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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200520859 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1241225
審判番号 不服2008-17554  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-09 
確定日 2011-08-03 
事件の表示 平成11年特許願第226296号「酵母を配合するミネラル強化流動食」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月20日出願公開,特開2001- 46016〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成11年8月10日の出願であって,平成19年9月13日付けで通知した拒絶理由通知に対して,同年11月19日付けで手続補正がなされ,平成20年1月30日付けで通知した最後の拒絶理由通知に対して,同年4月4日付けで手続補正がなされ,これに対して同年6月3日に平成20年4月4日付けの手続補正が補正却下さなれ,同日付で拒絶査定がなされ,同年7月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同年8月7日付けで手続補正がなされ,その後,審判において送付した平成22年10月27日付けの審尋に対して,同年12月28日付けで回答書が提出されたものである。

2 平成20年8月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年8月7日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の補正前の請求項1?7は,
「【請求項1】 亜鉛,銅,及びセレンの少なくとも1種をミネラル成分として含有する酵母であって,
亜鉛については2重量%以上,銅については0.5重量%以上,セレンについては0.05重量%以上含有する酵母の少なくとも1種を,
乾燥形態の酵母換算で,0.001?0.2重量%含有することを特徴とする流動食であって,亜鉛を含有する酵母を用いる場合には,銅を含有する酵母及びセレンを含有する酵母と併用する,前記流動食。
【請求項2】 蛋白質,脂質,炭水化物及びビタミンを含有する請求項1記載の流動食。
【請求項3】 蛋白質を2?9g/100ml,脂質を1.5?9g/100ml,炭水化物を10?35g/100ml含有する請求項2記載の流動食。
【請求項4】 乳化された形態にある請求項1?3のいずれか1項記載の流動食。
【請求項5】 亜鉛を含有する酵母,銅を含有する酵母,及びセレンを含有する酵母を含有する請求項1?4のいずれか1項記載の流動食。
【請求項6】 粉末状,液体状及び半固形状の何れかの形態にある請求項1記載の流動食。
【請求項7】 容器内に収納された状態にあり,少なくとも殺菌されている請求項1?6の何れか1項記載の流動食。」
というものから,
「【請求項1】 銅をミネラル成分とし,かつ0.5重量%以上含有する酵母を,乾燥形態の酵母換算で,0.001?0.2重量%含有し,蛋白質を2?9g/100ml,脂質を1.5?9g/100ml,炭水化物を10?35g/100ml及びビタミンCを含有し,乳化された形態にあることを特徴とする流動食。
【請求項2】 容器内に収納された状態にあり,少なくとも殺菌されている請求項1記載の流動食。」
と補正された。
なお,下線は審判請求時の請求項の補正箇所であり当審で付したものである。
以下,補正後の請求項1に係る発明を,「本願補正発明1」という。
上記補正は,請求項1に記載の発明を特定するために必要な事項である「亜鉛,銅,及びセレンの少なくとも1種をミネラル成分として含有する酵母」であって「亜鉛については2重量%以上,銅については0.5重量%以上,セレンについては0.05重量%以上含有する酵母の少なくとも1種」であり,かつ「亜鉛を含有する酵母を用いる場合には,銅を含有する酵母及びセレンを含有する酵母と併用する」というミネラル成分を含有する酵母を,「銅をミネラル成分とし,かつ0.5重量%以上含有する酵母」に限定(以下,「補正a」という。)すると共に,請求項1に記載の発明を特定するために必要な事項である「流動食」に対し「蛋白質を2?9g/100ml,脂質を1.5?9g/100ml,炭水化物を10?35g/100ml及びビタミンCを含有し,乳化された形態にある」という限定を付すものである(以下,「補正b」という。)。
また,前記補正と同時に補正前の請求項2?6を削除し(以下,「補正c」という。),請求項7を新たな請求項2とし,項番号の繰り上げと,引用項の番号を補正後の項番号に訂正する補正が行われた(以下,「補正d」という。)。

(2)補正の適否
本件補正のうち補正aは,ミネラル成分を含有する「酵母」の範囲を限定し,補正bは,請求項1に記載の発明の特定事項である「流動食」がどのような成分,含有量であり,乳化しているかどうかを限定するから,補正a及び補正bは平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
補正cは,請求項を削除するもので,また,補正dは請求項の削除により必要となる項番号の繰り上げと引用する項番号を補正後の項番号に整合させるものであるから,補正c及び補正dは,平成18年改正前の特許法第17条の2第4項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものである。
そして,補正bで加える流動食の成分,含有量,乳化形態は願書に最初に添付した明細書の補正前の請求項2?4,段落【0020】,【0058】の記載に基づくものであり新規事項の追加に該当しない。

