ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
---|---|
管理番号 | 1241036 |
審判番号 | 不服2010-13081 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-06-15 |
確定日 | 2011-08-04 |
事件の表示 | 特願2006-301644「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月22日出願公開、特開2008-113951〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第一.手続の経緯 本願は、平成18年11月7日の出願であって、平成21年2月9日付け拒絶理由通知に対して平成21年4月16日に手続補正がなされ、その後平成21年10月29日付け最後の拒絶理由通知に対して平成21年12月15日に手続補正がなされたが、同手続補正は平成22年4月15日付けで却下された。 そして、同日付けでなされた拒絶査定に対し、平成22年6月15日に審判請求及び手続補正がなされたものである。 また、当審において、平成22年11月17日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から平成23年1月31日に回答書が提出されている。 第二.平成22年6月15日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成22年6月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の請求項2に記載された発明 本件補正により補正された補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載された発明(以下「本願補正発明」という)は次のとおりである。 「 所定の配置領域内に設けられた、確率変動遊技状態をあらわす複数の遊技状態表示用ランプと、 遊技球が入賞した場合の抽選結果に基づいて、前記遊技状態表示用ランプを所定の点灯パターンで点灯制御する主基板と、 前記所定の配置領域内に設けられた複数の遊技状態非表示用ランプと、 遊技中に前記遊技状態非表示用ランプを点灯制御する副基板と、を備え、 前記副基板は、 前記主基板が前記遊技状態表示用ランプのうちいずれかの遊技状態表示用ランプを点灯させる場合、前記遊技状態非表示用ランプのうちいずれかの遊技状態非表示用ランプを所定の点灯パターンで点灯させることを特徴とする遊技機。」 (下線部は補正によって追加された箇所) 2.補正要件(目的)の検討 請求項2についての補正は、発明を特定するために必要な事項である、(i)「遊技状態表示用ランプ」について、「複数の」を付加する補正、(ii)「遊技状態非表示用ランプ」について、「複数の」を付加する補正、(iii)主基板が行う「点灯制御」について、「所定の点灯パターンで」を付加する補正、(iv)副基板が行う「点灯制御」について、「所定の点灯パターンで」を付加する補正である。 してみると、前記各補正は、補正前の各発明特定事項を限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。 3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討 (1)引用された文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2004-344346号公報(以下「引用文献1」という)には以下の事項が記載されている。 【0023】【発明の実施の形態】以下に、本発明を、いわゆる第1種パチンコ遊技機に適用した実施形態例を説明する。 図1はパチンコ遊技機の遊技盤1の正面図である。・・・ 【0060】次に、本発明の要部について説明する。 本実施形態例にあっては、図2のように、センターケース4の図柄表示装置6の直上位置に報知電飾装置16が備えられている。この報知電飾装置16は、約40個の発光ダイオードLEDからなる発光体17により構成されている。この報知電飾装置16にあって、常態では、図柄表示装置6の長手方向に沿って、四個の発光体17が、特別図柄始動記憶数(保留回数)Uを表示する保留発光体17aとして予め定められている。そして、この保留発光体17aの他の発光体17が、遊技状態に従って遊技を盛り上げる演出発光を行う装飾発光体17bとなっている。 【0061】この保留発光体17aは、一個点灯する毎に、一個の特別図柄始動記憶が記憶装置RAMに記憶されていることを表すものである。すなわち、保留発光体17aの発光数が、特別図柄始動記憶数Uと一致して、該Uを遊技者に報知するようになっている。 