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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 補正却下を取り消さない。原査定の理由により拒絶すべきものである。 G03B 審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消さない。原査定の理由により拒絶すべきものである。 G03B |
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管理番号 | 1239120 |
審判番号 | 不服2010-5615 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-15 |
確定日 | 2011-06-23 |
事件の表示 | 特願2003-417319「カメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年7月7日出願公開、特開2005-181356〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年12月15日の出願であって、平成21年8月17付けで手続補正がなされ、同年9月3日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年11月9日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが、同年12月7日付けで、当該補正に対する補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。 これに対し、平成22年3月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされた。 第2 補正の却下の決定の適否 請求人は、上記審判請求において、平成21年11月9日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定(以下「本件補正却下」という。)は失当である旨主張しているので、本件補正却下の適否について、以下に検討する。 1.補正事項 本件補正により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、以下のように補正された。 「焦点調節の制御を行う制御手段と、 前記制御手段が撮影レンズユニットを用いて前記焦点調節の制御を行うときに、該焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報と前記撮影レンズユニットとを関連付けて記憶する記憶手段と、 前記制御手段からの信号に応じて表示を行う表示手段と、 該カメラに対する撮影レンズユニットの装着を検出し、当該検出された撮影レンズユニットの識別情報を取得する検出手段と、 使用者によって操作される操作手段と、を有し、 前記制御手段は、使用者による前記操作手段の操作に応じて前記検出手段によって識別情報を取得して前記検出された撮影レンズユニットに関連づけられた補正情報が前記記憶手段に記憶されているか否かの判別を行い、前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときは、該補正情報を前記表示手段に所定期間表示させる信号を出力し、前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていないと判別したときは、前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときには表示しない撮像パラメータととともに前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていないこととをマニュアルフォーカスに切り替わるまで表示させる信号を出力することを特徴とするカメラ。」(以下「補正発明」という。) すなわち、本件補正により、本願の特許請求の範囲の請求項1に「補正情報が前記記憶手段に記憶されていないと判別したときは、前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときには表示しない撮像パラメータととともに前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていないこととをマニュアルフォーカスに切り替わるまで表示させる」という事項(以下「補正事項」という。)が付加された。 2.検討・判断 (1)補正の根拠 上記意見書(「第1 手続の経緯」参照。)で請求人は、「本件補正は、本願明細書の段落【0129】?【0135】、【0137】?【0141】及び図7の記載に基づく」と主張している。 (2)本願の当初明細書等の記載 本願の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【0090】 図4は、本デジタルカメラのファインダ画面内に表示される表示内容を全て表示させた状態を示すファインダ視野図である。図4(a)はファインダ視野全体の図を示し、図4(b)はファインダ視野外に配置されている内部液晶表示装置251の詳細図である。 【0091】 図4において、48は視野マスク、49は不図示のピント板に形成された焦点検出領域を示す焦点検出視野枠である。該焦点検出視野枠内には焦点検出領域セグメント(今後測距点とも記すときがある)50?94がスーパーインポーズ表示される。