そこで,上記した本願補正発明1が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)引用刊行物及び引用刊行物記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された特開平10-203972号公報(以下,「刊行物1」という。),特開昭59-2393号公報(以下,「刊行物2」という。),特開平8-332082号公報(以下,「刊行物3」という。),特開平8-196236号公報(以下,「刊行物4」という。)及び特開平10-210951号公報(以下,「刊行物5」という。)には,次の事項が記載されている。
なお,上記摘示での下線は当審において付したものである。
ア 刊行物1記載の事項
(刊1-1)「【0008】
従って本発明は,免疫調節作用を有する医薬または栄養製剤の調製における遊離アミノ酸形および/または生理学的に許容される塩の形のグリシン,L-アラニンおよび/またはL-セリンの使用を提供する。」

(刊1-2)「【0020】
栄養製剤または医薬は例えば術前投与といった予防的に,例えば術後といった急性期に,またはその両方のいずれかで投与し得る。
【0021】
栄養製剤または医薬は患者に経腸投与または非経口投与し得る。経腸投与経路が,特に後処置または予防処置に好ましい;特に考えられる経腸投与経路は経口投与,鼻腔投与および/または栄養管投与である。医薬または製剤は簡便には水溶液の形で投与する。・・・略・・・。」

(刊1-3)「【0047】
一般に,環境に依存して完全調整食(即ち,実質的に全ての必要なエネルギー,アミノ酸,ビタミン,ミネラルおよび微量元素を供給する食事)または補足食であり得る調整食の形の本発明の食事を投与して,好ましい結果が得られる。食事は,簡便には,水性液体形で取る。調整食は,従って,炭水化物,脂質脂肪(脂肪源)およびタンパク質(窒素源)および,グリシン,L-アラニンおよびL-セリンまたはそれらの生理学的に許容される塩の形からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸を含み得,酸または塩が調整食中に100g当たり約0.5から10g存在することを特徴とする。調整食は,好ましくは,更に,ビタミン,ミネラル,微量元素,線維(好ましくは可溶性線維)のような他の栄養学的に利点のある成分を含む。」

(刊1-4)「【0050】
本発明の医薬または製剤に含むのに適当なミネラルおよび微量元素の例は,栄養学的に許容される形のナトリウム,カリウム,カルシウム,リン,マグネシウム,マンガン,銅,亜鉛,鉄,セレン,クロムおよびモリブデンを含む。
【0051】
特に,医薬または製剤は,好ましくは,栄養学的に許容される形のベータ-カロテン(ビタミンA),ビタミンE,ビタミンC,チアミン,ビタミンB12,コリン,セレンおよび亜鉛を含む。」

(刊1-5)「【0068】
本発明の食飼および製剤は,それ自体既知の方法,例えば,成分を混合することにより,得られ得る。」

(刊1-6)「【0088】
実施例5:経腸組成 以下の組成において,MMは『ミネラル混合物』し,SMは『微量元素混合物』およびVMは『ビタミン混合物』を意味する。これらの3つの混合物の組成は以下の通りである:
【表1】
MM
成分 g/100g
マルトデキストリン 33.40
クエン酸カリウム/リン酸塩 34.60
二クエン酸マグネシウム 8.20
塩化カルシウム 8.00
クエン酸ナトリウム/塩化物 9.00
クエン酸 3.50
酒石酸コリン 2.30

SM
成分 g/100g
マルトデキストリン 47.79
モリブデン-酵母 18.00
クロム-酵母 9.20
硫化亜鉛 7.00
セレン-酵母 7.00
硫化鉄(II) 6.92
グルコン酸銅(II) 2.24
硫酸マンガン(II) 1.12
フッ化ナトリウム 0.70
ヨウ化カリウム 0.03

VM 成分 g/100g
マルトデキストリン 43.44
アスコルビン酸ナトリウム 35.00
ビタミンE-Ac.50% 16.00
ナイアシンアミド 1.55
ビタミンA-酢酸塩 1.20
ビタミンA-酢酸塩 1.20
Ca-D-パントテン酸塩 0.98
ビタミンK11% 0.71
ビタミンB120.1% 0.30
ビタミンD3 0.28
ビタミンB6 0.20
ビタミンB1 0.17
ビタミンB2 0.15
葉酸 0.02
ビオチン 0.01

