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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1240466
審判番号 不服2008-28524  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-06 
確定日 2011-07-19 
事件の表示 特願2004-378139「懸賞付き広告支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月13日出願公開、特開2006-185178〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成16年12月27日の出願であって,平成20年7月14日付けの拒絶理由通知に対して,同年9月22日に意見書と手続補正書が提出されたが,同年10月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年11月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成20年9月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項1】
携帯電話を用いて商品若しくは役務の広告に付された懸賞情報を取得し所定の送信先に送信することにより,前記商品若しくは役務に対して実施されている懸賞への応募を行う懸賞付き広告支援システムであって,
前記広告には設問が設定されているとともに,前記設問内容,送信先情報を含む懸賞情報を示す2次元バーコードが表示され,
前記携帯電話は,
所定の書式で応募処理を行う応募支援ソフトを格納する一方,
前記懸賞情報を読み取る撮像手段と,
前記撮像手段で読み取られた前記懸賞情報に基づいて,設問内容をディスプレイ部に表示して応募に必要な処理を前記応募支援ソフトにより行う懸賞応募処理手段と,
前記撮像手段で読み取られた送信先情報に基づいて,前記設問内容の回答及び前記懸賞応募処理手段に予め記録された個人情報を前記応募支援ソフトにより送信する応募送信手段と
を具備することを特徴とする懸賞付き広告支援システム。」

3.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶理由通知で引用された「特開2002-245226号公報」(以下「引用例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,企業側が消費者に提示する様々な情報と,消費者側から企業側へ伝達する情報の伝達を円滑に進め,企業と消費者の間の双方向の情報交換を円滑に行う為の情報伝達システムに関する。」

(イ)「【0014】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。図1は本実施形態の基本原理の説明図である。尚以下の図面で,(1)(当審注。原文は丸付き数字。以下同様に,丸付き数字はカッコ()で囲んで表記する。),(2)・・等の数字は各図面内のものと対応している。
【0015】本実施形態では,1)企業側(情報提供者)から消費者側に伝える情報(文字,動画,静止画,音声等),2)消費者側が企業側に伝える情報の送り先,3)消費者側の置かれている環境や消費者がどのような伝達方法を用いるかを判断や消費者側の端末の識別等を行うプログラム,を非読かつ可逆復元可能なパターン情報に変換して格納する。そして新聞社や雑誌社などの情報の配布者がこのパターン情報を雑誌や新聞等に印刷して消費者に配布する。
【0016】消費者側では,印刷物として手に入れたパターン情報をスキャナ等の光学的読取装置で読み取り,事前に配布してあるアプリケーションプログラムでデコード等を行って復元し,コンピュータ上に表示する。」

(ウ)「【0020】図2は,本実施形態の情報伝達システムで用いられるパターン情報の例を示す図である。パターン情報は,バーコードのように白黒のパターンによってデジタルデータを記録するもので,バーコードが水平方向(1次元)のみで情報化されているのに対し,水平方向と垂直方向の2次元で情報を記録することによって,従来のバーコードに比して,同一面積あたりに記録できる情報量を格段に高くしたことを特徴としている。尚パターン情報としては,白黒のパターンを用いて情報を記録するもの以外にも,色差等を利用して情報量を大きくした多次元コードを利用したものでも良い。」

(エ)「【0025】次に図3を用いてBOOK IDについて説明する。パターン情報を印刷する配布物は,新聞,雑誌,店頭パンフレット,チラシ広告等が考えられる。これらの配布物31毎に固有番号(BOOK ID)を定め,この固有番号をパターン情報内に格納して,消費者に配布する。
【0026】図3では,新聞A,新聞B,雑誌A及び雑誌Bの4種類の配布物31-1?31-4に対してそれぞれ,BOOK ID32として001,002,003及び004が設定されており,各刊行物に印刷されたパターン情報内には,その刊行物の種類ごとの対応するBOOK ID32が記録されている。
【0027】そして消費者からアンケート結果が送られてくる際,このBOOK ID32も一緒に送信されるようにすることによって,消費者がどの配布物31を見てアンケートに応募したかという情報を得ることが出来,各配布物の宣伝効果を調べることが出来る。」

