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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01K
管理番号 1239022
審判番号 不服2010-2308  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-03 
確定日 2011-06-20 
事件の表示 特願2004-208725「釣り竿」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月 2日出願公開、特開2006- 25684〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成16年7月15日の出願であって,平成21年11月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成22年2月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
その後,当審において,平成23年2月1日付けで拒絶理由を通知したところ,平成23年3月25日に意見書及び手続補正書が提出された。

2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は,平成23年3月25日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,そのうち請求項1に係る発明は,次のとおりである。
「リールシートのリール脚取付部とは反対側からリールシート部位を握る釣り竿において、前記リールシートにおけるリール脚取付部に、リールを保持する竿先側フ-ドと竿尻側フ-ドとを取付け、前記竿尻側フ-ドに前記リールシートの取り付け台座における両横側面に形成されたガイド溝に挿入される両脚部を形成して、前記竿尻側フ-ドを竿軸方向に沿ってスライド移動自在に構成し、前記リール脚取付部とは竿軸芯を挟んで反対側の面に軟質弾性体を装着し、前記リールシートを握った手の掌が前記軟質弾性体に作用すべく構成し、前記軟質弾性体に手の掌を当てるとともに親指と人指し指との基端部を前記軟質弾性体の円弧状突出部に当接させて前記リールシート部位を握った状態で、前記軟質弾性体より竿尻側に肘部分が当接する竿尻部を形成し、前記竿尻部の竿軸芯から半径方向外方への突出量を、前記軟質弾性体の前記円弧状突出部の竿軸芯から半径方向外方への突出量より大きくし、
前記軟質弾性体が前記反対側の面における円周方向の一部の範囲に亘る状態で装着され、前記竿尻部が前記円弧状突出部の突出量より大きな突出量を呈するように全周に亘って塗布後にも軟質性を維持する塗料を施して、その軟質性を備えている故に肘を当てた場合に滑り難くかつ手で握った場合に柔らかい感触を得られる弾性竿尻部に形成されている釣り竿。」(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

3 当審の拒絶理由で引用した刊行物及びその記載内容
刊行物1:特開2002-165537号公報
刊行物2:特開2001-197850号公報

当審の拒絶理由で引用し,本願出願前に頒布された上記刊行物1には,図面とともに,次のことが記載されている(下線は当審付与)。
(1a)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、釣竿に設けられてリールの脚部を固定するためのリール脚固定装置に関する。」,
(1b)「【0011】図1?図4は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態に係るリール脚固定装置1は、例えば繊維強化樹脂によって形成された釣竿の竿管8の手元部(竿尻側端部)に位置して設けられている。このリール脚固定装置1は、内部に竿管8が貫通して装着される合成樹脂等からなる筒状のシート本体12(図4も参照)と、シート本体12に対して移動可能な移動フード16とを備えている。【0012】なお、本実施形態のシート本体12は、竿管8と別体に形成されて、竿管8に接着剤等によって固定されている。しかしながら、シート本体12を竿管8と一体に形成しても良い。また、シート本体12は、図示のような筒状構造に限らず、例えば板状等、任意の形状に形成されていても良い。
【0013】図3に示されるように、シート本体12には、移動フード16と反対側の部位に、シート本体12の径方向に緩やかに膨出する膨出部12aが設けられている。また、この膨出部12aの表面には、図2に示されるように、滑り止め部43が形成されている。この滑り止め部43は、例えば、滑り止め機能を奏するようにシート本体12の膨出部12aの表面に塗装を施したり、あるいは、ゴム、合成樹脂、コルク、発泡材といった滑り止め機能を奏する部材をシート本体12の膨出部12aの表面に設けることによって形成されている。なお、図3では、簡略化するために、移動フード16を省略してある。
【0014】シート本体12の先端部には、魚釣用リールの取付脚部(図示せず…以下、単にリール取付脚部という。)の一方側を受けてこれを係止させる固定フード18が形成されている。この固定フード18は、リール取付脚部が挿入される空間と、この空間内にリール取付脚部を導入するための開口20とを有している。開口20の手元側のシート本体12上には、リール取付脚部を載置するための平坦なリール脚載置面22が長手方向に沿って形成されている。このリール脚載置面22の手元側の両側縁部には、移動フード16が摺動自在に係合する一対のガイド溝14が延在しており(図2も参照)、後述するように、移動フード16はこれらのガイド溝14に沿って移動される。

