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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1241024
審判番号 不服2010-5332  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-10 
確定日 2011-08-04 
事件の表示 特願2006- 10321「画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月 2日出願公開、特開2007-194850〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年1月18日の出願であって、平成20年9月17日付けの拒絶理由の通知に対し、平成20年11月19日付けで手続補正がなされ、続く平成21年5月19日付けの拒絶理由の通知に対し、平成21年7月21日付けで手続補正がなされたが、平成21年12月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年3月10日に審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成22年3月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年3月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「原稿を読取って得られる画像データに対して処理を施す画像処理方法において、
原稿を読取って得られる画像データから色情報の特徴を表す特徴量を抽出するステップと、前記画像データに色情報の特徴を表す特徴量を示す情報が付加されているか否かを判断することにより、前記原稿がオリジナルであるか否かを判断するステップと、前記原稿がオリジナルであると判断した場合、抽出した特徴量を示す情報を前記画像データに付加するステップと、前記原稿がオリジナルでないと判断した場合、画像データに付加されている情報が示す特徴量と前記原稿について抽出した特徴量との差分を算出するステップと、算出した差分と所定値との大小関係を判定するステップと、判定した結果に基づき、前記画像データに対して処理を施すべきか否かを判断するステップと、施すべしと判断した場合、前記特徴量を用いて、前記オリジナルに色味を近づけるような処理を前記画像データに対して施すステップとを有することを特徴とする画像処理方法。」
と補正された。

2.補正の適否
上記補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の「前記オリジナルに色味を近づけるような処理」を「前記特徴量を用いて、前記オリジナルに色味を近づけるような処理」と補正することにより、「前記オリジナルに色味を近づけるような処理」に「前記特徴量を用い」ることを限定するものであるから、発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「第2.1.」に記載した事項により特定されるとおりのものである。

(2)刊行物発明
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された特開平11-266366号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次のア?オの事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原稿の画像を読み取って被記録媒体上に画像を形成する画像複写装置に関するものであり、特に、複写された画像を再度複写するいわゆるジェネレーションコピーに対応した機能を有する画像複写装置にに関するものである。」

イ「【0012】図6に示す構成における処理動作の一例を説明する。図5に示すような画像入力部1において原稿上の画像を読み取り、CCD18にて光電変換された画像信号が画像処理部2に入力される。画像処理部2では、まずA/D変換器21において画像信号をディジタル化し、シェーディング補正部22でシェーディング補正し、ENL変換部23、第1色変換部24を経て点順次のL* a* b* 均等色空間の画像信号を得る。
【0013】第2色変換部25および墨生成処理部26では、プリンタに使用するトナー(K,Y,M,C)の色信号への変換を行なう。第2色変換部25では色補正処理も行なわれる。さらに、精細度処理27、記録系γ補正28において、MTF補正処理や階調補正処理など、基本的な画像処理が行なわれる。このような画像処理が施された画像信号が画像形成部3に渡される。
【0014】画像形成部3では、中間調処理部51において渡された画像信号に基づいて中間調処理して例えばレーザー光源31の駆動制御を行ない、プリンタ部52において記録用紙などの被記録媒体にカラー画像を形成し、出力する。このようにして、原稿上の画像が被記録媒体上に複写される。」

ウ 「【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ジェネレーションコピーにおける画質の劣化を低減するとともに、ジェネレーションコピー時の使用者の負担を軽減した画像複写装置を提供することを目的とするものである。」

