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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1240506
審判番号 不服2009-13153  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-21 
確定日 2011-07-21 
事件の表示 特願2003-187213「検索サイトのサーバ、及び検索用ページ提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月27日出願公開、特開2005- 25287〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成15年6月30日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成23年4月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 利用者の端末からのアクセスを、仲介サイトを経由して受け付け、データベース連動型のホームページを提供する検索サイトのサーバであって、
商品関連情報を記憶するデータベースと、
前記仲介サイトごとに、商品関連情報を登録する企業ごとに作成された、検索条件の入力フィールドの表示形式及び入力形式と、商品のカテゴリのリストの表示形式と、検索結果の表示形式と、表示する企業に関する情報と、レイアウトとを規定する、前記商品関連情報の検索用ページのテンプレートであって同じ企業であっても複数のテンプレートを登録し、当該同じ企業の複数のテンプレートが、前記商品のカテゴリのリストの表示形式、前記検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレートを前記データベースに登録するためのテンプレート登録手段と、
利用者の端末からのアクセスを受付け、経由してきた仲介サイトを認識し、この仲介サイトに対応するテンプレートであって同じ企業であっても前記商品のカテゴリのリストの表示形式、前記検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレートを前記データベースから読み出して前記利用者の端末に提示し、利用者の端末において選択させるためのテンプレート選択手段と、
前記選択されたテンプレートにより規定されたレイアウトの検索用ページを前記利用者の端末に提供するための検索用ページ提供手段と
を備えることを特徴とする検索サイトのサーバ。」


2.引用例記載の発明
(1)当審による平成23年2月17日付けの拒絶理由通知書で引用した特開2002-14965号公報(以下、「引用例1」と呼ぶ。)には、次の記載がある。
「【0005】この発明は、上記の課題に鑑み、複数の企業が提供する商品やサービスについて、個々の企業が情報提供システムを構築する手間を省くとともに、情報の受け手である消費者には個々の企業が情報提供システムを提供しているような外観を呈することによって、各企業が自社製品のPRを最大限に図ることのできる情報提供システムを提供することを目的とする。」

「【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するために、本発明の情報提供システムは、クライアントからのアクセスを受付けて情報をクライアントに提供する情報提供サーバと、前記情報提供サーバにアクセス可能なリンクをクライアントに提供する複数のリンク提供サーバ群とを備え、前記複数のリンク提供サーバ群のうち任意のリンク提供サーバにアクセスしたクライアントが、当該リンク提供サーバによって提供されたリンクによって前記情報提供サーバにアクセスしたとき、前記リンク提供サーバに特有の情報を含む情報を前記クライアントに提供することを特徴とする。
【0007】また、クライアントからのアクセスを受付けて情報をクライアントに提供する情報提供サーバと、前記情報提供サーバにアクセス可能なリンクをクライアントに提供する複数のリンク提供サーバ群とを備え、前記情報提供サーバは、前記複数のリンク提供サーバ群の情報を参照可能であり、前記複数のリンク提供サーバ群のうち任意のリンク提供サーバにアクセスしたクライアントが、当該リンク提供サーバによって提供されたリンクによって前記情報提供サーバにアクセスしたとき、前記情報提供サーバに対してクライアントから前記リンク提供サーバの情報が送信され、前記情報提供サーバは、前記参照可能な複数のリンク提供サーバ群の情報と前記送信されたリンク提供サーバの情報とを比較し、前記リンク提供サーバに特有の情報を含む情報を前記クライアントに提供することを特徴とする。
【0008】また、本発明の情報提供サーバは、クライアントからのアクセスを受付けて情報をクライアントに提供する情報提供サーバであって、当該情報提供サーバへのリンクを提供する複数のリンク提供サーバ群のうち、任意のリンク提供サーバにアクセスしていた前記クライアントが、前記リンク提供サーバによって提供されるリンクによって当該情報提供サーバにアクセスしたときに、前記リンク提供サーバに特有の情報を含む情報を前記クライアントに提供することを特徴とする。」