【0062】このような報知電飾装置16を構成する発光体17(保留発光体17a及び装飾発光体17b)は、上述した光源作動基板を介して光源制御基板64に接続されている。そして、光源制御基板64は、主制御基板60からの制御指令信号に従って、所定の発光態様により点灯・点滅するように制御される。かかる制御を以下に詳細に説明する。 【0063】本実施形態例にあっては、上述の特別図柄始動記憶の記憶数には上限を設定しており、特別図柄始動記憶数Uは最高四回まで保留され、四個を越えて記憶保持される特別図柄始動記憶は無効とするように制御している。すなわち、上述のように、特別図柄始動領域14を遊技球が通過すると、特別図柄始動スイッチS1のON作動に従って、主制御基板60では、この時点で特別図柄始動記憶数UがU<4か否かが判定される。そして、U<4であった場合には上述のように各乱数値を取得し始動記憶として記憶保持すると共に、特別図柄始動記憶数Uに1を加算する。一方、U≧4であった場合には、各乱数値を取得せず、払出制御基板65に賞球指令信号を発信して、所定の賞球を発生させる。すなわち、四個を越える特別図柄始動記憶数Uは破棄されることとなる。このようにして、上限四個の特別図柄始動記憶数Uが保留されるようになっている。 【0064】また、主制御基板60は、上記した特別図柄始動記憶数Uが記憶保持されるに従って、保留発光体17aを点灯させる制御指令信号を光源制御基板64に発信する。そして、この制御指令信号を受けた光源制御基板64は、光源作動基板を介して保留発光体17aを一個点灯させる。一方、主制御基板60は、特別図柄A,B,Cを変動させる図柄生成行程を実行する場合に、記憶装置RAMに記憶保持されている特別図柄始動記憶数Uを消化すると共に、保留発光体17aを消灯させる制御指令信号を光源制御基板64に発信する。そして、光源制御基板64は保留発光体17aを消灯する。この特別図柄始動記憶数Uを報知する制御と、上述した特別図柄始動領域14への遊技球通過に基づいて抽出された各乱数値を特別図柄始動記憶として記憶保持する制御とが、本発明の変動保留手段である。 【0065】さらに、本実施形態例にあっては、主制御基板60の記憶装置ROMに、リーチ発光態様乱数テーブルと確変発光態様乱数テーブルとが格納されている。そして、上述した大当り特別乱数値K等の各乱数値と同様に、これらリーチ発光態様乱数テーブル及び確変発光態様乱数テーブルから夫々にリーチ発光態様乱数値R、確変発光態様乱数値Wが抽出される。ここで、リーチ発光態様乱数値Rは、リーチ作動中の、特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする保留発光体17a及び装飾発光体17bの発光態様を決定するものであり、大当り特別乱数値Kが当りを選出していた場合、又は該Kがハズレであってリーチ乱数値Nがリーチ作動を行うことを選出していた場合に、このリーチ発光態様乱数値Rによる隠匿表示を行う制御指令信号を光源制御基板64に送信する。また、確変発光態様乱数値Wは、確変遊技状態の、特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする保留発光体17a及び装飾発光体17bの発光態様を決定するものであり、大当り特別乱数値Kが当りを選出し、かつ大当り図柄乱数値Lが奇数図柄を選出していた場合に、この確変発行態様乱数値Wによる隠匿表示を行う制御指令信号を光源制御基板64に送信する。 【0066】上記のリーチ発光態様乱数値Rによる制御指令信号を受信した光源制御基板64は、該Rに従ってリーチ発光パターンを決定し、図4(イ)のように、特別図柄Bが停止してA=Bのリーチ状態となると、該リーチ発光パターンにより保留発光体17a及び装飾発光体17bを発光させる。そして、リーチ作動が終了(特別図柄Cが停止)すると、当該リーチ発光パターンによる発光を終了する。一方、上記の確変発光態様乱数値Wによる制御指令信号を受信した光源制御基板64は、該Wに従って確変発光パターンを決定し、図4(ロ)のように、特別図柄A=B=Cが奇数図柄であった大当りによる特別遊技作動の終了後、該確変発光パターンにより保留発光体17a及び装飾発光体17bを発光させる。そして、次に当りとなると、当該確変発光パターンによる発光を中止する。 【0067】ここで、リーチ作動中に行われるリーチ発光パターンにあっては、保留発光体17a及び装飾発光体17bを同期して点灯、点滅させる発光パターン(共働発光態様)としている。このリーチ発光パターンには、多彩な点灯及び点滅を行う複数種の発光パターンが設定されており、上記リーチ発光態様乱数値Rにより決定される。このリーチ発光パターンは、保留発光体17aも装飾発光体17bと同じ発光態様を表現するものであるから、リーチ作動中では特別図柄始動記憶数Uが隠匿表示された状態となる。