なお、スーパーインポーズ表示させる構成については、例えば、特開2000-250120号公報に記載されている。 【0092】 251はファインダ視野外に配置されている内部液晶表示装置である。図4(b)において、251aは測光モードの状態を表示し、251bは合焦時に点灯する合焦マークである。251cはシャッタースピードを7セグメントにて表示している。 【0093】 251dは撮影可能枚数を表示し、251eはAFピント補正量が算出されているカメラ本体と撮影レンズの組み合わせであることを撮影者に報知する補正量識別マークである。なお、AFピント補正量及び補正量識別マークを表示するタイミングについては後述する。 【0094】 251fは通常撮影時には絞り値を7セグメントにて表示し、また、AFピント補正量を表示することもある。なお、AFピント補正量を表示するタイミングについては後述する。」 (2b)「【0125】 次に、図6?図9を用いて以上のように構成されたデジタルカメラの、動作フローについて説明する。図6は本発明の識別マークの表示を示すフローチャートである。図6においてステップ101(図面では「S」と略す)では、カメラ本体200に撮影レンズ100が装着されたか否かを検出し、装着されたと判別されたときにはステップ102に移行する。 【0126】 ステップ102では、システムコントローラ223はレンズ制御回路104と通信を行い、レンズID情報を受け取り、ステップ103に進む。 【0127】 ステップ103においてシステムコントローラ223は、EEPROM222と通信を行い、取得したレンズID情報が記憶されているか否かを判別する。EEPROM222と通信を行った結果、取得したレンズID情報が記憶されているならば、今回装着された撮影レンズ100はピント補正の補正量が算出されていると判別して、ステップ104へ移行する。 【0128】 また、EEPROM222と通信を行った結果、取得したレンズID情報が記憶されていない場合は、ピント補正量の算出が行われていない撮影レンズが装着された判別して、ステップ108へ移行する。 【0129】 ステップ103にてピント補正量が算出されていない撮影レンズが装着されたと判別されステップ104へ移行した場合は、所定時間のタイマーをスタートさせステップ105に進む。 【0130】 ステップ105では、外部液晶表示装置250と内部液晶表示装置251に補正量識別マーク及びAF補正量を表示する。 【0131】 ここで、図7を用いて、補正量識別マーク及びAF補正量を表示について説明する。 図7において、図7(a)及び図7(b)はピント補正量算出済みの撮影レンズユニット100が装着された場合の外部液晶表示250及び内部液晶表示251の表示状態を示している。 【0132】 図7(a)において、250hはピント補正量が算出済みである事を示す補正量識別マークで、250bは算出されたピント補正量を示していて(単位はミクロン)、図7(a)においては、+20ミクロン補正されていることを示している。 【0133】 図7(b)において、251eはピント補正量が算出済みである事を示す補正量識別マークで、251fは算出されたピント補正量を示していて(単位はミクロン)、図7(b)においては、+20ミクロン補正されていることを示している。 【0134】 この様に、補正量識別マークを表示することにより、撮影者はピント補正が行われているデジタルカメラと撮影レンズユニットの組み合わせと認識することができるので、安心して撮影を行うことができる。 【0135】 図6に戻って、ステップ105にて、補正量識別マークを表示後、ステップ106に進み、ステップ104にてスタートさせたタイマーがタイムアップしているか否かを判別する。タイムアップしていないと判別されたときには、ステップ105に戻り、補正量識別マークの表示を続行する。 【0136】 また、タイムアップしていると判別された場合は、ステップ107に進み、ステップ105にて表示した補正量識別マークを消燈させ、撮影の準備状態へ戻る。 この様に撮影レンズ装着後所定時間だけ補正量識別マークを表示するようにしたので、撮影中常に表示した場合の煩わしさを解消することができる。 【0137】 ステップ103において、ピント補正量が算出されていない撮影レンズユニット100が装着されたと判別された場合、ステップ108に進み補正量識別マークを点滅させる。 ここで、図7の図7(c)及び図7(d)を用いて表示形態について説明する。図7(c)及び図7(d)はピント補正量が算出されていない撮影レンズユニット100が装着された場合の外部液晶表示250及び内部液晶表示251の表示状態を示している。 【0138】 図7(c)、図7(d)に示すように、補正量識別マーク250hと251eが点滅することで、撮影者はピント補正量が算出されていない、つまり、ピント補正が行われない撮影レンズが装着されたことを容易に認識できるので、ピントが合っていないまま撮影を続けるなどの問題を回避することができる。 【0139】 なお、本実施例では補正量識別マーク250hと251eが点滅することで、撮影者に警告表示を行っているが、警告表示ではなく、撮影動作を禁止しても良い。また、音声を発したり、カメラを振動させたりすることにより警告を行なうようにしてもよい。 【0140】 図6に戻って、ステップ108にて補正量識別マークを点滅後ステップ109にて、AFモードがAFモード選択ボタン233を操作することにより、マニュアルフォーカスモードに選択されているかを判別する。そして、マニュアルフォーカスモードが選択されていないと判別されたときには、ステップ108に戻って補正量識別マークの点滅を続行する。 