体層105a,105b(厚さ約15μm程度。幅約25μm程度)が形成されている。即ち、この第1導体層5a(5b)と第2導体層105a(105b)とは、第1層間絶縁層103a(103b)を間に挟んで積層されている。また第1導体層5a(5b)と第2導体層105a(105b)とは、第1層間絶縁層103a(103b)に形成された開口径約50μm程度のフィルドビア104a(104b)、115a(115b)により接続されている。このフィルドビア104a(104b)、115a(115b)は、請求項の「バイアホール導体」に相当する。
【0044】そして第2導体層105a,105bの上には更に第2層間絶縁層107a,107bが積層されている。この内、第1主面3a側の第2層間絶縁層107aの上には、破線で示すICチップ16と配線基板1の配線とを接続するためフリップチップパッド111が多数形成され、各フリップチップパッド111上には、高温はんだから成る略半球状のフリップチップバンプ112が形成されている。なお第1主面3a側の第2層間絶縁層107a上において、フリップチップパッド111の周囲には、フリップチップバンプ112の形成時に、フリップチップパッド111の周囲に半田が流れ出すのを防ぐためのソルダレジスト層109a(厚さ約20μm程度)が形成されている。
【0045】一方、第2主面側の第2層間絶縁層107bの上には、マザーボードなどの他の配線基板の配線と、当該配線基板1の配線と接続するためのLGAパッド113が多数形成されている。そして、第2主面3b側の第2層間絶縁層107b上において、LGAパッド113の周囲にもソルダレジスト層109bが形成されている。
【0046】なお、第1主面3a側において第2導体層105aとフリップチップパッド111とは、第2層間絶縁層107aに形成されたフィルドビア117aにより互いに接続されている。そして、第2主面3b側において、第2導体層105bとLGAパッド113とは、第2層間絶縁層107bに形成されたフィルドビア117bを介して互いに接続されている。この様に層間接続にフィルドビアを用いることで、コンデンサ素子の外部接続部14とフリップチップパッド111を一直線で結ぶことができる(即ち、スタックトビアを形成できる)。そのため、ICチップ16とコンデンサ素子13とを短い距離で結ぶことが可能となり、電気的特性の向上を図ることが可能となる。」