エ 「【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の画像複写装置の実施の一形態を示すブロック図である。図中、図6と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。61は検出部、62は制御部、63はROM、64はRAM、65は特定パターン座標記憶部、66はパターン除去部、67はパターン付加部、68は座標信号発生部である。ここでは、複写情報をイエロー(Y)にて特定パターンの画像として被記録媒体上に形成するものとする。イエローは目立ちにくく、複写情報を被記録媒体上に形成しても他の画像に対する影響はほとんどないという特質を有している。
【0022】検出部61は、第1色変換部24から出力されるL* a* b* 色空間の画像信号のうち、イエローを含むb* 信号を取り出し、制御部62から与えられる特定パターンとの比較を行なって、読み取った画像から与えられた特定パターンを検出する。特定パターンが検出されたとき、その位置を座標信号発生部68からの座標信号によって特定し、位置情報も制御部62に伝える。
【0023】制御部62は、装置全体を制御するとともに、検出部61で検出する特定パターンをROM63から読み出して検出部61に供給する。また、検出部61で特定パターンが検出された場合、その特定パターンが検出された位置を特定パターン座標記憶部65に記憶させ、またその特定パターンをパターン除去部66に送るとともに、その特定パターンに対応した制御パラメータをROM63から読み出してRAM64に格納する。さらに、新たな複写情報に対応する特定パターンをパターン付加部67に送る。
【0024】ROM63は、複写情報に対応する1または複数の特定パターンと、その特定パターンが検出された場合にその特定パターンに対応して各部に設定すべき制御パラメータがあらかじめ格納されている。RAM64は、各部に設定する制御パラメータを保持する。この例では、第2色変換部25、精細度処理部27、記録系γ補正部28に対して、それぞれ色補正処理、MTF補正処理、階調補正処理のための制御パラメータを保持する。第2色変換部25、精細度処理部27、記録系γ補正部28は、それぞれ、RAM64に記憶されている制御パラメータに従って、色補正処理、MTF補正処理、階調補正処理等を行なう。
【0025】特定パターン座標記憶部65は、検出部61で特定パターンが検出された場合に、その特定パターンが存在している位置を記憶する。パターン除去部66は、制御部62から与えられる特定パターンを用いて、特定パターン座標記憶部65に記憶されている位置に存在する画像中の特定パターンを除去するようにイエロー(Y)の信号を発生し、画像のY信号に加える。パターン付加部67は、画像中の特定の1または複数の位置に制御部62から与えられる特定パターンが形成されるように、Y信号を発生して画像のY信号に加える。座標信号発生部68は、図示しない同期信号発生手段から得られる画素ごとの転送同期信号VIDEO-CLOCKと、ラインごとの同期信号LINE-SYNCに従って座標信号を発生し、検出部61およびパターン除去部66に供給する。」

