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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200520859 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C09C
管理番号 1239664
審判番号 不服2007-30672  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-13 
確定日 2011-07-07 
事件の表示 平成11年特許願第360804号「顔料混合物」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 7月18日出願公開、特開2000-198944〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年12月20日(パリ条約による優先権主張1998年12月23日 欧州特許庁(EP))の出願であって、平成19年4月16日付けで拒絶理由が通知され、平成19年7月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成19年8月13日付けで拒絶査定がされ、平成19年11月13日に拒絶査定不服審判が請求され、平成19年12月12日に手続補正書及び審判請求書の手続補正書が提出され、平成22年4月28日付けで審尋がされたところ、何ら回答がされなかったものである。

第2 平成19年12月12日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成19年12月12日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成19年12月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲である、
「【請求項1】 1種以上の金属、金属酸化物および/または金属硫化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークである成分Aと特殊効果顔料である成分Bの少なくとも2つの成分を含む顔料混合物であって、
成分Bが、1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆されたまたは被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-またはTiO_(2)-フレーク、ガラス小板および/またはセラミック小板を含み、
成分Aと成分Bの混合比が10:1?1:10である
ことを特徴とする顔料混合物。
【請求項2】 成分Aが、TiO_(2)-および/またはFe_(2)O_(3)-被覆Al_(2)O_(3)フレークを含む請求項1に記載の顔料混合物。
【請求項3】 塗料、ワニス、印刷インク、粉末被覆材料、マスターバッチ、プラスチックにおける、種子を着色するための、化粧製剤における、および食物の価値を引き上げるための請求項1の顔料混合物の使用。
【請求項4】 請求項1の顔料混合物を含んでなる製剤。
【請求項5】 請求項1の顔料混合物およびバインダーを含んでなる顔料製剤であって、実質的に溶媒を含まない流動性顆粒の状態であることを特徴とする顔料製剤。」
を、
「【請求項1】 マスターバッチに、プラスチックに、種子の着色のために、化粧品に、あるいは食物の価値向上のために使用される、顔料混合物であって、
該顔料混合物は、少なくとも2つの成分、成分Aと成分Bを含み、かつ、
成分Aと成分Bが比10:1?1:10で混合されており、
該成分Aが、1種以上の金属、金属酸化物および/または金属硫化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークであり、
成分Bが、1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料である
ことを特徴とする顔料混合物。
【請求項2】 成分Aが、TiO_(2)および/またはFe_(2)O_(3)で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークである請求項1に記載の顔料混合物。
【請求項3】 請求項1の顔料混合物を含んでなる製剤。
【請求項4】 請求項1の顔料混合物およびバインダーを含んでなる顔料製剤であって、実質的に溶媒を含まない流動性顆粒の状態であることを特徴とする顔料製剤。」
とする補正を含むものである。

2 補正の適否
補正後の請求項1は、補正前の請求項1の「顔料組成物」を、「マスターバッチに、プラスチックに、種子の着色のために、化粧品に、あるいは食物の価値向上のために使用される、」と限定したものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。また、本件補正後の明細書を「本願補正明細書」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

3 本願補正発明
本願補正発明は次のとおりである。
「マスターバッチに、プラスチックに、種子の着色のために、化粧品に、あるいは食物の価値向上のために使用される、顔料混合物であって、
該顔料混合物は、少なくとも2つの成分、成分Aと成分Bを含み、かつ、
成分Aと成分Bが比10:1?1:10で混合されており、
該成分Aが、1種以上の金属、金属酸化物および/または金属硫化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークであり、
成分Bが、1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料である
ことを特徴とする顔料混合物。」

4 刊行物および刊行物に記載された事項
本願の優先権主張日前に頒布された刊行物1?4は以下のとおりであり、以下の事項が記載されている。
刊行物1:特開平10-183033号公報
(原査定における引用例1)
刊行物2:特開平10-298458号公報
(原査定における引用例3)
刊行物3:特開平9-77512号公報
(原査定における引用例2)
刊行物4:特開平6-145553号公報

(1)刊行物1:特開平10-183033号公報
1a「着色塗料(A)、干渉塗料(B)およびクリヤ塗料(C)を塗装して複層塗膜を形成する方式において、該干渉塗料(B)が、金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末および金属酸化物で被覆された雲母粉末を含有する有機溶剤系塗料であることを特徴とする塗膜形成法。」(特許請求の範囲の請求項1)