(引ウ)「【0055】さて、以上の構成のコンデンサ素子13を内蔵した配線基板1を、どの様に製造するか、その方法について、図3を参照しながら説明する。図3は、1つの貫通孔21の近傍を拡大して示している。図3(a)に示す様に、配線基板本体3としては、予め銅張積層板の一部として構成されたものを使用すると好ましい。銅張積層板は、樹脂製の絶縁性基板の両面に銅箔を載せ、加熱および加圧により、絶縁性基板に銅からなる導体層20a,20bを積層したものである。なお、配線基板本体3として、こうした導体層20a,20bが積層されていない絶縁性基板を使用しても良い。
【0056】そして、この配線基板本体3に、スルーホール11を構成するための貫通孔9を多数個形成(例えばドリルにより)すると共に、コンデンサ素子13を配置するための貫通孔21を形成(例えばパンチングにより)する。貫通孔9や、貫通孔21は、レーザ(CO_(2)、YAG、エキシマ等)で穿孔することとすれば、径を小さくすることも可能である。なお、図1(a)に示す他、配線基板1には、多数の貫通孔21が形成される。
【0057】次に図3(b)に示す様に、電子部品配設用の貫通孔21の開口部の一方(第2主面3b側の開口部21a)を、片面にシリコン系の粘着剤24を有するポリイミドからなるシート材23で覆う。その際、粘着剤24を有する面23aが配線基板本体3側に向けられ、シート材23は配線基板本体3に張り付けられる。
【0058】このとき、粘着剤24は、貫通孔21の内側に露出する。また、配線基板1には多数の貫通孔21が形成されているが、これらの開口部21aを1枚のシート材23で覆う。シート材23で貫通孔21を塞いだ後、図3(c)に示す様に、コンデンサ素子13を、粘着剤24を介してシート材23に粘着するよう、貫通孔21の内部に配置する。なお、これが、請求項の「配置工程」に相当する。
【0059】この際、コンデンサ素子13は、その外部接続部14の部分にてシート材23に粘着すると共に、その素子本体15とシート材23との間には充填樹脂4が流入可能な隙間が形成されるよう配置される。また、外部接続部14は互いに反対方向に向いている端部14a,14bを備えており、各端部14a,14bが夫々第1主面3a側、第2主面3b側に向けられる。ここでは、第1主面3a方向に向けられる端部が上端部14aであり、第2主面3b側に向けられる端部が下端部14bである。
【0060】また、コンデンサ素子13を貫通孔21内に配置する際、コンデンサ素子13の位置は、次の様に調整される。即ち、外部接続部14の上端(図3(c)中、A1で示す)が第1主面3aを基準面(B1で示す)として上側に位置し、素子本体15の上端(C1で示す)は、第1主面3aを基準面(B1)として下側に位置し、そして、外部接続部14の下端(A2で示す)が第2主面3bを基準面(B2で示す)として下側に位置し、更に、素子本体15の下端(C2で示す)が第2主面3bを基準面(B2)として上側に位置する。このような位置関係が形成されるようコンデンサ素子13を配設するのである。
【0061】以上の様にして貫通孔21の内部にコンデンサ素子13を配置した状態とした上で、図3(d)の様に、貫通孔21の内部に充填樹脂4を注入し、充填樹脂4を硬化させる。これは、請求項の「固定工程」に相当する。これにより、配線基板本体3の内部に電子部品としてのコンデンサ素子13が埋設されることとなる。また、コンデンサ素子13の素子本体15とシート材23との間にも、充填樹脂4が充填される。充填樹脂4を貫通孔21に注入した後、硬化させる前には、充填樹脂4から真空脱泡により気泡を抜く。
・・・(略)・・・
【0069】さて充填樹脂4を硬化させた後、次に、シート材23を、コンデンサ素子13の外部接続部14、充填樹脂4および配線基板本体3(詳しくは、導体層20a)から除去し、その後、充填樹脂4および配線基板本体3の各主面3a,3bを、ベルトサンダーにより研磨する(図3(e))。これは、請求項の「研磨工程」に相当する。
【0070】第1主面3a側における充填樹脂4の研磨によって、外部接続部14の上端部14aが、第1主面3a側から充填樹脂4の外部に露出される。第2主面3b側からは、シート材23の除去によって、外部接続部14の下端部14bが、充填樹脂4の外部に露出される。また、コンデンサ素子13の素子本体15は、充填樹脂4の中に埋没した状態となっている。
【0071】また、各主面3a,3bの研磨の際には、コンデンサ素子13の周囲に形成した充填樹脂4が平坦化されると共に、導体層20a,20bの表面と充填樹脂4の表面との高さが揃えられる。即ち、第1主面3a側において、導体層20aと充填樹脂4とが同一平面をなすと共に、第2主面3b側においても導体層20bと充填樹脂4とが同一平面をなすこととなる。その結果、両主面3a,3b上には、周知のビルドアップ法により、平坦な導体層および層間絶縁層を形成することが可能となる。」

