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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A21D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A21D
管理番号 1240464
審判番号 不服2008-19515  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-31 
確定日 2011-07-19 
事件の表示 特願2000-193865「小麦粉組成物およびこれを用いたベーカリー製品の製造法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月 8日出願公開、特開2002- 171〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成12年6月28日の出願であって、平成20年3月18日付けで通知した拒絶理由通知に対して、同年5月26日付けで手続補正書が提出されたが、同年6月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月31日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同年8月26日付けで手続補正がなされ、その後、平成22年11月8日付けの審尋に対して、同年12月21日付けで審判請求人から回答書が提出されたものである。

2 平成20年8月26日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年8月26日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正前及び補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、補正前の
「小麦粒の外皮部を小麦粒の重量に対し、最外皮から3.5重量%以上除去した後の、最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすまを配合した小麦粉組成物を用いることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。」
とあるのを、
「小麦粒の外皮部を小麦粒の重量に対し、最外皮から3.5重量%以上除去した後の、最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすまを小麦粉100重量部に対して1?20重量部配合した小麦粉組成物を用いることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。」
と補正するものである。

請求項1における上記の補正は、請求項1において発明を特定するために必要な事項である小麦ふすまの「配合」に対し「小麦粉100重量部に対して1?20重量部」という限定を付すものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下、単に「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、該補正で加える「小麦粉100重量部に対して1?20重量部」は、願書に最初に添付した明細書の段落【0014】の記載に基づくものであり新規事項の追加に該当しない。

そこで、本願補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-99336号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(引1-1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精麦により麦粒から順次除去される皮部を複数区分に区分けして回収する麦糠の回収方法に関する。」

(引1-2)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】 回収された麸を食品として取り扱う場合には、麸が衛生的であることが重要となる。上記精麦方法においては、あらかじめ原料麦表面に付着した汚れを除去した後に精麦処理して麸を回収しているものの、原料麦の表層部に進入したバクテリアやカビ、及び、害虫駆除のために散布され原料麦の表層部に浸透した農薬等については全く考慮されておらず、このため、回収される麸中にこれらの有害物が混入する可能性が高く、食品としてこれらの麸を利用することはできない。
【0007】
本発明は、食品として利用可能な麸を成分の異なる区分ごとに回収することができる麦糠の回収方法を提供することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の麦糠の回収方法は、精麦により原料麦表面部から順次除去される皮部を複数区分に区分けして回収する麦糠の回収方法において、前記皮部の回収を、前記皮部の表層部を除去した後に行う、という技術的手段を講じた。」

(引1-3)「【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の方法を実施するための精麦装置の一実施例について説明する。図1は精麦装置1の縦断面図であって、・・・(略)・・・。
【0011】?【0018】
・・・(略)・・・。
【0019】
・・・(略)・・・。原料麦は研削精白室13内を公転しながら転動して流下する間に、回転する研削転子7により皮部の最外層側から徐々に削り取られ、除糠室15Aには原料麦に対して0.5?1.0重量%の糠が漏出し、ダクト17Aを介してバックフィルターに回収される。この回収された糠中には、前記原料麦の表層部に進入又は浸透したしたバクテリア、カビ及び農薬等が含まれている。そして、皮部の外層側から徐々に削り取られる糠は、皮部の外層側から順にそれぞれ除糠室15B、除糠室15C及び除糠室15Dに漏出し、ダクト17B?17Dを通って各々別々のバックフィルターに回収される。
【0020】
・・・(略)・・・。そして、麦粒は、摩擦転子9の撹拌突起21により撹拌され、麦粒相互の粒々摩擦により、皮部は外層側から徐々に剥離される。麦粒から剥離された皮部は、皮部の外層側から順に除糠筒25から除糠室30A、除糠室30B及び除糠室30Cに漏出し、ダクト31A?31Cを通って各々別々のバックフィルターに回収される。」
(当審注:段落【0019】「前記原料麦の表層部に進入又は浸透したしたバクテリア」は、「前記原料麦の表層部に進入又は浸透したバクテリア」の誤記であると認められる。)

