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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41N
管理番号 1240246
審判番号 不服2009-6913  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-02 
確定日 2011-07-14 
事件の表示 特願2004- 47459「回路基板接続体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月11日出願公開、特開2004-314601〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年2月24日(優先権主張 平成15年3月31日)の出願であって、平成20年9月5日付け拒絶理由通知に対して、同年11月10日に手続補正がなされたが、平成21年2月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月2日に拒絶査定不服審判が請求され、同年4月28日に手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成22年11月19日付けで拒絶の理由を通知したところ、平成23年1月31日に手続補正がなされ、さらに、同年2月7日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年4月11日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成23年4月11日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
リード部材(6)を介して回路基板(2)を、該回路基板(2)上にはない他の回路部材に接続した回路基板接続体の製造方法において、
前記リード部材(6)の先端部を接続するための電極(21)が所定パターンに形成された前記回路基板(2)上にメタルマスクを設置し、該メタルマスク(1)の上面に沿って印刷用スキージを移動させることにより、無鉛ソルダペースト(30)を前記電極(21)の表面に印刷する工程を備え、
前記メタルマスク(1)には、前記電極(21)の位置と対応する位置に、前記リード部材(6)が前記電極(21)から他の回路部材に向けて引き出される方向に並ぶ2つの開口(11a、11b)が形成され、これら2つの開口(11a、11b)の形状は、それぞれ前記リード部材(6)の引き出し方向に短軸を有する楕円形であって、
該2つの開口(11a、11b)は、前記リード部材(6)の引き出し方向に対して直交する方向の両端部が、前記回路基板(21)上の前記電極(21)からはみ出す大きさに形成され、
該2つの開口(11a、11b)の内、該2つの開口(11a、11b)により印刷形成される前記無鉛ソルダペースト(30)に跨るように載せられる前記リード部材(6)の先端側に位置する第1開口(11a)の面積は、他方の第2開口(11b)の面積より1/3?2/3と小さく設定され、
該第2開口(11b)は、前記リード部材(6)の引き出し方向の一端部が、前記回路基板(2)上の前記電極(21)から該方向にはみ出す大きさに形成され、
且つ、前記第1開口(11a)は、前記リード部材(6)の引き出しと反対方向の一端部が、前記回路基板(2)上の前記電極(21)から該方向にはみ出さないように形成され、
前記メタルマスクを用いることによって、前記電極(21)上に、前記リード部材(6)が該電極(21)から他の回路部材に向けて引き出される方向に並ぶ2つの無鉛ソルダペーストパターン(30a、30a)を印刷することを特徴とする回路基板接続体の製造方法。」(下線は審決で付した。以下同じ。)

第3 引用文献に記載の事項
当審拒絶理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2000-114700号公報(以下「引用文献1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。

1 「【特許請求の範囲】
【請求項1】基板のパターン上面にハンダペーストを塗布し、同ハンダペーストの上面に被接着物を載置し、リフロー炉によりハンダペーストを溶融させて、基板に被接着物をハンダ付けするリフローハンダ付け方法において、
上記パターンと被接着物とのハンダ付け部を、それぞれ二股状に形成することを特徴とするリフローハンダ付け方法。」

2 「【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は次の通りである。
【0006】大判基板に破断用切欠部を形成して、後述するハンダ付け後に分離できる複数の基板と捨て基板とを形成し、基板側に、被接着物としての金属片をハンダ付けするためのランド部を二股状としたパターンを形成すると共に、金属片の一端部を二股状に形成して、上記ランド部にハンダ付け部を載置した際に、これらが正確に符合するようにしている。
【0007】そして、上記ランド部上面にハンダペーストを塗布し、同ハンダペーストの上面に金属片のハンダ付け部分を載置し、金属片の他端部を捨て基板で下方から支持させておき、基板を水平に保持してリフロー炉に挿入し、加熱によりリフローハンダ付けを行う。
【0008】かかるリフローハンダ付け中に、ランド部と金属片との間に介在したハンダペーストが溶融し、この溶融ハンダの表面張力により、金属片の位置と姿勢とを正規の状態に矯正させ、その後、リフロー炉から取出して冷却し、溶融ハンダを凝固させて、基板の正規の位置に金属片を固定するようにしている。
【0009】特に、基板側のランド部と、金属片のハンダ付け部とを二股状に形成しているので、上記表面張力が有効に作用して、強力に金属片の位置及び姿勢を矯正することができる。
【0010】このようにしてハンダ付けされた基板を大判の基板から分離し、金属片を所定の形状に屈曲成形して製品とする。」

