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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1241204 |
審判番号 | 不服2010-4061 |
総通号数 | 141 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-02-24 |
確定日 | 2011-08-23 |
事件の表示 | 特願2004-309751「メモリカード、半導体装置、及びメモリカードの制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月11日出願公開、特開2006-120082、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成16年10月25日の出願であって、平成19年9月18日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月26日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成20年9月5日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年11月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成21年11月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年2月24日付けで審判請求がなされるともに手続補正がなされ、同年6月29日付けで特許法第164条第3項の規定による報告がなされ、平成23年1月28日付けで当審より審尋がなされ、同年3月31日付けで回答書が提出されたものである。 第2.平成22年2月24日付けでなされた手続補正について 1.補正の内容 平成22年2月24日付けでなされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成20年11月10日付けでなされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載、 「 【請求項1】 ROM(Read Only Memory)に格納されている第1のプログラムの修正を行うための第2のプログラムと当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報とを外部から受けて、一定の消去ブロックサイズが一律に定められた不揮発性半導体メモリに書き込み、この不揮発性半導体メモリに書き込まれた前記情報に基づいて前記第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行う手段を具備し、 前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含むものであることを特徴とする半導体装置。 【請求項2】 第1のプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、 不揮発性半導体メモリと、 前記第1のプログラムの修正を行うための第2のプログラムと当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報とを外部から受けて、一定の消去ブロックサイズが一律に定められた前記不揮発性半導体メモリに書き込む手段と、 前記不揮発性半導体メモリに書き込まれた前記情報に基づいて前記第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行う手段とを具備し、 前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含むものであることを特徴とするメモリカード。 【請求項3】 前記情報は、前記第2のプログラムが配置される記憶領域上のアドレスを示す情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のメモリカード。 【請求項4】 前記第2のプログラム及び前記情報は、当該メモリカードに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれることを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載のメモリカード。 【請求項5】 前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリの記憶領域の中で最もECCエラー数の少ない領域に設けられることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のメモリカード。 【請求項6】 第1のプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と一定の消去ブロックサイズが一律に定められた不揮発性半導体メモリとを備えたメモリカードの制御方法において、 前記第1のプログラムの修正を行うための第2のプログラムと当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報とを前記不揮発性半導体メモリに書き込み、 前記不揮発性半導体メモリに書き込まれた前記情報に基づいて前記第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行い、 前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含むものであることを特徴とするメモリカードの制御方法。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。) を、 「 【請求項1】 ROM(Read Only Memory)に格納されている第1のプログラムの修正を行うための第2のプログラムと当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報とを外部から受けて、一定の消去ブロックサイズが一律に定められた不揮発性半導体メモリに書き込み、この不揮発性半導体メモリに書き込まれた前記情報に基づいて前記第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行う手段を具備し、 前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含むものであり、 前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれることを特徴とする半導体装置。 