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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 D06F
管理番号 1239715
審判番号 不服2010-12337  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-08 
確定日 2011-07-07 
事件の表示 特願2007-305923号「洗濯乾燥機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年6月11日出願公開、特開2009-125452号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成19年11月27日の出願であって、平成22年3月1日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年3月9日)、これに対し、同年6月8日に審判請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成22年6月8日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年6月8日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前に「筐体内に設けられ給気口及び排気口を有する水槽と、この水槽内に設けられた回転槽と、圧縮機を弾性的に支持すると共に、この圧縮機、蒸発器及び凝縮器を一体化して構成され、前記筐体に弾性支持状態で配置固定されたヒートポンプユニットとを備え、前記凝縮器で加熱した空気を前記給気口に供給し、前記排気口から吐出させて前記蒸発器により冷却除湿し、再度前記凝縮器で加熱することを繰り返して乾燥を行うようにしたものにおいて、遮音用カバーを、前記ヒートポンプユニットの一部又は全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットと非接触形態に、前記筐体に取付けたことを特徴とする洗濯乾燥機。」とあったものを「筐体内に設けられ給気口及び排気口を有する水槽と、この水槽内に設けられた回転槽と、圧縮機を弾性的に支持すると共に、この圧縮機、蒸発器及び凝縮器を一体化して構成され、前記筐体に弾性支持状態で配置固定されたヒートポンプユニットとを備え、前記凝縮器で加熱した空気を前記給気口に供給し、前記排気口から吐出させて前記蒸発器により冷却除湿し、再度前記凝縮器で加熱することを繰り返して乾燥を行うようにしたものにおいて、遮音用カバーを、前記ヒートポンプユニットの前記圧縮機を含む一部又は前記ヒートポンプユニット全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットに対して非接触形態に、前記筐体に取付けたことを特徴とする洗濯乾燥機。」と補正することを含むものである。
上記補正について検討する。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の遮音用カバーについて、本件補正前に「前記ヒートポンプユニットの一部又は全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットと非接触形態に、前記筐体に取付けた」とあったものを「前記ヒートポンプユニットの前記圧縮機を含む一部又は前記ヒートポンプユニット全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットに対して非接触形態に、前記筐体に取付けた」と限定するものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2.刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-29359号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
a)「【技術分野】
本発明は、洗濯物の乾燥用にヒートポンプを具えたドラム式洗濯乾燥機に関する。」(段落【0001】)
b)「【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものの場合、水槽内の空気を循環させるときの経路が複雑であり、特に水槽から通風路にかけての曲がりが大きくて風路抵抗が高く、その分、循環風量が少なくしか得られずして、ヒートポンプのエバポレータ及びコンデンサでの熱交換効率が悪く、乾燥性能が高く得られないという欠点を有していた。又、水槽に対して通風路並びにヒートポンプのコンプレッサを配置するのに、広いスペースが必要であり、全体の大形化、大重量化を招来するという欠点をも有していた。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、乾燥性能が高く得られると共に、全体のコンパクト化、軽量化ができるドラム式洗濯乾燥機を提供するにある。」(段落【0006】?【0007】)
c)「【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の一実施例(一実施形態)につき、図面を参照して説明する。
まず、図2には、ドラム式洗濯乾燥機の全体構成を示しており、外殻である外箱1の内部に水槽2を配設している。水槽2は円筒状を成しており、それを、その軸方向が前後(図2では左右)となる横軸状で、しかも前上がり(図2では左上がり)の傾斜状を成すように、図1に示す左右一対のサスペンション3によって支持している。又、この水槽2は、前端部に水槽カバー4を装着して有しており、この水槽カバー4は中央部に開口5を有する環状を成している。これに対して、前記外箱1は、図2に示すように、前面部に洗濯物出し入れ用の開口6を有しており、この開口6に上記水槽カバー4の開口5をベローズ7で連ねている。又、外箱1の開口6には、水槽2側とは反対側の前面側で、扉8を開閉可能に設けている。
