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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01G
管理番号 1240259
審判番号 不服2009-19026  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-06 
確定日 2011-07-14 
事件の表示 特願2008- 28049「緑化装置の培地に植物を定植する方法及びその緑化装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 8月20日出願公開、特開2009-183232〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成20年2月7日にされた出願であって,平成21年7月1日付けで拒絶査定がなされ,同年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
これに対し,当審において,平成22年10月20日付けで拒絶理由を通知したところ,同年12月21日付けで意見書及び手続補正書が提出され,当審において,さらに,平成23年1月25日付けで最後の拒絶理由を通知したところ,平成23年4月4日付けで,意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成23年4月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成23年4月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容,補正後の本願発明
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1を次のとおりに補正しようとする補正事項を含むものである。
「屋根部と、この屋根部を支持する支柱とを有すると共に、前記屋根部の全面を覆うように金網又はネットである繁茂ネットが設けられた繁茂フレームを備え、水耕栽培された植物が前記繁茂フレームに沿って延伸して葉を繁茂させることで緑化を行う緑化装置の培地に植物を定植する方法であって、
透水性を有する材料からなる鉢内に植え込んで、あらかじめ水耕育苗させた植物を、前記鉢に植え込んだまま、前記培地内に定植することを特徴とする緑化装置の培地に植物を定植する方法。」

上記補正事項は、補正前の請求項1に係る発明を特定する「繁茂フレーム」を「屋根部と、この屋根部を支持する支柱とを有すると共に、前記屋根部の全面を覆うように金網又はネットである繁茂ネットが設けられた」ものに限定しようとするものであるから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
そこで,上記の本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて,以下で検討する。

2 引用刊行物
刊行物1:特開2006-20542号公報
刊行物2:特開平7-308125号公報
刊行物3:特許第2824831号公報

(1)刊行物1
当審における拒絶理由で引用され,本願出願前に頒布された上記刊行物1には,以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】
建物の上に複数の支柱(1)を立て、これらの支柱(1)間に複数の骨組材(2)を架け渡し、これらの骨組材(2)を支持部材として植生(3)を繁茂させてなる屋上の緑化方法において、前記骨組材(2)の少なくとも1つは、長軸線に沿った開口(21)が上面に切り欠かれてなる管体(20)を備え、該管体(20)の内部に植生(3)の栽培地としての根部保持材(23)を収納せしめて前記植生(3)を繁茂させることを特徴とする屋上の緑化方法。
・・・
【請求項5】
前記根部保持材(23)の端部から液体が供給される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の屋上の緑化方法。
【請求項6】
前記管体(20)に前記液体を循環せしめるように、前記管体の一端と他端とがポンプ(32)を介して連絡せしめられた請求項5に記載の屋上の緑化方法。
【請求項7】
前記植生(3)がつる科植物である請求項1に記載の屋上の緑化方法。
【請求項8】
建物の上に立てられた複数の支柱(1)と、これらの支柱(1)間に架け渡された複数の骨組材(2)と、これらの骨組材(2)を支持部材として繁茂せしめた植生(3)とからなる屋上の緑化装置であって、前記骨組材(2)の少なくとも1つは、長軸線に沿った開口(21)が上面に切り欠かれてなる管体(20)を備え、さらに、植生(3)の栽培地として、該管体(20)の内部に収納された根部保持材(23)を備えて前記植生(3)を繁茂せしめるようにしたことを特徴とする屋上の緑化装置。
・・・
【請求項12】
前記根部保持材(23)の端部に液体を供給する手段を備えてなる、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の屋上の緑化装置。
【請求項13】
前記管体(20)に前記液体を循環せしめるように、前記管体の一端と他端とがポンプ(32)を介して連絡せしめられた請求項12に記載の屋上の緑化装置。
【請求項14】
前記植生(3)がつる科植物である請求項8に記載の屋上の緑化装置。」(【請求項1】?【請求項14】)

