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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1241038
審判番号 不服2010-15866  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-14 
確定日 2011-08-04 
事件の表示 特願2002-243820「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月18日出願公開、特開2004- 81323〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願の手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成14年 8月23日 出願
平成20年12月26日 拒絶理由通知
平成21年 3月 9日 手続補正
平成21年 9月 7日 拒絶理由通知(最後)
平成21年11月 9日 手続補正(A)
平成22年 4月13日 拒絶査定、補正却下(手続補正(A))
平成22年 7月14日 拒絶査定不服審判請求、手続補正
平成22年11月17日 審尋
平成23年 1月18日 回答書

第2.平成22年7月14日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年7月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
平成21年11月9日付けの手続補正は平成22年4月13日付けで却下されているので、本件補正は、平成21年3月9日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面について補正するものであって、補正前後の特許請求の範囲は以下のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】図柄を変動表示した後に該図柄を確定する図柄表示手段と、
該確定後の上記図柄が特定の態様となった場合に遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段と、
を備えた遊技機において、
上記図柄表示手段は、
予告図柄を含む上記図柄を変動表示し、
上記変動表示後に上記予告図柄を停止表示し、
上記停止表示後、再変動を実行し、
上記再変動の後、遊技者にとって有利な図柄を確定表示する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
上記図柄表示手段が上記変動表示中に上記予告図柄を表示した場合、上記特定遊技が提供される確率が高いことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
上記確定後に上記予告図柄が揃った場合には、上記特定遊技後に上記特定遊技が提供される確率を通常よりも高く設定することを特徴とする請求項1?2のいずれかに記載の遊技機。
【請求項4】
上記図柄表示手段が、上記予告図柄を、上記特定遊技が提供される確率を通常よりも高く設定する確率変動中にのみ表示することを特徴とする請求項1?2のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
上記図柄表示手段が、上記確率変動中には上記変動表示に使用する図柄に上記予告図柄のみを表示することを特徴とする請求項4記載の遊技機。
【請求項6】
上記図柄表示手段は、上記図柄を確定するまで、上記図柄の一部をその図柄の他の部分に対して変動させることを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載の遊技機。
【請求項7】
上記図柄がキャラクタ図柄と数字図柄とから構成され、
上記図柄表示手段は、上記図柄を確定するまで、上記キャラクタ図柄または上記数字図柄を上記数字図柄または上記キャラクタ図柄に対して変動させることを特徴とする請求項6記載の遊技機。
【請求項8】
図柄を変動表示した後に該図柄を確定する図柄表示手段と、
該確定後の上記図柄が特定の態様となった場合に遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段と、
を備えた遊技機において、
上記図柄表示手段は、上記図柄を確定するまで、上記図柄の一部をその図柄の他の部分に対して変動させることを特徴とする遊技機。
【請求項9】
上記図柄がキャラクタ図柄と数字図柄とから構成され、
上記図柄表示手段は、上記図柄を確定するまで、上記キャラクタ図柄または上記数字図柄を上記数字図柄または上記キャラクタ図柄に対して変動させることを特徴とする請求項8記載の遊技機。」

(補正後)
「【請求項1】図柄を変動表示した後に該図柄を確定する図柄表示手段と、
該確定後の上記図柄が特定の態様となった場合に遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段と、
を備えた遊技機において、
上記図柄表示手段は、
予告図柄を含む上記図柄を変動表示し、
上記変動表示後に上記予告図柄を停止表示し、
上記停止表示後、再変動を実行し、
上記再変動の後、上記図柄の変動表示の確定時のみに出現する図柄により、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を隠す表示をし、遊技者にとって有利な図柄を確定表示することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
上記図柄表示手段が上記変動表示中に上記予告図柄を表示した場合、上記特定遊技が提供される確率が高いことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
上記確定後に上記予告図柄が揃った場合には、上記特定遊技後に上記特定遊技が提供される確率を通常よりも高く設定することを特徴とする請求項1?2のいずれかに記載の遊技機。
【請求項4】
上記図柄表示手段が、上記予告図柄を、上記特定遊技が提供される確率を通常よりも高く設定する確率変動中にのみ表示することを特徴とする請求項1?2のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
上記図柄表示手段は、上記図柄を確定するまで、上記図柄の一部をその図柄の他の部分に対して変動させることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
上記図柄がキャラクタ図柄と数字図柄とから構成され、
上記図柄表示手段は、上記図柄を確定するまで、上記キャラクタ図柄または上記数字図柄を上記数字図柄または上記キャラクタ図柄に対して変動させることを特徴とする請求項5記載の遊技機。」