(オ)「【0029】次に本実施形態の情報伝達システムで行われる消費者側から企業側への情報の伝達について説明する。図4は,本実施形態での消費者側から企業側への情報の伝達についての説明図である。
【0030】消費者から企業側へ情報を伝達する方法は,インターネットやパソコン通信,葉書等の郵便,FAX,電話などが考えられる。本実施形態では,配布物に印刷するパターン情報41の中に,プログラム43を挿入する。
【0031】この格納プログラム43は,パターン情報内の各情報を用いて表示するアンケート等の情報を消費者のコンピュータ上に再生する処理や,アンケートに対する応答の伝達方法を消費者に状況に合わせた伝達方法を選択させる処理等,企業側と消費者側と間の情報伝達を円滑に行う為の処理を行う。
【0032】この格納プログラム43は,単独のプログラムとして構成するとプログラムコードの大きさが大きくなってしまうので,パターン情報を復元するアプリケーションプログラムに組み込む形のプログラムとして構成する。或いは,単にアプリケーションプログラムに対して動作指示を行う制御コードとして構成し,実際の処理はアプリケーションプログラムが行う構成としても良い。
【0033】格納プログラム43は,例えば消費者にインターネットに接続するか否かを質問し,接続してよいという回答が得られればインターネットに接続してパターン情報41から復元したアンケート42に対する回答等を企業側のサーバに送信する。このとき格納プログラム43は,消費者が用いている端末がパソコン(デスクトップパソコン,ノートパソコン,ハンドヘルドPC等)であるか携帯電話やPHSであるか,情報を提示できるデジタル家電等であるか等その種類を調べ,その端末の種類に合わせたURLに接続する。また携帯電話であっても電気通信業者によってURLが異なることがあるのでこれらの種類も識別する。」

(カ)「【0037】第1の実施形態は情報伝達システムを懸賞付きアンケートの実施に用いた場合の形態である。図5は第1の実施形態の情報伝達システムでの手順についての説明図である。
【0038】同図では,情報の提供者と配布者を1つにして示しているが,本実施形態では両者は同じとなる構成でも,異なる構成でもかまわない。また消費者側は,消費者側からの応答を情報配布者が集め,集計結果を情報提供者に通知する構成でもよい。尚この場合は消費者側は,応答を情報配布者に対して行うこととなる。
【0039】企業側では,上述したように,まず文字ベースで作成したアンケート内容,アンケート内容を記載したWebページのURL,企業側が消費側に伝えたい情報,アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報,格納プログラム等をパターン情報51に変換する((1))。
【0040】変換したパターン情報51を新聞や雑誌,チラシ広告,店頭パンフレットなどの配布物52に印刷し((2)),消費者に配布する((3))。配布物を受け取った消費者は,スキャナ等の光学的読み取り機器や専用の読み取り機53を利用して,印刷されたパターン情報を読み取って復元する。復元したコードの中には格納プログラム54が格納されており,消費者に対しインターネット等のネットワークに接続するか否かを質問する。ここで,消費者の回答結果から,
1)ネットワークに接続するのであれば,端末の種類を調べ,コードの中に格納してあるURLのうち対応するURLが指すWebページへ接続する。Webページではアンケートを用意し,消費者が答えたアンケート結果を企業のデータベ-スへ格納する。
2)ネットワークに接続しない場合には,パターン情報に格納した可読情報の中からアンケート(Webページと同じ)を消費者へ提示する。またこのとき,消費者が答えたアンケート結果を葉書またはFAXで送ることを想定し,送り先の住所やFAX番号を同時に提示する。
【0041】消費者はアンケートに答えた後,インターネット等のネットワーク通信,葉書やFAXまたはその他の方法でアンケート結果を企業側に送る((4))。企業側では,これらのアンケート結果を集計してデータベース55内に登録する。
【0042】そして企業側は,データベースに登録されているアンケートに対する回答を送ってきた消費者の中から当選者を選出し,選出した消費者に賞品を送る((5))。尚この賞品としては品物の他に,画像や音楽,プログラム等のコンテンツでも良く,この場合これらのコンテンツを事前にアプリケーションプログラムやパターン情報内に格納しておき,当選者にはアプリケーションプログラムやパターン情報内から賞品のコンテンツを取り出すキーコードやパスワードを送信する構成としても良い。」