【0016】移動フード16は、金属または剛性の高い合成樹脂などで形成されたフード本体26を有している。フード本体26の両側には、シート本体12のガイド溝14に噛合うガイド片が形成されている。なお、ガイド溝14の手元側端部には、ガイド溝14からの前記ガイド片の抜けを防止する図示しない抜け止め手段が設けられている。

【0019】また、フード本体26に回動自在に取付けられた緊締レバー32の手元側端部は押圧片として形成されており、この押圧片は、緊締レバー32が起立された時にリール脚載置面22と略平行に配置され、緊締レバー32が図2に示されるようにフード本体26に重なる状態に倒された時にリール脚載置面22と略直交する状態に配置される。したがって、緊締レバー32がフード本体26から起されると、押圧片による係止爪34への押圧状態が解除されるため、係止爪34と係止受体24との噛合いが解除され、移動フード16はリール脚載置面22の長手方向に沿って自由に動くことができる。一方、緊締レバー32がフード本体26上に重なる状態に倒されると、押圧片は、係止爪34の前記爪部をリール脚載置面22に向けて押圧して係止受体24の対応する1つの横溝に噛合わせる。これにより、移動フード16がリール脚載置面22に対して固定される。」。

これらの記載によれば,刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
「竿管8に,筒状のシート本体12と、シート本体12に対して移動可能な移動フード16とを備えた,リール脚固定装置1を固定した釣竿において,
前記シート本体12の先端部に,リールの取付脚部を保持する固定フード18を形成し,前記固定フード18は、リール取付脚部が挿入される空間と、この空間内にリール取付脚部を導入するための開口20とを有し,シート本体12の開口20の手元側に,平坦なリール脚載置面22が長手方向に沿って形成され,このリール脚載置面22の手元側の両側縁部に、移動フード16が摺動自在に係合する一対のガイド溝14が設けられ,
前記移動フード16は両側に,前記一対のガイド溝14に挿入されるガイド片を形成して,シート本体12上を長手方向に沿って自由に動くように構成したものであり,
シート本体12における,前記移動フード16とは反対側の部位に,径方向に緩やかに膨出する膨出部12aを設け,この膨出部12aの表面に,塗装を施したり,あるいは,ゴム等の滑り止め機能を奏する部材を設けることによって滑り止め部43を形成した,釣竿。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

当審の拒絶理由で引用し,本願出願前に頒布された上記刊行物2には,図面とともに,次のことが記載されている(下線は当審付与)。
(2a)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣りに用いる釣竿に関する。」,
(2b)「【0010】【発明の実施の形態】[第1実施形態]以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明の第1実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、複数の筒状部材が順次連結されて構成された竿体1と、竿体1上に一定の間隔を隔てつつ配置された複数の釣糸ガイド2と、竿体1の竿元側に配置されリール3を脱着自在に装着可能なリールシート4と、リールシート4の竿元側の竿体1の周面上に配置された肘当て5とを有している。そして、リール3からの釣糸は順次釣糸ガイド2を挿通して穂先側に至ることになる。