オ 「【0028】図2は、特定パターンの具体例の説明図である。図中の矩形は画素を示している。また‘1’は記録する画素を、‘0’は記録しない画素を示している。図2(A)に示すパターンは、主走査方向に‘1’,‘0’が繰り返されるパターンである。このパターンを副走査方向に1ラインごとに1画素ずらして形成することによって、例えばジェネレーションコピー時に90゜回転した状態で原稿が載置されても、同様のパターンとして検出することができる。図2(B)に示すパターンは‘1’,‘1’,‘0’,‘0’の繰り返しパターンである。この場合も2ラインごとに2画素ずらして形成すれば、90゜回転して載置された原稿についても、同様のパターン検出が可能である。図2(C)に示すパターンは‘1’,‘0’,‘0’の繰り返しパターンである。この場合も、各ラインごとに1画素ずらして形成すれば、90゜回転時にも対応できる。
【0029】なお、このようなパターンは1画素単位に限らず、例えばn×m画素ブロック単位に設定することもできる。また、これらのパターンに限らず、任意のパターンとすることができる。また、ここでは単純な繰り返しパターンを示しているが、例えば複写時の各部の設定パラメータを示すパターンを付加してもよい。さらには、複写情報としてこのような特定パターンに限らず、文字記号、図形などによって形成することも可能である。
【0030】ここでは、図2(A)に示すパターンを特定パターン1として、通常の、特定パターンが付加されていない原稿を複写した際に付加する。また、図2(B)に示すパターンを特定パターン2として、特定パターン1が付加された原稿を複写した際に付加する。さらに、図2(C)に示すパターンを特定パターン3として、特定パターン2が付加された原稿を複写した際に付加するものとする。
【0031】図3は、本発明の画像複写装置の実施の一形態における動作の一例を示すフローチャート、図4は、特定パターンの検出結果と各部の制御動作の関係の説明図である。この例では、実際の複写動作に先立ってプレスキャンを行ない、複写情報である特定パターンの検出を行なう例を示している。
【0032】S101において、実際の複写動作に先立って、原稿上の画像を画像入力部1によって読み取る。読み取った画像信号は、A/D変換器21によりディジタル信号に変換され、シェーディング補正部22、ENL変換部23、第1色変換部24で画像処理が施され、点順次のL* ,a* ,b* 信号を得る。
【0033】b* 信号は検出部213に入力される。検出部61には、ROM63にあらかじめ格納されている特定パターンが制御部62によって送られており、S102において、読み取った画像のb* 信号と特定パターンとの比較を行なう。比較の結果、S103で特定パターン2以降のパターンとの一致が検出された場合、S131へ進む。また、S102で特定パターン1との一致が検出された場合、S121へ進む。特定パターンが検出されなかった場合には、S111へ進む。
【0034】通常の印刷物などの原稿を複写するような複写(以下、第1世代の複写と呼ぶ)の場合には、この画像複写装置を用いて作成された原稿ではないので特定パターンは存在しない。その場合にはS111?S116の処理を行なう。このとき、図4における「特定パターン無し」の欄に示すような各部の制御を行なう。すなわち、まずS111において、検出部61は制御部62に対して制御信号「00」を送る。制御部62は制御信号「00」を受け、S112において、ROM63から制御パラメータとして「パラメータ0」を読み込んでRAM64に書き込む。またS113において、形成する画像に付加する特定パターンとして、第1世代の複写であることを表わす「特定パターン1」をパターン付加部67に設定する。なお、この第1世代の複写の場合には、原稿中に特定パターンが存在しないので、パターン除去部66には除去パターンを設定しない。
【0035】このような設定が行なわれた後、S114において複写動作を開始する。原稿上の画像を画像入力部1によって読み取り、A/D変換器21によるディジタル信号への変換、シェーディング補正部22、ENL変換部23、第1色変換部24での画像処理が行なわれ、点順次のL* ,a* ,b* 信号が得られる。さらに第2色変換部25ではRAM64に書き込まれた「パラメータ0」を用いて色補正などの色変換処理を行ない、Y,M,C信号を出力する。墨生成処理部26でK信号を生成してK,Y,M,C信号とした後、精細度処理部27ではRAM64に書き込まれた「パラメータ0」を用いてMTF補正処理などの画像処理を行なう。さらに記録系γ補正部28においてもRAM64に書き込まれた「パラメータ0」を用いて階調補正処理の一つであるγ補正処理を行なう。
【0036】一方、パターン付加部67では、制御部62から設定された「特定パターン1」の画像(例えば図2(A)に示すパターン)を生成する。そしてS116において、イエローの画像の形成時に、上述のようにして「パラメータ0」に従った画像処理を行なった画像信号のうちのY信号に、生成した「特定パターン1」の画像を付加する。そして、「特定パターン1」が付加された画像を画像形成部3において被記録媒体に形成する。このようにして第1世代の複写により、複写情報としてイエローの「特定パターン1」が含まれた画像が被記録媒体上に形成される。