(引エ)「【0080】さて、以上の様に各主面3a,3b側を研磨した後、次に図3(f)に示す様に、スルーホール11の形成、及び、各主面3a,3b上への第1導体層5a,5bの形成を行う。第1導体層5a,5bの形成は、次の様にして行われる。即ち、貫通孔21内にコンデンサ素子13を内蔵した配線基板本体3全体に、Cuにて無電解メッキを施した後、更にCuにて電解メッキを施すことにより、配線基板本体3全体にパネルめっきを行う。そして、エッチングによって導体層の不要部分を除去することにより、第1導体層5a,5bを形成する。
【0081】なお、パネルめっきの際には、コンデンサ素子13の外部接続部14の露出部分にもメッキが形成される。即ち、外部接続部14は、メッキにより、配線基板1の配線(ここでは、第1導体層5a,5b)と接続されることになる。しかも、その接続は、配線の形成と同時に実現される。
・・・(略)・・・
【0085】以上の様な第1導体層5a,5bの形成後、第1主面3a側及び第2主面3b側において、充填樹脂4、第1導体層5a,5b並びに上端部14a及び下端部14bの上に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム化された感光性樹脂を貼付する。そして、この感光性樹脂を露光・現像することにより、上端部14a及び下端部14bを露出すべき位置にビアホールを形成し、感光性樹脂を硬化させて、第1層間絶縁層103a,103bを形成する。なお、ビアホールは、第1層間絶縁層103a,103bを感光性のない樹脂で形成した後、レーザなどを用いて穿設しても良い。
【0086】さらに、Cuにて無電解メッキおよび電解メッキを施し、第1層間絶縁層103a、103bに形成したビアホールに導電体を充填すると共に、パネルメッキを行ってメッキ層を形成する。このメッキ層の上にドライフィルムを貼り付け、露光現像してエッチングレジストを形成し、メッキ層の内の不要部分をエッチングにより除去する。これにより、第2導体層105a、105bから成る配線が形成される。なお、導体層の形成には、周知のサブトラクティブ法の他、フルアディティブ法やセミアディティブ法を用いてもよい。
【0087】以降は、同様にして第2層間絶縁層107a,107b、フィルドビア117a,117b、フリップチップパッド111(LGAパッド113)を順に形成し、その後ソルダレジスト層109a,109bを形成する。そして、ソルダレジスト層109aから露出したフリップチップパッド111の上には、Ni-Auメッキ層を形成し、更にハンダペーストを塗布しリフローすることで、フリップチップバンプ112を形成する。以上、第1導体層5a,5b、第2導体層105a、105bなどを形成する工程が、請求項の「配線形成工程」に相当する。なお、フィルドビア117a,117bの一部は、フィルドビア115a,115b等の直上に形成される。」

(引オ)「【0113】また、上記実施例では、電子部品として、コンデンサ素子13を配線基板に内蔵するものとして説明したが、これに限らず、チップ状の抵抗体、インダクタ、フィルタ(SAWフィルタ、LCフィルタ等)、カプラ、ダイプレクサ、アンテナスイッチモジュール等の受動部品や、トランジスタ、メモリ、ローノイズアンプ(LNA)、FET等の能動部品など、各種の電子部品を内蔵させてもよい。」

すなわち、引用例には、
「絶縁性基板に銅からなる導体層20a、20bを積層した配線基板本体3に、スルーホール11を構成するための貫通孔9を多数個形成するステップと、
配線基板本体3に、電子部品であるコンデンサ素子13を配置するための貫通孔21を形成するステップと、
電子部品配設用の貫通孔21の開口部の一方を、シリコン系の粘着剤24を片面に有する面23aを配線基板本体3側に向けて、ポリイミドからなるシート材23で覆って、シート材23は配線基板本体3に張り付けるステップと、
コンデンサ素子13を、粘着剤24を介してシート材23に粘着するように、貫通孔21の内部に配置するステップと、
貫通孔21の内部に充填樹脂4を注入し、充填樹脂4を硬化させ、配線基板本体3の内部に電子部品としてのコンデンサ素子13を埋設するステップと、
シート材23を、コンデンサ素子13の外部接続部14、充填樹脂4及び配線基板本体3から除去するステップと、
充填樹脂4及び配線基板本体3の各主面3a、3bを、ベルトサンダーにより研磨し、外部接続部14の上端部14aを、第1主面3a側から充填樹脂4の外部に露出させ、外部接続部14の下端部14bを充填樹脂4の外部に露出させるステップと、
配線基板本体3全体にパネルめっきを行い、エッチングによって導体層の不要部分を除去して、各主面3a、3b上への第1導体層5a、5bを形成し、コンデンサ素子13の外部接続部14の露出部分にもメッキが形成されて、配線基板1の配線である第1導体層5a、5bと接続するステップと、
第1主面3a側及び第2主面3b側において、充填樹脂4、第1導体層5a,5b並びに上端部14a及び下端部14bの上に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム化された感光性樹脂を貼付するステップと、
この感光性樹脂を露光・現像することにより、上端部14a及び下端部14bを露出すべき位置にビアホールを形成し、感光性樹脂を硬化させて、第1層間絶縁層103a,103bを形成するステップと、
Cuにて無電解メッキおよび電解メッキを施し、第1層間絶縁層103a、103bに形成したビアホールに導電体を充填すると共に、パネルメッキを行ってメッキ層を形成するステップと、
このメッキ層の上にドライフィルムを貼り付け、露光現像してエッチングレジストを形成し、メッキ層の内の不要部分をエッチングにより除去して、第2導体層105a、105bから成る配線を形成するステップと有する、
配線基板1を製造する配線基板の製造方法」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
また、電子部品は、コンデンサ素子に限定されるものではなく、メモリ等の各種の電子部品であってもよいことも記載されている。

