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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1239321 |
審判番号 | 不服2008-31130 |
総通号数 | 140 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-12-09 |
確定日 | 2011-07-01 |
事件の表示 | 特願2000-355324「画像表示装置及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月31日出願公開、特開2002-157275〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年11月22日の出願であって、平成20年8月18日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月29日付けで手続補正がなされたが、同年11月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成20年12月9日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年12月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の請求項1に係る発明 本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「複数のページと、これらのページに少なくとも1つ割り当てられる複数の画像とからなる電子アルバムを、ページ単位で表示部に表示する画像表示装置において、 前記表示部に表示されるページを切り替え表示する制御手段であり、自動的にページを切り替える自動ページ送りモードと、マニュアル操作によってページを切り替えるマニュアルモードの2つの表示モードを備えた制御手段を備えており、 前記制御手段は、さらに、前記表示モードにおいて、前記各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を他の画像と識別可能に表示することを特徴とする画像表示装置。」 から、 「複数のページと、これらのページに少なくとも1つ割り当てられる複数の画像とからなる電子アルバムを、ページ単位で表示部に表示する画像表示装置において、 前記表示部に表示されるページを切り替え表示する制御手段であり、自動的にページを切り替える自動ページ送りモードと、マニュアル操作によってページを切り替えるマニュアルモードの2つの表示モードを備えた制御手段を備えており、 前記制御手段は、さらに、前記自動ページ送りモードにおいて、前記各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を、当該画像と同時に表示される他の画像と識別可能に表示することを特徴とする画像表示装置。」 に補正された。 上記補正は、補正前の請求項1における「制御手段」が「各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を他の画像と識別可能に表示する」動作を行う「表示モード」を「自動ページ送りモード」に限定するとともに、「他の画像」を「当該画像と同時に表示される他の画像」に限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された「『マイアルバム 使いかたの本』,J1FW-9020-01,富士通株式会社,1996年8月31日,第1版,pp.53?54,81?87」には、図面とともに次の事項が記載されている。 A.「でき上がったアルバムを見る ここまでで作成できたアルバムを「アルバムショー」の機能を使って鑑賞してみましょう。 操作の手順 1.(アルバムショー)ボタンをクリックします。 ・アルバムの表紙が表示されます。最初に入力したアルバムタイトルが表紙に刻まれていますね。 2.マウスカーソルが右向き矢印になっている状態で、クリックします。 ・1ページと2ページが見開きで表示されます。 3.マウスカーソルを画面の右の方に持っていくと、マウスカーソルが右向き矢印に変わります。この状態で再びクリックします。 ・3ページが表示されます。(4ページは作っていませんので、直前の台紙と同じ台紙だけが表示されます) ・鑑賞が終ったら、次の手順に進みます。」(第53頁第1行?第54頁第1行) B.「アルバムショーの画面で行える操作 次のページに進む/前のページに戻る 画面の右半分(下部のボタン以外の部分)にマウスカーソルを移動すると、マウスカーソルが右向き矢印の形に変わります。この状態でクリックすると、次のページ(見開き)が表示されます。 逆に画面の左半分にマウスカーソルを移動すると、マウスカーソルが左向き矢印の形に変わります。この状態でクリックすると、前のページ(見開き)が表示されます。 ただし、最初のページや最後のべージを表示している場合には、マウスカーソルは×の形となり、前ページ/次ページに移ることはできません。 また、画面下の(次ページ)ボタン、または(前ページ)ボタンをクリックすることでも、次ページまたは前ページに移ることができます。 ・・(中略)・・・ 自動ページめくりを実行する 自動的に次々とページをめくる機能を実行させるときは、(自動めくり)ボタンをクリックします。ページめくりの間隔(待ち時間)は、「演出」の機能で設定します。(「演出」を特に設定していない場合は「1秒」の間隔となります) 自動ページめくりを中断するときは、ボタンをクリックします。」(第83頁第5行?末行) 上記A,Bの記載及び関連する図面を参照すると、引用例には、実質的に、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例記載の発明」という。) 「複数のページと、これらのページに少なくとも1つ割り当てられる複数の画像とからなるアルバムを、ページ単位で画面に表示する画像表示装置において、 前記画面に表示されるページを切り替え表示するにあたり、自動的に次々とページをめくる自動ページめくりモードと、マウスカーソルの操作や、(次ページ)ボタン、(前ページ)ボタンの操作によってページを切り替えるモードの2つの表示モードを備え、(自動めくり)ボタンの操作により上記2つの表示モードが切り替わるようになっている画像表示装置。」 (3)対比 本願補正発明と引用例記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。 (あ)引用例記載の発明における「アルバム」は、画像表示装置の画面に電子的に表示されるものであり、「電子アルバム」といえるものである。 (い)引用例記載の発明における「画面」は、本願補正発明における「表示部」に相当する。 (う)引用例記載の発明における「自動的に次々とページをめくる自動ページめくりモード」及び「マウスカーソルの操作や、(次ページ)ボタン、(前ページ)ボタンの操作によってページを切り替えるモード」は、それぞれ、本願補正発明における「自動的にページを切り替える自動ページ送りモード」及び「マニュアル操作によってページを切り替えるマニュアルモード」に相当する。 