【0037】次に、第1世代の複写で画像が形成された被記録媒体を複写元の原稿として複写を行なう(いわゆるジェネレーションコピー)場合について説明する。この複写を、ここでは第2世代の複写と呼ぶことにする。この場合には、検出部61で例えば図2(A)に示すような「特定パターン1」が検出される。そのためS121?S129の処理を行なう。このとき、図4における「特定パターン1」の欄に示すような各部の制御を行なう。
【0038】検出部61からは、「特定パターン1」を検出した位置が制御部62に伝えられ、制御部62はS121において、「特定パターン1」の検出位置を特定パターン座標記憶部65に格納する。
【0039】また検出部61は、S122において、制御部62に対して制御信号「01」を送る。制御部62は制御信号「01」を受け、S123において、ROM63から制御パラメータとして「パラメータ1」を読み込んでRAM64に書き込む。またS124において、パターン除去部66に対して読み込んだ画像中の「特定パターン1」を除去するように指示する。さらにS125において、形成する画像に付加する特定パターンとして、第2世代の複写であることを表わす「特定パターン2」をパターン付加部67に設定する。
【0040】このような設定が行なわれた後、S126において複写動作を開始する。原稿上の画像を画像入力部1によって読み取り、A/D変換器21によるディジタル信号への変換、シェーディング補正部22、ENL変換部23、第1色変換部24での画像処理が行なわれ、点順次のL* ,a* ,b* 信号が得られる。さらに第2色変換部25ではRAM64に書き込まれた「パラメータ1」を用いて色補正などの色変換処理を行ない、Y,M,C信号を出力する。
【0041】パターン除去部66は、S127において、指示された「特定パターン1」を除去する除去パターンを生成する。そして、第2色変換部25から出力されたY信号に対して、特定パターン座標記憶部65に格納されている位置に生成した除去パターンを付加して「特定パターン1」を除去する。
【0042】「特定パターン1」が除去されたY,M,C信号は、墨生成処理部26でK信号が生成されてK,Y,M,C信号となる。S128において、精細度処理部27ではRAM64に書き込まれた「パラメータ1」を用いてMTF補正処理などの画像処理を行なう。さらに記録系γ補正部28においてもRAM64に書き込まれた「パラメータ1」を用いて階調補正処理の一つであるγ補正処理を行なう。
【0043】パターン付加部67では、制御部62から設定された第2世代の複写であることを示す「特定パターン2」の画像(例えば図2(B)に示すパターン)を生成する。そしてS129において、イエローの画像の形成時に、上述のようにして「パラメータ1」に従った画像処理を行なった画像信号のうちのY信号に、生成した「特定パターン2」の画像を付加する。そして、「特定パターン2」が付加された画像を画像形成部3において被記録媒体に形成する。このようにして第2世代の複写により、複写情報として第1世代の複写時とは異なったイエローの「特定パターン2」が含まれた画像が被記録媒体上に形成される。
【0044】このようにして第2世代の複写がなされた被記録媒体を複写元の原稿として複写を行なう第3世代の複写についても、ほぼ上述の第2世代の複写と同様にして複写を行なうことができる。この場合には、図4における「特定パターン2」の欄に示すような各部の制御を行なうことになる。すなわち、S131、S132において、検出部61で「特定パターン2」を検出してその位置と制御信号「10」を制御部62へ伝え、制御部62は検出位置を特定パターン座標記憶部65に格納する。また、S133でROM63から「パラメータ2」を読み込み、RAM64に格納する。さらにS134でパターン除去部66に「特定パターン2」の除去を指示し、S135でパターン付加部67に「特定パターン3」の付加を指示する。そしてS136で複写を開始し、「パラメータ2」に従った第2色変換部25における処理の後、S137で画像信号から「特定パターン2」を除去し、S138で墨生成処理部26の処理および「パラメータ2」に従った精細度処理部27、記録系γ補正部28の処理を行なう。さらにS139において、パターン付加部67によってイエローの例えば図2(C)に示すような「特定パターン3」が付加されて、画像形成部3において画像が形成される。形成された画像中には、イエローで「特定パターン3」が形成されている。
【0045】第4世代以降の複写についても、同様にして第n世代の複写において「特定パターンn」を検出してその「特定パターンn」を除去するとともに、対応する「パラメータn」に従った画像処理を行ない、「特定パターンn+1」を付加すればよい。あるいは、ある世代以降は同じ特定パターンを用い、同じパラメータを用いて処理するように構成してもよい。」

