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審決分類 審判 一部無効 発明同一  E01F
審判 一部無効 2項進歩性  E01F
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E01F
管理番号 1241205
審判番号 無効2010-800070  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-19 
確定日 2011-08-03 
事件の表示 上記当事者間の特許第2751005号発明「プラスチック中空標示器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成 6年6月15日:出願(特願平6-132743号)
平成10年2月27日:特許権の設定登録
(特許第2751005号 請求項3)

平成22年4月19日:本件審判請求
平成22年5月12日:手続補正書
平成22年6月28日:被請求人より答弁書提出
平成22年7月26日:併合審理通知
平成22年8月20日:審理通知
平成22年9月14日:被請求人より口頭審理陳述要領書(1)提出
平成22年9月15日:請求人より口頭審理陳述要領書提出
平成22年9月21日:被請求人より口頭審理陳述要領書(2)提出
平成22年9月30日:請求人より口頭審理陳述要領書2提出
平成22年9月30日:口頭審理

第2 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められ、これを構成要件に分説すると次のとおりである。
「【請求項1】
A 脚部12において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチッ ク板体1であって、
B この板体1の頭部11には引掛バー31が形成された第1係合部3が設 けられ、
C この引掛バー31にブリッジ部材5が自在クランプ7を介して連結され ると共に、
D 前記第1係合部3の下方にはステー部材6を連結すべき第2係合部4が 設けられた
E ことを特徴とするプラスチック中空標示器。」
(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)

第3 当事者の主張
1 請求人の主張
請求人は、特許第2751005号の特許の請求項1に係る特許は無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由として、以下の無効理由1ないし3を主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

[無効理由1]
本件特許の請求項1に係る特許は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成6年改正前特許法」という。)第36条第5項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号の規定に該当し、無効とすべきである。
(具体的理由)
本件特許発明の課題解決のためには「中空に一体成形されたプラスチック板体1に流動体Wを給入および排出可能な給排口2を内空部に連通して形成する」ことが、目的および効果達成のために必須であるのに、この点が請求項1に記載されていない。

[無効理由2]
本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(具体的理由)
本件請求項1に係る発明において、「引掛バー」は「自在クランプを係止可能なプラスチック板体間の水平な支持材または引掛部」と解釈でき、自在クランプが引掛バーにどのように連結されるかは、何ら限定されていない。
一方、甲第1号証には、「脚部において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチック板体であって、この板体の頭部には第1係合部が設けられ、この第1係合部にブリッジ部材が連結され、前記第1係合部の下方にはステー部材を連結すべき第2係合部が設けられたプラスチック中空交通警告表示装置。」の発明が記載されている。
甲第1号証記載の発明は、引掛バーを有していないが、甲第4号証には、ブリッジ部材の引掛部を水平材とすることが記載され、甲第5号証ないし甲第7号証には、脚部にクランプを取り付けることが記載され、また甲第8、9号証に示すように、パイプを嵌合して連結するクランプとして自在クランプがよく知られているから、甲第1号証記載の発明において、頭部の第1係合部を水平な引掛部とし、この部分に甲第8、9号証に示すような自在クランプを取付け、ブリッジ部材を自在クランプを介して連結して、本件発明の構成とすることは当業者が容易になしうることである。

[無効理由3] 特許法第29条の2
本件発明は、本件出願前に出願され、本件出願後に出願公開された甲第10号証に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、本件特許発明の発明者が甲第10号証に係る発明の発明者と同一の者ではなく、かつ本件特許出願時に出願人と甲第10号証に係る特許出願の出願人が同一ではないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(具体的理由)
甲第10号証には、ブリッジ部材をクランプを介して連結することは明記されていないが、ブリッジ部材をクランプを介して連結することは周知技術であり、甲第10号証には、ブリッジ部材をクランプを介して連結することが開示されているといえる。

[証拠方法]
甲第1号証:米国特許第3,950,873号明細書(1976年)
甲第1号証の2:甲第2号証の要部訳
甲第2号証:米国意匠第327,658号公報(1992年)
甲第2号証の2:甲第2号証の要部訳
甲第3号証:米国特許第3,089,682号明細書(1963年)
甲第3号証の2:甲第3号証の要部訳
甲第4号証:米国特許第3,456,100号明細書(1969年)
甲第4号証の2:甲第4号証の要部訳
甲第5号証:実開平5-16817号公報
甲第6号証:実開平1-102210号公報
甲第7号証:実開昭59-121014号公報
甲第8号証:実開平5-52094号公報
甲第9号証:実開平5-69235号公報
甲第10号証:特開平7-173807号公報

2 被請求人の主張
被請求人は、答弁書を提出し、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、請求人の無効理由に対して以下のように反論とともに、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