1b「これまで、着色塗料(a)、金属酸化物で被覆された雲母粉末またはアルミニウム粉末を含有する塗料(b)およびクリヤ塗料(c)を塗装して複層塗膜を形成することは知られている。しかしながら該塗料(b)において、上記雲母粉末を含有する塗料を使用するとハイライト部分の光輝性が十分でなく、また該雲母粉末とアルミニウム粉末とを併用すると光輝性は向上するが彩度が十分でないという欠陥がある。」(段落【0002】)

1c「本発明は、上記の着色塗料(a)、塗料(b)およびクリヤ塗料(c)からなる複層塗膜における欠陥を解消し、ハイライト部分の光輝性がすぐれ、シェ-ド部分の彩度が高い複層塗膜を形成法することを目的とする。その結果、該塗料(b)に金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末および金属酸化物で被覆された雲母粉末を含有させることにより目的が達成できることを見出し、本発明を完成した。」(段落【0003】)

1d「干渉塗料(B)は着色ベ-ス塗料(A)の(未)硬化塗面に塗装する、金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末(被覆アルミ)および金属酸化物で被覆された雲母粉末(被覆雲母)を含有する有機溶剤系塗料であり、具体的には、樹脂組成物、金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末、金属酸化物で被覆された雲母粉末および有機溶剤を主成分とする液状塗料があげられる。」(段落【0014】)

1e「被覆アルミにおける酸化アルミニウム粉末は酸化アルミニウム(Al_(2) O_(3) )はアルミナとも称され、りん片状であり、その厚さは0.1?1.0μm、特に0.2?0.5μm、長手方向寸法は2?50μm、特に10?30μmであることが好ましい。この酸化アルミニウム粉末の表面を被覆する金属酸化物は二酸化チタン、一酸化鉄または三酸化二鉄が好ましく、その被覆厚さは0.01?1μm、特に0.05?0.5μmが好ましい。該被覆アルミは光輝感を有し、光透過性で、しかも金属酸化物層により干渉作用も示す。」(段落【0016】)

1f「被覆雲母における雲母粉末はりん片状であり、その厚さは0.1?1.0μm、特に0.4?0.8μm、長手方向寸法は2?50μm、特に10?20μmであることが好ましい。また、雲母粉末の表面を被覆する金属酸化物は二酸化チタン、一酸化鉄または三酸化二鉄が好ましく、その被覆厚さは0.01?1μm、特に0.05?0.5μmが好ましい。また、被覆雲母の表面を着色顔料などでさらに被覆しても差支えない。被覆雲母は光輝感を示し、被覆雲母は彩度を現す。」(段落【0017】)

1g「2.干渉塗料(B-1)の調製
水酸基含有アクリル樹脂(水酸基価100、酸価6、数平均分子量13000)75部、ブチルエ-テル化メラミン樹脂(数平均分子量1000)25部、被覆アルミ(注1)6部および被覆雲母(注2)3部を有機溶剤(酢酸エチル/キシレン=1/1 重量比)に混合分散し、固形分含有率25%、粘度13秒/フォ-ドカップ#4/20℃、隠蔽膜厚100μm以上のメタリック塗料(B-1)を得た。」(段落【0027】)

1h「注1:被覆アルミ酸化アルミニウム粉末(Al_(2) O_(3) )の厚さは0.3μm、長手方向寸法は18μmで、この表面を被覆する金属酸化物として二酸化チタンを用い、その被覆厚さは0.4μmである。
注2:被覆雲母雲母粉末(Al_(2) O_(3) )の厚さは0.5μm、長手方向寸法は18μmで、この表面を被覆する金属酸化物として二酸化チタンを用い、その被覆厚さは0.4μmである。」(段落【0028】?【0029】)

(2)刊行物2:特開平10-298458号公報
2a「光輝性顔料としてアルミナフレーク、および粘性制御剤を含有する光輝性顔料含有塗料組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)

2b「本発明で使用される光輝性顔料であるアルミナフレークは、酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したもので、粒度10?30μm、厚み0.3?0.4μmのものである。」(段落【0007】)