【0012】リールシート4は、内部に竿体1が貫通して装着される合成樹脂または金属からなる変形筒状部材である。リールシート4は、リール3の脚部の一端を係止するための固定フードと、脚部を載置するための載置部と、軸方向に移動時材な移動フードとを有している。そして、このリールシート4は、固定フードと移動フードとでリール3の脚部を挟み込みながらリール3を竿体1に脱着自在に固定している。
【0013】図2及び図3に示すように、肘当て5は、竿体1の竿元側端部付近に配置され、竿体1の周方向に並列して長手方向に延びる対称な一対の部材5a,5bからなる。例えば、スチール,アルミニウム等の金属材やABS樹脂等の合成樹脂から形成される。この一対の肘当て5a,5bは竿体1周面上のリールシート4と180度変位する側に配置されている。そして、この一対の肘当て5a,5bはそれぞれ長手方向中央乃至竿元側付近が最も竿体1より離れるように竿体1周面より径外方向に膨らみ、かつ長手方向両端部が竿体1に連結された肘当て5a,5bと竿体1の間には空間が形成される橋状の部材である。一対の肘当て5a,5bの長手方向両端部は竿体1に接着剤で接着されたり,ネジ止め等によって固定される。また、図2に示すように、一対の肘当て5a、5bは長手方向中央付近でそれぞれ両者の間隔が最も離れるように左右にやや広がって形成されている。」,
(2c)「【0014】このように構成された釣竿では、図4に示すように、釣人はリールシート4付近を一方の手で把持し、さらにその手の肘を肘当て5に当てながら釣竿を操作する。ここで釣人は、一対の肘当て5a,5bの間に肘を配置したり、竿体1を周方向に傾けて釣竿を操作する場合には何れか一方に肘を当てたり、状況に応じて一対の肘当て5a,5bを使い分けながら、肘を肘当て5に当てる。
【0015】すると、釣人はリールシート4付近を把持しつつ肘を竿体1から浮かせた比較的自然な状態で釣竿の操作が可能になり、手首を不自然に竿体1方向に傾ける必要なく釣竿操作を行えるので、長時間の釣竿操作も辛くない。また、手首と肘との2カ所で釣竿の竿体1を十分に支えることが可能なので釣竿操作の安定性も向上する。さらに、肘当て5は長手方向両端部が竿体1に連結され肘当て5と竿体1の間には空間が形成される橋状の部材であり、釣竿の軽量化を図れる。」,
(2d)「【0016】[第2実施形態]以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明の第2実施形態を採用した釣竿は、第1実施形態と同様に、複数の筒状部材が順次連結されて構成された竿体1と、竿体1の竿元側周面上に配置された肘当て15とを有している。
【0017】図5及び図6に示すように、肘当て15は、竿体1の竿元側端部付近に配置され、竿体1の長手方向に丘陵状に延びる部材である。例えば、竿体1を構成する炭素繊維またはガラス繊維等に合成樹脂を含浸させたプリプレグ等と同様のプリプレグ素材等を肘当て15形成用に所定の位置に積層し、竿体1を焼成すると共に竿体1と一体的に肘当て15が形成される。この肘当て15は竿体1周面上のリールシート4と180度変位する側に配置されている。そして、この肘当て15は長手方向中央付近が最も竿体1より離れるように(高さが高くなるように)竿体1周面より径外方向に膨んでいる。」,
(2e)「【0018】このように構成された釣竿では、第1実施形態と同様に、釣人はリールシート4付近を一方の手で把持し、さらにその手の肘を肘当て15に当てながら釣竿を操作する。これにより、釣人はリールシート4付近を把持しつつ肘を竿体1から浮かせた比較的自然な状態で釣竿の操作が可能になり、手首を不自然に竿体1方向に傾ける必要なく釣竿操作を行えるので、長時間の釣竿操作も辛くない。」,
(2f)「【0019】[他の実施形態](a)肘当てをウレタンゴムやブタジエンゴム等の弾性部材から形成し、必要に応じて竿体の任意の場所に釣人が接着して固定できるようにしてもよい。このような脱着自在の肘当てを設けることで、釣人が状況に応じて肘当てを竿体から脱着し状況毎に適切な釣竿操作の安定性を図ることが可能になる。(b)肘当ての形状は上記実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形状を採用できる。例えば、円筒型,長方形型等が挙げられる。…」。