[無効理由1について]
(1)本件特許における請求項1に記載された発明(特定発明)と、本件特許の請求項2及び請求項3に記載された発明(関連発明〉は、平成6年改正前特許法第37条1号及び2号に該当している。
(2)発明の詳細な説明における第1実施例には、本件特許の請求項1に係る発明が記載されているから、請求項1の記載は平成6年改正前特許法第36条第5項第1項に規定する要件を満たしている。
(3)また、各請求項に記載された発明には各々固有の課題があり、それに応じた解決手段があるところ、明細書の段落【0008】には「分離タイプの軽量部材を使用することにより、保管スペースなどを大幅に削減することができ、かつ、必嬰な設置場所で簡単に組み立てることができるプラスチック中空標示器を提供する」という“解決すべき技術的課題”が提示してあり、請求項1には、上記課題を解決するための手段が記載され、段落【0016】には「分離タイプの軽量部材を使用しているので、保管スペースなどを大幅に削減することができ、その結果経済的負担が低減される。」という利点が効果として記載されているから、本件特許の請求項1の記載は、平成6年改正前特許法第36条第5項第2項に規定する要件を満たしている。

[無効理由2について]
(1)本件発明の「引掛バー」は、自在クランプを引っ掛けて取り付けるものであり、孔を開けて取り付けるようなものではない。
そして、中空の板体に対して、クランプをどのように取り付けるかは、技術的にステップがあり、自在クランプを引っ掛けて取り付ける引掛バーを設ける本件発明の構成は容易に想到しうるものではない。
(2)甲第1号証ないし甲第9号証のいずれにも、板体の頭部に引掛バーが形成された第1係合部を設け、この引掛バーにブリッジ部材を自在クランプを介して連結する技術思想は示されていないから、本件発明は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものはない。

[無効理由3について]
甲第10号証には中空プラスチック標示器が記載されているが、引掛バーが形成された第1係合部は記載されていないから、本件発明は甲第10号証に開示されていない。

[証拠方法]
乙第1号証:甲第1号証の約文
乙第2号証:甲第2号証の約文
乙第3号証:甲第3号証の約文
乙第4号証:甲第4号証の約文
乙第5号証:本件の公開公報

第4 無効理由についての判断
1 無効理由1について
本件特許には、請求項1ないし3の3つの発明が含まれており、請求項2及び請求項3に係る発明は次のとおりである。
「【請求項2】脚部12において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチック板体1であって、当該板体1側面には流動体Wを給入および排出可能な給排口2が内空部に連通して形成されていると共に、この板体1の頭部11にはロック収容凹部32′とその下に蟻溝32とを設け、かつ、このロック収容凹部32′の少なくとも一方の側壁上部には狭隘凸部33を突設した第1係合部3が設けられており、この第1係合部3に上方から係合すべきブリッジ部材5の端部には突起部53を有するロック部材52とその下に蟻ほぞ51とが設けられ、この蟻ほぞ51が蟻溝32に蟻継状態に連結され、かつ、前記ロック部材52がロック収容凹部32′に連結されたことを特徴とするプラスチック中空標示器。
【請求項3】脚部12において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチック板体1であって、当該板体1側面には流動体Wを給入および排出可能な給排口2が内空部に連通して形成され、かつ、この板体1の頭部11には突起部34が形成された第1係合部3が設けられ、この突起部34にヒンジ連結部材8の第1嵌合筒81が挿着され、かつ、この連結部材8の第2嵌合筒82・82にブリッジ部材5の両端に突設された嵌合ロッド54・54が挿着されて連結されたことを特徴とするプラスチック中空標示器。」