【0089】
グリシンを含有する組成物
【表2】
成分 g/100g
水 77.40
マルトデキストリン 10.10
Na/Caカゼイン酸塩 4.60
グリシン 3.00
MM 2.00
SM 0.05
VM 0.10
β-カロチン 0.03
脂質:
ヤシの油 2.33
ヒマワリの油 0.26
乳化剤 NathinE 0.13
100.00 」

(刊1-7)「【0061】本発明の調整食を栄養供給のために(例えば,手術前処置)使用する時,それによるエネルギー供給は,患者の食欲を不必要に押えないように,過剰であってはならない。供給は,簡便には,600から1000Kcal/日を供給する量のエネルギー源を含む。完全調整食として(例えば,手術後処置および外傷の処置のために)使用する時,本発明の食事は簡便には600から1500Kcal/日を供給する。一日当たりの全カロリーに対する窒素源,炭水化物源および脂質源の構成は,広範囲で変化し得る。好ましい本発明の製剤において,炭水化物源は全エネルギー供給の40から70%,窒素および脂肪酸源はそれぞれ製剤の全エネルギー供給の15から30%を提供する。完全食として使用するために,本発明の食事は簡便には500から3000mlの範囲の用量の液体形で投与する。補足食として使用するために,投与は粉末または液体形であり得る。」

ここで摘示(刊1-6)によると,SM中のグルコン酸銅(II)の含有量は,100g中2.24gである。これを,銅の量として計算すると,グルコン酸銅(II)の分子量は453.84だから,銅(原子量63.55)は,SM100g当たり0.31g含まれる。
このSMが摘示(刊1-6)の【表2】のグリシンを含有する組成物,すなわち,経腸組成物100g当たり0.05g含まれるから,銅の含有量は,経腸組成物100g当たり0.00015gとなる。
上記摘示(刊1-6)の記載に加え,刊行物1に記載された技術の全体説明(刊1-1)?(刊1-5参照)を参酌すると,刊行物1の実施例5には,次の発明(以下,「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる。
「マルトデキストリン 10.10g
Na/Caカゼイン酸塩 4.60g
グリシン 3.00g
MM(ミネラル混合物) 2.00g
SM(微量元素混合物) 0.05g
VM(ビタミン混合物) 0.10g
β-カロチン 0.03g
脂質として:
ヤシの油 2.33g
ヒマワリの油 0.26g
乳化剤 NathinE 0.13g,
に水77.40を加え,全体を100gにした栄養製剤としての経腸組成物であり,各成分は混合されており,SM(微量元素混合物)100g中には,モリブデン-酵母18.00g,クロム-酵母9.20g,セレン-酵母7.00g,グルコン酸銅(II)2.24g等の微量元素を含むものであり,亜鉛を用いる酵母は用いておらず,銅(グルコン酸銅)は計算すると経腸組成物100gに対し0.00015g含有しており,VM(ビタミン混合物)はアスコルビン酸ナトリウム等を含むものである経腸組成物」

イ 刊行物2記載の事項
(刊2-1)「実施例1 二酸ゲルマニウム500ppmおよび二酸化セレン10ppmを含む・・・(略)・・・で殺菌した後,ビール酵母(Saccharomyces uvarum IAM-4778)を・・・(略)・・・。したがって,乾燥菌体1g当たり1,500μg(1,500ppm)のゲルマニウムと2,000μg(2,000ppm)のセレンを同時に含有した菌体を得ることができた。」(5頁右上欄12行?同頁左下欄下から3行)

(刊2-2)「ところで本発明者等は微生物の増殖の速さ,各種金属の吸収,代謝能に早くから注目しておりゲルマニウムおよびセレンを適当な濃度バランスを保たせて微生物体内に吸収させ,そこで何らかの有機体への変化を行わせれば,薬効のあるゲルマニウムおよびセレン含有微生物を製造できる可能性があると考えて研究を重ねた。供試微生物として古くから食品製造に使用されていて,その安全性が完全に認められている微生物,たとえばビール酵母,パン酵母,日本酒酵母,・・・(略)・・・本発明を完成するのに至ったものである。(2頁右下欄2?17行)