3 「【0011】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0012】まず、本発明によるリフローハンダ付けの対象としての基板1と、被接着物としての金属片2とについて説明する。
【0013】図1?図4は第1実施例を示しており、大判の基板3に破断用切欠部4を形成して、後述するリフローハンダ付け工程の後で、複数の基板1と捨て基板6とに分離できるようにしている。上記破断用切欠部4は、基板1の外周をほぼ囲繞しており、少数の接続部5を介して基板1と捨て基板6とを接続している。
【0014】各基板1には、それぞれパターン7が形成されており、同パターン7には、図2で示すように、金属片2をハンダ付けするためのランド部8を形成しており、同ランド部8は、パターン7の側端縁から2本の細長い略矩形状の延出部9,9 を平行に延出させて二股状に形成されている。
【0015】金属片2は、打ち抜き等の手段で、細長い略短冊状に形成されており、同金属片2の一端から2本の細長い矩形状の突出部10,10 を、同金属片2の長手方向と平行に平行に延出させて、二股状のハンダ付け部11を形成し、同ハンダ付け部11を前記ランド部8上に載置した際に、これらが正確に符合するようにしている。
【0016】そして、リフローハンダ付け作業に際し、基板1のランド部8の上面に、シルクスクリーン等の手段を用いてハンダペースト12を塗布し、同ハンダペースト12の上面に金属片2のハンダ付け部11を、可及的正確な位置及び姿勢で載置し、同金属片2の他端部を、捨て基板6の上面で下方から支持して金属片2を安定させておき、このようにした大判の基板3を、水平に保持してリフロー炉(図示せず)に挿入・加熱して、ハンダペースト12を溶融させる。
【0017】このようにして発生した溶融ハンダ13は、図3及び図4で示すように、ランド部8とハンダ付け部11との接合面だけを濡らすと同時に、ランド部8とハンダ付け部11との間から外部に露出した溶融ハンダ13と空気との界面に表面張力が発生する。
【0018】かかる表面張力は、上記界面の全ての部分において、同界面に沿って等方的にに作用するので、同界面の面積を極小にすべく作用し、上記界面の面積が極小になる金属片2の位置及び姿勢、即ち、重合したランド部8とハンダ付け部11とが正確に符合した正規の位置及び姿勢に金属片2の位置及び姿勢を収束させる作用、所謂、セルフアライメント作用が発生して、リフロー炉に挿入する際に生じた金属片2のずれを矯正することができる。
【0019】特に、ランド部8とハンダ付け部11とを二股状に形成して、上記溶融ハンダ13の空気との界面を増大した本発明では、金属片2を正規の位置に移動させるのに十分なセルフアライメント作用を得ることができる。即ち、ランド部8とハンダ付け部11の長手方向の側端縁の長さが、二股状に形成していない場合に比べて約2倍に増大しているので、セルフアライメント作用が強力に行われることになる。
【0020】このように、正規の位置及び姿勢に矯正された金属片2を載置した基板1は、リフロー炉から取出されて冷却し、溶融ハンダ13が凝固してリフローハンダ付け作業が終了するのであるが、溶融ハンダ13が凝固するまでは、表面張力によるセルフアライメント作用が継続するので、金属片2は正規の位置及び姿勢に矯正した状態で固定されることになる。
【0021】その後、接続部5を切断して、大判の基板3を金属片2付きの基板1と捨て基板6とに分離し、基板1側の金属片2を所定の形状に折曲加工して製品とするのであるが、前述したように、金属片2が基板1の正規の位置に、正規の姿勢でハンダ付けされているので、不良品の発生が効果的に抑制され、リフローハンダ付け作業における歩留まりを向上することができる。
【0022】また、基板1側のランド部8と金属片2側のハンダ付け部11とを二股状に加工するだけで、従来のリフロー炉やコンベア等のリフローハンダ付け設備をそのまま使用できるので、新たな設備投資を要しないという利点がある。
【0023】なお、ランド部とハンダ付け部とを二股状に形成していない場合にも、溶融ハンダの表面張力によって、セルフアライメント作用が発生するが、ランド部とハンダ付け部の外周縁の長さが小さいため、金属片を正規の位置に矯正するのに十分なセルフアライメント作用を得ることができない。
【0024】図5は第2実施例を示しており、ハンダ付け部21とランド部28とをそれぞれ三つ股状に形成して、溶融ハンダ13の空気との界面を増大することにより、セルフアライメント作用の強化をはかっている。
【0025】図6は第3実施例を示しており、ハンダ付け部31とランド部38とをそれぞれ略エ字形状に形成して、溶融ハンダ13の空気との界面を前記よりも増大して、セルフアライメント作用の強化をはかっている。」