【請求項2】 第1のプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、 不揮発性半導体メモリと、 前記第1のプログラムの修正を行うための第2のプログラムと当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報とを外部から受けて、一定の消去ブロックサイズが一律に定められた前記不揮発性半導体メモリに書き込む手段と、 前記不揮発性半導体メモリに書き込まれた前記情報に基づいて前記第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行う手段とを具備し、 前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含むものであり、 前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれることを特徴とするメモリカード。 【請求項3】 前記情報は、前記第2のプログラムが配置される記憶領域上のアドレスを示す情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のメモリカード。 【請求項4】 前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリの記憶領域の中で最もECCエラー数の少ない領域に設けられることを特徴とする請求項2乃至3のいずれか1項に記載のメモリカード。 【請求項5】 第1のプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と一定の消去ブロックサイズが一律に定められた不揮発性半導体メモリとを備えたメモリカードの制御方法において、 前記第1のプログラムの修正を行うための第2のプログラムと当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報とを前記不揮発性半導体メモリに書き込み、 前記不揮発性半導体メモリに書き込まれた前記情報に基づいて前記第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行い、 前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含むものであり、 前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれることを特徴とするメモリカードの制御方法。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。) に補正するものである。 2.新規事項・補正の目的 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてなされており、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 そして、特許請求の範囲についての本件補正は、 a.補正前の請求項1に、「前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」との記載を追加して、補正後の請求項1とし、 b.補正前の請求項2を削除するとともに、 補正前の請求項2に従属していた補正前の請求項4を、その「前記第2のプログラム及び前記情報は、当該メモリカードに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」との記載を「前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」と補正して補正後の請求項2とし、これに伴い、補正前の請求項5を繰り上げて補正後の請求項4とし、 さらに、補正前の請求項3に、「前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」との記載を追加して、補正後の請求項3とし、 c.補正前の請求項6に、「前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」との記載を追加して、補正後の請求項5とする、 ものである。 bの、補正後の請求項2についてする本件補正は、補正前の請求項4における「メモリカード」を、単に、当該「メモリカード」に含まれる「不揮発性半導体メモリ」に限定するものである。この限定により、発明が解決しようとする課題が実質的に変更されるとは認められない。 aとcの本件補正、及び、bの補正後の請求項3についてする本件補正は、「前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」との事項を追加するものであるが、これにより、本件補正前の「第2のプログラム」及び「当該第2のプログラムを起動する際に必要な情報」が、「前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」ものであることを限定するものである。そして、「前記第2のプログラム及び前記情報」が「管理ブロックの領域に書き込まれる」ことで、本願明細書の段落【0059】の記載を参酌すれば、「前記第2のプログラム及び前記情報」はECCエラー数の少ない領域である「管理ブロック」に「書き込まれる」こととなり、したがって、前記「書き込まれ」た「前記第2のプログラム及び前記情報」を読み出すときに必要とされる誤り訂正処理が減少することは明らかである。そして、補正後の請求項1、3及び5において、「第2のプログラムを起動することにより前記第1のプログラムの修正を行う」ためには、前記「管理ブロック」に「書き込まれ」た「前記第2のプログラム及び前記情報」を読み出すことが前提である。 してみれば、本願明細書の段落【0010】には、本願に係る発明は「ROMに格納されたプログラムの機能修正を効率的に行うことができる」という課題を有することが記載されているところ、前記の「管理ブロック」に「書き込まれ」た「前記第2のプログラム及び前記情報」を読み出すときに必要とされる誤り訂正処理を減少させることは、前記「ROMに格納されたプログラムの機能修正を効率的に行うことができる」という課題の、概念的に下位の課題であると認められる。 