刊行物2の(2b)記載の[第1実施形態]を前提とした[第2実施形態][他の実施形態]によれば,刊行物2には,次の発明が記載されていると認められる。
「リールシート4のリール脚取付部とは反対側からリールシート4部位を握る釣竿1において,
前記リールシート4におけるリール脚取付部に,リール3を保持する固定フードと移動フードとを取付け,前記リールシート4を把持した状態で,肘を当てる肘当て15を竿尻部の半径方向外方へ突出させて形成し,
この肘当てをウレタンゴムやブタジエンゴム等の弾性部材から形成した円筒型のものとした釣竿1。」(以下,「刊行物2記載の発明」という。)

4 対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比する。
ア 刊行物1記載の発明の「シート本体12」,「固定フード18」,「移動フード16」,「ガイド片」,「釣竿」は,それぞれ,本願発明の「リールシート」,「竿先側フード」,「竿尻側フード」,「脚部」,「釣り竿」に相当する。
イ 刊行物1記載の発明において,「固定フード18」,「リール脚載置面22」,「ガイド溝14」及び「移動フード16」は,全体としてリールの取付脚部を取り付けるためのものであるから,本願発明の「リール脚取付部」に相当し,「リール脚載置面22」は,本願発明の「取り付け台座」に相当する。
また,刊行物1記載の発明において,移動フード16が「長手方向に沿って自由に動く」ことは,本願発明の竿尻側フードが「竿軸方向に沿ってスライド移動自在」であることに相当する。
ウ 本願発明における「リールシートに竿先側フードを取付け」ることに関して,発明の詳細な説明には「固定フード(竿先側フード)6がリールシート本体と一体に形成されており」(段落【0019】)と記載され,竿先側フードがリールシート本体と一体のものを「取付け」としているから,刊行物1記載の発明において,「シート本体12に固定フード18を形成」することは,本願発明において,「リールシートに竿先側フードを取付け」ることに相当する。
エ 刊行物1記載の発明において,「ゴム,コルク等からなる滑り止め部43」は,本願発明の「軟質弾性体」に相当し,「滑り止め部43」は,リールシートを握った手に作用するためのものであることは明らかである。
また,「滑り止め部43」が設けられている「膨出部12a」は,「移動フード16とは反対側の部位」すなわち,「リール脚取付部とは竿軸芯を挟んで反対側の面における円周方向の一部の範囲」に形成されているから,「滑り止め部43」は,「リール脚取付部とは竿軸芯を挟んで反対側の面における円周方向の一部の範囲に亘って装着されている」といえる。
オ 刊行物1記載の発明において,表面に滑り止め部43が形成されている「膨出部12a」は,「移動フード16」の反対側からシート本体12を握ったときに手の掌に作用するためのものであることは技術常識であり,刊行物1記載の発明の「膨出部12a」と,本願発明の「親指と人指し指との基端部を前記軟質弾性体の円弧状突出部」とは,「リールシートを握った手を当接させる円弧状突出部」として共通する。

したがって,両者は,次の点で一致する。
「リールシート部位を握る釣り竿において、前記リールシートにおけるリール脚取付部に、リールを保持する竿先側フードと竿尻側フードとを取付け、前記竿尻側フードに前記リールシートの取り付け台座における両横側面に形成されたガイド溝に挿入される両脚部を形成して、前記竿尻側フードを竿軸方向に沿ってスライド移動自在に構成し、前記リール脚取付部とは竿軸芯を挟んで反対側の面に軟質弾性体を装着し、前記リールシートを握った手の掌が前記軟質弾性体に作用すべく構成し、リールシートを握った手を当接させる円弧状突出部を形成し、
前記軟質弾性体が前記反対側の面における円周方向の一部の範囲に亘る状態で装着されている釣り竿。」