4 図6から、略エ字形状のランド部38は、パターン7の側端縁に形成され、金属片2の引き出し方向に並ぶように、金属片2の先端側に位置する領域(図6では下側の領域。以下「第1の領域」という。)と金属片2の引き出し方向側に位置する領域(図6では上側の領域。以下「第2の領域」という。)とを備えていることが、看取される。

5 上記記載から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「金属片付き基板の製造方法において、
基板に形成されたパターンの側端縁に略エ字形状のランド部を形成し、
ランド部は、金属片の引き出し方向に並ぶように、金属片の先端側に位置する第1の領域と金属片の引き出し方向側に位置する第2の領域とを備え、
該基板のランド部上面に、シルクスクリーンを用いてハンダペーストを塗布し、同ハンダペーストの上面に略エ字形状に形成された金属片のハンダ付け部を載置し、金属片の他端部を捨て基板で下方から支持させておき、基板を水平に保持してリフロー炉に挿入し、加熱によりリフローハンダ付けを行う、金属片付き基板の製造方法。」

第4 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「金属片」は本願発明の「リード部材」に相当し、同様に、
「ランド部」、「第1の領域」及び「第2の領域」は「リード部材の先端部を接続するための電極」に、
「『シルクスクリーン』で『塗布』」は「印刷」に、それぞれ、相当する。

(2)引用発明の「ハンダペースト」と本願発明の「無鉛ソルダペースト」とは、「ハンダペースト」という点で共通する。

(3)引用発明の「シルクスクリーン」と本願発明の「メタルマスク」とは、「マスク」という点で共通する。

(4)また、引用発明は「基板のランド部上面に、シルクスクリーンを用いてハンダペーストを塗布」することから、「基板上にシルクスクリーンを設置し、シルクスクリーンの上面に沿って印刷用スキージを移動させることにより、ハンダペーストをランド部の表面に印刷する工程」を備えていることは、当業者にとって明らかである。

(5)さらに、引用発明の「金属片」が他の部材に接続するためのものであることは、当業者にとって明らかである。
してみれば、引用発明の「金属片付き基板の製造方法」と、
本願発明の「リード部材(6)を介して回路基板(2)を、該回路基板(2)上にはない他の回路部材に接続した回路基板接続体の製造方法」とは、
「リード部材を介して基板を、該基板上にはない他の部材に接続した基板接続体の製造方法」という点で共通する。

(6)してみると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「リード部材を介して基板を、該基板上にはない他の部材に接続した基板接続体の製造方法において、
前記リード部材の先端部を接続するための電極が所定パターンに形成された前記基板上にマスクを設置し、該マスクの上面に沿って印刷用スキージを移動させることにより、ハンダペーストを前記電極の表面に印刷する工程を備え、
前記マスクを用いることによって、前記電極上に、ハンダペーストを印刷する、基板接続体の製造方法。」