ここで、リーチ発光パターン(共働発光態様)としては、保留回数に関係なく全ての保留発光体17aが装飾発光体17bと同様に点灯・点滅する発光パターン、保留発光体17aが特別図柄始動記憶数Uの発光表示を継続しつつ、装飾発光体17bの一部が該保留発光体17aの発光と同様に発光する発光パターン、保留発光体17aがUを継続発光しつつ、装飾発光体17bが該保留発光体17aよりも高輝度に発光する発光パターン等が設定されており、リーチ発光態様乱数値Rに従って選定されることとしている。 【0075】上述の実施形態例にあっては、報知電飾装置16による特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする発光態様(共働発光態様、移動発光態様)を、リーチ状態及び確変遊技状態で行うようにした構成であるが、その他の構成として、見かけ上当り確率の高いロングリーチやスペシャルリーチが実行されている状態、ハズレとなる場合のリーチ作動中、又は時短遊技状態中等に、前記共働発光態様又は移動発光態様を実行するようにしても良い。ここで、ハズレとなるリーチ作動中に隠匿表示とする構成では、隠匿表示とならない場合に当りとなる予告作用を発揮するものとなる。このように、隠匿表示を当り予告として利用することも可能である。さらには、特別遊技作動中に、共働発光態様又は移動発光態様を実行する構成とすることもできる。 摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「 センターケース4の図柄表示装置6の直上位置に、約40個の発光ダイオードLEDからなる発光体17により構成されている報知電飾装置16が備えられ、前記発光体17は四個の保留発光体17a及び他の装飾発光体17bよりなり、 特別図柄始動領域14を遊技球が通過し、特別図柄始動記憶数Uが記憶保持されるに従って、前記保留発光体17aを点灯させる点灯制御指令信号を光源制御基板64に発信する主制御基板60と、前記点灯制御指令信号を受けて前記保留発光体17aを一個点灯させる前記光源制御基板64と、を備え、 前記主制御基板60は、リーチ発光態様乱数値Rを抽出し、リーチ状態になる場合に隠匿表示制御指令信号を前記光源制御基板64に送信し、 該隠匿表示制御指令信号を受信した前記光源制御基板64は、 前記リーチ発光態様乱数値Rに従って前記特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする前記保留発光体17a及び前記装飾発光体17bの発光態様を決定し、リーチ状態となると該発光態様により前記保留発光体17a及び前記装飾発光体17bを発光させ、時短遊技状態中に前記特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする発光態様を実行するようにしても良いパチンコ遊技機。」 なお、引用発明の認定にあたって、段落【0064】に記載されている「保留発光体17aを点灯させる制御指令信号」は、「保留発光体17aを点灯させる点灯制御指令信号」と言い換え、段落【0065】に記載されている「リーチ発光態様乱数値Rによる隠匿表示を行う制御指令信号」及び段落【0066】に記載されている「リーチ発光態様乱数値Rによる制御指令信号」は、「隠匿表示制御指令信号」と言い換えた。 (2)引用発明と本願補正発明との対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「主制御基板60」は、本願補正発明の「主基板」に相当し、以下同様に、 「光源制御基板64」は「副基板」に、 「発光させ」は「点灯させ」に、 「パチンコ遊技機」は「遊技機」に、それぞれ相当する。 さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことがいえる。 a.引用発明の「報知電飾装置16」は、センターケース4の図柄表示装置6の直上位置に備えられており、該位置は本願補正発明の「所定の配置領域内」に相当する。 そして、引用発明の「四個の保留発光体17a」は、報知電飾装置16を構成する発光体17の一部であるとともに、特別図柄始動記憶数Uに応じて点灯しており、特別図柄始動記憶数Uも遊技状態のひとつであるから、本願補正発明の「所定の配置領域内に設けられた、複数の遊技状態表示用ランプ」ということができる。 b.引用発明の「他の装飾発光体17b」は、報知電飾装置16を構成する発光体17の一部であるとともに、特別図柄始動記憶数Uとは関係のない状態(リーチ状態や時短遊技状態)をあらわすために点灯制御されているから、上記a.で述べたことを考え合わせると、本願補正発明の「所定の配置領域内に設けられた複数の遊技状態非表示用ランプ」に相当するものといえる。 c.引用発明において「リーチ状態になる場合」や「時短遊技状態中」であることは、遊技中であることにほかならない。 そして、引用発明の「光源制御基板64」は、「リーチ状態になる場合」や「時短遊技状態中」において、保留発光体17a及び装飾発光体17bの発光制御を行っているから、上記b.