【0141】 また、マニュアルフォーカスモードが選択されていると判別されたときには、ステップ107に移行して、補正量識別マークを消燈させる。 このように、マニュアルフォーカスモードが選択された場合は、撮影者自身がピント合わせを行うため、ピント補正が行われないことを撮影者に報知する必要が無くなる。つまり、識別マークを点滅させる必要も無いので、識別マークを消燈させることで、撮影者の煩わしさをなくすことができる。 【0142】 なお、本実施例においては、レンズ装着後所定時間だけ識別マークを表示するようにしたが、撮影中常に表示するようにしても良い。また、外部液晶表示250及び内部液晶表示251両方に識別マークを表示するようにしたが、どちらか一方だけ表示するようにしても構わない。」 (2c)「【実施例2】 【0143】 図8のフローチャートを用いて本実施例のAF補正確認ボタン2が押された場合の補正量識別マーク表示方法について説明する。なお、本実施例のカメラシステムの構成は実施例1と同一であるので、ここでの説明は省略する。 【0144】 図8において、ステップ201でAF補正確認ボタン2が押されたか否かを判別する。 AF補正確認ボタン2が押されていないと判別されたときは、AF補正確認ボタン2が押されるまで判別を繰り返す。 【0145】 また、AF補正確認ボタン2が押されていないと判別されたときには、ステップ202へ移行し、システムコントローラ223はレンズ制御回路104と通信を行い、レンズID情報を受け取り、ステップ203に進む。 【0146】 ステップ203においてシステムコントローラ223は、EEPROM222と通信を行い、取得したレンズID情報が記憶されているか否かを判別する。EEPROM222と通信を行った結果、取得したレンズID情報が記憶されているならば、今回装着された撮影レンズ100はピント補正の補正量が算出されていると判別して、ステップ204に進む。 【0147】 また、EEPROM222と通信を行った結果、取得したレンズID情報が記憶されていない場合は、ピント補正量の算出が行われていない撮影レンズが装着されたと判別して、ステップ208に進む。 【0148】 ステップ203にてピント補正量が算出されていない撮影レンズユニットが装着されたと判別されステップ204に進んだ場合は、ステップ204にて所定時間のタイマーをスタートさせステップ205に進む。 【0149】 ステップ205では、外部液晶表示装置250と内部液晶表示装置251に識別マーク及び補正量を表示する。 なお、識別マークの表示方法については、実施例1と同様に図7(a)、図7(b)に示すように行なう。 【0150】 ステップ205にて補正量識別マークを表示後、ステップ206へ移行して、ステップ204にてスタートさせたタイマーがタイムアップしているか否かを判別する。タイムアップしていないと判別されたときには、ステップ205に戻り、補正量識別マークの表示を続行する。 【0151】 また、タイムアップしていると判別された場合は、ステップ207へ移行して、ステップ205にて表示した補正量識別マークを消燈させ、撮影の準備状態へ戻る。 次にステップ203に戻って、ピント補正量が算出されていない撮影レンズが装着されたと判別された場合、ステップ208へ移行してタイマーをスタートさせ、ステップ209へ移行する。 【0152】 ステップ209において、図7(c)と図7(d)のような表示を行いステップ210へ移行する。なお、音声を発したり、カメラを振動させることにより警告を行なうようにしてもよい。 【0153】 ステップ210では、ステップ208にてスタートさせたタイマーがタイムアップしたか否かを判別し、タイムアップしていないと判別したときにはステップ209へ戻って、補正量識別マークの点滅表示を続行する。 【0154】 また、ステップ210にてタイムアップしたと判別されたときには、ステップ207へ移行して補正量識別マークを消燈する。 【0155】 この様に、補正確認ボタン2を押したときだけ補正量識別マークを表示するので、常に表示することによる煩わしさを解消することができる。」 (2d)「【図4】 」 (2e)「【図6】 」 (2f)「【図7】 」 (2g)「【図8】 」 (3)判断 (3-1)上記補正事項における「映像パラメータ」という発明特定事項 本願の当初明細書等には、映像パラメータという事項に関する直接的な記載はない。また、本願の出願当時の技術常識を参酌しても、当該事項が当業者にとって、どのような事項を特定するものなのか、その技術的外縁を含めて自明な事項であるとも認められない。してみると、本願の当初明細書等には、「映像パラメータ」という事項が記載されていたとも、示唆されていたとも認めることはできない。 (3-2)同「補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときには表示しない撮像パラメータ」という発明特定事項 当初明細書等の上記各記載を参酌すると、「ピント補正量算出済みの撮影レンズユニット100が装着された場合の外部液晶表示250及び内部液晶表示251の表示状態を示している図7(a)及び図7(b)」(段落【0131】参照)と「ピント補正量が算出されていない撮影レンズユニット100が装着された場合の外部液晶表示250及び内部液晶表示251の表示状態を示している図7(c)及び図7(d)」(同【0137】参照)とを見比べると、図7(d)には、図7(b)に表示されていない、いくつかの表示がされていることが見て取れる。具体的には、251a、251c、251b及び251d等であるが、図7(d)におけるこれらの表示が、具体的に何を表示しているのかについては、当初明細書等には、直接的な記載はない。