水槽2には、そのほか、前端部の上部に温風出口9を形成しており、後端部の上部に温風入口10を形成している。従って、それら温風出口9と温風入口10は、水槽2の軸方向に分けて設けられている。更に、水槽2には、底部の最後部に排水口11を形成しており、この排水口11には排水パイプ12を接続している。
水槽2の内部には、ドラム13を配設している。このドラム13も円筒状を成しており、その周側部(胴部)には、ほゞ全域に孔14を形成している(一部のみ図示)。この孔14は、通水孔として機能すると共に、通風孔としても機能するようになっている。又、ドラム13の奥部の中心部周りには、多数の小孔から成る温風導入口15を形成している。更に、ドラム13の奥部の背面には補強部材16を取付け、この補強部材16を介して、ドラム13の奥部の背面の中心部に軸17を取付けている。」(段落【0010】?【0012】)
d)「 以上に対して、前記外箱1の底部は、台板30で構成している。この台板30上には、図3に示すように、複数個の防振ゴム31を介して通風ダクト32を載置し、その各防振ゴム31を貫通した複数個のボルト33と、このボルト33の各突出先端部に螺合した複数個のナット34により、通風ダクト32を台板30に固定しており、このようにして、通風ダクト32を、図2に示すように、前記水槽2のほゞ直下に、水槽2の軸方向と並列に配置している。
通風ダクト32は、詳細には図4に示すように、底板35と、この底板35上に立設した左右両方の側壁36,37、これら両側壁36,37並びに底板35の前端部に装着した前壁38、両側壁36,37並びに底板35の後端部に装着した後壁39、これら前壁38、後壁39、及び両側壁36,37の上端部に装着した上カバー40により、ほゞ四角筒状の風路を囲い形成するようにしたものである。
この通風ダクト32には、前壁38と後壁39との間に、エバポレータ(蒸発器)41と、コンデンサ(凝縮器)42とを配置している。詳細には、エバポレータ41を前壁38側に配置し、コンデンサ42を後壁39側に配置している。」(段落【0018】?【0020】)
e)「ここで、通風ダクト32の底板35は、エバポレータ41の他方の端板45の側方(右側)部に、コンプレッサ配置部52を延出させて有しており、このコンプレッサ配置部52上に、図1及び図2に示すように、コンプレッサ(圧縮機)53を配置することにより、前記水槽2の軸方向と直交する方向の通風ダクト32側方の位置にコンプレッサ53を配置している。
又、この場合、コンプレッサ53は、詳細には図5に示すように、通風ダクト32の底面である上記底板35(コンプレッサ配置部52)上に、鋼板など金属製の補強板54を介して配置している。なお、通風ダクト32の底板35はプラスチック製である。又、図5及び図1、図2には、コンプレッサ53を、図7に示した防音用のカバー55を取除いて示している。更に、図5において、56はコンプレッサ53に付設した液冷媒のためのリザーブタンクを示している。
上記コンプレッサ53は、前記エバポレータ41及びコンデンサ42と共に図6に示すヒートポンプ(冷凍サイクル)57を構成するもので、このヒートポンプ57においては、接続パイプ58によって、コンプレッサ53、コンデンサ42、キャピラリチューブ59、エバポレータ41の順にこれらをサイクル接続しており、この構成で、コンプレッサ53が作動することにより、サイクルに封入した冷媒を循環させるようになっている。」(段落【0024】?【0026】)
f)「これらにより、前記水槽2内から通風ダクト32内に流入した空気は、エバポレータ41で冷却されて除湿され、その後にコンデンサ42で加熱されて温風化される。そして、その温風が接続ホース88、給風ダクト89を経て、温風入口10から水槽2内に戻し供給される。
ドラム13内に戻し供給された温風は洗濯物の水分を奪った後、再び前記温風出口9から還風ダクト83及び接続ホース82を経て通風ダクト32内に流入する。
かくして、エバポレータ41とコンデンサ42を有する通風ダクト32とドラム13との間を空気が循環することにより、ドラム13内の洗濯物が乾燥される。
そして、この乾燥行程中、ドラム13内の洗濯物から散出したリントは、上述の温風出口9から還風ダクト83及び接続ホース82を経る空気に運ばれてフィルタケース64内に至り、このフィルタケース64内でフィルタ67により捕獲される。又、その捕獲されたリントは、運転終了後に、フィルタケース64内からフィルタ67を取出すことによって、フィルタ67から除去することができる。更に、リントを除去したフィルタ67は、その後、フィルタケース64内に戻すことによって、再び、洗濯物から散出したリントを捕獲するようになる。」(段落【0045】?【0047】)
g)「そのほか、通風ダクト32及びコンプレッサ53を、外箱1の底部を構成する台板30上に防振ゴム31を介して配置しており、これによって、前述同様、運転中の振動が通風ダクト32及びコンプレッサ53に伝達されるのを阻止できて、ヒートポンプ57における配管への振動の伝達をも阻止でき、その配管へのダメージを抑えることができるから、該配管ひいてはヒートポンプ57の寿命を長く延ばすことができる。又、コンプレッサ53から外箱1への振動の伝達も防振ゴム31で阻止できて、外箱1の振動及び振動音を少なくすることができる。」(段落【0061】)
h)上記eの記載事項及び【図7】の図示内容によると、コンプレッサ53は、防音用のカバー55で覆われているといえる。