(2)周知例1
原審の拒絶の査定の理由で引用された本願のパリ条約による優先権主張の日前である平成13年10月 5日に頒布された特開2001-274034号公報(以下、「周知例1」という。)には、「電子部品パッケージ」(発明の名称)が記載され、図面とともに、以下の記載がある。

(周1ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品パッケージに関し、さらに詳細には半導体チップ、コンデンサ、インダクタ等の電子部品をコア材中に埋め込んで搭載した電子部品パッケージに関する。」

(周1イ)「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子部品パッケージの好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)電子部品パッケージ10の構造について説明する。コア材12には凹部14が形成されている。本実施の形態では、コア材12は、銅等の導電性金属を板状に形成したものである。そしてこの凹部14はルーター等の機器を使用してコア材12の表面を削って形成したり、またエッチングで形成する。また、凹部14の平面形状は、凹部14に埋め込まれる電子部品の大きさを考慮して、電子部品が収容可能な形状に設定されている。電子部品パッケージ10に搭載される電子部品の平面形状は通常四角形であるため、凹部14の平面形状もこれに合わせて四角形とするのが一般的であるが、これに限定されることは無く、円形や四角形以外の多角形とすることも可能である。
【0010】また、凹部14の深さは、ノイズに対するシールド効果を高めるために、電子部品が完全に収容され、電子部品が凹部14から突出しない程度の深さが望ましいが、これに限定されるものではない。また、コア材12には凹部14のほか、コア材12の表面および裏面に配置された配線層16同士を電気的に接続するビア18を通すための貫通孔20が、凹部14と同様の手段によって形成されている。
【0011】そして、凹部14内には電子部品の一例として半導体チップ22が埋め込まれている。半導体チップ22の埋め込み構造は、半導体チップ22をその電極(電極端子とも言う)24が形成された面(以下、電極端子形成面とも言う)を凹部14の開口側にむけて、逆側の面(背面)を凹部14の底面に接着剤26を用いて接着して凹部14に収容・固定する。
【0012】そしてコア材12の表裏両面には、電気的絶縁層(以下、単に絶縁層とも言う)28と配線層16とが、この順番で、凹部14の開口側のコア材12の表面に、凹部14を覆うように多層に積層されて形成されている。そして、各配線層16は、絶縁層28やコア材12を貫通するビア18によって電気的に接続されている。本実施の形態では、コア材12の表裏両面に、絶縁層28と配線層16とがそれぞれ一例として2層ずつ積層されて形成されているが、3層以上の場合も考え方は同じである。絶縁層28は、第1絶縁層28aとその上層の第2絶縁層28bとから成る。また、配線層16は、第1絶縁層28aの表面に形成された第1配線層16aと、第2絶縁層28bの表面に形成された第2配線層16bとから成る。また、ビア18は、コア材12の一方の面側に配置された絶縁層28を貫通し、この一方の面側に配置された配線層16同士、または配線層16とコア材12、または配線層16と半導体チップ22の電極端子24を電気的に接続する第1ビア18aと、コア材12の貫通孔20を貫通してコア材12の表裏に形成された配線層16同士を電気的に接続する第2ビア18bとから構成されている。
【0013】そして、第2絶縁層28bや第2配線層16bの表面には、電子部品パッケージ10に搭載される半導体チップ30のバンプ32や電子部品パッケージ10の外部接続端子34が取り付けられるランド部となる第2配線層16bの所定の部位のみが露出するように、ソルダーレジストによる被覆層36が形成されている。以上が、電子部品パッケージ10の構成である。なお、第2配線層16bのランド部に外部接続端子34を取り付けた状態で電子部品パッケージ10とすることもある。また、コア材12に形成する凹部14の数は2つ以上形成し、複数の電子部品をコア材12中に埋め込む構成としても良いし、コア材12の一方の表面だけでなく、両面に凹部14を形成して電子部品を埋め込む構造とすることも可能であり、さらなる高密度化が図れる。」