(キ)「【0065】図10は,第1の実施形態の情報伝達システムで行われる処理を示すフローチャートである。
(途中省略)
【0068】次に企業側ではステップS103として,ステップS102で変換したパターン情報を含む広告を消費者に配布する配布物に印刷し,ステップS104として,この配布物を消費者に配布して処理フロー(1)の処理を終了する。」

上記摘記事項(ア)乃至(キ)の記載及び図面の記載を総合すると,引用例1には,次のとおりの発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「企業側が消費者に提示する様々な情報と,消費者側から企業側へ伝達する情報の伝達を円滑に進め,企業と消費者の間の双方向の情報交換を円滑に行う為の情報伝達システムであって,
企業側(情報提供者)から消費者側に伝える情報(文字,動画,静止画,音声等),消費者側が企業側に伝える情報の送り先,消費者側の置かれている環境や消費者がどのような伝達方法を用いるかの判断や消費者側の端末の識別等を行うプログラム,を非読かつ可逆復元可能なパターン情報に変換し,このパターン情報を雑誌や新聞等に印刷して消費者に配布し,
消費者側では,印刷物として手に入れたパターン情報をスキャナ等の光学的読取装置で読み取り,事前に配布してあるアプリケーションプログラムでデコード等を行って復元し,コンピュータ上に表示し,
ここで,情報伝達システムで用いられるパターン情報は,水平方向と垂直方向の2次元で情報を記録するものであり,
パターン情報を印刷する配布物は,新聞,雑誌,店頭パンフレット,チラシ広告等が考えられ,これらの配布物31毎に固有番号(BOOK ID)を定め,この固有番号をパターン情報内に格納して,消費者に配布し,
消費者からアンケート結果が送られてくる際,このBOOK ID32も一緒に送信されるようにすることによって,消費者がどの配布物31を見てアンケートに応募したかという情報を得ることが出来,各配布物の宣伝効果を調べることが出来るものであり,
配布物に印刷するパターン情報41の中に,プログラム43を挿入し,この格納プログラム43は,パターン情報内の各情報を用いて表示するアンケート等の情報を消費者のコンピュータ上に再生する処理や,アンケートに対する応答の伝達方法を消費者に状況に合わせた伝達方法を選択させる処理等,企業側と消費者側と間の情報伝達を円滑に行う為の処理を行うものであり,
格納プログラム43は,パターン情報を復元するアプリケーションプログラムに組み込む形のプログラムとして構成するか,或いは,単にアプリケーションプログラムに対して動作指示を行う制御コードとして構成し,実際の処理はアプリケーションプログラムが行う構成としても良く,
格納プログラム43は,消費者にインターネットに接続するか否かを質問し,接続してよいという回答が得られればインターネットに接続してパターン情報41から復元したアンケート42に対する回答等を企業側のサーバに送信し,このとき格納プログラム43は,消費者が用いている端末がパソコン(デスクトップパソコン,ノートパソコン,ハンドヘルドPC等)であるか携帯電話やPHSであるか,情報を提示できるデジタル家電等であるか等その種類を調べ,その端末の種類に合わせたURLに接続し,
情報伝達システムを懸賞付きアンケートの実施に用いた場合,
企業側では,まず文字ベースで作成したアンケート内容,アンケート内容を記載したWebページのURL,企業側が消費側に伝えたい情報,アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報,格納プログラム等をパターン情報51に変換し,
変換したパターン情報51を新聞や雑誌,チラシ広告,店頭パンフレットなどの配布物52に印刷して消費者に配布し,
ここで,消費者に配布する配布物には,変換したパターン情報を含む広告が印刷されるものであり,
配布物を受け取った消費者は,スキャナ等の光学的読み取り機器や専用の読み取り機53を利用して,印刷されたパターン情報を読み取って復元し,
復元したコードの中には格納プログラム54が格納されており,消費者に対しインターネット等のネットワークに接続するか否かを質問し,
ネットワークに接続するのであれば,Webページへ接続し,Webページではアンケートを用意し,消費者が答えたアンケート結果を企業のデータベ-スへ格納し,
ネットワークに接続しない場合には,パターン情報に格納した可読情報の中からアンケート(Webページと同じ)を消費者へ提示し,消費者が答えたアンケート結果を葉書またはFAXで送ることを想定し,送り先の住所やFAX番号を同時に提示し,
消費者はアンケートに答えた後,インターネット等のネットワーク通信,葉書やFAXまたはその他の方法でアンケート結果を企業側に送り,
企業側では,アンケート結果を集計してデータベース55内に登録し,登録されているアンケートに対する回答を送ってきた消費者の中から当選者を選出し,選出した消費者に賞品を送る
ことを特徴とする情報伝達システム。」