「【0014】
【発明の実施の形態】(システムの全体構成)図1は、本発明の1実施形態による情報提供システムのネットワーク構成図である。この情報提供システムは、ネットワークN上で情報を公開する情報提供サーバXと、ネットワークN上で情報を公開するとともにサーバXに対するハイパーリンクを提供するサーバ群A、B、…とを備えている。サーバA、B、X等は、典型的にはそれぞれ別々の企業が運営する。サーバA、B、X等に対するクライアントであるユーザ端末U1、U2、U3、…は、ネットワークを通じてサーバA、B、X等にアクセス可能となっている。ネットワークNの例としては、典型的にはインターネットが挙げられる。
【0015】サーバA、Bは、自らの企業についてのWEBサイトを提供する。例えば自らの企業のホームページ、プロフィール、情報提供サーバXで公開しきれないその他の情報等を公開する。サーバA、B等は、自らの企業が提供する商品又はサービスについての情報公開システムを備える必要はないが、サーバA、B等が提供するページには、情報提供サーバXが提供するページにジャンプするためのハイパーリンクが含まれている。例えば、ユーザ端末U1上に展開されたサーバAの提供ページにおいて、ユーザが上記のリンクをクリックすると、ユーザ端末U1は、情報提供サーバXに対して、閲覧要求と、サーバA(又はその運営者)を識別する情報とを送信する。サーバA、Bは、必要に応じてデータベースサーバa、bがそれぞれ接続される。また、図示しないメールサーバも接続されている。
【0016】情報提供サーバXは、データベースを格納するデータベースサーバYに接続されており、サーバ群A、B、…を運営する企業の商品又はサービスについての情報を提供する。情報提供サーバXは、ユーザ端末U1等からアクセスを受けたとき、ユーザ端末U1等がどのサーバからページ遷移してきたかを判断し、例えばサーバAが提供するページから情報提供サーバXが提供するページにページ遷移しようとしたときは、サーバAを運営する企業に特有の情報をユーザ端末U1等に提供する。」

「【0024】図5は、ステップS105でユーザ端末に送信される検索条件入力画面の例を示す画面構成図である。検索条件入力画面は、サーバAから遷移してきた場合でもサーバBから遷移してきた場合でも大部分が共通の内容であるが、ページ上部と下部に、上記の例におけるページ遷移元のサーバであるサーバAに特有の情報(サーバAの企業ロゴマーク、サーバAの広告など)51、52が含められる。」

ここで、引用例1の上記記載事項を技術常識に照らせば、以下のことがいえる。
ア.段落【0016】にあるように、「情報提供サーバX」は、「データベースを格納するデータベースサーバYに接続されており、サーバ群A、B、…を運営する企業の商品又はサービスについての情報を提供する」ものであり、そこで提供される、図5に例示されるようなホームページは、「データベースと連動して情報検索を行うためのホームページ」、換言すれば、「データベース連動型のホームページ」とも呼び得る。
イ.上記「情報提供サーバX」と「「データベースを格納するデータベースサーバY」とを併せた部分は、「検索サイトのサーバ」とも呼び得る。また、そこでいう「データベース」は、「商品関連情報」と呼び得る情報を記憶するものである。
ウ.上記図5に例示されるようなホームページは、検索用のページであって、リンク提供サーバごとに異なる「リンク提供サーバに特有の情報」を含むものであるから、「リンク提供サーバごとに異なる検索用ページ」とも呼び得るものである。

したがって、引用例1には、
「ユーザ端末からのアクセスを、リンク提供サーバを経由して受け付け、データベース連動型のホームページを提供する検索サイトのサーバであって、
商品関連情報を記憶するデータベースと、
ユーザ端末からのアクセスを受付け、経由してきたリンク提供サーバを認識し、このリンク提供サーバに対応する『リンク提供サーバに特有の情報』に従ってリンク提供サーバごとに異なる検索用ページを前記ユーザ端末に提供するための検索用ページ提供手段と
を備える検索サイトのサーバ。」の発明(以下、「引用例1記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。

