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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47K
管理番号 1240108
審判番号 不服2010-14696  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-02 
確定日 2011-07-11 
事件の表示 特願2007- 22479「印刷衛生薄葉紙及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月21日出願公開、特開2008-188070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,平成19年1月31日の出願であって,平成22年3月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年7月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされると共に,同時に手続補正がなされ,
その後,同年10月28日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年12月27日付けで回答書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は,請求項の削除を目的とする平成22年7月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであり,そのうち請求項1に係る発明は,次のとおりのものである。
「衛生薄葉紙の表面に、アニロックスロールを用いたフレキソ印刷によって、線数が40?100、網点面積率が15?50%、114mm幅当たりの図柄が占める図柄占有率が10?30%でかつ図柄面積が102mm^(2)?918mm^(2)の少なくとも一つの図柄を有する条件で、水性インキで、所定の図柄を網点印刷したことを特徴とする印刷衛生薄葉紙。」(以下「本願発明」という。)

3 引用刊行物等の記載内容
(1)原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2003-265353号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面と共に,以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】 曲線で構成する連続模様と、スポット模様とを設けていることを特徴とする、衛生薄葉ロール紙。
【請求項2】 前記連続模様および前記スポット模様を表面全体に均等に分散配置していることを特徴とする、請求項1に記載の衛生薄葉ロール紙。」
(1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トイレットペーパー、タオルペーパー、キッチンペーパーなど、柔らかさを要する衛生薄葉紙に関し、特にそのうち、ロール状に巻き付けた衛生薄葉ロール紙に関する。」
(1c)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、そのようにスポット模様として、花柄を分散配置したものでは、多少華やかさや高級感を感じさせるものはあっても、柔らかさを感じさせるデザインは少なかった。また、キャラクターを分散配置したものでは、柔らかさ、華やかさ、高級感のいずれを感じさせるデザインも少なかった。
【0005】他方、連続模様として、縦縞を施したものでは、同様に、柔らかさ、華やかさ、高級感のいずれを感じさせるデザインも少なかった。
【0006】そこで、この発明の目的は、消費者に、柔らかさを感じさせ、華やかさを感じさせ、さらに高級感を感じさせるデザインを有する衛生薄葉ロール紙を提供せんとするものである。」
(1d)「【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。図1には、この発明による衛生薄葉ロール紙の一例としてのトイレットペーパーを示す。
【0018】トイレットペーパー10は、周知のとおり、例えば、幅が114mmで、長さが40000mmであり、長さ224mmごとにミシン目を設けている。・・・」
(1e)「【0020】図2には、図1に示すトイレットペーパー10の表面の一部を拡大して示す。この図2から判るとおり、トイレットペーパー10の表面には、印刷により、連続模様14とスポット模様15とを設けており、それらを表面全体に均等に分散配置している。
【0021】曲線で構成する連続模様14としては、図示例では鎖模様を斜めに交叉して設けており、その組み合わせで例えば図示するようにひし形形状の格子を形成している。格子は、トイレットペーパー10の幅方向に少なくとも1つ備えていることが好ましい。これにより、トイレットペーパー10に、特に柔らかな感じを与えている。
【0022】一方、スポット模様15としては、その鎖模様が交叉する格子の頂点位置にローズの花柄模様を設け、表面に分散して全体に散りばめて施している。これにより、トイレットペーパー10に、特に華やかな感じや高級な感じを与えている。」
(1f)「【0025】なお、トイレットペーパー10は、所定の幅の紙に単位模様を繰り返した印刷を施してから規定幅にカットして形成する。図示例では、その単位模様を施すペーパー表面面積中で、模様の印刷面積が1%?30%となるようにしている。1%以下にすると印刷模様が少なすぎて華やかさに欠け、30%以上にすると模様が多くなりすぎて高級感に欠ける。特に、3%?10%の範囲とすることが、もっとも好ましい。
【0026】図2は、印刷面積が4.1%の場合である。図3には7.8%、図4には16%の各場合の一例をそれぞれ示す。・・・」
(1g)「【0034】請求項2に係る発明によれば、連続模様およびスポット模様を表面全体に均等に分散配置するから、印刷インクを付着した部分を万遍なく分散して衛生薄葉ロール紙の柔らかさを片寄りなく一様とし、衛生薄葉ロール紙を巻き付けるときにしわが生じないようにすることができる。」
(1h)図3には,次の図面が記載されている。