ウ 刊行物3記載の事項
(刊3-1)「【要約】
【構成】 亜鉛を50ppm以上含有する溶液中で,酵母を懸濁状態で非増殖的に攪拌及び/又は振とう処理する。
【効果】 乾燥菌体当たり亜鉛を10,000ppm以上含有する亜鉛高含有酵母が得られる。」

エ 刊行物4記載の事項
(刊4-1)「【0008】また,液状栄養食における総蛋白質の濃度は,42mg/ml?88mg/mlであることが好ましく,この範囲であれば,液状栄養食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性などの点において優れたものとなる。また,液状栄養食における全乳蛋白質の濃度は,14mg/ml?44mg/mlであることが好ましく,また,カゼインナトリウムの濃度は,28mg/ml?59mg/mlであることが好ましい。この範囲でれあば,耐加熱滅菌性,液状栄養食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性などの点においてより優れたものとなる。
【0009】脂質としては,一般に食用として利用されているものが使用できる。例えば,大豆油,コーン油,サフラワー油,トウモロコシ油,ココヤシ油,ヒマワリ油,オリーブ油などの植物性油脂,獣油(例えば,牛脂,ラード),乳脂肪などの動物性脂肪,MCT油(中性脂肪,中程度の鎖長のトリグリセライド),さらに,高度不飽和脂肪酸(例えば,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸,γ-リノレン酸,ジホモ-γ-リノレン酸,リノール酸)などが使用できる。特に,リノール酸を含有することにより大豆油が好適である。また,液状栄養食における脂質の濃度は,33mg/ml?89mg/mlであることが好ましく,この範囲であれば,液状栄養食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性などの点において優れたものとなる。
【0010】炭水化物いわゆる糖質としても,一般に食用として利用されているものが使用できる。例えば,澱粉,デキストリン,ラクトース,シュクロース,グルコース,フラクトース,マルトースなどが使用される。特に,デキストリンが好ましい。デキストリンとしては,DE値15?30のものが好ましい。DE値が15以上であれば,粘性も低く,液状栄養食の流動性を低下させることがなく好ましい。また,DE値が30以下であれば,浸透圧が高すぎず,液状栄養食の浸透圧も十分に低いものとなる。また,液状栄養食におけるデキストリンの濃度は,160mg/ml?350mg/mlであることが好ましく,この範囲であれば,液状栄養食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性などの点において優れたものとなる。」

オ 刊行物5記載の事項
(刊5-1)「【0013】本発明の液状流動食における総蛋白質の濃度は,4g/100ml?9g/100mlであることが望ましく,この範囲であれば,液状流動食の高カロリー性,流動性等の点において優れたものとなる。また,液状流動食における全乳蛋白質とカゼインと動物性蛋白質分解物又は植物性蛋白質分解物の濃度はそれぞれ,1g/100ml?4.5g/100mlであることが望ましく,また,カゼインナトリウムの濃度は,2g/100ml?6g/100mlであることが望ましい。この範囲内であれば,耐加熱滅菌性,液状流動食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性等の点においてより優れたものとなる。
【0014】脂質としては,一般に食用として利用されているものを使用できる。例えば,大豆油,コーン油,サフラワー油,ココヤシ油,ヒマワリ油,オリーブ油等の植物性油脂,獣脂(例えば,牛脂,ラード),乳脂肪等の動物性脂肪,MCT油,高度不飽和脂肪酸(例えば,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸,γ-リノレン酸,ジホモ-γ-リノレン酸,リノール酸)等が使用できる。特に,リノール酸を含有することから大豆油が好適である。また,本発明の液状流動食における脂質の濃度は,4.5g/100ml?9g/100mlであることが望ましく,この範囲内であれば,液状流動食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性などの点において優れたものとなる。
【0015】炭水化物(糖質)としては,一般に食用として利用されているものを使用できる。例えば,澱粉,デキストリン,難消化性デキストリン,乳糖,ショ糖,グルコース,果糖,マルトース等を使用できるが,特に,デキストリン,DE値8?30の範囲のデキストリンの組み合わせが最も望ましい。DE値が15以上であれば粘性も低く,液状流動食の流動性を低下させることがなく望ましいが,DE値が30以下であれば,液状流動食の浸透圧も十分に低いものとなる。
【0016】また,本発明の液状流動食におけるデキストリンの濃度は,16g/100ml?35g/100mlであることが望ましく,この範囲であれば,液状流動食の高カロリー性,低浸透圧性,流動性等の点において優れたものとなる」