(2)当審による平成23年2月17日付けの拒絶理由通知書で引用した特開2001-344284号公報(以下、「引用例2」と呼ぶ。)には、次の記載がある。
「【0074】作成されるユーザー用のリンクページのページレイアウトは、ページの背景色,壁紙の種類,リンクの配置,イラスト,広告バナーの位置等のデザインが異なる複数タイプが予め用意されており、登録するユーザーが自分用のリンクページとして好ましいと考えるデザインのものを選択できるようにしている。
【0075】尚、本実施例では行わなかったが、ユーザーが作ったホームページとのデザイン上の違和感をなくすために、特別注文でリンクページのデザインを管理者に作成依頼できるようにしても良い。」

「【0101】[ユーザー用リンクページ表示までの流れ]図3はリンクページが表示されるまでの流れを説明する図である。
【0102】ユーザーのホームページの閲覧者(20)は、ユーザーのホームページに設けられたリンクボタンをクリックする。尚、リンクボタンとは他のwebページへのジャンプを指定するボタンであり、ホームページには一般的に用いられている。
【0103】只、このリンクボタンをクリックしてジャンプする先が従来のような同一ホームページ内に設けられたリンクページではなく、管理者サーバ(1)に設けられているリンクページである点が異なる。
【0104】しかしながら、閲覧者(20)はジャンプ先がどのサーバであるのかを意識することは少ないので、通常は管理者サーバ(1)内のリンクページにジャンプしたことを気づきにくく、従来からの操作上の違和感は感じない。
【0105】管理者サーバ(1)はリンクページへのアクセスがあると、接続情報の中から、閲覧者(20)がどのURLからリンクしてきたかを検出する。そして検出したURLでユーザー情報データベース(5)を検索してリンク元のホームページを管理しているユーザーのアカウントを取得する。
【0106】そしてユーザーのアカウントでレイアウトデータベース(8)に記録されている該ユーザーの指定したページレイアウト情報を取得する。
【0107】更に、ユーザーのアカウントでリンクリストデータベース(6)から該ユーザー用のリンクリスト情報を取得する。このリンクリスト情報はユーザーが自ら登録したリンク先と、相互リンクにより自動的に追加登録されたリンク先とからなるリンク先のリストである。但し、このリストには具体的なURLやホームページ説明などの情報は含んでおらず、そのような具体的なリンク情報と結びつけるための項目、例えば番号(ユーザーのアカウントを利用しても良い)を集めたリストである。
「【0108】このリンクリスト情報を元にリンクデータベース(7)より具体的なリンク情報であるURL、ホームページ名、ホームページ説明文等を取得する。
【0109】本実施例ではユーザー用リンクページにバナー広告を表示させるので、バナーデータベース(9)からバナー情報を抽出する。ここで抽出するバナー情報は複数記録されているバナー情報から所定の順番又はランダムに抽出されたバナーの情報である。必要ならば、ユーザーのホームページのカテゴリや内容に合わせて、そのホームページに関係のあるバナー情報を抽出するようにしても良い。
【0110】例えば、ペット関係のホームページについてのリンクページである場合には、バナーデータベース(9)に登録されているバナーからペットショップ、ペットフード等のバナー情報を選択して表示することが考えられる。そのようにすれば、閲覧者(20)は興味有る広告なので見て楽しく、バナー広告の依頼者にとっては宣伝効果が大きい。
【0111】管理者サーバ(1)は取得したページレイアウト情報と、リンク情報と、バナー情報とを組み合わせて該ユーザー用のリンクページを生成する。これにより、バナー情報やリンク情報が所定の位置にレイアウトされたユーザー用リンクページが完成する。」