(1b)「 本発明は、長軸線に沿った開口が上面に切り欠かれてなる管体の内部に植生の培養地としてゼオライト成形体などの根部保持材を配置し、この管体を、建物の上に設けられた支柱に架け渡して屋上や屋根の上方に設けることとしたので、たとえば、屋上に設置された諸設備および通路などの存在に制限されることなしに、屋上の任意の箇所または全面の緑化が可能となる。また、植生は上記管体の根部保持材に根を降ろして繁茂するため、屋上の床面にプランターを置く必要が無く、屋上のスペースを狭めることも無い。また、植生への潅水、施肥などの管理が容易となり、さらに潅水などによる屋内への漏水の危険性がない。」(段落【0012】)

(1c)「 本発明の屋上の緑化方法および装置は、基本的に、建物の屋上や屋根の上に複数の支柱を立て、これらの支柱間に複数の骨組材を架け渡し、これらの骨組材を支持部材として植生を繁茂させてなるものである。支柱は、建物の屋上に堅固に設置でき、その上方に骨組材を架け渡して支持し得るに十分な強度を有するものであれば、特に制限はない。骨組材は、植生の支持部材として機能し、十分な耐久性を有するものであれば、特に制限はない。骨組材は、支柱の間に縦横に架け渡すことができ、通常は格子状または棚状に設置される。支柱および骨組材は、使用される環境下において腐食しにくいことが好ましく、通常は、木製、合成樹脂製またはアルミニウムやステンレス製などの錆びにくい金属製の棒体または管体が好適に使用される。骨組材は、植生の支持部材として機能するだけでなく,必要により開口部を設けた断面C型の金属管で構成し、これにゼオライトなどを充填し適量の水溶液を供給できるようにしてもよく、この場合、植物の生育とつるの固定が可能となる。」(段落【0013】)

(1d)「 根部保持材は、透水性があり、そこに植生が根を生やすことのできるものであれば特に限定されない。根部保持材は、植生の種子を播種したり、または幼植物を移植し、小孔内で植生の根部を保持し、さらには水および液肥などの液体を流通せしめ、栽培地とされる。植生の種子を播種したり、または幼植物を移植するための孔を根部保持材に穿設してもよい。」(段落【0017】)

(1e)「根部保持材として、たとえば、・・・コルク、故紙の他、発泡ポリプロピレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリ塩化ビニルなどの発泡プラスチック、バーミキュライト、粒状ゼオライト、成形ゼオライトなどのような多孔体を挙げることができ、植生の種類に応じて、適宜選択して用いられる。・・・」(段落【0018】)

以上の記載事項(1a)ないし(1e)によれば,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「複数の支柱(1)間に複数の骨組材(2)を架け渡し,これらの骨組材(2)を支持部材として植生(3)を繁茂させてなる屋上の緑化装置に植生を植える方法であって,
前記骨組材(2)の少なくとも1つは,長軸線に沿った開口(21)が上面に切り欠かれ,内部に根部保持材(23)を収納して植生を繁茂させる管体(20)を備え,前記管体(20)に水および液肥などの液体を循環せしめるように,前記管体(20)の一端と他端とがポンプ(32)を介して連絡せしめ,
根部保持材(23)に,幼植物を移植する,屋上の緑化装置に植生を植える方法。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された上記刊行物2には,以下の事項が記載されている。
(2a)「【請求項1】分離可能とした個々の鉢体を多数縦横整然と連接してある集合鉢体を、育苗箱に装填して土詰めするか又はせずに播種し前期育苗を行う一次育苗工程と、次いで一次育苗工程を行った集合鉢体苗を鉢体苗列に分離し、根の貫通のための多数の穴を底面に設けてある育苗トレイ上に、前記鉢体苗列を所定間隔を設けて載置し、鉢体苗列間には、発泡樹脂製角柱体を設置して水耕法により後期育苗を行う二次育苗工程と、次いで二次育苗工程を経た鉢体苗列を、個々の鉢体苗に分離し、水耕栽培床上に載置した合成樹脂板の所定間隔に設けられた植え付け穴に移植した後、水耕栽培する三次育成工程を行うことよりなる育苗移植用集合鉢体による作物の栽培方法。
【請求項2】集合鉢体が耐腐性を有する紙又は紙のような薄膜にて形成した鉢体を多数個々に分離可能に連接集合してある集合鉢体を使用する請求項1の育苗移植用集合鉢体による作物の栽培方法。
【請求項3】スポンジ、ウレタン、ロックウール或いはガラスウールをブロック状に形成した鉢体を、1株づつ分離可能として連接集合してある集合鉢体を使用する請求項1の育苗移植用集合鉢体による作物の栽培方法。」(特許請求の範囲【請求項1】?【請求項3】)