(4)対比
そこで,本願補正発明1と刊行物発明を比較する。
ア 刊行物発明の「グルコン酸銅(II)」を含むことは,グルコン酸銅(II)がミネラル成分であるから,本願補正発明1の「銅をミネラル成分として含有」することに相当する。しかしながら,刊行物発明は,銅を酵母に取り込ませたものではないから,刊行物1発明の「グルコン酸銅(II)」を含むことと,本願補正発明1の「銅をミネラル成分とし,かつ0.5重量%以上含有する酵母を,乾燥形態の酵母換算で,0.001?0.2重量%含有」することとは,「銅をミネラル成分として含有」することで共通する。

イ 刊行物発明が成分として「乳化剤 NathinE 0.13g」とする乳化剤を含み「各成分は混合されて」いるから,刊行物発明は乳化されている状態にあるといえる。そうすると,刊行物1発明は,本願補正発明1の「乳化された形態にある」ことに相当する状態にあることは明らかである。

ウ 刊行物発明における「Na/Caカゼイン酸塩」,「油」,「マルトデキストリン」はそれぞれ蛋白質,脂質,炭水化物であり,「アスコルビン酸ナトリウム」はビタミンCの塩であるから,本願補正発明1が蛋白質,脂質及び炭水化物と,ビタミンCとを含有することと組成物において一致する。

エ 刊行物発明の「経腸組成物」は,液体の栄養製剤であり,蛋白質,脂質,炭水化物,ビタミン類等を含む完全調整食としても供されるものであるから(摘示刊(1-2),摘示刊(1-3)),本願補正発明1の「流動食」とは,「流動栄養剤」という点で共通する。

したがって,両者の間には,以下の一致点および相違点がある。
[一致点]
「ミネラル成分として銅を含有し,蛋白質,脂質,炭水化物及びビタミンCを含有し,乳化された形態にある流動栄養剤。」である点。

[相違点]
相違点1
ミネラル成分としての銅が,本願補正発明1は,0.5重量%以上銅を含有する酵母を,乾燥形態の酵母換算で0.001?0.2重量%含有させるものであるのに対して,刊行物発明では,銅をグルコン酸銅(II)として含有させている点。

相違点2
蛋白質,脂質,炭水化物及びビタミンCの含有量が,本願補正発明1は,流動食が「蛋白質を2?9g/100ml,脂質を1.5?9g/100ml,炭水化物を10?35g/100ml」であるのに対して,刊行物発明は,蛋白質,脂質及び炭水化物の配合量をそれぞれ100g当たりの重量で規定している点。

相違点3
流動栄養剤が,本願補正発明1では「流動食」であるのに対して,刊行物1発明では,「経腸組成物」であり,流動食,すなわち,口から摂取するものではない点。

(5)判断
以下,上記の各相違点について検討する。
ア 相違点1について
(ア)銅含有率が0.5%以上の酵母の使用について
刊行物1では,ミネラル成分のうちモリブデン,クロム,セレンをそれぞれ酵母に取り込ませた形態(即ち,モリブデン-酵母,クロム-酵母,セレン-酵母)で補給している。
ところで,本件の出願当時,食品に加える微量元素として微量元素を含有する酵母を用いることは一般に知られていた。(刊行物発明においても,モリブデン-酵母,クロム-酵母,セレン-酵母が用いられているし,刊行物2(摘示(刊2-1)及び(刊2-2))及び刊行物3(摘示(刊3-1))にも記載されている。)
また,銅高含有酵母は,本願の出願時すでに周知であり(必要ならば,J.VINSON, M.CURTIS, M.MASCHELLI, P.BOSE & J.LEWIS,”MECHANISM AND EFFECT OF EXCESS COPPER SUPPLEMENTATION ON BODY LIPIDS”,ADVANCES IN DIET AND NUTRITION、p.218-220 1985(以下,「刊行物A」という。)の特にp.218本文15?17行の「結果と考察」の書き出し部分には「ラットを使った生物学的有効性は,酵母(銅高含有酵母:Grow社)が,肝臓と血液の両方で最も好適に吸収する銅源であることを示した。」と記載されている。),Grow社から入手することもできたものである。しかも,刊行物Aには,Grow社製の銅高含有酵母が,肝臓と血液の両方で最も好適に吸収する銅源であることもラットで確かめられており,当業者であれば銅高含有酵母が優れた銅の供給源であることを認識できたものである。
そして,本願明細書の段落【0057】によると,使用した銅酵母は,「ミックスミネラルイースト」Grow社製に含まれるものであって,銅酵母中の銅含有量は1.0%であったと記載している。また,刊行物Aにおいても「銅高含有酵母」はGrow社製であるとしているから本願の出願当時,銅高含有酵母として銅含有率が1.0%,すなわち,0.5%以上のものが製造され入手できたことは疑いようがなく,それゆえ銅高含有酵母として銅含有率が1.0%の酵母は本願出願時すでに周知であったといえる。
したがって,刊行物発明において,銅源としてのグルコン酸銅(II)についても,モリブデン,クロム,セレンをこれらを含む酵母に置き換えているのと同様に,本願出願時に周知であった銅含有率が1.0%の銅高含有酵母を用い,相違点1記載の本願補正発明1のごとく構成することは当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)銅酵母を0.001?0.2重量%含有させることについて
刊行物発明の経腸組成物100gに含まれる銅0.00015gを上記「2(5)ア(ア)銅含有率が0.5%以上の酵母の使用について」で言及した本願出願前周知の1.0%の銅含有量のGrow社製の銅高含有銅酵母を用いれば,経腸組成物100g当たり,銅高含有酵母量は,0.015重量%を添加する必要がある。これは,本願補正発明1の「0.001?0.2重量%」に包含される含有量である。よって,刊行物発明において,グルコン酸(II)を,前記周知の銅高含有酵母に置き換えれば,必然的に,相違点1に記した本願補正発明1のごとく構成されることとなる。