(3)周知例2
本願のパリ条約による優先権主張の日前である平成 9年12月12日に頒布された特開平9-321408号公報(以下、「周知例2」という。)には、「電子回路基板の高密度実装構造」(発明の名称)が記載され、図面とともに、以下の記載がある。

(周2ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子回路基板の高密度実装構造に関し、特に、半導体チップやSMD(表面実装デバイス)およびMCM(小型チップモジュール)などをプリント基板へ高密度に実装するのに使用して好適な電子回路基板の高密度実装構造に関する。」

(周2イ)「【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。図1(a)?(d)及び図2(a)?(c)は、本発明の一実施形態にかかる電子回路基板の高密度実装構造の製造過程を断面図により示している。同図において、電子部品である半導体チップ10は半導体を内蔵する矩形状のモジュールであり、図3に示すように、裏面にはボンディングパッドとなる接続端子11を形成してある。この接続端子11上には金のスタッドバンプ12をボンディングにより形成してある。
【0017】このスタッドバンプ12は、図2に拡大して示すように、タマネギ状をしており、ボールの部分は径で約80μm、高さ約25μm、部分的に突き出た部分はワイヤーの太さ25μm、長さが約30μmである。なお、スタッドバンプ12は、ワイヤーボンディングを行なうマシーンにてソフト的にキャピラリーの動きを変えて形成してある。
【0018】一方、プリント基板20には、同半導体チップ10を埋め込み可能な凹部21を形成してある(図1(a))。同凹部21は削り出しで形成されており、上記半導体チップ10の厚みとスタットバンプ12のボール部の厚みを加えた深さ、すなわち、400μm+25μmの深さとなっている。なお、この意味で、プリント基板20の最小限の厚さは半導体チップ10の厚さ+スタッドバンプ12のボール部の高さ以上となる。むろん、凹部21としては打ち抜かれていてもよい。
【0019】半導体チップ10にスタッドバンプ12をボンディングした後、プリント基板20の凹部21へ実装し(図1(b))、その表面および裏面にビルドアップ層の樹脂を50μmの厚みでコーティングする(図1(c))。この樹脂は絶縁層30であり、半導体チップ10を保護する封止も兼ねて利用できるため、わざわざ封止する工程をとることなく半導体チップ10の封止と絶縁層の形成が同時に行なわれる。また、この絶縁材料は後述するようにレーザで孔明け可能な素材となっている。
【0020】絶縁層30が形成された後、スタッドバンプ12にCO2 レーザまたはエキシマレーザを照射し、孔40を形成する(図1(d))。また、孔40はプリント基板20の配線パターン22と接続を取る部分にも明ける。孔明けのための位置あわせは、プリント基板20の凹部21の端面と、半導体チップ10の端面の位置合わせであり、配線を形成するときとの位置ずれが生ずる可能性がある。しかしながら、スタッドバンプ12はタマネギ状で最大径が約80μmであり、孔40の開口径が100μmとなるようにレーザで明けると、孔40は断面すり鉢状になり、スタッドバンプ12のボールの部分では約50μmとなる。従って、この程度であれば位置ずれを十分に吸収可能である。なお、このレーザによる穴明けは、位置を認識させてから明けることも可能であり、ファインな接続も可能になる。むろん、ドライフィルムではこのような位置認識を行なうことは不可能である。
【0021】また、レーザで孔40をあけるため、半導体チップ10を現像液等の化学処理にさらさなくてもよくなる。さらに、レーザであるのでビルドアップの絶縁層30はドライフィルムのような感光性である必要が無くなり、有機材料であれば材質に制約が無くなる。また、低誘電率のものとすることも可能であり、使用者にとって広く要求に応えることができる。
【0022】孔明け後、絶縁層30の上にメタライズ50を形成する(図2(a))。このメタライズ50の形成は、レーザにより穴明けした後、スパッタリングなどにより約18μmの厚みの銅を全体に付けて行なわれる。そして、ドライフィルムによって配線パターン51を感光させ、エッチングによって不要部分を取り除き配線を形成する((図2(b)))。このようにして配線パターン51を形成するときに、プリント基板20の配線パターン22やスタッドバンプ12との接続が行なわれる。
【0023】この場合、配線パターンのファインの程度によって電気メッキによって配線パターンを形成しても良いし、ドライメッキ、即ちスパッタリングによって形成することも可能である。スパッタリングの場合、厚さを薄くすることができるので、その分ファイン化が可能である。
【0024】ビルドアップ層の上にメタライズによって形成する配線パターン51は、従来のサブトラという工法に比べてファイン化が可能であり、厚みによって異なるものの一般には、18μmの厚みでライン/スペースが100/100μmのファイン化が可能といわれ、10μmの厚みでは50/50μmのファイン化が可能とされている。一方、サブトラの工法では150/150μmのファイン化が限度であるため、より高密度化できるといえる。」