(2)引用例2
原査定の拒絶理由通知で引用された「特開2003-141297号公報」(以下「引用例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(ク)「【0020】以下本発明の一実施の形態について,図に従って説明する。
(第1の実施の形態)図1に示すように,本発明の第1の実施の形態にかかるシステムは,ネットワーク1に接続された懸賞実施者サーバ2と,基地局3との無線通信機能を備え,電話回線網4及びネットワーク1を介して懸賞実施者サーバ2にアクセス可能な懸賞応募者端末5,及びこの懸賞応募者端末5に接続されたバーコードリーダー6とで構成されている。」

(ケ)「【0025】図4は,前記懸賞応募者端末5の回路構成を示すブロック図である。同図に示すように,懸賞応募者端末5は周知の携帯電話端末であって,バス504に接続されたCPU505を有している。さらにバス504には,送受信部506,通信処理部507,プログラムメモリ508,時計部509,表示I/F510,ドライバ511,ユーザ情報メモリ512,データメモリ513,コネクタ514,操作入力部515,音声復号符号処理部516が接続されている。」

(コ)「【0028】ユーザ情報メモリ512は,当該懸賞応募者端末5の端末ID,ユーザの氏名,住所,当該端末の電話番号等のユーザ情報を記憶している。(以下省略)」

(サ)「【0030】次に,本実施の形態の動作について説明する。図5は,本実施の形態における懸賞応募者端末5と懸賞実施者サーバ2の処理手順を示すフローチャートである。懸賞応募者端末5のユーザは,懸賞実施商品である前記缶入り飲料7を例えば一口の懸賞応募が可能な3個購入後,その表面に付着されている懸賞応募用シールのバーコード8をバーコードリーダー6により読み取らせる。すると,懸賞応募者端末5はこのバーコードリーダー6が読み取ったバーコード情報を取り込む(ステップA101)。引き続き,初期値が“0”であるカウンタCの値の値をカウントアップさせた後(ステップA102),基地局3,電話回線網4及びネットワーク1を介して懸賞実施者サーバ2にアクセスし,この取り込んだバーコード情報を前記ユーザ情報メモリ512に記憶されているユーザ情報,及び前記カウンタCの値とともに送信する(ステップA103)。」

上記摘記事項(ク)?(サ)の記載によれば,引用例2には,「懸賞に応募する際,懸賞応募者端末のメモリに記憶されているユーザの氏名,住所等のユーザ情報を懸賞実施者サーバへ送信すること」(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