そこで、上記摘記事項(2a)及び(2d)をさらに参酌すると、これらのものが、それぞれ、測光モードの状態、シャッタースピード、合焦マーク及び撮影可能枚数を表示している可能性はある。(ただし、251fについては、図7(b)と図4(b)とで同じ記号を用いているのに異なるものを表示していること、及び当初明細書等に上記可能性を示唆する記載も、上記図7(d)における251a、251c、251b及び251d等に関する直接的な記載もないことを考慮すると、そのように断定する根拠はない。)ここで、これらの251a、251c、251b及び251d等の表示を「補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときには表示しない撮像パラメータ」と解釈するとしても、上記(3-1)のとおり、本願の当初明細書等には、「映像パラメータ」自体を定義又は特定する記載がなく、しかも「映像パラメータ」という用語が当業者にとって自明な事項でもないことから、補正発明における「映像パラメータ」としては、上記の、測光モードの状態、シャッタースピード、合焦マーク及び撮影可能枚数以外にも、映像に関するパラメータであれば、どのようなものでも任意のパラメータが含まれることになる。しかしながら、そのような事項、すなわち「補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときには表示しない任意の撮像パラメータ」という事項が、当初明細書等に記載も示唆もされていないことは明らかである。 (3-3)同「撮像パラメータととともに前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていないこととをマニュアルフォーカスに切り替わるまで表示させる」という発明特定事項 上記(3-1)及び(3-2)にくわえて、「撮像パラメータ」に対応する可能性のある、図7(d)における251a、251c、251b及び251d等の表示をいつまで表示させるかについては、当初明細書等には直接的な記載も示唆をする記載もなく、さらには、「撮像パラメータ」と「補正情報が前記記憶手段に記憶されていないことの表示」との関係についても記載も示唆もされていない。そして、「撮像パラメータととともに前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていないこととをマニュアルフォーカスに切り替わるまで表示させる」という事項は、「撮像パラメータ」と「補正情報が記憶手段に記憶されていないこと」の表示を、マニュアルフォーカスに切り替わった時点で、同時に終了させることを含むが、このような事項が当初明細書等に記載も示唆もされておらず、また、当業者にとって自明でないことは明らかである。 (4)小括 したがって本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。 3.まとめ 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、本件補正却下は、適法なものである。 第3 本願発明について 本件補正却下は上記のとおり適法なものであるので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成21年8月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「焦点調節の制御を行う制御手段と、 該制御手段が、撮影レンズユニットを用いて前記焦点調節の制御を行うときに、該焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報を、前記撮影レンズユニットと関連付けて記憶する記憶手段と、 前記制御手段からの信号に応じて表示を行う表示手段と、 該カメラに対する前記撮影レンズユニットの装着を検出し、当該検出された撮影レンズユニットの識別情報を取得する検出手段と、 使用者によって操作される操作手段と、を有し、 前記制御手段は、使用者による前記操作手段の操作に応じて前記検出手段によって識別情報を取得して撮影レンズユニットに関連づけられた補正情報が前記記憶手段に記憶されているか否かの判別を行い、該判別結果に応じた信号を出力して該信号により前記表示手段での表示形態を変更するとともに、 前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときは、該補正情報を前記表示手段に表示させる信号を出力することを特徴とするカメラ。」(以下「本願発明」という。) 1.引用刊行物及びそれに記載された発明 (1)引用文献1 原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2003-78794号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、交換レンズと交換レンズが装着可能なカメラボディとを有するデジタルカメラの技術に関する。」 (1b)「【0006】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像データに対して交換レンズの特性を反映した色補正を適切に行えるデジタルカメラの技術を提供することを目的とする。」 (1c)「【0027】交換レンズ3は、内部にレンズROM30を備えており、このレンズROM30には、交換レンズ3の色補正情報(パラメータ)でカラーマッチング用のICC(International Color Consotium)プロファイルを格納している。 