以上から、特許請求の範囲についての本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、及び、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの)を目的とするものである。 3.独立特許要件 以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としているところから、補正後の請求項1ないし請求項5に係る発明(以下、「補正後の発明1」ないし「補正後の発明5」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、以下に検討する。 (1)原査定の理由 原審における拒絶の査定の要旨は、 本願の請求項1ないし請求項6に係る発明は、最後の拒絶理由通知に引用された特開平11-265283号公報(以下、「引用文献1」という。)、特開2001-344148号公報(以下、「引用文献2」という。)、特開2003-076605号公報(以下、「引用文献3」という。)、及び、国際公開第98/03915号(以下、「引用文献4」という。)にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、 というものである。 (2)当審の判断 (2-1)引用文献 引用文献1には、「記憶装置におけるファームウェアの修正方法及び記憶装置」について記載されており、その記載からして(特に、段落【0004】?【0059】)、 ROMに格納されているファームウェアの修正を行うための複数の修正されたモジュールと当該複数の修正されたモジュールをそれぞれ起動する際に必要な修正ジャンプテーブルとをホストコンピュータから受けて、フラッシュメモリに書き込み、このフラッシュメモリに書き込まれた前記修正ジャンプテーブルに基づいて前記複数の修正されたモジュールを起動することにより前記ファームウェアの修正を行うマイクロプロセッサを具備するフラッシュメモリカード、 前記ファームウェアは、電源オン処理時に実行されるモジュール、及び、機能ごとに分割されたプログラムである複数の初期モジュールであること、 前記複数の修正されたモジュール及び前記修正ジャンプテーブルは、前記フラッシュメモリの修正ファームウェア格納部に格納され、該修正ファームウェア格納部は前記修正されたモジュールを管理する修正ファーム管理部を持つこと、 が記載されている。 引用文献2には、その記載からして(特に、段落【0011】?【0040】)、 均等ブロックとは容量が異なり、したがって、消去ブロックサイズが前記均等ブロックとは異なる複数のブロックからなるブートブロック部を、複数の前記均等ブロックとともに有するブートブロックフラッシュメモリにおいて、前記ブートブロック部の前記均等ブロックの容量分の前記複数のブロックを消去する際に、前記消去を要求するホストシステムから前記ブートブロックフラッシュメモリを眺めると仮想的に均等ブロック1個を消去するように消去アクセスのアドレスを制御するブートブロックフラッシュメモリ、 が記載されている。 引用文献3には、「ブロック消去型不揮発メモリを搭載した半導体記憶装置とそのデータの書込み・読出し方法」について記載されており、その記載からして(特に、段落【0010】?【0036】)、 消去ブロックサイズがホストのデータアクセスサイズと一致していない不揮発性メモリに、前記ホストからデータ転送が行われた場合に、前記ホストから指定される論理セクタアドレスを、所定の前記消去ブロック単位を有する前記不揮発性メモリ内部の物理アドレスに変換すること、 が記載されている。 引用文献4には、 従来のフラッシュメモリカードは、カードのコンフィギュレーションやカードへのアクセスの仕方を記述するCIS情報を、フラッシュメモリに対する書込/読出しを実行するコントローラを制御するためのプログラムを格納するROMに、他のソフトウェアプログラムと一緒に格納していたため、前記CIS情報の書換えが不可能であったこと(明細書の第1頁第22行?第3頁第10行)、 フラッシュメモリカードにおいてCIS情報を書き込むときは、前記情報を格納するブロックとして不良ブロックを避けて、良品ブロックに書き込むこと(明細書の第20頁第5行?第21頁第9行)、 したがって、記載されたフラッシュメモリカードでは、CIS情報を所定のフラッシュメモリ内の所定の記憶位置に格納し、随時書換え可能としていること(明細書の第24頁第25行?第25頁第1行)、 が記載されている。 (2-2)補正後の発明1についての判断 補正後の発明1は、 a.「前記第1のプログラムは、CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラムを含む」とともに、 b.「前記第2のプログラム及び前記情報は、前記不揮発性半導体メモリに関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域に書き込まれる」 ことを、その発明特定事項として有する。 これに対して、引用文献1には、 前記ファームウェアは、電源オン処理時に実行されるモジュール、及び、機能ごとに分割されたプログラムである複数の初期モジュールであることは記載されているが、前記aのように「CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラム」をファームウェアとして格納することは、記載も示唆もされていない。 また、前記複数の修正されたモジュール及び前記修正ジャンプテーブルを格納する修正ファームウェア格納部を、前記bのようにフラッシュメモリに「関する情報を一括して管理するための管理ブロックの領域」に設けることも、記載も示唆もされていない。 そして、前記aの、「半導体装置」を制御するためのプログラムである「第1のプログラム」を「CPUにより実行された際に前記不揮発性半導体メモリにおけるアドレスと、前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行うプログラム」とすることは、引用文献2?4にも、記載も示唆もされていない。 