(7)一方で、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
「基板」及び「他の部材」に関し
本願発明が「回路基板」と特定されるものであるのに対して、引用発明では「回路基板」であるか否か明確でない点。

<相違点2>
「ハンダペースト」に関し
本願発明が「無鉛ソルダペースト」と特定されるものであるのに対して、引用発明では上記特定を有していない点。

<相違点3>
「マスク」に関して
本願発明では「メタルマスク」であって、
かつ「前記メタルマスク(1)には、前記電極(21)の位置と対応する位置に、前記リード部材(6)が前記電極(21)から他の回路部材に向けて引き出される方向に並ぶ2つの開口(11a、11b)が形成され、これら2つの開口(11a、11b)の形状は、それぞれ前記リード部材(6)の引き出し方向に短軸を有する楕円形であって、
該2つの開口(11a、11b)は、前記リード部材(6)の引き出し方向に対して直交する方向の両端部が、前記回路基板(21)上の前記電極(21)からはみ出す大きさに形成され、
該2つの開口(11a、11b)の内、該2つの開口(11a、11b)により印刷形成される前記無鉛ソルダペースト(30)に跨るように載せられる前記リード部材(6)の先端側に位置する第1開口(11a)の面積は、他方の第2開口(11b)の面積より1/3?2/3と小さく設定され、
該第2開口(11b)は、前記リード部材(6)の引き出し方向の一端部が、前記回路基板(2)上の前記電極(21)から該方向にはみ出す大きさに形成され、
且つ、前記第1開口(11a)は、前記リード部材(6)の引き出しと反対方向の一端部が、前記回路基板(2)上の前記電極(21)から該方向にはみ出さないように形成され、
前記メタルマスクを用いることによって、前記電極(21)上に、前記リード部材(6)が該電極(21)から他の回路部材に向けて引き出される方向に並ぶ2つの無鉛ソルダペーストパターン(30a、30a)を印刷する」と特定されるものであるのに対して、引用発明では上記特定を有していない点。

2 判断
(1)上記<相違点1>について検討する。
ア リフローハンダ付けの方法により「金属片付き回路基板」を製造すること及び金属片の接続先を「回路基板」とすることは、当業者が適宜なし得た設計事項である(例えば、特開平10-56257号公報の【特許請求の範囲】及び【0031】、特開平10-209597号公報の【特許請求の範囲】、特開平11-154780号公報の【0002】及び図8、特開2000-49434号公報の【0024】及び図1を参照。以下「周知技術1」という。)。

イ 上記アのようにした引用発明は、上記<相違点1>に係る本願発明の構成を備えることになる。

ウ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。

(2)上記<相違点2>について検討する。
ア ハンダ付け用の「無鉛ソルダペースト」は、本願の優先日前に周知である(例えば、特開2002-283097号公報の【0003】ないし【0004】、特開2001-138089号公報の【0001】、特開平11-138292号公報の【0001】を参照。以下「周知技術2」という。)。

イ してみれば、引用発明の「ハンダペースト」を「無鉛ソルダペースト」とすることは、当業者が適宜なし得た設計事項である。

ウ 上記イのようにした引用発明は、上記<相違点2>に係る本願発明の構成を備えることになる。

エ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術2に基づいて適宜なし得たことである。

(3)上記<相違点3>について検討する。
ア 楕円開口部を複数有するメタルマスクは、本願の優先日前に周知である(例えば、特開平8-78832号公報の図10、実願昭63-137910号(実開平2-59963号)のマイクロフィルムの第2a図を参照。以下「周知技術3」という。)。

イ また、基板にリード部材等をハンダ付けする際に、リード部材の先端と反対側の箇所に塗布するハンダ量や接触面積を大きくすることで接合強度を増大させることは、本願の優先日前に周知である(例えば、特開2001-352160号公報の【0031】及び図3、特開2000-114680号公報の【0035】ないし【0041】及び図4、特開平4-130760号公報の第3頁左上欄第9ないし15行及び第1図を参照。以下「周知技術4」という。)。