2c「併用できる他の光輝性顔料としては、アルミニウム粉あるいは二酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物を被覆したマイカ粉が一般的であるが、その他光輝性を有する偏平顔料を使用しても良い。」(段落【0011】)

(3)刊行物3:特開平9-77512号公報
3a「酸化チタンを含有することを特徴とする薄片状酸化アルミニウム。」(特許請求の範囲の請求項1)

3b「上記薄片状酸化アルミニウム粒子表面に金属酸化物が被覆されたものである真珠光沢顔料。」(同請求項6)

3c「本発明は、アルミニウムとチタンの金属酸化物よりなる新規な薄片状酸化アルミニウムに関する。さらに詳しくは、本発明は、アスペクト比(粒径/厚さ)が大きく、また双晶がほとんどみられず、かつ凝集性の無い酸化チタンを含有する薄片状酸化アルミニウムおよびその製造方法、およびかかる薄片状酸化アルミニウムの表面に金属酸化物を被覆した真珠光沢顔料、さらに薄片状酸化アルミニウムまたは真珠光沢顔料の塗料、プラスチック、インク、化粧料、釉薬の原料としての使用に関する。」(段落【0001】)

(4)刊行物4:特開平6-145553号公報
4a「光沢または効果顔料は技術の多くの分野で、例えば自動車ラッカー、装飾被膜、合成樹脂彩色、印刷、塗装、特に安全色彩ならびに化粧法にますます多く使用されている。
その光学的作用は主として平面的に形成され、調整された金属または光を強く屈折する顔料粒子での指向性の反射に起因する。
それぞれ顔料粒子の種類に従って金属効果顔料(例えばアルミニウム、亜鉛、銅またはそれらの合金)ともまたは真珠光沢顔料(例えば二酸化チタン、被覆雲母をベースとする例えば白雲母、金雲母および黒雲母、タルクまたはガラス)とも云う。」(段落【0003】?【0005】)

4b「本発明による光沢顔料の製造例に記載された雲母ないしはTiO_(2)被覆の雲母顔料」(段落【0057】)