ここで、引用例2の上記記載事項を技術常識に照らせば、以下のことがいえる。
ア.「管理者サーバ(1)」のサイトは、「ユーザー用リンクページ」というページを、ユーザーのサイトに代わって閲覧者に提供する機能を有するサイトである。
イ.段落【0105】でいう「リンク元」は、上記ユーザのサイトであり、それは、上記閲覧者による「管理者サーバ(1)」へのアクセスを仲介する機能を有するものであるから「仲介サイト」とも呼び得るものである。
ウ.上記「閲覧者」は、本願発明でいう「利用者」に相当するものであり、上記「管理者サーバ(1)」のサイトによる上記閲覧者(利用者)へのページ(ユーザー用リンクページ)の提供は、閲覧者(利用者)の端末からのアクセスを、ユーザーのサイト(仲介サイト)を経由して受け付けることに応じて為されるものである。
エ.上記「管理者サーバ(1)」は、上記ユーザーのサイト(仲介サイト)ごとのページレイアウト情報を記録したレイアウトデータベース(8)を有しており、上記ユーザーのサイト(仲介サイト)ごとに上記ページレイアウト情報を上記レイアウトデータベース(8)に登録する手段を、当然に有している。
オ.上記「管理者サーバ(1)」は、上記ページレイアウト情報により規定されたレイアウトのページを上記利用者の端末に提供する手段も当然に有している。

したがって、引用例2には、「利用者の端末からのアクセスを、仲介サイトを経由して受け付け、ページを提供するサイトのサーバであって、前記仲介サイトごとにページレイアウト情報をデータベースに登録する手段と、前記ページレイアウト情報により規定されたレイアウトのページを前記利用者の端末に提供する手段と、を備えるサーバ。」の発明(以下、「引用例2記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。

3.対比
本願発明と引用例1記載発明を対比すると、引用例1記載発明の「ユーザ端末」、「リンク提供サーバ」は、それぞれ、本願発明の「利用者の端末」、「仲介サイト」に相当する。
また、引用例1記載発明の「リンク提供サーバごとに異なる検索用ページ」と本願発明の「前記選択されたテンプレートにより規定されたレイアウトの検索用ページ」とは、「仲介サイトごとに異なる検索用ページ」である点で共通する。
したがって、本願発明と引用例1記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「利用者の端末からのアクセスを、仲介サイトを経由して受け付け、データベース連動型のホームページを提供する検索サイトのサーバであって、
商品関連情報を記憶するデータベースと、
前記仲介サイトごとに異なる検索用ページを前記利用者の端末に提供するための検索用ページ提供手段と
を備えることを特徴とする検索サイトのサーバ。」である点。

(相違点)
本願発明の「検索サイトのサーバ」は、「前記仲介サイトごとに、商品関連情報を登録する企業ごとに作成された、検索条件の入力フィールドの表示形式及び入力形式と、商品のカテゴリのリストの表示形式と、検索結果の表示形式と、表示する企業に関する情報と、レイアウトとを規定する、前記商品関連情報の検索用ページのテンプレートであって同じ企業であっても複数のテンプレートを登録し、当該同じ企業の複数のテンプレートが、前記商品のカテゴリのリストの表示形式、前記検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレートを前記データベースに登録するためのテンプレート登録手段」と「利用者の端末からのアクセスを受付け、経由してきた仲介サイトを認識し、この仲介サイトに対応するテンプレートであって同じ企業であっても前記商品のカテゴリのリストの表示形式、前記検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレートを前記データベースから読み出して前記利用者の端末に提示し、利用者の端末において選択させるためのテンプレート選択手段」を有しており、本願発明の「仲介サイトごとに異なる検索用ページ」は、「テンプレート選択手段を用いて利用者の端末において選択されたテンプレートにより規定されたレイアウトの検索用ページ」であるのに対し、引用例1記載発明の「検索サイトのサーバ」は、そのような「テンプレート登録手段」と「テンプレート選択手段」を有しておらず、引用例1記載発明の「仲介サイトごとに異なる検索用ページ」は、「テンプレート選択手段を用いて利用者の端末において選択されたテンプレートにより規定されたレイアウトの検索用ページ」ではない点。