【0028】交換レンズでは、交換レンズの種類が異なりそのレンズ材が相違すれば、図4に示すようにそれぞれ分光透過特性La、Lbが異なるようになる。なお、図4において、横軸は波長を示し、縦軸は透過率を示している。そこで、デジタルカメラ1では、交換レンズに固有のICCプロファイルをレンズROM30に格納することにより、画像データに関する色再現性の向上を図ることとする。 【0029】図5は、レンズマウント部Mtの要部構成を示す図である。 【0030】レンズマウント部Mtには、交換レンズ3が装着可能となっており、レンズ駆動軸CaとコネクタCbとが設けられている。 【0031】レンズ駆動軸Caは、フォーカスモータ27に接続し、交換レンズ3内のレンズを移動させる駆動力を伝達する。 【0032】コネクタCbは、カメラボディ2と交換レンズ3とを電気的に接続するための部位であり、これによりレンズROM30に記録されるレンズのICCプロファイルを伝送できることとなる。」 (1d)「【0047】シャッタボタン29は、銀塩カメラで採用されているような半押し状態(S1)と押し込んだ状態(S2)とが検出可能な2段階スイッチになっている。待機状態でシャッターボタン29をS1状態にすると、AFモータ27によってAFのためのレンズ駆動が行われる。 【0048】全体制御部40は、CPUおよびメモリ(RAM40a)を有しており、上述したデジタルカメラ1の各部と有機的に接続してデジタルカメラ1の動作を統括制御するものである。また、全体制御部40は、ROM40bを有しており、このROM40bでは、カメラボディ2に対応するICCプロファイルと、このカメラボディ2に装着して撮影可能なn種類の交換レンズに対するICCプロファイルP1、P2、・・、Pnが記憶される。 【0049】カメラ制御CPU57は、全体制御部40と伝送可能に接続しており、主に撮影者からのデジタルカメラ1への操作を処理するためのものである。」 (1e)「【0055】<デジタルカメラ1の動作>図9は、デジタルカメラ1のレンズ交換に関する動作を説明するフローチャートである。なお、本動作は、レンズ交換が検出された際に制御部40によって自動的に実行される。 【0056】ステップST1では、カメラボディ2に装着された交換レンズ3の種類を確認する。ここでは、コネクタCbを介して、交換レンズ3のレンズROM30に格納される交換レンズの情報をカメラボディ2で取得することにより、交換レンズ3の種類が確認できることとなる。 【0057】ステップST2では、ステップST1の動作に基づき、交換レンズ3の種類が不明であるかを判定する。ここでは、交換レンズ3にレンズROM30が存在しないか、あるいはレンズROM30が存在してもカメラボディ2が種類を判別できない場合には、交換レンズ3の種類が不明と判断される。ここで、交換レンズ3の種類が不明である場合には、ステップST3に進み、不明でない場合には、ステップST4に進む。 【0058】ステップST3では、デジタルカメラ1で撮影される画像データに対して、レンズに関するICCプロファイルの関連付けを禁止する。すなわち、現在装着されている交換レンズを使用して撮影する場合には、画像データにレンズの色補正情報を設定しないようにする。これは、交換レンズ3の種類が不明のため、画像データに対して有効なICCプロファイルの関連付けができないためである。」 (1f)「【0059】ステップST4では、交換レンズ3のレンズROM30内にレンズのICCプロファイルがあるかを確認する。 【0060】ステップST5では、レンズROM30に交換レンズ3のICCプロファイルが格納されているかを判断することとなる。ここで、プロファイルがある場合には、ステップST6に進み、プロファイルがない場合には、ステップST7に進む。 【0061】ステップST6では、デジタルカメラ1で撮影される画像データに対して、装着されている交換レンズの種類に応じた、レンズに関するICCプロファイルの関連付けを実施する設定を行う。具体的には、レンズROM30内のICCプロファイルまたはカメラボディ2のROM40b内のICCプロファイルを、カメラボディ2内のRAM40aにロードする。そして、撮影された画像データを記録する際には、その画像データに関連付けたレンズプロファイル91(図7)が記録されることとなる。 【0062】ステップST7では、カメラボディ2内における全体制御部40のROM40bを確認する。 【0063】ステップST8では、カメラボディ内のROM40bに、現在装着されている交換レンズに対応するICCプロファイルが格納されているかを判定する。ここで、ICCプロファイルが格納されている場合には、ステップST6に進み、格納されていない場合には、ステップST9に進む。 【0064】ステップST9では、ステップST3と同様に、デジタルカメラ1で撮影される画像データに対して、レンズに関するICCプロファイルの関連付けを禁止する。すなわち、カメラボディ2に装着されている交換レンズ3がICCプロファイルを格納しない場合で、かつカメラボディ2のROM40aにおいて当該交換レンズの種類に対応するICCプロファイルが記憶されていない場合には、画像データに対する色補正情報の関連付けを禁止することとなる。」 (1g)「【0065】以上のデジタルカメラ1の動作により、カメラボディ2の出荷時に、存在する既存の交換レンズ(これらには交換レンズ内にICCプロファイルが格納されていない)に対しては、カメラボディ2内のICCプロファイルによって、交換レンズの特性に応じた適切な色補正が行えるとともに、カメラボディ2の出荷以降に新規に提供される交換レンズに対しては、交換レンズ内のICCプロファイルによって適切な色補正が行える。