上記a?gの記載事項、上記hの認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる。
「外箱1の内部に配設され、温風入口10と温風出口9とが形成されている水槽2と、
水槽2の内部に配設されたドラム13とを備え、
通風ダクト32には、エバポレータ41と、コンデンサ42とを配置し、 通風ダクト32の底板35から延出されたコンプレッサ配置部52にコンプレッサ53を配置し、通風ダクト32及びコンプレッサ53を、外箱1の底部を構成する台板30上に防振ゴム31を介して配置し、コンプレッサ53は、エバポレータ41及びコンデンサ42と共にヒートポンプ57を構成し、
コンデンサ42で加熱されて温風化される温風が温風入口10から水槽2内に戻し供給され、温風出口9から通風ダクト32内に流入する温風は、エバポレータ41で冷却されて除湿され、通風ダクト32とドラム13との間を空気が循環することにより、ドラム13内の洗濯物が乾燥される乾燥工程が実行され、
ヒートポンプ57のコンプレッサ53を防音用のカバー55で覆い、コンプレッサ53から外箱1への振動の伝達も防振ゴム31で阻止できて、外箱1の振動及び振動音を少なくすることができるドラム式洗濯乾燥機。」

3.対比
本件補正発明と刊行物に記載された発明とを対比する。
刊行物に記載された発明の「外箱1の内部に配設され、温風入口10と温風出口9とが形成されている水槽2」は、その構成及び機能からみて、本件補正発明の「筐体内に設けられ給気口及び排気口を有する水槽」に相当し、以下同様に、
「水槽2の内部に配設されたドラム13」は「水槽内に設けられた回転槽」に、
「コンデンサ42で加熱されて温風化される温風が温風入口10から水槽2内に戻し供給され」ることは「凝縮器で加熱した空気を給気口に供給」することに、
「温風出口9から通風ダクト32内に流入する温風は、エバポレータ41で冷却されて除湿され」ることは「排気口から吐出させて蒸発器により冷却除湿」することに、
「通風ダクト32とドラム13との間を空気が循環することにより、ドラム13内の洗濯物が乾燥される乾燥工程が実行され」ることは、通風ダクト32には、エバポレータ41とコンデンサ42とが配置されていることから、
「再度凝縮器で加熱することを繰り返して乾燥を行うようにした」ことに、
「ドラム式洗濯乾燥機」は「洗濯乾燥機」に、
それぞれ相当する。
そして、刊行物に記載された発明の「通風ダクト32の底板35から延出されたコンプレッサ配置部52にコンプレッサ53を配置し、通風ダクト32及びコンプレッサ53を、外箱1の底部を構成する台板30上に防振ゴム31を介して配置し、コンプレッサ53は、エバポレータ41及びコンデンサ42と共にヒートポンプ57を構成」すること本件補正発明の「圧縮機を弾性的に支持すると共に、この圧縮機、蒸発器及び凝縮器を一体化して構成され、筐体に弾性支持状態で配置固定されたヒートポンプユニットを備える」こととは、「圧縮機、蒸発器及び凝縮器を一体化して構成され、筐体に弾性支持状態で配置固定されたヒートポンプユニットを備え、圧縮機は弾性的に支持され」ることで共通し、同様に、
「ヒートポンプ57のコンプレッサ53を防音用のカバー55で覆う」ことと「ヒートポンプユニットの圧縮機を含む一部又はヒートポンプユニット全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットに対して非接触形態に、筐体に取付けたこと」とは、前者において、防音用のカバー55は何らかの手段により取り付けられていることは明らかであるから、両者は、「ヒートポンプユニットの圧縮機を含む一部を覆うように取付けられたこと」である点で共通する。

したがって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「筐体内に設けられ給気口及び排気口を有する水槽と、この水槽内に設けられた回転槽と、圧縮機、蒸発器及び凝縮器を一体化して構成され、前記筐体に弾性支持状態で配置固定されたヒートポンプユニットとを備え、
前記圧縮機は弾性的に支持され、前記凝縮器で加熱した空気を前記給気口に供給し、前記排気口から吐出させて前記蒸発器により冷却除湿し、再度前記凝縮器で加熱することを繰り返して乾燥を行うようにしたものにおいて、 遮音用カバーを、前記ヒートポンプユニットの前記圧縮機を含む一部を覆うように取付けられた洗濯乾燥機。」

[相違点1]
圧縮機の弾性的な支持が、本件補正発明では、ヒートポンプニットに弾性的に支持されるのに対して、刊行物に記載された発明では、コンプレッサ53を、外箱1の底部を構成する台板30上に防振ゴム31を介して配置する点。