なお、引用文献3に記載された、消去ブロックサイズがホストのデータアクセスサイズと一致していない不揮発性メモリに、前記ホストからデータ転送が行われた場合に、前記ホストから指定される論理セクタアドレスを、所定の前記消去ブロック単位を有する前記不揮発性メモリ内部の物理アドレスに変換するとの動作は、消去ブロックサイズより小さなセクタを単位としてライトアクセスを行うという一般的なフラッシュメモリにおける周知慣用の動作を記載したにすぎないものである。 また、前記bの点については、引用文献4には、従来は「書込/読出し」を「制御するためのプログラム」や「他のソフトウェアプログラム」と一緒にROMに格納していた「カードのコンフィギュレーションやカードへのアクセスの仕方を記述するCIS情報」を、所定のフラッシュメモリの所定の記憶位置である「良品ブロック」に格納することが記載されている。 しかし、引用文献4において、フラッシュメモリに関する情報である前記「CIS情報」を前記良品ブロックに格納するのは、当該「CIS情報」を書換え可能とするためであるから、従来は「他のソフトウェアプログラム」と一緒にROMに格納していた前記「CIS情報」を前記良品ブロックに格納するからといって、引用文献4において書換えることを想定していない前記「書込/読出し」を「制御するためのプログラム」や「他のソフトウェアプログラム」まで前記「良品ブロック」に格納することが、引用文献4に示唆されているとは認められない。 引用文献2及び3にも、前記bの点は、記載も示唆もされていない。 これに対して、補正後の発明1は、前記a及びbの発明特定事項を備えることで、 前記aについては、「修正」された「第1のプログラム」に基づいて、「半導体装置」は「前記不揮発性半導体メモリの消去ブロックサイズとは異なる一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリにおけるアドレスとのアドレス変換処理を行う」こととなるから、本願明細書の段落【0042】に記載された、「ホスト20側から得られる論理アドレスの順序に従って」、一定の消去ブロックサイズが一律に定められた別の不揮発性半導体メモリの「側で物理アドレスを再度割り当てることにより、ブロックの一部のみの書込の発生を低減し、オーバーヘッドの増大を抑制」することができる、という作用効果を奏するものであり、 前記bについては、「前記第2のプログラム及び前記情報」を、本願明細書の段落【0059】に記載されるように、「全物理領域の中でも最もECCエラー数の少ない領域」に書き込むことができる、という作用効果を奏するものである。 よって、補正後の発明1は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。 (2-3)補正後の発明2?5についての判断 補正後の発明2及び補正後の発明5は、それぞれ、補正後の発明1を、「メモリカード」の発明、及び、「メモリカードの制御方法」の発明として表現した発明である。 また、 補正後の発明3及び補正後の発明4は、いずれも、本件補正により補正された請求項2を引用する請求項に係る発明であり、すなわち、補正後の発明2の発明特定事項をすべて有する発明である。 してみれば、補正後の発明1が引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものと認めることができない以上、補正後の発明2ないし補正後の発明5も、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。 (3)独立特許要件のまとめ 以上のとおり、補正後の発明1ないし補正後の発明5は、引用文献1ないし引用文献4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものとは認められないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできず、よって、補正後の発明1ないし補正後の発明5は特許出願の際独立して特許を受けることができないとすることはできない。 さらに、他に、補正後の発明1ないし補正後の発明5が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、本件補正は特許法17条の2第5項の要件を満たしている。 4.小括 以上から、本件補正は、特許法17条の2に規定する要件を満たす適法なものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 以上のとおり、本件補正は特許法17条の2の規定を満たす適法なものである。 したがって、本願の請求項1乃至請求項5に係る発明は、本件補正により補正された補正後の請求項1ないし請求項5に記載されるとおりの、それぞれ、補正後の発明1ないし補正後の発明5であると認められる。 2.判断 してみれば、前記「第2.平成22年2月24日付けでなされた手続補正について」における「3.独立特許要件」の項で述べたとおりの理由により、本願の請求項1ないし請求項5に係る発明は引用発明1ないし引用発明4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 3.まとめ 以上のとおりであるから、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に係る発明は特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないとした原査定の拒絶の理由は、本件補正により解消した。したがって、本願の請求項1ないし請求項5に係る発明は、引用発明1ないし引用発明4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることとすることはできない。 そして、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-08-03 |
出願番号 | 特願2004-309751(P2004-309751) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 北川 純次 |
特許庁審判長 |
鈴木 匡明 |
特許庁審判官 |
清木 泰 山崎 達也 |
発明の名称 | メモリカード、半導体装置、及びメモリカードの制御方法 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 中村 誠 |