以上の記載から、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されている。

「原稿の画像を読み取って被記録媒体上に画像を形成する画像複写装置であって、
原稿上の画像を読み取って得られる画像信号を点順次のL* a* b* 均等色空間の画像信号に変換する第1色変換部24、第1色変換部24から出力されるL* a* b* 色空間の画像信号のうち、イエローを含むb* 信号を取り出し、ROM63にあらかじめ格納されている特定パターンとの比較を行う検出部61、特定パターンが検出された場合には、その特定パターンに対応する制御パラメータをROM63から読み出してRAM64に格納する制御部62を有し、
RAM64に記憶されている制御パラメータに従って、第2色変換部25におけるY,M,C信号への色補正処理、精細度処理部27におけるMTF補正処理、記録系γ補正部28におけるγ階調補正処理をそれぞれ行うものであり、
特定パターンとの一致が検出されなかった場合は、読み取った原稿がこの画像複写装置を用いて作成された原稿ではないと判断し、『特定パターン無し』の場合に対応する制御パラメータ『パラメータ0』を用いて、第2色変換部、精細度処理部27、記録系γ補正部28の処理を行った後、第1世代の複写であることを表す『特定パターン1』をY信号に付加して被記録媒体に形成し、
特定パターンとの一致が検出された場合、複写元の原稿が複写によって画像が形成された被記録媒体、すなわちジェネレーションコピーであると判断し、検出された『特定パターンn』を除去するとともに、『特定パターンn』から特定される複写元の原稿の第n世代の複写に対応する制御パラメータ『パラメータn』を用いて、第2色変換部、精細度処理部27、記録系γ補正部28の処理を行い、第(n+1)世代の複写であることを表す『特定パターンn+1』を付加することにより、ジェネレーションコピーにおける画質の劣化を低減することを目的とする画像複写装置。」