つまり、あらゆる交換レンズに対して、交換レンズの特性を反映した色補正を適切に行えることとなる。」 これらの記載を含む引用文献1全体の記載及び当業者の技術常識を総合すると、引用文献1には、以下の発明が記載されている。 「AFモータ(27)によってAFのためのレンズ駆動が行われ、 交換レンズ(3)に固有の色補正情報(パラメータ)でカラーマッチング用のICC(International Color Consotium)プロファイルを格納しているレンズROM(30)及びカメラボディ(2)のROM(40b)と、 カメラボディに装着された交換レンズの種類を確認する手段と、を有し、 レンズROM及びカメラボディ内のROMに、現在装着されている交換レンズに対応するICCプロファイルが格納されているかを判定し、 カメラボディに装着されている交換レンズがICCプロファイルを格納しない場合で、かつカメラボディのROMにおいて当該交換レンズの種類に対応するICCプロファイルが記憶されていない場合には、画像データに対する色補正情報の関連付けを禁止し、 ICCプロファイルが格納されている場合には、デジタルカメラ(1)で撮影される画像データに対して、装着されている交換レンズの種類に応じたレンズROM内のICCプロファイルまたはカメラボディのROM内のICCプロファイルを、カメラボディ内のRAM(40a)にロードするデジタルカメラ。」(以下「引用文献1記載の発明」という。) (2)引用文献2 同じく、特開2000-137275号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、種類の異なる複数の付属機器を接続可能な制御装置及びカメラの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば多数の交換レンズを装着可能なカメラの様な制御機器においては、装着される付属機器を制御する際の補正情報を必要とする。この種の情報の格納方法としては、制御機器の制御部は接続された付属機器の種類を認識し、付属機器に対応した情報を記憶部から取り出すが、この際、付属機器の種類をもとに、その付属機器の制御に必要な一連の情報を格納してある記憶部の情報格納場所を求め、その場所から付属機器に固有な補正情報を取り出すようになっていた。このため、上記一連の情報は付属機器の種類の数だけ記憶部にそれぞれ用意しておく必要があった。」 (2b)「【0006】例えば、自動焦点調整(AF)レンズ交換式の一眼レフカメラが行うレンズ駆動制御の一部に、ベストピント(以下、BPとも記す)補正と呼ばれる処理がある。これは、カメラのレンズマウントに装着された交換レンズの構成する撮影光学系がフィルム面上に結ぶピントと、撮影光学系からハーフミラーで光路を分けられ、AFセンサ上に二次結像する光束を導く焦点検出光学系でのピントとの間で生ずる誤差を、カメラの制御マイコンがBP補正情報をカメラ内蔵のメモリから読み出し、演算により求めた補正値でセンサから得られた情報に補正を加え、補正を加えた情報をもとにフィルム面上許容誤差範囲内で最良結像面が来るように、レンズマウント部に設けられたカメラ・レンズ間通信経路を通して交換レンズの焦点調節機構を制御する処理である。」 (2c)「【0094】次に、上記図6のステップ(117)にて実行される「蓄積完了ラインの焦点検出演算」サブルーチンにおいて、オートフォーカス光学系の特性に依存する補正を焦点検出領域単位に行う部分を、図8を用いて説明する。 ・・・ 【0096】次のステップ(603)では、求められたデフォーカス値に対してベストピント(BP)補正を行う。ベストピント補正は一眼レフカメラの場合、交換レンズ毎に異なるので、レンズに対応したベストピント補正情報を求めるようになっている。 【0097】ここで、「ベストピント補正情報」サブルーチンで用いるBP補正関係のテーブルについて説明する。 【0098】本実施の形態でのBP補正テーブルは、ID-KIND表、BP検索表、中心BP表、BP係数表からなる。 【0099】ID-KIND表は、レンズIDからBP表アドレスとKIND値の情報を入手できるものである。以下の例のようなリストの並んだ表である。 【0100】《ID-KIND表》 [ID] [KIND] [ pointer] 00 NONE ZEPO_BP 01 BP28 BP28_L01 02 FL56 FL56_L02 03 FL_S028 FL_028_L03 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 《ID-KIND表:終り》 ここで、[ID]はレンズID、[KIND]はKIND値、[ pointer]はBP表アドレスを示しており、以下にそれぞれについて詳述する。 【0101】BP情報は、一般にカメラに装着されるレンズの光学的仕様毎に異なるので、カメラはどのような光学的特徴を持つレンズが装着されているかの情報をレンズから受け取る。この情報を、レンズIDと呼ぶ。つまり、レンズIDとは、カメラの交換レンズの識別に用いる値であり、図3では、カメラがレンズ通信バッファ回路LCMを経由して、レンズLNSから受け取る情報であり、このレンズIDによりレンズの光学的仕様が判明する。上記ID-KIND表の例では、IDが「00」から「03」までのレンズを挙げている。」 (2d)「【0124】上記BP補正テーブルからレンズの種類と状態に応じて適切な中心BP補正値とBP係数を求める処理の説明をフローチャートを用いて以下に示す。 【0125】まず、ベストピント補正情報の求め方を図9を用いて説明する。