これらの記載事項及び図面の記載によれば,刊行物1には,次の発明が記載されているものと認められる。
「トイレットペーパー等の衛生薄葉ロール紙の表面に,印刷により,連続模様14とスポット模様15とを表面全体に均等に分散配置し,ペーパー表面面積中で,模様の印刷面積が1%?30%となるよう印刷を施した衛生薄葉ロール紙。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

(2)原査定の拒絶の理由において周知例として引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2004-505821号公報(以下,「周知例」という。)には,以下の事項が記載されている。
(2a)「【0041】
基材
本発明は印刷されてもよいあらゆる種類の基材と共に使用してもよい。基材はセルロース系、非セルロース系、又はそれらの組み合わせである材料を包含してもよい。このような基材の実施例は、織地(例:織布、及び不織布等)及び好ましくは使い捨て可能な吸収性紙製品を包含するが、それらに限定されない。使い捨て可能な吸収性紙製品の非限定的な例は、タオル地、フェイシャルティッシュ、トイレットペーパー、テーブルナプキン、皿、拭き取り用品、おむつ、失禁用衣類、綿パッド等を包含する。」
(2b)「【0072】
例えば、図3の印刷機1を参照すると、色濃度の変化が第3印刷ステーション8のインクにより作り出された基材100にとってのみ希望する場合、印刷増進流体は、第2印刷ステーション6の後であるが第3印刷ステーション8の版胴15の前に基材100に付与されなければならないであろう。
【0073】
あるいは、又はそれだけでなく、印刷増進流体は第1印刷ステーション5アニロックスロール4、第2印刷ステーション6アニロックスロール16、第3印刷ステーション8アニロックスロール17、又は第4印刷ステーション9アニロックスロール18の1つ又はそれ以上へ直接付与されてもよい。印刷増進流体はアニロックスロール上に噴霧することができる。あるいは、又はそれだけでなく、印刷増進流体は第1印刷ステーション5印刷流体皿19、第2印刷ステーション6印刷流体皿20、第3印刷ステーション8印刷流体皿21、又は第4印刷ステーション9印刷流体皿22の1つ又はそれ以上へ付与されてもよい。」
(2c)「【0102】
実施例2:インクがフレキソ印刷機を使用して付与され、印刷増進流体がフレキソ印刷によって付与される、本発明の実施形態
当該譲受人によって販売される・・・ペーパータオルが本実施例に使用された。図3に示される4色フレキソ印刷機1の2つの印刷ステーション(即ち、第1印刷ステーション5及び第2印刷ステーション6)が・・ペーパータオルへの印刷に使用された。・・・市販される水ベースのマゼンタインクが本目的に使用された。
【0103】
印刷用の版は当該技術分野において既知であるようなフォトポリマー印刷版であった。第1印刷ステーション5版胴3の印刷版は65ラインスクリーンで20%のドット適用領域を使用した。第2印刷ステーション6版胴23は、5%、10%、15%、25%、75%、及び100%のドット適用領域を全て65ラインスクリーンで使用した。」

4 対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「衛生薄葉ロール紙」は,本願発明の「衛生薄葉紙」に相当し,かつ,印刷を施しているから「印刷衛生薄葉紙」にも相当する。
また,刊行物1記載の発明の「模様」は,本願発明の「所定の図柄」に相当する。
したがって,両者は,
「衛生薄葉紙の表面に,印刷によって,所定の図柄を印刷した印刷衛生薄葉紙。」
の点で一致し,下記の点で相違している。
<相違点>
本願発明は,図柄が,アニロックスロールを用いたフレキソ印刷によって,線数が40?100,網点面積率が15?50%で,水性インキで,網点印刷されたものであり,114mm幅当たりの図柄が占める図柄占有率が10?30%でかつ図柄面積が102mm^(2)?918mm^(2)の少なくとも一つの図柄を有するのに対し,
刊行物1記載の発明は,印刷によって,印刷面積が1%?30%となるように図柄を印刷しているが,印刷手段や,印刷条件,印刷インクは限定されておらず,114mm幅当たりの図柄が占める図柄占有率や,図柄面積は不明である点。