イ 相違点2について
流動食は普通の食事で栄養がとれない患者のためのものであるから,1日当りに必要なカロリー,栄養素を考慮して配合組成が決められる。刊行物発明では流動食について100ml当りの蛋白質,脂質及び炭水化物の重量を記載していないが,蛋白質であるNa/Caカゼイン酸塩を4.60gを有している。脂質に関しては,ヤシの油を2.33g及びヒマワリの油を0.26g有しており,合計2.59g有している。炭水化物については,マルトデキストリンを10.10g有している。比重を考えると,
「蛋白質を2?9g/100ml,脂質を1.5?9g/100ml,炭水化物を10?35g/100ml」に包含される推定される。仮に,包含されないとしても,蛋白質,脂質及び炭水化物に関して本願補正発明1の範囲に属する流動食は周知のものである(例えば,刊行物4(摘示(刊4-1))及び刊行物5(摘示(刊5-1))。
したがって, 相違点2は実質的に相違点でないか,仮に,相違点であったとしても,刊行物発明に,上記周知の技術的事項を適用して,相違点2に記載された本願補正発明1のごとくすることは,当業者にとって何の困難性もなくなし得たことである。

ウ 相違点3について
刊行物1には,摘示(刊1-7)に「補足食として使用するために,投与は粉末または液体形であり得る。」及び摘示(刊1-2)に「【0021】 栄養製剤または医薬は患者に経腸投与または非経口投与し得る。経腸投与経路が,特に後処置または予防処置に好ましい;特に考えられる経腸投与経路は経口投与,鼻腔投与および/または栄養管投与である。食事は,簡便には,水性液体形で取る。」と記載されている。ここで,経腸投与とは,吉川春寿,芦田淳編集,「総合栄養学事典」,同文書院,第一版第4刷,昭和57年6月5日,188?189頁の「経腸栄養」の項を参酌すると,ここには,次のように記載されている。
「けいちょうえいよう 経腸栄養[enteral nutrition][定義] 消化管を通して栄養を補給することをいう。本来の経路である口から食物をとる<経口栄養>と,チューブを介して消化管に栄養物を注入する<経管栄養>(チューブ栄養,tube feeding)に大別される。・・・・<天然食品ミキサー食>(blenderized diet)は古くから用いられてきた。・・・」と記載されているように,経腸栄養とは,消化管を通して栄養を補給することであり,天然食品ミキサー食のように,本来の経路である口から食物をとる経口栄養食も含む概念である。刊行物1の上記記載事項も,「特に考えられる経腸投与経路は経口投与・・・または栄養管投与である。」と記載されており,刊行物1発明の「経腸組成物」は,経口投与の栄養剤,すなわち,流動食と栄養管投与の栄養剤の双方に適用できる経腸組成物であると解することができる。
そうすると,刊行物1発明の「経腸組成物」は,流動食を含むものであるから,これを流動食とする程度のことは,単なる設計的事項と言うことができる。