4.対比
本願の図面の図1G、図2A?2C等に、「マイクロ回路8」に「IC」と記載されていること、及び、本願の明細書の段落【0059】に、「図2の例に基づいて、本方法が、多くの種類の三次元回路構造を製造するのに使用できることは明らかである。例えば、本方法は、いくつかのメモリ回路が互いの上部において配置された、したがって、いくつかのメモリ回路を含むパケットを形成するのと同様な方法において使用することができ、前記パケットにおいて、メモリ回路は互いに接続され、動作的な全体性を形成する。このようなパケットは、三次元マルチチップモジュールと呼ぶこともできる。このようなモジュールにおけるチップは、自由に選択することができ、チップ間の接触は、選択された回路によって容易に形成することができる。」と記載されていることから、本願発明において、「マイクロ回路」とは、IC、メモリ、チップ等の電子部品を意味する用語であることは明らかである。
また、引用発明の「エポキシ樹脂を主成分とするフィルム化された感光性樹脂」は、これを硬化させて、第1層間絶縁層を形成するのであるから、絶縁層であることは明らかである。

そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「配線基板本体3」は本願発明の「ベース」及び「ベース板」に相当する。
そして、引用発明の「電子部品配設用の貫通孔21」、「外部接続部14b」がある側の「電子部品」の面、「外部接続部14b」、「充填樹脂4、第1導体層5a,5b並びに上端部14a及び下端部14bの上に貼付されたエポキシ樹脂を主成分とするフィルム化された感光性樹脂」、「感光性樹脂」に形成された「上端部14a及び下端部14b」を露出すべき位置に形成された「ビアホール」、「ビアホール」に充填された「導電体」、「配線基板1の配線である第1導体層5a、5b」、「第1主面3a」、「第2主面3b」、及び、「貫通孔21」の内部に注入された「充填樹脂4」は、本願発明の「ホール」、「マイクロ回路」の「第1の表面」、「マイクロ回路」の「第1の表面」において「電気的接触を形成する接触領域又は接触突起」、「絶縁層」、「マイクロ回路」に関する「接触開口」、「マイクロ回路との電気的接触を形成するために形成」された「導体」、「ベース板」において形成された「導電パターン」、「ベース板の第1の表面」、「ベース板の第2の表面」、及び、「充填材料」に、それぞれ相当する。