(引1-4)「【0022】
【実施例】 原料麦としてC.W.R.S(カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング・ホイート)を用い、上記精麦装置1により精麦し、各区分ごとの糠成分を分析した。なお、各仕切板16A?16D,29A,29Bを通過したときの原料麦の歩留まりは、仕切板16Aが99.5%、仕切板16Bが98.0%、仕切板16Cが96.4%、仕切板16Dが95.0%、仕切板29Aが93.4%、仕切板29Bが91.9%であり、排出樋35から排出された麦粒の歩留まりは90.6%であった。
【0023】
【表1】

この表は、各ダクト17B(歩留まり99.5?98.0%)、17C(歩留まり98.0?96.4%)、17D(歩留まり96.4?95.0%)、31A(歩留まり95.0?93.4%)、31B(歩留まり93.4?91.9%)、31C(歩留まり91.9?90.6%)から回収された糠の特定成分量を示しており、図3及び図4は各々の成分量を図式化したものである。
【0024】
タンパク質含量は歩留まりの低下にともない増加し、食物繊維及びペントサン含量は歩留まりの低下にともない減少し、ミネラル含量は歩留まりが95.0?93.4%のときに最も多く、ビタミン類は歩留まりが96.4?95.0%のときに最も多い。このように、歩留まりごとの糠の含有成分量はそれぞれ異なっており、例えば、・・・・・(略)・・・・・。また、タンパク質含量が多い歩留まり93.4?90.6%の糠を小麦粉に添加してパンを製造した場合には、グルテンの働きにより体積が大きくふっくらしたパンとなる。また、・・・(略)・・・パンを製造することが可能である。
【0025】
なお、小麦粉に添加する糠の量、区分又は各区分ごとの混合比等は、目的とするパン成分により適宜調整する。」

(引1-5)「【0004】
原料麦から除去された皮部は、麸(ふすま)として主に飼料に利用されているが、麸には食物繊維、ビタミン、ミネラル及びタンパク質等が豊富に含まれており、近年、健康食品として注目されている。」
なお、摘示での下線は、当審において付したものである。

上記摘示(引1-1)?(引1-4)の記載、及び、図1の装置における装置部分の配置と機能、更に引用例1記載の技術課題(引1-2)の段落【0006】参照を参酌すると、引用例1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「麦粒の外層側から皮部を順に削りとり、皮部を複数の区分に区分して糠としてダクト(17A?17D、31A?31C)から回収できるようにした精麦装置(1)を用い、原料麦であるC.W.R.S(カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング・ホイート)を精麦し、まず皮部の表層部を除去して原料麦に対して0.5?1.0重量%のバクテリア、農薬等を含む糠を除き、その後順次除去される皮部を複数の区分に区分して回収し、含有成分量の異なる糠の区分を得、麦粒の歩留まりが93.4?90.6%であるタンパク質含量が多い糠の区分を、目的とするパン成分により小麦粉に適量調整して添加し、パンを製造するパンの製造方法。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1記載の発明を比較すると、
ア 引用例1記載の発明の「原料麦」、「糠」、ダクトから回収される「皮部」、「皮部の表層部を除去」すること、及び、「パン」は、それぞれ本願補正発明1の「小麦粉」、「小麦ふすま」、「外皮部」、「最外皮から除去」すること、「ベーカリー製品」に相当することは明白である。

イ 引用例1記載の発明における「C.W.R.S(カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング・ホイート)」はカナダ産の小麦であることが明らかであるから、本願補正発明の「小麦」に相当する。

ウ 引用例1記載の発明において、皮部から除去された「区分」は糠であり、本願補正発明の外皮部から得られる「画分」は小麦ふすまであるから、引用例1記載の発明の「区分」は、本願補正発明の「画分」に相当する。

エ 歩留まりとは、精麦歩留(精原麦に対する精麦の重量比)をいうことは、本願出願前から知られた技術常識である。また、本願補正発明でいう「最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすま」は、最外皮から精麦してゆく過程で出てくる画分をいうから、精原麦に対する小麦ふすまの重量比をいうと解される。
そうすると、引用例1記載の発明において、「歩留まりが93.4?90.6%であるときのタンパク質含量が多い糠」は、麦粒の外層側から麦粒の重量に対し6.6?9.4%の皮部の糠であるから、本願補正発明の「最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすま」に包含され、両者は重複しており差異がない。