本件補正は、補正前の請求項1を補正する補正事項を含むものであって、その補正事項は、補正前請求項1の「遊技者にとって有利な図柄を確定表示する」を「上記図柄の変動表示の確定時のみに出現する図柄により、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を隠す表示をし、遊技者にとって有利な図柄を確定表示する」と限定するものであり、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用文献
当審で発見した特開2000-210428号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。なお、以下において「/」は原文における「改行」を示している。
・「【0001】/【発明の属する技術分野】本発明は、複数の図柄を表示可能な表示部を有する遊技機に関する。」
・「【0014】特別図柄表示器22は表示部に相当し、例えば液晶表示器を用いる。当該特別図柄表示器22には、図2に示す特別図柄,チャンス図柄,背景図柄等を表示する。特別図柄には例えば左特別図柄72,中特別図柄74,右特別図柄76があり、大当たりか否かを判別するために用いる。」
・「【0017】次に、パチンコ機10によるパチンコ遊技を実現するメイン制御部100について、図3を参照しながら説明する。このメイン制御部100はパチンコ機10の背面側に設けられ、CPU(プロセッサ)110,ROM102,RAM104,入力処理回路106,出力処理回路112,表示制御回路114,通信制御回路116等を有する。CPU110は、ROM102に格納されている遊技制御プログラムを実行してパチンコ機10を制御する。上記遊技制御プログラムには、後述する第1種始動口処理や図柄変動処理,変動表示処理,リーチ処理等を実現するためのプログラムが含まれる。」
・「【0022】次に、図5に示す図柄変動処理では、特別図柄表示器22に特別図柄を変動して表示する。まず、保留球数が正数(保留球数>0)か否かを判別する〔ステップS20〕。保留球数が正数ならば(YES)、上記ステップS16で記憶した大当たり判定用乱数RAを読み込むとともに〔ステップS22〕、次回の処理に備えて保留球数を減算する〔ステップS24〕。そして、変動表示処理を行う〔ステップS26〕。この変動表示処理の具体的な処理手順について、図6を参照しながら説明する。」
・「【0024】そして、特別図柄を変動し始めた後〔ステップS44〕、リーチ処理を行う〔ステップS46〕。」
・「【0032】さらに特別図柄の変動表示処理を終えて図5に戻り、最終的に確定して特別図柄表示器22の画面22aに表示された特別図柄が大当たり図柄と一致するか否かを判別する〔ステップS28〕。・・・もし、特別図柄が当たり図柄と一致するならば(YES)、「大当たり」として大当たり処理を行い〔ステップS30〕、図柄変動処理を終了する。大当たり処理は、例えば大入賞口34の蓋66を一定期間(例えば30秒間)だけ開放し、入賞したパチンコ球の数に応じて賞球を払い出す等の処理である。一方、特別図柄が当たり図柄と一致しないならば(NO)、「はずれ」としてはずれ処理を行い〔ステップS32〕、図柄変動処理を終了する。」
・「【0036】リーチ変動期間を経過した後は図7のステップS88を実行し、半図柄分だけ移動させていた特別図柄を全てもとの位置に戻す。上記の例では、図9(A)に示す矢印とは反対方向(図面上方向)に移動させる。そして、図6のステップS48を実行し、画面22aには最終的に確定した大当たり図柄またははずれ図柄を表示する。大当たり図柄は例えば図10(C)に示すような図柄「777」であり、中央部の特別図柄のみを表示する。はずれ図柄は例えば図11(A)に示す左特別図柄72,右特別図柄76と中特別図柄74とを矢印に沿って互いに逆方向に半図柄分だけ変動させて図11(B)に示すような配置にし、最後に図10(C)に示すように中央部の特別図柄のみを表示する。」
・「【0039】・・・/(3)正逆変動によって最終的に確定する図柄を、リーチの際に画面22aに表示された図柄に制限してもよい。例えば図9(A)に示す例では、左特別図柄72,右特別図柄76として半分切れかかって見える上段の図柄「8」,中段の図柄「7」,半分切れかかって見える下段の図柄「6」に制限する。」
・図9(A)、図9(C)、図10(B)、図11(B)において、画面22aの中央部を通る水平線に、図柄が位置する時には、その上段の図柄及び下段の図柄の半分切れかかって見えるように表示されることが図示されている。