で述べたことを考え合わせると、本願補正発明の「遊技中に前記遊技状態非表示用ランプを点灯制御する」に相当する機能を有するものであるといえる。 d.引用発明におけるリーチ発光態様乱数値Rに従って決定した「前記特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする前記保留発光体17a及び前記装飾発光体17bの発光態様」や「前記特別図柄始動記憶数Uを隠匿表示とする発光態様」は、本願補正発明の「所定の点灯パターン」に相当し、上記b.で述べたように、引用発明の「他の装飾発光体17b」は、本願補正発明の「複数の遊技状態非表示用ランプ」に相当するものといえるから、引用発明の「光源制御基板64」は、本願補正発明の「前記遊技状態非表示用ランプのうちいずれかの遊技状態非表示用ランプを所定の点灯パターンで点灯させる」に相当する機能を有するものといえる。 以上を総合すると、両者は、 「 所定の配置領域内に設けられた、複数の遊技状態表示用ランプと、 主基板と、 前記所定の配置領域内に設けられた複数の遊技状態非表示用ランプと、 遊技中に前記遊技状態非表示用ランプを点灯制御する副基板と、を備え、 前記副基板は、 前記遊技状態非表示用ランプのうちいずれかの遊技状態非表示用ランプを所定の点灯パターンで点灯させる遊技機。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]本願補正発明の「複数の遊技状態表示用ランプ」は、確率変動遊技状態をあらわすのに対し、引用発明の「四個の保留発光体17a」は、図柄始動記憶数Uをあらわす点。 [相違点2]本願補正発明の「主基板」は、遊技球が入賞した場合の抽選結果に基づいて、前記遊技状態表示用ランプを所定の点灯パターンで点灯制御するのに対し、引用発明の「主制御基板60」は、特別図柄始動領域14を遊技球が通過し、特別図柄始動記憶数Uが記憶保持されるに従って、保留発光体17aを点灯させる点灯制御指令信号を光源制御基板64に発信するものであって、保留発光体17aの点灯は特別図柄始動領域14を遊技球が通過した場合の抽選結果に基づいておらず、また、その点灯制御は光源制御基板64が行っている点。 [相違点3]本願補正発明においては、いずれかの遊技状態表示用ランプを点灯させる場合、遊技状態非表示用ランプを所定の点灯パターンで点灯させるのに対し、引用発明においては、保留発光体17aが点灯している場合であっても、リーチ状態や時短遊技状態でない場合には、装飾発光体17bが発光しない点。 (3)相違点の検討 [相違点1について] 遊技者に対して、特別図柄が変動中に大当たり始動口に入賞した遊技球の数(引用発明における「特別図柄始動記憶数U」に相当。)、確変状態、時短状態等を報知することは、例えば、最後の拒絶理由で引用された特開2005-152440号公報(以下「引用文献2」という、特に、【0041】?【0043】を参照。)や特開2002-52198号公報(以下「文献3」という、特に、【0062】【0074】【0075】を参照。)に示されるように、遊技機においては従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。 また、引用文献2(特に、段落【0042】、【0043】を参照。)には、遊技者に対して現在の状態が確変状態であるのか時短状態であるのかを分かり辛くすること(以下「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。 そうしてみると、引用発明において、分かり辛い報知を行う特別図柄始動記憶数Uに代替して、確変状態であるか否かの表示とし、上記相違点1に係る本願補正発明のような構成とすることは、周知技術1及び引用文献2記載の技術に基づいて、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到できる事項である。 [相違点2について] 上記[相違点1について]の項で述べたように、引用発明の特別図柄始動記憶数Uに代替して、確変状態であるか否かの表示とすれば、確変状態は特別図柄が特定の表示となり大当たり遊技が終了した後に発生し、特別図柄を特定の表示とするか否かは始動入賞時に行われる抽選によって決定するのが通常であるから、引用発明は、特別図柄始動領域14を遊技球が通過した場合に行われる抽選結果に基づいて、所定の発光体17を点灯制御することとなる。 また、CPUの負荷を勘案して、主制御手段と副制御手段に処理を分散させることは、例えば、最後の拒絶理由で引用された特開2006-192186号公報(特に、段落【0004】、【0005】を参照。)及び特開2006-101945号公報(特に、段落【0084】を参照。)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)であり、当該処理を如何に分散させるかは、主制御手段及び副制御手段それぞれの負荷を勘案して当業者が適宜為し得る設計的事項である。 