そして本件特許明細書には、これらの本件特許に係る発明の課題及び効果について次のように記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路に設置される通行止め標示器の改良、更に詳しくは、中空に一体成形されたプラスチック板体から成る軽量部材を必要な設置場所で簡単に組み立てることができ、内空部に水などの流動体を充填することにより安定設置が可能であると共に、運搬時には軽いので作業能率がよくかつ取り扱い上の安全性に優れた頗る実用的なプラスチック中空標示器に関するものである。」
「【0007】
【解決すべき技術的課題】本発明は、工事現場などの危険防止のために使用する標示器に前述の如き問題があったことに鑑みて為されたものであり、中空の軽量部材を使用することにより、現場作業者の負担が軽減され、かつ、内空部に水などの流動体を充填することにより安定設置が可能である実用的なプラスチック中空標示器を提供することを技術的課題とするものである。
【0008】また、本発明の技術的課題は、分離タイプの軽量部材を使用することにより、保管スペースなどを大幅に削減することができ、かつ、必要な設置場所で簡単に組み立てることができるプラスチック中空標示器を提供することにある。」
「【0009】
【課題解決のために採用した手段】本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0010】即ち、本発明は、脚部12において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチック板体1であって、当該板体1側面には流動体Wを給入および排出可能な給排口2が内空部に連通して形成され、かつ、この板体1の頭部11にはブリッジ部材5を架掛すべき第1係合部3が設けられたプラスチック中空標示器を採用することによって、上記技術的課題を解決した点に特徴がある。」
「【0012】まず、本発明の第1実施例の標示器について説明する。図1および図2に示すように、第1実施例の標示器は、脚部12において起立可能なるごとく中空に一体成形された一対のプラスチック板体1の間に、ブリッジ部材5およびステー部材6を挟んで構成してある。このプラスチック板体1は、ブロー成形法によって成形することが可能である。当該プラスチック板体1の側面には、流動体Wを給入および排出可能な給排口2が内空部に連通して形成してある。標示器を設置する際に、給入口21から水などの流動体Wを給入し、標示器を除去する際に、排出口22から内部の流動体Wを排出する。このように流動体Wを内空部に充填することにより、軽量のプラスチック材質を使用しても標示器の安定設置が可能になる。前記流動体Wとして、水を用いることが多いけれども、倒れ難くするために水よりも比重の大きい砂などの粒状体を使用してもよい。前記プラスチック板体1の頭部11には引掛バー31が形成された第1係合部3が設けられ、この引掛バー31にブリッジ部材5が自在クランプ7を介して連結される。このブリッジ部材5に危険を知らせる警告マークなどを簡単に付加することができる。そして、前記第1係合部3の下方にはステー部材6を連結すべき第2係合部4が設けてあり、このステー部材6を一対の前記板体1の脚部12に連結することにより、標示器が安定に保持される。上記の標示器は分離タイプの軽量部材を使用しているので、各部材(プラスチック板体1、ブリッジ部材5、ステー部材6)毎に分離して収容することにより、保管時および運搬時には大幅に占有スペースを節約でき、かつ、運搬作業も重労働を伴うことなく能率よく安全に行うことが可能になる。」
「【0016】
【発明の効果】以上実施例を挙げて説明したとおり、本発明によれば、中空に一体成形されたプラスチック板体を使用しているので、極めて軽量になり、運搬時および設置時における現場作業者の負担が大幅に軽減される。また、このプラスチック板体の内空部に水などの流動体を充填することにより、軽量部材を使用しているにもかかわらず標示器の安定設置が可能になる。さらに、分離タイプの軽量部材を使用しているので、保管スペースなどを大幅に削減することができ、その結果経済的負担が低減される。よって、上記のように多数の効果を奏し、産業上の実用価値は頗る大である。」

上記記載によれば、本件特許明細書には、課題として
(1)中空の軽量部材を使用することにより、現場作業者の負担を軽減すること、
(2)内空部に水などの流動体を充填することにより安定設置を可能とすること、及び
(3)分離タイプの軽量部材を使用することにより、保管スペースなどを大幅に削減することが上げられており、
(1)の課題は、中空に一体成形されたプラスチック板体を使用することによって解決され、
(2)の課題は、板体1側面には流動体Wを給入および排出可能な給排口2が内空部に連通して形成することによって解決され、
(3)の課題は、プラスチック板体、自在クランプ、ブリッジ部材、ステー部材を分離した部材とすることで解決されることが示されている。
そうすると、本件の特許請求の範囲の請求項1には、上記(1)及び(3)の課題を解決するための構成が記載されているといえる。
なお、段落【0007】、【0012】には、内空部に水などの流動体を充填することにより安定設置が可能であることが記載されているが、これは、プラスチック板体1側面に、流動体を給入および排出可能な給排口2を形成し、水や砂などの流動体を給入すれば、上記(2)の課題も解決できることを示すものであって、プラスチック板体に給排口2を設け、内空部に水などの流動体を充填しなければ、プラスチック板体を標示器として使用できないことを示すものではない。
したがって、本件特許明細書の請求項1の記載は、平成6年改正前特許法第36条第5項第2号の要件を満たしている。

また、本件特許明細書の段落【0012】には、上記のとおり、本件発明の実施例が具体的に記載されているから、本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、本件特許明細書の請求項1の記載は、平成6年改正前特許法第36条第5項第1号の要件も満たしている。

2 無効理由2について
(1)証拠方法の記載内容
本件特許の出願前に頒布された甲第1号証(米国特許第3,950,873号明細書)には、「交通警告表示装置」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。
(1a)「多様な交通警告装置を形成するのに使用するための中空の成形プラスチック支持材は、一対の一定の間隔の角をなした脚材と垂直部材で形成される逆Y字型となっている。その柱部材は、垂直に長く伸びた間隔のあいた開口を設けていて、支持材の対向した平面側部を互いに間隔を置いた一体のプラスチック結合壁となっている。」(要約欄)
(1b)「図1は、一対の支持材10とクロスバーセクション36から形成されたタイプIIのバリケード34を図示する。クロスバーセクション36は、上部クロスバー38と、下部クロスバー40と垂直連結部42から構成される。望むならば、図示されていない開口を垂直部42に設けて、砂又はその他のバラストをクロスバー40の中空内部に充填できる。」(3欄1行?7行)
(1c)「図4は、一対の支持材10とクロスバー76の使用により、タイプIのバリケード78を形成する。前述したように、クロスバー76は2×8(名称)インチの木材又は類似の押出成形又はモールド樹脂成形体から構成する。
図5は、図1のクロスバー38と略同一なクロスバー部材80と一対の支持材10(一方は図示していない)を使用した高位置の警告標識ユニット81を図示する。しかしながら、部材80には、上と下のクロスバー86、88に形成された上と下の開口82、84を含んでいる。開口82、84は、上端に取り付けられた警告標識92及び/又はライト94を設けた垂直柱90を受け入れるようにしている。」(3欄37行?50行)
(1d)図1には、次の図面が記載され、支持材10は、下部の脚部部分で起立可能であること、支持材10の上部にクロスバーセクション36を連結する第1の開口が形成され、支持材10の下部にクロスバーセクション38を連結する第2の開口が形成されることが記載されている。