以上を含む全記載及び図示によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「特別図柄を変動表示した後に特別図柄を確定する特別図柄表示器22と、確定後の特別図柄が大当たり図柄と一致する場合に大当たり処理を行うメイン制御部100と、を備えた遊技機において、
前記特別図柄表示器22は、変動中において、画面22aの中央部に特別図柄が位置する時にはその上段の図柄の下半分及び下段の図柄の上半分を表示し、確定時において、大当たり図柄またははずれ図柄として、中央部の特別図柄のみを表示する遊技機。」(以下、「引用発明1」という。)

3.対比
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)と引用発明1を対比する。
引用発明1の「特別図柄」は本願補正発明の「図柄」に相当し、以下同様に、「特別図柄表示器22」は「図柄表示手段」に、「大当たり図柄と一致する場合」は「特定の態様となった場合」に、「大当たり処理を行うメイン制御部100」は「遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段」に、「大当たり図柄」は「遊技者にとって有利な図柄」に、「はずれ図柄」は「遊技者にとって有利な図柄以外の図柄」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明1の「変動中において、画面22aの中央部に特別図柄が位置する時にはその上段の図柄の下半分及び下段の図柄の上半分を表示し、確定時において、大当たり図柄またははずれ図柄として、中央部の特別図柄のみを表示する」は、変動中であれば中央部に位置した特別図柄の上下に表示される他の図柄の一部が、確定表示時には表示されないということを意味しており、引用文献1における図9(C)と図10(C)(大当たり時)、図11(B)と図11(C)を考慮すると、確定表示される段階で上記「図柄の一部」を見えなくしていることは明らかである。そして、中央部に揃って表示された「7」の図柄は「遊技者にとって有利な図柄」であり、それ以外の図柄は「遊技者にとって有利な図柄以外の図柄」ということができる。一方、本願補正発明は、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を隠す表示を行うということから、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を見えなくしているものといえる。したがって、見えなくする手段はさておき、引用発明1と本願補正発明は、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を見えなくし、遊技者にとって有利な図柄を確定表示する点で共通している。
そうすると、両者は、
「図柄を変動表示した後に該図柄を確定する図柄表示手段と、該確定後の上記図柄が特定の態様となった場合に遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段と、を備えた遊技機において、
上記図柄表示手段は、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を見えなくし、遊技者にとって有利な図柄を確定表示する、遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
図柄表示手段は、本願補正発明では、予告図柄を含む図柄を変動表示し、変動表示後に予告図柄を停止表示し、停止表示後、再変動を実行し、再変動の後、図柄を確定表示するのに対し、引用発明1ではそのような構成ではない点。
<相違点2>
確定表示時に遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を見えなくするため、本願補正発明では、図柄の変動表示の確定時のみに出現する図柄により、遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を隠す表示をするのに対し、引用発明1ではそのような構成ではない点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
<相違点1>について
当審で発見した特開2001-334040号公報(以下、「引用文献2」という。)(段落【0058】?【0063】)には、遊技機において、大当り等の予告報知用の「寿」の図柄を「0」?「7」の数字の図柄とともに変動表示させ、その後「寿」の図柄を停止表示させ、停止表示後、再度変動表示させ、その後「7,7,7」のゾロ目を停止表示させて大当り等の特典付与を確定することが記載されている。そして、「寿」の図柄は本願補正発明の「予告図柄」に相当するから、引用文献2には、「予告図柄を含む図柄を変動表示し、変動表示後に予告図柄を停止表示し、停止表示後、再変動を実行し、再変動の後、図柄を確定表示する」という相違点1に相当する技術事項が記載されているということができる。
そうすると、引用発明1において引用文献2に記載された技術事項を採用し、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば想到容易である。

<相違点2>について
遊技機において、表示されている特別図柄を見えなくするために、特別図柄以外の図柄により、表示されている特別図柄を隠す表示をすることは、従来周知である。
(周知例)特開2002-210122号公報
(段落【0176】記載の「遮蔽キャラクタ」参照)
特開2002-143426号公報
(段落【0047】記載の「砂嵐90a(装飾用図柄)」参照)
そうすると、引用発明1において、確定表示時に遊技者にとって有利な図柄以外の図柄を見えなくする手段として、上記周知技術を採用し、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば想到容易である。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明1、引用文献2に記載された技術事項、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用文献2に記載された技術事項、上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明
1.本願発明の認定
平成22年7月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年3月9日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「図柄を変動表示した後に該図柄を確定する図柄表示手段と、
該確定後の上記図柄が特定の態様となった場合に遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段と、
を備えた遊技機において、
上記図柄表示手段は、
予告図柄を含む上記図柄を変動表示し、
上記変動表示後に上記予告図柄を停止表示し、
上記停止表示後、再変動を実行し、
上記再変動の後、遊技者にとって有利な図柄を確定表示することを特徴とする遊技機。」