オ 引用例1記載の発明における「歩留まりが93.4?90.6%であるときのタンパク質含量が多い糠」、すなわち、麦粒の外層側から6.6?9.4%の皮部にある糠ということができ、精原麦に対して0.5?1.0重量%のバクテリア、農薬等を含む糠が除かれたものであり(摘示(引1-3)の段落【0019】)、かつ歩留まりが99.5?93.4%であるときの糠、すなわち、麦粒の外層側から0.5?6.6%の皮部にある糠を使用しないから(摘示(引1-4)の段落【0022】と表1)、麦粒の皮部を麦粒の重量に対し、最外皮から3.5重量%以上除去した後の糠(即ち、小麦ふすま)であると解することができる。
したがって、引用例1の「歩留まりが93.4?90.6%であるときのタンパク質含量が多い糠」は、本願補正発明の「最外皮から3.5重量%以上除去した後」の小麦ふすまの範囲内のものであるということができる。

以上のことから両者の間には、以下の一致点および一応の相違点がある。

[一致点]
「小麦粒の外皮部を小麦粒の重量に対し、最外皮から3.5重量%以上除去した後の、最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすまを配合した小麦粉組成物を用いるベーカリー製品の製造方法。」

[一応の相違点]
本願補正発明では、ベーカリー製品の製造に際し製パン用の小麦粉組成物に「最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすま」を小麦粉100重量部に対して1?20重量部配合するのに対して、引用例1記載の発明は、小麦粉に対する配合量を明らかにしていない点。

(4)当審の判断
以下、上記の点について検討する。

ア 上限である20重量部について
小麦ふすまの配合量に関し本願明細書では「小麦粉と最外皮を除去した小麦ふすまの配合割合は特に規定されないが、パンに使用する場合は小麦粉100重量部に対して該小麦ふすまが1?20重量部であることが望ましい。20重量部より小麦ふすまの配合量が多くなると製パン時の発酵が阻害される傾向がみられる。」と記載され(段落【0014】)、上限の20重量部は発酵が阻害されない程度であると述べている。つまり、本願補正発明における小麦ふすまの配合量の上限20重量部は、製パンにおいて発酵阻害のような不都合が起こらないような量を除くものであり、常識から当然考えられる範囲を規定しただけと理解できる。

他方、引用例1記載の発明では、製造したパンは「ふっくらしたパン」であった旨記載(摘示(引1-4)の段落【0024】)しているので、小麦ふすまは発酵阻害を起こすほどには配合していないと考えられる。したがって、引用例1記載の発明における小麦粉組成物に配合する小麦ふすまの上限は、小麦粉100重量部に対し20重量部を超えないところにあるということができる。

イ 下限である1重量部について
引用例1記載の発明において、「麦粒の歩留まりが93.4?90.6%であるタンパク質含量が多い糠の区分を」配合する目的は、摘示(引1-5)に「麸には食物繊維、ビタミン、ミネラル及びタンパク質等が豊富に含まれており、近年、健康食品として注目されている。」との記載事項があることからもわかるように、健康食品としてタンパク質含量が多い食品を得るため、すなわち、栄養成分補強の目的であることが理解され、前記区分の配合量が多いほど栄養が改善できるということができる。
したがって、栄養成分補強の目的にかなった量、すなわち、ある程度の量が添加されているということができ、1重量部より多く配合されていると理解するのが自然である。

ウ 小括
引用例1記載の発明においては、小麦粉に対する小麦ふすまの配合量について特段特定はされていないが、上記「2(4)ア 上限である20重量部について」で言及したように、ふっくらとしたパンを得ることができる配合量である上限を超えない程度で、上記「2(4)イ 下限である1重量部について」で言及したように、引用例1記載のタンパク質含有量を改善して栄養成分を補強するという目的に照らせば、製パンに際し用いる小麦粉組成物を小麦粉100重量部に対し小麦ふすまが1?20重量部程度の配合量で作成されていると解することができる。
それゆえ、上記の「一応の相違点」とした点は、本願補正発明と引用例1記載の発明との実質的な差異であるとは認められない。
以上のことから、本願補正発明は、引用例1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(5)審判請求人の主張について
ア 「審判請求書」の「(1)新規性について」の項における主張
(ア) 「引用文献1のパンに関する記述は、単なる願望が記載されている」旨の主張について
審判請求人は「引用文献1のパンに関する記述は、精麦装置を用いる麦糠の回収方法の発明において、回収された麦糠は衛生的であるから、それを食品(パンを含む。)に利用したいという単なる願望が記載されているに過ぎないと理解されるのである。」と主張する。
しかしながら、引用例1にはバクテリア、農薬等を除かれたという記載(摘示(引1-3)の段落【0019】)、「ふっくら」としたパンが製造できたという記載(摘示(引1-4))がある。
そして、引用例1には、特段パンの製法については記載がないが、このような場合、本願出願前から一般に使われてるパンの製法に従うと解することができる。
そうすると、引用例1には衛生的な「ふっくら」としたパンの製法が願望としてではなく実質的に開示されているということができる。