(1e)図4には、次の図面が記載され、支持材10の上部の開口に、クロスバー76を連結し、下部の開口には、クロスバーを設けないタイプIのバリケード78が記載されている。

これらの記載によれば、甲第1号証は、次の発明が記載されていると認められる(本件発明に対応させて分説した。)。
「a_(1 )脚部において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチッ ク支持材10の上部に第1の開口が形成され、
b_(1) この第1の開口にクロスバーセクション36の上部クロスバー38 が連結されると共に、
c_(1) 前記第1の開口の下方には、クロスバーセクション36の下部クロ スバー40を連結すべき第2の開口が設けられた、
d_(1) 交通警告表示装置のプラスチック中空支持材。」(以下、「甲第1号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第2号証(米国意匠第327,658号公報)には、「交通バリケードのためのフレーム」の意匠に関して、次の図面が説明とともに記載されている。
(2a)図1には、次の図面が記載され、略A型のフレームは、脚部において起立すること、フレームの上部にブリッジ部材を挿入する開口を設けることが示されている。


(2b)図7には、次の図面が記載され、第2実施例の正面図が記載されている。


(2c)図12には、図7の13-13部分断面図として次の図面が記載され、フレームが中空であることが示されている。



これらの記載によれば、甲第2号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「脚部において起立可能なるごとく中空に成形されたフレームの上部に開口が設けられ、この開口にブリッジ部材が連結される、中空の交通バリケード用フレーム。」(以下、「甲第2号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第3号証(米国特許第3,089,682号明細書)は、次の事項が記載されている。
(3a)「本発明はストリートバリケードに関し、その主要な目的は、全体がゴムで作成されたストリートバリケードを提供することにあり、これにより、車輌が衝突した場合に、従来の木製バーによるバリケードの如く、破壊されたり深刻な損傷を被ることなくひっくり返る。」(1欄8行?14行)
(3b)「・・・本発明のバリケードは概して10で示され、概して11で示される上部部材とそれぞれ概して12で示される実質的に同一の一対の対向した端部支持材で構成される。上部部材11は、全体的に比較的弾力性のあるゴムで構成されており、真直な棒材13を構成していて、その長さ方向に一定の間隔で互いに反対方向に延びたボスや突起14を備え、突起物は一体的に棒材13を成形されて、図1に示されるように好ましくはわずかな角度で配置され、そのような突起は、好ましくは上部部材llの長さに直角に延ばすことができる。」(1欄47行?61行)
(3c)「それぞれの端部材12は、一対の収束する脚部材20で構成され、これらは、ボス14aとこれに関連したボス15間、反対側では、ボス14bとその関連する端部ボス15間に棒材13を受け入れる溝を形成するため、離れて配置された上部部材21で終結され、装置は対向する脚部が長く伸びている上部棒材11から拡がる角度で配置されるようになっている。」(2欄3行?10行)
(3d)「開口23は、各脚20と横桟22に設けられ、ランタンや類似の証明装置を吊すためのフック等の収容のための開口を形成している。」(2欄16行?19行)
これらの記載によれば、甲第3号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「ゴムで構成された端部支持材12の上部に溝が形成され、この溝に上部部材11が連結される、道路のバリケード用端部支持材。」(以下、「甲第3号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第4号証(米国特許第3,456,100号明細書)には、「安全なバリケード」に関して、次の事項が記載されている。
(4a)「図5は、本発明で作れる交通バリケードの他の実施態様を示している。本発明のこの実施形態では、クロス材11Aは、隣接した対向端部がA字型の脚部12Aで支持されている。このクロス材11Aは中空で、透光性の光放散プラスチック材により型成形等で作られ、内部にアクセスできるように取り外し可能なカバー18Aが設けられ、内部には、上述のとおり照明手段と電源が設けられている。脚部12Aは、同様に、好ましくは中空で、透光性の光放散プラスチック材で型成形等で作られ、内部にアクセスできるように取り外し可能なカバープレート又はパネル蓋28Aが設けられ、内部には、適当な照明手段が設けられている。・・・」(3欄3行?26行)
(4b)図5には、A字型の脚部12Aの頂部には溝が形成され、クロス材11Aは、この溝に係合されること、溝の底部は水平に形成されていることが示されている。
これらの記載によれば、甲第4号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「中空に成形された脚部12Aの上部に溝が形成され、この溝にクロス材11Aが連結される、中空の交通バリケード用脚部。」(以下、「甲第4号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第5号証(実開平5-16817号公報)には、次の事項が記載されている。
(5a)「【請求項1】複数の三角脚を下部横杆で連結し、かつ各三角脚の上縁部に環状挟持片を固着すると共に、上部に安全標識灯等を起立状に装着する開口部の両側に係止口縁を備えた上部連結溝が長尺方向に沿って形成され、下部には表示板等を吊持状に装着する開口部の両側に係止口縁を備えた下部連結溝が長尺方向に沿って形成された上部横杆を、前記環状挟持片内を挿通させて各三角脚の上縁部に差渡して固定したことを特徴とする工事用バリケード。」(実用新案登録請求の範囲)
(5b)図1には、次の図面が記載され、三角脚2の上縁部に環状挟持片8が固着され、前記環状挟持片8の下方には下部横杆6を連結する環状挟持片4が設けられることが示されている。