また、引用発明の「シート材」に関して、一般に、「シート【sheet】」とは、「薄板や紙などの1枚。」([株式会社岩波書店 広辞苑第六版])である。
一方、本願発明の「フィルム」に関して、一般に、「フィルム【film】」とは、「薄皮。薄膜。」([株式会社岩波書店 広辞苑第六版])であり、これと異なる特段の定義もされていないから、引用発明の「シート材」と本願発明の「フィルム」とに、語句自体の意味に相違は見出せない。
しかも、引用発明において、シリコン系の粘着剤24を片面に有するポリイミドからなる「シート材23」と、本願発明の「フイルム」とは、両者とも、電子部品の保持に用いられているものであり、作用効果においても差異を見出せない。

そして、引用発明において、所定の「配線基板本体3」を用いて「コンデンサ素子13を内蔵した配線基板1」を製造していることから、「配線基板本体3」を選択するステップ、すなわち、「ベースとしてベース板を選択するステップ」を有していることは明らかである。
また、引用発明において、「コンデンサ素子13」は、回路部品として所望の機能を奏するように「配線基板本体3」の「貫通孔21」内部に配置され、「配線基板本体3」に形成される「配線基板1の配線である第1導体層5a、5b」と接続されるのであるから、「貫通孔21」は前記「第1導体層5a、5b」に関連して、「貫通孔21」の位置を選択して、整列されて配置されることは、明らかなことであって、また、実施に際して考慮される設計的事項である。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「電子部品をベースに埋め込み、前記電子部品との電気的接触を形成する方法であって、
前記ベースとしてベース板を選択するステップと、
前記ベース板においてホールを形成するステップと、
前記ホール内に電子部品を、前記電子部品がその第1の表面において電気的接触を形成する接触領域又は接触突起を有するように配置するステップと、
前記ベース板において形成された前記ホール内の前記電子部品をその場所に固定するステップと、
前記ベースの少なくとも1つの表面において形成された絶縁層を、前記絶縁層が前記電子部品を覆うように形成するステップと、
前記絶縁層において前記電子部品に関する接触開口を形成するステップと、
導体を、前記接触開口まで、前記絶縁層の上部において、前記電子部品との電気的接触を形成するために形成するステップとを含む電子部品をベースに埋め込み、前記電子部品との電気的接触を形成する方法において、
前記ベース板において導電パターンを形成するステップと、
フィルムを前記ベース板の第2の表面上に積層するステップと、
前記電子部品を前記ベース板に形成されたホール中に前記ベース板の第1の表面側から配置し、前記電子部品の第1の表面がフィルムに向かい合って位置すると共に、前記ベース板の第2の表面と同じレベルになるようにするステップと、
前記ベース板において形成されたホール中の前記電子部品を、前記ホールを充填材料で満たすことによって、その場所で固定するステップと、
前記電子部品を固定した後、前記ベース板の第2の表面上に積層された前記フィルムを除去するステップとを含む電子部品をベースに埋め込み、前記電子部品との電気的接触を形成する方法。」である点で一致し、以下の相違点1?3で相違している。

ア.相違点1
電子部品が、本願発明では、「マイクロ回路」であるのに対し、引用発明では、「コンデンサ素子」である点。

イ.相違点2
本願発明では、「前記ベース板において形成された導電パターンに関連して前記ホールの位置を選択し、前記電子部品を整列させるステップ」を備えているのに対し、引用発明では、電子部品を整列して配置した後に、ベース板に導電パターンを形成するステップを備えたものであり、前記ベース板において形成された導電パターンに関連して前記ホールの位置を選択し、前記電子部品を整列させるステップを備えていない点

ウ.相違点3
本願発明では、「フイルム」が「テープ又はテープのようなフィルム」であるのに対し、引用発明では、「シート材」であって、「テープ又はテープのようなフィルム」とまでは特定されていない点。

5.当審の判断
ア.相違点1について
マイクロ回路である半導体チップを基板の中に埋め込むことは、周知例1に記載されたコア材中に埋め込まれた半導体チップ、周知例2に記載されたプリント基板20に埋め込まれた半導体チップ10に開示されるように周知である。
しかも、引用例には、電子部品をコンデンサ素子に限定する記載はなく、配線基板に内蔵できる電子部品であればどのような素子であってもいことは明らかであるから、引用発明において、電子部品として、周知例1、2に開示されたようなマイクロ回路を用いることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、引用例には、電子部品としては、マイクロ回路であるメモリ等であってもいいと記載されているのであるから、引用発明において、電子部品として、周知例1、2に開示されたようなマイクロ回路を用いることに何ら困難性を見出せない。