[相違点2]
遮音用カバーの取付けが、本件補正発明では、ヒートポンプユニットに対して非接触形態に、筐体に取付けたのに対して、刊行物に記載された発明では、防音用のカバーをどのように取付けたのか不明である点。

4.当審の判断
上記相違点1及び2について検討する。
圧縮機を含むヒートポンプユニットを具備する装置の技術分野において、圧縮機を含むヒートポンプユニットを筐体に弾性支持することに加えて、圧縮機をヒートポンプユニットに弾性的に支持することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2005-241197号公報の防振材1、2(特に段落【0012】、【図4】)や、実願昭58-8762号(実開昭59-115230号)のマイクロフィルムの防振部材3、5(特に、第2ページ下から第4行?第3ページ第2行、図面)を参照。)。
そして、同じく、圧縮機を含むヒートポンプユニットを具備する装置の技術分野において、遮音用カバーをヒートポンプユニットに対して非接触形態に、筐体に取付けることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、実願平2-27817号(実開平3-118445号)のマイクロフィルムの遮音カバー4を室外機本体1に固定すること(第1図)や、特開2004-143975号公報の防音材7、8が、圧縮機1及びアキュムレータ3に接触しないように支持部材9により、ベース2上に配置されること(特に段落【0014】、【図1】)を参照。)。
さらに、同じく、圧縮機を含むヒートポンプユニットを具備する装置の技術分野において、圧縮機を弾性的に支持することに加えて、遮音用カバーを圧縮機を含むヒートポンプユニットに対して非接触形態に、筐体に取付けることの2つの防音対策を同時に行うことは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開平11-14102号公報の圧縮機10を防振部材11で支持することに加えて、筒状防音蓋12を底板7上に嵌め込むこと(特に段落【0019】、【図2】)や、特開平2-97833号公報の防音効果のために、圧縮機14を弾性的に取り付けることに加えて、防音カバー19を圧縮機14を覆った状態で底板に締結したこと(特に第5図)を参照。)。
そして、上記圧縮機を含むヒートポンプユニットを具備する装置の技術分野に属する防音のための上記周知の技術事項を、同じく、ヒートポンプユニットを具備する技術分野に属する刊行物に記載されたドラム式洗濯乾燥機のコンプレッサ53による外箱1の振動音を少なくするための発明に適用して、コンプレッサ53を外箱1の底部を構成する台板30上に防振ゴム31を介して配置することに換えて、コンプレッサ53をヒートポンプ57に弾性的に支持させるとともに、コンプレッサ53を覆う防音用のカバー55の取付けをヒートポンプ57に対して非接触形態に外箱1に取付けて行うことの2つの防音対策を同時に講じることは、当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明の奏する効果は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項から当業者が予測できた効果の範囲内のものである。
したがって、本件補正発明は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
ゆえに、本件補正発明は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成22年6月8日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年11月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によ
り特定される次のとおりのものである。
「筐体内に設けられ給気口及び排気口を有する水槽と、この水槽内に設けられた回転槽と、圧縮機を弾性的に支持すると共に、この圧縮機、蒸発器及び凝縮器を一体化して構成され、前記筐体に弾性支持状態で配置固定されたヒートポンプユニットとを備え、前記凝縮器で加熱した空気を前記給気口に供給し、前記排気口から吐出させて前記蒸発器により冷却除湿し、再度前記凝縮器で加熱することを繰り返して乾燥を行うようにしたものにおいて、遮音用カバーを、前記ヒートポンプユニットの一部又は全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットと非接触形態に、前記筐体に取付けたことを特徴とする洗濯乾燥機。」

2.刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物、刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明は、前記「第2.[理由]2.刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。

3.対比および判断
本願発明は、前記「第2.[理由]」において検討した本件補正発明における遮音用カバーについて、「前記ヒートポンプユニットの前記圧縮機を含む一部又は前記ヒートポンプユニット全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットに対して非接触形態に、前記筐体に取付けた」とあったものを「前記ヒートポンプユニットの一部又は全体を覆い、且つ該ヒートポンプユニットと非接触形態に、前記筐体に取付けた」こととその限定を省くものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2.[理由]3.対比および4.当審の判断」に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-04-27 
結審通知日 2011-05-10 
審決日 2011-05-23 
出願番号 特願2007-305923(P2007-305923)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (D06F)
P 1 8・ 121- Z (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五十嵐 康弘長馬 望  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 長崎 洋一
青木 良憲
発明の名称 洗濯乾燥機  
代理人 佐藤 強  
代理人 佐藤 強  
代理人 佐藤 強  

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