これらの記載によれば、甲第5号証には、次の発明が示されていると認められる。
「パイプ製の三角脚2であって、この三角脚2の上縁部に環状挟持片8が固着され、この環状挟持片8内に上部横杆10が挿通されると共に、前記環状挟持片8の下方には下部横杆6を連結する環状挟持片4が設けられた工事用バリケードの三角脚2。」(以下、「甲第5号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第6号証(実開平1-102210号公報)には、次の事項が記載されている。
(6a)「 一対の支持体1,1と少くとも一本のポール2とで構成され、各支持体は二本の支脚7,7の上端部を互いに連結すると共に、両支脚間に横杆3を架設し、一方の支脚の上端にポール固定金具4を設けてあり、少なくとも一本の支脚が、下端の開口する筒脚9と、該筒脚の下端より出入可能に挿通した内脚10及び筒脚に外周側から螺合して筒脚内の内脚に当接する蝶ネジ12からなることを特徴とする道路工事用バリケード。」(実用新案登録請求の範囲)
(6b)第1図には、ポール固定金具4はクランプであること、ポール固定金具4は支持体1,1の上端と、そのポール固定金具4の下方の横杆3上に設けることが示されている。
(6c)第4図には、従来のバリケードの支持体として、略A字型の支持体1が記載され、支持体1の上端と、横杆3にポール固定金具4を設けること、上端のポール固定金具4に上部のポール2が連結され、横杆3のポール固定金具4に下部のポール2を係合連結することが示されている。
第1図のバリケードにおいても、第4図と同様に上下のポールが連結されることは明らかであるから、これらの記載によれば、甲第6号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「起立可能な支持体1の頭部にクランプ(ポール固定金具4)が固着され、このクランプに上部のポール2が連結されると共に、前記クランプの下方には下部のポール2を連結するクランプが設けられた道路工事用バリケードの支持体。」(以下、「甲第6号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第7号証(実開昭59-121014号公報)には、実用新案登録請求の範囲及び図面の記載によれば、次の発明が記載されていると認められる。
「断面コ字状に形成された前後一対脚体1a、1bを開脚自在となるよう上端で連結し、脚体の頂部と前後一対の脚体の即平外面に横棒を連結するためのクランプを回動時材に取る付けてなる長尺バリケードの両側脚構造。」(以下、「甲第7号証発明」という。)

本件特許の出願前に頒布された甲第8号証(実開平5-52094号公報)には、「第1クランプの本体部に連結軸を固定するとともに、該連結軸に第2クランプの本体部を回転自在に連結し、上記連結軸に係合部を形成し、上記第2クランプに、上記係合部に着脱可能に嵌合し、該第2クランプを所定の回転角度に固定する嵌合部材を設けたことを特徴とするクランプ。」(実用新案登録請求の範囲請求項1)が記載され、図3、図5には、該クランプにより作業用足場のパイプを連結することが示されている。

本件特許の出願前に頒布された甲第9号証(実開平5-69235号公報)には、「上腕部先端に傾斜面を形成すると共に、背面を少なくとも一か所連結し、下腕部に締付部を付設した中空略コの字型の支持金具本体と、先端を該支持金具本体の上腕部先端の傾斜面とほぼ同角度の傾斜状に形成すると共に、他端にクランプ金具を付設した係止片とからなり、上記係止片は該支持金具本体に内設した主軸に沿ってほぼ90°回動可能に軸着してなることを特徴とする構築用単管サポートの支持金具。」(実用新案登録請求の範囲請求項1)が記載され、図4には、パイプを自在クランプを介して取り付けることが示されている。

(2)対比、判断
本件発明と甲第1号証発明とを対比する。
甲第1号証発明の「プラスチック支持材10」は、本件発明の「プラスチック板体」又は「プラスチック中空標示器」に相当し、甲第1号証発明の「上部クロスバー38」は、本件発明の「ブリッジ部材」に相当し、甲第1号証発明の「下部クロスバー40」と、本件発明の「ステー部材」とは「横部材」である点で共通する。
また、甲第1号証発明における「プラスチック支持材10の上部」の「第1の開口」と、本件発明における「板体1の頭部11」の「引掛バー31が形成された第1係合部3」とは、「板体の上部」の「第1の係合部」である点で共通し、甲第1号証発明の「第2の開口」は、本件発明の「第2係合部」に相当する。
さらに、甲第1号証発明において「第1の開口に上部クロスバー38が連結される」ことと、本件発明において「引掛バー31にブリッジ部材5が自在クランプ7を介して連結される」こととは、「第1係合部にブリッジ部材が連結される」点で共通する。