5 対比・判断
(1)刊行物1に記載された発明
刊行物1には、「着色塗料(A)、干渉塗料(B)およびクリヤ塗料(C)を塗装して複層塗膜を形成する方式において、該干渉塗料(B)が、金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末および金属酸化物で被覆された雲母粉末を含有する有機溶剤系塗料であることを特徴とする塗膜形成法。」(摘記1a)について記載されるところ、従来、「着色塗料(a)、金属酸化物で被覆された雲母粉末またはアルミニウム粉末を含有する塗料(b)およびクリヤ塗料(c)を塗装して複層塗膜を形成することは知られている。しかしながら該塗料(b)において、上記雲母粉末を含有する塗料を使用するとハイライト部分の光輝性が十分でなく、また該雲母粉末とアルミニウム粉末とを併用すると光輝性は向上するが彩度が十分でないという欠陥がある。」(摘記1b)という問題があり、これを解決するために、「該塗料(b)に金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末および金属酸化物で被覆された雲母粉末を含有させることにより目的が達成できることを見出し、本発明を完成した。」(摘記1c)と記載されている。
そうすると、刊行物1には、改良された「干渉塗料(B)」についての発明が記載されているといえるところ、この「干渉塗料(B)」は、「金属酸化物で被覆された酸化アルミニウム粉末(被覆アルミ)および金属酸化物で被覆された雲母粉末(被覆雲母)を含有する有機溶剤系塗料」(摘記1d)であり、「被覆アルミ」は、「被覆アルミにおける酸化アルミニウム粉末は酸化アルミニウム(Al_(2) O_(3) )はアルミナとも称され、・・・この酸化アルミニウム粉末の表面を被覆する金属酸化物は二酸化チタン、一酸化鉄または三酸化二鉄が好ましく」(摘記1e)、「被覆雲母」は、「雲母粉末の表面を被覆する金属酸化物は二酸化チタン、一酸化鉄または三酸化二鉄が好まし」い(摘記1f)ものである。
さらに実施例をみるに、「被覆アルミ(注1)6部および被覆雲母(注2)3部」を用いており(摘記1g)、「注1」、「注2」から、「被覆アルミ」は「表面を被覆する金属酸化物として二酸化チタンを用い」、「被覆雲母」は「表面を被覆する金属酸化物として二酸化チタンを用い」たものである(摘記1h)。
すなわち、刊行物1には、「干渉塗料(B)」の発明が記載され、「干渉塗料(B)」は具体的には、「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末」と「二酸化チタンで被覆された雲母粉末」を含有する「粉末混合物」を含んだものといえるから、刊行物1には、
「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末6部および二酸化チタンで被覆された雲母粉末3部の粉末混合物を含有する有機溶剤系塗料である、干渉塗料」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
対比に先立ち、引用発明の「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末」、「二酸化チタンで被覆された雲母粉末」について検討する。
刊行物2には、「光輝性顔料含有塗料組成物」について記載されるところ(摘記2a)、「本発明で使用される光輝性顔料であるアルミナフレークは、酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したもので、粒度10?30μm、厚み0.3?0.4μmのものである。」(摘記2b)と記載され、ここで「粒度10?30μm、厚み0.3?0.4μmのもの」は粉末といえるから、「酸化アルミニウムを二酸化チタン等の金属酸化物で被覆した粉末」は、光輝性顔料である。さらに、刊行物3にも「上記薄片状酸化アルミニウム粒子表面に金属酸化物が被覆されたものである真珠光沢顔料。」と記載されているから(摘記3b)、これらのことからすると、引用発明の「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末」は「顔料」であって、このことは当業者に周知といえる。
また、刊行物2には、「他の光輝性顔料としては、アルミニウム粉あるいは二酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物を被覆したマイカ粉が一般的であるが、」(摘記2c)と記載され、「マイカ粉」とは「雲母粉末」のことであるから、「二酸化チタン等の金属酸化物を被覆した雲母粉末」は、光輝性顔料である。さらに刊行物4にも「顔料粒子の種類に従って金属効果顔料(例えばアルミニウム、亜鉛、銅またはそれらの合金)ともまたは真珠光沢顔料(例えば二酸化チタン、被覆雲母をベースとする例えば白雲母、金雲母および黒雲母、タルクまたはガラス)とも云う。」(摘記4a)、「本発明による光沢顔料の製造例に記載された雲母ないしはTiO_(2)被覆の雲母顔料」(摘記4b)と記載されているから、これらのことからすると、引用発明の「二酸化チタンで被覆された雲母粉末」は「顔料」であって、このことは当業者に周知といえる。
そして、引用発明は、「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末」を6部と、「二酸化チタンで被覆された雲母粉末」を3部含有しているから、2種の粉末が比2:1で混合されているものである。

そこで両者を対比するに、両者ともに、顔料混合物を含むものであるところ、本願補正明細書には、「Al_(2)O_(3)フレークには、1種以上の金属酸化物層が設けられている。適当な金属酸化物または金属酸化物混合物の例は、二酸化チタン」(段落【0015】)と記載されているので、引用発明の「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末顔料」は、本願補正発明の「金属酸化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレーク」、すなわち「成分A」の顔料に相当する。
本願補正発明も引用発明も、少なくとも2つの顔料を含むから、本願補正発明の「成分B」と引用発明の「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」は、ともに、それぞれの顔料混合物における「第二の顔料」といえる。
引用発明は「有機溶剤系塗料である」から「有機溶剤」を含有しているところ、本願補正明細書には、「さらに、本発明の顔料混合物は、有機または無機着色剤、チキソトロピー剤、湿潤剤、分散剤、水、有機溶媒または溶媒混合物、などを含むことができる。」(段落【0021】)と記載されているので、両者ともに「有機溶剤」を含むといえる。
そうすると、両者は、
「顔料混合物であって、
該顔料混合物は、少なくとも2つの成分、成分Aと第二の顔料成分を含み、
成分Aと第二の顔料成分が比10:1?1:10の範囲内で混合されており、
成分Aが金属酸化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークである、有機溶剤を含むこともある、顔料混合物」
である点で一致し、
(i)「第二の顔料成分」が、本願補正発明においては、「1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料」であるのに対し、引用発明においては、「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」である点、
(ii)「顔料混合物」が、本願補正発明においては、「マスターバッチに、プラスチックに、種子の着色のために、化粧品に、あるいは食物の価値向上のために使用される」ものであるのに対し、引用発明においては、顔料混合物を「含有する塗料である、干渉塗料」である点、
で相違する。