エ 本願補正発明1の効果について
本願明細書の段落【0069】記載の効果について検討する。
段落【0069】には,「【発明の効果】本発明の流動食は,ミネラル成分,特にその微量元素を高含量で含む酵母をそのまま流動食中に配合可能としたもので,食感や風味に何等影響を及ぼすことなく,ざらつき感や,乳化不良等も見当たらず流動性その他で好ましい物性を有しており,品質,物性共に優れた流動食の提供を可能とする。」と記載されている。
ここで,かかる効果は段落【0029】によると「ミネラル高含有酵母を配合した流動食における酵母(前記粉末状で)の含有量については,前述の通りヒトが食する段階の液状流動食の状態で好ましくは0.001?0.2重量%程度,より好ましくは0.005?0.07重量%程度,更に好ましくは0.01?0.06重量%程度の範囲である。0.001重量%未満の添加では,その栄養効果が期待できず,また0.2重量%を超えると酵母の沈殿が生じたり,乳化状態が悪くなり物性的に問題が生じ易くなり,また官能評価上もざらつきを感じるようになるので,何れも好ましくない。この場合,更に味や風味の点で異様な味,異風味が発現し易くなる。」と記載されており,酵母の量が,ざらつき感や,乳化,味,風味に影響を与えていると理解される。
そうすると,本願補正発明1の酵母の含有量の範囲は,「0.001?0.2重量%程度」であり,その下限は,栄養効果によって決まるものである。上記「2(5)ア(イ)銅酵母を0.001?0.2重量%含有させることについて」で言及したとおり,刊行物発明において,グルコン酸(II)を,前記周知の銅高含有酵母に置き換えれば,必然的に,相違点1に記した本願補正発明1のごとく構成されることとなるから,下限によって奏される作用効果は,当業者が予測し得るものといえる。
他方,上限である0.2重量%を超えると「酵母の沈殿が生じたり,乳化状態が悪くなり物性的に問題が生じ易くなり,また官能評価上もざらつきを感じるようになる」こと,そして「味や風味の点で異様な味,異風味が発現し易くなる。」との効果については,銅酵母のみならず,酵母の総量が0.2重量%を超えると上記問題が生じると解される。
そこで,刊行物1発明における酵母の総量を計算すると,「モリブデン-酵母18.00g,クロム-酵母9.20g,セレン-酵母7.00g,グルコン酸銅(II)2.24g」を含有し,グルコン酸銅(II)に含まれる銅の成分は,0.31gと計算されるから,「2(5)ア(ア)銅含有率が0.5%以上の酵母の使用について」で言及した周知の銅高含有酵母(銅の含有量1.0%)を採用すると31.00gを添加することとなる。
他方,モリブデン酵母,クロム酵母,セレン酵母の総量は34.2gとなる。
上記「2(5)ア(イ)銅酵母を0.001?0.2重量%含有させることについて」で検討したとおり,刊行物発明のグルコン酸銅(II)を周知の銅高含有酵母に置換した場合は,酵母の量は,0.015重量%となり,モリブデン酵母,クロム酵母,セレン酵母を加えたとしても,(31.00+34.2)/31.00倍程度にしかならない。すなわち,0.0315重量%程度である。
これは,本願補正発明1の上限である「0.2重量%」以下であって,刊行物発明において,グルコン酸(II)を,前記周知の銅高含有酵母に置き換えれば必然的に奏される効果ということができるし,また,流動食といえど食品であり,味や風味を良くすることは当然の課題といえるものである。そして,酵母の量により,乳化の程度や,酵母臭や酵母独特の味が強くなり,味が悪くなることも,試食すれば誰しもわかる程度のことであり,当業者が予測し得ることでもあるともいえる。

よって,本願補正発明1の効果は,当業者が予測し得るものであって,格別顕著なものということはできない。

オ 小括
本願補正発明1は,刊行物1記載の発明及び周知事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(6)補正却下のむすび
以上のとおりであり,本件補正は,平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?7に係る発明は,平成20年4月4日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ,そのうちの請求項1に係る発明は次のとおりである。
「亜鉛,銅,及びセレンの少なくとも1種をミネラル成分として含有する酵母であって,
亜鉛については2重量%以上,銅については0.5重量%以上,セレンについては0.05重量%以上含有する酵母の少なくとも1種を,
乾燥形態の酵母換算で,0.001?0.2重量%含有することを特徴とする流動食であって,亜鉛を含有する酵母を用いる場合には,銅を含有する酵母及びセレンを含有する酵母と併用する,前記流動食。」
以下,請求項1に係る発明を「本願発明1」という。