図8のステップ(603)で「ベストピント補正」サブルーチンが呼び出されると、図9のステップ(700)からの処理が実行される。 【0126】ステップ(701)にて、レンズとの通信により判明するレンズIDを得、次のステップ(702)にて、レンズIDとID-KIND表からKIND値を判別する。続くステップ(703)では、KIND値が単一BPかどうかを判別する。単一BPである場合はステップ(705)に、そうでない場合はステップ(710)に進む。 【0127】ステップ(705)では、単一BPで、F2.8 での焦点検出が有効か否かを判別する。有効な場合はステップ(705)→(706)→(707)と進み、F5.6 での焦点検出で用いるBP補正値とF2.8 での焦点検出で用いるBP補正値を取得して焦点検出領域に対応したBP補正値演算をステップ(708)で行う。演算終了後は、ステップ(709)でサブルーチンからリターンする。 【0128】上記ステップ(705)でF2.8 での焦点検出領域が不可能である場合は、ステップ(713)に進み、F5.6 での焦点検出領域で用いるBP補正値を取得して焦点検出領域に対応したBP補正値演算をステップ(708)で行う。演算終了後は、ステップ(709)でサブルーチンからリターンする。 【0129】また、上記ステップ(703)でKIND値が単一BPでない場合にはステップ(710)へ進み、以下の処理を行う。 【0130】この場合はBP補正値を求めるにあたり、レンズID以外の情報として焦点距離,対物距離,敏感度,デフォーカス,焦点距離及び対物距離,焦点距離及び敏感度,焦点距離及びデフォーカス等の値とF2.8 の焦点検出が有効か否かを利用して検索処理を行う。 【0131】ステップ(710)では、KIND値が一段検索かどうかを判別し、一段検索ではない場合はステップ(712)へ進み、二段検索処理を行う。二段検索とは、焦点距離及び対物距離,焦点距離及び敏感度,焦点距離及びデフォーカスでBP補正値を求めることである。ステップ(712)では、焦点距離に応じて次のステップ(711)の一段検索処理で採用する対物距離検索または敏感度検索またはデフォーカス検索の表を切り換え、ステップ(711)へ進む。 【0132】上記ステップ(710)でKIND値が一段検索である場合はステップ(711)に直接進み、一段検索処理を行う。一段検索処理では、焦点距離,対物距離,敏感度,デフォーカスのいずれか一つの情報を検索キーとして、中心BP表から中心BP補正値とBP係数表内の参照アドレスを選択する。 【0133】その後、ステップ(705)へ進み、以下は単一BPの場合と同様にBP係数を取得し、ステップ(708)でBP補正値演算を行い、ステップ(709)に てリターンする。 【0134】以上がステップ(603)での「ベストピント補正」サブルーチンの処理である。」 2.対比 本願発明と、引用文献1記載の発明を対比する。 引用文献1記載の発明の「AFのためのレンズ駆動」は、本願発明の「焦点調節」に相当し、引用文献1記載の発明がそのための制御手段を有することは明らかである。 引用文献1記載の発明の「交換レンズ」は、本願発明の「撮影レンズユニット」に相当する。 本願発明の「制御手段が、撮影レンズユニットを用いて前記焦点調節の制御を行うときに、該焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報を、該焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報を、前記撮影レンズユニットと関連付けて記憶する記憶手段」と、引用文献1記載の発明の「交換レンズに固有の色補正情報(パラメータ)でカラーマッチング用のICC(International Color Consotium)プロファイルを格納しているレンズROM及びカメラボディのROM」とは、ともに、「撮影レンズユニットを用いる場合の補正情報を、前記撮影レンズユニットと関連付けて記憶する記憶手段」である点で共通している。 引用文献1記載の発明の「カメラボディに装着された交換レンズの種類を確認する手段」がレンズの装着の検出及び装着されたレンズの識別を行っていることは明らかであるから、当該手段は、本願発明の「カメラに対する前記撮影レンズユニットの装着を検出し、当該検出された撮影レンズユニットの識別情報を取得する検出手段」に相当する。 引用文献1記載の発明の「レンズROM及びカメラボディ内のROMに、現在装着されている交換レンズに対応するICCプロファイルが格納されているかを判定」することは、本願発明の「検出手段によって識別情報を取得して撮影レンズユニットに関連づけられた補正情報が前記記憶手段に記憶されているか否かの判別を行」うことに相当する。そして、引用文献1記載の発明が、判断結果に応じた制御を行っていることから、「該判断結果に応じた信号を出力して」いることは明らかである。 引用文献1記載の発明の「ICCプロファイルが格納されている場合には、デジタルカメラ(1)で撮影される画像データに対して、装着されている交換レンズの種類に応じたレンズROM内のICCプロファイルまたはカメラボディのROM内のICCプロファイルを、カメラボディ内のRAM(40a)にロードする」ことと、本願発明の「前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときは、該補正情報を前記表示手段に表示させる信号を出力すること」とは、ともに、「前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときは、所定の処理を行う」点で共通する。