そうしてみると、引用発明において、特別図柄始動記憶数Uに代替して確変状態であるか否かの表示とするに際して周知技術2を適用し、主制御基板60に確変状態であるか否かの表示制御を分担させて、上記相違点2に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到できる事項である。 [相違点3について] 確変状態の時必ず時短状態とすることは、例えば、上記文献3(特開2002-52198号公報、特に、【0075】【0076】を参照。)や実用新案登録第3120075号公報(特に、【0050】を参照。)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術3」という。)であるから、引用発明において、特別図柄始動記憶数Uに代替して確変状態であるか否かの表示とし、時短遊技状態中に確変状態であるか否かの表示を隠匿表示とする発光態様を実行するに際して、周知技術3を適用し、確変状態である場合には、隠匿表示とする発光態様が実行されるようにして、上記相違点3に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到できる事項である。 (4)まとめ 以上のように相違点1?3は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1?3に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。 よって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第三.本願発明について 1.本願発明 平成22年6月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成21年4月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「 所定の配置領域内に設けられた、確率変動遊技状態をあらわす遊技状態表示用ランプと、 遊技球が入賞した場合の抽選結果に基づいて、前記遊技状態表示用ランプを点灯制御する主基板と、 前記所定の配置領域内に設けられた遊技状態非表示用ランプと、 遊技中に前記遊技状態非表示用ランプを点灯制御する副基板と、を備え、 前記副基板は、 前記主基板が前記遊技状態表示用ランプのうちいずれかの遊技状態表示用ランプを点灯させる場合、前記遊技状態非表示用ランプのうちいずれかの遊技状態非表示用ランプを点灯させることを特徴とする遊技機。」 2.特許法第29条第2項の検討 (1)引用文献記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及びその記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。 (2)引用発明と本願発明との対比 本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から、(i)「遊技状態表示用ランプ」について、その限定事項である「複数の」との構成を省き、(ii)「遊技状態非表示用ランプ」について、その限定事項である「複数の」との構成を省き、(iii)主基板が行う「点灯制御」について、その限定事項である「所定の点灯パターンで」との構成を省き、(iv)副基板が行う「点灯制御」について、その限定事項である「所定の点灯パターンで」との構成を省いたものといえる。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(3)」に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術1?3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第四.むすび 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項(請求項1及び3?8)について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-31 |
結審通知日 | 2011-06-07 |
審決日 | 2011-06-21 |
出願番号 | 特願2006-301644(P2006-301644) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤脇 昌也 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
伊藤 陽 秋山 斉昭 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 酒井 昭徳 |