(2b)「・・・
実施例1
第1図1はこの発明に使用する育苗移植用集合鉢体であって、15mm角×30mm高さの鉢体2を・・・連接集合し接着してある。この育苗移植用集合鉢体1に、培土としてバーミキュライトと籾殻くんたんを6:4の割合で混合し、外にピートモスと育苗土を加えて充填して育苗箱4内に収納し、各鉢体の上面に葉ねぎの種子(品種:わかさま)を7?10粒程度播種した。これをビニールハウスで2週間育苗した。各鉢体2からは2日目に発芽し、5?6cmの苗に成長した。次いで育苗箱4内の育苗移植用集合鉢体1は、図3に示すような分離器5により鉢体苗列6に分離する。・・・
・・・これを第4図に示すような長さ1.2mの水耕栽培床で、並列間隔7cmとした並木植えとして植え換えると共に、この鉢体苗列6間の間隙に、幅5,5cm×高3cm×長さ60cmの発泡スチロールの角柱体12を配置し、栽培液として組成濃度(単位p.p.m)をN:60、P_(2)O_(5):30、K_(2)O:120、CaO:40、MgO:20のものを使用し、育苗期間中の培養液の温度は15?25度、pHは5.5?6.5に調節し、溶液中への酸素供給は連続循環方式により、液中の溶存酸素を飽和状態の80%6、6ppm(25C)として行った。この並木植え状育苗を40日間行って、・・・第二次育苗を終えた。
次いで二次育苗を終えた鉢体苗列6は90cm×60cmの定植パレットに植付け水耕栽培を行うが、この定植パレットは発泡スチロール製で、11.5cm×7.5cm間隔の植付穴があり、1枚当たり42ケ設けられている。これを水耕栽培床上に敷き詰め前記二次育苗を終えた各鉢体苗列6の各鉢体2苗を、鉢体2より抜き出し定植パレットの植付穴に挿し込む植付け水耕栽培を行った。・・・」(段落【0009】?【0011】)

(2c)「実施例2
一株毎に分離可能とするスリットを設けた連続引き出し可能な帯状合成樹脂スポンジブロック(2、3cm角×2、3cm高さ、連続200本綴)を有孔育苗箱に収納して「ほうれん草」(品種:オラクル)を、一鉢当たり2?4粒播種し、10日間育苗後、列状にブロックを分離しその列間間隔を15cmとしてその間隙に発泡樹脂製角柱体を載置して、更に20日間水耕栽培(協和株式会社製、ハイポニカプラント葉菜II型幅1180mm×長さ3200mm×高さ85mm)にて育苗を継続した。ついで、実施例1と同様に、一鉢毎に分離して定植パネルに植え付けて水耕栽培を行った。定植作業は葉部相互の絡み合いもなく順調に行うことができ、収穫時期も一般慣行法に比し、著しく早まり、味、香りも優れていた。」(段落【0013】)