また、引用文献1記載の発明の「デジタルカメラ」は、本願発明の「カメラ」に相当する。 してみると、両者は、 「焦点調節の制御を行う制御手段と、 撮影レンズユニットを用いる場合の補正情報を、前記撮影レンズユニットと関連付けて記憶する記憶手段と、 前記制御手段からの信号に応じて表示を行う表示手段と、 該カメラに対する前記撮影レンズユニットの装着を検出し、当該検出された撮影レンズユニットの識別情報を取得する検出手段と、を有し、 前記制御手段は、前記検出手段によって識別情報を取得して撮影レンズユニットに関連づけられた補正情報が前記記憶手段に記憶されているか否かの判別を行い、該判別結果に応じた信号を出力するとともに、 前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したときは、所定の処理を行うカメラ。」の点で一致し、以下の各点で相違している。 (相違点1) 撮影レンズユニットを用いる場合の補正情報が、本願発明では「制御手段が、撮影レンズユニットを用いて前記焦点調節の制御を行うときに、該焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報」であるのに対して、引用文献1記載の発明では「交換レンズに固有の色補正情報(パラメータ)でカラーマッチング用のICC(International Color Consotium)プロファイル」である点。 (相違点2) 本願発明では、「制御手段からの信号に応じて表示を行う表示手段」を有し、「判別結果に応じた信号により前記表示手段での表示形態を変更するとともに、前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていると判別したとき」は、所定の処理として「該補正情報を前記表示手段に表示させる」のに対して、引用文献1記載の発明は、そのような表示手段を有していない点。 (相違点3) 本願発明では、識別情報を取得して撮影レンズユニットに関連づけられた補正情報が前記記憶手段に記憶されているか否かの判別を、使用者による前記操作手段の操作に応じて行うのに対して、引用文献1記載の発明は、そのような操作手段を有していない点。 3.判断 (相違点1について) レンズユニットを交換可能なカメラにおいて、焦点調節の制御を行う制御手段が、撮影レンズユニットを用いて前記焦点調節の制御を行うときに、該焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報を、前記撮影レンズユニットと関連付けて記憶しておき、撮影レンズユニットを用いる場合に、当該補正情報を用いることは、引用文献2に記載されている。(以下「引用文献2記載の発明」という。) 引用文献1記載の発明においても、焦点調節に関して、レンズユニット毎に異なる補正が必要であることは、当業者にとっては技術常識であるから、引用文献1記載の発明の補正情報として、引用文献2記載の発明の「焦点調節の制御における演算結果を補正するための補正情報」を採用することに、格別の困難性はない。してみると、相違点1に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。 (相違点2について) 画像を取り扱う装置において、制御手段からの信号に応じて表示を行う表示手段を設けることは、操作の利便性等を考慮して、ごく普通に行われる周知技術であり、その表示内容として、補正情報を表示することも、ごく普通に行われている。引用文献1記載の発明に、当該周知技術を用いることにより、所定の処理として、「該補正情報を前記表示手段に表示させる」構成を付加することは、当業者が容易になし得る事項である。その場合に、判別結果に応じた表示形態に変更表示することは、当業者が、当然、考慮すべき事項である。 (相違点3について) 引用文献1記載の発明及び引用文献2に記載の発明を含む、補正手段を有する各種機器において、補正情報の取得や補正動作をいつ行うかは、精度や使い勝手等の種々の事項を総合的に考慮して、当業者が適宜決定しうる事項である。そして、補正を所定のタイミングで自動的に行うことも、操作手段を設けて当該操作手段の操作に応じて行うようにすることも、ともにごく普通に用いられている周知技術である。 してみると、引用文献1記載の発明に、当該周知技術を適用し、相違点3に係る個性を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。 (作用・効果について) そして、本願発明の作用・効果も、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の発明及び周知技術から当業者が予測しうる範囲のものであって、格別なものではない。 (結論) したがって、本願発明は、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-04-14 |
結審通知日 | 2011-04-19 |
審決日 | 2011-05-09 |
出願番号 | 特願2003-417349(P2003-417349) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
ZB
(G03B)
P 1 8・ 561- ZB (G03B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 雅明 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 橋本 直明 |
発明の名称 | カメラ |
代理人 | 藤元 亮輔 |