(3)判断
ア 相違点(i)について
本願補正発明の実施例をみるに、本願補正明細書には、
「実施例1:プラスチック
ポリスチレン顆粒1kgを、接着剤5gを用いてタンブラーミキサー中において均一に湿潤させる。次に、粒径5?60μmのFe_(2)O_(3)被覆Al_(2)O_(3)フレーク35gおよびIriodin(登録商標)121(ドイツ国Darmstadt在のMerck KGaAから得られる粒径5?20μmのTiO_(2)被覆雲母顔料)7gを添加し、成分を2分間混合する。」(本願補正明細書の段落【0035】)と記載され、これは本願補正発明の実施例であって、成分Aと成分Bを含んでいるものであるから、該実施例の、「粒径5?60μmのFe_(2)O_(3)被覆Al_(2)O_(3)フレーク」が「成分A」であり、「Iriodin(登録商標)121(ドイツ国Darmstadt在のMerck KGaAから得られる粒径5?20μmのTiO_(2)被覆雲母顔料)」が「成分B」であるといえる。
また、実施例2、実施例3の「Timiron(登録商標) Super Blue(Merck KGaAから得られる粒径10?60μmのTiO_(2)-被覆雲母) 」(本願補正明細書の段落【0038】、【0041】)も、同様に「成分B」であるといえる。
すなわち、本願補正発明においても、「第二の顔料成分」として「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」を用いており、これは「1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料」に含まれるものである。
そうすると、引用発明において、「第二の顔料成分」として、「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」を含むところの、「1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料」とすることは、当業者にとって容易である。

イ 相違点(ii)について
一般に、顔料を塗料に配合したり樹脂材料やその他の用途に配合したり、各種用途に使用することは当業者に周知慣用の手段である。
ところで、刊行物3には、「薄片状酸化アルミニウム」に関し記載され(摘記3a、3b)、さらに、「本発明は、・・・、およびかかる薄片状酸化アルミニウムの表面に金属酸化物を被覆した真珠光沢顔料、さらに薄片状酸化アルミニウムまたは真珠光沢顔料の塗料、プラスチック、インク、化粧料、釉薬の原料としての使用に関する。」(摘記3c)と記載され、また、刊行物4には、「光沢または効果顔料は技術の多くの分野で、例えば自動車ラッカー、装飾被膜、合成樹脂彩色、印刷、塗装、特に安全色彩ならびに化粧法にますます多く使用されている。」(摘記4a)と記載されているから、「薄片状酸化アルミニウムまたは真珠光沢顔料」、「光沢または効果顔料」等の顔料を、塗料のみならず、プラスチックや化粧料に使用することは当業者に周知といえる。
そうすると、引用発明において、「塗料である、干渉塗料」に用いる「顔料混合物」を、プラスチックや化粧料を含むところの、「マスターバッチに、プラスチックに、種子の着色のために、化粧品に、あるいは食物の価値向上のために使用される」とすることは、当業者にとって容易である。

ウ 本願補正発明の効果について
本願補正発明の効果は、本願補正明細書の段落【0005】、【0006】、【0026】に記載されているように、高い隠蔽力、新しい着色効果、良好な混合が達成できることといえる。なお、これは、請求人が、平成19年7月25日付け意見書の「[2]本願発明の要旨」において主張するとおりである。
しかしながら、引用発明も、本願補正発明で定義するところの「成分A」と「成分B」を含むものであるから、引用発明においても、本願補正発明と同様の効果を達成するものといえる。さらに、刊行物1に、「混合分散し、・・・、隠蔽膜厚100μm以上のメタリック塗料(B-1)を得た。」(摘記1g)と記載されていることから引用発明も隠蔽性や混合分散性であるといえ、引用発明は「ハイライト部分の光輝性がすぐれ、シェ-ド部分の彩度が高い」(摘記1c)のであるから、当然に新しい着色効果が得られているものといえる。
したがって、本願補正発明の効果は、引用発明においても達成されるものといえ、格別に優れたものであるとはいえない。

エ まとめ
よって、本願補正発明は、本願出願前に頒布された刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)結論
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、その余のことを検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成19年12月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成19年7月25日付けの手続補正により補正された明細書(以下、「本願明細書」という。)の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであり、「請求項1に係る発明」(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「1種以上の金属、金属酸化物および/または金属硫化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークである成分Aと特殊効果顔料である成分Bの少なくとも2つの成分を含む顔料混合物であって、
成分Bが、1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆されたまたは被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-またはTiO_(2)-フレーク、ガラス小板および/またはセラミック小板を含み、
成分Aと成分Bの混合比が10:1?1:10である
ことを特徴とする顔料混合物。」