以上の記載事項(2a)ないし(2c)によれば,刊行物2には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「水耕栽培する作物の栽培方法であって,
スポンジ、ウレタン、ロックウール或いはガラスウールをブロック状の鉢体に形成し,分離可能とした個々の鉢体を多数縦横に連接した集合鉢体を育苗箱に装填し,個々の鉢体内に,播種し前期育苗を行う一次育苗工程と,
次いで集合鉢体を鉢体列に分離し,鉢体列を育苗トレイに載置し,水耕栽培により後期育苗を行う二次育苗工程と,
次いで鉢体列を一鉢毎に分離し,分離した鉢体を水耕栽培床上に載置した合成樹脂板の所定間隔に設けられた植え付け穴に移植した後,水耕栽培する三次育成工程
を行う作物の栽培方法。」(以下,「刊行物2記載の発明」という。)

(3)刊行物3
本願出願前に頒布された上記刊行物3には,以下の事項が記載されている。
(3a)「図3乃至図5は、本実施の形態にかかる野菜水耕栽培用装置を使用してサニーレタスを栽培する工程を示す概略断面図である。まず、貫通孔14に挿入するのに適当な大きさの断面を有し、かつ、長さ2.5cmの複数のロックウールを水の入った容器に浮かべる(図示せず)。ロックウールは繊維状であり、毛細管現象によって水が浸透する。次いで、各ロックウールの中央に4粒のサニーレタスの種子を設置し、発芽させる。次いで、図3に示すように、発芽した4つの芽を有するロックウール16を野菜支持プレート10の貫通孔14に、野菜支持プレート10の底面から5mmだけ突出するように挿入する。次いで、野菜支持プレート10を水耕栽培用ベッド2の上に載置する。その際、野菜支持プレート10の切欠き12を有する2辺を、水耕栽培用ベッド2の堤防4に沿って載置する。これにより野菜支持プレート10の底部が切欠きの大きさ1cmだけ隣接する堤防4の間に受入れられて、野菜支持プレート10の底面から突出したロックウール16の下端部が液肥用流路6内を流れる液肥17の液面と接触する。ロックウール16は、毛細管現象により液肥用流路6内の液肥17を吸い上げて短い根に水分及び養分を供給する。この状態で、図4に示すように、サニーレタスの根がロックウール16の下端から約15cm伸びる頃まで成長させる。通常、約14日間でこの状態になる。」(段落【0012】)

以上の記載事項(3a)から見て,刊行物3には,以下の発明が記載されているものと認められる。
「適当な大きさの断面を有し,かつ,長さ2.5cmのロックウールを水の入った容器に浮かべ,これにサニーレタスの種子を播種して発芽させ,発芽した芽を有するロックウールを,野菜支持プレートの貫通孔に挿入して水耕栽培用ベット上に載置して水耕栽培を行うサニーレタスの栽培方法。」(以下,「刊行物3記載の発明」という。)

3 対比
補正発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると,
刊行物1記載の発明の「骨組材(2)」は,屋根状に形成されているから,補正発明の「屋根部」に相当し,刊行物1記載の発明の「支柱(1)」と「骨組材(2)」とは,植物の支持体となるものであるから,補正発明の「繁茂フレーム」に相当する。
また,刊行物1記載の発明の「植生(3)」は,補正発明の「植物」に相当する。
そして,刊行物1記載の発明は,管体に水および液肥などの液体を循環させて内部の植生を繁茂させていることから,水耕栽培を行っていることは明らかであり,刊行物1記載の発明の「根部保持材(23)」及び「液肥」が,補正発明の「培地」に相当する。
さらに,刊行物1記載の発明において,根部保持材(23)に,幼植物を移植する「植生を植える方法」は,補正発明の「植物を定植する方法」に相当する。
したがって,両者は,
「屋根部と、この屋根部を支持する支柱とを有する繁茂フレームを備え,水耕栽培された植物が前記繁茂フレームに沿って延伸して葉を繁茂させることで緑化を行う緑化装置の培地に植物を定植する方法。」
である点で一致し,以下の点で相違している。