4.対比

本願発明と,上記引用例1発明とを比較する。

(a)引用例1発明の「情報伝達システム」は,「消費者が用いている端末がパソコン(デスクトップパソコン,ノートパソコン,ハンドヘルドPC等)であるか携帯電話やPHSであるか,情報を提示できるデジタル家電等であるか等その種類を調べ」ているから,消費者が用いている端末が「携帯電話」である場合に,「携帯電話を用いて」いるシステムであるということができる。
引用例1発明では,「情報伝達システムを懸賞付きアンケートの実施に用いた場合」に,「文字ベースで作成したアンケート内容,アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報等を変換したパターン情報51」を新聞や雑誌,チラシ広告,店頭パンフレットなどの配布物52に印刷して消費者に配布しているから,引用例1発明の「パターン情報」が本願発明の「懸賞情報」に相当する。また,配布物には,変換した「パターン情報」を含む広告が印刷されるものであるから,当該「パターン情報」は,「広告に付された」ものであるということができる。
引用例1発明では,「配布物を受け取った消費者は,スキャナ等の光学的読み取り機器や専用の読み取り機53を利用して,印刷されたパターン情報を読み取って復元し」ているから,パターン情報を「取得し」ているということができる。
引用例1発明では,「配布物31毎に固有番号(BOOK ID)を定め,この固有番号をパターン情報内に格納して,消費者に配布し,消費者からアンケート結果が送られてくる際,このBOOK ID32も一緒に送信されるように」しており,「情報伝達システムを懸賞付きアンケートの実施に用いた場合」には,当該「送信」により,「懸賞への応募を行う」ものであるから,引用例1発明の「情報伝達システム」は,「パターン情報(懸賞情報)を取得し,所定の送信先に送信することにより,懸賞への応募を行う」ものであるということができる。
引用例1発明の「パターン情報を含む広告」は,これを懸賞付きアンケートの実施に用いた場合には,「懸賞付き広告」であるということができ,また,引用例1発明の「情報伝達システム」が,懸賞の応募を「支援」していることは明らかであるから,引用例1発明の「情報伝達システム」が本願発明の「懸賞付き広告支援システム」に相当する。
してみれば,本願発明と引用例1発明とは,後記する点で相違するものの,ともに「携帯電話を用いて広告に付された懸賞情報を取得し所定の送信先に送信することにより,前記懸賞への応募を行う懸賞付き広告支援システム」である点で共通する。

(b)引用例1発明の「アンケート」が本願発明の「設問」に相当する。
引用例1発明では,消費者に配布する配布物に,変換したパターン情報を含む広告が印刷されており,当該パターン情報に含まれるアンケートに回答することによって,懸賞に応募するものであるから,印刷された広告とパターン情報に含まれるアンケート(設問)とが関連づけられていることは自明のことであり,「変換したパターン情報を含む広告には,当該パターン情報に含まれるアンケート(設問)が,関連づけられている」ということができる。
また,引用例1発明の「文字ベースで作成したアンケート内容」「アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報」がそれぞれ本願発明の「設問内容」「送信先情報」に相当し,これらの情報がパターン情報51に変換されるから,パターン情報51(懸賞情報)が,「文字ベースで作成したアンケート内容」「アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報」を「含む」ことは明らかである。
また,「情報伝達システムで用いられるパターン情報は,水平方向と垂直方向の2次元で情報を記録するもの」であるから,パターン情報は,「2次元バーコード」であるということができる。
また,「消費者に配布する配布物には,変換したパターン情報を含む広告が印刷される」ものであるから,「広告には,パターン情報(懸賞情報)を示す2次元バーコードが表示され」ているということができる。
してみれば,本願発明と引用例1発明とは,後記する点で相違するものの,ともに「広告には設問が関連づけられているとともに,前記設問内容,送信先情報を含む懸賞情報を示す2次元バーコードが表示され」ている点で共通する。