2.進歩性の判断
(1)引用文献
原査定の拒絶の理由(平成21年9月7日付け拒絶理由通知書参照)に引用された特開2002-66003号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
・「【0013】図3に示すように、センターケース30には、特別図柄表示器320が取付けられている。特別図柄表示器320は、左領域32a、中領域32bおよび右領域32cの3つの領域を備えており、各領域は、それぞれ複数の図柄、たとえば0?9の特別図柄を液晶により変動表示する。そして、その変動表示された3つの特別図柄が所定の図柄(たとえば777)に停止すると大当りが発生し、変動入賞装置40に設けられた大入賞口41が開放し、その大入賞口41から容易に遊技球が入賞できる状態となる。特別図柄表示器320は、遊技球が第1種始動口27を通過した場合に始動し、その通過回数は記憶され、その記憶数は、特別図柄記憶表示LED36によって表示される。」
・「【0016】[パチンコ機10の電気的構成]次に、本パチンコ機10の電気的構成についてそれをブロックで示す図4を参照して説明する。パチンコ機10には、主基板100が設けられており、この主基板100には、マイクロプロセッサ110が搭載されている。マイクロプロセッサ110には、遊技の制御を実行するメインCPU112と、このメインCPU112が各種制御を実行するための各種制御プログラム(特別図柄表示器320が変動表示する図柄の内容、変動時間、停止タイミングなどを指定する各種コマンドなど)が記録されたROM114と、メインCPU112が各種制御プログラムを実行する際にROM114から読出された制御プログラムや遊技中に発生する大当りに関するデータなどの各種データを一時的に格納するRAM116とが搭載されている。」
・「【0017】主基板100には、次に記載するものが電気的に接続されている。・・・特別図柄表示装置32、・・・盤面中継基板51、遊技枠中継基板53である。」
・「【0020】・・・盤面中継基板51には、次に記載するものが電気的に接続されている。・・・大入賞口中継基板50である。」
・「【0021】大入賞口中継基板50には、特定領域ソレノイド42b、大入賞口ソレノイド41bおよび特定領域スイッチ42aが電気的に接続されている。電源基板80は、CR接続基板56と電気的に接続されており、
・「【0024】本実施形態では、上記キャラクタROM32iに記録する図柄として、オールマイティー図柄が含まれている。オールマイティー図柄は、他の特別図柄とは種類が異なる図柄であって、たとえば0?9のアラビア数字による10個の通常の特別図柄に対して記号、キャラクタなど容易に区別できる図柄とする。このオールマイティー図柄を特別図柄表示器320に変動表示する図柄中に含ませるか否かは、遊技の結果に基づいてメインCPU112が出力する画像制御コマンドによって予め決定されている。」
・「【0037】ロングリーチモードにおいては、各領域32a?32cの高速変動は通常リーチと同じであるが、例えば『776』で停止する場合、右領域32cの低速変動が図10(B)に示すように、例えば「3」の図柄に差し替わった後、さらに低速で23図柄変動して停止する。つまり、2周と3コマ動いて「6」で停止する。しかして、本実施形態では、オールマイティー図柄を左領域32aおよび中領域32bに含ませている。このオールマイティー図柄により、きわめて遊技に変化を持たせることができる。このオールマイティー図柄を使用した図柄変動を図11と図10(C)を用いて説明する。図10(C)に示す奇数図柄スローリーチモードにおいては、左領域32aと中領域32bにオールマイティー図柄が挿入される。いま、図11(A)の状態より図11(B)に示すように、各領域32a?32cの図柄が高速で変動しているとき、左領域32aが76図柄変動後、奇数「9」に差し替えられて低速変動となり、さらに1図柄低速変動して「☆」で停止する。つまり「9」の差し替えを行った直後にさらにオールマイティー図柄に差し替える。この状態で遊技者は一気に図柄変動に興味をもつこととなる。」
・「【0038】次に中領域32bは100図柄高速変動した後、低速に変わると同時に「9」の図柄に差し替わり、さらに1図柄低速変動して「☆」に差し替わり停止する。つまり、図11(C)に示すように、左領域32aと中領域32bの図柄が両方共オールマイティー図柄で停止した状態となる。本実施形態のパチンコ機は、上記オールマイティー図柄2枚の停止で、遊技者に大当りを保証するものである。」
・「【0039】ところで、このように大当りが確実となっても、本実施形態のパチンコ機は、遊技者にさらなる注意を惹く変動を提供する。この状態、すなわち、オールマイティー図柄2枚の停止状態(図11(C)参照)で、遊技者は右領域32cの停止図柄に注目することとなる。それは、右領域32cの停止図柄が、「7」、「3」あるいは「9」等の奇数で停止したとき、確率変動の大当りとなるからである。この確率変動の大当りの変動態様の一例は、右領域32cの図柄が高速で124図柄変動した後、低速に変わると同時に「0」の図柄に差し替わる。そして、低速で1図柄変動後に、中速(図10(32c)に示すように、低速と停止とを繰り返す状態)で1図柄変動するのを3回繰り返し、最後に低速で1図柄変動した後に所定の図柄で停止する。この状態を示す図11(D)では「7」で停止している。停止図柄は「0?9」のいずれでもよい。加えて、本実施形態では、左領域32aがオールマイティー図柄、中領域32bもオールマイティー図柄、右領域32cが「7」で停止した場合、左領域32aおよび中領域32bの各オールマイティー図柄を「7」に差し替えるという操作を行う(図11(E)(F)参照)。これにより、通常の図柄がいわゆる「ぞろ目」で揃った状態で大当りとなり、遊技者へ与える遊技達成感の満足度を高める効果がある。」
・「【0040】このように本実施形態のパチンコ機では、最初に停止するたとえば左領域32aの図柄がオールマイティー図柄、次に停止する中領域32bの図柄もオールマイティー図柄であった時点で大当りを確定し認識させる。その上で最後に停止する右領域32cの停止図柄によって次回大当りを抽選する時の確率が高くなるか低くなるかをも認識させるものである。」