また、原査定の拒絶の理由で引用された特開2003-338941号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次のカ?クの事項が記載されている。

カ 「【0027】図5は、出力した印画紙やカラーペーパーに褪色補正情報をバーコードで記録した出力イメージ図である。51は、印画紙やカラーペーパーの撮影領域以外の領域たとえば出力面の裏側に、バーコードで、褪色補正に必要な画像の輝度情報や、色情報たとえば取り込んだ画像全体の色成分を平均した情報、具体的には、取り込んだ画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値、または、取り込んだ画像全体の色成分を平均したレッドR、グリーンG、ブルーBの値を記録する。」

キ 「【0036】図9は、第2の実施形態を説明する具体的なブロックで、反射型原稿である印画紙または、カラーペーパー上の画像をスキャナーでデジタル的に読み込み、画像処理をおこなった後に、LEDやレーザー等の光源で印画紙に写真プリントしたり、インクジェットプリンター等を使ったペーパーへの印刷画像出力をおこなうものである。
【0037】901は、反射型原稿である画像の記録された印画紙または、カラーペーパーを装着する原稿装着部である。902は、光源とCCD等の光電変換素子で構成されたスキャナーで、装着された反射型原稿である印画紙または、カラーペーパーの画像をデジタル的に読み込む事が出来る。903は、褪色データー読み込み部で、902の画像読み込み部で読み込んだ画像の画像出力領域の領域以外に、バーコード、磁気、文字、数字、ペーパーに埋め込まれたメモリーなどで記録された褪色補正データーを読み込むことが出来る。
【0038】本実施例では、詳細を開示しないが、バーコード読み込み用スキャンヘッド、磁気情報を読み込む磁気ヘッド、文字や数字を読み込む文字認識スキャナー、ペーパーに埋め込まれたメモリーの内容を読み込む読み込み回路で構成されている。
【0039】904は、画像データー解析部で、画像読み込み部902で読み込んだデジタル画像データー全体から、明るさ、色等のヒストグラム収集をおこなう。905は、画像情報算出部で、画像データー解析部の結果から、褪色補正に必要な色情報たとえば取り込んだ画像全体の色成分を平均した情報、具体的には、取り込んだ画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値、または、取り込んだ画像全体の色成分を平均したレッドR、グリーンG、ブルーBの値を算出する。906は、褪色データー解析部で、褪色データー読み込み部903で読み込んだデーターたとえば、バーコードによる光学データーや磁気情報による磁気データー、文字認識スキャナーによる文字や数字、ペーパーに埋め込まれたメモリーの内容を解析し褪色補正データーにデコードする。907は、データー比較部で、画像色情報算出部905で算出した読み込んだ画像の色情報と褪色データー解析部906で、読み込んだ褪色補正データーを比較し、褪色補正をおこなう必要があるか、判断する。908は、画像処理部で、データー比較部907で褪色補正が必要であると判断された場合には、読み込んだ画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値、または、取り込んだ画像全体の色成分を平均したレッドR、グリーンG、ブルーBの値と取り込んだ画像の画像出力領域の領域以外に、記録されている褪色補正情報との差分と読み込んだ原稿の種類ごとの褪色特性に応じたデーターテーブル(909の褪色用ルックアップテーブル)を使い、読み込んだ画像のレッドR、グリーンG、ブルーBそれぞれのガンマ特性をかえて画像処理をおこなう。また、出力形態や大きさに応じて、加色系のR,G,B特性から、減色系のY,M,C特性に出力形式データー変換をおこなう。一般に出力形態がLEDやレーザー等の光源で印画紙に写真プリント及びモニター表示の場合は、加色系のR,G,B特性を用い、インクジェットプリンター等を使ったペーパーへの印刷画像出力の場合は、減色系のY,M,C特性を用いる。909は、褪色補正用ルックアップテーブルで、褪色の度合いと読み込んだ原稿の種類ごとの褪色補正データーがはいっている。910は、画像プリント出力部で、画像処理部908で、処理された出力データーをそれぞれの決められた形態で出力する。
【0040】次に、図10のフローチャートをもとに第2の実施形態の動作を説明する。
【0041】本装置に、反射型原稿のプリントが装着される(S1001)と、光源とCCD等の光電変換素子で構成された画像読み込み部で、装着されたフィルムの画像をデジタル的に読み込む(S1002)。次に、読み込んだ画像の画像出力領域の領域以外に、バーコード、磁気、文字、数字、ペーパーに埋め込まれたメモリーなどで記録された褪色補正データーを読み込む(S1003)。その後、画像読み込み部902で読み込んだデジタル画像データー全体から、明るさ、色等のヒストグラム収集などの画像解析をおこなう(S1004)。画像解析がおこなわれると解析の結果から、褪色補正に必要な色情報たとえば取り込んだ画像全体の色成分を平均した情報、具体的には、取り込んだ画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値、または、取り込んだ画像全体の色成分を平均したレッドR、グリーンG、ブルーBの値などの褪色補正に必要な色情報を算出する(S1005)。そして、S1003で読み込まれた色情報とS1005で、算出されたプリントの画像の色情報を比較し(S1006)プリントに記録された画像がどの程度褪色しているか判断する。S1006で比較した情報に差があり、褪色補正が必要であると判断された場合には、読み込んだ画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値、または、取り込んだ画像全体の色成分を平均したレッドR、グリーンG、ブルーBの値と磁気記録されている褪色補正情報との差分と原稿の種類に応じた褪色補正用ルックアップテーブルを使い、読み込んだ画像のレッドR、グリーンG、ブルーBそれぞれのガンマ特性をかえて褪色補正処理をおこなう(S1007)。褪色に対する処理が終わると、出力形態や大きさに応じて、加色系のR,G,B特性から、減色系のY,M,C特性に出力形式データー変換をおこなうなどの画像処理・画像補正をおこなう(S1008)。その後、データーを出力する(S1009)。
【0042】以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、印画紙やカラーペーパー上の画像のような反射型原稿に記録された画像をスキャナーでデジタル的に読み込み、画像の色情報を算出するとともに、原稿の画像撮影領域以外の領域に記録された褪色補正情報と比較し、褪色の進行状況によって褪色補正をおこなうので、必要な褪色補正がおこなえかつ不必要な褪色補正を防ぐ事が出来る。」