(c)引用例1発明では,消費者側に事前に配布してある「アプリケーションプログラム」とパターン情報に挿入されて広告とともに配布される「格納プログラム」とによって,「パターン情報のデコード等を行って復元する処理」を行ったり,「パターン情報内の各情報を用いて表示するアンケート等の情報を消費者のコンピュータ上に再生する処理や,アンケートに対する応答の伝達方法を消費者に状況に合わせた伝達方法を選択させる処理等,企業側と消費者側と間の情報伝達を円滑に行う為の処理」を行うものであり,情報伝達システムを懸賞付きアンケートの実施に用いた場合には,上記各処理が本願発明の「応募処理」に相当するから,引用例1発明の「アプリケーションプログラム」及び「格納プログラム」が本願発明の「応募処理を行う応募支援ソフト」に相当する。また,こららの「プログラム」を動作させる際に,「消費者が用いている端末(携帯電話)」が,これらの「プログラム」を「格納する」ことは自明のことである。
してみれば,本願発明と引用例1発明とは,後記する点で相違するものの,ともに「携帯電話は,応募処理を行う応募支援ソフトを格納する」点で共通する。

(d)引用例1発明の「スキャナ等の光学的読み取り機器や専用の読み取り機53」が本願発明の「懸賞情報を読み取る撮像手段」に相当する。

(e)引用例1発明では,「ネットワークに接続するのであれば,Webページへ接続し,Webページではアンケートを用意し」,「ネットワークに接続しない場合には,パターン情報に格納した可読情報の中からアンケート(Webページと同じ)を消費者へ提示し」ているから,「文字ベースで作成したアンケート内容(設問内容)をディスプレイ部に表示して」いることは自明のことである。
また,引用例1発明の「パターン情報のデコード等を行って復元する処理」及び「パターン情報内の各情報を用いて表示するアンケート等の情報を消費者のコンピュータ上に再生する処理や,アンケートに対する応答の伝達方法を消費者に状況に合わせた伝達方法を選択させる処理等,企業側と消費者側と間の情報伝達を円滑に行う為の処理」が本願発明の「応募に必要な処理」に相当し,これらの処理は,「アプリケーションプログラム及び格納プログラム(応募支援ソフト)により行う」ものであり,また,引用例1発明が,上記「応募に必要な処理を行う手段」を備えていることも自明のことである。
してみれば,本願発明と引用例1発明とは,後記する点で相違するものの,ともに「設問内容をディスプレイ部に表示して応募に必要な処理を応募支援ソフトにより行う懸賞応募処理手段」を具備している点で共通する。

(f)引用例1発明の「アンケートの結果」が本願発明の「設問内容の回答」に相当する。
そして,引用例1発明では,パターン情報に含まれる「アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報(送信先情報)に基づいて,アンケートの結果(設問内容の回答)を企業側に送信」しており,当該パターン情報に含まれる「アンケートの結果等を返信する為のURL等の返信先についての情報(送信先情報)」は,「スキャナ等の光学的読み取り機器や専用の読み取り機53(撮像手段)で読み取られ」るものである。
また,引用例1発明の格納プログラム43(応募支援ソフト)は,「消費者にインターネットに接続するか否かを質問し,接続してよいという回答が得られればインターネットに接続してパターン情報41から復元したアンケート42に対する回答等を企業側のサーバに送信」するものであるから,上記「アンケートの結果(設問内容の回答)を格納プログラム(応募支援ソフト)により送信する」ことは明らかである。
また,引用例1発明が,上記「送信する手段」を備えていることも自明のことである。
してみれば,本願発明と引用例1発明とは,後記する点で相違するものの,ともに「撮像手段で読み取られた送信先情報に基づいて,設問内容の回答を応募支援ソフトにより送信する応募送信手段」を具備している点で共通する。

そうすると,本願発明と引用例1発明とは,
「携帯電話を用いて広告に付された懸賞情報を取得し所定の送信先に送信することにより,懸賞への応募を行う懸賞付き広告支援システムであって,
前記広告には設問が関連づけられているとともに,前記設問内容,送信先情報を含む懸賞情報を示す2次元バーコードが表示され,
前記携帯電話は,
応募処理を行う応募支援ソフトを格納する一方,
設問内容をディスプレイ部に表示して応募に必要な処理を前記応募支援ソフトにより行う懸賞応募処理手段と,
撮像手段で読み取られた送信先情報に基づいて,前記設問内容の回答を前記応募支援ソフトにより送信する応募送信手段と
を具備することを特徴とする懸賞付き広告支援システム。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では,広告が,「商品若しくは役務の広告」であり,懸賞が,「商品若しくは役務に対して実施されている懸賞」であるのに対して,引用例1発明では,広告及び懸賞が,どのようなものの「広告」及び「懸賞」であるのかが明らかでない点。