以上を含む全記載及び図示によれば、引用文献3には次の発明が記載されていると認められる。
「特別図柄を変動表示した後に特別図柄を停止させる特別図柄表示器320と、停止した特別図柄が所定の図柄(たとえば777)となった場合に大当りとするメインCPU112と、を備えた遊技機において、
特別図柄表示器320は、
変動表示する図柄中に含ませたオールマイティー図柄を停止させ、
その後、停止したオールマイティー図柄を「7」に差し替え、通常の図柄がいわゆる「ぞろ目」で揃った状態を表示する、遊技機。」(以下、「引用発明3」という。)

(2)対比
本願発明と引用発明3を対比する。
引用発明3の「特別図柄」は本願発明の「図柄」に相当し、以下同様に、「特別図柄を停止させる」は「図柄を確定させる」に、「特別図柄表示器320」は「図柄表示手段」に、「所定の図柄(たとえば777)となった場合」は「特定の態様となった場合」に、「大当りとするメインCPU112」は「遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段」に、「通常の図柄がいわゆる「ぞろ目」で揃った状態を表示する」は「遊技者にとって有利な図柄を確定表示する」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明3の「オールマイティー図柄」は、それが出現すると遊技者に大当りとなる期待を強く与えるものであることは自明であり、本願発明の「予告図柄」に相当するものであるから、引用発明3と本願発明は「予告図柄を含む図柄を変動表示し、変動表示後に予告図柄を停止表示し、停止表示後、遊技者にとって有利な図柄を確定表示する」点で共通している。
そうすると、両者は、「図柄を変動表示した後に該図柄を確定する図柄表示手段と、該確定後の上記図柄が特定の態様となった場合に遊技者に有利な特定遊技を提供する特定遊技提供手段と、を備えた遊技機において、
上記図柄表示手段は、予告図柄を含む上記図柄を変動表示し、上記変動表示後に上記予告図柄を停止表示し、上記停止表示後、遊技者にとって有利な図柄を確定表示する、遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3>
予告図柄の停止表示後に、本願発明は、再変動を実行し、再変動の後に、遊技者にとって有利な図柄を確定表示するのに対し、引用発明3は、停止した予告図柄を遊技者にとって有利な図柄に差し替えて確定表示する点。

(3)判断
上記相違点3について検討すると、一旦停止した図柄を再変動させて他の図柄を確定表示することは、原査定の拒絶理由に引用された特開平11-128469号公報(段落【0077】参照。「2」図柄から「7」図柄への変更。)にも記載されているとともに、遊技機分野において「再変動」という用語で広く知られているように従来周知の技術手段である。
そうすると、引用発明3において、上記周知技術を採用し、停止表示された予告図柄を遊技者にとって有利な図柄に差し替えることに代えて、再変動を実行し、再変動の後に、遊技者にとって有利な図柄を確定表示することとし、相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

そして、本願発明の効果は、引用発明3及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明3及び周知技術に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-01 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-21 
出願番号 特願2002-243820(P2002-243820)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大浜 康夫  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 澤田 真治
小原 博生
発明の名称 遊技機  
代理人 足立 勉  

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