ウ してみれば、引用発明において、マスクとして、「第1の領域に対応する楕円開口部」及び「第2の領域に対応する楕円開口部」を備えたメタルマスクを採用することは、当業者が容易に着想し得たことである。

エ その際、「第1の領域に対応する楕円開口部」の短軸方向の大きさを、ハンダペーストが電極(パターン)を超えて基板側にはみ出し、予定しない部分と短絡しないように電極からはみ出さない大きさにするとともに、「第2の領域に対応する楕円開口部」の短軸方向の大きさを、接合強度を増大させるために、電極からはみ出すようになすことは、適宜なし得た設計事項である。
また、楕円開口部の長軸方向の大きさについては、隣接する電極との短絡の心配もないことから、設計誤差等を考慮して、電極からはみ出す大きさとすることも、適宜なし得た設計事項である。

オ 上記ウ及びエより、引用発明において採用する「メタルマスク」は、「電極(第1の領域及び第2の領域)の位置と対応する位置に、リード部材(金属片)が引き出される方向に並ぶ2つの開口が形成され、これら2つの開口の形状は、それぞれリード部材(金属片)の引き出し方向に短軸を有する楕円形であって、
該2つの開口は、リード部材(金属片)の引き出し方向に対して直交する方向の両端部が、回路基板上の電極(第1の領域及び第2の領域)からはみ出す大きさに形成され、
リード部材の先端側に位置する一方の開口の面積は、他方の開口の面積より小さく設定され、
他方の開口は、リード部材(金属片)の引き出し方向の一端部が、回路基板上の電極(第2の領域)から該方向にはみ出す大きさに形成され、
且つ、一方の開口は、リード部材(金属片)の引き出しと反対方向の一端部が、回路基板上の電極(第1の領域)から該方向にはみ出さないように形成され」ていることになる。

カ ところで、本願明細書には「第1開口(11a)と第2開口(11b)の面積比」について、以下の事項が記載されている。
「【0025】
又、第1開口(11a)と第2開口(11b)の面積比、即ちこれらの開口によって形成される無鉛ソルダペーストの第1印刷部と第2印刷部の面積比は1:1.5?1:3の範囲に設定することが望ましく、この範囲を越えて第1印刷部の面積が大きい場合、第1印刷部の面積と第2印刷部との差が小さくなり、外部からの圧力に対して接続強度を向上させる効果が十分に得られない。又この範囲を越えて第2印刷部の面積が大きい場合、印刷用スキージにより無鉛ソルダペーストを回路基板に塗布する工程において第2開口(11b)の面積が大きいために無鉛ソルダペーストを均一に塗布することが出来ず、結果的に接続強度が低下する。」

上記記載から、「1:1.5?1:3」には臨界的な技術的意義は認められない。

キ 上記カより、上記オの「メタルマスク」において、「一方の開口の面積」と「他方の開口の面積」の比は、接続強度を勘案して、当業者が適宜設定し得たことである。

ク そして、引用発明において、上記オの「メタルマスク」を用いることは、「電極上に、前記リード部材が該電極から他の部材に向けて引き出される方向に並ぶ2つのハンダペーストパターンを印刷する」ことになる。

ケ 以上のことから、 引用発明において、上記<相違点3>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術3及び周知技術4に基づいて適宜なし得たことである。

(4)また、本願発明の奏する効果も、当業者が引用発明及び周知技術1ないし4から予測し得る範囲内のものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-11 
結審通知日 2011-05-17 
審決日 2011-05-30 
出願番号 特願2004-47459(P2004-47459)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 東 裕子  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 星野 浩一
桐畑 幸▲廣▼
発明の名称 回路基板接続体の製造方法  
代理人 ▲角▼谷 浩  
代理人 ▲角▼谷 浩  

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