そして、引用例記載の発明において、「画面に表示されるページを切り替え表示」したり、「(自動めくり)ボタンの操作により2つの表示モードが切り替わる」ようにしたりするための何らかの制御手段が存在することは、明らかである。 上記(あ)?(う)の事項を踏まえると、本願補正発明と引用例記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。 (一致点) 本願補正発明と引用例記載の発明とは、ともに、 「複数のページと、これらのページに少なくとも1つ割り当てられる複数の画像とからなる電子アルバムを、ページ単位で表示部に表示する画像表示装置において、 前記表示部に表示されるページを切り替え表示する制御手段であり、自動的にページを切り替える自動ページ送りモードと、マニュアル操作によってページを切り替えるマニュアルモードの2つの表示モードを備えた制御手段を備えている画像表示装置。」 である点。 (相違点) 「制御手段」が、本願補正発明においては、「自動ページ送りモードにおいて、各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を、当該画像と同時に表示される他の画像と識別可能に表示する」動作を行うものであるのに対し、引用例記載の発明においては、そのような動作を行うものではない点。 (4)判断 そこで、上記相違点について検討する。 一般に、画像表示装置において、表示する画像に対して文字情報や音声情報からなる付加情報を関連づけるとともに、上記画像を表示する際に上記付加情報を表示又は再生するようにすることは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-145730号公報、原査定の備考欄において参考文献として引用された特開平10-145726号公報及び特開2000-232624号公報等に見られるような周知技術にすぎない。 また、このような周知技術を引用例記載の発明に対して適用することは、「表示モード」が「自動ページ送りモード」及び「マニュアルモード」のどちらの場合であっても可能であるということは、当業者にとって明らかである。 そして、上記特開2000-232624号公報の段落【0004】の「付帯情報の表示には、一般的に以下の2方式がある。第1の方式は、再生した画像に、付帯情報を文字表示でオーバーラップ(スーパーインポーズ)させる方式である(例えば特開平9-331499号公報を参照)。」との記載により従来例として紹介されている特開平9-331499号公報の図4には、一覧表示された複数の画像のうちの一つに対して、関連する付帯情報(付加情報)を文字表示でオーバーラップさせる様子が例示されており、このような表示のさせ方をすれば、表示されている付帯情報(付加情報)に関連する画像が、当該画像と同時に表示される他の画像と識別可能なものとなることは、当業者にとって明らかであるから、「付加情報を表示する際」に、該付加情報に「関連する画像」を、「当該画像と同時に表示される他の画像と識別可能に表示する」ようにすることも、周知技術にすぎないものであったといえる。 ここで、上記特開平9-331499号公報の図4に例示されたものは、「付加情報」として「文字情報」を用いたものであるので、一覧表示された複数の画像の全てに対して「付加情報」が同時にオーバーラップされて表示されるものであっても、どの画像に対してどの「付加情報」が関連づけられているかの識別ができるものであるが、「付加情報」として「音声情報」を用いたものの場合は、全ての「付加情報」を同時に再生したら識別できなくなるのは当然のことであり、そのときには、「付加情報」を時間的にずらして再生し、今現に再生している「付加情報」がどの画像に関連づけられたものかがわかるように当該画像を他の画像と識別できるようにする何らかの視覚的修飾を施すようにすればよいということは、当業者が容易に想到し得ることである。 してみれば、引用例記載の発明に対して上記周知技術を参酌することにより、「自動ページ送りモードにおいて、各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を、当該画像と同時に表示される他の画像と識別可能に表示する」動作を行うようなものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (本願補正発明の作用効果について) そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例記載の発明及び上記周知技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用例記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.補正却下の決定を踏まえた検討 (1)本願発明 平成20年12月9日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年9月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「複数のページと、これらのページに少なくとも1つ割り当てられる複数の画像とからなる電子アルバムを、ページ単位で表示部に表示する画像表示装置において、 前記表示部に表示されるページを切り替え表示する制御手段であり、自動的にページを切り替える自動ページ送りモードと、マニュアル操作によってページを切り替えるマニュアルモードの2つの表示モードを備えた制御手段を備えており、 前記制御手段は、さらに、前記表示モードにおいて、前記各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を他の画像と識別可能に表示することを特徴とする画像表示装置。」 (2)引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「制御手段」が「各画像に関連づけた文字情報や音声情報からなる付加情報を表示又は再生するとともに、この付加情報を表示又は再生する際には、それに関連する画像を他の画像と識別可能に表示する」動作を行う「表示モード」が「自動ページ送りモード」であるとの限定を省くとともに、「他の画像」が「当該画像と同時に表示される他の画像」であるとの限定を省くものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明は、同様に、引用例記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-04-28 |
結審通知日 | 2011-05-02 |
審決日 | 2011-05-16 |
出願番号 | 特願2000-355324(P2000-355324) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 波内 みさ |
特許庁審判長 |
長島 孝志 |
特許庁審判官 |
本郷 彰 岩崎 伸二 |
発明の名称 | 画像表示装置及び記憶媒体 |
代理人 | 小林 和憲 |