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された前記「刊行物1」の記載事項は,前記「2(3)引用刊行物及び引用刊行物記載の事項」に記載したとおりである。
そして,該刊行物1には,前記「2(3)引用刊行物及び引用刊行物記載の事項」に記した「刊行物発明」が記載されている。

(2)対比
そこで,本願発明1と刊行物発明を対比する。
ア 刊行物1発明は,セレン-酵母をSM(g/100g)中に,7.00g有するものであるが,セレンの含有量は不明である。
したがって,刊行物1発明と,本願発明1の「亜鉛,銅,及びセレンの少なくとも1種をミネラル成分として含有する酵母であって,
亜鉛については2重量%以上,銅については0.5重量%以上,セレンについては0.05重量%以上含有する酵母の少なくとも1種」とは,セレンを含有する酵母という点で共通する。

イ 刊行物1発明は,セレン-酵母をSM(g/100g)中に,7.00g有するものであり,1gのSMに対する量として換算するとセレン-酵母は1gSM当たり,0.07g含有すると計算される。そして,経腸組成物中「SM(微量元素混合物)0.05g」加えられているから,セレン-酵母の量は,経腸組成物100g中,0.0035gとなる。
よって,刊行物1発明のセレン-酵母の量は,本願発明1の「乾燥形態の酵母換算で,0.001?0.2重量%含有すること」に包含される。

ウ 刊行物発明の「経腸組成物」は,液体の栄養製剤であり,蛋白質,脂質,炭水化物,ビタミン類等を含む完全調整食としても供されるものであるから(摘示(刊1-2),摘示(刊1-3)),本願補正発明1の「流動食」とは,「流動栄養剤」という点で共通する。

したがって,両者の間には,以下の一致点および相違点がある。

[一致点]
「亜鉛,銅,及びセレンの少なくとも1種をミネラル成分として含有する酵母であって, 亜鉛については2重量%以上,銅については0.5重量%以上,セレンを含有する酵母の少なくとも1種を,
乾燥形態の酵母換算で,0.001?0.2重量%含有することを特徴とする流動栄養剤であって,亜鉛を含有する酵母を用いる場合には,銅を含有する酵母及びセレンを含有する酵母と併用する,前記流動栄養剤。」

[相違点]
相違点4
セレンを含有する酵母が,本願補正発明1は,「0.05重量%以上含有する酵母」であるのに対して,刊行物発明では含有量が不明な点。

相違点5
流動栄養剤が,本願補正発明1では「流動食」であるのに対して,刊行物1発明では,「経腸組成物」であり流動食,すなわち,口から摂取するものか不明な点。

(3)検討
ア 相違点4について
セレン高含有酵母は本願の出願時すでに周知であった。例えば,本願明細書の段落【0057】によると,使用したセレン酵母は,「ミックスミネラルイースト」Grow社製に含まれるものであって,セレン酵母中のセレン含有量は.0.1%であったと記載されており,Grow社から入手可能であったし,また,刊行物2には,摘示(刊2-1)に記したように,1g中2000μgのセレンを有するビール酵母が記載されており,換算すると0.2重量%に相当する。いずれにせよ,これら周知のセレン高含有酵母は,本願発明1の「セレンについては0.05重量%以上含有する酵母」に包含されるものである。
よって,刊行物1発明におけるセレン-酵母に,上記周知のセレン高含有酵母を採用し,本願発明1のごとくすることは当業者が容易になし得たことといえる。

イ 相違点5について
相違点5は,上記「2(4)」で検討した相違点3と同じであり,上記「2(5)ウ 相違点3」についてで検討したのと同様の理由により,刊行物発明において,相違点5に記した本願発明1のごとくすることは,当業者が容易に発明し得たことといえる。

ウ 本願発明1の効果について
上記「2(4)エ 本願補正発明1の効果について」で検討したのと同様の理由により,本願発明1の効果は,当業者が予測し得るものである。

(3)むすび
以上のとおりであり,本件発明1は,刊行物1記載の発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-02 
結審通知日 2011-06-06 
審決日 2011-06-21 
出願番号 特願平11-226296
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23L)
P 1 8・ 575- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼ 美葉子  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 齊藤 真由美
杉江 渉
発明の名称 酵母を配合するミネラル強化流動食  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 平山 孝二  
代理人 箱田 篤  
代理人 浅井 賢治  
代理人 小川 信夫  

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