4.当審の判断
(1)上記相違点について
下記ア.?ク.の事情を総合すると、引用例1記載発明の「検索サイトのサーバ」を、「前記仲介サイトごとに、商品関連情報を登録する企業ごとに作成された、検索条件の入力フィールドの表示形式及び入力形式と、商品のカテゴリのリストの表示形式と、検索結果の表示形式と、表示する企業に関する情報と、レイアウトとを規定する、前記商品関連情報の検索用ページのテンプレートであって同じ企業であっても複数のテンプレートを登録し、当該同じ企業の複数のテンプレートが、前記商品のカテゴリのリストの表示形式、前記検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレートを前記データベースに登録するためのテンプレート登録手段」と「利用者の端末からのアクセスを受付け、経由してきた仲介サイトを認識し、この仲介サイトに対応するテンプレートであって同じ企業であっても前記商品のカテゴリのリストの表示形式、前記検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレートを前記データベースから読み出して前記利用者の端末に提示し、利用者の端末において選択させるためのテンプレート選択手段」を有するものとし、引用例1記載発明の「仲介サイトごとに異なる検索用ページ」を、「テンプレート選択手段を用いて利用者の端末において選択されたテンプレートにより規定されたレイアウトの検索用ページ」とすること、換言すれば、引用例1記載発明において、上記相違点に係る本願発明の構成を採用すること、は、当業者が容易に想到し得たことというべきである。
ア.上記「2.」の「(2)」の欄で述べたように、引用例2には、「利用者の端末からのアクセスを、仲介サイトを経由して受け付け、ページを提供するサイトのサーバであって、前記仲介サイトごとにページレイアウト情報をデータベースに登録する手段と、前記ページレイアウト情報により規定されたレイアウトのページを前記利用者の端末に提供する手段と、を備えるサーバ。」(引用例2記載発明)が記載されている。
イ.引用例1記載発明の「検索サイトのサーバ」は、「ページを提供するサイトのサーバ」とも言い得るものであって、該引用例1記載発明と上記引用例2記載発明は、「利用者の端末からのアクセスを、仲介サイトを経由して受け付け、ページを提供するサイトのサーバ」に関するものであるという意味において、共通の技術分野に属するものである。
ウ.引用例1記載発明は、引用例1の段落【0005】にもあるように、「個々の企業が情報提供システムを提供しているような外観を呈する」ようにしたものであるから、該引用例1記載発明においても、引用例2記載発明が有用であることは当業者に自明である。
エ.上記ア.?ウ.によれば、引用例1記載発明に引用例2記載発明を適用することは、当業者が容易に推考し得たことである。
オ.一般に、「レイアウト情報」を「テンプレート」として登録することは、ごく普通に行われていることであり、上記エ.に従って引用例1記載発明に引用例2記載発明を適用する際においても、「レイアウト情報」を「テンプレート」として登録するようにすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
また、その際、検索用ページやテンプレートにどのような具体的情報を含めるかは、当業者が適宜決定すべき事項であるし、「検索条件の入力フィールドの表示形式及び入力形式」、「商品のカテゴリのリストの表示形式」、「検索結果の表示形式」、「表示する企業に関する情報」、「全体のレイアウト」は、いずれも、検索用ページを設計する際に当業者がごく普通に考慮する事項であって格別のものではないから、該テンプレートを、「商品関連情報を登録する企業ごとに作成された、検索条件の入力フィールドの表示形式及び入力形式と、商品のカテゴリのリストの表示形式と、検索結果の表示形式と、表示する企業に関する情報と、レイアウトとを規定する、前記商品関連情報の検索用ページのテンプレート」とすることも、当業者が容易に推考し得たことである。
カ.情報を提示する際の表示形式を複数用意しておき、当該情報の利用者が、当該情報を利用する際に、該複数の用意された表示形式の中から必要性や好みに応じて選択して利用できるようにすることは、当審による平成23年2月17日付けの拒絶理由通知書で周知技術を示す例である引用文献3として引用した、「山下哲一、画像や仕掛けの過ちと正解03 小さなバナーからページ全体までFlashを効果的に利用しよう、MdN、日本、2001.12.01発行、vol.92、p65」(以下、「周知例」と呼ぶ。)にも示され、また、「各種情報を表示する多くの端末において、表示情報の色、フォント、背景等が利用者によって選択可能とされている」といった事実にも見られるように、ごく普通に行われていることである。そして、そのごく普通に行われていることが、上記エ.に従って引用例1記載発明に引用例2記載発明を適用する際においても有用な場合があることは、当業者に自明である。