(イ) 「引用例1では、ふっくらしたパンが製造できていない」旨の主張について
審判請求人は、審判請求書において平成20年5月26日付け意見書5?6頁に記載の実験報告に言及して、引用例1では、ふっくらしたパンが製造できていない旨を主張する。
しかし、引用例1の摘示(引1-4)には「また、タンパク質含量が多い歩留まり93.4?90.6%の糠を小麦粉に添加してパンを製造した場合には、グルテンの働きにより体積が大きくふっくらしたパンとなる。」と記載されているのであって、タンパク質含量が多い歩留まり93.4?90.6%の糠を小麦粉に添加しないものよりふっくらすると記載されているわけではない。
前記実験報告に記載された「比容積」と、引用例1記載の「ふっくら」との関係も不明、すなわち、どの程度比容積が低下すれば「ふっくら」といえないのか不明であるし、仮に、「比容積」と「ふっくら」が関係しているとしても、小麦ふすま画分5%のものの比容積6.38に対して対照区6.57であって、比容積において大差がないということができ、この程度の差であれば「ふっくら」しているということもできる。

(ウ)「歩留まり93.4?90.6%の糠にはグルテンが含まれていないので理解できない記載である」旨の主張について
審判請求人は、引用例1の「タンパク質含量が多い歩留まり93.4?90.6%の糠を小麦粉に添加してパンを製造した場合には、グルテンの働きにより体積が大きくふっくらしたパンとなる。」(摘示(引1-4))の記載は、歩留まり93.4?90.6%の糠にはグルテンが含まれていないので理解できない記載である旨主張するが、前記記載においてグルテンは歩留まり93.4?90.6%の糠が含むグルテンであるとも小麦粉が含むグルテンであるとも言っていないのであるから、直ちに誤りであるとはいえない。
仮に、審判請求人の主張するように、歩留まり93.4?90.6%の糠は糊粉層と呼ばれる組織に該当することが技術常識であるとするなら、まさしく、小麦粉に含まれるグルテンにより「ふっくら」としたパンになると解するべきであり、審判請求人の主張は失当である。

(エ)風味への言及について
審判請求人は、「しかしながら、引用例1では、パンの風味については一切の記述が認めらない。このことは、引用例1において、糠を利用したパンの製造自体が行われていないことを示す証拠である。」(審判請求書2頁下から9行?下から8行)旨を主張している。
しかしながら、風味への言及がないことは、パンの製造自体が行われていないことと直ちに結びつくものではなく、製造したパンについて風味の記述がないという理由でパンの製造自体が行われていないとすることはできないないし、ましてや「パンを製造した発明として完成されたものということができない」ということはできない。

(6)むすび
以上のとおりであり、本件補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年5月26日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に記載の発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「小麦粒の外皮部を小麦粒の重量に対し、最外皮から3.5重量%以上除去した後の、最外皮から3.5?14.0重量%の画分から得られた小麦ふすまを配合した小麦粉組成物を用いることを特徴とするベーカリー製品の製造方法。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である引用例1(特開平11-99336号公報)の記載事項は、前記「2 (2)引用刊行物」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2」で検討した「本願補正発明」から、小麦ふすまの配合割合である「小麦粉100重量部に対して1?20重量部」という限定を除くものに相当する。
そうすると、本願補正発明の構成要件をすべて含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2 (4)当審の判断」に記載したとおり、引用例1に記載された発明であるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明である。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないので、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-17 
結審通知日 2011-05-19 
審決日 2011-06-03 
出願番号 特願2000-193865(P2000-193865)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A21D)
P 1 8・ 575- Z (A21D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 騎見高冨士 良宏  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 齊藤 真由美
▲高▼岡 裕美
発明の名称 小麦粉組成物およびこれを用いたベーカリー製品の製造法  
代理人 須藤 阿佐子  
代理人 須藤 晃伸  

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