ク 「【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、読み取った画像を解析し褪色情報をプリント(原稿)の画像撮影領域以外の領域に記録しておくので、プリント(原稿)画像が褪色しても、オリジナル画像と同じような画像が再現できる。また、褪色補正の処理をソフトウェアで、構成する事も出来るので、市販の機器を使った安価なシステムで、実施できる。また、褪色補正の判断をおこなう際に、原画からの情報と今の画像の情報を自動的に比較して必要な時だけ補正をおこなえるので、品質の安定や装置及び作業の効率アップが望める。また、原稿の種類の違いによる褪色補正値をもつので、銀塩写真印画紙、インクジェット方式によるプリント、昇華型方式によるプリント等、さまざまな原稿に対して、褪色補正を可能にする。」

以上の記載から、刊行物2には以下の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されている。

「反射型原稿を読み取って得られる画像に対して画像処理を施した後に写真プリントや印刷画像出力を行う画像読み込み装置及び画像出力装置であって、
原稿を読み取って得られる画像データーから明るさ、色等のヒストグラム収集を行う画像データー解析部904と、
画像データー解析部の結果から、褪色補正に必要な色情報である取り込んだ画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値を算出する画像情報算出部905と、
画像領域以外の領域に記録されたバーコードによる光学データーを解析し褪色補正に必要な画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値等の褪色補正データーにデコードする褪色データー解析部906と、
画像色情報算出部905で算出した読み込んだ画像の色情報と褪色データー解析部906で読み込んだ褪色補正データーを比較し、比較した情報に差があるか否かで褪色補正を行う必要があるか否かを判断するデーター比較部907と、
データー比較部907で褪色補正が必要であると判断された場合には、読み込んだ画像全体の色成分を平均した値と、取り込んだ画像の画像出力領域の領域以外に、記録されている褪色補正情報との差分と読み込んだ原稿の種類ごとの褪色特性に応じたデーターテーブル(909の褪色用ルックアップテーブル)を使い、読み込んだ画像のレッドR、グリーンG、ブルーBそれぞれのガンマ特性をかえて褪色補正の画像処理を行う画像処理部908とを有し、
該褪色補正を行うことにより、原稿画像が褪色してもオリジナル画像と同じような画像が再現できる画像読み込み装置及び画像出力装置。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。
刊行物1発明は、原稿の画像を読み取ってから被記録媒体上に画像を形成するまでの間に、原稿を読み取って得られる画像データに対して色補正処理、MTF補正処理、γ階調補正処理等の画像処理を施すものであるから、本願補正発明の「原稿を読取って得られる画像データに対して処理を施す画像処理方法」に関するものであるといえる。
また、刊行物1発明は、原稿を読み取って得られる画像データから「特定パターン」が検出されるか否かを判断し、検出されない場合には、読み取った原稿がこの画像複写装置を用いて作成された原稿ではないと判断した上で、各画像処理の後に第1世代の複写であることを表す「特定パターン1」をY信号に付加して被記録媒体に形成するものであるから、画像データに何らかの情報が付加されているか否かによって原稿がオリジナルであるか否かを判断し、原稿がオリジナルである場合には、画像データに原稿がオリジナルでないことを判別可能な情報を付加する点で、本願補正発明と共通する。
加えて、刊行物1発明は、原稿を読み取って得られる画像データから「特定パターン」が検出された場合は、この原稿がジェネレーションコピー、すなわちオリジナルではないと判断し、複写の世代に応じた画像処理を行うことにより、ジェネレーションコピーにおける画質の劣化を低減するものであるから、原稿がオリジナルでないと判断した場合に、画質劣化を抑えるための画像処理を行う点で、本願補正発明と共通する。また、刊行物1発明の画像処理は色補正処理を含むものであるから、「色味」に関する処理を施す点でも、本願補正発明と共通する。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明は、以下の点で一致し、以下の相違点を有する。

[一致点]
原稿を読取って得られる画像データに対して処理を施す画像処理方法において、
原稿を読取って得られる画像データに情報が付加されているか否かを判断することにより、前記原稿がオリジナルであるか否かを判断するステップと、前記原稿がオリジナルであると判断した場合、情報を前記画像データに付加するステップと、前記原稿がオリジナルでないと判断した場合、画像データに付加されている情報を用いて、処理を前記画像データに対して施すステップとを有することを特徴とする画像処理方法。

[相違点]
本願補正発明は、オリジナルでない画像に付加される情報が「色情報の特徴を表す特徴量」であり、原稿がオリジナルでない場合に「画像データに付加されている情報が示す特徴量と前記原稿について抽出した特徴量との差分を算出するステップと、算出した差分と所定値との大小関係を判定するステップと、判定した結果に基づき、前記画像データに対して処理を施すべきか否かを判断するステップと、施すべしと判断した場合、前記特徴量を用いて、前記オリジナルに色味を近づけるような処理を前記画像データに対して施すステップと」を実行するものであるのに対し、刊行物1発明は、オリジナルでない画像に付加する情報が「原稿の第n世代の複写」であるのかを特定する情報であり、「色味」に関する処理を施すものではあるが、「色情報の特徴を表す特徴量」を利用して、本願補正発明に係る上記の差分の算出、判定、判断、色味に関する処理を行うものではない点。

(4)相違点に対する判断
ア まず、刊行物2発明は、
a.原稿を読み取って得られる画像データから画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値である色情報を算出する処理、
b.複写元の画像に付随して記録される光学データーにより、褪色補正に必要な画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値を含む褪色補正データーを取得する処理、
c.算出した色情報と複写元の画像に付随する褪色補正データーを比較し、比較した情報に差があるか否かにより、読み取った画像に対する色補正を行う必要があるか否かを判断する処理、
d.色補正を行う必要があると判断した場合に、読み込んだ画像全体の色成分を平均した値と、取り込んだ画像に付随する褪色補正情報との差分を用いて、画像のレッドR、グリーンG、ブルーBそれぞれのガンマ特性を補正する処理、
をそれぞれ含むものである。
ここで、刊行物2発明の上記a.における「画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値」は、本願補正発明の「原稿を読取って得られる画像データ」から抽出される「色情報の特徴を表す特徴量」に相当し、刊行物2発明の上記b.における「褪色補正データー」に含まれる「画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値」は、画像データの領域内に付加されるデータではないものの、複写元の画像に対応して記録される画像データの特徴量である点で、本願補正発明の「画像データに付加されている情報が示す特徴量」と共通するものである。
また、刊行物2発明の上記c.の処理において、「比較した情報に差があるか否か」により「色補正を行う必要があるか否かを判断する」場合に、差のあるなしの臨界的な判断を行うために、差分を所定のしきい値と比較することはごく一般的に行われることであるから、刊行物2発明の上記c.の処理は、本願補正発明の「画像データに付加されている情報が示す特徴量と前記原稿について抽出した特徴量との差分を算出するステップ」、「算出した差分と所定値との大小関係を判定するステップ」、及び「判定した結果に基づき、前記画像データに対して処理を施すべきか否かを判断するステップ」に相当するものである。
さらに、刊行物2発明の上記d.における「画像のレッドR、グリーンG、ブルーBそれぞれのガンマ特性を補正する処理」は、本願補正発明の「オリジナルに色味を近づけるような処理」に相当するものである。
してみると、刊行物2発明は、本願補正発明の「画像データ」と対応付けて記録される「情報が示す特徴量と前記原稿について抽出した特徴量との差分を算出するステップと、算出した差分と所定値との大小関係を判定するステップと、判定した結果に基づき、前記画像データに対して処理を施すべきか否かを判断するステップと、施すべしと判断した場合、前記特徴量を用いて、前記オリジナルに色味を近づけるような処理を前記画像データに対して施すステップ」を有するものであるといえる。