したがって、両者は、次の点で一致する。
「A 脚部において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチック 板体であって、
B’この板体の頭部には第1係合部が設けられ、
C’この第1係合部にブリッジ部材が連結されると共に、
D’前記第1係合部の下方には横部材を連結すべき第2係合部が設けられ た
E プラスチック中空標示器。」
また、両者は次の点で相違する。
[相違点1](構成要件B、Cに関して)
本件発明は、第1係合部が「引掛バーが形成された」ものであり、ブリッジ部材が引掛バーに自在クランプ7を介して連結されるものであるのに対し、甲第1号証発明では、第1係合部が「開口」であり、ブリッジ部材が開口に連結されるものである点。
[相違点2](構成要件Dに関して)
横部材が、本件発明では、ブリッジ部材とは別のステー部材であるのに対し、甲第1号証発明では、ブリッジ部材(上部クロスバー38)と連結されてクロスバーセクション36を構成する下部クロスバー40である点。

まず、上記相違点2について検討すると、甲第1号証の図4には、ブリッジ部材を第1の開口のみに係合したタイプIのバリケードが記載されており(記載事項(1c)(1e)参照)、また、甲第5号証発明、甲第6号証発明に示されるように、左右の脚体を上部と下部の横部材で連結することは周知の技術であるから、甲第1号証発明において、ブリッジ部材を第1の開口にのみ連結し、第2係合部に、ブリッジ部材とは別の横部材であるステー部材を連結するようにすることは当業者が適宜なしうることである。

次に上記相違点1について検討すると、本件発明の上記相違点1に係る構成については、甲第2号証ないし甲第9号証のいずれにも記載されていないし、示唆もない。
すなわち、甲第2号証発明は、甲第1号証発明と同様に、中空に成形された板体(甲第2号証発明における「フレーム」)の上部の開口にブリッジ部材を連結するものであり、甲第3号証発明、甲第4号証発明は、板体脚部の上部の溝にブリッジ部材(甲第3号証発明における「上部部材11」、甲第4号証発明における「クロス材11A」)を係合するものであって、板体に、自在クランプを引掛ける「引掛バー」を設けることは記載されていないし示唆もない。
また、甲第5号証発明ないし甲第7号証発明には、バリケードの支持脚の上部にブリッジ部材(甲第5号証発明における「上部横杆」、甲第6号証発明における「ポール」、甲第7号証発明における「横棒」)を連結するためのクランプを設けることが示されているが、いずれも、バリケードの支持脚の上部にクランプを固着したものであり、バリケードの支持脚に、クランプを引掛ける「引掛バー」を設けることは示されていない。
そうすると、甲第1号証発明のような中空一体成形されたプラスチック板体に甲第5号証発明ないし甲第7号証発明のようなクランプを設けようとすることが当業者が容易に想到しうるとしても、プラスチック板体の頭部にクランプを引掛けるための「引掛バー」を設けることが当業者が容易になしうるとすることはできない。
さらに、前述のとおり、甲第5号証発明ないし甲第7号証発明には、クランプを引掛ける「引掛バー」を設けることは記載も示唆もないから、甲第8号証、甲第9号証に記載されているようにパイプを回動自在に連結する自在クランプが本件出願前に周知であるとしても、このようなクランプをバリケードの支持脚に引掛けるために、甲第1号証発明の第1係合部を「引掛バーが形成された」ものとすることが当業者が容易になしえたものとすることもできない。

なお、請求人は、甲第4号証には、ブリッジ部材の引掛部を水平材とすることが記載され、甲第5号証ないし甲第7号証には、バリケードの脚部にクランプを取り付けることが記載されているから、甲第4号証のような水平材に周知の自在クランプを取り付けることは当業者が容易になしうる旨主張するが、甲第4号証発明は、ブリッジ部材を溝に係合しようとするものであり、図5には、溝の底部に水平の横杆状部分が形成されることが示されているが、この水平の横杆状部分は、フレーム上部に溝を形成した結果形成されたものであって、溝の底部の水平の横杆状部分にクランプを取付けることが当業者が容易に想到しうるとはいえない。

そして、本件発明は、上記相違点1に係る構成により、プラスチック板体、自在クランプ、ブリッジ部材等を分離した部材とし、保管スペースなどを大幅に削減できる等の作用効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