[相違点2]
本願発明では,「広告には設問が設定されている」のに対して,引用例1発明では,「広告には設問が関連づけられて」いるものの,印刷された広告に設問が設定されているものではない点。

[相違点3]
本願発明の応募支援ソフトは,「所定の書式で応募処理を行う」のに対して,引用例1発明のアプリケーションプログラム及び格納プログラムは,「所定の書式で応募処理を行う」か否かが明らかでない点。

[相違点4]
本願発明では,携帯電話が,「懸賞情報を読み取る撮像手段」を具備しているのに対して,引用例1発明では,携帯電話が,「懸賞情報を読み取る撮像手段」に相当する「スキャナ等の光学的読み取り機器や専用の読み取り機53」を具備しているものではない点。

[相違点5]
設問内容をディスプレイ部に表示する際,本願発明では,「撮像手段で読み取られた懸賞情報に基づいて」表示しているのに対し,引用例1発明では,「ネットワークに接続する場合」,「Webページへ接続し,Webページではアンケート(設問)を用意し」ており,この場合には,Webページのアンケート(設問)を表示している点。

[相違点6]
本願発明では,「懸賞応募処理手段に予め記録された個人情報」を送信しているのに対して,引用例1発明は,そのようになっていない点。

5.判断
上記各相違点について,検討する。

[相違点1]について
企業が,当該企業の商品や役務(サービス)をユーザーに告知するために懸賞付きの広告を実施することは通常行われている商慣行であるから,引用例1発明に当該商慣行を適用して,広告を,「商品若しくは役務の広告」とし,懸賞を,「商品若しくは役務に対して実施されている懸賞」とすることには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。

したがって,相違点1に係る本願発明の構成は,引用例1発明,及び商慣行に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

[相違点2]について
新聞等に印刷された広告に設問を設定して,はがき等で懸賞に応募させることは従来から広く行われていることである。
してみれば,引用例1発明において,新聞等の配布物に印刷された広告に設問を設定することにより,パソコン等の端末を有していない消費者でも,はがき等で懸賞に応募できるように構成することには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。

したがって,相違点2に係る本願発明の構成は,引用例1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点3]について
懸賞への応募を「所定の書式」を用いて行うことは,例えば国際公開第01/97110号(特に第5図,第7頁第20?24行,第15頁第13行?第16頁第7行の記載参照)等に記載されているように周知技術であるものと認められることから,引用例1発明に,当該周知技術を適用して,「所定の書式で応募処理を行う」ように構成することには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。

したがって,相違点3に係る本願発明の構成は,引用例1発明,及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点4]について
携帯電話に撮像手段を具備する構成は,例えば特開2004-126942号公報(特に図2,【0023】?【0025】段落の記載参照),特開2004-221819号公報(特に図1,図2,【0008】段落の記載参照)等に記載されているように周知技術であるものと認められることから,引用例1発明に,当該周知技術を適用して,携帯電話が「懸賞情報を読み取る撮像手段」を具備するように構成することには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。

したがって,相違点4に係る本願発明の構成は,引用例1発明,及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点5]について
引用例1発明のパターン情報には,「文字ベースで作成したアンケート内容」が含まれており,「ネットワークに接続しない場合」には,「パターン情報に格納した可読情報の中からアンケート(Webページと同じ)を消費者へ提示し」ているから,「ネットワークに接続する場合」にも当該パターン情報に含まれる「文字ベースで作成したアンケート内容」を用いることにより,「撮像手段で読み取られたパターン情報(懸賞情報)に基づいて」アンケート内容(設問内容)を表示するように構成することには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。