イ 刊行物1発明は、原稿の画像を読み取って複写を行う際に、複写した画像の複写元の画像からの画質劣化を低減するために、画像データに付加された特定の情報を用いて画像処理を施すものであるが、原稿の複写が何世代も繰り返して行われる場合、すなわちジェネレーションコピーであっても、当該複写による画質の劣化を低減するために画像処理を施すものである。そして、各世代の複写における画質劣化を低減するという課題を意識した刊行物1発明においては、いずれの世代の複写においても画像処理を施した結果出力される画像の画質が複写元の画像と等しくなることが望ましく、その結果、出力される画像がオリジナルに近いほど理想的であることは当然のことである。そのため、複写による画質劣化を低減するために画像データの色味を変化させる画像処理を行う刊行物1発明において、当該画像処理により複写した画像の色味をオリジナルに近づけたいという課題は、当業者であれば当然に想到する課題である。
他方、刊行物2発明は、原稿を読み取って得られる画像に対して画像処理を施した後に写真プリントや印刷画像出力を行う、すなわち読み取った画像を複写するものであって、複写を行う際に複写元の画像に付随する「褪色補正データー」を用いて画像処理を行うことにより、オリジナルと同じような画像を再現する、すなわちオリジナルからの画質劣化を低減するものである。
そうすると、刊行物1発明と刊行物2発明はともに、画像処理のための装置であり、また、オリジナルからの画質劣化を低減するという課題も共通するものである。
したがって、刊行物1発明において、原稿の複写時に生じる画質劣化を低減するために使用する、オリジナルでない画像データに付加される情報として、刊行物2発明の「画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値」を付加し、併せて刊行物2発明の「画像全体の色成分を平均したシアンC、マゼンタM、イエローYの値」を用いた上記a.?d.の一連の処理を採用することにより、本願補正発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ よって、本願補正発明は、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.まとめ
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明の認定
平成22年3月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成21年7月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「原稿を読取って得られる画像データに対して処理を施す画像処理方法において、
原稿を読取って得られる画像データから色情報の特徴を表す特徴量を抽出するステップと、前記画像データに色情報の特徴を表す特徴量を示す情報が付加されているか否かを判断することにより、前記原稿がオリジナルであるか否かを判断するステップと、前記原稿がオリジナルであると判断した場合、抽出した特徴量を示す情報を前記画像データに付加するステップと、前記原稿がオリジナルでないと判断した場合、画像データに付加されている情報が示す特徴量と前記原稿について抽出した特徴量との差分を算出するステップと、算出した差分と所定値との大小関係を判定するステップと、判定した結果に基づき、前記画像データに対して処理を施すべきか否かを判断するステップと、施すべしと判断した場合、前記オリジナルに色味を近づけるような処理を前記画像データに対して施すステップとを有することを特徴とする画像処理方法。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物、及び、その記載事項は、前記第2の2.(2)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明の「前記オリジナルに色味を近づけるような処理」に対する限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2で判断したとおり、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、同様の理由により、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-06 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-20 
出願番号 特願2006-10321(P2006-10321)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 好一  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 古川 哲也
廣瀬 文雄
発明の名称 画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、及びコンピュータプログラム  
代理人 河野 登夫  

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