3 無効理由3について
(1)証拠方法の記載内容
本件出願前に出願され、本件出願後に出願公開された甲第10号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
(10a)「【請求項1】 同一形状を有する一対の支柱と、該両支柱の上部を互いに連結する連結部材を備えた移動柵であって、前記各支柱の上部に係合部を設けるとともに、前記連結部材の両端に該係合部に着脱可能に係合する被係合部を設けたことを特徴とする移動柵。
【請求項2】請求項1に記載の移動柵において、前記係合部を前記支柱の上部の内外両側に設けたことを特徴とする移動柵。
【請求項3】請求項1に記載の移動柵において、前記支柱を中空構造に形成するとともに、支柱上部に注入口を形成したことを特徴とする移動柵。
【請求項4】請求項1に記載の移動柵において、前記支柱の内外両側のいずれか一側の少なくとも2カ所に嵌合部を設けるとともに、他側に各嵌合部に離脱可能に嵌合する被嵌合部を設けたことを特徴とする移動柵。
【請求項5】請求項1に記載の移動柵において、前記支柱の下部に支柱の内外を貫通するとともに上方に開口する略C字形の形状を有し、前記両支柱の下部を互いに連結するバーが前記開口を通って着脱可能に圧入する嵌合孔を形成したことを特徴とする移動柵。
【請求項6】請求項1に記載の移動柵において、前記連結部材を透光性材料にて中空構造に形成し、かつ発光体を内蔵したことを特徴とする移動柵。」
(10b)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の移動柵は支柱の脚部を重ね合わせて折り畳むことができるものの、支柱とパイプを分離できないので、折り畳んだときの形態がコ字形となり、立てかけて並べるにしても、積み重ねるにしても保管に広いスペースが必要なため不便である。また、運搬の便を図るため軽量に作製されているので、整然と設置しても風で倒れたり、通行人が軽く接触するたけで簡単に列が乱れてしまう。これを防止するには重りを取付けたり、隣接する移動柵同士を針金とパイプで連結しなければならず、その作業がはなはだ面倒なうえ外観も見苦しくなって周囲の美観を損なう。本発明はかかる問題点に鑑み、保管や携帯に便利であるだけでなく、設置作業も容易で美観を損なうことのない移動柵を提供することを目的とする。」
(10c)「【0006】
【実施例】・・・図1及び図2には本発明の第1実施例に係る移動柵10が示されている。当該移動柵10はA字形を有する一対の支柱20と、支柱20の上端部の内外両側に固定したブラケット30及びブラケット30を介して両支柱20を連結する細長いプレート40を備えている。支柱20はプラスチック製の中空成形構造を有し、上端部にブラケット30を取付けるための台形を有する取付部21が一体に設けられている。この取付部21には4個の通孔22が形成されている。ブラケット30は取付部21とほぼ同一の台形を有し、中央部に上下に延びる係合凹部31が形成されている。この係合凹部31はブラケット30の一側に開口するスリット32とこのスリット32に連通するとともにブラケット30の他側に開口し、スリット32より広い幅を有する溝33から構成され、スリット32及び溝33はともにブラケット30の上端に開口している。また、係合凹部31によって2分割されたブラケット30の表面の一側とブラケット30の裏面の他側にはそれぞれ通孔34が2個づつ形成されている。図3に拡大して図示するように、2枚のブラケット30は支柱20の取付部21の内外両側に重ね合わせ、一方のブラケット30の通孔34と取付部21の通孔22を通してタッピングネジ35を他方のブラケット30にネジ込むことにより取付部21に固定されている。
【0007】支柱20を連結するプレート40はプラスチック製で、両端にはブラケット30の係合凹部31に着脱可能に係合する係合凸部41が一体に成形されている。係合凸部41は係合凹部31の溝33に係合する幅広部42とスリット32に嵌合する幅狭部43から構成されているので、係合凹部31の上端開口側から挿入したり、抜き出すことにより一対の支柱20をプレート40によって互いに一体に連結したり、別々に分離することが可能である。・・・支柱20の上部には注入口23が形成されて、ゴム製の栓24で閉塞されている。この栓24を外して支柱20の内部に水を充填することで支柱20の重量が大幅に増大する。また、内部の水を排出すれば軽量になる。
【0008】・・・また、支柱20の下部中央にはC字形の嵌合孔27が形成されている。この嵌合孔27は支柱20の下部の内外を貫通するとともに上方に開口する切欠部27aを有するので、図4に拡大して図示するように所要の径を有するパイプ材28をこの切欠部27aから着脱可能に圧入することができる。さらに、支柱20の下部にはパイプ材28を挿通できる通孔29が2カ所に形成されている。」
(10d)「【0009】本実施例に係る移動柵は以上の構成からなり、保管時には一対の支柱20とプレート40を分離できるので、支柱20同士及びプレート40同士を重ね合わせることにより、保管に要するスペースが少なくて済み保管にきわめて便利である。とくに本実施例においては係合凹部31を設けたブラケット30を支柱20上部の内外両側に固定したので、図5に示すように両係合凹部31にプレート40を係合して、隣接する多数の支柱20を順次連結できる。これにより、長い移動柵10を整然と組立てることができるので、広い区域を区画するに極めて好都合である。その際、長尺のパイプ材28をC字形嵌合孔27に圧入することにより多数の支柱20を強固に連結できるだけでなく、嵌合孔27をC字形に形成したので針金などの部材を要することなくパイプ材28を支柱20に連結できるので、長い移動柵を組立てる作業が容易である。さらに、通孔29を設けたので、要すればこの通孔29にもパイプ材28を挿通することにより、より強固に支柱20を連結できる。」
(10e)「【0011】次に、本発明の第2実施例に係る移動柵を図6及び図7に示す。上述した第1実施例においては支柱20をA字形状に形成したが、第2実施例に係る移動柵の支柱50は逆T字形状を有し、パイプ材28を挿通するための通孔51が3箇所に形成されている。また、第1実施例においてはブラケット30に係合凹部31を形成し、該ブラケット30を支柱20にタッピングネジ35で固定したが、本実施例では支柱50の上端部の内外両側に係合凹部52が一体に成形されている。・・・かかる構成の移動柵によれば、支柱50の保管に要するスペースが一層少なくて済み、またブラケット30を固定する作業を省略できるので、製造コストの低減を図ることができる。」
(10f)「【0012】さらに、本発明の第3実施例に係る移動柵を図8に示す。当該移動柵においては連結部材として、半透明のプラスチック材料を中空構造に成形したパイプ60が用いられている。パイプ60の両端には支柱20の係合凹部31に係合する係合凸部61が設けられ、中間部の底面側には取付口62が形成されている。パイプ60の内部には発光体63が内蔵されている。・・・かかる構造の移動柵によれば、発光体63によってパイプ60を内部から照明できるので、夜間でも移動柵の存在を明示できる。また、発光体63をパイプ60に内蔵したので、移動柵の外観形状が簡潔になり、保管や運搬が容易で発光体の耐久性も向上する。」
これらの記載によれば、甲第10号証には、次の発明が記載されていると認められる(本件発明に対応させて分説した。)。
「a_(10) 脚部において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチ
ックの支柱20であって、
b_(10) この支柱20の上部には係合部が設けられ、
c_(10) この係合部に連結部材40が着脱可能に係合されると共に、
d_(10) 前記係合部の下方にはパイプ材28を連結すべき切欠部27a及
び通孔29が設けられた
e_(10) 移動柵。」(以下、「甲第10号証発明」という。)