<相違点1>
繁茂フレームが,補正発明では「屋根部の全面を覆うように金網又はネットである繁茂ネットが設けられた」ものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,このような金網又はネットを有していない点。
<相違点2>
定植に関し,補正発明は,「透水性を有する材料からなる鉢内に植え込んで,あらかじめ水耕育苗させた植物を鉢に植え込んだまま,培地内に定植する」のに対し,刊行物1記載の発明では,幼植物をどのように育苗させ,どのように定植しているのか不明である点。

4 判断
上記相違点1について検討すると,蔓性の植物の誘引のために,フレームに金網又はネットを設けることは,例えば,特開2003-70365号公報、特開2005-237261号公報等に記載されているように本願出願前周知の技術であり,刊行物1記載の発明において,緑化に用いられる蔓性植物の誘引のために,骨組材を構成する格子の間隔が広いときに金網又はネットを設けることは,当業者が適宜なしうることである。

上記相違点2について検討する。
刊行物2及び3記載の発明はいずれも,透水性を有する鉢(刊行物2における「鉢体」,刊行物3における「ロックウール」)であらかじめ水耕育苗させた植物を,育苗した鉢ごと水耕栽培の培地に定植しているものであり,このようにすることにより,定植作業の効率がよく,また,定植の際に根を傷めることがなく,植物に対し環境の急激な変化を与えない効果を奏するものと認められる。
刊行物2記載の発明の植物はねぎやほうれん草であり,刊行物3記載の発明の植物はサニーレタスであって,緑化目的として栽培される植物でないが,植物の定植の際に,根を傷めたり,環境の急激な変化を与えると植物の育成に悪影響を与えることは一般的に知られており,根を傷めたり,環境の急激な変化を与えないようにすること,作業効率を高めることは,緑化植物の栽培にも当然当てはまる課題であるから,刊行物1記載の発明において,この課題を解決するために,植物の定植方法として公知の刊行物2及び3記載の発明を適用して,補正発明の相違点2のように構成することは,当業者が容易になし得たことである。
そして,補正発明の作用効果は,刊行物1ないし3記載の発明及び周知技術から予測できる程度のことである。
したがって,補正発明は,刊行物1ないし3記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり,平成23年4月4日付けの手続補正は却下の決定がなされたので,本願の特許請求の範囲に請求項1ないし3係る発明は,平成22年12月21日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであり,そのうち請求項1に係る発明は次のとおりである。
「【請求項1】
繁茂フレームを備え、水耕栽培された植物が前記繁茂フレームに沿って延伸して葉を繁茂させることで緑化を行う緑化装置の培地に植物を定植する方法であって、
透水性を有する材料からなる鉢内に植え込んで、あらかじめ水耕育苗させた植物を、前記鉢に植え込んだまま、前記培地内に定植することを特徴とする緑化装置の培地に植物を定植する方法。」(以下、請求項1に係る発明を,「本願発明」という。)

2 当審における拒絶理由で引用され,本願出願前に頒布された刊行物1ないし3及びその記載内容は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 判断
本願発明は,上記「第2」で検討した補正発明から「繁茂フレーム」の限定事項である「屋根部と、この屋根部を支持する支柱とを有すると共に、前記屋根部の全面を覆うように金網又はネットである繁茂ネットが設けられた」との事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 4」に記載したとおり、刊行物1ないし3記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1ないし3記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1ないし3記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-10 
結審通知日 2011-05-17 
審決日 2011-05-31 
出願番号 特願2008-28049(P2008-28049)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A01G)
P 1 8・ 575- WZ (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 昌哉  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 仁科 雅弘
宮崎 恭
発明の名称 緑化装置の培地に植物を定植する方法及びその緑化装置  
代理人 一色国際特許業務法人  
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