キ.上記エ.に従って引用例1記載発明に引用例2記載発明を適用する際、「商品関連情報を記憶するデータベース」と「ページレイアウト情報登録するデータベース」を共通のデータベースとするか異なるデータベースとするかは、当業者が適宜決定し得た事項である。
ク.以上のことは、引用例1記載発明において、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったことを意味している。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例1、2の記載事項や周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(3)審判請求人の主張について
審判請求人は、平成23年4月25日付けの意見書において、
「引用文献1(審決注:本審決でいう引用例1)には、仲介サイトに応じたテンプレートであり同じ企業であっても、複数のテンプレートを登録しておくという思想もありませんし、この企業に応じた複数のテンプレートのなかからユーザによってテンプレートを選択してもらい、検索結果を表示させるような思想もありません。」、
「引用文献2(審決注:本審決でいう引用例2)には、仲介サイトに応じたテンプレートであり同じ企業であっても、複数のテンプレートを登録しておくという思想もありませんし、この企業に応じた複数のテンプレートのなかからユーザによってテンプレートを選択してもらい、検索結果を表示させるような思想もありません。」、
「引用文献3(審決注:本審決でいう周知例)には、テンプレートを複数の中から選択可能とする点について記載されております。この引用文献3のものは、Flashサイトをつくる際、HTMLページも作成してユーザに選択可能にするものですが、選択させるのは、ユーザの端末の利用環境に対応させることを目的としたものであり、本願発明のように、企業の商品の特性に対応したテンプレートを用いて検索を行うことができるだけでなく、ユーザの好みに応じてテンプレートを変えて検索を行うことができるような効果を得るための目的を有するものではありません。そして、引用文献3のものは、単にFlashやHTMLのようにデータの形式を選択する思想であり、本願発明の「同じ企業であっても複数のテンプレートを登録し、当該同じ企業の複数のテンプレートが、商品のカテゴリのリストの表示形式、検索結果の表示形式、の少なくともいずれか1つが異なって規定されたテンプレート」のように、リストの表示形式や検索結果の表示形式が異なるものを選択させるものではありません。このように、引用文献3には、本願発明のような思想がありませんし、構成および効果が異なることから、本願発明は、引用文献3から容易に想到できたものではないと思料致します。」、
などと主張するが、以下の理由で採用できない。
ア.本願明細書の段落【0052】の「図14は、検索用ページの表示レイアウトをフレーム版、FLASH版(登録商標)にするかなどを選択する場合の例を示したものである。」という記載等によれば、本願発明でいう「表示形式」は、上記引用文献3(周知例)に示されるような「FlashかHTMLか」といった事項を含むものと解されるから、引用文献3(周知例)に本願発明のような思想がないとはいえない。
イ.仮に、本願発明でいう「表示形式」は、上記引用文献3(周知例)に示されるような「FlashかHTMLか」といった事項を含むものではないと言い得たとしても、上記「(1)」の「カ.」の欄でも触れたように、「情報を提示する際の表示形式を複数用意しておき、当該情報の利用者が、当該情報を利用する際に、該複数の用意された表示形式の中から必要や好みに応じて選択して利用できるようにすること」自体は、該引用文献3(周知例)を待つまでもなく、ごく普通に行われていることであるから、審判請求人が上記意見書で主張する意味における「本願発明のような思想」が上記拒絶理由通知でいう引用文献1?3(本審決でいう引用例1、引用例2、周知例)にないことは、本願発明が容易想到でなかったことを意味しない。

5.むすび
以上によれば、本願発明は、引用例1記載発明、引用例2記載発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-20 
結審通知日 2011-05-24 
審決日 2011-06-06 
出願番号 特願2003-187213(P2003-187213)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀田 馨  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 岩崎 伸二
久保 正典
発明の名称 検索サイトのサーバ、及び検索用ページ提供方法  
代理人 志賀 正武  
代理人 伏見 俊介  
代理人 渡辺 浩史  
代理人 鈴木 史朗  
代理人 高橋 詔男  

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