第4 原査定の理由
原査定の理由の概要は、本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、本願発明は成分Bを含有するのに対し、引用例1記載の金属酸化物で被覆された雲母は該成分bに包含されない点で相違するが、本願明細書には、本願発明の効果得るための成分Bとして金属酸化物で被覆された雲母も例示されており、引用例1記載の発明においても本願発明中の成分Bに相当する顔料を採用することは当業者が容易に想到できることであり、本願発明による効果は引用例1記載の発明による効果と比較して特に顕著なものとは認められない、よって、平成19年4月16日付け拒絶理由通知書に記載した理由2、すなわち、特許法第29条第2項の規定により、本願発明は特許を受けることができない、というものである。

第5 刊行物及び刊行物に記載された事項
原査定で引用された引用例1は、「第2[理由]4」に「刊行物1」として示したものであり、刊行物1に記載された事項は、「第2[理由]4(1)」に示したとおりである。

第6 対比・判断
1 刊行物1に記載された発明
「第2[理由]5(1)」に示したとおりである。(同様に、「引用発明」という。)

2 対比・判断
(1)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、「第2[理由]5(2)」に示したのと同様に、引用発明の「二酸化チタンで被覆された酸化アルミニウム粉末顔料」は、本願発明の「成分A」の顔料に相当し、本願発明の「成分B」と引用発明の「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」は、ともに「第二の顔料」といえ、引用発明も本願発明もともに「有機溶剤」を含むといえるから、両者は、
「金属酸化物で被覆されたAl_(2)O_(3)フレークである成分Aと第二の顔料成分の少なくとも2つの成分を含む顔料混合物であって、
成分Aと第二の顔料成分の混合比が10:1?1:10の範囲内である、
有機溶剤を含むこともある、顔料混合物」
である点で一致し、
(i’)「第二の顔料成分」が、本願発明においては、「1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料」であるのに対し、引用発明においては、「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」である点、
(ii’)「顔料混合物」が、本願発明においては、さらに特定されるものではないのに対し、引用発明においては、顔料混合物を「含有する塗料である、干渉塗料」である点、
で相違する。

(2)判断
ア 相違点(i’)について
相違点(i’)は、「第2[理由]5(2)」の「相違点(i)」と同じであるところ、本願明細書には、「実施例3?5」として、本願補正明細書の「実施例1?3」と実質的に同じ例が記載されているから、「第2[理由]5(3)ア」で判断したのと同様に、本願発明においても、「第二の顔料成分」として「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」を用いている。
そうすると、引用発明において、「第二の顔料成分」として、「二酸化チタンで被覆された雲母粉末顔料」を含むところの「1種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、グラファイト小板、アルミニウム小板、葉状珪酸塩、1種以上の金属酸化物で被覆された又は被覆されていないFe_(2)O_(3)-、SiO_(2)-又はTiO_(2)-フレーク、ガラス小板及び/又はセラミック小板を含む特殊効果顔料」とすることは、当業者にとって容易である。

イ 相違点(ii’)について
一般に、顔料を塗料に配合したり樹脂材料やその他の用途に配合したり、各種用途に使用することは当業者に周知慣用の手段である。
そうすると、引用発明において、「塗料である、干渉塗料」に用いる「顔料混合物」を、塗料のみならず他の用途にも用いることできる「顔料混合物」とすることは、当業者にとって適宜なし得るところである。

ウ 本願発明の効果について
本願発明の効果は、本願補正発明の効果と同じであるから、「第2[理由]5(3)ウ」で判断したとおりである。

3 まとめ
よって、本願発明は、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2011-02-02 
結審通知日 2011-02-08 
審決日 2011-02-21 
出願番号 特願平11-360804
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C09C)
P 1 8・ 121- Z (C09C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 泰之  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 細井 龍史
木村 敏康
発明の名称 顔料混合物  
代理人 石橋 政幸  
代理人 緒方 雅昭  
復代理人 岡 晴子  
代理人 宮崎 昭夫  
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