したがって,相違点5に係る本願発明の構成は,引用例1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点6]について
引用例2には,「懸賞に応募する際,懸賞応募者端末のメモリに記憶されているユーザの氏名,住所等のユーザ情報を懸賞実施者サーバへ送信すること」(引用例2記載事項)が記載されている
そして,引用例1発明及び引用例2は,いずれも端末を用いて懸賞に応募する技術に関するものであるから,引用例1発明に引用例2記載事項を適用して,アンケートの回答結果を企業側に送信して懸賞に応募する際,端末のメモリに記憶されているユーザの氏名,住所等のユーザ情報(本願発明における「個人情報」に相当する)を送信するように構成することには何ら困難性が無く,当業者が適宜なしうることである。
また,その際,当該個人情報を「懸賞応募処理手段に予め記録された」ものとすることは当業者が適宜なしうる設計的事項である。

したがって,相違点6に係る本願発明の構成は,引用例1発明,及び引用例2記載事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

そして,本願発明の作用効果も,引用例1発明,商慣行,周知技術,及び引用例2記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

なお,審判請求人は平成21年1月15日付けの審判請求書の手続補正書において以下のとおり主張している。

「(c)本願発明と引用文献との対比
すなわち,本願発明は,「懸賞応募に先立ち,所定の書式で応募処理を行う応募支援ソフトを予め格納することで,同一の懸賞応募,同じ会社の同じ書式の懸賞応募,異なる会社の同じ書式の懸賞応募に対しても,応募支援ソフトを利用することにより,個人情報についての応募処理及び送信処理が簡単に行うことができる」という特徴がある。
そして,「携帯電話側に,懸賞応募に先立ち,所定の書式で応募処理を行う応募支援ソフトを予め格納する」という構成については,各引用文献には記載されていない。
また,拒絶査定謄本の備考において,「ユーザ端末で使用するアプリケーションプログラムをその都度ダウンロードするか,予めユーザ端末に格納させておくかは適宜選択可能な選択的事項であり,携帯電話等において所定の様式で応募処理を行うための支援ソフトを予め携帯電話に格納させておくことは,周知技術及び引用文献1に記載の発明に基づいて当業者であれば適宜なし得たものである」とのご指摘を受けたが,本願発明は,単に,応募処理を行うために支援ソフトを予め携帯電話に格納させるものではなく,「所定の様式」とすることで応募様式の共通化を図り,「同一の懸賞応募,同じ会社の同じ書式の懸賞応募,異なる会社の同じ書式の懸賞応募に対しても,応募支援ソフトを利用することにより,個人情報についての応募処理及び送信処理が簡単に行うことができる」という独自の効果を奏することが可能となる。
そして,応募様式を共通化することで,同じ会社や他社の懸賞応募に対して個人情報についての応募処理及び送信処理を簡便化するという思想は,各引用文献に記載されていないので,本願発明の「所定の書式で応募処理を行う応募支援ソフトを予め格納する」構成は,各引用文献の記載や周知技術から案出できたものでない。」

審判請求人の上記主張について検討する。
(1)「所定の書式で応募処理を行う」点に関して
上記「[相違点3]について」で検討したとおりであるから,審判請求人の上記主張は採用することができない。
(2)「携帯電話側に,懸賞応募に先立ち,応募支援ソフトを予め格納する」点に関して
本願発明には,「応募支援ソフトを予め格納する」との記載はなされていないから,この点は,本願発明の構成に基づく主張ではなく,採用することができない。
なお,仮に「応募支援ソフトを予め格納する」との発明であるとしても,引用例1発明において,アプリケーションプログラムに格納プログラムの機能を持たせて,これを予め格納するように構成することには何ら困難性がなく,当業者であれば容易になしえたことである。

6.まとめ
以上のとおりであることから,本願発明は,引用例1発明,商慣行,周知技術,及び引用例2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
したがって,本願発明は,引用例1発明,商慣行,周知技術,及び引用例2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-20 
結審通知日 2011-05-24 
審決日 2011-06-06 
出願番号 特願2004-378139(P2004-378139)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 辻本 泰隆  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 須田 勝巳
松尾 俊介
発明の名称 懸賞付き広告支援システム  
代理人 和田 肇  
代理人 阪本 清孝  
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