また,両者は,次の各点で相違する。
[相違点1]
円弧状突出部が,本願発明では,「軟質弾性体」に設けられたものであり,親指と人指し指との基端部を円弧状突出部に当接させるのに対し,刊行物1記載の発明では,リールシートを突出(膨出)させ,表面に軟質弾性体を設けたものであり,指の位置と円弧状突出部の関係は不明な点。
[相違点2]
本願発明は,「親指と人指し指との基端部を前記軟質弾性体の円弧状突出部に当接させてリールシート部位を握った状態で,前記軟質弾性体より竿尻側に肘部分が当接する竿尻部」を有し,この竿尻部は,「竿軸芯から半径方向外方への突出量を,軟質弾性体の円弧状突出部の竿軸芯から半径方向外方への突出量より大きくし」,かつ,「前記竿尻部が前記円弧状突出部の突出量より大きな突出量を呈するように全周に亘って塗布後にも軟質性を維持する塗料を施して、肘を当てた場合に滑り難くかつ手で握った場合に柔らかい感触を得られる弾性竿尻部」に形成されているのに対し,刊行物1記載の発明は,このような竿尻部を形成していない点。

5 判断
上記相違点1について検討すると,リールシートを突出(膨出)させ,表面に軟質弾性体を設けることに代えて,突出部のないリールシートに突出部を有する軟質弾性体を設けることは,当業者が適宜なしうることである。
また,刊行物1記載の発明においては,刊行物2の図7に記載されているように,リールシートのリール脚取付部とは反対側からリールシート部位を握った場合に,親指と人指し指との基端部が軟質弾性体に当接するものと認められ,そもそも突出部は,リールシート部位を確実に把持するためのものであるから,握ったときに親指と人指し指との基端部が当接して,釣り竿を安定させることができるような位置に適宜の大きさで円弧状突出部を形成することは,当業者が適宜なしうることである。

上記相違点2について検討すると,刊行物2記載の発明には,リールシート4を把持した状態で,肘を当てる肘当て15を竿尻部の半径方向外方へ突出させること,すなわち,リールシート部位を握った状態で,リールシートより竿尻側に肘部分が当接する肘当てを設けた竿尻部を形成し,前記竿尻部の竿軸芯から半径方向外方への突出量を,前記リールシートの竿軸芯から半径方向外方への突出量より大きくすることが示されている。
さらに,刊行物2記載の発明には,この肘当て15を弾性部材とすること,円筒状,すなわち竿の全周に亘って設けることも示されている,
そして,刊行物1記載の発明においては,リールシートのリール脚取付部とは反対側からリールシート部位を握って操作するとともに,状況によっては竿尻部を持って操作することが十分考えられるから,リールシート部位を握った状態で肘を支持したり,手で握りやすくするために,釣竿の竿尻部に,刊行物2記載の発明を適用して,リールシートより竿尻側に肘部分が当接する突出部を竿尻部を形成し,竿尻部の竿軸芯から半径方向外方への突出量を,円弧状突出部の竿軸芯から半径方向外方への突出量より大きくすること,そのために,全周に亘って肘を当てた場合に滑り難くかつ手で握った場合に柔らかい感触を得られる弾性部材を装着することは,当業者が容易になしうることである。
また,竿尻部に弾性部材を装着する手段として,塗布後にも軟質性を維持する塗料を塗布することは,当審における拒絶理由で引用した特開2004-147581号公報に記載されているように周知の技術であり,竿尻部に全周に亘って塗布後にも軟質性を維持する塗料を施して弾性竿尻部とすることも,当業者が適宜なしうることである。

また,本願発明の作用効果は,刊行物1及び2記載の発明及び周知技術から,当業者が予測できる程度のことである。
よって,本願発明は,刊行物1及び刊行物2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1及び刊行物2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-04-27 
結審通知日 2011-04-28 
審決日 2011-05-10 
出願番号 特願2004-208725(P2004-208725)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 南澤 弘明  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 鈴野 幹夫
宮崎 恭
発明の名称 釣り竿  
代理人 円城寺 貞夫  
代理人 富崎 元成  

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