5 判断
上記相違点について検討する。
ア まず,印刷手段について検討すると,ペーパー・タオル,トイレットペーパー等の「衛生薄葉紙」の印刷技術として,アニロックス・ロールを用いたフレキソ印刷によって,水性インキで,所定の図柄を網点印刷することは,上記周知例に示されているように周知技術にすぎず,刊行物1記載の発明において,図柄を,水性インキを用い,アニロックスロールを用いたフレキソ印刷で網点印刷することは,当業者が容易になしうることである。

イ 次に図柄占有率及び図柄面積について検討する。
本願発明において,図柄面積を102mm^(2)?918mm^(2)としたのは,大きな図柄を印刷することで,デザイン性を高めようとするものである。
一方,刊行物1記載の発明は,模様の印刷面積が1%?30%となるようにし,かつスポット模様を印刷することで,華やかさや高級感を感じさせようとするものであり,図2?4には,トイレットペーパーに種々の大きさのスポット模様を印刷した例が記載されており,少なくとも大きいローズの花柄のスポット模様,すなわち「図柄面積が大きい少なくとも一つの図柄」を印刷しようという意図を有しているものである。
そして,図3の模様は,トイレットペーパーの幅114mmの方形の面積における印刷面積が7.8%となるものであるから,トイレットペーパーの幅方向の模様の割合は平均して約27%であり,スポット模様が設けられている部分における幅114mm当たりのスポット模様の図柄占有率は10?30%の範囲にあると認められ,刊行物1には,図柄占有率を10?30%の範囲とすることが実質的に示されている。
ところで,本願発明の図柄面積102mm^(2)?918mm^(2)は,図柄が円であるとすると,直径約12mm?34mm程度の大きさとなる。
本願発明の図柄面積は,図柄全体の面積から,直径4mmの円が入る隙間を減算したものであるところ,刊行物1の図2のスポット模様は,多数の花びら様の図柄からなり,多数の隙間が形成されているものであるが,華やかさや高級感を感じさせようとするものであるから,隙間を除いた花びら様の図柄の総面積を広くしようとすることは容易に想到しうることであり,図柄面積を102mm^(2)?918mm^(2)の範囲とすることは適宜なしうることである。

ウ さらに,印刷条件と図柄占有率及び図柄面積の組あわせについて検討する。
上記周知例には,フレキソ印刷の実施形態として,65ラインスクリーンで15%,20%,25%,75%及び100%のドット適用範囲(本願発明の「網点面積率」に相当。)で印刷することが記載されており,また,精密な図柄を印刷する場合に線数を多くすることも普通に行われていることであって,衛生薄葉紙の印刷において,線数が40?100,網点面積率が15?100%の範囲で網点印刷することは,従来周知の技術である。
本願発明は,図柄占有率が10?30%でかつ図柄面積が102mm^(2)?918mm^(2)となるような大きな図柄の印刷においても,紙粉の巻き込みや混入に伴う柄のつぶれを防止し,見栄えや際だちがよくヨレやシワの発生しない印刷条件として,線数が40?100,網点面積率が15?50%の範囲で網点印刷したものと認められる。
しかし,明細書の実験例2の結果をみると,実験例1で最適とされた印刷条件であっても,水性インキの物性を変えると,ヨレやシワの発生するもの,評価の低いものがあり,線数及び網点面積率の数値限定に臨界的意義があるとは認めらない。
また,紙粉の発生は,紙の材料や表面の凹凸等の紙質によっても異なると認められるところ,本願発明は,紙質について何ら限定されておらず,トイレットペーパー,キッチンペーパー,タオルペーパー,ナプキン等により紙質が異なるから,図柄占有率が10?30%でかつ図柄面積が102mm^(2)?918mm^(2)となるような大きな図柄の印刷において,特に線数が40?100,網点面積率が15?50%でフレキソ印刷することに格別の技術的意義があるとも認められない。
そして,大きな図柄(スポット模様)を印刷しようとする刊行物1記載の発明においても,図柄を鮮明に,かつシワやヨレを防止して印刷しようとすることは当然の課題であり,上記周知の印刷条件の中から,水性インキや紙質に応じて,最適な印刷条件を採用し,線数40?100,網点面積率15?50%とすることは,当業者が適宜なしうることである。

そして,本願発明全体の効果は,刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができない。
したがって,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-10 
結審通知日 2011-05-13 
審決日 2011-05-25 
出願番号 特願2007-22479(P2007-22479)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 昌哉鈴木 秀幹  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
仁科 雅弘
発明の名称 印刷衛生薄葉紙及びその製造方法  
代理人 永井 義久  
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