(2)対比、判断
本件発明と甲第10号証発明を対比すると、甲第10号証発明の「支柱20」、「連結部材40」、「パイプ材28」、「移動柵」は、それぞれ本件発明の「板体」、「ブリッジ部材」、「ステー部材」、「プラスチック中空標示器」に相当し、甲第10号証発明の「係合部」、「切欠部27a及び通孔29」は、それぞれ本件発明の「第1係合部」、「第2係合部」に相当するから、両者は、次の点で一致する。
「A 脚部において起立可能なるごとく中空に一体成形されたプラスチック 板体であって、
B’この板体の頭部には第1係合部が設けられ、
C’この第1係合部にブリッジ部材が連結されると共に、
D 前記第1係合部の下方にはステー部材を連結すべき第2係合部が設け られた
E プラスチック中空標示器。」
しかし、両者は次の点で相違する。
[相違点A](構成要件B、Cに関して)
本件発明は、第1係合部が「引掛バーが形成された」ものであり、ブリッジ部材が引掛バーに自在クランプ7を介して連結されるものであるのに対し、甲第10号証発明では、第1係合部がブリッジ部材の係合部であり、ブリッジ部材が係合部に連結されるものである点。

上記相違点について検討すると、第1係合部として、甲第10号証に具体的に記載されているものは、板体(支柱20)の上端部に台形を有する取付部21が設けられ、この取付部21に、係合凹部31が形成されているブラケット30を取り付け、この係合凹部31にブリッジ部材の両端に一体に成形された係合凸部41を係合するもの(記載事項(10c)参照)、あるいは板体(支柱50)の上端部の内外両側に係合凹部52を一体に成形し、この係合凹部52に、ブリッジ部材の両端の係合凸部41を係合するもの(記載事項(10e)参照)のみであり、板体(支柱20)の頭部に引掛バーを設け、ブリッジ部材を引掛バーに自在クランプ7を介して連結することは開示されていない。
したがって、本件発明は甲第10号証発明と同一であるとすることはできない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-10-28 
出願番号 特願平6-132743
審決分類 P 1 123・ 121- Y (E01F)
P 1 123・ 161- Y (E01F)
P 1 123・ 537- Y (E01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 良子  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 宮崎 恭
山本 忠博
登録日 1998-02-27 
登録番号 特許第2751005号(P2751005)
発明の名称 プラスチック中空標示器  
代理人 岡倉 誠  
代理人 雨宮 沙耶花  
代理人 岡筋 泰之  
代理人 山上 和則  
代理人 藤川 義人  
代理人 森本 邦章  
代理人 岡倉 誠  
代理人 山上 和則  
代理人 雨宮 沙耶花  
代理人 藤川 義人  
代理人 中出 朝夫  
代理人 戸川 公二  
代理人 戸川 公二  
代理人 岡筋 泰之  
代理人 中出 朝夫  

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