イ.相違点2について
ベース板に電子部品を配置するものにおいて、ベース板に導電パターンを形成してから電子部品を配置しても、ベース板に電子部品を配置した後にベース板に導電パターンを形成しても、製造方法において格別顕著な差異を生じるものではなく、ベース板の導電パターンをどの時点で形成するかは、ベース板に導電パターンを形成することが可能な工程中において、当業者が適宜決定する設計的事項にすぎない。
ちなみに、周知例2では、配線パターンが形成されたプリント基板に対して半導体チップを配置している。

ウ.相違点3について
本願発明において、「テープ又はテープのようなフィルム」について、本願の明細書の段落【0025】に、「段階Fにおいて、テープ7等は、ホール6上に積層される。テープ7は、これをホール6上にまっすぐ、ベースボードの第2表面1bに沿って引っ張ることによって積層される。テープは、構成要素が最終的な取り付け方法を使用してベースボードに固定されるまで、組み立てられるべき構成要素を次の段階において適所に保持することを目的とする。」と記載され、同段落【0027】に、「マイクロ回路8は、これらがホール6の“底”におけるテープ7の粘着性表面に粘着するような方法で組み立てられる。」と記載され、同段落【0029】に、「段階Iにおいて、段階Fにおいて積層されたテープは除去される。」と記載されており、「テープ」等は、粘着性表面を有し、構成要素(マイクロ回路)を保持するものであって、後に除去されることは記載されているものの、形状や材質等の特段の定義はされていない。

そして、一般に、「テープ【tape】」とは、「幅がせまく長い、うすい帯状のもの。」([株式会社岩波書店 広辞苑第六版])であるから、本願発明において、「テープ又はテープのようなフィルム」とは、粘着性表面を有し、構成要素(マイクロ回路)を保持し、後に除去されるものであって、「幅がせまく長い、うすい帯状のもの。」、又は、「幅がせまく長い、うすい帯状のフィルム。」であると解することができる。

一方、引用発明において、「シート材23」は、「粘着剤24」を片面に有し、この「粘着剤24」を介して「コンデンサ素子13(電子部品)」を「シート材23」に粘着させ、その後、除去されるものである。また、上記4.で述べたように、「シート」とは、一般に、薄板や紙といった薄いものを示す用語である。

してみると、本願発明における「テープ又はテープのようなフィルム」と、引用発明における「シート材23」とは、その機能、作用、及び、効果において差異があるものではなく、形状が、本願発明では、「幅がせまく長い、うすい帯状のもの。」であるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点で相違している。

そして、引用発明において「シート材23」は必要な領域に対して積層されればいいものであり、換言すれば、用いられる「配線基板本体(ベース板)」の形状等によって適宜変更され得るものである。
一方、引用発明において、様々な形状の「配線基板本体(ベース板)」を採用し得るものであることは明らかであり、どのような形状の「配線基板本体(ベース板)」を採用するかは、当業者が適宜決定する設計的事項にすぎないものである。
しかも、「配線基板本体(ベース板)」として細長いものは周知であって、引用発明において、「配線基板本体(ベース板)」が細長いものであれば、「シート材23」が「幅がせまく長い、うすい帯状のもの。」となる場合があることは明らかである。
また、本願発明において、「テープ又はテープのようなフィルム」の形状を、「幅がせまく長い、うすい帯状のもの。」としたことによって、格別顕著な作用効果を奏するようになったものとは認められない。
したがって、引用発明の「シート材」を、「テープ又はテープのようなフィルム」とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知例1、2に開示されたような周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-20 
結審通知日 2011-01-25 
審決日 2011-02-07 
出願番号 特願2003-565216(P2003-565216)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂本 薫昭  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 川端 修
筑波 茂樹
発明の名称 構成要素をベースに埋め込み接触を形成する方法  
代理人 杉村 憲司  
代理人 来間 清志  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